戦後初期会議録

組織名
八重山群島議会
開催日
1951年03月07日 
(昭和26年)
会議名
第2回八重山群島議会(定例会)[7]
議事録
一九五一年三月七日(水曜日)
 午前十時七分開議

議事日程第七号
  午前十時七分開議
第一 議案第二十九号 八重山群島政府副会計長及副出納長定数条例制定について
第二 議案第三十号 八重山群島政府職員定数条例中改正について
第三 議案第十四号 主要食糧需給調整に関する規則制定について
第四 議案第十三号 道路愛護奨励規則制定について

◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午前十時七分)
○書記長(眞玉橋長要君) (出席議員の報告をする。)全員出席であります。
◎議長(潮平寛保君) 昨日の決議致しました感謝状の案の審議を致します。
  (書記長(眞玉橋長要君)感謝状の朗読をなす。)
◎議長(潮平寛保君) それで御議はありませんか。
  (異議なし)
◎議長(潮平寛保君) それでは、その通り決定致します。
○石垣用中君 休憩して懇談致したいと思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午前十時十六分)
  (書記長(眞玉橋長要君)追加議案第二十九号八重山群島政府副会計長及び副出納長定数条例制定について、議案第三十号八重山群島政府職員定数条例中改正についてを配る。)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午前十時二十二分)
 政府の都合により追加提出の議案第二十九号を上程致します。
 (八重山群島政府副会計長及び副出納長定数条例制定について)
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第二十九号八重山群島政副会計長及び副出納長定数条例制定についてを朗読する。)
◎群島知事(安里積千代君) 副会計長、副出納長は組織法により定数は条例で定める様になっていますが、従来は定めてありませんでしたが、いろいろ事務上支障がありますので条例として定めたいので提案致しました。
○財政部長(崎山信邦君) 議案第二十九号、第三十号は相関連しているので、一括にして上程審議しては。
◎議長(潮平寛保君) 議案第三十号八重山群島政府職員定数条例は第二十九号議案と相関連しているので一括して審議して戴く為に、第三十号議案も上程致します。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第三十号八重山群島政府職員定数条例中一部改正についてを朗読する。)
◎議長(潮平寛保君) 御異議ありませんか。
○古見石人君、大山眞整君 異議なし
◎議長(潮平寛保君) 御異議がないようですから議案第二十九号八重山群島政府副会計長及び副出納長定数条例制定について、議案第三十号八重山群島政府職員定数条例中改正については原案可決致します。
 議案第十四号主要食糧需給調整に関する規則制定についてを上程致します。
◎経済部長(眞榮田登君) 審議に入る前に訂正致します。
  (訂正をなす。)
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第十四号主要食糧需給調整に関する規則制定についてを朗読する。)
  (経済部長(眞榮田登君)提案の理由を述べる。)
◎佐久眞長助君 自由経済を統制経済にするのですか。
○経済部長(眞榮田登君) それは統制を意味するものでなくて、自由経済を助成するものであると思います。
◎石垣用中君 第二条の農業団体をして買上げしめるとあるが、その団体と政府との関係はいかなるものですか。
○経済部長(眞榮田登君) 各種農業団体を育成強化する為に政府が組合をして買上げしめる事は将来の産業政策の上からも良いと思います。
◎石垣用中君 第三者は誰でも買上げせしめて良いと云う法的根拠、関係はありますか。
○経済部長(眞榮田登君) 産業政策上農業団体を育成していくとの意味のもので法的関係等はありません。
◎石垣用中君 過去に於ての実績は成功した例がありますか。成功するように調査はしてありますか。
○経済部長(眞榮田登君) 今までに農業組合連合会の籾買上げに失敗をしたのは、資金問題であったようで、その外は失敗の基因はないと思います。
◎星克君 本案は農民の声としては、買上げを希望はしているが、政府がやれば商人もやる。
 政府自体で買上げは勢い業者と競争してゆくのは当然であります。
 本案に対して群島内の主要食糧の適正価格を期す事は賛成でありますが、標題は自給対策である。
 これは組織法に明確にされていない。法の精神によれば民間企業は自由に委せるようになっている。
 そこで私は一応これをひかえて増産を奨励し、生産コストの引下げをなし、金融により農村を助成するは反対とし、本案は否決と致したいと思います。
○経済部長(眞榮田登君) 政府が政府自体で籾買上げをなせば、業者と競争するといわれましたが、商人は群外移出を目的とするものであり、第五条により政府と競争する事はできないと思う。
 本案の目的は第一に群島民の福祉を図る事であります。主要食糧が充分にありあまる程あるときはその必要はありませんが、現在の主要食糧が不足している事は政府として、その対策を速急にする必要があります。
