戦後初期会議録

組織名
八重山群島議会
開催日
1951年06月25日 
(昭和26年)
会議名
第4回八重山群島議会(臨時会)[3]
議事録
六月二十五日

議事日程第三号
  午前十時二十分開議
 第一 議案第四十七号 財政状況公表に関する条例制定について
 第二 議案第四十八号 琉球民政府の補助金令達があった場合の予算修正を知事の専決処分事項に指定することについて
 第三 議案第四十九号 一九五二会計年度八重山群島政府歳入歳出補正予算案審議について

◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午前十時二十分)
 議案第四十七号 財政状況公表に関する条例制定についてを上程致します。

議案第四十七号
 財政状況公表に関する条例制定について
群島組織法第一六八条第一項の規定に基く財政状況公表に関する条例を次の通り定めたいので議会の議決を求める。
  一九五一年六月二十二日提出
  一九五一年六月   日
  八重山群島知事 安里積千代
群島議会議長 殿

  財政状況公表に関する条例(案)
第一条 収支予算の執行状況、財産、公債及び一時借入金その他財政に関する事項は、毎会計年度、前期分を十月に、後期分を翌会計年度四月に公表する。
第二条 知事が特に必要と認めるときは、前条の外適当な時期に公表することができる。
 附則
 この条例は公布の日から施行する。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第四十七号財政状況公表に関する条例(案)を朗読する。)
◎副知事(當銘正友君) 群島組織法第一六八条の規定に基き条例を制定したいので提案致しました。
  (一番議員石垣用中君、遅参午前十時二十四分)
◎星克君 公表の方法には口答、掲示、新聞掲載、公報登載等ありますが、何れの方法でなされますか。
○主計課長(浦崎永八郎君) 組織法第一六八条には文書を以てとありまして、文書にして掲示板に掲示します。
○議長(潮平寛保君) 外に御意見はありませんか。
◎大山眞整君 原案に賛成するものであります。
◎議長(潮平寛保君) 外に御意見がないようですから表決に入りたいと思います。原案通り可決致したいと思いますが、いかがですか。
  (全員「賛成」と云う。)
◎議長(潮平寛保君) 議案第四十七号財政状況公表に関する条例制定については、原案どおり可決致します。
 議案第四十八号を上程致します。

