戦後初期会議録

組織名
八重山群島議会
開催日
1951年03月01日 
(昭和26年)
会議名
第2回八重山群島議会(定例会)[2]
議事録
一九五一年三月一日(木曜日)
 午前十時十九分開議

議事日程第二号
  午前十時十九分開議
 第一 議案第一号 八重山群島政府公告式条例制定について
 第二 議案第二号 八重山高等学校学則制定について
 第三 議案第三号 八重山農林高等学校学則制定について
 第四 議案第二十号 教員資格検定規則制定について
 第五 議案第六号 群島政府職員旅費支給条例制定について

◎議長(潮平寛保君) 開会致します。議案第四号、第五号は後回しにして第二十号を第三号の次にもってきて、議案第一号から逐次審議する事に致します。
 議案第一号八重山群島政府公告式条例制定についてを上程致します。
  (書記長(眞玉橋長要君)出席議員の報告をなす。)
○議長(潮平寛保君) 議案第一号八重山群島政府公告式条例については御異議はありませんか。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第一号八重山群島政府公告式条例案を朗読する。)
◎二番議員(星克君) 群島政府公報とありますが、いつから発刊致しますか。どういう計画をして居られますか。
 具体的に言へば、どういう性質のものであり、どういう部面に配本をし、亦無償ですか、有償ですか。
○副知事(當銘正友君) 公報の発刊は四月からなす様に、経費は計上しています。配布先は政府各部、各室、各廨、市町、新聞社、学校、連合会、水産業会、農業会、群島議会議員と計画しています。
 登載事項は、一 布告、布令、指令、覚書、メッセージ
 二 条例、府令、訓令、告示、訓告、辞令その他必要と思われるもの等であり無償配布です。
◎二番議員(星克君) 発刊は月刊ですか日刊ですか。
○副知事(當銘正友君) 必要に応じて随時に発行いたす予定であります。
○議長(潮平寛保君) 外に御異議はありませんか。
◎六番議員(大山眞整君) 本案は二日に亙る休会で皆様もよく研究なされた事と思います。議会に諮って可決して戴きたい。
◎二番議員(星克君) 修正動議を提案致します。第一条には「掲示場に掲示し又は公報に登載するを以て公告式とする」とありますが、条例、府令、規則いづれも掲示の時期が大事であると思います。亦時期によっては有効、無効に大きな関係があるので「掲示場に掲示するを以て公告式とする」としてその次に但書、「八重山群島政府公報に登載するを以て掲示に代える事ができる」とし、もう一つは、掲示場の位置は、全住民に知らしめる必要があるので、「掲示場は、八重山群島政府前に之を設ける」としてはいかがですか。
◎議長(潮平寛保君) 唯今の二番議員の御意見に御異議はありませんか。
○四番議員(佐久眞長助君) 賛成
  (書記長(眞玉橋長要君)修正案を朗読する。)
○議長(潮平寛保君) 附則の施行月日を決めて戴きたい。
○議長(潮平寛保君) 直ちに本日から施行してはいかがですか。
○四番議員(佐久眞長助君) 決議の日からとしては…。
◎議長(潮平寛保君) 施行月日は決議の日からとして、議案第一号八重山群島政府公告式条例は修正可決致します。
 議案第二号八重山高等学校学則制定についてを上程致します。
  (書記長議案第二号八重山高等学校学則制定案を朗読する。)
◎四番議員(佐久眞長助君) 第一条に普通課程の外商業課程を置くとありますが高等学校として課程を二つ置く事になるんですか。
○文教部長(宮城信勇君) 現在の高等学校とは、いはゆる総合教育であります。しかし職員の関係、経費の関係等ででき得ない状態にあり取敢へず商業科でも置こうと思っています。
◎一番議員(石垣用中君) 普通課程では教科程度の教育でなく、課程程度とするならば、普通課程、商業課程別々のものですか。
○文教部長(宮城信勇君) 普通課程、商業課程二本建です。
◎二番議員(星克君) 高等学校に普通課程、商業課程を設置した場合、生徒及教師の人選、数は調査してありますか、承りたい。
○文教部長(宮城信勇君) 商業関係の教員ならば、いると思います。
 八重山の状況としては、てっとり早く商業関係の設置は、必要であると思料されます。
◎一番議員(石垣用中君) 文教部では、普通科、商業科併置としてありますが、その課程を教科程度にしても良いではありませんか。
○文教部長(宮城信勇君) 職業教育を施すことは、新教育の生命であります。
 職業教育課程の設置について、教育刷新委員会に諮ったら予算があれば、水産、工業も置きたいという意向もあったんですが、取敢えず商業課程の設置をした訳であります。
 尚、現在迄は商業課程としては嘱託をして教授しています。
◎四番議員(佐久眞長助君) 八重山の産業生産という面からはいかがですか。
