戦後初期会議録

組織名
八重山群島議会
開催日
1951年03月02日 
(昭和26年)
会議名
第2回八重山群島議会(定例会)[3]
議事録
一九五一年三月二日(金曜日)
 午前十時二十三分開議

議事日程第三号
  午前十時二十三分開議
 第一 議案第七号 治安裁判所の数、所在地、管轄地域に関する条例制定について
 第二 議案第八号 マラリア撲滅に関する取締り条例制定について
 第三 議案第十五号 家畜検疫規程制定について
 第四 議案第九号 公有水面使用料徴収条例制定について

◎議長(潮平寛保君) 開会致します。
○書記長(眞玉橋長要君) (出席議員の報告をなす。)全員出席であります。
◎議長(潮平寛保君) 議案第七号治安裁判所の数、所在地、管轄地域に関する条例制定についてを上程致します。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第七号治安裁判所の数、所在地、管轄地域に関する条例案を朗読する。)
◎群島知事(安里積千代君) 琉球特別布告第三十八号により規定されていますが、各群島政府でその数、所在地を定めるようになっているので提案致しました。
◎二番議員(星克君) 原案どうり可決致したいと思います。
○五番議員(古見石人君) 賛成
◎議長(潮平寛保君) 全員御異議がないようですから施行は公布の日からとして原案可決致します。
 次に議案第八号マラリア撲滅に関する取締り条例制定についてを上程致します。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第八号マラリア撲滅に関する条例制定案を朗読する。)
◎群島知事(安里積千代君) マラリア撲滅に関しては、民政府の特別な援助によりまして、マラリア撲滅に成功しつつある事は、有難い事でありますが、油断をすれば、亦発生するおそれがあります。故に我々群島民は今後も継続して実行の必要があります。従来施行して来たマラリア撲滅取締規則は、八重山民政府マラリア撲滅部として制定されているので、群島政府組織機構により廨庁としてマラリア防遏所が設置されたので従来の取締規則は改めて条例として制定を要したので提案いたしました。従来の取締り規則と異る点は、主として有病地が無病地になっている点、出役日数に若干の余裕がある事、その他は前のものと似ています。
◎一番議員(石垣用中君) 第四条の届出義務者が患者になっていますが、これをはっきりお聴き致したい。
○厚生部次長(三島保夫君) 医師の届出は第三条にあり、それで第四条はその外としてあります。第四条の届出の義務者は患家としてあります。
◎一番議員(石垣用中君) 今の質問をもう少し具体的に話して戴きたい。
○厚生部次長(三島保夫君) 第三条は医者の責任に於てのものであり、第四条は医者のいない場合、医者のいない部落には届出ができないので、患家に責任をもたした。
◎一番議員(石垣用中君) 後の方に罰則があるので、届出責任者が曖昧では罰則はできないと思う。届出責任者をはっきり決めて戴きたい。
○七番議員(久部良正三君) もう少し訂正する箇所もあると思いますから休憩して懇談してはいかがですか。
○議長(潮平寛保君) 御異議はありませんか。
  (全員「異議なし」)
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午前十時三十八分)
  (休憩中に第四条届出責任者につき審議)
  (第五条六項につき審議)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午前十一時三十三分)
  (第四条訂正、第五条の六項訂正、附則は公布の日より施行する。)
 以上の修正をして可決いたしたいが御異議はありませんか。
  (全議員「異議なし」)
◎議長(潮平寛保君) 本案は修正可決致します。
◎一番議員(石垣用中君) マラリア撲滅について審議を遂げましたが最近アメリカの軍医も来られて、群議の中にも医者が居り乍らもう少し予防対策に意を注げなかったと言われたようですが、自分も医者の一人として遺憾に思っています。これには速かに常任委員を置きその対策に万全を期す必要があります。