議案第四十八号
 琉球民政府交付の補助金令達があった場合の予算修正を知事の専決処分事項に指定することについて
琉球民政府交付の補助金の使途については、琉球民政府の指示によるものである。
然るに同補助金は、令達があってから政府予算に追加され、議会の議決を経て支出可能であり、その間相当日数を要する場合が多く、ために復興工事進捗を妨げ、一面予算執行に不利不便を招く虞があるので、琉球民政府から補助金の交付令達があったときは既定予算の修正を知事の専決事項としたいので群島組織法第三三条第一項により議会の議決を求める。
  一九五一年六月二十二日提出
  一九五一年六月   日
  八重山群島知事 安里積千代
八重山群島議会議長 殿
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第四十八号を朗読する。)
◎副知事(當銘正友君) 群島組織法第三三条には、軽易な事項は知事が専決処分することができるとあり、令達予算の使途の決定等は、重要でありますが、その内容使達等(途カ)は、明瞭に示され、変更を許されないものであり、只その予算額を入れて予算の修正をなす事は、軽易な事項と解し知事の専決処分事項に指定したいので、提案致しました。
◎大山眞整君 予算の修正は軽易な事項ですか。
○副知事(當銘正友君) 使途の指示があり、それを予算に入れて数字の訂正にとどまるので軽易な事項と考えます。
◎佐久眞長助君 それは、復興工事だけですか。没収品その他の売却代金等もですか。
○副知事(當銘正友君) 没収品の売却代金は、補助金ではありません。没収品の売却代金は指令に基いて、警察が取扱い民政官府に送り、民政官府から財政部を通じて、一般会計歳入に繰入れられるものであります。
 ここでは、復興工事並びに事務運営の補助金をさしています。
◎古見石人君 事務運営費とは復興工事のみですか。一般事務もですか。
○副知事(當銘正友君) あとで、財政部から詳しく説明させますが復興費のみでなく一般事務もあてはまると思います。
◎星克君 意見を申します。本案は否決したいと思います。
 理由、専決にしたらよいとは思いますが、軽易とは軽少で容易な事項と解します。随って問題は軽易かどうかが問題であって、数字は莫大であるし、軽易な事項とは認められない。結局数字が莫大であるので軽少な事項とは言えない。むしろ重大な事項であります。よって必要ある場合は、議会を招集し議決してやって貰いたい。
○主計課長(浦崎永八郎君) 軽易な事項でないと言われましたが、数字が大きい事は、事務上重要とは言えない場合があります。
◎石垣用中君 復興工事の進捗を阻害すること、予算の執行に不利不便という二項が提案の理由となっています。
 政府は、軽易な事項と解していますが、議会は議会の権限を拡大する意味で軽易な事項を少くしたいと思います。故に本案は否決したい。
○星克君 参与の意見にお答えします。例へば、補助金を一億円貰うのに、それに反対する人はいないでせう。然し一億円貰えば一億円分の仕事をせねばならない。政府は、復興費を貰えばそれに相当する仕事をする責任がある。それを軽易な事項とは謬見であります。先程の意見どおり否決致したい。
○副知事(當銘正友君) 復興予算は八重山にとって、重要な事項であることは認めますが、議会は軍から令達された内容を変更する権能はないと思う。
 予算額の変更ができれば重大な事項であり、その使途が変更できれば又重大な事項であるが、只予算の数字を訂正する事は軽易な事項であると思う。
◎潮平寛保君 補助金の使途は明示されていますが、原案どおりせねば、執行面に不利不便をきたすというのが提案理由になっているようですが、どういう点が不利不便か、もう少し説明して貰いたい。
○主計課長(浦崎永八郎君) 当面問題として、七月一日から軍勤務琉球人も群島政府で賃金を支払うようになり、若し人員に変更があったり昇給があって予算を修正するとき、議会の議決を経なければならないようでは不便であります。
 復興費の割当額の決定、変更等は、米国議会の権能でありまして、本議会の権能ではないと私は思います。八重山議会に内容修正の権限はないと思います。
◎佐久眞長助君 従来復興関係予算は別でしたが、これが本年から特に一般会計に計上される様になった精神は、すべて議会を通じてやれという意味と解します。
 自治法によると、専決処分は、一 急施を要する場合、二 委任事項、とあり本案は急施行要するときと思う。一週間や十日で復興工事の進捗を妨げるという事は考えられない。軽易な事項は、誰でも知っている小さな事件をいうと解する。御面倒でも議会をとおしてやって貰いたい。
○工務部長(花城永彭君) 戦前も不便な離島は特別法でやっていました。八重山は、地理的に不便であり、あらゆる面で復興がおくれがちであると思われます。政府を信用して戴いて、資材の入手その他に便宜を与えて貰う様、協賛を願いたい。
○佐久員長助君 予算の修正について、議会が否決することはあり得ない。仕事は、予め進められてよいと思います。
○工務部長(花城永彭君) 沖縄における資材は、必ずしも正式ルートからの入手ばかりではない。いつどこから資材の入手ができるかは、判らない。
◎石垣用中君 資材が入手できて初めて、計画は立てるのですか。
○工務部長(花城永彭君) 資材入手は、最初の計画と共に考慮しています。
◎石垣用中君 入手難であっても、既定予算の範囲でどんどん購入されてよいと思う。
○工務部長(花城永彭君) 入手難は数が少くて困る時と全然物が無くて入手できない二つの場合があります。
○主計課長(浦崎永八郎君) 予算に編む事は、議会を通せという意味であるとは思いますが、それは、各群島に対し、自覚をうながし認識させる為の方法であって必ず議決を要する為とは思いません。本案は政府で修正し、その旨報告することにして、本案はそのまま通過させて戴きたい。
○副知事(當銘正友君) 軽易な事項を理解する為にもう一つ説明致します。補助金には、復興費、一般事務運営費等がありますが、その内容の変更については、群島議会には権限はないのであります。
 指令中に各部に割当てられて居りまして、その各部間の調整は民政官の認可によって知事がなす権能を与えられています。それによっても議会に内容修正権のない事は、はっきりしています。数字の変更だけは軽易な事項に属するものであると解しています。
○石垣用中君 知事認可を得て調整する権能があり、議会に修正権がなければ、従って責任もなく議会は知事と共に群島民に対し、責任があるものと思うものです。
○副知事(當銘正友君) 数字の訂正が軽易というのでありまして、復興予算について、議会の協賛を経るのは方針であります。
 政府の見解の軽易な事項という事を理解して貰いたいと思います。
◎大山眞整君 本案は、群島組織法第三三条第一項により提出されたものでありますが、議会はそこまで権能はないと思う。それで議決するのはどうかと思います。
 本案については、現在のままでして置いて、後日の議会でその結果を報告した方が良いと思われますので、撤回致したいと思います。
◎星克君 復興工事の遅れるのは好みません。政府は責任をもって、どんどん仕事を進めて欲しい。
 予算の修正を知事にさせる事は、責任がもてない。若し政府が是非必要とあれば、又確信があれば、議決を経ずにどんどん進められたい。
○主計課長(浦崎永八郎君) 本案は組織法によって提出したものであり、予算の修正権を与えずに仕事の後で審議されては困ります。
◎星克君 責任の転嫁はしないが、政府は軽易な事項と云い、議会は、重大な事項と解しているが、議会としては議会の責任のもとにやりたい。
 七日間あれば、正式な手続がとれるのだから、七日間準備し、現金の支払いは、その後でもできると思う。七日間では執行面又は復興工事に不利不便を来すことはないと思う。
○副知事(當銘正友君) 復興予算の取扱いについて御説明致します。復興予算は政府で編成し民政官府を経て議会の議決を経、沖縄に提出し、査定の上令達されるのでありまして、復興予算は既に議会に於て議決を経たもので議決になった予算の数字を修正するだけは軽易な事項と解する。
 内容の変更は重大でありますが、政府でも議会でも、変える事のできない内容にふれる事なく、数字のおきかえをなすことは軽易な事項と解しています。軽易か否かについて、再検討願い本案の趣旨を理解していただいて議決をお願いいたします。
○星克君 休憩して下さい。
○議長(潮平寛保君) 休憩いたします。(午前十一時十五分)
  (休憩中既定予算により、仕事は、工事も経理面もどしもどし進める事にし、本案は撤回されてはどうかとの意見多し)
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午前十一時五十分)
○副知事(當銘正友君) 長時間に亘って本問題について、いろいろと論議されていますが、復興工事がスムースに運ぶ為には、専決処分にすることが、よりよい効果をもたらすものと思い提案したのでありますが、軽易な事項でないとの議会の多数の御見解により、専決処分事項とはなし難いのですが、只今の議会の御意見どおり、既定予算によりどしどし仕事はやり、経理面もどしどし仕事を進め復興工事の円滑な運営をはかるという事にします。
 これ以上は空論にすぎませんので、御意見どおり本案は撤回致します。
◎議長(潮平寛保君) 議案第四十八号琉球民政府交付の補助金令達があった場合の予算修正を知事の専決処分事項に指定することについては撤回になりました。
 議案第四十九号一九五二会計年度八重山群島政府歳入歳出補正予算案審議についてを上程致します。

