戦後初期会議録

組織名
八重山群島議会
開催日
1951年03月17日 
(昭和26年)
会議名
第2回八重山群島議会(定例会)[13]
議事録
一九五一年三月十七日(土曜日)
 午前十時四十三分開議

議事日程第十三号
  午前十時四十三分開議
第一 議案第二十六号 一九五二年度八重山群島政府一般会計歳入歳出予算案審議について
第二 議案第二十八号 一九五二年度八重山群島政府特別会計中央企業免許事務所歳入歳出予算案審議について
第三 議案第三十二号 八重山教員研修所規則制定について
第四 議案第三十三号 八重山中央診療所特別会計条例制定について
第五 議案第二十七号 一九五二年度八重山群島政府特別会計中央診療所歳入歳出予算案審議について
第六 議案第四号 八重山群島公安委員選任について同意を求むる件
第七 議案第五号 八重山群島監査委員選任について同意を求むる件
第八 議案第一号(議会提出)
 陳情書提出について
  (日本新法規を琉球に施行の件)
第九 議案第二号(議会提出)
 陳情書提出について
  (有害鳥獣駆除に関する件)

◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午前十時四十三分) 一九五二年度予算案を上程致します。
 審議の都合上、休憩して懇談致します。
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後零時十分)(歳出の第一款より逐次訂正をなす。)訂正通り修正可決致したいと思いますが御異議ありませんか。
○古見石人君 異議なし。
◎星克君 教員の僻陬地手当を議会が更正をした趣旨をはっきり議事録に登載致したい。
 政府提案によれば、その計上は従来の三倍となっているが、教員の優遇、僻陬地に於ける生活の保障等をする意味から警察ともに白保、宮良、大濱に通勤する教員に竹富と同様に支給するように致しました。
 警察は公安委員が生れるので、公安委員が規制するのですが、教員の僻陬地に於ける手当は、はっきりして置きたいと思います。
○議長(潮平寛保君) 唯今の二番議員の御意見に対して政府に対して議会の意思を伝え適正なる施行をして戴く様にして修正可決致したいと思います。
○副知事(當銘正友君) 僻陬地の手当に関する議会の修正理由は承はりました。従来それを予算に折込んでありましたのは布令七号にどうかと思いますが、教員の優遇という意味でそれを提案致しました。もちろん二番議員の御意見も一理ありますが、官吏はその勤務地に居住するのが建前でありその点もよろしく御了承を願ふものであります。
◎星克君 布令七号により俸給以外の給与できないなれば、外の方法により予算案はやりなほさねばならないと思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午後零時二十六分)
○群島知事(安里積千代君) 通勤者に手当として支給するのは、違法であると思う。布令七号以外に於て支給するという事は違法であるので、政府としてはそれはできない。それで市町へ補助するという形にして支給致したいと思う。
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後零時三十六分)議案第二十六号は修正可決致します。
 議案第二十八号を上程致します。
◎星克君 消耗品の五割増の説明をして下さい。
○企免所長(竹原孫恭君) 鮮魚販売とか、食肉組合、屠畜商、行商等の取締りに不便を来しています。こうした業態は普通の様に店先に掲示する事ができないし、免許証の所持もできないし、新年度からこの種の取締り方として木札を作り焼印をして、それを交付して取締りたいと思います。その費用に当てます。
◎星克君 第三項の通信費、四項の雑費の説明を求めます。
○企免所長(竹原孫恭君) 通信費の件は与那国との問題であります。従来までは、与那国からは現金は託送でありましたので不安であり、事故も生じていたので、これを為替で致したいので上程致しました。
 雑費は薪炭材、その他マッチ等であります。
◎議長(潮平寛保君) 外に御異議はありませんか。御異議がありませんので本案は原案通り可決致します。
 休憩致します。(午後零時四十分)
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後一時五十八分)