 現在ジフテリアも蔓延して巷間にも種々取沙汰されているので衛生問題について衛生部長に質問致したいのですが。
◎議長(潮平寛保君) ただ今の一番議員の動議に御異議はありませんか。
◎二番議員(星克君)、四番議員(佐久眞長助君) 異議なし。
○二番議員(星克君) 議案について関係ある部長は参与として議会に出席して貰うようにして下さい。
○議長(潮平寛保君) 承知致しました。
◎六番議員(大山眞整君) 衛生部長が出席するまで九号議案の審議をやってはいかがですか。
◎議長(潮平寛保君) 一番議員の衛生部長に質問の要望ですが衛生部長は今、回診中なので、政府の都合もありますので議案第十五号を上程致します。
○経済部長(眞榮田登君) 議事に入る前に語句の訂正を致します。
  (全文に亙り「防疫員」とあるを「防疫委員」と訂正、別表第一号とあるを第一号を削除、第六条に、「防疫委員は」の次に「政府職員、市町村吏員又は」……を挿入)
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第十五号を朗読する。)
   (家畜検疫規程について)
◎群島知事(安里積千代君) 家畜検疫規程上程の理由を申しあげます。
 家畜検疫の業務は畜産行政上最も重大なる事であり家畜の改良増殖と健康の保持は、畜産業の成否の基因であります。依って本案は、家畜伝染病予防法の趣旨及び同法施行細則又は同法施行心得の立法精神を基調として本群島に適応するよう、立案して上程するものであります。
 本規則の施行が急を要する理由は、沖縄、宮古、各群島内で家畜の法定伝染病である豚コレラ、豚丹毒、豚疫等が発生し、検疫を厳重にしなければならない事、次に琉台貿易の予想せらるる現在、台湾は支那との交通頻繁で、支那は世界的に各種家畜伝染病の巣窟である。従って台湾との取引を考へる場合、全琉の南の門戸として、八重山群島の防疫業務は愈々重大さを加へるものであります。
 以上の様な理由で本案を提出した訳であります。
○議長(潮平寛保君) 本案に対して御異議はありませんか。
◎星克君 群島組織法には家畜検疫をするように定められていますか。
○経済部長(眞榮田登君) 組織法には定められていませんが、畜産業面に於て重大であります。当分の間の緊急処置として制定して置くを必要であると思います。
◎星克君 本案は規程となっておりますが内容は条例の性質であります。条例にする必要があるんではないですか。
○経済部長(眞榮田登君) 規程とした理由は、日本家畜検査法により、そう致しました。そこは議会で適当に御訂正をお願い致します。
○畜産課長(内原英郎君) 一九四七年六月二十二日告示第五十二号に出たのも規程であり、本案は伝染病予防の立法精神から出たものであり、行政官庁としての他群島との道義から、又は技術的良心から検疫を実施するのが常識的である。
 亦全琉的防疫の完璧を期すという面からも本案はそのまま可決して戴きたい。
◎石垣用中君 原案については、提案者の意向に賛成であるが、第三条についてお聴きしたい。
 検疫を受け合格しない場合に如何なる処置をとるか、お聴きしたい。
○畜産課長(内原英郎君) これには二つの処置が考へられます。法定伝染病である場合は伝染病取締法規に基いて消毒、隔離、殺処分等、一切の防疫を実施致します。
◎石垣用中君 例へば島内の或地区から豚嚢虫が入る場合はどういう処置をとるかお聴きしたい。
○畜産課長(内原英郎君) これは法定伝染病でないので、法規による強制執行はできませんが人間的に又は政治的に之を解決致します。豚はどうせ俎にあがるのが最期であるから屠殺場に於て獣医によって厳重に廃棄になる。
 その他農林省に於ても殺処分するようになっていますのでその面も考へています。
◎星克君 本案は誠に適切な規程でありますが、我々議会としては立法権はあっても規程を制定する権能はないので、提案者からは条例としても良いという申出でもありますので「規程」を「条例」として修正可決致したいと思います。
