戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年09月27日 
(昭和26年)
会議名
第11回沖縄群島議会(定例会) 1951年9月27日
議事録
第十一回沖縄群島議会(定例会)会議録
自一九五一、九、二七
至一九五一、一〇、五

第十一回沖縄群島議会(定例会)会議録
 一九五一年九月二十七日午前十時開会
◎知事(平良辰雄君) 招集の御挨拶を申上げます。第十一回群島議会定例会は本日を以て成立することに相成りました。
 今回の政府提案事項は一九五二年度の追加更正予算とあと六つの条例であります。どうぞよろしく御審議の程お願い申上げます。

◎議長(知花高直君) 開会いたします。出席十七名、欠員一名、欠席二名でありまするが、届出があります。

◎議長(知花高直君) 諸般の報告をいたします。二十番議員(仲里誠吉君)は一身上の都合により群島議会議員を辞任致す旨九月十七日附で議長宛辞任届がありましたのでこれを受理致しまして議長に於てその旨群島選挙管理委員長宛通知いたしましたから右報告申上げます。
 第十回議会に於て議決になりました軍用土地使用料の支払などに関する件、及び沖縄果菜類輸入禁止の解禁方促進に関する件、以上二件の陳情書は関係筋へそれぞれ書類を発送致しましたから報告申上げます。
 マージ颱風被害対策に関する別紙の陳情書及び意見書につきましては第十回議会に於て議長一任となっておりましたので議長に於てそれぞれ調整の上書類進達いたしましたから報告致します。書記長をして右の陳情書及び意見書を朗読致させます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

宛・米国琉球民政府副長官
経由・沖縄民政官
発・沖縄群島議会議長
題・マージ颱風被害対策に関する件
 去る八月十七日から二十日迄の三日間に亘り来襲したマージ颱風により本群島海岸線の道路、護岸は破壊され、ために住民居住地区を侵し、家屋倒潰海潮による農作物の被害、船舶の被害
等実に未曾有の大惨害を蒙り一時交通杜絶の止むなきに到つたのでありまして議会におきましては事の重大性と緊急性に鑑み第十回議会初日の本会議においてその実状調査を議決し、三日間に亘り被害箇所の現地視察を致しました結果、被害状況実に惨憺たるもので、それが各面の復興に及ぼす影響を考えますとき一日も早く之が復旧対策を確立し、可及的速かに復旧を図る必要を痛感致したのであります。
 就きましてはその対策として左記事項について特別なる御配慮を御願い致す次第であります。
    記
一、軍補助金を以つて恒久的復旧工事を一日も早く実施して貰いたい
  理 由
 沖縄の地理的関係から更に颱風襲来は必至であり現状の儘で再度来襲颱風に際してその被害実に想像に絶するものがあり緊急なる復旧を要するが、その復旧は民の財政力では到底不可能である、戦前も災害復旧費は日本政府から国庫補助に依つて実施されていた
二、颱風時に際し民船避難港として那覇港の開放方取計つて貰いたい
  理 由
 颱風時の船舶被害の実情から致しまして曾つて避難港であつた那覇港を暴風警報発令と同時に民船避難の為め開放する必要を痛感する
三、沖縄周辺に放置された破損船体及びバーヂ取除き方取計つて貰いたい
  理 由
 破損船体及びバーヂの及ぼす颱風被害例えば馬天、泡瀬等の如き実情から致しまして早急に之を撤去する必要がある
四、排水施設の整備改善を図つて貰いたい
  理 由
 特に軍関係道路横断の排水施設が不完全なため排水悪く道路の破損又は農耕地への浸水多くために農作物の被害甚大であり至急之が整備改善の必要を痛感する
右の実情御賢察の上特別の御詮議をもつて之が善処方御取計下さいます様第十回沖縄群島議会の議決により茲に陳情致します
  一九五一年九月三日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直

マージ颱風被害対策に関し沖縄群島議会は群島組織法第三十九条に依つて左記の通り意見書を提出する
  一九五一年九月三日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直
沖縄群島知事 平良辰雄殿
    記
  マージ颱風被害対策に関する意見書
マージ颱風被害対策に関し知事は特に左記事項に留意し之が計画実施に万遺憾なきを期せられたい
一、速かに颱風災害対策委員会を設置の上颱風災害の復旧予防対策を確立し年次計画による根本的復旧の促進を図ること
二、恒久の復旧計画樹立に当つては緩急軽重に応じ次ぎの諸点に留意し、これを勘案して年次計画とすること
 1、公道に就て
  (イ)交通量その他交通上の重要度に従い順位を策定すること
  (ロ)交通上の安全と維持管理の利便のためカーブの緩和又は路線の変更等も考慮すること
 2、護岸排水工事等に就いて
  (イ)住民居住地区の安全確保を図ること
  (ロ)受益量と(ママ)の比率並に受益量の比較
  (ハ)住民生活に及ぼす影響等
 3、避難港の整備促進に就いて今次のマージ颱風に於いて本部の渡久地港では船舶の被害皆無であつたが糸満港では実に七五隻の内五二隻の被害であつた実例からして避難港の整備が緊急必要である
 4、工事設計並びに施行について
  (イ)賽の河原の石積みにならぬ様恒久的工事として充分堪え得る様な工事計画をすること
  (ロ)市町村工事としての施設に対する地元の愛護責任強化を図るため工事費に対する適度の地元負担(又は受益者負担)を考慮し原則として地元責任による工事施行を図ること
三、颱風警報伝達について
 災害を未然に防止できる様颱風警報については迅速に之が伝達方取計うこと

  (午前十時十分与儀清秀君出席)
◎議長(知花高直君) 那覇市七区七組上岡作太郎那覇市六区二十四組友寄隆源外百二十三名から割当土地に関する本議会宛の陳情書、それから越来村胡差区二十七班桑江朝幸外三十八名から軍用土地使用料の支払などに関する本議会宛の陳情書、以上二件の陳情書に対しては議長に於てそれぞれ回答しておきましたから報告致します。
 書記長をして右回答文を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」回答文朗読)

