戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年09月19日 
(昭和26年)
会議名
立法院特別委員会 1951年9月19日
議事録
立法院特別委員会速記録

 一九五一年九月十九日(水曜日)
 午前十時三十分開議

議事日程
 一、参議公選計画について

○委員長(城間盛善君) 開会致します。
○田畑守雄君 地域代表という意味で各群島から一人宛出すという問題に対しては沖縄側はどうお考えですか。
○吉元榮光君 我々としては理論がたって、沖縄の世論もそうでなければならんという一つの理論をたてて貰いたい。或る程度の犠牲は覚悟しても、人口割でなしに一つの方法を案出して行くにはそれを纏める、理論づける方法が必要となって来る。
○田畑守雄君 各群島が一選挙区であれば考えやすいのですが、選挙区が分れるとなると--沖縄が四地区、大島に於ては二地区或は三地区--その一人の代表の振割りというのをどういう風にやるか、それは別個の選挙方法を持って来なければいかん。それには先ず選挙区毎に先ず頭から一人宛を抜いて、形の上では選挙は同一方法によってそのうちの一人は地域代表という形で持って行く、そうした後で人口で割当てたいという気持もある訳ですが…。
○委員長(城間盛善君) 世論を聴くと小さくても困る。大きくても困る。その中間を行きたいという事であるが、一地区を大体十万としてそれに対して地域代表制を加味して一人宛とってその後は残りの人口を三万人か二万人で割って行くという事を考えて行った方が無難に行くのではないかという考えですか。
○嘉陽安春君 矢張り人間の数は群島として考え、ただ選挙をするのに沖縄は選挙区を分けてやった方がいいという議論にはならんのですか。
○吉元榮光君 はじめから人口割を主張することと各群島に一人宛抜いて行くか、或は十万以下の選挙区にするという建前で選挙区毎に一人宛出して行くかという三つの方法があると思う。
○與儀達敏君 選挙区毎にというと差をますます大きくして行くだけですよ。
○田畑守雄君 人間を主体として行くということになればどうしても大きな選挙区は人間が余計いるので余計代表が出るというのは当然の建前ですが、それを出来る限り緩和して行きたいというのが気持なんです。
○與儀達敏君 それよりも早く選挙区を決めて行った方がいいと思いますね。十万なら十万単位に選挙区を決める…。
○委員長(城間盛善君) 群島別だということははっきりした訳ですね。その場合でも先ず代表の出し方ですが、これは人口割で行くという行き方--アメリカの下院のやり方、人口何万につき一人という割で一律に行く--それでは余り差があり過ぎるから、それとは別個に、アメリカの上院のような行き方--小さいところも大きいところも平等に出している--この二つをくっつけて行こうという訳ですね。
○田畑守雄君 各群島に一人という問題はどういう風にして、一人を選ぶかという問題になって来る。
○嘉陽安春君 これは数字の問題であって一人を地域代表とせずに、この群島は何名、と決めた場合にその中で議員の質を区別するということは出来ない。一応人口比例で各群島を出してこれではいかんという数字的結論が出れば、一人宛増やすという風にすべきであって、その選挙をかえるということは出来ないと思う。要するに加味するかしないかの問題ですよ。
○委員長(城間盛善君) 各群島別に一定の基準に拠って人員を出して見て、その場合に余り差がひどすぎるということになれば、各群島に一人宛平等にくっつけて行く、そのくっつけたものを代表者として群島別に割って行くというのですね。
○田畑守雄君 加味して下さるという建前によって下さるならば大島は二選挙区にしませう。
○與儀達敏君 先ず人口割で行って各群島のならしは人員を決める場合に加味して行くということにして、選挙区を決定して下さい。
○嘉陽安春君 別の見地から申上げると今何万に何名にするかという考え方で進んでいるが、諮詢委員会が成立した時には六・三・一・一というのが出ているでせう。これは人口の割になって、大体十万に一人ということになる--そこに加除があるのですが--が、それに定員の面の妥当性、地域的な面からいっての妥当性、もう一つは六・三・一・一の再検討とこの四つの原則を混ぜなければいかんと思う。
○委員長(城間盛善君) 先ず選挙区を八つに分ける。その選挙区毎に一定の人口比率によって代表数を決めればあとで各選挙区毎に地域代表を決める訳ですか。
○與儀達敏君 選挙区毎に加えたら開きがますます大きくなる。人口比率の上に更に平等に一名宛加えるとなると選挙区の多いところは多く加えられるから…。
○嘉陽安春君 一応人口比例で数字を出して見て、その出たものについて再検討しなければならんのじゃないかな。
○委員長(城間盛善君) その場合には選挙区は動かすべからざるものとして検討する訳ですね。
○吉元榮光君 一応人口は出して見ようではありませんか。
○田畑守雄君 先ず人口何万に一人かということを考えて見ませう。
○委員長(城間盛善君) 人口三万人に一人とした場合は…。
(選挙区別)
 (沖 縄)一区 四・七九
 ( 〃 )二区 三・五八
 ( 〃 )三区 六・五七
 ( 〃 )四区 五・一七
 (宮 古)五区 二・五五
 (八重山)六区 一・四四
 (大 島)七区 四・四
 ( 〃 )八区 二・九九
(群島別)
   沖 縄  二〇・一一
   大 島   七・三九
   宮 古   二・五五
   八重山   一・四四

(全体の比率)
   沖 縄   六・七
   大 島   二・一
   宮 古   〇・八五
   八重山   〇・四七

 結局は六・三・一・一になりますね。沖縄のコンマ以下を切捨て、後を切上げたら、結局そうなりますよ。
○嘉陽安春君 だから加味すると云っても結局その程度になるのじゃないかというのですよ。
○委員長(城間盛善君) 選挙区毎に沖縄の場合は切捨て他は切上げるとしたら、
 一区 四・七  四
 二区 三・五  三
 三区 六・五  六
 四区 五・一  五
          }十八名
 五区      三
 六区      二
          }五名
 七区 四・四  五
 八区 二・九  三
          }八名
        計三十一名
○田畑守雄君 区の呼び方はどういう風にしますか。
○吉元榮光君 北から呼びませう。
○委員長(城間盛善君) 経費はどうなりますかな、三十一名で…。
○與儀達敏君 一人十五万円として計算しておけばいい筈です。四百五十万円位…。
○吉元榮光君 大島一区は十万以上だから端数切捨ということにすればどうかな、それでちょうど三十名になるし…。
  (午前十一時四十五分散会)

  出席者
   委員長  城間 盛善君
   委 員  與儀 達敏君
    〃   吉元 榮光君
    〃   大濱 國浩君
    〃   嘉陽 安春君
    〃   田畑 守雄君
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