戦後初期会議録

組織名
八重山群島議会
開催日
1951年05月25日 
(昭和26年)
会議名
第3回八重山群島議会(定例会)[1]
議事録
第三回八重山群島議会(定例会)会議録

一 会期
  一九五一年五月二十五日午前十時十分から
  一九五一年六月  二日 時 分まで

二 出席議員
  議  長  潮平 寛保君
  副議長   大山 眞整君
  議  員  石垣 用中君
  議  員  星   克君
    〃   佐久眞長助君
    〃   古見 石人君
    〃   久部良正三君

三 議事参与
  群島知事  安里積千代君
  副知事   當銘 正友君
  秘書長   仲程 長宗君
  経済部長  眞榮田 登君
  文教部長  宮城 信勇君
  工務部長  花城 永彭君
  会計長   宮良 永益君
  総務部次長代理
  地方課長  田盛 正雄君
  経済部次長 石垣 英政君
  財政部次長 石垣 直文君
  厚生部次長 三島 保夫君
  警  部  天久 長政君
  税務署長  西石垣正行君
  主計課長  浦崎永八郎君

四 書記
  書  記  平得 泰次君
    〃   宮良 安宗君

第三回八重山群島議会会議録(定例会第三号)

一九五一年五月二十五日(金曜日)午前十時十分開議

議事日程第一号
  午前十時十分開議
第一 議案第三十四号 知事及び議員の給与条例一部改正について
第二 議案第三十五号 寄附採納について
第三 議案第三十七号 厚生部名蔵嵩田出張所古材売却処分について
第四 議案第三十八号 厚生部名蔵嵩田出張所建築について
第五 議案第四十一号 歳入歳出予算外の義務負担をする行為に対する権限を知事に委任することについて
第六 議案第四十号 監査委員費用弁償並びに給料支給条例について