議第七四号
  一九五一年九月三日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直
上岡作太郎、友寄隆源外
一二三名宛
  割当土地に関する陳情書について
客月二十九日付本議会宛標記の件陳情書については、その所管第二部委員会に付託、同委員会において審議検討を加え九月三日の本会議に報告処理せられました。その結果(はカ)左記の通りであります。
右回答致します。
    記
一、陳情の要旨
 一九五一年四月十六日米国民政府特別布告第四号で所有権の行政(使カ)は一九五一年四月一日から六ケ月間を猶予期間として十月一日から効力を発する規定であるのに群島政府では之が期限を更に延長するということであるが土地割当当時と今日とは最早状勢が違うし凡ゆる面が軌道に乗り出し平常化しているので権利の行使も認め義務の履行を負わした方が得策である、よつて右期限は延長せず布告通りにして貰いたい。
二、議会として処理結果
 本問題は土地所有者と土地使用者との相互関係で紛争をかもすことが予想せられたので事の重要性に鑑み事前において本島内、那覇、糸満、美里の各地区において地主側、借地人側、各新聞社、各政党、学識経験者その他一般から参集を求め公聴会を開いて夫々意見を聞いた処大部分が期限延長の原案に賛成であり議会としては民意を尊重し茲に当局の原案の通り議決されたものであります。

議第七五号
  一九五一年九月三日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直
越来村胡差区二十七班桑江朝幸
外三十八名宛
  陳情書に対する回答
軍用土地使用料の支払等に関する八月三十日付本議会宛の陳情書は本職において受理同日所管第二部委員会に付託致しました処同委員会は之を採択し、審議検討を加えました結果別紙陳情第九号の通り同委員会から提案九月三日の本会議において原案可決せられ米国民政府副長官宛陳情書を提出することになりましたから御了知相成りたい
右回答致します
  (別紙省略)

◎議長(知花高直君) 知事から議長宛公文が参っておりますので書記長をして朗読いたさせます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

沖総第六八〇号
  一九五一年九月二十七日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  沖縄群島議会々議事件について
第十一回沖縄群島議会(定例会)において議会の議決を得たく別紙の通り議案を送付致します

○議長(知花高直君) 議案を配付いたさせます。
  (書記議案配付)

○議長(知花高直君) 今回辞任いたされた仲里君から御挨拶があります。
◎仲里誠吉君 ちょっと簡単に御挨拶申上げます。
 既に新聞紙上でも報道されましたような理由でこの度群島議員の職から辞任致すことになりました。在職中は議員各位、及び当局からも種々御指導御鞭撻を戴きまして愉快に人民大衆のために働くことの出来ましたことをこの席を借りまして厚く御礼申上げます。御承知の通り内外の情勢日に逼迫して参りました際にこの重大な職から辞任することは人民大衆に対して誠に相済まないのでありますが、この際進退出処を明かにするという意味で辞任をするということになった訳であります。然し乍ら議員職から退きましても、脱党後と云えども人民大衆のために献身したいという気持は聊かも変りありませんし殊に今後信託統治に置かれまして琉球の政治経済、社会、文化全般に亘りまして困難が加重されることが予見されますので皆さん方と共に琉球民族の統一、向上のためには今後尚一層の努力を続けて参りたいと思います。その意味合に於きましても議員各位、並に当局の御指導と御鞭撻をお願いしまして簡単乍ら辞任に当りましての御挨拶と致します。お邪魔致しました、有難うございます。

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告いたします。
 議事日程第二十一号
 第一、今期議会の会期を定めること
 第二、今期議会の会議録署名人選挙
 第三、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第七十四号)
 第四、沖縄群島請負条例制定について
  (知事提出議案第七十五号)
 第五、沖縄群島建築基準条例制定について
  (知事提出議案第七十六号)
 第六、沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査条例制定について
  (知事提出議案第七十七号)
 第七、沖縄群島保健所条例制定について
  (知事提出議案第七十八号)
 第八、沖縄群島墓地、埋葬等に関する条例制定について
  (知事提出議案第七十九号)
 第九、沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第八十号)
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、今期議会の会期を定めること
 日程第二、今期議会の会議録署名人選挙
 日程第三、琉球の信託協定に関し議会として要望すべき事件を審査する特別委員会を設置することについて
      (十二番議員発議)
 日程第四、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第七十四号)
 日程第五、沖縄群島請負条例制定について
  (知事提出議案第七十五号)
 日程第六、沖縄群島建築基準条例制定について
  (知事提出議案第七十六号)
 日程第七、沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査条例制定について
  (知事提出議案第七十七号)
 日程第八、沖縄群島保健所条例制定について
  (知事提出議案第七十八号)
 日程第九、沖縄群島墓地、埋葬等に関する条例制定について
  (知事提出議案第七十九号)
 日程第十、沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例について
   (知事提出議案第八十号)

◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。
◎長浜宗安君 議事日程の追加並に順序変更について緊急動議を提出致します。琉球の帰属問題に関しては予ねて本議会としましても是非とも琉球の帰属は日本に復帰しなければいけないと言うことを関係各方面に住民の悲願として愬えたのでありますが遺憾乍ら去った対日講和会議の際に於てこの絶対多数の住民の悲願が容れられず無念にも信託という運命にならなければいけないということになったのであります。然し乍ら我々は来るべき信託協定の中に是非とも琉球住民各方面の要望事項を纏めてこれに織込んで貰いたいということは議会の当然とるべき責任ぢゃないかとこう確信するものであります。よって本日の議事日程に琉球に対する信託統治に関して議会として要望すべき事項を審査する特別委員会を設置することについてという議題を追加いたし、尚その順序を日程第三とし、以下順次繰下げられんことを望みます。尚本議会でこの特別委員会の委員数並に委員を選任して戴きたいとこう希望するものであります。
◎新里銀三君 本員は只今の緊急動議に反対するものであります。寧ろそれよりは信託統治下における我々沖縄住民が如何にすれば受託国の米国に協力しそして早く復興するかそれは経済的にも総ゆる面から復興する方面(ママ)を考えてその政策を樹立して政府御当局の案としてその案を米国政府に或は各方面に提案して、そして復興を速かにして貰うような対策が最も賢明なる策ぢゃないか、政策の転換期ぢゃないかと思うのであります。
○議長(知花高直君) 趣旨は同じではありませんか。暫時休憩します。
  (午前十時二十八分休憩)

