戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年07月30日 
(昭和26年)
会議名
第9回沖縄群島議会(臨時会)第二部委員会 1951年7月30日
議事録
第九回沖縄群島議会第二部委員会
 (第一日目)
  一九五一年七月三十日
        於政府会議室
  午前十時開会
○委員長(玉城泰一君) 沖縄群島議会委員会設置条例の一部改正によりまして不肖私が第二部委員長の職に就く事になりましたが、委員会の運営に関しては委員各位の御指導御援助を切に御願い申上げるものであります。
○委員長(玉城泰一君) 開会致します。本日の委員は出席七名、欠席二名であります。本日は諮問第八号、議案第六十五号、議案第六十六号、議案第七十号の順に審議を進めたいと思います。
 尚本日の議事進行について御諮り致します。如何なる方法で議事を進行したらよいか御意見を承りたいと思います。
○稲嶺盛昌君 一応休会して慎重研究討議の上本会議を開いて決定した方がよいと思いますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) では休会をして審査をする事に致します。
  午前十時十分休会

  午後一時四十分開会
○委員長(玉城泰一君) 開会致します。
 諮問第八号消防法案についてを議題と致します。本案に対し当局の説明を求めます。
○消防課長(下地寛忠君) 本諮問案の提案の理由を簡単に御説明申上げます。御承知の様に各市町村には消防組織が出来ましたが、其の消防団を活動せしめるための基本法が出来ず其の必要を認め本案を諮問案として議会にはかり軍に提出の上、消防法として施行し消防団の活動を活発にせしむるために成案したのでありまして、主として日本に於ける消防法に沖縄の事情を織込んで焼直したものであります。議会の承認を経まして知事経由軍に進達し軍布令として公布したいのであります。尚軍布令に基いて其の他の細則等は条例を以て制定したいと思うのであります。
○委員長(玉城泰一君) 質疑に入ります。
○玉城泰一君 本諮問案が消防法として施行された場合に於て之に附随する細則条例は何時頃議会に提案される予定でありますか。
○消防課長(下地寛忠君) 九月の議会に提案の予定であります。
○宮城久栄君 第二条の法律用語中第一号、第二号は同じ様に感じますがどう違いますか。
○消防課長(下地寛忠君) 第一号は火災予防から見た対象で、第二号は消防の立場から見た対象であります。
○松本恭典君 消防職員とはどんなものを云うか、隊員とはどんなものを云いますか。
○消防課長(下地寛忠君) 消防職員とは常置員専任職員即ち常勤者を云い、職員以外の者を隊員と云います。日本では警察と消防とは別個の立場にあって消防長、消防隊の長がおりまして消防に関しては警察を指示する立場にあります。
○稲嶺盛昌君 第六条第三項「市町村長は地区警察署長から勧告を受けたときは関係者に対し命じなければならない」とあるが文書でなくてもよいのですか。
○消防課長(下地寛忠君) 文書を以てせよとの規定はありませんが行政行為の立場から文書を以てするものと思います。又それが適当だと思います。
○宮城久栄君 市町村長が移転を命じた場合之に応じない時裁判は如何なる根拠により裁断するか。
○消防課長(下地寛忠君) 先程申上げました近く制定される条例又はその他の関係法規、実状等に照して裁判するのであります。
○玉城泰一君 市町村長の命に従わぬ者はどうしますか。
○消防課長(下地寛忠君) その時は罰則を適用致します。
○宮城久栄君 第十一条の別表の数量、又は三十倍未満の数量とは何れに根拠がありますか。
○消防課長(下地寛忠君) 別表は化学的数量になりますので根拠の説明はむつかしいが種類とか場所によって違うと思います。
○宮城久栄君 第十三条に群島条例の定めるところにより公安委員会の許可を受けるとあるが、消防関係は警察署長でなく何故公安委員会とありますか。
○消防課長(下地寛忠君) 群島組織法第一二四条I号及びK号に委員会の事務として規定されているからであります。
○新里銀三君 第十四条、第十五条の取扱主任、映写技術者とはどんな資格の者であるか。映写技術の有無は誰が認定するのであるか。尚取扱主任者や映写技術者の資格条件等早急に条例で制定して貰いたいと思います。
○消防課長(下地寛忠君) 現在映写技術者の資格の有無に関しては放任された形でありますが、近く条例を以て規定し免許制で行かうと思います。
○新里銀三君 第二十条の水利の基準は公安委員会がこれを勧告するとあるが誰に勧告するか。又水利の基準とはどういうことを云いますか。
○消防課長(下地寛忠君) 市町村長に勧告するのであります。水利の基準とは消防に使う水の量をきめ、又はそれに要する消防器具の整備を意味するのであります。
○宮城久栄君 第二十一条の「市町村長又は地区警察署長」とあるが、前条との関連もあるし、又消防設備の責任者は市町村長にあるから「又は地区警察署長」を削り、責任者を一本立にし、地区署長は助言の立場にして市町村長を責任者にした方がよいと思いますが如何ですか。
○消防課長(下地寛忠君) 第二十一条の「又は地区警察署長」は御意見の通り削除しても差支えありません。
○玉城泰一君 第二十三条の「喫煙の制限をすることが出来る」とあるが実際の場合出来るかどうか。
○消防課長(下地寛忠君) ここで云う喫煙の制限とは火災発生を予想せらるる特定の場所を云うのであります。
○宮城久栄君 本案に「消防隊長」と「消防隊の長」とありますがどう違いますか。
○消防課長(下地寛忠君) 同じであります。
○宮城久栄君 同じであれば一様に「消防隊長」としたら如何ですか。
○消防課長(下地寛忠君) 御意見の通り差支えないと思います。
○稲嶺盛昌君 第三十条第二項についてでありますが、火災の際においてはむしろ強制権を発動するのが適当で「予め協定する」云々はなまぬるいから第三十条第二項は削除した方がよいと思いますが如何ですか。
○消防課長(下地寛忠君) 削除しても差支えありません。
○委員長(玉城泰一君) 尚別に御質問ありませんか。
  (「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○稲嶺盛昌君 本案は休会中においても研究討議をなし質疑も終了しておりますので討論を省略し修正意見を申上げ各位の御賛同を得て可決したいと思いますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
 では修正の個所を申上げます。
 第四条第三行目の「公象」とあるを「公衆」に、第二十一条第一項、第二項中「市町村長又は地区警察署長」とあるを「又は地区警察署長」をそれぞれ削除する。第三十条第二項は全項削除。第二十九条第二項、第三十条、第三十一条、第三十二条第一項、第三十三条、第三十五条中それぞれ「消防隊の長」とあるを「消防隊長」に修正。
 その他は原案通りと致したいのであります。
○委員長(玉城泰一君) 只今の稲嶺委員の御意見に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。よって御意見により作製致しました答申案を朗読致します。
    答 申 案
答申第八号
  消防法案について
一九五一年七月二十六日付諮問第八号首題の件左記の通り削除又は修正する。
右第九回沖縄群島議会の議決により茲に答申する。
 一九五一年八月二日
  沖縄群島議会議長 知花高直
沖縄群島知事 平良辰雄殿
    記
 第四条三行目の「公象」とあるを「公衆」と改む。
 第二十一条第一項及び第二項中「市町村長又は地区警察署長」とあるを「又は地区警察署長」をそれぞれ削除する。
 第三十条第二項は全部削除。
 第二十九条第二項、第三十条、第三十一条、第三十二条第一項、第三十三条、第三十五条中それぞれ「消防隊の長」とあるを「消防隊長」に修正。
 その他は原案通りとする。
○委員長(玉城泰一君) 只今朗読致しました答申案に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) では本案は答申案の通り一部修正の上その他は原案通り答申することに致します。尚最後に関係法規を早急に制定して戴きますよう当局に要望致しておきます。

