戦後初期会議録

組織名
八重山群島議会
開催日
1951年05月28日 
(昭和26年)
会議名
第3回八重山群島議会(定例会)[2]
議事録
一九五一年五月二十八日(月曜日)午前十時十五分開議

議事日程第二号
  午前十時十五分開議
第一 議案第三十九号 八重山群島政府職員旅費支給条例一部改正について
第二 議案第四十二号 八重山群島政府手数料徴収条例一部改正について
第三 議案第三十六号 八重山群島政府職員定数条例一部改正について
第四 議案第四十三号 八重山群島財産条例制定について

◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午前十時十五分)
  (書記(平得泰次君)出席議員及び参与の報告をなす。議員六名出席、一番議員遅参、参与十三名出席)
◎議長(潮平寛保君) 「議案第三十九号八重山群島政府職員旅費支給条例一部改正について」を上程致します。
  (書記(平得泰次君)「議案第三十九号八重山群島政府職員旅費支給条例一部改正について」を朗読する。)
○佐久眞長助君 提案者の説明をお願いします。
◎総務次長代理(田盛正雄君) 本案の提案理由をかいつまんで、簡単に申しあげます。本案中特に御説明申しあげねばならぬ点は、第三項であると思います。本条例を制定した際は第十八条中の「の二倍」とは、旅費額と同額の手当を支給すると云う意味であったと思います。ところが、条文に表現された「の二倍」となると結局実際支給額が旅費額の三倍となります。
 手当と旅費の合計額が、即ち旅費額の二倍に相当する額を手当も含めて支給すると云う制定の趣旨であるに対して、現在ではその趣意にもとる事になり、従って予算額にも狂いが生ずる結果になりますので、本案を提案した訳であります。その他改正事項については説明申しあげる迄もありませんので省略致します。
◎佐久眞長助君 この旅費支給条例を定めた当時は、優遇の意味で決めたと思う。赴任するときは、経済的に苦しいので、それを補助する為決めたものです。今これを改正するのは、予算が足りないのでその為にするのですか、或は俸給をやっているから支給しないでもよいと云う考へですか。
○会計長(宮良永益君) 赴任旅費は普通旅費の二倍を支給すると考へていますが実際に支給するに当って三倍以上になるようになり改正の必要を感じています。
  (十時三十分一番議員(石垣用中君)遅参)
◎佐久眞長助君 私は職員が喜んで、何処へでも赴任するようにやるべきだと思います。転任の時は、実際に普通旅費の二倍では何にもならない。せめて三倍にでもなれば喜んで何処でも行けると思う。これは優遇の意味で決めた事だと思います。三月に決めて、五月に改正するのは、法そのものを軽んずる事になっているではないですか。
○会計長(宮良永益君) その時は、距離の最も遠い与那国を基準として算定したと思います。
 その当時は一千二百円程度あれば大丈夫だと云う事であったと思いますが、前に決めたとおり即ち、前の条文どおりになりまずと相当な額になり予算にくい込む事になります。
◎星克君 二倍にして支給すれば相当多額になり予算にくい込むと云う事ですが、今度の教員異動は予算を考慮に入れずに行ったのですか。
○文教部長(宮城信勇君) 異動は予算とにらみ合せ、二倍の赴任旅費として行いました。
◎佐久眞長助君 三月の議会に於てこの条例を定めるときは、普通旅費の二倍として規定したと覚えています。今になって改正とはどうかと思います。
○会計長(宮良永益君) その時は普通旅費の二倍となっていますが、実際は三倍以上にもなる状態です。
◎佐久眞長助君 戦前沖縄県教職員の赴任旅費は普通旅費の三倍でした。現在は物価も高いし、生活にも相当に窮屈であります。尚赴任の時は予期せざる経費がかかる故に何処へでも喜んでゆける様にするのが本法の趣旨であると思います。この度の教員異動は、予算とにらみ合せてやらないで広範囲にやったので予算に不足をきたしたんではないですか。
○副知事(當銘正友君) 本法の趣旨は赴任者に経済的負担をあまり掛けない様にした積りです。普通旅費の二倍にすれば幾分なりでも経済的負担を軽減でき得ると云う点であると思う。形式上は二倍となっていますが実際の支給は三倍以上になる状況です。
◎星克君 二倍と云う数字は必要であり適当だと思います。遠近により査定することは、公平でないと云うので、二倍にしたと記憶しています。