  (書記(平得泰次君)議案第三十二号八重山教員研修所規則制定についてを配る。)
  (追加)
◎議長(潮平寛保君) 議案第三十二号八重山教員研修所規則制定についてを上程致します。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第三十二号八重山教員研修所規則制定についてを朗読する。)
◎文教部長(宮城信勇君) 新しい教育制度が施行されましたが、それに伴って教員の資質向上についてあまり行われていない。
 宮古、沖縄では、教員の資質向上については、その実施をしています。本郡でも、これを設けて施行し、新しくできる琉球一円の教員の資格に合する様にしたい。これにより教員の素質が向上するものであります。何とぞこの意をくんで戴いて審議を希ふものであります。
◎大山眞整君 研修所の場所はどちらですか。
○文教部長(宮城信勇君) 研修所は、高等学校の講堂か、図書館を当てたいと思います。事務所は文教部に置きたいと思います。
 これは石垣のみでなく離島等にも出張してする計画です。
◎星克君 これは政府の一つの廨庁でありますので、民政官の指示を受けるべきであると思う。
 その手続きは致しましたか。
○文教部長(宮城信勇君) 現在の教育機関の延長だと思いますので、そのままで良いではないかと考えています。
◎星克君 先日の旅費支給条例制定の時、学校も警察も廨庁とする知事の意見もありましたが。
○群島知事(安里積千代君) これは学校の廨庁であるので、学校の廨庁の時に一括にやるという意向であります。
◎星克君 本案は予算で議決になっており、それは学則なので議会の権能はそこまで及ばないと思います。これは執行機関でしかるべく取計らい、条例制定の時に議会に諮って戴きたい。
○群島知事(安里積千代君) 政府の内部執行としてやらせて戴けば結構です。
 本案は政府で撤回致し、議会の趣旨に副ふ様に執行機関で取計らい致します。
◎議長(潮平寛保君) 議案第三十二号八重山研修所規則制定は撤回になりました。
○書記長(眞玉橋長要君) 議案第二十七号の病院を中央診療所と書きかえて下さい。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午後二時八分)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後二時二十分)議案第三十三号八重山群島中央診療所特別会計条例制定についてを上程致します。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第三十三号八重山群島中央診療所特別会計条例制定についてを朗読する。)
◎群島知事(安里積千代君) 議案第三十三号提案の補充を致します。
 病院診療布令により総合病院は病院としての価値が認められず、それで診療所としていきたいと思っています。
 病院とは、傷病者の治療のための施設を意味し、精神及び肉体の病を予防及び診療するに必要と認められた有ゆる又は一部の取扱いを科学的、経済的及び能率良くなる様適当な場所に適当に建設、組織管理及び人員配置されてあるべきであり、沖縄に於ても、この実施について余裕を与へる様に陳情した旨承っていますが、政府としても、此の件については、もう少し余裕を与へる様に陳情する事に致します。
 先日カムロイさんにもそれは話してあります。御参考までに一応これだけ申しあげておきます。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午後二時二十六分)
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後二時三十分)
○書記長(眞玉橋長要君) 議案第三十三号の附則に一九五〇年群島政府条例第五号はこれを廃止するを記入して下さい。
◎議長(潮平寛保君) 八重山中央総合病院を中央診療所と訂正し、附則を訂正の通りして可決致します。休憩致します。(午後二時三十五分)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後二時三十六分)議案第二十七号を審議致します。
○書記長(眞玉橋長要君) 標題の総合病院を中央診療所と訂正して下さい。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午後二時四十分)