○委員長(玉城泰一君) 次は議案第六十五号沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例についてを議題と致します。説明を省略して質疑に入ります。本案に対し質疑ありませんか。
○新里銀三君 監視船一隻を購入し三名の増員になっておりますが監視船の過去の実績はどうなっているか、如何なる事件を検挙したか。如何なる理由で増員するか。御説明を願いたい。
○経済部水産課長(ママ)(銘苅清徳君) 増員の理由は密漁取締であります。頻繁にダイナマイトを使って漁場があらされているので現在の一隻では監視が届かないのであります。過去の実績としては漁業取締三十一件(内訳、与那城五件大宜味四件逃げた者四件禁止漁撈五件真鍮類引上げが十件其の他)となっております。
○新里銀三君 駐在員の三名を増員し払う給料と受ける利益と何れが大きいか。駐在員は事実指導しているか。
○経済部水産課長(銘苅清徳君) 水産組合等を指導しております。本庁から出張して指導に当ったらかえってよけい経費がかかります。
○玉城泰一君 糸満ではよく指導している様であります。
○宮城久栄君 与儀試験場は中央政府に移管したということをききましたが、本表に計上してあるのはどういうわけですか。
○人事課長(比嘉幸安君) 中央政府に移管することにはなっておりますが、まだ所属がはっきりしないからはっきりしてから、定数条例を改正する予定であります。六六名の定員の中六名程度は群島の職員のようであります。
○新里銀三君 監視船は一隻で充分だと思います。警察の警備船を協力してやって貰って一隻は本部の海洋高校へやった方がよい。現在海洋学校は一隻の練習船もない状態であります。従って三名の増員も認め難いのであります。
○新里銀三君 企業免許の三名の増員の理由を伺います。
○企業免許事務所長(幸喜克彰君) 無免許業者が多いからその強化をしたいためであります。更にその強化については特に軍も要望しております。尚免許者に対しても増員をして指導強化をして行きたいためであります。一般からの要望もあるし、一般業者の相談相手にしたいと思います。
○新里銀三君 企業と事業とは自から別個の問題で無駄な仕事をする必要はないと思います。特に許可更新のために納税証明書の如く繁雑な事をして一般住民を不便にさせている。業者は納税証明書を取るために税務署に二、三十名も列をなして並んでいる。もっと事務の簡易化をして住民の便宜を計って貰いたいと思います。戦前から一回許可を取れば本人が死ぬか又は廃業せない限り有効であったが何が故に更新とか納税証明書とかをして住民に不利不便を与えているのでありますか。
○企業免許事務所長(幸喜克彰君) 更新する事は現在の過渡期に於て企業の実態を把握するためでありまして、納税証明書は納税思想の普及のためで軍としても要望をしております。
○新里銀三君 実態を把握するために更新することに対しては異存はないが、納税証明書をもっと簡易化して住民の便宜を計って貰う様にして戴きたい。一般民の声も聞いてもらいたい。本員は三名の増員も認めないのであります。
○宮城久栄君 要望を申し上げます。廨庁職員の内容をもっと検討し仕事の軽重も考慮して適正を期してもらいたいと思います。
 尚納税証明書の交付方法並手続の簡素化等も研究し、新里委員の主張する一般住民の便宜も考慮して貰うよう要望致します。
○人事課長(比嘉幸安君) 過渡期で機構の変化もありますので当分困難でありますが次第に落付けば御意に副う様努力致します。
○企業免許事務所長(幸喜克彰君) 民衆の声もよく耳にしておりますので財政部とも連絡の上然る可く御意志に副う様努力致します。
○委員長(玉城泰一君) 討論を省略して表決に入ります。本案は賛否両論ありますので決を採ります。本案に賛成の方は挙手を願います。
  (挙手多数)
○委員長(玉城泰一君) 挙手者多数と認めます。依って本案は原案通り可決致します。

○委員長(玉城泰一君) 議案第六十六号病院及び診療所使用料徴収条例の一部を改正する条例についてを議題と致します。説明を省略して質疑に入ります。御質問ありませんか。
○新里銀三君 水質検査手数料は百円とあるが衛生的見地から五十円にしてかえって奨励をして一般民衆に立派な水を飲ます様にしたがよいと思いますが。
○厚生副部長(大森泰夫君) 本案の手数料は一般を対象としたのではなく業者を対象としたのでありまして尚水質検査は相当面倒なのでこの通りにした方がよいと思います。
○新里銀三君 十六の手術場使用料一件につき五十円以上五〇〇円以下とありますが二〇〇円以下としたら如何ですか。
○厚生副部長(大森泰夫君) 開放病院の手術場を使用する時は単に手術場の使用のみでなく薬品一切、器具機械、看護婦まで全部使うので実費程度であります。
○宮城久栄君 第一条中「病院一日十五円指定病院一日四十五円」を「病院一日二十円指定病院一日四十五円」に改む様になっておりますが「指定病院一日四十五円」には何んら変更はありませんから削除してもよいと思いますが如何ですか。
○厚生副部長(大森泰夫君) 御意見の通り変更がありませんから削除することに致します。
○委員長(玉城泰一君) 尚御質問ありませんか。質疑がなければ討論を省略して、本案は一部修正の上其の他は原案通り可決したいと思いますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って本案は第一条中の「指定病院一日四十五円」をそれぞれ削除し其の他は原案通りとして可決致します。

○委員長(玉城泰一君) 議案第七十号沖縄群島屎尿運搬取締条例制定についてを議題と致します。質疑に入ります。何か御質問ありませんか。
○宮城久栄君 田舎から来て屎尿を汲む者も業者と見做すか。又処罰せられますか。
○厚生部(島袋慶輔君) 反覆して同じ行為をしたら業者と見做します。又罰則は業者を対象としたものであります。
○委員長(玉城泰一君) 尚別に御質問ありませんか。御質問がなければ原案通り可決したいと思いますが、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めまして原案通り可決致します。
○委員長(玉城泰一君) 本日はこれで散会致しまして明日三十一日午前十時本委員会を開きます。
  午後三時四十分散会

第九回沖縄群島議会第二部委員会
 (第二日目)
  一九五一年七月三十一日
       於工務部会議室
  午前十時開会
○委員長(玉城泰一君) 開会致します。本日の委員は出席六名、欠席三名であります。
 議事進行については昨日と同様休会中に於て研究討議の上本会議で決したいと思いますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) では休会をして審査することに致します。
  午前十時三分休会

  午後二時十分開会
○委員長(玉城泰一君) 開会致します。議案第六十八号、沖縄群島興行条例制定についてを議題と致します。本案は本会議において当局の説明は終了しておりますので説明を省略して質疑に入ります。何か御質問はありませんか。
○新里銀三君 第五条の興行時間は十一時限とあるがサンマータイムの十一時では興行に支障ありませんか。事実田舎等では午前の一時頃までやっているようですが、何んとか出来ませんか。
○弘報室長(崎間敏勝君) 時間外の夜間通行が禁止されておりますので法文上では変更出来ません。実際は運用の面においては何んとかしております。
○委員長(玉城泰一君) 第三条の二行から三行目の文句を即ち「特に電気、ガス、火薬その他危険の虞あるもの」とあるを「危険の虞ある電気、ガス、火薬その他のもの」とした方がよいと思いますが如何ですか。
○弘報室長(崎間敏勝君) 御意見の通り差支えないと思います。
○稲嶺盛昌君 第八条についてでありますが、過去における国際劇場又は糸満の災害の例等からして興行人と興行主の責任は双方の習慣的責任にせず、はっきり区別した方がよいと思う。監督の立場からも判然と区別した方がよいと思います。尚一つは伝染病保持者(例えば癩患の如き)の入場を拒む権利を織込むことは出来ないものでせうか。
○弘報室長(崎間敏勝君) 第一の興行人と興行主の責任を条例ではっきり区別する事はよいと思います。従って第八条に興行人を規定し、第九条を新設して興行主を規定することとし、第八条の各号をそれぞれ第八条及び第九条に関係号を附随せしめることにして差支えないと思います。
 第二の伝染病保持者の入場を拒むの件でありますが実際問題としてその認定が困難と思います。
○宮城久栄君 第二条の興行の認可は警察を経由する必要はありませんか。
○弘報室長(崎間敏勝君) 派出所や駐在所等もありますので興行については当然知っているものと思います。
○新里銀三君 第八条第六号の年二回以上大消毒及び大掃除をするとありますが、公衆の衛生的見地から四回以上とした方がよいと思いますがどうですか。又戦前の興行規程とはどの程度の相違がありますか。
○弘報室長(崎間敏勝君) 第八条第六号の二回以上を四回以上とすることは御意見通り差支えありません。次の本興行条例は旧沖縄県令を準用してありまして旧県令はもっと複雑の規程になっておりますが本案はその中から現実に即する必要な条項を取入れてあります。
○新里銀三君 現在の仮興行場はどうなりますか。
○弘報室長(崎間敏勝君) 六ケ月以内に改築せない場合は停止させます。
○稲嶺盛昌君 興行場の建築に様式を示されてないがどういうわけですか(例えば便所はいくつ、喫煙室の坪数、入口、非常口の如く)。
○弘報室長(崎間敏勝君) 御質問の建築様式と申しますか、そういうものは建築条例によって制定せられます。
○玉城泰一君 第十四条第二号の位置を書類上においてもっとはっきりさせるために(三〇〇米以内の見取図)を加え同条第八号の「員数」を「個数」にしてはどうかと思います。
○弘報室長(崎間敏勝君) 御意見の通り差支えありません。
○宮城久栄君 第十八条中「若しくは」「又は」の文句が重複して具合が悪いので第三行目の「若しくは一部の改築修繕又は」とあるを「又は一部の改築修繕或は」に修正しては如何ですか。
○弘報室長(崎間敏勝君) 差支えありません。
○新里銀三君 第二十七条に既設興行場の所在地市町村においては仮興行場の設置が出来ないとありますが、田舎あたりの地方農村の場合、既設興行場があるがために仮興行場の設置が出来ないとしたら距離が遠くて折角の文化に浴することが出来ない場合があると思いますので同条中の「所在する市町村内」を「所在地から四粁以内」と修正して山間僻地の地方住民にも便宜を与えて貰う様に出来ないものかと思います。
○弘報室長(崎間敏勝君) 御意見の通り修正しても差支えないと思います。
○委員長(玉城泰一君) 尚別に質疑ありませんか。
  (「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○宮城久栄君 質問も終了した様でありますし、本員は本案に対する修正意見を申上げ各員の御賛同を得て討論を省略して表決したいと思います。
 修正の個所を申上げます。
 第三条中「特に電気、ガス、火薬その他危険の虞あるもの」を「危険の虞ある電気、ガス、火薬その他のもの」と改む。
 第八条中「及び興行場の経営者(管理者を含む)」を削除し、同条第六号中「年二回」を「年四回」と修正する。第九条として「興行場の経営者(管理者を含む)は、左に掲げる事項を遵守しなければならない」と新条項を加う。従って第八条中の「一、二、五、八、九、十、十一、十二、十四、十六」の各号を第八条に、
 第八条中の「三、四、六、七、十三、十五」の各号を第九条に所属せしめ番号を第八条、第九条共一、二、三の順に置替えること。
 第九条の新条項追加によって第九条以下及び関係条項はそれぞれ繰下げ、第三十一条第二号中「第八条」の次に「及び第九条」を加える。
 第十五条第十二号に(三〇〇米以内の見取図)」を追加し同条第八号中「員数」を「個数」と修正。
 第十三条第四行中「布告第二十三号」とあるを「布告第三十三号」と修正。
 第十九条中第三行から第四行目の「若しくは一部の改築修繕又は」を「又は一部の改築修繕或は」と修正。
 第三十一条第一号中「認可」とあるを「許可」と修正。
 第二十八条中「所在する市町村内」とあるを「所在地から四粁以内」と修正。
 その他は原案通りと致します。
 御賛同を願います。
○委員長(玉城泰一君) 只今の宮城委員の修正意見に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って本案は一部修正の上その他は原案通りとして可決致します。