 たびたび条例を改正する事は、条例としての権限(威カ)はなくなると思う。それでそれはそのままにして、予算のくい込みは別に何らかの方法を講じて貰いたいと思います。
○副知事(當銘正友君) 赴任者に過重の負担を掛けないと云うのが本案の趣旨であります。そう云う意味で倍額にしたと思う。別に何等かの方法でやると云うのは、無理が生ずると思う。故にそのままで決めて貰いたい。
◎大山眞整君 旅費の支給条例では、知事の権限に属するものがあると覚えています。事情により一様に支給できない場合もあり知事権限でもって一割減とするか、或いは、その他の事情によって支給額を勘案し、知事権限でやる様になっていると思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午前十時四十五分)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午前十一時三十分)
 第十八条の二倍とは、現実に支給する旅費でなくて、順路により順調に旅行する場合の普通旅費額を基準とする。第八条を活用する事として修正可決します。
 「議案第四十二号八重山群島政府手数料徴収条例一部改正について」を上程致します。
  (書記(平得泰次君)「議案第四十二号八重山群島政府手数料徴収条例一部改正について」を朗読する。)
◎経済部長(眞榮田登君) 前に議決になりました手数料徴収条例中畜産関係、漁業関係が落ちていましたので、追加提案致しました。手数料は県例規の二〇倍を計上してあります。
◎星克君 漁業法第五条による専用漁業を制定する予定ですか。或いは免許は許可されますか。
○経済部長(眞榮田登君) 近い将来に琉球を一円とする許可制も設けられる筈ですが取敢えずこれだけを制定しておきたいと思います。
○知事(安里積千代君) 見通しとしては、中央政府で農林省をして琉球に適応する規定ができると思います。その時は、本規定は削除される事と思います。
○経済部長(眞榮田登君) 漁業法の発布は八、九月頃だと思いますが、それ迄の処置として一応は計上してあります。
◎大山眞整君 専用漁業権の分割について御説明をお願いします。
○経済部長(眞榮田登君) 分割は地先の場合に於ておきて来ると思います。
◎大山眞整君 地先水面専用の漁業権の処分について御説明をお願いします。
○経済部長(眞榮田登君) 専用漁業権の分割は二〇年となっています。
◎大山眞整君 八重山に於ては専用漁業権の所持者はありますか。
○経済部長(眞榮田登君) 石垣市水産組合があります。
 専用漁業権は個人には附与されません。組合、団体のみに附与されるものであります。
◎大山眞整君 離島などでは海人草の養殖をしていますが、その場合はどう云う風にしていますか。
○経済部長(眞榮田登君) 区画等でできる訳であります。
◎大山眞整君 先に公有水面の使用料徴収条例を規制(制定カ)したのですが、その面積によって算定するのですか。
○経済部長(眞榮田登君) これは、公有水面とは全然別個のものです。
◎星克君 区画と専用漁業権をはっきり別々にしてはいかがですか。
○経済部長(眞榮田登君) それは、内容の条文にはっきり記されていますので、規定にあるのを適用して、そのまま置くのがよいと思います。
○星克君 全琉を統一した漁業法ができるので、はっきり別々にした方が良いと思います。
○経済部長(眞榮田登君) 新しく全琉的に統一された規定ができればもう一度改めたいと思っています。それで、そのままに致したいと思います。
○議長(潮平寛保君) 別に御異議はありませんか。
◎大山眞整君 専用漁業権については、実際に願出はありますか。亦許可されていますか。
○経済部長(眞榮田登君) 専用漁業権については願出はありますが、内容については申しあげかねる所があります。その外はありませんが将来を見通して提案致しました。
◎大山眞整君 専用漁業権ができると思って提案したのですか。
○経済部長(眞榮田登君) それは先を見通して提案致しました。手数料により政府の財源を増すという意味だけではなく政治として先を見越してやったのであります。
 尚経済部としては、全琉統一的な漁業(法脱カ)の発布方にも努力致します。
○星克君 第一条から逐次審議してゆきたいと思います。