  (午前十時三十一分再開)
◎議長(知花高直君) 開会します。只今十二番議員の動議に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って日程は追加並に順序変更せられました。
 本件は日程の第三として以下順次一つずつ繰下ることになります。

◎議長(知花高直君) 日程第一今期議会の会期を定めることでありまするが、先刻議会運営委員会を開会致しまして、今回の提出案件に対して会期をどの程度持てばよろしいかと色々打合せ検討しました結果今期議会は本日から七日間、十月三日まで、この七日間を会期としたいと運営委員会で決定してありまするが、今期議会の会期七日間に可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って今期議会の会期を七日間に可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第二でありますが、今期議会の会議録署名人の選挙を致さなければなりませんが、選挙の手続を省略して議長指名に致したいと思いますが、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議長は九番議員(玉城泰一君)、十三番議員(山川宗道君)二人を指名致します。御両人に御願いすることに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。

◎議長(知花高直君) 次は先刻日程追加になりました日程第三の琉球の信託協定に関し議会として要望すべき事件を審査する特別委員会を設定(置カ)することについてを議題と致します。議会の委員会条例第三章の特別委員会第二十条特別委員会は特に重要と認めた事件を審査させるために臨時にこれを設けるところとなっております。それから第二十一条は特別委員会の員数はその設置の時議会の議決でこれを定めるとこうなっておりますので、今期議会でその員数を決定しなければなりませんが、どう致しますか。暫時休会致します。
  (午前十時三十四分休会)

  (午前十時三十七分再開)
◎議長(知花高直君) 開会致します。
 只今の琉球の信託協定に関し議会として要望すべき事件を審査する特別委員会の設置でありますが、これは審議未了の儘にして進行致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第四の議案第七十四号を議題と致します。当局の説明を求めます。
議案第七十四号
  一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算に就いて
群島組織法第百五十九条の規定に基き一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算を別紙の通り定めたいので議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年九月二十七日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 (別紙)
 (一九五一年十月十八日付沖縄群島公報第四十八号に登載済に付省略)
 (注 三五五頁に掲載)
◎財政部長(仲宗根秀俊君) 今回提出致してあります一九五二年度追加更正予算案について御説明申し上げたいと思います。
 軍から五十二年度の救済費と致しまして二千四百三十七万九千七百九十円の交付令達があったのであります。
 ところが第一回半期即ち第一期分六百八万九百四十七円の支給は認められましたが、その残額に(のカ)千八百二十八万九千八百四十三円が救済費として補助することは出来ないというようなことに相成りましたためにどうしてもこれは事業の性質上その儘打切られることはよくないという考から致しまして、これを経常費から捻出してそれに補助しなければならん関係であります。それが第一であります。第二は議員旅費及び俸給並に議会議場の備品費として追加を必要と致しました。第三は今回議会議員の補欠選挙が施行されますのでその選挙費用として追加をした。それから現在経常費臨時費半々で持っております警察部の職員に対する俸給の昇給分を軍にその半分丈を要求致しましたところ、不認可になりましたためにその方も経常部からどうしても捻出しなければならんということになっている関係であります。それから五番目は職業学校、盲唖学校の建築費としてどうしても追加を必要とするものがあったのであります。以上の所要経費を申上げますると、救済費一千八百十四万八千円、議会旅費三十三万七千九百二十五円、備品費五万五千百八十円、建築費三十一万二千四百四十八円、俸給二百四万二千八百五十六円、選挙諸費二十万九千九百円、計二千十六万七千三百九円であります。そこでその経費を捻出するために経常費に於いて次の方法をとったのであります。七月分から実施予定の昇給を二ケ月繰下げますことによって一千四百二十万三千二十円を捻出しました。それから厚生部の経常費予算中で節約可能の分、又軍に於いて救済費としてなくなったものと他の経費に切替増加したためにそれから浮いた金を減じても差支えないという部面が五百七十五万四千三百八十九円を捻出致しました。それから選挙費に於きましては他に財源がなかったので差当り予備費から更正することに致しまして、二十万九千九百円を振り向け結局二千十六万七千三百九円を計上致してあります。
 次に臨時部に於きましては厚生部のみの補正に止まっておりまするが、軍の指示によりまして救済費一千八百余万円を削減してその金額を軍の趣旨に従って厚生部の他の費目に振向け更に厚生部に於ける臨時職員の昇給財源として、百十六万三千八百九十八円を充てました。そしてこの方は既に軍の諒解も得た次第であります。以上簡単でありまするが、大綱を御説明申し上げまして尚詳しいことは御質問に応じてお答えしようと思っております。よろしく御審議を御願い致します。
○議長(知花高直君) 只今の議案第七十四号は審議未了の儘と致しまして、第一部委員会にその審査を付託いたしたいですが、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎仲村栄春君 審議に対しての要望を申し上げます。
 本議案は既に新聞紙で報道せられたように、又只今部長の説明によって明確でありまするように、その大部分が救済費の千八百万円が年度中途に於いて打切られたということに大きな原因があるのであります。従って本議案は第二部所管のようにも思われるものでありまして、又議会としても軍当局に救済費が打切られた理由並に存置の要望を致すべきだと思いますので、審議の前に議長、副議長、第一部、第二部の委員長を含めて軍に救済費の打切られた理由並に出来得べくんばこれが存続方を要望して戴き、その後に審議に移っていただきたいと思います。
○議長(知花高直君) 暫時休会致します。
  (午前十時四十五分休会)