◎議長(潮平寛保君) 開会致します。
○書記(平得泰次君) 出席議員の報告を致します。
   二番議員  星   克
   三番議員  潮平 寛保
   四番議員  佐久眞長助
   五番議員  古見 石人
   六番議員  大山 眞整
   七番議員  久部良正三
 以上六名出席であります。
 参与の報告を致します。
  (参与の報告をなす。)
○議長(潮平寛保君) 会期を決めたいと思います。
 二十六日は米琉親善日で公休であり、二十七日は日曜日でありますのでその両日休んで二十八日、二十九日としてはいかがですか。
○六番議員(大山眞整君) 今度の案件は少いので二十八日、二十九日の両日あれば、結構だと思います。
○五番議員(古見石人君) 異議なし。
◎議長(潮平寛保君) 別に御異議はない様ですから、二十九日迄と決定致します。署名議員は、五番議員(古見石人君)六番議員(大山眞整君)に決定致したいと思います。
○四番議員(佐久眞長助君) 賛成。
◎議長(潮平寛保君) 署名議員は五番、六番議員に決定致します。
◎知事(安里積千代君) 前議会から今日迄の政務の概要につき御報告いたします。経済部関係に於て、前議会で御賛同を得ました籾買上は一般の支持を受け、農民層に歓迎せられ、今までに、百七十万円予約金として出してあります。
 アイレス颱風による被害は、全郡的に見て約一六%、その他病虫害や与那国に於ける前の水害等の被害率六%合計二二%の被害を見て居ります。然し本年度は降雨量が多かったので植付面積が増え、総収穫高に於て平年作を上廻るのではないかと思います。
 いもの植付は、順調にいって冬期には寧過剰を予想されています。イモゾウ虫が宮古に発生したとの報によって直ちにこれが移入禁止の処置をとり、これが流行することを防いで居ります。現在迄その発生を見て居りません。
 養蚕に付いては、郡是が進出を希望していますが、現在までの集荷量が一五〇貫に過ぎず単に見本を送る程度でありましたが、夏及び秋にかけて、之が増産を計算して居り各市町より現在技術員の設置方陳情もありますので実施したいと考へています。
 畜産面は沖縄、宮古にトンコレラ発生によりこれが当地に移入された場合、処女地としてその被害の及ぶことも大きいので同地区よりの豚の移入禁止及び検疫に関する処置を講じてあります。四月以降家畜の郡外移出は一二〇万円に及びその中、肉牛が最も多く九二頭に及んでいます。
 民政本部や農林省から開拓或いは、農業改良に付来島された係官は、八重山の畜産に大きな期待をかけられていることを申して居ります。
 水産は目下業態実態調査中であり、過般資源調査の為来島された宮城新昌氏一行の視察の結果によっても、沿岸漁業場の荒廃しつつあることを指摘され、政府としては、その原因が戦後の過渡的な無秩序時代の惰性による不法漁獲にあることを考へ発破使用による漁業取締りに強力に乗出すと共に、浦内川河口に蛤採取禁止等将来に備えて、或いは地域的に或いは時期的に制限を加えることにしています。
 同趣旨のことが最近農林省からも指示を受けています。
 之等工業関係も目下実態調査実施中であり、その結果により新たな且つ確実な資料を得て今後の計画樹立の上に万全を期する積りであります。
 工務部関係は建築面は殆ど完成の域にありますが政府庁舎、市役所修理が未完成であります。
 土木面はセメントの入手が困難であったのと道路工事の認可になったのが遅かった関係から若干遅れていますが、今回セメントも多量に入りますので之が完成に馬力をかけています。尚、その為に機械力を必要とし、ブルドーザーの取寄に努力中であります。
 ファナン橋以北の四ツの橋梁が水の為に流れていることに付いては、実地に見ましたが請負者の技術面と現場監督に手ぬかりがあり且つ一部は設計上の過誤もあったように察せられるので之が修復を請負者に命じ適当な処置をとりたいと考へて居ります。
 文教部関係は過般全琉教育会議が開かれたので文教部長をこれに参加せしめましたが、全琉教育法案及び之に附随する施行規則等の審議が為され軍に進言されたので近く教育委員に関する法令と共に発布され全琉的教育の指向が示される事と予定されています。
 厚生部関係に就ては、目下部長がヘルスセンターに関する講習会に出席して居り帰ってから、機構、運営等に付ても根本的に考慮すべきものが多くあると思います。
 マラリアの発生期になっていまして政府としては、出張所職員の会同、市町村係員の会同を求めて、一般に注意を喚起すると共に実施面の指導を行いました。アテプリンが予防薬にあらずして治療薬だとの建前と従来アテプリンによって、発病をおさえているに過ぎないと思われる節もあり、それによって郡民が油断している向もあるので一般に浪費をつつしむ様注意すると共に蚊の発生源池の除去に付いて努力を払うよういって居ます。現在一二、三名の患者があります。
 法務部関係に於ては松島巡回判事が上訴判事に任命されたので、その欠員を補うことが、有資格者との関係から早急に出来ないので臨時に沖縄より派遣方副長官に事前の承認を得ましたので、近く、糸満の巡回判事能山宗得氏を任命する事になりました。
 財政部関係においては、所得税が申告制度になりその仮決定が先日なされましたが、その結果は一般に納税思想の普及と事前に於ける一般への理解を高めた為に、異議或いは不満の声も余りなく円滑に進められていることを喜んでいます。前議会に於ける予算は、三月三十一日付で認可になり只復興関係は、米の予算関係、円予算とのにらみ合せもあり後に認可される筈です。
 七月以降は、ガリオア資金による民政官府傭人の給料も群島政府で支払うことになり、それに要する経費の補助金のこと或いは布令七号ベースが最高額を示すのであって、最低を示すのでないとの趣旨の指令があったので前議会に於て議決になった七号ベースに達しない分の政府職員の寄付額等も自然削除する必要ありその他大幅に修正を要しますが、之等は六月になって見ねば補助金の関係等予想がつきませんので、今、定例議会には提出するに至って居りません。六月下旬までに臨時議会を招集しお諮りする予定であります。
 公安委員については、予め御通知は申し上げてありませんが、今議会には是非、生まらしめなければ郡民に対する政府及議会の責任を尽さないことになりますので、会期中に提出致しますから同意を願います。その他本議会に提出致しました議案は割に簡単なものでありますので、なるべく短かい期間に於て御審議をお願いしたいと思います。
◎議長(潮平寛保君) 議案第三十四号、知事及び議員の給与条例改正についてを上程致します。
  (書記(平得泰次君)議案第三十四号、知事及び議員の給与条例一部改正についてを朗読する。)
◎知事(安里積千代君) 本案は先の議会で議決になったものでありますが、給与額は副長官に申請中のところ副長官よりの認可がこの程ありましたので提案致しました。
○議長(潮平寛保君) 実施はいつからですか。
○知事(安里積千代君) 三月一日からとなっています。
○議長(潮平寛保君) 原案どおり可決致したいと思います。いかがですか。
◎星克君 本案は副長官の指令に従って、修正すべきものであるか。或いは、もう一度審議、議決をせよと云う事ですか。
○知事(安里積千代君) 本案は副長官の指令に基づいて議会の議決を要すべきと云う解釈しています。
  (副長官よりの認可指令を朗読する。)
◎議長(潮平寛保君) 別に御異議はありませんか。
  (全員「異議なし」と答う。)
◎議長(潮平寛保君) 議案第三十四号知事及議員の給与条例一部改正については、原案どおり可決と致します。
 「議案第三十五号寄附採納について」を上程致します。
  (書記(平得泰次君)「議案第三十五号寄附採納について」を朗読する。)
◎知事(安里積千代君) 本案は、群島組織法第三十七条のH項により一応諮って見たいと思いまして提案致しました。