◎議長(潮平寛保君) 唯今の御意見に御異議はありませんか。
  (全員「異議なし」)
◎議長(潮平寛保君) 施行月日は公布の日からとして本案は修正可決致します。
  (議案第十五号家畜検疫規程の制定について)
 午前中はこれにて休憩し、午後は一時三十分から残りを審議致します。休会致します。(正午)
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後一時三十七分)
◎群島知事(安里積千代君) 午前中に一番議員から衛生問題について質問致したい御意向がありましたが御参考までにジフテリア発生に伴ふ問題でその対策及経過を申しあげます。
 まづジフテリア患者の発生状況を統計的に挙げれば一九四六年に五名、四七年に一一名、四八年に六名、四九年に一名、五〇年に四名となっており毎年発生しています。予防注射は、予防法規により生後六ヶ月から十ヶ月の幼児、小学入学前六ヶ月及卒業前六ヶ月の児童を該当者として毎年これを実施すべく明示されているが、統計に表われているのを見ると、一九四六年に群下一円実施、四七年に実施されず、四八年群下一円実施、四九年、五〇年は全然実施されて居らず、今年度は現在群下一円に実施中である。政府としては、引継当初既に血清、予防注射液の常備の必要あるを認め、引継現在(一九五〇年十一月七日血清十七本)予防注射液皆無の状態に鑑み、直に十一月十四日血清の発注を行い、更に十一月二十日には予防注射液五〇〇本を発注したが沖縄での手持在庫少なき為入手できず十二月二十八日更に督促、一九五一年一月四日血清一〇〇本予防注射液六〇〇本の発注をなしている。その後ジフテリアの発生により緊急を要するので二月七日電報で上沖中の厚生部長へ打電の結果二月八日十五本が空輸され、更に一五〇本の空輸があった。予防注射液も一〇〇本入荷し、その後千本の入荷により現在群島一円に渡り予防注射実施中である。
 一月十四日ジフテリア発生届出により直ちに処置し、その後続発の傾向ある為、告示第十一号を発し、十六歳未満の集合場への入場禁止、更に患家の交通遮断を実施し仮病室を設置、罹患者の隔離収容を行い、現在入院中の患者は一七名である。
◎石垣用中君 此の度のジフテリアの蔓延のみならず、一般衛生問題について群議の一人として、亦医者の一人として遺憾に思いますが遅まき乍ら適当なる対策に協力致したいと思います。次に厚生部長は沖縄出張で広い文化の空気を吸われて帰られた事と思いますが、その留守中の責任を誰に任せましたか、亦旅行中にいかなる処置を講ぜられたかお聴き致したい。
○厚生部長(崎山毅君) 今先の知事の御話の内容にもありましたように私が厚生部長に就任して先づ驚いた事はジフテリアの血清が少い事でありまして、ジフテリアは法定伝染病で、伝染病予防法により毎年予防注射を実施すべきのが、四九年、五〇年と二年続けて施行してない事、亦隔離所がない事でした。
 そこで、何時伝染病が発生するか、知れないので、早速血清及予防注射を入手するべく一九五〇年十一月十四日発注した。
 その中にも血清が次々に減じ、十一月に一五本が、一月には六本とだんだん心細くなって参り、その間に於ても再三、再四、当民政官府に伺をたてましたが、沖縄に於けるストックが少いとかでなかなか入手できないので、上沖の必要を痛感致し出張を致した次第であります。
 出張中に於ける責任は三島次長に、病院の方は大濱孫章医師にお願い致しました。
 次に沖縄に於ける行動は、七日の夕方「至急血清送れ」の入電を得て早速沖縄群島政府、宮城厚生部長を訪いましたが沖縄でもなく、更にバクナービルの仲松氏を訪れたら、軍のストック一二本あるとの事で分譲方御願いしましたところ沖縄にも散発しているので、全部はできないとの事で五本は分けて戴き、その他いろいろ連絡をして戴き米陸軍病院より一〇本戴き、合せて、一五本を交渉して空輸して戴いた。その後に電報して私は流行中はなるべく予防注射よりも血清が大事であると思って軍に願って一〇〇本分けて戴き八洲丸に積込んで送付致しました。