  (第一条より逐次項を追って訂正す。)
◎議長(潮平寛保君) 修正どおり可決致したいと思います。御異議はありませんか。
  (全員「異議なし」と云う。)
◎議長(潮平寛保君) 「議案筮四十二号八重山群島政府手数料徴収条例一部改正について」は修正可決致します。
 休会致します。(正午)
  (昼食)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後一時四十分)
 「議案第三十六号八重山群島政府職員定数条例一部改正について」を上程致します。
  (書記(平得泰次君)「議案第三十六号八重山群島政府職員定数条例一部改正について」を朗読する。)
○文教部長(宮城信勇君) 学校は廨庁としてその職員の定数を決めて戴きたいので提案致しました。
◎知事(安里積千代君) 現在の刑務所の人員では作業及び夜間の勤務等に手不足を感じ増員は是非必要であり、近日中に日本へ刑務講習にやる様になっており、又、病欠その他により欠勤の場合は、ますます不足を来して困りますので、本案を提案した次第であります。
◎大山眞整君 刑務所は二人の増員ですか。
○議長(潮平寛保君) そうであります。
◎大山眞整君 囚人は何人ですか。
○知事(安里積千代君) 現在一九名であります。
◎大山眞整君 それでは職員一人につき囚人二人半の割合ですか。
○知事(安里積千代君) それはそう簡単に割算ではいきません。それは設備の問題もありますが、現在では不完全であり、特に夜間等は勤務が過重であります。
 設備の件は政府で考慮致しますが、現在は便所も房内になく便所に行く為には房から出る事になり、一歩そこを出れば広場であります。そこに於て暴れ廻る事になり事故防止の為に増員は必要であります。
 御参考迄に申しあげますと先日も囚人が、自分の小指を切断した事件等もあり、それも看守の少ない点も基因しています。尚作業に出動する場合等は、是非増員は必要であります。
○大山眞整君 しばらく休憩して刑務所の現場を見たいと思います。
○知事(安里積千代君) よろしゅうございます。そして設備の事等も考へて下さい。
○文教部長(宮城信勇君) 学校職員のものから先に決めて戴きその後で刑務所を見て下さい。
○星克君 学校を政府の廨庁と見るのは、少々おかしいと思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午後二時一分)
  (休憩中に刑務所巡視)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後二時四十分)
 刑務所の二人増に対して御異議はありませんか。
◎大山眞整君 刑務所の現状も見聞したし、その説明により逃亡者の出る事等もわかりましたので、その増員は必要だと認められますので、刑務所の件は提案どおりに賛成致します。
◎議長(潮平寛保君) 外に御異議はありませんか。
  (全員「異議なし」と云う。)
◎議長(潮平寛保君) 議案第三十六号八重山群島政府職員定数条例一部改正については、第三条から全文削除して修正可決致します。「議案第四十三号八重山群島財産条例制定について」を上程致します。
  (書記(平得泰次君)「議案第四十三号八重山群島財産条例制定について」を朗読する。)
◎財政部次長(石垣直文君) 群島組織法第一三七条により本案を上程致しました。
 御審議をお願い致します。
◎大山眞整君 条例案第三条の説明をお願い致します。
○財政部次長(石垣直文君) 第三条は買入れを指しています。
○議長(潮平寛保君) 休憩懇談致します。(午後三時)
  (休会中に財産条例について審議)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後四時十五分)
 明日は午前十時から残った議案を審議致します。
 休会致します。

 本日の会議に付したる議件
一 日程第一 議案第三十九号 八重山群島政府職員旅費支給条例一部改正について
一 日程第二 議案第四十二号 八重山群島政府手数料徴収条例一部改正について
一 日程第三 議案第三十六号 八重山群島政府職員定数条例一部改正について
一 日程第四 議案第四十三号 八重山群島財産条例制定について

 出席者は次のとおり
  議員 全員出席
  参与 全員出席
上へ戻る