  (午前十時五十分再開)
◎議長(知花高直君) 開会致します。議案第七十四号は第一部委員会に付託致します。
◎議長(知花高直君) 次は日程第五の議案第七十五号を議題といたします。当局の説明を求めます。
議案第七十五号
  沖縄群島請負条例制定について
 沖縄群島政府の施行する工事の請負、工用品及び労務の供給の実施の円滑を期するため、群島組織法第百六十七条第二項の規定により沖縄群島請負条例を別紙案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年九月二十七日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 沖縄群島請負条例案
 (一九五一年十月九日付沖縄群島公報第四五号に登載済に付省略)
 (注 三六一頁に掲載)
◎工務副部長(西銘順治君) この沖縄群島請負条例を制定致しましたことにつきましては、従来群島政府の施工しておった公共工事はその拠るべき根拠がなかったといったような現状にあったのであります。それでただ工務部内の内規によりまして、現在まで工事を施工して参ったのでありますが、群島組織法の百六十七条によりますというと、群島の行う工事は原則として競争入札に付さなければならないようになっております。それでどうしてもこの競争入札の基準というものを定めなければならない、それでそういった基準をはっきりさせることによって業者も安心して入札が出来るような方法が講じられなければならないと思いまして、この群島請負条例を制定して提出した訳であります。どうか御審議の程をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案第七十五号は審議未了のままといたしまして第一部委員会に付託いたしたいですが、如何ですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議がないと認めます。依って議案第七十五号は第一部委員会にその審査を付託致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第六の議案第七十六号を議題と致します。当局の説明を求めます。
議案第七十六号
  沖縄群島建築基準条例制定について
 沖縄群島における建築物の敷地、構造、設備及び用途の最低の基準を定めて、住民の生命、健康及び財産の保護を図りもつて公共の福祉の増進に資するため、群島組織法第二条第二項の規定により沖縄群島建築基準条例を別紙案の通り制定いたしたいので議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年九月二十七日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 沖縄群島建築基準条例案
 (一九五一年十月九日付沖縄群島公報第四五号に登載済に付省略)
 (注 三六七頁に掲載)
◎工務副部長(西銘順治君) 建築基準条例案を提出致しました趣旨は従来市街地建築法によって規定しておった市街地の建築が現状から致しますというと、防火、衛生、保安、美観の見地から、どうしても敷地構造設備が或る程度法規に合致したものであり、又、これが住民の生命と安全を保障するようなものでなければならないという風に考えまして、この条例を提案したのであります。殊にこの条例で重視されている点は知事の指定する市街地の建築物について、その構造、敷地、設備について、合理的な制限禁止が規定されている点であります。それと殊に密集地帯に於ける建築物並に特殊用途の建築物については、法が衛生保安の各条件が具備しなければ建築が出来ないようになっております。又、この建築基準条例が制定された以後に於きましては、この条例の適用はないようになっております。ただ大規模の改造模様替の場合に於てそれに相当する規定についてはこの条例を適用するようになっております。以上簡単に提案の趣旨を御説明致しまして御審議の程をお願いいたします。
◎議長(知花高直君) 議案第七十六号は審議未了のままといたしまして、第一部委員会にその審査を付託いたしたいですが、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第七十六号を第一部委員会に付託いたします。
◎新里銀三君 この基準法を見たら理想的な基準になっているようですが、これは現在沖縄の情勢をよく見て貰って審議しないと或は合致しない点も相当あると思いますのでその点御審議の場合は実情と睨み合せて戴きたいと思う。現在陸運条例が出来ておりますが、あれは四月一日から施行となっておりますがその実施を見ないので非常に物議を醸しておりますから、実際に出来るならば出来るように規定を作らんと空文に終る恐れがあります。その点をよく考慮しないと後で待ったとか、早いとかいう問題が起りますのでその点よく考慮して戴きたいと思います。
○工務副部長(西銘順治君) これは日本の建築基準法に拠って作ったのでありますが、その中で現在の沖縄の状況に照らしてどうも相応しくないといったような条項は殆ど削ってあります。ただ新里議員から言われたように陸運条例と同じようにただ空文に終ってそれが実行出来るか出来ないかといわれましたが、これは取締りの面についてであって、決して法文そのものには無駄なところはないと思っております。

◎議長(知花高直君) 次は日程第七の議案第七十七号を議題と致し当局の説明を求めます。
議案第七十七号
  沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査条例制定に就いて
 沖縄群島における砂糖の品質を向上し規格を統一するため、砂糖及び砂糖容器検査条例を別紙案の通り制定したいので議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年九月二十七日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査条例案
 (一九五一年十月九日付沖縄群島公報第四五号に登載済に付省略)
 (注 三九〇頁に掲載)
◎経済部長(呉我春信君) 沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査条例について御説明申上げます。
 御承知の通り砂糖は沖縄の重要な輸出品であり、将来も亦、第一位を占めることを予想されていますのでこの重要輸出品に対して信用を高める趣旨に於て、この条例案を提案したのであります。その制定の趣旨は議案にもありますが、品質を向上して規格を統一しよう、これは既に新聞紙上に於きましても商務官の報告によって色々信用を失墜するような砂糖が出たということも皆さん方御承知の通りでありまして、どうしてもこれを有利に取引して行くためには検査が必要であると痛感しておりますが、貿易については貿易庁の権限でありますので、こちらからこうするということは権限外になりますので、貿易庁としては、これに対する告示を出したのであります。その告示の内容を簡単に申上げますと、軍布令第二十六号第五条第十二項の規定によって、輸出される砂糖の品質包装について次の如く定めて、砂糖は琉球貿易庁の定める標準などに準じてその生産地の群島政府により行わせる品質包装の検査に合格し、各群島別の銘柄及び一等、二等、三等などの等級を表示したものでなければこれを輸出することは出来ない。こういうような告示が出ましたのでこの「各群島に於て行った品質及び包装の検査に合格したもの」ということが、まず基準、これに準じてこれを制定して品質並に規格の統一を図らうという訳であります。これは先に法制審議会の審議を経ずに一応は第一部委員会で御討議を願ったのでありますが、更にその後審議会の審議を経て変更されたところもございますので更に御審議を願いたいとこう思います。
◎議長(知花高直君) 議案の第七十三号(七カ)は審議未了のままといたしまして、第一部委員会にその審査を付託致したいですが、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第七十七号は第一部委員会に付託いたします。