 その後更に血清送れの電で一五〇本沖縄についたので一〇本を沖縄に残して一四〇本を空輸して戴いた。
 その後亦、予防注射液八〇〇本送れの電に接し、宮古へ一〇〇〇本いっている旨知事へ連絡致しました。
◎石垣用中君 唯今の話では、大濱孫章医師が出張中の責任を委され、出張中に於てはジフテリアの予防注射及血清の処置についていろいろ御奮闘して戴いた事は感謝致しています。
 なほ薬液の少いのは知っているし、更に沖縄にも少い事は知っていながら出張したのはどうかと思う。
 今一番大事なのは患家の消毒、交通遮断、隔離並に予防治療に万全を期す事であると思う。
 沖縄で御奮闘なされた事も大事でありましたが八重山の部下職員を激励の電報でもして呉れればもっと良かったと思う。それに今次の発生に伴い予防対策に万全を期されたかそれをお聴きしたい。
○厚生部長(崎山毅君) いやしくも厚生部の職員として伝染病があり、その届出があれば万全を期さない事は、ありませんでせう。
 届出があって、その対策をやらなかった例がありますか、そういう例があれば、それをお聴き致したい。
◎石垣用中君 発生届出についての予防対策についてお聴きしたい。
○防疫課長(大濱用次君) 発生届出と同時に患家の消毒に駆けつけています。
 予防液が少いために全市民に注射ができないのは遺憾ですが、幸に一〇〇本ありますので、患家及その周辺を実施して参りました。多量に入荷すれば直ちに群島一円に実施致したいと思っていました所幸に入荷したので、現在実施中で、石垣市大濱町の順で、各離島も派遣してやる様に計画しています。
◎石垣用中君 患家の消毒は完全に致しましたか。
○防疫課長(大濱用次君) 発生に伴って寝具、衣類、家屋内外、炊事場、便所等やって参りました。それで完全だと思います。
◎石垣用中君 ラサスペークとかマラリアのDDTの様な散布器がありますが、その使用法はわかりますか。
○防疫課長(大濱用次君) わかります。
◎石垣用中君 話によれば倉庫の隅に散布器具を積み重ねてあり、或は引継当初は破損したのも、破損しているとかの話あるんだが……。
○防疫課長(大濱用次君) そんな事はありません。完全です。使用しています。
◎石垣用中君 隔離状況はどうですか。
○防疫課長(大濱用次君) すぐには致しませんでした。その後蔓延の徴候にあったのですが隔離所がないので時期を見てやった方が良いと考へていました。
○厚生部長(崎山毅君) 実は伝染病が発生すれば、隔離所を設けて隔離するのが本当でありますが、隔離所もないし、ジフテリアが発生しても、従来の慣習として患者は医者から医者へと方方へ持廻っていたものと思います。
 大人は保菌者でも抵抗力が大であるので、その大人の故にも多数の患者を出したんではないかとも思われます。
 隔離所がない為に隔離すべきものもできず消毒のみをしていたが、その為にも影響はあった事と思うのであります。此の際に隔離所は是非必要でありますし、議会に於ても八重山の衛生の為隔離所を設けて戴く様御協力方御願い致します。
◎石垣用中君 話は別になっていると思う。それならば前政府は隔離はしなかったんですか。
○厚生部長(崎山毅君) 従来は隔離されていなかったと思う。その為にも、蔓延の一因となったと思って遺憾に思っています。
○石垣用中君 前政府は隔離していました。完全ではなかったですが、現在の隔離状況はどうですか。
○防疫課長(大濱用次君) 隔離するまでは、患家の交通遮断をしていました。患者が子供であるので、家族にも外に出さないようにし巡視もしていました。
◎星克君 従来は、法定伝染病が発生したときは、その対策につき一般に周知徹底せしめて来た。これは大事な事であり責任ある厚生部から発すべきだと思う。私の見落しか知れませんが、新聞紙上にも出てないようである。私の部落では、どうするかと聞きに来る。亦映画館の状況は子供の入場が多い。告示はされていますが、履行されていない様ですから今からでも一旦出された告示が十二分に履行される様に努力して戴く様希望致します。