○委員長(玉城泰一君) 次は議案第七十一号沖縄群島保健所使用料徴収条例制定についてを議題と致します。当局の説明を求めます。
○厚生部(山田親法君) 提案の理由を簡単に申上げます。保健所の建物は出来上りまして水道、電灯の設備さえなれば開始する運びになっております。
 胡差保健所は相談開始をしておりますので使用料徴収条例案を提出致したのであります。尚先般軍に保健所法案を提出致しました処、議会に於て条例を制定して施行するようにと返されましたので次回に於て保健所条例を提案する予定であります。
○委員長(玉城泰一君) 質疑に入ります。
○玉城泰一君 保健所の目的とはどんなものですか。
○厚生部(山田親法君) 公衆の衛生向上を計り主として予防面を担当するのが目的であります。
○新里銀三君 一保健所に何名の職員がおりますか。
○厚生部(山田親法君) 一保健所に医師が四名で看護婦は那覇十五名、北部十三名、中部十五名、南部十五名であります。
○稲嶺盛昌君 第三条の貧困の限界をはっきりした方がよくはないか、貧困とはどの程度の者を云うか、所長は貧困の程度をどう認定するか、この点を御伺いします。
○厚生部(山田親法君) 本条にいう貧困とは被救済者を意味するのであります。所長は市町村長又は厚生員の証明、その他配給カード等により認定するのであります。従来貧困の証明を市町村の区長にせしめたところ証明書の濫発があって実際調査をしたら貧困に相当せない者もいたようであります。
○宮城久栄君 病院の監査でよくわかりましたが貧困の認定は医師の感によって違う様でありますから何んとか当局に於て統一して貰うよう要望致します。
○厚生部(山田親法君) 御説の通り医師の感によって違いますので保健所の会合に於て貧困の限界方法を指示して統一を期していきたいと思います。
○委員長(玉城泰一君) 尚別に御質問ありませんか。
  (「質問なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御質問がなければ討論を省略して本案は原案通り可決したいと思いますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めまして本案は原案通り可決致します。

○委員長(玉城泰一君) 次は陳情第六号について審議致します。何か御意見はありませんか。
○稲嶺盛昌君 本案は休会中に於て内容も検討したし提案者の意見も聞きましたので内容に於て趣旨の変更のない範囲内に於て文案を左の通り修正して本案を可決したいと思います。
 先ず第一に前書の「少くとも現在支給額の二倍に」を削除すること。(削除の理由は) 目下軍に於ても軍労務者の賃銀引上を考慮中のようでありますから額も明示せない方がよいと思う。次に理由一、の第二行目中「その実態」を「その生活実態」と、第六行より第七行目中の「しかし乍ら補給食糧が一弗対一二〇円換算になつた一九五一年七月二十日現在における同じく」とあるを「今回補給食糧の値上以後における」とそれぞれ修正、(理由) 弗対円の比率換算については軍はよく承知の上だから改めて云々する必要はないと思う。
 次は理由二、は全文削除し左の通り書替える。
 二、右の事情御賢察の上この際軍労務賃金を引上げ喜んで軍に協力せしめられる様御願い申上げます。
 (理由)  現在の賃銀に甘んじて喜んで勤務しているのではないとか、又は希望を失っているとかの文句は御願いする方からして強いような感じがする。
 その他は原案通りと致します。御賛同を願います。
○委員長(玉城泰一君) 只今の稲嶺委員の御意見に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って本案は一部修正の上その他は原案通り可決致します。

○委員長(玉城泰一君) 次は真和志村安里区二班玉城正徳外十一名からの「割当土地に関する嘆願書について」を議題と致しますが、本嘆願書と関連して目下法務部に於て割当土地の所有権関係法令の制定準備中の様でありますから参考資料として法務部へ送付したいと思いますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) では左様取計い致します。

○委員長(玉城泰一君) 次は南北大東島からの陳情書を一括して議題と致します。幸い南北大東島の村長外三名の陳情員も見えておりますから一応事情も聴取することに致します。
○南大東村長(当間徳任君) (一応提出せる陳情書通りの説明をなし)最後に
 大東島住民は四十年間永い年月営々として働き続けて一坪の土地も持たず且つ何んの貯えもかえって赤字を背負っている状態でこんなみじめな住民はありません。大東島住民の財産としては地上における建物だけでありましたが、これも戦争のために総てが破壊せられ今や経済的に逼迫しているので土地を買うことも出来ない。この気の毒な住民に対し無償で払下げて貰いたいのであります。吾々住民のみでは日糖社を相手にするということは余りに弱すぎますので民政官府、群島政府、議会の御力を得まして吾々住民に自治の運営と基本的政策の樹立をさせて戴きます様御願い申上げるものであります。
 若し吾々住民の願がかなわなければ大東島は住民の住む島でないと云うことになります。何卒事情御賢察の上よろしく御願い致します。
○北大東村長(与那城苗健君) 只今南大東村長の御説明通り北大東島も同一の歴史と同一の状況、同一の条件下にありまして改めて私よりちょうちょう申上げることを省略致します。
 只南大東と違うところは事業面の相違点であります。御承知の様に北大東は燐鉱七〇万トンもありまして戦後も住民はこの燐鉱業に従事して生計を保持して居りましたが、燐鉱業も日糖社との関係で事業中止になり住民の経済生活は極度に困窮し、離島するのも出る状態に立ち至っております。吾々住民としては一日も早くこの燐鉱事業を再開し、絶海の孤島住民の生活と経済の立直しをさせて戴きますよう切に御願い申し上げるものであります。
○委員長(玉城泰一君) 陳情の趣旨もよく御くみ取りのことと思います。本件に関しては如何なる方法で処理した方がよいか御意見を承ります。
○宮城久栄君 本件に関しては議会として軍と日糖社に対し陳情することにしては如何と思います。
○稲嶺盛昌君 陳情することに関しては御意見通り結構だと思いますが、今のところ日糖社に対しては控えて軍に陳情することにしてはどうかと思います。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御意見によりまして委員長名で陳情案を議会に提出し陳情文は議長一任にしたいと思いますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めまして本議会に陳情案を提出する事に確定致します。
○委員長(玉城泰一君) 本日の委員会はこれで閉会致します。
  午後三時五十分閉会

 一九五一年八月二日
  午前十時十分開会
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十六人、欠席四人であります。

◎議長(知花高直君) 議案の追加提出について知事から議長宛に公文が参っていますので書記長をして朗読いたさせます。
  (書記長「新垣良正君」朗読)

沖総第五一三号
 一九五一年七月三十日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  議案追加提出について
左記理由により第九回沖縄群島議会(臨時会)に別紙の通り議案を追加提出いたしますので議決を得たく送付致します。
    記
 この追加議案は、軍補助金の増額に伴う追加更正予算であつてこれは知事の専決処分事項として指定されておりますが議会開会中でありますので追加議案として提出します。
  (別紙省略)

◎議長(知花高直君) 陳情案の提出について第二部委員長の玉城泰一君及び三番議員稲嶺盛昌君から議長宛文書が参っておりますので書記長をして朗読いたさせます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