 若しその対策を講じなければ政府は政府として群島民のよりよき幸福と繁栄の為になすべきその責任と義務を放棄したものと思います。
 組織法に明文はないと言われましたが、第二条のA項にあるのがそれであると思う。
◎星克君 組織法第二条のA項を広義に解釈して居られますが、福祉という代名詞から云へば、その用語は同条のL、M項に具体的に記されています。
 L項は営造物の社会施設方面で積極的面を規制し、M項は衛生救護面の規制をしている。それを解釈しての規定はできますが、A項はそれに該当しないと思います。
 次に農民が青田売買をしている現状に於てでき得れば、価格の高い時に買うのが農民の利益のために良いのですが、そうなれば農業組合の過去が立証している様に商人が競争してやった。組織法の精神によれば、一般業者と競争する事はできないので、前貸となれば、農村金融のため最も望ましいが、個人金融は組織法の規制によってできない。故に本案に対しては反対するものであります。
 群外移出は農民にとっては良い事である。
 大事な主要食糧を確保するのは大事でありますが農民に金融をして価格の高くなる迄農家自体に籾を持たせる様に致した方が良いと思う。
  (経済部長(眞榮田登君)組織法第二条のA項につきその説明をなす。)
○星克君 公共の秩序を維持するというのは、前後のつながりから考へて専ら公安を意味するものと思う。
○経済部長(眞榮田登君) 主要食糧の需給ができないでは、公安の維持は困難ではないかと思います。
○星克君 政府が籾買上げをしなければ暴動でも起るのですか。
○経済部長(眞榮田登君) 主要食糧が不足した時の社会世相はどうなるか、想像できませんか。
○星克君 民政官府では、その為に貿易庁をしてその衝に当らしめています。
○経済部長(眞榮田登君) それは見解の相違であると思います。
 貿易庁は群島政府と全然別個のものであり、郡外との貿易が主であります。
 農民が主要食糧の高いのを希望するのはよく解かりますが一方的に農民の声のみを聞いて、農民以外の声を聞かないとしたり、或は農民以外の声のみで農民の生活も考慮しないという一方的な行政をしては、経済自立の政策を意味するものではありません。
 更に二月から五月にかける市価は、一升当り三五円か四〇円であります。収穫か販売期までの生産費を計上すれば、五〇円台を目当にしなければならないと思います。
 これを適正調整に近づける為、私達としては議会の議決を希んでいるのです。これは一方的に農民の声を押えつけてゆくのではなくて、主要食糧を確保し、その適正を期したいと思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午前十一時)
  (休憩中に主要食糧需給調整について審議)
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後零時十分)午後は一時半から開会致します。午前中はこれで休会致します。
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後一時五十分)午前中に引つづき議案第十四号を審議致します。
◎潮平寛保君 本案について最も重要なものは、第三条と第四条であります。第四条は既に組織法にも明かであります。
 八重山の現状に鑑みその対策に政府として提出するのは当然であります。
 生産人及び食糧対策上原案に賛成するものであります。
○副知事(當銘正友君) これは農村にとって重要な事項であります。議会に於て論議されるのを市町も関心を寄せています。幸に市町長も列席して居られますし、市町としての要望事項もあり、市町長の意見も聴いて戴きたいと思います。
 市町長の意見の聴取もありますので休憩して懇談して下さい。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午後一時五十三分)
  (休憩中に大濱町長の農村の実情及び食糧対策について演説あり、出席者大濱町長、石垣市助役、竹富町助役)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後三時五十分)
 今の休憩中に於ける修正案を読上げます。
  (修正案朗読す。)
 それで御異議はありませんか。
  (全員「異議なし」)
◎議長(潮平寛保君) 議案第十四号主要食糧需給調整に関する規則制定については修正可決致します。
 議案第十三号道路愛護奨励規則制定についてを上程致します。
◎工務部長(花城永彭君) 案の語句の訂正を致します。(訂正をなす。)
 提案の理由を申しあげます。
 道路の保護は昔から行われたものであり、吾々民族のもつ美点であると思います。
 道路の保全を全部公費で賄う事は又、吾々の負担と深い関係がありますので時機を見て団体の力で以て保全に当らせる事は又美風を残す事と思います。
 去る日登野城校、石垣校の児童、石垣中学生達により結成された赤十字団員二、四〇〇名につんまーせーから配電所角に至る延長約三粁に渡る路面の応急修復を致し全市民から感謝されましたが、雨続きの為又今日見らるるが如き悪道路になったのであります。
 本年度復興予算中吾々が引継を受けたものの中に道路の修復も入っておりましたが、軍政府の書類の中には桟橋、橋梁丈けで道路は含まれていないので、目下之に就きお願いをしてありますが、これとて、コンクリート或はアスファルトの舗装は到底望まれませんので、此の道路愛護会を設定せしめて永久に道路愛護に尽力せしめたいと考えて本案を提出した次第であります。