○副知事(當銘正友君) 二番議員に申し上げます。唯今二番議員は住民への周知徹底方について新聞紙上でもその対策につき発表指導しないと申されましたが、ジフテリアが発生し、散漫のおそれがありますので、新聞により記事登載し一般へ、その予防対策につき警告を発してあります。その原議を朗読します。
  (二月九日登載新聞記事の原議を朗読する。)
 一番議員にお伺い致します。
 予防注射の有効期間は何年ですか御尋ねします。将来の政府の衛生対策上の参考に供したいと思います。ちなみに四九年度、五〇年度と二ヶ年に亙り予防注射を施行していませんが医学的見地から御意見を拝聴致したい。
◎石垣用中君 一ヶ年から半ヶ年位の免疫期間です。
 過去においてできなかったのは、何べん発注しても来ない様な状態で、患家の周囲の消毒その他をやっていました。
 更に防疫課長に質問致します。
 今度の感染経路は調べましたか。
○防疫課長(大濱用次君) 沖縄あたりからきたんではないかと思います。
○厚生部長(崎山毅君) 現在のジフテリアは散発であり、それから見ると従来の八重山の状況からして隔離ができていなかったのでその関係で大人が保菌し、その大人が方方にまいていたんではないかと思います。それが気候により発生したんではないかと思います。外からの入病は、医学的に考へてもそうでないと思います。
○石垣用中君 防疫課長の意見と異りますが……。
○厚生部長(崎山毅君) 防疫課長は専門でないので……。
○石垣用中君 それでは、従来は不真面目であったという事ですか。
○厚生部長(崎山毅君) 大人の保菌者がいたんではなかったかと思っています。
○石垣用中君 一〇年も二〇年も前からなかったのが、保菌者がいて、不幸にして今回は発生したという事ですか。
○厚生部長(崎山毅君) 伝染経路が他からでないので、そう考へられます。
○石垣用中君 学理的による発生として潜伏的による発生といわれましたが留守中に於ける検疫所の仕事は、どうでしたか。
○厚生部長(崎山毅君) 材料の不備、その他設備、医者の少いために、早急にその予防対策に万全を期し得なかった事を残念に思います。
 今後は、あらゆる方策を講じて良くして行きたいと思います。
○石垣用中君 アメリカの軍医は、その予防対策につき、君等ではできないと言ったとの話しがあるが、ほんとうか。
○厚生部長(崎山毅君) そんな事はない。学理的に考へて潜伏していたのが発生したと思っています。
○石垣用中君 黒島信二等は嘱託ですか。
○厚生部長(崎山毅君) そうであります。
○石垣用中君 前政府の職員では有能な人でも致し方がないという事ですか。
○厚生部長(崎山毅君) 厚生部職員は皆有能です。どちらが有能であるか、試験して見ては……。
◎石垣用中君 要するに前政府とか、何とかは別として、隔離が不十分で蔓延したんではありませんか。
○厚生部長(崎山毅君) 散発の度合、箇所等を考慮しても、前の発生を見てもつまりこう云う大爆発は、保菌箇所に於て菌が時候により大流行はあるものであって、各離島は直接の関連はこないと思います。
◎石垣用中君 マラリア撲滅状況についてお聴き致したい。
○厚生部長(崎山毅君) 従来のを踏襲して実行しています。
 冬季は患者の少い条件が備わっておりアテブリンのストックも少くなっているのですが、幸にして冬季に二名出たのみであります。それは、大原、由布の感染経路です。
◎石垣用中君 噂ですが、似非医者がいるとかですが、取締りをして貰いたい。
○厚生部長(崎山毅君) それは医師法違反です。そういうのがおれば取締りませう。
○石垣用中君 与那国でそれが検梅をやっているとかの話がありますが。
○久部良正三君 それはどう云ふ事ですか。
○石垣用中君 医者はいるけど、非医者がやっているとか……。
○衛生課長(三島保夫君) 与那国支所長仲嵩医師がやっている様な報告は来ています。
◎石垣用中君 今回のジフテリアの発生に伴って、アメリカの軍医の予防対策に努力するのを見ると、私としても申し訳がないと思います。又厚生部でも責任がないでもないし、今後も防疫方面にもより注意を進められ、その他の衛生問題についても万全を期して戴きたい。