  一九五一年八月二日
     第二部常任委員長
          玉城 泰一
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  陳情案提出について
南北大東島の土地所有権認定に関し別紙の通り陳情案を送付致しましたから今期議会に提案方取計われたい。
  (別紙省略)

  一九五一年八月二日
     三番議員 稲嶺 盛昌
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  陳情案提出について
郵便貯金、年金、保険金並びに恩給、諸給与金等の支給方について別紙の通り陳情案を送付致しましたから今期議会に提案方取計われたい。
  (別紙省略)

○議長(知花高直君) 書記をして最終案並びに追加議案を配付いたさせます。
  (書記最終案並びに追加議案配付)

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
  議事日程第十七号
 第一、二番議員、二十番議員請暇の件について
 第二、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
    (知事提出議案第七十二号)
 第三、郵便貯金、年金、保険金並恩給、諸給与金等支給方に関し陳情書を提出することについて
    (三番議員提出陳情第七号)
 第四、南北大東島の土地所有権認定に関し陳情書を提出することについて
    (第二部委員長提出陳情第八号)
 第五、沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例について
    (知事提出議案第六十五号)
 第六、病院及び診療所使用料徴収条例の一部を改正する条例について
    (知事提出議案第六十六号)
 第七、沖縄群島市町村財政調整交付金条例制定について
    (知事提出議案第六十七号)
 第八、沖縄群島興行条例制定について
    (知事提出議案第六十八号)
 第九、沖縄群島道路損傷負担金徴収条例制定について
    (知事提出議案第六十九号)
 第十、沖縄群島屎尿運搬取締条例制定について
    (知事提出議案第七十号)
 第十一、沖縄群島保健所使用料徴収条例制定について
    (知事提出議案第七十一号)
 第十二、消防法案について
    (知事提出諮問第八号)
 第十三、現行税法改正案について
    (知事提出諮問第九号)
 第十四、軍労務者の賃銀改正促進に関し陳情書を提出することについて
    (十二番議員提出陳情第六号)
 第十五、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
    (知事提出議案第六十二号)
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、二番議員、二十番議員請暇の件について
 日程第二、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
    (知事提出議案第七十二号)
 日程第三、郵便貯金、年金、保険金並恩給、諸給与金等支給方に関し陳情書を提出することについて
    (三番議員提出陳情第七号)
 日程第四、南北大東島の土地所有権認定に関し陳情書を提出することについて
    (第二部委員長提出陳情第八号)
 日程第五、沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例について
    (知事提出議案第六十五号)
 日程第六、病院及び診療所使用料徴収条例の一部を改正する条例について
    (知事提出議案第六十六号)
 日程第七、沖縄群島市町村財政調整交付金条例制定について
    (知事提出議案第六十七号)
 日程第八、沖縄群島興行条例制定について
    (知事提出議案第六十八号)
 日程第九、沖縄群島道路損傷負担金徴収条例制定について
    (知事提出議案第六十九号)
 日程第十、沖縄群島屎尿運搬取締条例制定について
    (知事提出議案第七十号)
 日程第十一、沖縄群島保健所使用料徴収条例制定について
    (知事提出議案第七十一号)
 日程第十二、消防法案について
    (知事提出諮問第八号)
 日程第十三、現行税法改正案について
    (知事提出諮問第九号)
 日程第十四、軍労務者の賃銀改正促進に関し陳情書を提出することについて
    (十二番議員提出陳情第六号)
 日程第十五、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
    (知事提出議案第六十二号)
 日程追加 今期議会の会期延長の件   (議長発議)
 日程追加 校舎建築資材について  (九番議員発議)

◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。
◎祖根宗春君 大変議案も多いし、特に追加更正予算など重要な議案もありますし、又第一部委員会に於ても議案第六十二号の追加更正予算についてまだ充分な審査もすんでいないので会期をもう一日のばして今日と明日の二日にわたってやるようにお願いしたいと思いますが……
○議長(知花高直君) 今十四番議員から会期延長の動議がありましたが如何が取扱いますか。後で協議会を開かねばなりませんが、その時にお諮りの上後刻に決めたいと思っていますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御賛成の様でありますから十四番議員の動議については後刻お諮り致すことにします。

◎議長(知花高直君) 日程第一の二番議員と二十番議員の請暇の件についてを議題と致します。今期議会は一週間を越えていますので議会会議規則第五十三条で議長は七日を越えない議員の請暇を許可することが出来るのですが七日を越えるものは議会に於てこれを許可することが出来るとなっています。両議員から請暇願が出ております。皆さんの御承認を得て許可することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って二番、二十番両議員の請暇の件許可することに可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第二の一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について知事提出議案第七十二号を議題と致し、当局の説明を求めます。

議案第七十二号
  一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
群島組織法第百五十九条の規定に基き一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算を別紙の通り定めたいので議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年七月三十日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 (別紙は一九五一年十月四日付沖縄群島公報第四十二号に登載済に付省略)
 (注 二三二頁に掲載)
◎財政部長(仲宗根秀俊君) 只今議題となりました議案第七十二号の一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について説明申上げたいと思います。本追加予算は一九五一年六月十六日付示達二十八号、七十六号をもってアメリカ民政府から工務部に対し補助予算の示達があったのであります。その内訳は庁舎建築費(四棟)、書類倉庫費五百七十三万七千五百四十円、公共施設資材購入費千八百四十二万三百六十円、計二千四百十五万七千九百円の追加示達があったのでありますが、先に提出した議案第六十二号編成後に令達を受けたので、これを別個に提案した次第であります。本案については知事の専決処分にして差支えないと思いますが議会開会中でありますのでここに本案を提出したのであります。よろしく御願いいたします。
◎議長(知花高直君) 議案第七十二号は審議未了のままにして、日程第三の郵便貯金、年金、保険金並びに恩給、諸給与金などの支給方に関し陳情書を提出することについて三番議員提出の陳情第七号を議題と致し、提案者の説明を求めます。

陳情第七号
  郵便貯金、年金、保険金並恩給、諸給与金等支給方に関し陳情書を提出することについて
 郵便貯金、年金、保険金並恩給、諸給与金等支給方に関し日本政府及衆、参、両院に促進方の陳情書を提出致し度く議会の議決を得たいので提案する。
  一九五一年八月二日
    三番議員 稲嶺 盛昌
     記
 陳情文は議長に一任
◎稲嶺盛昌君 只今の陳情第七号の提案理由を御説明申上げます。さる三月日本の郵政省から三事務官が来島して、郵便貯金や年金、それから簡易保険、恩給の調査を詳細に行って帰っております。目下郵政省ではその整理に着手中で、その統計は近くはっきり発表されるものと思われます。
 日本の郵政省のこういう調査は近い中に貯金や年金、恩給などの支払いが開始される前提としてわれわれとしても期待している次第であります。又日本政府の公務員で恩給の既得権並びに恩給有資格者の調査も我が沖縄群島の係官の方で充分調査して別紙のように統計が出来ているわけです。時間の都合で別紙は読上げませんが恩給に関しては、これまでも群島政府としてはアメリカ軍当局を通じてその支給方を極東軍司令官に陳情しましたが今まで実現しなかったことは実に遺憾に堪えません。特に恩給受給者の終戦後の生活状況はまことに気の毒なものであります。戦前数十年の間この恩給で老後の生活が最低限でも保障出来るという期待のもとに永い間一生懸命働いた人々が今日その恩給が貰えないで困って惨めな生活を終戦後五、六年も続けているのは洵に同情に堪えないものであります。
 近く講和も開かれ、こういう重要問題の解決がなされることは想像出来ますが我々群島議会としてはこういう重要問題を取上げて議決をもって議長名で日本政府や衆参両院に対して陳情して給与金の早期支給方について促進致したいと思って実は提案したわけであります。よろしく御審議のほどお願い申上げます。
◎議長(知花高直君) 陳情第七号は審議未了のままにして、日程第四の南北大東島土地所有権認定に関し陳情書を提出することについて第二部委員長提出の陳情第八号を議題と致します。提案者の説明を求めます。

陳情第八号
  南北大東島土地所有権認定に関し陳情書を提出することについて
南北大東島の土地所有権認定について陳情書を提出致したく議会の議決を得たいので提案する。
  一九五一年八月二日
   第二部委員長 玉城 泰一
    記
 陳情文は議長一任
◎玉城泰一君 この問題については議会第一日目の本会議で書記長から陳情文を朗読した通りでありまして皆さんがよく御存知と思いますが、なお委員会当日両村の村長が直接われわれ委員会に訴えたことによると、両村の土地所有権問題は生活上極めて深刻な問題と考えまして委員会としても議会の名に於て民政副長官に対し陳情文を提出することに致しまして陳情文は議長に一任することに意見が一致したのであります。皆さんの御賛同をお願いします。
○議長(知花高直君) 陳情第八号は審議未了のままに致しまして…
◎新里銀三君 三番議員の提案も大体九番議員と同じ趣旨でありますので審議未了でなくすぐ可決したらどうですか。
◎議長(知花高直君) 今日でやる積りです。日程第二、第三、第四の三議案は今日提出されていますので議員としても慎重審議の必要もあると思いますので、又他の委員会付託の案件も大体更に検討を加える必要があると思いますので、これから更に議案の研究をする意味で午前中は休会致しまして午後一時に本会議を再開致します。
  午前十時三十五分休会