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後二時五十分)
◎石垣用中君 本案は八重山衛生行政実施面に伴ふ機構の改正であり当然なる処置でありますが、人件費の膨大はありますが、定数外の事でありますから実施面に適当に考慮して可決致したいと思います。
◎議長(潮平寛保君) 議案第二十七号は修正可決致します。休憩致します。(午後二時五十一分)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後三時十六分)議案第四号八重山群島公安委員選任について同意を求むる件を上程致します。
○書記長(眞玉橋長要君) 氏名を書き入れて下さい。石垣市字大川 浦添為貴、石垣市字石垣 翁長信全、大濱町字大濱 糸洲長良
◎群島知事(安里積千代君) 公安委員会の制度は自治政府樹立に伴うて新しく設けられた画期的制度でありまして旧来の独任制による警察管理の弊害を排除し、公安委員会の管理の下に置くことによって警察の民主化を図らんとするものであります。
 警察が公安委員会の管理下に運営されることは、自治政治強化の線に副う重要施策でありまして、政府は、第一回議会に於て公安委員の選任につき同意を求むる件について提案致しましたが、否決になりましたことは誠に遺憾でありました。
 政府は、公安委員会の重要なる使命に鑑み、推薦致しました。
 委員の人物に就いては、各委員の学歴、経歴、人物に就き慎重なる考査を遂げると共に社会的地位、政治的地位についても白紙の立場からよく検討した結果、何れの面から見ても申し分のない方々であり、住民の信任に値する人格高潔、有能なる方々と信ずる次第であります。
 公安委員会を速かに成立せしめることは、政府に課せられた重要な任務であり、且つ議会の義務であると考へるものであります。
 政府の提出しました方々に就いては、組織法第百二十条の規定する資格条件の有無を審査され、同意を与へられんことをお願いする次第であります。
◎古見石人君 唯今提出されました三人の履歴を簡単に説明して下さい。
  (公安委員選出者の三人の経歴を説明する。)
○群島知事(安里積千代君) 先程も申しあげましたように組織法第百二十条により公安委員になれない者は
一 禁治産者及び準禁治産者又は破産者にして未だ債務を償却しない者
二 懲役刑に該当する破廉恥行為に依り有罪の判決を受けた者
三 本法により組織された政府を暴力で破壊することを主張する政党又はその他の団体を結成し、又はこれに加入するもの
四 政党又はその他の政治団体の役職員
 右の様な条件が欠格条件でありますが、三人は之に該当しないのであります。
 公安委員の制度については、日本、アメリカにも論議されていますが、我々は、組織法により立派に生らす義務があります。
 これは知事が選び、議会は同意をする、しないだけで、三人の社会的にも大いなる事は良く知って居られる事と思います。
 是非お願い致したいのは、八重山の状態からも、警察も消防も残っている速かに選任して軌道にのせたいと思います。
◎古見石人君 本案については先にも提案されましたが、生れなかったので残念に思っています。
 その後住民も公安委員の生まれる事を大いに期待しているし、八重山の治安を一日も早く確立しなければならないし、参与の方からもいろいろと説明があり適材であるとして三人に同意するものであります。
○佐久眞長助君 決を採って下さい。
◎石垣用中君 公安維持上、公安委員の速急に必要である事は良くわかります。また提出された三人は皆立派ですが、これを一括して一案とするとき同意致し兼ねます。
◎潮平寛保君 公安委員の選任が長びく事は、世間も深い関心を寄せて注意しています。公安委員の生れないのは、政府の責任と言ふ人もいるが、これは議会にも責任があると思います。
 政府としては組織法第一二〇条に示された欠格しない人を推薦してありますので、議会としては当然同意すべきであると思います。私は同意を希望致します。
◎石垣用中君 議長一人をして議会が同意すべきであるとは越権行為である。
◎潮平寛保君 唯今の意見は三番議員としての意見である。
○財政部長(崎山信邦君) 提案に同意できないのは、どういう欠格条件があるか、その理由を聴きたい。