◎大山眞整君 考へて見ますと今後に於ても、復興博覧会は開催するようにも思われますし、更に議員は十一月七日に就任したので、その以前のものに迄も権能は及んでよいものか疑問をもつものであります。
◎星克君 寄附採納願出は何時ありましたか。現金は入っていますか。又予算に組まれていますか。
○知事(安里積千代君) 二月頃だと覚えています。現金は預っていますが予算には組まれていません。
◎佐久眞長助君 市町村の例には寄附採納については、その使途方法等の理由もつけてやっていますが。
○主計課長(浦崎永八郎君) 二月頃口頭で採納の願出がありましたが第二回定例会には、提出することができずにそのままにしてありました。
 採納額については、文書では受けておりません。
○星克君 その寄附は予算に組まれますか。
○主計課長(浦崎永八郎君) 当然組まれると思います。
○星克君 それならば、ここでの議決は必要ないと思います。
○知事(安里積千代君) 現在予算には計上されていないので、議会の議決を経た後、予算に組まうと思っています。
◎星克君 本案は、追加更正の時に予算に計上して戴きまして、その時に審議する事にして今回は撤回しては……。
○知事(安里積千代君) それでは、そう云う条件の許に本案は撤回致します。
◎議長(潮平寛保君) 本案は(議案第三十五号寄附採納について)撤回になりました。
 「議案第三十七号厚生部名蔵嵩田出張所古材売却処分について」を上程致します。
  (書記(平得泰次君)「議案第三十七号厚生部名蔵嵩田出張所古材売却処分について」を朗読する。)
◎財政部次長(石垣直文君) 厚生部名蔵嵩田出張所は去る暴風雨に於て倒潰し、建築資材に使用不能の為売却処分をしたいので上程致しました。
◎石垣用中君 議案第三十八号の建築に使用でき得るものはありませんか。
○財政部次長(石垣直文君) 建築材に使用でき得るようなものはありません。
◎石垣用中君 建築経費は坪数どれ位要しますか。
○財政部次長(石垣直文君) 六坪で二万五千円の予定をしています。
◎石垣用中君 従来のマラリア出張所は政府の財源が乏しいのでその地区住民の協力を得てなしていました。
 倒潰した材料で使えないのは、薪にしてもよいのですが使用可能でしたらそれも使用して戴き経費の軽減をはかって貰いたい。
○財政部次長(石垣直文君) 使用できるものは、できるだけ使用致したいと思っています。茅等は部落民にお願して経費の軽減をはかりたいと思います。
◎大山眞整君 本出張所は、暴風雨により倒潰したのであり、当然なる処置と思いますので原案どおり可決を希望するものであります。
◎石垣用中君 現在まで財産処分について売却の際には、薪として売却してその後に於て往々にして建築材になったりするのがあったようですが、そう云う事のない様に希望して原案可決をしたいと思います。
◎議長(潮平寛保君) 別に御異議はありませんか。
  (全員「異議なし」と云う。)
◎議長(潮平寛保君) 「議案第三十七号厚生部名蔵嵩田出張所古材売却処分について」は原案可決致します。
 「議案第三十八号厚生部名蔵嵩田出張所建築について」を上程致します。
  (書記(平得泰次君)「議案第三十八号厚生部名蔵嵩田出張所建築について」を朗読する。)
◎財政部次長(石垣直文君) 議案第三十八号は、議案第三十七号と相伴って唯今申し上げた通りであります。
◎星克君 議案第三十七号、第三十八号について、組織法の内容と不審の点があります。組織法第三十七条G項について群島財産とは、政府内のすべての財産を指すのであるか、例へば机一脚等もその収得及び処分も議会の議決を得るか、不審です。
○知事(安里積千代君) 二番議員の様な疑問もありますが、今議会に提案する議案第四十三号を以て御説明致したいと思います。
○議長(潮平寛保君) 休会いたします。(午前十一時十九分)
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午前十一時三十分)
○石垣用中君 茅葺六坪で所要経費は二万五千円ですか。
○財政部次長(石垣直文君) そうであります。しかし茅類を部落民で応援してやればもっと安くなると思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午前十一時三十一分)
  (各議員許可なく個々に発言の為議長、議場を整理する為休会を宣した。)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午前十一時三十二分)別に御異議はありませんか。
◎大山眞整君 議案第三十七号の財産の処分をするときは、監査委員の立会をお願し議案第三十八号も併せて原案可決に賛成するものであります。
◎議長(潮平寛保君) 「議案第三十八号厚生部名蔵嵩田出張所建築について」は原案可決いたします。
 「議案第四十一号歳入歳出予算外の義務負担をする行為に対する権限を知事に委任することについて」を上程致します。
  (書記(平得泰次君)「議案第四十一号歳入歳出予算外の義務負担をする行為に対する権限を知事に委任することについて」を朗読する。)
◎知事(安里積千代君) 従来市町村が琉銀より借入をするときは、知事の許可を得ていましたが、この度の改正で借入の時は、銀行条例第五条の第二項及び第五項により群島政府財政部長の裏書をもって貸出をする旨の規程になっています。
 各市町村が復興事業をなす場合その資金の借入等について財政部の裏書保証が必要であり、その保証がないと金融ができないので、群島知事によって保証でき得るようになれば、その方法が簡便されると思う。
 市町村の復興事業は逐次なされるのでありますが、その度毎に議会を招集すると経費及時期を失する虞がありますので復興事業に大きな阻害をなすものと思う。今後これが起きた場合は、その義務負担について、知事が保証認可する様にして貰いたい。
 それによって市町村の金融を円滑ならしめ、復興事業の完遂及びその他の運営がスムースにゆく事事と思う。
◎石垣用中君 唯今の知事のご説明によって賛成するものでありますが政府の裏書を必要とするのは、市町村以外にもありますか。
○知事(安里積千代君) 復興事業の場合、その事業を請負う場合、又はその事業を委任された場合等はあります。
◎星克君 本案は復興事業の完遂に是非必要と思います。知事の権限下において市町村行政の運営の円滑をはかる上に原案可決に致したいと思います。
◎議長(潮平寛保君) 「議案第四十一号歳入歳出予算外の義務負担をする行為に対する権限を知事に委任することについて」は原案どおり可決致します。
 「議案第四十号監査委員費用弁償並びに給料支給条例について」を上程致します。
  (書記(平得泰次君)「議案第四十号監査委員費用弁償並びに給料支給条例について」を朗読する。)
○佐久眞長助君 本案は休憩して懇談致したいと思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午前十一時四分)
  (休憩中に「監査委員費用弁償並びに給料支給条例について」を審議する。)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午前十一時五十五分)本案は休憩中に於て懇談致しました様に修正可決致したいと思います。
  (全員「賛成」と云う。)
◎議長(潮平寛保君) 「議案第四十号監査委員費用弁償並びに給料支給条例について」は修正可決致します。
 明日は米琉親善日であり、明後日は日曜でありますので二十八日から開会する事にして午後は、研究の為休会致したいと思いますが、いかがですか。
  (全員「異議なし」と云う。)
◎議長(潮平寛保君) 午後は議案研究の為休会し二十八日から残った議案を提案いたします。休会致します。(正午)