 一九五一年八月二日(木曜日)
  午後一時六分開会
○議長(知花高直君) 開会致します。出席十六人、欠席四人であります。まだ議案を研究しなければなりませんのでこれから暫時休会致します。
  午後一時七分休会

  (午後一時二十分具志頭得助君出席)

  午後一時三十六分再開
◎議長(知花高直君) 開会致します。日程第二の一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について知事提出議案第七十二号は、先に提案致しました議案第六十二号と関連致しますので審議未了のままと致します。

◎議長(知花高直君) 日程第三、三番議員(稲嶺盛昌君)提出、陳情第七号を議題と致します。質疑を省略して討論に入ります。これに対して御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って陳情第七号は原案通り可決確定致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第四の第二部常任委員長提出陳情第八号を議題と致します。質疑を省略して討論に入ります。御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って陳情第八号は原案通り可決確定致します。

◎議長(知花高直君) 日程第五の知事提出議案第六十五号、沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例についてを議題と致し、第二部委員長の審査結果の報告を求めます。
◎玉城泰一君 御報告申上げます。結果を先に申上げます。無修正で原案を可決致しました。経過の大要を申上げますと、新里議員から税務署と名護の畜産課の増員は認められるが、企業免許事務所と監視船一隻購入のための増員は認められないとの意見がありました。その理由とするところは企業免許事務所は余計な仕事をやっているからいそがしいのである。企業免許の際に納税証明書を添付させてこれを調査しているけれども、この仕事は税務署の仕事を手伝っているようなものであるから、これをしなければ増員の必要はないという意見でありました。又監視船の増員については、警察には警邏船があるから密漁者はこれで取締って十分である。故に監視船を増す必要もなければ増員の必要もないという御意見でありました。これに対し原案を支持する委員の意見は、企業免許事務所の増員の理由は事務所内にいて事務を執る人の増員ではなくして無免許業者を取締るための外勤であるから増員の必要がある。又監視船の増員についても、終戦後近海が非常に荒れている。ダイナマイトを使用するために大分魚が減っている。尚鰹業の餌になる小さい魚「スルル」の如きものは獲ることを禁じているにも拘らず、これを密漁するものが沢山ある。その餌がないために鰹業が不振に陥っているような今日の状態に鑑みて、これらの密漁者を厳重に取締る必要があるから増員に賛成であるという意見が対立したが、結局採決の結果は原案通り可決になりました。
 尚宮城委員から各廨庁の仕事の分量は現在定員数とも比較研究して見てある廨庁はせわしく、ある廨庁は楽であるというようなことがないように十分考慮していただきたいという要望がありました。以上であります。
○議長(知花高直君) 只今の委員長の報告に御異議ありませんか。
◎新里銀三君 監視船一隻の増員を認めない理由をもう少し具体的に申上げます。
 四月一日以降監視船が一隻あるようでありますが、この監視船は六月十七日迄仕事をしていない。理由は六月十八日から二十一日まで警察の警邏船八隻、くり船四隻がこの監視船一隻とともに全沖縄の監視をした結果、三十一件を検挙したことを水産課が報告をしている。更にそれ以外に警察で七月二十八日から二日間にかけて警戒致しまして十五件を検挙しております。これから見てむしろ一隻では仕事をやりきれない。多数の協力を得なければ出来ないというような状態であるので独自の船は認めないでむしろそれよりは海洋高等学校に船一隻、練習船が手に入れば実業学校として名実共に立派な学校が出来ると思うのであります。それでむしろ経済部と致しましては自分で警戒するよりも海上取締の任にある海上保安課にお願い致しまして八隻もあるのですから、この八隻で十二分だと思うのであります。それでむしろ海洋高等学校にこの船を譲って、そして警察の方にもっと積極的に御協力して貰って爆発物、密漁或は劇薬の使用を取締って貰った方が全沖縄の立場から考えた場合に非常に有利だと思うのであります。その意味から本員は反対したのであります。五番議員(石原昌淳君)は実業学校の工業高等学校というような設備の不十分なることを指摘しておりますが、それは農林高等学校と致しましても商業高等学校に致しましても実業学校として名ばかりでありまして、実際の練習訓練をするところのすべての備品やその他の設備がないために学校の名だけであって、これが何ケ年間を過して卒業した場合に果してすぐ社会に於て活動出来るかどうか疑問である。むしろそれよりは経済部が別の方面に力を入れて、もっと生産方面に力を入れて、この生産方面の障害となるべきものは取締専門の警察に委任すべきであると思って、この案を否定したのであります。
○経済部(ママ)水産課長(銘苅清徳君) 只今の新里議員の監視船の増員、それから新造についての不賛成の御意見が出ておりますが、それについてお答え致します。監視船は一隻あるけれども仕事をしておらんということをいわれた。それは今度三日間に亙って警察と我々が協力して実際取締をしたところ先ず二十六件の容疑者を挙げた。それによって見ると平生は監視船は何もやっておらないじゃないかといわれたのでありますが、今監視船は一隻ありますが、これは本部或は那覇を基地として、それを中心として廻っている訳であります。何故かと申しますと、沖縄の漁業の最も重要なるものは鰹でありまして、まず餌の確保、これが大事であります。この方面に力を注いでいる結果、そこに手不足を生じている訳であります。何も監視船を持っていて仕事をしておらんということには当らんと思います。もう一つ警察の船がそれに当る。成程御尤もであります。警察には七隻の船があります。それを調べて見たが那覇と本部にある船は離島方面に廻りますが、後の船は本島内外の小さな島しか廻れんという状態であります。それで、これだけの離島をもち或は遠くまで出なければならない監視には手が廻らんのでありまして、これは警察の方も認められている。それから警察の船は専ら漁業の取締だけに使われるということも考えられない。その外にも任務があろうと思います。戦前平時の状態に於て普通の取締を実施致しますというと、それは警察の船でも十分でありますが、戦後はこういう風に非常に海上の輸送が混沌としておりまして、警察の船は、その方に終始出来ないということも御承知であろうと思っております。そこで我々は一方の海岸を廻ると一方が手薄になるという状態でどうしても後一隻増して東海岸と西海岸に一隻づつ配置して従来の鰹の餌の確保ともう一つは沿岸の雑魚の保護繁殖に努めたい。こういう意味で一隻を要求したのであります。
◎議長(知花高直君) それでは委員長の報告通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って委員長の報告通り原案可決致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第六の知事提出議案第六十六号を議題と致します。委員長の審査結果の報告を求めます。