○佐久眞長助君 参与として議会に対して人事、人格に質問する資格権限はありますか。
○財政部長(崎山信邦君) 民主政治の意向をはっきりして、住民へも知らしてやりたいというのが参与の気持ちであります。
◎大山眞整君 事人事であり、慎重を期す為に対立がある様なので決をとって貰いたい。
◎議長(潮平寛保君) 論議はつきている様ですから決を採りたいと思います。
○群島知事(安里積千代君) 決をとる前に一寸お聞き致したいですが、決を採って同意、不同意するのは、議会の意思ですが、これについては、同意できないならば、議会が同意を与へない理由を住民にはっきりと知らしめたい。故に何故同意を与へないか、その理由を議会に於てはっきり示して戴きたい。
◎石垣用中君 一人一人は適当と思いますが、一括して一案にすれば不賛成であるとしか言へません。
○群島知事(安里積千代君) 一人一人賛成するとしても、公安委員は三人で構成するものである。故に結極できないと云ふ事になるんです。
◎久部良正三君 参与の説明もあり欠格でないので、議会の方もこれに賛成をする事と思います。
 私は提出された三人に賛意を表するものであります。
◎星克君 前の議会にも同意せず、故に公安委員は生れず、今回も不同意をする事は、公安委員を速急に必要とする時期に於て遺憾とするものでありますが、繰返して申しあげますと、警察を独立の形に於て公安を維持する為に必要とは思いますが、法の精神は最初にあるのが最もその精神に順応するものである。
 沿革は法の過程を示すものであり、沿革過程の最初の案は政党人でない者と記憶している。それが改正になっている。
 三人の中、二人が同一政党にある事は、警察がその政党の番犬化するおそれがあります。故に日本では、五人の中三人は同一政党から出さない事になっている。八重山の現状としては、政党に関連しないのを希望する。
 提案者には、実質には一政党の公認を得て立候補した人もいると思われる。
 結論としては、政党から超然としてやるのが必要ですが、それは望めないのですから、一人は一政党、一人は一政党、一人は全然中立、政党に関係のない人から出すべきだと思います。否決の理由は一政党から二人出ている事、しかも一人は公認候補として出た者もあります。
◎潮平寛保君 公安委員は三人であるので、その内或政党から二人外から一人になるのは、八重山の現状としてすべてが政党に加入しているので人選の結果、或党から二人出るのは、当然であると思う。政府の推薦した案を見ると人物から見て立派な方であり、公平に処する人物であると思います。八重山では現在いかなる人でも政党に加入している事は事実である。故に我々は、人物本位にゆくべきだと思います。
 三人は、公平に公安委員の職責を果し得る人であると思います。本案に賛意を表するものであります。
○群島知事(安里積千代君) 二番議員の言に対し、若干言いたい。前の規定に(組織法)政党に入った者もいけないとあり、故に法の改正過程の根本についてそれに順応するのが正しい法の解釈だと言われた様ですが、前のものは、訳文が悪いためにそうなっています。それは訳文の間違いである。
 原文は新しくあるものが正しい。初めから政党を組織したものは、欠格条件に入っていません。その点をはっきりして貰いたい。
 民主政治が発展すればする程政党は伸びて拡大していくものである。中立の形でどっちつかずにいるものは、かへって民主政治の発達を阻害するものであると思います。
 政党に入っているものは、むしろ民主政治を弁えたものであると思います。どこともつかずにいるのは、かえって民主政治を否認している者であると思う。
 公安委員については、つとめて政党的に濃厚なのは避ける事は考へるであろうが、八重山の状況は正式に政党に入らないでも住民が二つの体制にある事ははっきりしている。或人をどの程度政党的意識の濃厚であるか否かは判断できないと思う。故に政党人を重要視するのはいけない事と思います。
 それから二人は云々と言はれましたが、浦添氏は、正式に入党発表はしないが、形の上ではどちらにも加味していないが、それでも或一つの党を支持する事ははっきりしている、然しそこまで詮索する事はできない。
 翁長氏は、選挙前はいづれの党にも加入していない。市長として立候補の時は、その対立として、反対党から立つのは政党政治として当然の常識であると思う。
 とにかく選挙前何年はいづれも政党に加入していない。