○群島知事(安里積千代君) いろいろと御質問や御注意を得て誠に有難うございました。ジフテリアが蔓延した事は政治の責任者として郡民に対して申し訳ないと思っています。
 ただ願いたいのは、目に見えない伝染病に対して人事をつくすのですが、これは厚生部だけの問題でなく群島民全体の協力が完全であって望ましい。
◎佐久眞長助君 ジフテリアに対する予防注射は発生市町は厚生部でやっているのですか。
○衛生課長(三島保夫君) 本則として各市町で実施しています。然し厚生部としても手分けしてやっています。
◎議長(潮平寛保君) 大体に於て質疑はつきた様ですから議事の進行を致します。議案第九号公有水面使用料徴収条例制定についてを上程致します。
◎六番議員(大山眞整君) 第二条の使用料は現在徴収していますか。
  (工務部長(花城永彭君)説明をなす。)
◎星克君 従来公有水面は国有だったと思います。
 組織法には、財産に対する手数料の徴収でありまして公有水面は群島政府の財産ではないはずですが。
○工務部長(花城永彭君) 私は領海であると思います。
○大山眞整君 等地(ママ)の徴収はあるんですか。
○工務部長(花城永彭君) あります。
○企画課長(宮良英副君) (使用料徴収条例の前政府時代のを朗読する。)参考に供します。
◎星克君 その当時は組織法にはないので郡の財産として徴収して来たと思います。現在は組織法により徴収できないと思います。
○企画課長(宮良英副君) 市町の河川は市町有か、或は群島政府に入るべきか、どう考へておられますか。
○星克君 従来は市町有ではありませんでした。その使用は農林大臣か、誰かの許可を受けてやっていました。
○企画課長(宮良英副君) その当時の大臣は群島政府と看做してよいではないですか。
○二番議員(星克君) 昔は国家の事務として地方長官がその委任を受けて執行していました。組織法により、その当時の法規は廃止になっています。安全な方法として組織による徴収の範囲で限定した方が良いと思います。
  (企画課長(宮良英副君)それに対する説明)
◎星克君 前政府と群島政府とは趣を異にしています。
 前政府は軍の代行機関であり、群島政府は法人である。前政府ができれば今もできるという事はあり得ない。
 組織法の範囲内でなければできないと思う。
○工務部長(花城永彭君) 組織法には、三マイル以内は領海とありますが、それを認めて戴けば、問題は簡単に片付くんではないですか。
○副知事(當銘正友君) (組織法第一条の朗読をなす。)布告、命令に反しない限り現行法規として適用すべき法の根拠はあると思います。
  (組織法第二条の朗読をなす。)
 これは群島政府が地方の行政事務の執行を意味していると思います。それにより知事が、その権能はあると思います。
◎星克君 領海の問題ですが、それは地域を明示したものであり、所有権を規定したものでないと思う。
 組織法第一三四条の条文の示すものからが使用料を徴収するという事である。領海は八重山民政官府外国財産管理官の権能下にあると思います。もう少し研究してはいかがですか。
○副知事(當銘正友君) 三マイルまでは群島政府の管理となれば、明かではないですか。
◎石垣用中君 そうなれば財産と看做してよいですか。
  (副知事(當銘正友君)その説明)
◎星克君 使用料を徴収する事は財産であるとはっきり示されていないと徴収できないと思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午後三時十五分)
  (休憩中に於て公有水面の所有権問題について審議)
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後四時)四時(議会終了時刻)になりましたので時間の延長を致します。休会致します。
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後四時十八分)
◎星克君 当分の間、前政府の徴収してたような方法をとって貰って研究の上善処して貰いたい。