 修正案
  病院及び診療所使用料徴収条例の一部を改正する条例案
 (一九五一年八月六日付沖縄群島公報第三十二号に登載済に付省略)
 (注 二二二頁に掲載)
◎玉城泰一君 御報告申上げます。第一条中の賄料病院一日十五円、指定病院一日四十五円を病院一日二十円、指定病院一日四十五円と改め云々とありますが、改められたのは病院一日十五円か病院一日二十円に改められたのであって、指定病院は改正になっておりませんから指定病院一日四十五円という文字を全部削除してあります。上も下もそれを削除した訳で後は原案通りであります。
 経過の大要を申上げますと、新里委員から水質検査手数料の百円は高い、飲料水に使用される共同井戸などの水質検査は公衆衛生の立場から無料でやって欲しいという意見がありました。然しここに規定する水質検査手数料というものはアイスケーキ製造業者やその他の業者が水を原料とする場合の検査手数料でありまして、それならば原案通り百円でも高くはないという意見が多数を占めまして無修正で原案通りになった訳であります。尚開業医の開放病院の手術場の使用料五百円は高いという意見もありましたが、これは単に手術場を使用する場合ではなしに医療機械を使用するのは勿論のこと薬品もガーゼも開放病院のものを使用するのであるから原案通りで高いことはないということになって、これも原案通りに可決になりました。
◎議長(知花高直君) 質疑は省略致しまして討論に入ります。只今の委員長報告通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決し本案一部修正可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第七の議案六十七号沖縄群島市町村財政調整交付金条例制定についてを議題と致し、第一部委員長の審査結果の報告を求めます。
◎石原昌淳君 委員会に於て審議しました経過と結果を御報告申上げます。
 先ず本案の審議に入ります前に、根本のその目的名称について論議検討されたのであります。
 祖根委員は、これは日本の地方財政平衡交付金制に類するものであり、名称もそういう名称を用いた方がよくはないかという風な御意見も出たのでありますが、それは日本の場合の平衡交付金は地方財政の不均衡を、財政収入の不足額を平衡になるまで全額を補填する目的の下に設定されたものであり、沖縄の場合は群島財政の許す範囲に於て市町村財政の調整を図ろうという目的のものであるから、名称もこの通りで適当であるということに審議の結果決定致したのであります。それから、その目的は以上申上げた通りでありますが、更にその交付を行いますに当っては飽く迄も市町村の自主独立の性質を大いに尊重、助成するという趣旨を盛った立案でありますが、これに対して或は必要によって条件を附することも考慮すべきでないかという風な意見も出たのでありますが、それは具体的問題としては、例えば市町村が義務を負っております義務教育関係の経費支出に対し、割当の額に達しない財政事情を持ったような町村があった場合はどうするかという疑問を持たれたのであります。これらのことが若しあれば他の方面から是正を図るべきであり、飽くまでも交付金として市町村の自主独立を強化する現在の趣旨の通りで結構だということで原案の通り賛成したのであります。
 次にこの交付金の交付方法の根本方針でありますが、実際の市町村の財政事情或は財政収入額を基礎として裁定、交付するのではなくして、基準財政需要額により及び基準財政収入額を対照し、その不足額に対して交付金を按分交付するという交付の根本方針について検討されたのでありますが、戦後著しく市町村財政の状態が変更しております今日、直ちに現実の市町村財政需要及び市町村収入の状態を基礎にして交付の基準を定めることは妥当ではないし、本案の方針通り一定の基準町村から調査算出されました基準財政需要額及び基準財政収入額を基準にして、その不足額に按分交付する本案の方針は至当であるということで、この点も承認致したのであります。
 次に測定単位の決め方及び測定費用の算定方法についても色々と論議されたのでありますが、これは先程の基準方針の根本原則に基きまして不偏妥当な測定単位を定め適当な基準町村を選定し基準町村の実際財政需要状態から単位費用を算出して、これに適当な調整を加えて単位費用として定める方針を承認決定致したのであります。但しこの測定単位の決め方及び単位費用の調整についてはよく交付金運営委員会とも諮り、適正な基準を生み出して公平な交付が図られるように万全の措置を希望するということが決定になったのであります。
 尚運営委員会によって総てが公平に図られるようなことが希望されたのでありますが、その運営委員会の構成については本条例の中には具体的な規定は出ておりませんが、その選任については知事の権限としてこれを処理するという方針を諒承し、その内意を伺いましたところ議会五名、市町村長から五名及び財政部長、地方財務課長を加えた運営委員会によって運営されるという方針を諒承した訳であります。
 尚幼稚園についてもこれは先程の基準財政需要額と収入額によって定める方針の上から全般的にこれを交付するか、若くはしないかにすべきであるということが論議されたのでありますが、現実の状態として一部が設置され大部分がまだ設置されない状態で、これを全部に交付するというのは不適当だし、だからといってしないのは公平を欠くという意味から当局の原案通りに現実に設置された市町村に交付するという測定単位の決め方に同意したのであります。以上の点を論議検討致しました結果、全体として原案を承認決定したような次第であります。以上委員会における審査の結果を報告申上げます。
◎議長(知花高直君) 質疑を省略致しまして討論に入ります。只今の委員長の報告通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って本案委員長の報告通り原案可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第八の議案第六十八号の沖縄群島興行条例制定についてを議題と致し、第二部委員長の審査結果の報告を求めます。

  沖縄群島興行条例(案)
 修正案(一九五一年八月六日付沖縄群島公報第三十二号に登載済に付省略)
 (注 二二五頁に掲載)
◎玉城泰一君 御報告申上げます。第三条の「電気、ガス、火薬その他危険のおそれあるものを使用する」とある「危険のおそれある」という文句を上に持って来まして「危険のおそれある電気、ガス、火薬その他のものを使用する」とこういう風に訂正いたしました。
 第八条の基準は興行人の遵守すべき事項、興行場の経営者の遵守すべき事項と二つが一緒になって規定されておりますが、これに対して稲嶺委員から興行人の遵守すべき事項と、経営者の遵守すべき事項とは明瞭に区別して責任を明確にして責任のなすり合いをすることがないようにした方がよかろうという意見がありまして、第八条を二つに分けまして第八条には興行人の遵守すべき事項、九条には興行場の経営者が遵守すべき事項を定めることになりまして、その条文は刷り換えの上お手元に配ってある通りに訂正致します。
 それから原案の大掃除の項目でありますが、第六項の客席及び便所の大掃除は年二回になっているのを年四回に修正いたしました。第八条が二つに分れまして第八条と第九条になりましたので原案の九条以下は一条づつ皆繰り下がることになります。それに関連いたしまして罰則のところの九条以下の条文は悉くこれも一条づつ繰り下がる訳であります。第十五条の第二項(号カ)、興行場の名称、坪数及び位置、その下に(三百米以内の見取図)これだけの文句を加えます。同じく第八項(号カ)、灯火の種類、員数とあるのを「員数」を「個数」に訂正致します。
 繰り下げられた十九条の三行目「使用を禁止し、若くは全部若くは一部の改築、修築、又は特別の施設を命ずることができる」というところを「若くは全部又は一部の改築、修築或は特別の施設を命ずることができる」とこういう風に修正いたします。
 第二十八条「既設の興行場の所在する市町村内においては」というところを「既設の興行場から(の所在地からカ)四粁以内においては」に修正いたします。
 第三十一条第二項(号カ)「第八条」の下に「及び第九条」を挿入します。
 第三十二条第一項(号カ)「第三条の規定による認可」は「許可」に改めます。
 第十三条の四行目、十月二十六日特別布告第二十三号は第三十三号の誤りであります。御訂正願います。修正が多かったので改めて配ってあります。それによって御覧願いたいと思います。以上であります。
◎議長(知花高直君) 質疑は省略致しまして討論に入ります。
 只今の委員長の報告通り一部修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って委員長の報告通り一部修正可決致します。

◎議長(知花高直君) 次は議案第六十九号の沖縄群島道路損傷負担金徴収条例制定についてを議題と致し、第一部委員長の審査結果の報告を求めます。
◎石原昌淳君 議案第六十九号の第一部委員会に於ける審査の経過と結果を御報告申上げます。条例審議に当りまして改めて当局の詳細な説明を聴きまして後、審議に入ったのでありますが、まず第一に論議されましたのは本条例を設定して負担金を徴収することについての法的根拠について論議研究されたのであります。この根拠については群島組織法の第百四十一条には営造物に関し特に利益を受くる者から分担金を徴収することができるという条文があり、同法の第三十七条には議会に於て、議会の一般的権限として分担金の賦課徴収に関する条例を制定できるという条章があるのであります。果して然らばこの分担金はどの根拠によって賦課徴収されるものであるか、ということについて論議研究されたのでありますが、第百四十一条の特に利益を受くる者には該当しないということになりまして、それじゃ第三十七条により適当かどうかということに研究が進められたのでありますが、色々と研究論議の結果、第三十七条により道路条例が制定されたことは適法であり、その条例の第三十四条によって分担金の賦課条例を設定することは差支えないという解釈になりまして、この条例案設定を適当であり設定すべきであるということの下に、条文の審議に入ったのであります。そこで各条文につきましては、結果は原案の通りこれを承認可決することになったのでありますが、その途中に於きまして論議されました要点と致しましては負担金の金額であります。それについて適当であるかどうかということを論議致したのでありますが、これは群島の道路維持負担のために支出している経費は軍補助金によって三千百九十二万円、行政費によって一千九十八万円の支出をされており、それに対してこの財源の負担金は三百十八万六千円の予定がされているので、この程度のものは適当であるという決定に到達したのであります。尚これと関連致しまして公聴会を開くかどうかということが論議研究されたのでありますが、この法的根拠が百四十一条に拠ります場合は、その手続として必ず公聴会を開き、利害関係者や一般の学識経験者の意見を聴いて後設定されるような規定になっておりますが、研究の結果、同条に基くものではなく三十七条に基き設定された道路条例に基き設定するものであるから理論的に別に開く必要はないということになったのでありますが、本条例案が提案されまして以来、行き懸り彼是の上から開いた方がいい悪いは色々と論議されたのでありますが、問題の内容は既に先に自動車税法に依る群島税として徴収することに決定された事柄であるし、又今度の予算との関係もあり、会期との関係もあるので別に開かないことに決定相成ったのであります。
 以上経過と結果を御報告申上げて御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 本議題の質疑を省略致し討論に入ります。只今の委員長報告に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って委員長の報告通り原案可決致します。

◎議長(知花高直君) 次は議案第七十号沖縄群島屎尿運搬取締条例制定についてを議題といたしまして、第二部委員長の蜜査結果の報告を求めます。
◎玉城泰一君 御報告申上げます。本案は第二部委員会において全員異議なく原案通り可決いたしました。以上御報告申上げます。
◎議長(知花高直君) 本議題の質疑を省略致しまして討論に入ります。只今の委員長の報告通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って本案委員長の報告通り原案可決致します。

