戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年09月22日 
(昭和26年)
会議名
立法院特別委員会 1951年9月22日
議事録
立法院特別委員会議事録

 一九五一年九月二十二日(土曜日)午後一時五十分開議

議 題
 一、立法院議員公選に関する計画案について

○委員長(城間盛善君) 開会致します。
 選挙費用は公営を決めてから決定する事にして保留しておいて、次の選挙公営に移ります。
○嘉陽安春君 現在選挙運動に余りにも多くの金がかかるために選挙界に相当の弊害があるのではないかと思う。故に立法院としては候補者個人が多くの費用を投じないでも十分公正に選挙運動を行う事が出来るようにしたい。その意味で選挙公営をある程度実現し、今後琉球の選挙の行くべき途を確立したい。それについては現行の日本の新制度を参考とすべきと思うが、経費を考慮して次の諸項目について実施方を進言する。
○吉元榮光君 次に項目を挙げて第何条参照という事を入れればよい訳ですね。
○委員長(城間盛善君) それに今の説明を加えて「(新聞広告)議員の候補者は中央選挙管理委員会が定める同一寸法で何れかの一の新聞に選挙運動の期間中一回を限り選挙に関し広告する事が出来る。」次は政見放送。
○嘉陽安春君 技術的に難しいという点も出て来るかも知れないが沖縄だけでも出来るでせうね。
○田畑守雄君 ここだけでもいいからやったらいいですよ。
○委員長(城間盛善君) 委員会で決ったからその通りしませう。第九条と大体同じように書いていいんじゃないのですか。
○嘉陽安春君 議員候補者に対し選挙運動の期間中一回宛その政見放送をする機会を与える。
○委員長(城間盛善君) 次は経歴放送ですが、これは第十条をそのままもって来ますか。
○嘉陽安春君 これは中央選挙管理委員会がやるのですか、放送局がやるのでせう。
○委員長(城間盛善君) 「中央選挙管理委員会は琉球放送局と協議の上、選挙運動の期間中、議員候補者の氏名、年齢、党派別、主要な経歴などを選挙人に周知せしめるため放送せしめるものとする」これでいいでせうね。
 次は「立会演説会」ですが、「市町村の選挙管理委員会をして議員候補者の政見を選挙人に周知せしめるため公営の立会演説会を開催せしめるものとする。その具体的方法については日本の新制度を参考にされたい」
○嘉陽安春君 結局日本のものを参考にしてくれという事は後でひっくるめてやった方がよい。
○吉元榮光君 運営方法は日本のものを参照にされたいという事をいったらいいでせう。
○嘉陽安春君 第十九条の「公営施設使用の個人演説会」というのは出ていませんね。これは是非要りますよ。日本の制度ではこれ以外ではやってはいかん事になっているのです。
○委員長(城間盛善君) 個人演説会は入れる必要がありますね。
 第十九条をもって来て「3、前各項の外市町村選挙管理委員会の指定する施設」を入れて、第二項は削る事になっていましたね。
○大濱國浩君 指定された以外には金を出して何処でもやるという訳にはいかんのですね。
○嘉陽安春君 足並を揃えようというのが趣旨ですから。
○吉元榮光君 第二項は生かして「前項の施設の使用については一回に限り無料にする」という風にしたらどうですか。
○委員長(城間盛善君) 第二項は入れませうね。これは見出しはどうなりますか、個人演説会でいいでせうね。
 次は「選挙公報の発行」ですが…。
○田畑守雄君 その第二項はどういう場合があるのですか。
○委員長(城間盛善君) 第二項は抜こうじゃありませんか。
○田畑守雄君 大島の離島では印刷機もないしどうしても謄写刷でなければいかん。ところがそれを頼むには古仁屋か名瀬にしなければならぬから天候が悪い時には十日も二十日も行く事が出来んという場合がある。そういう解釈だったら置いた方が有利だと思う。
○委員長(城間盛善君) 十五日前に原稿を締切るという事を入れますか。
○田畑守雄君 事務的な問題になるのではないか。
○吉元榮光君 期日ははっきりしておいた方がいいと思いますね。
○委員長(城間盛善君) 中央選挙委員会に委せても、十五日前という事を決める事は出来ない筈ですよ。