○文教部長(宮城信勇君) 生産面から考慮すれば、水産、工業が大事ですが、それには、相当の設備を要し将来の問題として、亦生徒の社会に出てすぐに役にたつという面からも商業の方が、八重山には良いと思います。亦八重山の現状としては、これが急務であり現実問題としてできる可能のものと思います。
◎三番議員(潮平寛保君) 八重山の現状では、簿記に通じた人が少いので社会其他実業界は困っている。事実現在の官庁に勤めている人でも簿記に通じない人が多い。簿記については、簿記の専門の学校がある位ですから八重山にも簿記教育をする商業科を設ける事は必要だと思います。
○文教部長(宮城信勇君) 統計により、又生徒の希望、教育刷新委員会でも商業科を置くのが、現状の八重山では、至当なりとして認められるので是非設置して戴くようお願い致します。
◎二番議員(星克君) 琉球四知事会議に於て何か、そういう面に関連する問題はなかったですか、亦各群島に高校を設置してその継続がありますか、或は各群島の高校は併合される等の話はなかったですか。
○群島知事(安里積千代君) 知事会議で問題になっていたのは、教育委員会を設けるというのは、沖縄本島のみに限られていました。
 琉大に教員を養成する科を設け全琉の教員を養成するようになっているようです。
 将来学校の数は、全琉的に考へるべきであると思います。
 その時迄は各群島に於て考へておくべきだと思います。又、私が帰った後に於て文教部長が残っていたから、変った事があれば文教部長から話があるでせう。
○文教部長(宮城信勇君) 近い中に中央政府が設置されれば、文部省の様なものになるのが適当でせう。或は全琉球教育委員会ができるかも知れません。その時に於て、高校の問題も考慮される事でせう。
○工務部次長(宮良永(英カ)副君) 今後の八重山の職業教育は大事であります。
 現在必要なものは、簿記、語学、タイプをやって貰う専門知識を得る人が望ましい。そういう意味から、八重山では差当り、商業科が置かれる事は重大な事であります。
 尚状況によっては、水産、工業ができた場合はそれに合併されなければならないでせう。差当り八重山では原案による普通課程、商業課程は必要に迫られたものであります。とにかく商業科を設置する事は大いに必要な事だと思います。
○財政部長(崎山信邦君) 普通課程及商業その他の課程を置くと云うふうにしてはいかがですか。
○議長(潮平寛保君) 唯今参与からその他の課程を置くと云はれましたがいかがですか。
◎六番議員(大山眞整君) まとめて云へば、学校は年々成長して行くものである。本年度は、そのままにして、職業科はその都度必要に応じて増やしては。
○議長(潮平寛保君) 唯今の御意見に御異議はありませんか。
◎二番議員(星克君) 商業課程にしても教育基本法に決められているので、少くとも三年を基とする年限から現状維持に普通課程は止め、建前は普通高等学校にした方が良いと思います。
○文教部長(宮城信勇君) 高等学校教育の目標は、総合教育を施すにある。実社会に於て実務に携わり、その部門に有用な人材を作るのが、高等学校の使命でもある。でき得るならば、職業科目を置くのが大事だと思います。参考までに申し上げますと、沖縄では、英語よりも職業科目に重きを置いてあります。
◎一番議員(石垣用中君) 普通科目の外に商業科目を置きたいと言われますが、むしろ高等学校では教科程度でやって、農林高等学校で職業面の教育をやっては・・。
○文教部長(宮城信勇君) 今までの高等学校のいき方は偏在であった。それで今後高等学校を卒業するのは、すぐ就業できるというふうに職業学問を身につけてやるのが高等学校に商業科を設置する所以であります。
○一番議員(石垣用中君) 農林高等学校の生徒人員等に困らないように両校にらみ合せてやって貰いたい。
○文教部次長(亀谷長行君) 教育刷新審議会に於ても、その件について審議がありました。
 此の問題は審議会に於て、十分なる研討(ママ)と愛護とを加へていけば、御心配はないと思います。そういう面における問題は学校当局に任せて戴きたいと思います。
◎六番議員(大山眞整君) 皆様の御意見はいろいろですが、子弟の教育、時勢に適応した教育からも大事な事であると思います。
 子供の向学心という面からも職業科の設置は、はっきりした目標を示した勉強ができる事と考へられます。
 商業科の設置については政府の提案の趣旨もよく解りましたし、六番議員としては、訂正をせず、原案で可決して貰いたいと希望致します。
◎五番議員(古見石人君) 唯今の御意見に賛成致します。
○議長(潮平寛保君) だいたいに於て論議もつきた様ですし、原案通り可決するか、普通課程のみにするか。
 普通課程のみでは、学校としては新教育の精神から困るんですが、いづれにいたしますか。