◎議長(知花高直君) 次は議案第七十一号の沖縄群島保健所使用料徴収条例制定についてを議題と致し、第二部委員長の審査報告を求めます。
◎玉城泰一君 只今議題となりました議案第七十一号は本委員会においては無修正で可決いたしました。御報告致します。
◎議長(知花高直君) 只今の委員長の報告通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って本案委員長の報告通り原案可決いたします。

◎議長(知花高直君) 次は日程第十二の諮問第八号消防法案についてを議題と致し、第二部委員長の審査結果の報告を求めます。
◎玉城泰一君 御報告申上げます。審議の結果修正を加えた個所を先に申上げます。
 第四条の第三行「公象」の「象」を「衆」に文字を訂正してあります。第二十一条の一行目「市町村長又は地区警察署長」とあるを「又は地区警察署長」を削除します。それから二項の二行目も同様に「地区(又はカ)警察署長」は削ります。これは市町村に於ける消防の第一の責任者が市町村長であるからその責任を明かにするため訂正したのであります。
 二十九条の二項「消防隊の長」を「消防隊長」として「の」を削ります。以下ところどころに「消防隊の長」と出ますが意味は全然同じでありますのですべてを「消防隊長」に訂正いたしてあります。
 それから三十条第二項を全部削除いたします。その理由は現に火事が起って消火をする時にその所有者、使用者、管理者と協定するという、そういう暇はないからその協定をすることになっているこの条文を削除いたしたのであります。
 以上が修正を加えた個所でありますが、この消防法案は住民の生命財産を保護する相当重要な法案であるが故に、これに附随する条例とともになるべく早く公布していただくよう委員会からの希望を述べたのであります。
 消防法案に対する委員会の答申案を朗読致します。
  (委員長「玉城泰一君」答申案朗読)
    答 申 案
答申第八号
  消防法案について
 一九五一年七月二十六日付諮問第八号、首題の件左記の通り削除又は修正する。
 右第九回沖縄群島議会の議決に依り茲に答申する。
  一九五一年八月二日
    沖縄群島議会議長
        知花 高直
沖縄群島知事 平良辰雄殿
    記
 第四条三行目の「公象」とあるを「公衆」と改む。
 第二十一条第一項及び第二項中「市町村長又は地区警察署長」とあるを「又は地区警察署長」をそれぞれ削除する。
 第三十条第二項は全部削除。
 第二十九条第二項、第三十条第一項、第三十一条、第三十二条第一項、第三十三条、第三十五条中それぞれ「消防隊の長」とあるを「消防隊長」に修正。
 其の他は原案通りとする。
◎議長(知花高直君) 只今の委員長報告の答申案に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って委員長報告の答申案通り可決致します。議長から知事宛答申の手続を致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第十三諮問第九号の現行税法改正案についてを議題と致し、第一部委員長の審査結果の報告を求めます。
◎石原昌淳君 諮問第9号の現行税法改正について本委員会の審議経過と結果を御報告申上げます。
 諮問案として出されましたこれは一九五一年六月二十一日附琉球列島米国民政府覚書による文書及びそれと関連した追加文書について当局から詳細な説明を承りまして後審議に入ったのでありますが、本案はこの軍指示を議会が諒承するならば、ばらばらになっている今の軍布令によるものを廃止して沖縄群島税法に準拠せしむることが出来る、せしめるからという趣旨の指示に基き本議会に諮問されておりまして、結論としてはこれを承認することに致したのでありますが、我々が去る第五回議会に於て税法の改正について議会の議決を以って建議致しました改正の趣旨及び条項について数ケ所これが拒否されておりまして我々としても誠に遺憾に思ったのであります。特に所得税法の改正について現行所得税負担が不合理な負担過重であるということが最後的に説明されていない故、増収の必要なこの際、この要求は拒否するというような点、及び特別商品税の拒否について我々の見解が十分に軍に徹底していないような点などもあり、我々が低額所得者の負担を軽減するための税率の改正及び基礎控除の引上げ、特別税種の設定を目論み或は特別商品税関係中奢侈的物品についてこれを課税し、税種を殖やし、財政確立を図るという風なこと、その他奢侈的方面の税を増徴し一般庶民的な負担を軽減するというようなものについて低減を図る方面に於て総体的に拒否されましたことは非常に遺憾に存じたのであります。それで結論としては、これを承認することに致したのでありますが、この所得税関係に関する改正が拒否されたことについて更に善処方を要望し、更に特別商品税が拒否されたことについて是非これが実現方について特に御努力を願うという希望条項を附しまして、今から読上げます通りの答申案を決定いたしたのであります。
  (答申案朗読)

答申第九号
  現行税法改正について
 一九五一年七月二十六日付諮問第九号首題の件については米国民政府指示(一九五一年六月二十一日付知事宛覚書番号四、一二一号及びその後の追加関連文書)の通り承認する。
 特に左記事項について知事は速かに之が善処方取計われたい。
 右第九回沖縄群島議会の議決に依り茲に答申する。
  一九五一年八月二日
    沖縄群島議会議長
        知花 高直
沖縄群島知事 平良辰雄殿
    記
一、サービス税法改正案
 サービス業種表の改正
  第二章サービス業種表を左の通り一部を改廃す。
  ロ、第二種の10 旅人宿業「財政部長が指定するもの」の括弧内を削除する。
  ハ、第三種の15 旅人宿業「第二種で指定されたものを除く」を削除し第二種の10に統合する。
二、所得税法改正について
 所得税の税率の変更、基礎控除の引上げ、特別控除の設定等について、軍に対し具体的理由を説明し更に折衝を重ね之が改正方に付善処せられたい。
三、特別商品税条例制定について
 特別商品税条例制定については今回軍より不承認となったが、これは群島政府が復興上の諸事業を遂行して行く上に必要な財源と思われるから是非群島税として確保される様折衝方考慮せられたい。

◎議長(知花高直君) 只今の委員長報告の答申案通り答申することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決し、議長において知事宛答申の手続を取ることに致します。

◎議長(知花高直君) 次は陳情第六号を議題といたしまして、第二部委員長の審査結果の報告を求めます。

陳情案第六号
  軍労務者の賃銀改正促進に関し陳情書を提出することについて
 軍労務者の賃銀改正促進に関し別紙の通り陳情書を提出致し度く議会の議決を得たいので提案する。
  一九五一年七月二十六日
    十二番議員 長浜 宗安
宛  米国琉球民政府(ママ)副長官
経由 沖縄民政官
発  沖縄群島議会議長
題目 軍需(ママ)労務者の賃銀改正促進について
左記理由に基き、軍労務に従事する者の賃銀を引上げるよう速に改正していただき度い。
    理  由
 一、先般(一九五一年一月)群島政府労務課が胡差地区に在住する一一、一七五人の軍労務者に対し、その生活実態を調査した結果によれば、その七〇%の大多数の平均の時給は十一円で、一ケ月二〇〇時間就業出来るとして月収僅に二、二〇〇円で扶養家族は一人当平均三名を有するという事になつている。今回補給食糧の値上以後における労務課の生活費調査によれば、一人世帯で一ケ月当(ママ)最低生活費二、三一五円を要し、三名平均扶養家族を有する。(ママ)即ち四人世帯の最低生活費は実に四、四八六円となつている。
 二、右の事情御賢察の上、此の際軍労務賃銀を引上げ喜んで軍に協力せしめられる様御願い申上げます。
 右第九回沖縄群島議会の議決に依り茲に陳情致します。
 一九五一年  月  日
   沖縄群島議会議長
        知花 高直
◎玉城泰一君 報告いたします。補給食糧の値上に伴いまして群島政府職員の俸給引上が予算化されております関係で軍労務者の賃銀改正も亦当然であると考えます。即ち本提案を採択いたしまして、多少陳情文に修正を加えましたが、軍に陳情することに可決いたしました。陳情文は刷り換えて皆さんのお手元に配ってある通りであります。
◎議長(知花高直君) 只今の委員長の報告通り一部修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って本案委員長報告通り一部修正可決致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第十五の議案第六十二号でありまするが、審議未了のままといたしておきます。

◎議長(知花高直君) 日程追加の緊急動議を提出いたします。先刻十四番議員(祖根宗春君)から今期議会の会期延長方の御意見がありましたが未了でありましたが、今期議会の会期延長の件を本日の議事日程に追加致したいが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って日程は追加せられました。
◎議長(知花高直君) 只今日程追加になりました今期議会の会期延長の件を議題と致します。議案第六十二号及び第七十二号一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算案二件はまだ委員会に於て慎重審議の要ありと認めるのであります。よって今期議会の会期を後一日間明三日迄延長したいと思いますが、如何ですか。
  (「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って今期議会の会期は後一日間明三日まで延長致すことに可決致します。

◎玉城泰一君 議事日程追加の緊急動議を提出致します。校舎建築資材について緊急質問を致したい。就きましては学校々舎建築資材についてを本日の議事日程に追加せられんことを望みます。
◎議長(知花高直君) 只今九番議員(玉城泰一君)から校舎建築資材についてを本日の議事日程に追加方の緊急動議の提出がありますが本件追加することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って日程は追加せられました。