○副知事(當銘正友君) 施行されていた法は別として、議会の議決を要するものは、それを経て施行していきたいと思っています。
 又議会からも、その要求がありまして、政府としましてもその面に努力しているものであります。
 使用料を徴収するについて前政府の規定を踏襲して徴収する様にとありましたが、できるだけ条例を認めて戴きますよう更に要望申しあげます。
◎古見石人君 政府としても本案については良く研究して提案した事と思います。休憩中に於ても、いろいろ審議致しましたし、本案は原案どうり可決を希望するものであります。
○副知事(當銘正友君) 管理権はあるが、公有水面埋立法により、その使用料は徴収して良いか、どうか研究の要ありと言われましたが、政府と致しましては、法の精神をよく汲んで提案をしたつもりですが、この案の決定後その点を良く民政官府へも申告致したいと思います。
○議長(潮平寛保君) 条例を定めて、前政府の規定を踏襲するんですか。
○石垣用中君 当分の間そうありたいと思います。
○大山眞整君 休憩中の懇談によりますと、組織法第一四五条により徴収は、良いようにも考へられるのですが、吾々の自治と混同するかどうかを研究して見る必要があると思います。
◎潮平寛保君 本案は最後にやって戴き、それまでに民政官府にうかがって、その上で審議致してはいかがですか。
○佐久眞長助君 三番議員の案に賛成致します。
○副知事(當銘正友君) ありがたうございます。それで法規上どう云う点が明かでないか、はっきり、お聴き致したいのですが。
○星克君 公有水面が群島政府の財産と認めてよいかどうかと云う事です。
○副知事(當銘正友君) 公有水面が群島政府の財産であるか、どうかと云う問題でなくて、公有水面埋立法その他関係法令が生きているかどうか、地方長官の権能が、知事に附与されているかどうかによって、解決づけられるものと思います。
 公有水面が群島政府の財産であるかどうかとであればその解決は、むつかしい事になるんではないかと思います。
◎星克君 使用料の徴収は組織法第一四四条にあります。使用料を徴収できるのは、財産である事、営造物である事であり、今公有水面の使用料を徴収して後日になって、民政官府より徴収料をもって来いと言われれば、一層困るんではないかと思います。 財源の関係上、はっきりと法的根拠のあるものにしたいという意向です。
◎議長(潮平寛保君) それでは、本案は後回しに致します。本日はこれで休会致します。明日は議案第十号から逐次審議致します。(午後四時三十分散会)

 本日の会議に附した事件
一 日程第一 議案第七号 治安裁判所の数、所在地、管轄地域に関する条例制定について
一 日程第二 議案第八号 マラリア撲滅に関する取締り条例制定について
一 日程第九 議案第十五号 家畜検疫規程制定について
一 衛生問題について
一 日程第三 議案第九号 公有水面使用料徴収条例制定について

 出席者は次の通り
  議 長   潮平 寛保君
  副議長   大山 眞整君
  議 員   石垣 用中君
        星   克君
        佐久眞長助君
        古見 石人君
        久部良正三君
  群島知事  安里積千代君
  副知事   當銘 正友君
  秘書長   仲程 長宗君
  財政部長  崎山 信邦君
  経済部長  眞榮田 登君
  工務部長  花城 永彭君
  文教部長  宮城 信勇君
  厚生部長  崎山  毅君
  警察部長  富本  勉君
  会計長   宮良 永益君
  総務部次長 眞玉橋長要君
  財政部次長 石垣 直文君
  経済部次長 石垣 英政君
  工務部次長 宮良 英副君
  文教部次長 亀谷 長行君
  厚生部次長 三島 保夫君
  法務部次長 野國 昌一君
  運輸所長  仲程 長宜君
  配電所長  神山 長意君
  製材所長 上江田吉次郎君
  畜産課長  内原 英郎君
  防疫課長  大濱 用次君
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