○吉元榮光君 こっちの意向を反映せしめた方がいいと思う。十五日前という事をはっきり出して…。
○委員長(城間盛善君) 3として入れませうね。「議員の候補者が選挙公報に氏名、経歴、政見などの掲載を受けようとする時は選挙期日前十五日迄にその掲載文を具して地区選挙管理委員会に文書で申請しなければならない。」
 次は葉書による「立候補挨拶状の無料配付」。
○與儀達敏君 四千枚では少いですね。少くとも選挙区の有権者の半分はなければいかんのじゃないかな。
○委員長(城間盛善君) 極めて特殊な人に送るという事じゃないのですか。
○與儀達敏君 理想は有権者数ですが、少くとも有権者数を定員で割った位の数は必要ですね。
○嘉陽安春君 四千とか五千とか限定した方が有利じゃないですか。金のある人もこの程度で我慢して貰うという事になって…。
○委員長(城間盛善君) 公報だけにしたらどうですか葉書をやめて…。
○嘉陽安春君 そうなれば郵政局長の証言を得た問題は殆ど解消してしまうのですよ。今までの観念は郵便局を通らない制度でせう。それを郵便局を通してでなければ配れないという原則--そこに機会均等が出来て来る--があって、それからこれが生れて来たのですよ。それを皆が有権者の数を出して郵便局を利用した場合に果して受理できるかどうかも問題になりますね。
○委員長(城間盛善君) 公報と同様に世帯単位に出来んかな。
○嘉陽安春君 どっちにしても枚数の限定でせう。枚数で限定して機会均等を与えようとするのが原則ですから。
○委員長(城間盛善君) 五千枚位でどうですか。
○與儀達敏君 六千枚位ではいけませんか。
○吉元榮光君 人口三万に一人だから、有権者を半分の一万五千と見てその三分の一ですね。
○田畑守雄君 五千枚もあったらいいのじゃないですか。
○委員長(城間盛善君) 五千枚に決めませうね。公営の項目はこれだけですね。
○嘉陽安春君 その次に「前各号の公営実施上必要な技術的な規定については日本の公職選挙法の規定に準じ中央選挙委員会をして制定させて貰いたい」を加える必要がありますね。
○委員長(城間盛善君) 次にこの公営実施に伴う、選挙運動の制限ですが、これをどう扱いますか。これだけ公営をする以上は、選挙運動に制限を加えなければなりませんが、これをどう扱いますか。
○嘉陽安春君 問題はポスターと運輸機関ですね。
○委員長(城間盛善君) 選挙運動の第一、第二項をここに持って来て、第三項を選挙公営に伴う選挙運動の制限としたらどうですか。
○嘉陽安春君 「尚、前項選挙公営の実施に伴い、左の諸事項について制限規定を設くべきである」として次に列挙したらいいでせう。文句は第一項、第二項をそのまま入れた方が良さそうですね。
○大濱國浩君 一台で間に合わんという場合にはいくらでも借りられる訳でせう。
○嘉陽安春君 借切ってはいかんのですよ。専用ではいかん訳です。自分で持ちきりで使うのは証明書を貼ったもの一台しか使えない。然しバスに乗って行くとかいう様な事は自由です。
○委員長(城間盛善君) 第三条はどうですか。
○嘉陽安春君 第三条は要りませんな。第四条は必要でせうね。
○委員長(城間盛善君) 第四条の第一項中の「前条第一項、第四号」を削ってそのまま入れませうね。
○大濱國浩君 第三条も必要でせうね。ポスター以外には出来んということを書いて貰わなければいけませんよ。
○嘉陽安春君 必要の限度を超えた以外の掲示をやってはいかんというのでせう。
○委員長(城間盛善君) bとして「選挙事務所選挙運動の為に使用される自動車、拡声器、又は船舶及び演説会場の表示をする以外に立札、提灯、及び看板を使用することは出来ない」と入れて、cに第五条の第一項、dに第五条の第二項をそのまま入れませう。ポスターは以上第四項でいいですか。
○委員長(城間盛善君) ポスターは六百枚でいいですか。
○田畑守雄君 地区選挙管理委員会の検印となると非常に不便な所がありますね。町村でやって地区に報告する訳にはいかんのですか。
○與儀達敏君 それは地区以外には出来ませんよ。