◎議長(知花高直君) 次は日程第八の議案第七十八号を議題と致し当局の説明を求めます。
議案第七十八号
  沖縄群島保健所条例制定について
 群島組織法第二条の規定により公衆衛生の向上増進を図る為、保健所条例を別紙案の通り制定したいので議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年九月二十七日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 沖縄群島保健所条例案
 (一九五一年十月九日付沖縄群島公報第四五号に登載済に付省略)
 (注 三九三頁に掲載)
◎厚生副部長(大森泰夫君) 保健所は既にその仕事を始めて発足しておりますので今から保健所条例を出すのは遅いような感じがしますが、これは予ねてから軍の方で保健所は各群島に設置するのでこれは軍布令を発布するからという話がありましたので今日まで待っておりましたが、既に仕事も始めておりますし、又軍から各群島で条例で保健所条例を作ってもよいという諒解が出来最近通知がありましたので今期議会に保健所条例を提案した訳であります。これは実際の運営方針、そういうものをもっておりますが、これによって運営の万全を期したいと思っております。御審議をお願いいたします。
◎議長(知花高直君) 議案第七十八号を審議未了のままと致しまして、第二部委員会にその審査を付託致したいですが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第七十八号は第二部委員会に付託いたします。

◎議長(知花高直君) 次は日程第九の知事提出議案第七十九号を議題と致し当局の説明を求めます。
議案第七十九号
  沖縄群島墓地、埋葬等に関する条例制定について
 沖縄群島における墓地、納骨堂及び火葬場の管理並びに埋葬等の規制を図り、公衆衛生その他公共の福祉増進のため、群島組織法第二条第二項の規定により沖縄群島墓地、埋葬等に関する条例を別紙案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく、提案する。
 一九五一年九月二十七日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 沖縄群島墓地、埋葬等に関する条例案
 (一九五一年十月九日付沖縄群島公報第四五号に登載済に付省略)
 (注 三九五頁に掲載)
◎厚生副部長(大森泰夫君) 墓地、埋葬等につきましては今日までありました規定並びに法令等は明治十七年十月太政官布達第二十五号墓地及埋葬取締規則、明治十七年十一月内務省達乙第四十号墓地及埋葬取締規則施行方法(ママ)、細目標準、明治三十七年四月沖縄県令第十七号墓地及埋葬取締規則施行細則等の法令などによってやっておりましたのでこれらは非常に古い法令でありまして、非常な不備な点がありましたので時代の進運に即して改正の要があると思いまして、今回改正の提案を出した訳であります。同改正の趣旨は第一条に謳ってありますように墓地納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬などが、住民の宗教的感情に適合し且つ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的としております。その内容の第一は今申上げた通りに沖縄人は祖先を非常に崇拝し死体を神聖視し、埋火葬を甚だ丁重にする習慣がありますのでその習慣を尊重したいと思っております。それから沖縄は土地が狭小でありますので土地の利用の見地から墓地の区域、所要面積などについて考慮してあります。第三は公衆衛生の見地から従来の習慣から来るところの色々の弊害は漸次改善して行かなければならないと思っております。以上主として、三つの点の内容でありますが、墓地に対しましては事情が事情でありますので急激な変化を避けまして漸進的に目的を達したいと思っておりますので現行の法令を十分に参酌し又、戦後改正されたところの日本の法令も参考にして作ったのであります。なお本条例草案に際しましては二回にわたって学識経験者の方に集まって戴き公聴会を開いて色々と御意見を伺って参考にしたのであります。よろしく御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案第七十九号を審議未了のままと致しまして、第二部委員会にその審査を付託致したいですが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第七十九号を第二部委員会に付託致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第十の議案第八十号を議題と致し当局の説明を求めます。
議案第八十号
  沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例について
 行政機構の整備により廨庁職員の定数を改正する必要があるので沖縄群島政府職員定数条例(一九五〇年十二月二十二日条例第三号) の一部を改正する条例を左の通り制定致したいので議会の議決を得たく提案する
 一九五一年九月二十七日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
(注 公報欠落のため挿入)
 沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例案
 (一九五一年十二月十日付沖縄群島公報第五五号に登載済に付省略)
 (注 三九九頁に掲載)
◎総務部長(幸地新蔵君) 御説明申上げます。
 一九五〇年十二月二十二日制定いたしました職員定数条例の一部を改正いたしたいと思いまして提案したのであります。と申しますのは、厚生部と経済部の方に機構の変更によりまして多少の職員の異動が生じたので第一条中の定員七千七百十九名を七千百八十名に改めたい。第三条の廨庁でありますが、七千三百六十九人を六千八百三十人に改めたい。こういうのでございます。その内容を申上げますというと、経済の方に於きまして、元農林省から経済部に来た職員が、今度又農林省に帰ることになりまして、与儀の農業研究指導所の方にはその後専門員であった五名を増置いたしまして群島の農業研究所の方の充実を図りたい、こういうことになって、ここに差引六十一名の減と相成ったのであります。従いまして、群島直属の農業研究指導所は、中央場は名護の中央場になりまして胡差は支所と相成っております。
 それから厚生部に於きましては医師の自由開業に伴いまして、病院診療所の方の職員が、これまで八百二十三名でありましたが、今回四百十九名になり、従って四百四名の減となっております。それから地区医療園(団カ)の方がありまして、それには現在十一名の定員でありますが、それが全部減に致したいと思います。
 薬品配給所に十二名の職員がおりますが、その方も多少開業の方が多くなりまして直接薬品を配給するところを二ケ所廃止いたし、三ケ所残るのでそれを七名に改正いたしまして五名の減に致したい。それから保健所でありまするが、保健所は現在定員が百三十五名でありまするが、改正は百四十名に致したい。
 これは軍の指示もありまして、有力なる保健婦を増員して貰いたいということで五名増員致してあります。これは全部軍負担であります。それから地方衛生の方に於きましては従来の地方の衛生課は現在定員が百五十七名でありますが、これを七十五名に改正致しまして八十二名の減員であります。市町村の駐在厚生員は現在六十名であるが、これを三名増と致しまして、六十三名に致したいと思っております。これは児童福祉事業のために、七月以降三名を増員して児童の福祉法に伴うところの仕事をさして行きたいという万止むを得ない必要があって三名の増であります。それから特別病院に於ては現在百二十四名でありますが、これには十四名増員致しまして百三十八名に致したいとこう考えております。それと特殊病院は現在患者の数は多くなりますし、手が足りなくなりますので、それは軍の指示を受けまして、軍の負担に於て十四名を増員致しまして、特殊病院の治療の充実を図るということに相成ったのであります。
 それから従来胡差の中央病院、名護の中央病院は民負担でありますが、看護婦学校を設置したのであります。ところがこれは医務の片手間に事務をとっておったのでありますが、そこの職員もこの頃少くなりまして、この看護婦学校の事務一切を見ているところの主任の方々がいらっしゃいませんため、その看護婦学校を運営するのに支障を来しますので看護婦長みたようなものを主任級の看護婦二名を置いてその生徒、その事業面に対するところの一切の面倒を見るということになりまして、二名増員致したいとこう考えております。それで総計五百六十八名の減ということになりまして、先に申上げたところの廨庁定員が七千三百六十九名から六千八百三十人とこういう風に改めたいのであります。以上御説明申上げます。御審議を御願いいたします。
◎議長(知花高直君) 議案第八十号は審議未了の儘と致しまして、第二部委員会にその審査を付託致したいですが、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第八十号は第二部委員会に付託致します。これで本日の日程は終了いたしました。
◎普天間俊夫君 日程外でありますが、第一部委員の方に希望を申上げておきます。
 食糧配給改訂については二月の議会で陳情済になっておりますが、その陳情に対する回答が参っております。
 今日民政府に於きましては食糧局並に農政局にそれに対する諮問せられて、両局ではその案を練っておられますので、今やこの食糧配給について改訂の時期に到来したものと思うのであります。それで先のお互の陳情も行っておりますのでこの際第一部委員会で取上げて貰いまして、食糧局の方に議会として陳情した内容を検討して戴いて諮問に対する答申をする場合には議会の方の意思も織込んで貰うように折衝その他を第一部委員会で取上げて貰いたいと要望いたします。
◎議長(知花高直君) 明日は第一部、第二部の委員会を開催いたします。各委員会は定刻は午前十時、二十九日も同じく一部、二部委員会を開催いたします。三十日は休みまして、十月一日(月曜日)は第一部、第二部委員会を開いて付託案件の審査をお願いします。
 十月二日(火曜日)には全体合同研究会を開きますし、又、先刻取残しました特別委員の構成などについても、その日に決めたいと思います。越えて十月三日午前十時本会議を開いて今期議会を終了致したいと思っております。本日はこれで散会致します。
  (午前十一時二十一分散会)
 出席者は左記の通り
    議 長 知花 高直君
    副議長 稲嶺 盛昌君
    議 員 与儀 清秀君
        仲村 栄春君
        石原 昌淳君
        普天間俊夫君
        宮城 久栄君
        平良 幸市君
        玉城 泰一君
        松本 恭典君
        具志頭得助君
        長浜 宗安君
        山川 宗道君
        山城 興起君
        新里 銀三君
        新城 徳助君
        野原 昌彦君
        崎山 起松君
   群島知事 平良 辰雄君
   総務部長 幸地 新蔵君
   財政部長 仲宗根秀俊君
   経済部長 呉我 春信君
   文教部長 屋良 朝苗君
  工務副部長 西銘 順治君
  厚生副部長 大森 泰夫君
   主計課長 板良敷朝基君
   人事課長 比嘉 幸安君
   土木課長 伊佐 真人君
   建築課長 仲座 久雄君