 糸洲氏は、学校の教師でありまして党的意識の無い事は自分も聞いて知っています。これはいづれもはっきりと言えませんが中立であると思います。政党的意識は濃厚ではないと思います。
 この様に三人は公安委員の仕事をするに不適当でない事を考へて戴き、まげて承認を希ふものであります。
 もし生れなければ、ゆがめられた立法機関として全群島民が不安な生活を送らなければならない。以上の様な全群島的な問題であるので個人の気持ちの上まで推理を逞しゅうする事なく承認を希ふものであります。
◎議長(潮平寛保君) 事、人事に関するので、組織法第七十二条を順応(ママ)して秘密投票する事に致したいですが、いかがですか。
○星克君 賛成
◎議長(潮平寛保君) 御異議はありませんか。
  (全員「異議なし」)
○議長(潮平寛保君) それでは同意する、しないと二つを書いて戴きたい。
  (書記長(眞玉橋長要君)投票用紙を配る。)
  (投票午後三時五十五分)
○議長(潮平寛保君) 開票立会人を一番議員と五番議員にしたいですが御異議はありませんか。
  (全員「異議なし」)
○議長(潮平寛保君) 一番議員(石垣用中君)五番議員(古見石人君)開票立会人に決定致します。
  (一番議員、五番議員、議長立会で開票する。)
◎議長(潮平寛保君) 同意する三、同意しない四、
 本案は、同意しないと決定致します。休憩致します。(午後三時五十九分)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後四時)時間の延長を致します。
 議案第五号八重山群島監査委員選任について同意を求むる件を上程致します。
○書記長(眞玉橋長要君) 監査委員の氏名の記入をお願い致します。
   議  員  佐久眞長助
         与那原孫佑
         大濱 善清
◎群島知事(安里積千代君) 提案の理由を申し述べます。
 監査委員会の制度は公安委員会の制度と並び自治政府樹立に伴ふ新しい制度でありまして、適法且つ公正なる行政の運営を確保する為に所謂大目付の役割を果す大事な使命をもつものであります。
 政府は監査委員会の使命に考へ之が人選に当り人物、学歴、経験について慎重考慮を払ったことは勿論、組織法、第百十二条の規定に基いて銓衡を遂げ監査委員として最適任者と認め選任について議会の同意を得たいと思うのであります。
◎古見石人君 監査委員設置するには議会のみでなく、全群島民の要望するものでありまして、これを設置して政府の事務監査をすれば、全群島民も安心してゆけると思い監査委員の設置は急だと思います。
 今まで適任として政府の説明もあり適格条件者として本案に同意するものであります。
◎久部良正三君 三人は組織法第二十二条の該当者であるか否かお聴きしたい。
○群島知事(安里積千代君) 知事、副知事共に身分、その他に何等の関係のないものであります。
○大山眞整君 休憩して打合せ致したい。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午後四時七分)
  (一、二、四、六議員知事室へ)
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後四時十分)
 本案も公安委員と同じようなものであり決を採りたいと思いますが。
◎星克君 本案は別に御異議ないと思いますから満場一致で可決致したいと思います。
◎議長(潮平寛保君) 別に御異議ありませんか。
  (全員「異議なし」)
◎議長(潮平寛保君) 議案第五号公安委員(監査委員カ)選任について同意を求むるの件は原案通り同意致します。
  (書記長(眞玉橋長要君)陳情文を配る。)(議会提出第一号)
◎議長(潮平寛保君) 議案第一号(議会提案)を上程致します。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第一号を朗読する。)
◎星克君 提案者から簡単に理由を申し述べます。
 ニミッツ布告により日本法規を適用するようになりましたが、法律は次々と進歩し、八重山に於ては、多分に官僚的法律を余儀なくされるのは已むを得ません。
 すでに日本では新法が出てほとんど完成の域になっている。そこで法規の参考書もなく、参考書は、新法規は取入れるのは容易であり、旧法はむつかしい。