○嘉陽安春君 第二十三条はどうですか。この点微妙な問題になって来るのは愛楽園ですよ。これを入れるか入れないかの問題になるのですよ。この条文は強いてこう禁じなくてもいいと思うのですがね…。
○田畑守雄君 参議院全国区選出議員の候補者のポスターについては本人の申請により全国区選挙管理委員会が承認した場合は、都道府県の選挙管理委員会の検印を受けることが出来るというのがありますが、地区選挙管理委員会に申請をして、その承認を得て町村の選挙管理委員会でさせる訳にはいかんですか。
○大濱國浩君 候補者に申請をさせてこの村にはいくら、この村にはいくらという風に希望して検印を受けさせるという方法はあると思うのですよ。
○嘉陽安春君 中央選挙管理委員会が規定を設ける時に委ねようじゃないですか。
○嘉陽安春君 第二十三条はいらないと思う。これは公営に関連しているというよりは、自動車の中とか病院とかでは騒がないでくれといった趣旨でせう。そういった場合に個人の病院には行かないだろうし、沖縄の場合は愛楽園が問題になって来るが、そこに行くなということを言う必要は無いと思うから第二十三条は寧ろ進言しないことを希望します。
○委員長(城間盛善君) 第二十三条は進言しないことにします。これで公営問題に関する選挙運動の問題は終りましたが、選挙運動の附記は削りませうか。次は選挙費用になりますね。
○嘉陽安春君 公営の費用は政府が支出するが、但し分担金も公営の一項目になると思いますので分担金の問題を決めてから選挙費用は一人当りいくらと決めたらいいと思います。
○委員長(城間盛善君) 選挙費用の算定はまず公営費の分担金を決めてからにしませうか。次は選挙管理委員会ですが、どうですか。これはこの前の委員会で話合ったことですが、然し疑問に思うのは第三項に選挙長の説明をつけてあるが、これでいいか或はつけない方がいいのか。
○嘉陽安春君 選挙長の説明は後にして、「立候補届出の受理、当選者決定、選挙会の開催、及び当選証書の発行の責任は地区にある」ということは明かにしなければいかんでせう。「……の責任は地区選挙管理委員会に属する」。
○委員長(城間盛善君) 第四項は「……選挙長になっているが、第三項の趣旨に従い地区選挙管理委員会の委員長が選挙長たるべきである。この点を明示して責任の所在を明かにして貰いたい」。
○嘉陽安春君 「中央選挙委員会は細則の制定及び地区選挙管理委員会との連絡斡旋などの任に当り、市町村選挙管理委員会は地区選挙管理委員会の命を承けて投票及び開票を行うように定めて貰いたい」。
 それから二の所で中央委員会の任命方法を書いてあるが、群島を別けた場合のことも書いておく必要はありませんか。「但し一群島一選挙区の場合に於ては現存の群島選挙管理委員会が同時に立法院議員の地区選挙管理委員会となる」。
○委員長(城間盛善君) 選挙管理委員会はこれでいいでせうね。
 次は公営費の分担。
○調査員(平良惠任君) 公営については、新聞広告、立会演説会、選挙公報、葉書による挨拶状の無料配付、この経費を計算した訳です。
 新聞広告費  四六、〇〇〇円
 立会演説会費 一九〇、〇〇〇円
 選挙公報  一二一、五八四円
 挨拶状   二七二、八〇〇円
 計     六一五、三〇〇円(ママ)
○嘉陽安春君 これは公営の所に持って来て、以上の公営費は大体どれ位要る。その中からいくらかを分担させることになるのでせう。
○吉元榮光君 選挙公営の費用として設けてもいいじゃないですか。
○委員長(城間盛善君) 選挙運動はLにしてKを設けてK選挙運動の財政問題、1、前項Jの選挙公営の費用は大体百万円と見積られる。
 2、これに対し「候補者は一人当り五千円を立候補と同時に地区選挙管理委員会に納付せしめるものとする」。次は選挙運動の費用が残っておりますね。公営の場合は群島選挙法で決めたものよりも当然少くなければいかんでせうね。
○吉元榮光君 公営費の百万円を有権者四十四万で割ったらいいですよ。二円二十七銭、一人当り。即ち公営費は約二円二十五銭位になる。それを現行の五円から引いた場合、約三円位になりますね。
○田畑守雄君 群島議会議員の場合は小選挙区制になったから五円でも出来たが、今度の場合はそうはいかんですよ。