 一九五一年九月二十八日(金)
 午後一時五分開会
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十八(ママ)人、欠員一人、欠席一人であります。

◎議長(知花高直君) 諸般の報告を致します。知事から議長宛に公文が参っておりますから書記長をして朗読致させます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

沖総第六八〇(ママ)号
  一九五一年九月二十八日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  議案追加提出について
第十一回沖縄群島議会(定例会)開会中において臨時急施を要する事件として左記議案追加提案致しますから早急に議会の議決を得たいので議案送付致します。
    記
 議案第八十一号 沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の一部修正について

○議長(知花高直君) 書記をして議案を配付致させます。
  (書記、議案配付)

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
 議事日程第二十二号
 第一、沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の一部修正について
  (知事提出議案第八十一号)以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の一部修正について
  (知事提出議案第八十一号)

◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。

◎議長(知花高直君) 日程第一の沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の一部修正について知事提出議案第八十一号を議題と致し当局の説明を求めます。
議案第八十一号
  沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の一部修正について
第十回沖縄群島議会において可決した議案第七十三号沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の一部を左記案の通り修正したいので急施事件として議会の議決を得たく提案する。
  一九五一年九月二十八日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
    記
第十回沖縄群島議会において可決した議案第七十三号「沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例」の一部を次のように修正する。
 第二条第一項中「一九五一年四月一日をもつて」の下に「公共、住居又は農耕を目的とした」を加える。
「提案理由」
 第十回沖縄群島議会において可決した議案第七十三号を一九五一年四月十六日附米国民政府特別布告第四号によつて米国民政副長官宛可決になつた同条例の承認方を稟請中の処今年九月二十七日附を以て沖縄民政官府から同条例の一部を修正するよう要請があつたので議会の緊急議決を得て十月一日に施行致したいので提案する。
◎法務課長(牧野博嗣君) 去った第十回の群島議会に於きまして可決して戴きました沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例につきましては民政府特別布告第四号によりまして民政副長官の認可を要するので副長官の認可方を申請しておりましたところ、昨日書面を以て、その条例の一部を改正するようにという要請が参ったのであります。それは特に内容を変える訳ではありませんけれども字句を挿入しまして、その内容をはっきりさせるという趣旨のようであります。この条例につきましては御承知の通り特別布告第四号が九月三十日を以て効力を終了致しますのでどうしてもこの条例が十月一日までに間に合いませんと支障を来しますので早急に議会の修正をお願いしたいと思いまして、提案した訳であります。どうか御審議して戴くよう御願い致します。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。
◎具志頭得助君 大体内容から検討すると大差はないようでありますが、特に公共というようになっておりますが、施行した場合には公共の用に供した土地も地代を払うということになるのでありますか。
○法務課長(牧野博嗣君) 公共の土地、これはこの条例によって保護されるされないに拘わらず所有権が認定されれば使用料は地主に対して当然払わなければならないようになるのであります。
◎玉城泰一君 軍の指示による修正によってこれに変更を来す点を考えて見るというと、軍の割当を受けて建てた工場-瓦工場、煉瓦工場-こういうのは公共でも、民でもない、住居でもないし、勿論農耕地でもないのであるから、この条例では保護されない。即ち、いつでも十月一日以降は立退を命ぜられるという結果になりますが、そういう解釈でいってよろしいかどうか、この点をはっきり伺いたい。
○法務課長(牧野博嗣君) お答致します。その点につきましては私の方も多少疑問がございましたので本日沖縄民政官府に参りまして疑義を質したのでありますが、向うの回答によりますと、結局この臨時処理条例によって保護される対象は公共用に供せられた土地と住居、それから農耕に充てた土地、この三つだということをはっきり御見解を示されたのであります。
○議長(知花高直君) 別に御質問はありませんか。
◎宮城久栄君 軍の要求になった修正事項を議会で承認して更に、軍の承認を得てから効力を発するもんですか、この通り議会で可決したら十月一日から効力を発するか、それを伺いたい。
○法務課長(牧野博嗣君) これにつきましては、こちらの議会によりましてこれが修正されましたならば早速公布してよろしい。但し議会の結果を軍に報告するようにということであります。
◎新里銀三君 契約したものと見做してまず賃貸借料の支払をするとした場合に市町村にあるところの価格賃貸評定委員会は、これを早急にせんと日時がありませんが-若し地主が無理に現在の勝手に取扱っている相場をとった場合には市町村当局にあるところの賃貸価格評定委員会はこれに準じなければならんということになっておりますが委員会の設定については如何なる程度まで進んでいるのでありますか。
○法務課長(牧野博嗣君) これにつきましては、この案の通り議会が修正致しましたならばこの公布と同時にすぐ府令を公布しようと、そういう準備をしております。
◎祖根宗春君 今度軍の要求によってはっきり第二条に公共と入れましたが、そうしますと公共機関が賃貸料を地主に払うことになり、予算の捻出だとかいう問題について非常にむつかしい問題が惹起すると思いますが、この公共施設の場合に個人の土地を使用する場合に何か土地収用法というものがあったと思いますが、そういう土地収用法によって公共機関が土地を収用出来るかどうか、その法的な根拠なんかについて一寸承りたいと思います。