 故に新しい日本法律を布いて貰いたい。それを適用する様にしたいと云うのが私意であります。
○議長(潮平寛保君) 政府当局の御意見を……。
○群島知事(安里積千代君) 現在日本に施行されている新法規をそのまま施行すというと、琉球に対して非常に不都合になります。
 この陳情が入れられ八重山が日本的に改められると現在では混乱を来すと思います。
 現在の世相では、日本と相容れない事がありまして、研究してせないと琉球の混乱を来す事があると思います。
◎星克君 一方婦人の如き、男性と同様参政権が与へられ、現在では戸主権も認められ、妻の訴訟は夫によって取消されるは日本の例によるのがよいと思います。
 日本の法規を或はそのまま施行するのはいけないと思いますが、民政官に話して八重山の現状に副う様に是正して施行致したい。
○議長(潮平寛保君) 別に御異議はありませんか。
○群島知事(安里積千代君) 全琉の日本法規を適用するのはできないと思います。全琉的に日本法規を適用する様に改めたいと云ふよりは、琉球に適用する法規を作る様に陳情するのが必要であると思います。
 本案はもう少し研究して提出するのが良いと思います。法制の確立は必要ですが、全琉的に日本法規をそのまま施行すると云ふ事は、考慮を要すると思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午後四時二十三分)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後四時四十一分)
 議案第一号(議会提出)(日本新法規を琉球に適用施行する件)は中央政府の設立できるまで保留する事とし、撤回致します。
 議案第二号(議会提出)陳情文についてを上程致します。(有害鳥獣駆除についての件)
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第二号陳情書を朗読する。)
○畜産課長(内原英郎君) 政府の今後のとるべき行政に対して議会の提案したのは、時期に適した案だと思います。
 政府としてもその対策については、いろいろと苦心し、準備も進めています。
 政府として大いに関心をもち対策に積極的に乗り出しているが、議会からも提案して喜んでいます。これで政府の案に拍車をかけて戴く事を感謝致します。
◎議長(潮平寛保君) 本案は翻訳後提出する事に致します。
◎古見石人君 所見を申し述べます。
 第二回議会開会以来、長期日に亙り三〇件余の議案を審議致し、本日を以て終結するに当り最後の公安委員の選任に当り満場一致で同意する事ができなかった事を議会として群島民に対し申し訳無いと思いますが、予算に関し、吾々は公選当初の第一回議会に於て更正減の予算を議決したのですが、それにも拘らず、僻陬地(西表島の上原、船浦)に於ける部落民負担の教員俸給が政府予算で賄はれる様になり、教育の機会均等の見地から、御同慶に堪えず財政、文教当局に対し感謝の意を表するものであります。
 更に今議会に於ては、全住民の渇望する食糧需給調整に関する条例及その五〇〇万円の予算が計上され住民の生活安定に大きな力を見せて貰ったことは、経済部並に政府当局に対し敬意と感謝の意を表するものであり、更に一九五二会計年度に於て七、〇三九万円の民政府補助金と前年度追加分五、五〇〇万円の補助金を得られて、産業八重山の基礎並に復興にこれまた大馬力をかけられる意図を伺い、工務部当局に対し、議会の立場から又全住民の立場から意を強うすると共に政府当局の御健闘を要望し協力を誓うものであります。
 尚近来稀に見るジフテリアの発生に対しては、遠く沖縄から出張のカムロイ少佐一行の御尽力並びに厚生当局の時宜を得た処置に依り大事に至らずに防疫の実を挙げられた事は住民と共に喜ぶものであります。更に教員優遇、政府職員の優遇並に負担の公平監査に万全を期して貰うことが政治の安定であり、群島民の期待する所であります。
 それから地元出身の議員として地元民の要望を議会を通じ現在竹富町の現状を話して御尽力を希ふものであります。
 竹富町は一九一四年八重山村より分村した八つの島からなって居ります。
 その島の中、西表島という広大なる島を有して居りますが、其の西表の九九%以上は元日本国有地として現在に於ても何等変りのない僅か一%程の町有地を有する現状であります。