 本日の会議に付したる事件
一 第三回八重山群島定例議会会議録署名議員選任
一 日程第一 議案第三十四号 知事及議員の給与条例一部改正について
一 日程第二 議案第三十五号 寄附採納について
一 日程第三 議案第三十七号 厚生部名蔵嵩田出張所古材売却処分について
一 日程第四 議案第三十八号 厚生部名蔵嵩田出張所建築について
一 日程第五 議案第四十一号 歳入歳出予算外の義務負担をする行為に対する権限を知事に委任することについて
一 日程第六 議案第四十号 監査委員費用弁償並びに給料支給条例について

 出席者は次のとおり
   議 長  潮平 寛保君
   副議長  大山 眞整君
   議 員  石垣 用中君
        星   克君
        佐久眞長助君
        古見 石人君
        久部良正三君
  参与
  群島知事  安里積千代君
  副知事   當銘 正友君
  秘書長   仲程 長宗君
  経済部長  眞榮田 登君
  文教部長  宮城 信勇君
  工務部長  花城 永彭君
  会計長   宮良 永益君
  地方課長  田盛 正雄君
  経済部次長 石垣 英政君
  財政部次長 石垣 直文君
  厚生部次長 三島 保夫君
  警  部  天久 長政君
  税務署長  西石垣正行君
  主計課長  浦崎永八郎君
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