○法務課長(牧野博嗣君) 戦後出ました特別布告によると、土地収用法でありますが、これによりますと、土地収用法につきましては地主は公共その他私用に供しようとする者との間に折合がつかなかった場合にはその土地を収用するという建前になっておりますが、飽くまで地主の意思を尊重し、そしてお互の折合がつくものにつきましてはそれによらして、どうしても解決のつかないものがあれば最後の手段として収用法が発動される訳であります。
◎新里銀三君 二、三日前の新聞に臨時中央政府の敷地の地主が集りまして、一万二千円以下では売らないということを報じているが、若し早くこの評定委員会を設置しないと、あれを以って押し通した場合には地主と借地人の間に色々な問題が起ると思いますので早く設定せんと、各学校とか、病院とか、各町村にもありますので、これを一つの例としてやられた場合には、それに右へ倣えをする感がありますので是非これを早く設定して貰ってある程度規制していかんと困ると思います。同時に軍使用地関係も大きいのでありますが、軍からも取る、同時に民間同士もお互に受払するという方針をとって行った方がいいと思います。一万二千円という新聞報道に対して如何様に当局はお考えになっておりますか、御見解を承りたい。
○法務課長(牧野博嗣君) それはただ地主の集りの申合せ程度でありまして、そういった問題は、余り不当な額の要求をした場合には、他の方法で規制出来ると思います。
◎石原昌淳君 賃貸価格の設定を早急に行なうことを要望致します。これが設定についての、その組織運営について府令を早急に発布の必要がありますので、この条例公布と同時に府令も公布して貰いたい。出来得ればこの会期中に協議会でも議員の皆にこの案を一応諮って戴きたいと思います。
○法務課長(牧野博嗣君) その案につきましては、この前の議会の全体協議会で内容を大体お示ししておきましたのですが。
◎宮城久栄君 この間は相当未解決の問題があったのです。例えば委員長は互選にした方がいいかということと、市町村長が最高責任者だから市町村長がよかろう、市町村会議員は住民の代表で信望ある人だから、それは除外してはいかんという意見などもあって纏まらなかったのですが、そういう点を詳しく伺いたいという御趣旨だらうと思います。
○法務課長(牧野博嗣君) では会期中に御趣旨に副うように致したいと思います。
◎平良幸市君 この土地条例に関連して、これが決ってから後に住民から要望されたことがありますので、その点について一つ、この条例の発布と同時に或は遅れるかも知れませんが軍使用地、個人に割当てたものを取ることが出来る。それでは戦争中に日米両軍によって相当に荒された耕地の損害は一体どうなるのか。例えば幾千坪の畠が全く池沼の状態になった、この損害の補償は国際法あたりでどういう風な恰好になっているか、その儘その地主であった人は泣寝入りするのかどうか。もう一つは戦争中から戦後にかけて軍によって作られた道路、これの使用料は一体どうなるのか。並に村は戦後出来た道路に関しましては色々村の条例あたりで村の費用を以てその修理をする、村道路の認定をするでありませうが、群島の道路認定の件はどの辺まで運んでいるか、以上三つの点について伺いたい。それから、これは村会と住民の要望でありますが、戦後新たに村役所或は広い学校敷地を村は新たに購入しなければならないところが方々あるのであります。それは地主に言わしたならば早急に取りたい。ところが村当局にとっては一度に支払うことは殆ど不可能である。こういった場合に琉銀でどうしてもこういう特殊なものに対しては長期貸付という方法が生れて来ないかと思いますが、こういった点について琉銀と折衝して貰うように考えて貰いたいと思います。
○法務課長(牧野博嗣君) 八番議員(平良幸市君)の御質問の第一、これは講和条約の内容に俟たなければならないと思います。それから第二の御質問の点につきましては工務部の方からお答え致します。
○工務副部長(西銘順治君) 道路についての御質問でありますが、道路条例によって町村道、群島道、軍用道路という種別に分れておりますが、それについては町村長、群島知事が夫々道路の認定をすることになっております。群島道路条例によりますというと、拡張された幅員に対する補償は全然規定されていないのでありまして、従ってこれに対する補償も先程法務課長から説明がありました通り講和条約後に於ける処置に俟たなければ、はっきり群島政府が補償すべきものであるかどうかということは確答は出来ないのであります。ただ道路条例の本質は道路の認定者が誰であるかということと、道路の維持管理者が誰であるかということと、その費用の負担の義務者が誰であるかということが大体道路条例の要点でありまして、それに伴うところの補償の問題は全然規定しておりませんし、又規定することも出来ないのが現在の法規上からする結論ぢゃないかと考えております。
◎平良幸市君 只今の答弁に依り講和条約の内容によって決るということは分りましたが、道路条例に依って認定すると申しましたのは、知事が群島道路は認定する。その後にしか市町村長は市町村道路を認定しない。と申しますのは、これは群島道路として指定されるのであるか、或は市町村道路にしなければならなくなるかは未だ決らん、だからそれを早くして貰わなければ困るという意味でどの程度運んでいるかという意味です。
○工務副部長(西銘順治君) 現在道路法は考究されているが、具体的に群島知事が認定した群島道路、或は、町村関係はどうなっているか分りませんが、その町村方面に於ても先程市町村道路と重複するところは群島道路が認定になったのでありますが、はっきりした指定道路というのは沖縄群島には一つもありませんが、道路維持の費用の問題で何しろ年に五千万円もの莫大なものである関係上現在群島道路として適当であるかどうかという認定は出来ない立場もあるのであります。従って軍の政策の関係から拡張された幅員に対して果してそれだけの補償をすることが出来るかどうか、又軍が補償すれば-これは立法措置として当然とらるべき措置でありますが-これも出来ない状況でありますので、現在群島道路として認定する訳にはいかないのであります。これは何遍も言葉を繰返すようでありますが、講和条約後に於て負担の問題、権限の問題などが明確になるのでなければ群島道路の認定もむつかしいのではないかと斯様に考えております。
○議長(知花高直君) これで質疑を終了致しまして討論に入ります。御意見を伺います。
◎宮城久栄君 軍からの要求は第二条第一項の割当土地の内容を具体的に説明したのでありまして本旨においては変らない、その意味からこの原案に同意を表する次第であります。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 本案原案通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者多数)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第八十一号原案通り可決致します。本日はこれで散会致しまして十月三日午前十時本会議を開きます。
  午後一時三十二分散会