議案第四十九号
 一九五二会計年度八重山群島政府歳入歳出補正予算案審議について
一九五二会計年度八重山群島政府左記歳入歳出補正予算案を別紙のとおり編成致しましたので議会の議決を求める。
       記
 (イ)八重山群島政府一般会計歳入歳出補正予算案
 (ロ)八重山群島政府特別会計中央企業免許事務所歳入歳出補正予算案
 (ハ)八重山群島政府特別会計中央診療所歳入歳出補正予算案
   一九五一年六月二十二日提出
   一九五一年六月   日
 八重山群島知事 安里 積千代
八重山群島議会議長 殿
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第四十九号を朗読する。)
  (主計課長(浦崎永八郎君)予算書について説明する。)
○議長(潮平寛保君) 昼食時間ですから休憩致します。
 午後は一時から開会致します。
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後一時三十分)
 午前に引続き予算の審議を致します。
◎星克君 審議の都合上、議案に対して款項目をつけて行きたいと思いますが、いかがですか。
○議長(潮平寛保君) いかがですか。
○主計課長(浦崎永八郎君) 議会の都合のよい様にして下さい。
◎議長(潮平寛保君) 休憩して款項目をつけます。
 休憩致します。(午後一時三十五分)
  (休憩中、新予算様式の予算番号を款項目になおして記入する。)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後四時三十分)
 会期を来る二十八日まで延長致します。
 二十八日は午前開会し、残った議案の審議を致します。
 本日は、これで休会致します。
  (午後四時三十三分散会)

 本日の会議に附したる事件
 一 日程第一 議案第四十七号 財政状況公表に関する条例制定について
 一 日程第二 議案第四十八号 琉球民政府の補助金令達があった場合の予算修正を知事の専決処分事項に指定することについて
 一 日程第三 議案第四十九号 一九五二会計年度八重山群島政府歳入歳出補正予算案審議について

出席者は次のとおり
群島議会議長   潮平 寛保君
   副議長   大山 眞整君
   議 員   石垣 用中君
    〃    星   克君
    〃    佐久眞長助君
    〃    古見 石人君
    〃    久部良正三君
八重山群島副知事 當銘 正友君
   会計長   宮良 永益君
   警察部長  富本  勉君
   文教部次長 亀谷 長行君
   主計課長  浦崎永八郎君
   出納長   中山 正行君
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