○文教部長(宮城信勇君) 普通課程のみでは困ります。
 新教育法高校の使命に反する事になります。原案通り可決をお願い致します。
◎二番議員(星克君) 普通教育という見解がせまいではありませんか。
 教育基本法によって高等学校は普通教育を指しているんではありませんか、普通のみで良いと思います。
○社会教育課長(大田正吉君) 普通科目、職業科目につき具体的説明をなす。
◎二番議員(星克君) 日本はどうか知れませんが八重山に於ては、教育基本法によって運営すべきであります。
 農林高等学校に比べて高等学校への入学志望者が多いというのは両高校相マッチして行く為に一考すべきでありませう。これには職業と普通と別々にしてあり、八重山は普通課程の高校であり、専門であるとすれば、教育基本法から決めてはいかがですか。
  (社会教育課長(大田正吉君)八重山高等学校法朗読説明をなす。)
○議長(潮平寛保君) 原案通り賛成の方は挙手をお願い致します。
  (五番議員(古見石人君)、六番議員(大山眞整君)、三番議員(潮平寛保君)三名挙手、原案賛成を表明す。)
○議長(潮平寛保君) 普通課程の外職業課程を置くにしたい方。
  (二番議員(星克君) 一名、賛意を表明す。)
○議長(潮平寛保君) 普通科のみとしたい方。
  (一人もなし)
◎四番議員(佐久眞長助君) 私は普通課程及び商業課程と致したい。
◎六番議員(大山眞整君) 「普通課程の外商業課程を置く」と「普通課程及び商業課程を置く」の区別を説明して戴きたい。
◎二番議員(星克君) 唯今の採決によりますと普通課程及商業課程とありますが教育基本法によって定めるのが本則であると思う。普通課程及び商業課程を置くと教育基本法と矛盾するんではありませんか。
  (群島知事(安里積千代君)教育基本法について説明をなす。)
◎二番議員(星克君) それは不賛成です。六・三・三制度によって生徒が入学校を選ぶとき、農林高等学校と高等学校と二つあるその場合高校にのみ商業科目を置くならば、水産、工業方面の一般的専門を選ぼうとする人は希望をせばめられる。故に此の問題は、教育委員会の慎重なる審議及び生徒の向学志望によって選択すべきであると思います。
○議長(潮平寛保君) 一番議員(石垣用中君)はいづれに賛成なされますか。
◎一番議員(石垣用中君) 全員の意見は一致していると思います。唯語句の問題である。高等学校に普通課程及び商業課程を置くとありますが、むしろ農林高等学校の方に職業学校として重点を置いて貰いたいと思います。
○議長(潮平寛保君) 七番議員の御意見はいかがですか。
◎七番議員(久部良正三君) 一番議員と同意見であります。新教育法による高校の使命を生かし、その経営を良好ならしむるため、学校当局でその運営方面に専門的課程を置いていただきたいと思います。
○二番議員(星克君) 休憩して懇談致してはいかがですか。
○議長(潮平寛保君) 御異議ありませんか。
  (全員「異議なし」)
○議長(潮平寛保君) 休憩して懇談致します。(午前十一時二十五分)
  (休憩中に議案第二号八重山高等学校学則制定についての審議をなす。)
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午前十一時四十分)
○群島知事(安里積千代君) 提案者から語句の訂正を致します。第一条の「課程の外」を「課程及」と訂正致します。
 第十四条の陸路八キロメートルを一〇キロメートルに致します。
◎議長(潮平寛保君) 議案第二号八重山高等学校学則制定については、原案通り可決致したいのですがいかがですか。
  (全員「異議なし」)
◎議長(潮平寛保君) 議案第二号八重山高等学校学則制定については、原案通り可決致します。
◎議長(潮平寛保君) 議案第三号八重山農林高等学校学則制定についてを上程致します。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第三号八重山農林高等学校学則制定についてを朗読する。)
○議長(潮平寛保君)本案に対し御異議はありませんか。
◎七番議員(久部良正三君) 第一条の専修課目はどうなっていますか。
○文教部長(宮城信勇君) 新学期から専修課程と致します。
○五番議員(古見石人君) 異議なし、原案通り可決に賛成致します。
◎一番議員(石垣用中君) 二十六条、二十七条の「女子の為別課を置く」はどういう種のものですか。
○文教部長(宮城信勇君) 父兄及び生徒の意見もあり、教育審議委員会の審議により従来の一年を二年と致しました。
  (社会教育課長(大田正吉君)別課に関する説明)
◎議長(潮平寛保君) 外に御異議はありませんか。
○二番議員(星克君) 本案は、原案通り可決致したいと思います。