 道路の善悪が吾々の生活と一日も離す事のできない点をお認め下さいまして本案で慎重に考慮され、速刻通過さして下さる様お願い致します。
◎大山眞整君 本案の道路とは市内全体の道路を指すか、或は産業道路も含むのですか。
○工務部長(花城永彭君) 市内道路のみでなく八重山全体の道路を含んでいます。
◎星克君 原案修正の趣旨は結成を進める程度か、或は愛護会の養成を進んで結成せしめるのですか。
○工務部長(花城永彭君) 後段の通りであります。
◎佐久眞長助君 元は県が規則を定めて各市町村に補助金を交付して立派な道路を造っていたのであります。
 本案は市町を離れてなすか、市町に責任をもたせてなすか、或は各団体に責任をもたすのかいづれですか。
○工務部長(花城永彭君) 道路の愛護は昔から行われて来た民族のもつ美点であるという事は今先も申しあげました。
 道路の全部の保全費を公費で賄う事は負担が大きい。そういう意味で団体に任せたいと思います。
◎大山眞整君 その趣旨には賛同するが、市町は市町がやるのは当然である。
 愛護奨励とあるを農村あたりでは、幹線から支線を造る事が農産奨励上、また市町は市町でやるという意味から、農道に適する様にしていただきたい。
○工務部長(花城永彭君) 農道だけが道でなく、道路の善悪は、我々の生活と一致するものであります。故に市内或は農道だけでなく全群島を含みたいと思うものであります。
◎久部良正三君 八重山の現状として政府の政策としてごもっともですが、市内外町の道路もその地区地区に於て、保護管理してゆくのは住民の義務であると思う。それを保持してゆかないのは、住民自体が自己の当然の義務と責任を果たさないのと同じであると思います。
 今後の八重山の産業確立の為に重要視すべきものは、農道、山道だと思います。それに即して、重点的に農道、山道に改訂してゆくのは、必要であると思います。
○工務部長(花城永彭君) 市内を入れてあるのは、市内では学生、生徒も修理できるのでそれも含めてあります。
◎潮平寛保君 政府管理道路もできるので、それは条例で決められるし部落に対しても受持区域を設けて責任をもたしてはどうですか。
○工務部長(花城永彭君) それは良く調査して団体の受持つ区域も決めたいと思います。
◎石垣用中君 道路はつくるのと、修理するのとありますが、時日が経てば、実際に於て悪くなるものであります。
 審査に当っては、作った時にすぐ見て呉れれば良いですが完成後、長い時日を要して審査するとなれば、不合理が来るんではないですか、審査規程の内規でもあればよいと思いますが。
○工務部長(花城永彭君) (第二条の朗読をなす。)土木課員を派遣して委員と協力してやるつもりであります。
◎石垣用中君 与那国等の場合は、これが数回もあればどういたしますか。
 附帯事業がある場合は、それでも良いですが、そうでない場合は審査に要する費用は多大ではないですか。
○工務部長(花城永彭君) 道路の修理状況を見るのは、我々の責任であります。
 各地区に委員を作るのですが、各市町を願うか、或はその面に於ける優秀な人に頼んでやるつもりでいます。
◎潮平寛保君 受持区域を作る話について、こういう場合があります。川良山の道路は石垣市の地域であり、それを使用するのは主として、平得、真栄里でありますが、その管理を何れがするか、その責任のなすり合いをしている様ですが、各地区の受持区域を設定する必要があります。
○工務部長(花城永彭君) 今の案に対しては、審査規程について内規を以て定めます。
◎星克君 当局の意見もあり、群島政府管理、市町管理の区別をつけるのは必要であります。市町に於て自分の道路は自分でするという観念は大事であります。
 政府は政府でやる観念も大事であります。
 市町に属する道路は市町に於て管理補修するという建前から市町に任すのが良いと思います。
 農道などは市町に於てその検査をなし、奨励金、補助金を与へ、その他は市町の責任に於て任せるのが大事であると思います。
 政府道路は政府の道路としてその範囲に於て審査し、そしてそれに対して奨励金を与へるべきであると思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午後四時十五分)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後四時二十三分)本案はもう少し研究して提案する事にして下さい。
 明日は議案第十七号から逐次上程致します。
 明日の感謝状の奉呈は、政府会議室に於て午前九時に致します。
 休会致します。(午後四時二十三分)
○群島知事(安里積千代君) 本日はいろいろと建設的な御意見を有難うございました。(午後四時二十三分散会)

 本日の会議に付したる事件
一 感謝状奉呈について
一 日程第一 議案第二十九号八重山群島政府副会計長及副出納長定数条例制定について
一 日程第二 議案第三十号 八重山群島政府職員定数条例改正について
一 日程第三 議案第十四号 主要食糧需給調整に関する規則制定について
一 日程第四 議案第十三号 道路愛護奨励規則制定について

 出席者は次の通り
議員全員
参与昨日に同じ
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