○嘉陽安春君 実際は五円以上になっているが、今度公営をやることによって実質的に五円の範囲に抑えられるということになるのですがね。諮詢委員会で去年審議した時には知事の場合は二円五十銭だったのでせう。群議が五円、それが一律に五円になってしまったのです。
○與儀達敏君 三円でいいでせう。
○委員長(城間盛善君) 三円にしませうね。それから「団体」というのはどうしますか。
○嘉陽安春君 集成刑法によれば政党でなければ団体の政治活動は出来ないことになっているが、選挙法の第七十二条には「団体」という言葉があって運用の混乱を生ずる恐れがある。集成刑法の趣旨に従って削除して貰いたい。
○委員長(城間盛善君) 中間報告は要りませんか。第三項になる訳ですね。
 選挙運動の費用の中間報告の期限は、選挙期日前五日前に改めて貰いたい。(第六十九条第三項)
○與儀達敏君 選挙費用の補助は要りませんか。
○嘉陽安春君 全体をひっくるめての備考になるでせう。
○委員長(城間盛善君) 「立法院議員の選挙事務に要する費用は中央委員会のみならず、地区選挙管理委員会及び市町村選挙管理委員会の費用は中央政府に於て負担すべきものである。但し初回の選挙に於ては民政府の特別補助金がなければならない」総額は書きますか。
○與儀達敏君 それは出さんでいいでせう。
○委員長(城間盛善君) 議員定数決定の理論的




 ※原本一頁欠落

名となり総計が三十名となる。
○嘉陽安春君 三万人に一人とした場合にコンマ以下の操作によって地域制を加味するというのですね。
○吉元榮光君 三十一名というよりは、沖縄を二十として大島八、宮古・八重山はその通り--切上げて--三十三名にした方がいいと思いますね。
○與儀達敏君 そうすると六・三・一・一の原則は、破れるよ。
○吉元榮光君 沖縄は二〇・一四五になるから二十名として、第六区の四・七に一名加え、それから五区が三・八四ですから一名を加える。つまり二名は端数の多いところに順々にくっつけて行く。
○嘉陽安春君 沖縄内部としての切捨、切上は理論が立ちますが。
○吉元榮光君 二人しかありませんから、上から順に切上げて行くのです。
○與儀達敏君 十八と八、三、二と押えた方がいいんじゃないですか。第一試案がいいんじゃないですか。
○嘉陽安春君 全琉的に説明のつくのは結局人口割でせう。
○吉元榮光君 六・三・一・一というようなものは加味が非常に多くなっているのです。
○嘉陽安春君 地区制を設けて地区の人口比例にすべきだが、一応群島単位で数の比率を考えて見た。沖縄は選挙区を分けたが、そうすればどうしても沖縄は有利になりますよ。それで沖縄は選挙区に分けたが、一応は合せて群島として考えたということになるのでせう。
○吉元榮光君 多いところが多少譲ったということになるのですよ。余り人口割ばかりで行くと沖縄と他の差がひどくなって行く。それだけで行くと沖縄で定足数を取るのですよ。それでそういうことはいけないから多少そこを勘案してやろうというのです。
○委員長(城間盛善君) 議員定数は三十一名としませうね。選挙区を分けた理由をどこかに説明しなければならんと思いますが…。
○吉元榮光君 六十万人を一地区としてやる場合には選挙に混乱を来すので多少大きいところは、地域制を加味させるため商業地帯、軍作業地帯、農村地帯などに分けた…。
○委員長(城間盛善君) アメリカの頭では細かく切ろうとする考があるのでせうから、むしろ拡大する理由を述べなければいかんと思う。
○吉元榮光君 二を加味して勘案したという風にしたらいいと思います。
○委員長(城間盛善君) これは形式上はメッセージ第三号に対する答申になるのですかね。
○嘉陽安春君 これに対する返事は矢張り軍宛に送って、メッセージ第三号については主席宛に文書を送らなければいかんのじゃないかな。
  (午後七時五十分散会)

  出席者
   委員長  城間 盛善君
   委 員  吉元 榮光君
    〃   嘉陽 安春君
    〃   與儀 達敏君
    〃   田畑 守雄君
    〃   大濱 國浩君
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