◎議長(潮平寛保君) 別に御異議がありませんので議案第三号八重山農林高等学校学則制定案は原案通り可決致します。
◎議長(潮平寛保君) 議案第二十号教員資格検定規則制定についてを上程致します。
◎群島知事(安里積千代君) 本案については、昨年も校長会議で決議されたものでありますが、案のみであり、これを実施する為に提案致しました。
○文教部長(宮城信勇君) 知事さんも話されましたが全琉的教育委員会の設立する迄暫定的処置ではありますが提案致しました。
  (その他検定制度について説明する。)
○議長(潮平寛保君) 御異議はありませんか。
○四番議員(佐久眞長助君) 検定委員はどんな人がなるんですか。
○文教部長(宮城信勇君) 今準備中です。
○群島知事(安里積千代君) 委員会は別に定めるとありますが、訓令で出す為に準備しています。
  (教員検定委員会草案説明朗読)
◎四番議員(佐久眞長助君) 第十三条について説明をお願い致します。
  (文教部長(宮城信勇君)第十三条について、その説明をなす。)
○議長(潮平寛保君) 休憩致します。(午後零時十一分)
 午後は一時半から開会致します。
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後一時四十八分)
 午前中の残り(二十号)を審議致します。
○四番議員(佐久眞長助君) 休憩して懇談してはいかがですか。
○議長(潮平寛保君) 休憩して懇談致します。(午後一時四十九分)
  (休憩懇談中に教員資格検定規程案審議)
○議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後二時三十分)
○文教部長(宮城信勇君) 第三条に但書を入れて下さい。
 1 (但し必要ある場合は臨時に之を行うことができる。)
 2 附則の「適用」を「施行」に訂正致します。
◎議長(潮平寛保君) 本令は公布の日から之を施行するとして決定致したいと思います。御異議はありませんか。
○四番議員(佐久眞長助君) 賛成
◎議長(潮平寛保君) 御異議がありませんので本案は原案確定致します。
 議案第六号群島政府職員旅費支給条例制定についてを上程致します。
◎群島知事(安里積千代君) 提案の理由を申し述べます。
◎七番議員(久部良正三君) しばらく休憩して懇談が良いと思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩して懇談の動議がありますがいかがですか。
○四番議員(佐久眞長助君) 賛成
○議長(潮平寛保君) 休憩して懇談致します。(午後二時四十分)
  (休憩中において群島政府職員旅費支給条例案の審議をなす。)
◎議長(潮平寛保君) 開会致します。(午後四時二十九分)
 1 六条の挿入「群島政府以外から旅費の支給を受けた者には」を一番上に
 2 一八条修正「……普通旅費の二倍に相当する額とする」
 3 旅費支給表の訂正
 唯今の修正案に対して御異議はありませんか。
◎二番議員(星克君) 附則の施行月日を定めて可決致したい。
◎議長(潮平寛保君) 附則を……公布の日から之を施行するとして御異議ありませんか。
  (全員「異議なし」)
◎議長(潮平寛保君) 議案第六号群島政府職員旅費支給条例案は修正可決致します。
 本日は之を以て休会致します。
 明日は議案第七号から逐次審議する事に致します。(午後四時三十四分)

 本日の会議に付した事件
一 日程第一 議案第一号 八重山群島政府公告式条例制定について
一 日程第二 議案第二号 八重山高等学校学則制定について
一 日程第三 議案第三号 八重山農林高等学校学則制定について
一 日程第四 議案第二十号 教員資格検定規則制定について
一 日程第五 議案第六号 群島政府職員旅費支給条例制定について

 出席者は次の通り
  議 長   潮平 寛保君
  副議長   大山 眞整君
  議 員   石垣 用中君
        星   克君
        古見 石人君
        久部良正三君
  群島知事  安里積千代君
  副知事   當銘 正友君
  財政部長  崎山 信邦君
  経済部長  眞榮田 登君
  工務部長  花城 永彭君
  文教部長  宮城 信勇君
  厚生部長  崎山  毅君
  警察部長  富本  勉君
  会計長   宮良 永益君
  総務部次長 眞玉橋長要君
  財政部次長 石垣 直文君
  経済部次長 石垣 英政君
  工務部次長 宮良 永(英カ)副君
  文教部次長 亀谷 長行君
  厚生部次長 三島 保夫君
  法務部次長 野國 昌一君
  社会教育官 大田 正吉君
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