 又竹富町は一自治体でありながら、離島の関係上小中学校の併置校が六校、その分校が九つもあります。
 その他竹富町は、町政運営上、恵まれない境遇にあり、財政貧弱な為に一九三八年より一九四五年迄毎年度予算額の六七%以上の配付税(地方財政補給金)その他国有林野所在地元町村交付金を受けて、ようやく自治行政を運営して来たのでありますが、一九四六年後は全く其の援助が絶たれ、竹富町財政は此の五ヶ年に於て疲弊し、財政的に行詰って居る現状であり既に一九四九年、同五〇年度に於て六〇万円余の負債(未払金)を出して居ります。
 以上申し上げました様な事情にありますから、その実情御考慮の上、行政運営上必要額の七〇%程度の補助をして下さる様伏してお願いする次第であります。
◎群島知事(安里積千代君) 去る二月二十六日以来本日に至るまで三〇余件に亙る多数の議案に対し、議会議員の諸公が熱心に審議し慎重に研討(ママ)して戴き公安委員を除く外各案件について決議した事は政府として厚く御礼申しあげるものであります。
 今議会に提出した案は、一九五二年度に於て政府が実施する重要なものが多数であり、民政府より援助する様になっている関係上、かつてない膨大な予算としたのであります。その施行に対しては、万全を期し議会の意思も尊重していきたいと思います。
 不幸にして公安委員は重要でありますが、同意を得る事のできなかった事を残念に思っています。
 しかし、政治の責任者として、その面に於ては万全を期すつもりであります。
 新年度に於ては、予算技術面を考慮して八重山群島の為に一意邁進致したい。尚議会も大きな援助をして戴き推進力となって戴く様御願いするものであります。
 長い間誠に有難うございました。
◎議長(潮平寛保君) 長い間慎重に、熱心に審議して戴いた事を厚く御礼申しあげます。
 公安委員が生れないのは残念ですが、監査委員が生れた事は喜ぶものであります。
 政府に対して適正に積極的に行政を運営、施行して戴く事を希望して第二回定例議会を閉会致します。
 一九五一年三月十七日午後四時五十六分閉会

 本日の会議に付したる事件
一 日程第一 議案第二十六号 一九五二年度八重山群島政府一般会計歳入歳出予算案審議について
一 日程第二 議案第二十八号 一九五二年度八重山群島政府特別会計中央企業免許事務所歳入歳出予算案審議について
一 日程第三 議案第三十二号 八重山教員研修所規則制定について
一 日程第四 議案第三十三号 八重山群島中央診療所特別会計条例制定について
一 日程第五 議案第二十七号 一九五二年度八重山群島政府特別会計中央診療所歳入歳出予算案審議について
一 日程第六 議案第四号 八重山群島公安委員選任について同意を求むる件
一 日程第七 議案第五号 八重山群島監査委員選任について同意を求むる件
一 日程第八 議案第一号 (議会提出)陳情書提出について
 (日本法規を琉球に施行するについての件)
一 日程第九 議案第二号 (議会提出)陳情書提出について
 (有害鳥獣駆除に関する件)

 出席者は次の通り
 群島議会議長 潮平 寛保君
  副議長   大山 眞整君
  議  員  石垣 用中君
        星   克君
        佐久眞長助君
        古見 石人君
        久部良正三君
  群島知事  安里積千代君
  副知事   當銘 正友君
  秘書長   仲程 長宗君
  財政部長  崎山 信邦君
  経済部長  眞榮田 登君
  工務部長  花城 永彭君
  文教部長  宮城 信勇君
  厚生部長  崎山  毅君
  警察部長  富本  勉君
  会計長   宮良 永益君
  総務部次長 眞玉橋長要君
  財政部次長 石垣 直文君
  経済部次長 石垣 英政君
  工務部次長 宮良 英副君
  文教部次長 亀谷 長行君
  厚生部次長 三島 保夫君
  法務部次長 野國 昌一君
  運輸所長  仲程 長宜君
  配電所長  神山 長意君
  企免所長  竹原 孫恭君
  製材所長 上江田吉次郎君

右会議の顛末を記載し相違無き事を証するため茲に署名する。
 一九五一年三月二十五日
八重山群島議会議長
         潮平 寛保(印)
八重山群島議員
         佐久眞長助(印)
         久部良正三
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