 出席者は左の通り
    議 長 知花 高直君
    副議長 稲嶺 盛昌君
    議 員 与儀 清秀君
        仲村 栄春君
        石原 昌淳君
        普天間俊夫君
        宮城 久栄君
        平良 幸市君
        玉城 泰一君
        松本 恭典君
        具志頭得助君
        祖根 宗春君
        山城 興起君
        新里 銀三君
        新城 徳助君
        崎山 起松君
   群島知事 平良 辰雄君
   総務部長 幸地 新蔵君
  工務副部長 西銘 順治君
   法務課長 牧野 博嗣君

 一九五一年十月三日(水)午後四時三十五分開会
◎議長(知花高直君) 開会致します。本日の出席十八人、欠席一人であります。

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
 議事日程第二十三号
 第一、今期議会の会期延長について
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、今期議会の会期延長について

  午後四時三十六分開議
◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。日程第一の今期議会の会期延長についてを議題と致します。今期議会の会期は本日迄七日間に決定されていたのであるが、委員会付託になりました諸案件が委員会において相当慎重に審議せられ、予定通り進行しなかったのであります。依って今期議会の会期を明日迄一日間延長致したいが、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者多数)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って今期議会の会期は明日迄一日間延長することに可決致します。

◎議長(知花高直君) 本日はこれで散会致しまして、明四日午前十時本会議を開きます。
  午後四時三十八分散会

 出席者は左の通り
    議 長 知花 高直君
    副議長 稲嶺 盛昌君
    議 員 与儀 清秀君
        仲村 栄春君
        石原 昌淳君
        普天間俊夫君
        宮城 久栄君
        平良 幸市君
        玉城 泰一君
        具志頭得助君
        長浜 宗安君
        山川 宗道君
        祖根 宗春君
        山城 興起君
        新里 銀三君
        新城 徳助君
        野原 昌彦君
        崎山 起松君
   群島知事 平良 辰雄君
   副知事  山城 篤男君
   工務部長 渡嘉敷真睦君
   厚生部長 宮城 普吉君
  知事室事務局長
        宮城 寛雄君
  工務副部長 西銘 順治君
  厚生副部長 大森 泰夫君
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