◎議長(知花高直君) 只今追加せられました日程の校舎建築資材についてを議題と致します。
◎玉城泰一君 百十二棟の校舎建築工事がなかなか進捗しない。どうしてそんなに工事が遅れるのであろうか。校舎建築に重大な関心をもっている全住民は全く理解に苦んでいる状態であります。最近伝えられるところによりますと、工事が遅れた原因は政府の保管になっている煉瓦やその他の建築資材の配給が遅れるためである、こう言われますが、果してそれは事実であるか。若し事実であるとするならば何故資材配給が遅れたか。その真相を知りたいと思います。一九五〇年度の復興予算七億五千万円の中から一九五一年四月以降の公用建築資材として煉瓦その他の島内資材が買付けられて保管されているという話でありますが、それは事実であるかどうか。第二に事実であるとすれば如何程の資材が買付けられているか。第三に買付けられた資材は現在不足なく保管されているかどうか。第四に今日二十七日のうるま新報の報道によるというと保管されている学校建築用資材が横に流されているような記事があるが、それは事実であるか。五つ、保管の責任のある会社工場の中には既に潰れている会社工場もあるという話であるが、事実とすればその処置はどうするか。第六、回収不能と予想される資材は金額に見積るとどれほどに上るか。七、この保管されている資材は前工務部からいつ引継がれたか。更迭後間もなく引継がれたことと思いますが、今頃になって煉瓦が不足だ瓦が不足だとこう騒ぐのはどうも腑におちない。若しも更迭後に引継がれたとするならば、若し不足であれば不足としての対策があったと思うが、それに対する対策をどうされたか。最後に資材不足のため今度の百十二棟の建築工事に支障はないか。以上の点を明かにしたいために当局の御答弁をお願い致します。
○工務副部長(西銘順治君) 部長がおりませんので代って私の方から九番議員(玉城泰一君)の御質問に対してお答え致します。大分御質問の要綱が多岐に亙っておりまして全部尽し得るかどうかは分りませんが、若しも私の回答に足らない分がありましたら後でもう一遍御指摘を願いたいと思います。
 先ず百十二棟の学校々舎建築の工事が遅れた理由について、学校用資材、煉瓦、石、木材の支給が遅れたということが学校々舎建築の遅れた理由であるかということであるが、それについて御答え申上げます。
 先ず遅れた理由については先程九番議員(玉城泰一君)が言われた通り第一にセメントが予定通り入荷しないでその支給が遅れたということが基礎工事の遅れた大きな原因であります。第二に煉瓦の支給が遅れた。第三に木材の入荷が遅れた。この三つが大体学校工事がうまい工合に進捗しなかった根本的の理由になっているのであります。それで第二の煉瓦の支給が遅れたことについては前の工務部時代に買付けて売渡人が保管してある品物が受領に行ったら一部売渡人に於ては現物が少いため必要とするだけの量を支給することが出来なかったということが遅れた一つの理由にもなっております。
 百十二棟の学校工事の施工計画を致しまして、これを軍に提出致しましたのが五十年十二月二十六日でありまして、勿論この計画には右買付資材を利用するように計画されておりますので当時この資材の保管の責任にありました資材課とは十分相談の上であります。それからこの工事は軍から認可になったのが五十一年二月十二日でありまして入札に附したのが二月十七日になっております。それが入札者との間に執行の契約が成立したのが二月十九日となっております。早速この工事契約が出来ましたので資材課へ参りまして右資材の出荷をお願いしたのでありますが、当時買付保管の資材はすぐ出荷されるということについては売渡人に対して資材課の方としては十分連絡し、又売渡人の方に於てもそれを十分承知の上であったのでありますが、いざ現物の受領という段階になりますと、どうも保管資材が勝手に流用されておったというのが真相になっているのであります。それから或は買付けられた島内資材の使途についてはどういうものであるかという御質問もあったように承りましたが、それにつきましては前資材課の課長の言によると、あれは五十年度の復興費で出た資材でありまして、使用の目的は公共用建築の資材の予備資材としてこれを購入したというのが使途の性質になっております。使途についての御質問の全部になるかと思いますが、話の順序は後先になると思いますが、それで現在売渡人が保管している資材の種類と数量、金額などについて申上げますが、それは大体次の通りであります。煉瓦百四十五万五千九百六十枚、これが保管された数量となっておりますが、そのうち学校工事用として我々が計上しておりますのが大体百六十六万七千枚、これが在来瓦、煉瓦ではありません。煉瓦は百十三万七千八百十九枚、そのうち学校工事用として我々が計画しております数量は九十四万三千六百二十枚、それから石灰は二万五千三百斤、そのうち学校建築用と致しまして四十八万五千百斤、竹、これは二万四百十束、学校建築用として現在我々が計画致しておりますのが大体一万八千四百四十五束、漆喰百五十九万七千六百十二斤、我々の計画は九十二万四千九十一斤でありまして、現在それを金額にしますと一千九百六十七万五千九百九十九円八十銭というのが大体の金額になっております。現在私が今申上げました数量の中には、この百十二棟の学校工事用の一千百九十八万九千八百九十六円の中には含まれていない訳です。これは現在我々が学校建築用として計上してあるものの中には含まれておりません。
 それから引継の問題でありますが引継があったのかどうかという問題でありますが、これについての大体の経過を御報告申上げます。この資材の引継については資材課が三月一日より倉庫会社として発足いたしましたので早速私達としては引継ぎたいと思ったのでありますが、前に述べた通り学校出荷は直ぐ引継ぐことが事務的にも技術的にも非常に困難であるということが予想され、学校関係の資材の配給が受領した上で引継ごうという風に考えまして実は今日まで延々になっていた訳であります。勿論これは資材会社として発足した時も引継ぐ意思は十分にあったのでありますが、その引継に際しまして間違いのない引継をやろうという技術的な面がありまして、それで遅れたのが事実であります。それで引継ぐ意思があるのかどうかという問題になりますが、当然学校用資材の迅速なる配給ということはこれは大体工務部としても当然責任のある仕事でありまして、この点から致しましても出来るだけ間違いのないような十分な引継をやって行きたい、そういう風に考えている次第であります。それから回収不能に対する処置の問題でありますが、この回収不能には二通りありまして、これから期限を決めて、その期限内に督促すれば供出出来るものと、全然企業が潰れて丸きりそれに応じられないというものが考えられますが、前者につきましては五十二年三月末日を期しましてそれまでに督促してこの保管資材を確保したい、そういう風に考えております。それから後の分につきましては、これは新聞に於ても裁判に附すべき問題であるとか色々な問題がありますが、我々としては別に現在どういう処置をとるというはっきりしたものは持っておりません。少くとも資材の回収だけには万全を期して行きたい、斯様に考えている次第であります。それから新聞にありますところの羽地の業者が学校用資材を名護劇場に振り向けたということについて、事実であるかどうかという御質問でありますが、それは我々としては十分調査しておりませんが、少くともこの業者のところへ行って資材を要求致しましたところが我々が要求した量よりは少なかったというのは事実であります。
 以上九番議員(玉城泰一君)の御質問に対してお答えいたします。
◎玉城泰一君 回収の全然不能のものと、或る期間を決めれば可能なものがあるということであるが、不能と思われるものは代金にしてどれ位あるか。
○工務副部長(西銘順治君) 企業として全然潰れたというようなものは今のところはそう考えられないのです。その人が売買契約の責任者である限りその点の督促は出来る訳ですから。
◎玉城泰一君 然し現物を見た上で買付けてそれを保管させたというのではありませんか。
○工務副部長(西銘順治君) それは事実でありますが、何故そうなったかといえば、かまからはどんどん出ますので相当場所を取る。然もその上に資金の回転の面もありまして、そういったものが待ちきれずに出て行った分があるのぢゃないか、そういう風に話を聞いております。
◎玉城泰一君 百十二棟には全然心配はありませんか。
○工務副部長(西銘順治君) 百十二棟の分には全然心配はないと思っております。
◎新里銀三君 只今百十二棟分の建築資材の保管が横流しになったようなことを聞いて、これは前の工務委員会に於ても非常に問題になって強硬に出て是非公共のために早く回収をして学校建築を早くして貰いたいと希望をしたのでありますが、今の九番議員(玉城泰一君)の質問の中から二、三をとって見ると、その遅れた理由としてセメントの入荷、木材、煉瓦この三つの入手が遅くなって遅れるということになっておりますが、現在百十二棟の基礎工事がまだ出来ていない学校があるかどうか。要するに煉瓦、石などの基礎工事であります。これがまだ出来ていないところがあるかどうか、木材は現在百十二棟分入荷しているかどうか、この点について。それから事務引継のことでありますが、前志喜屋知事時代に民で取扱っていた資材課が一応軍の資材課となり資材倉庫会社に引継がれたと思いますが、そこは何れでもよろしいのですが、現在工務部として引継の出来ない理由は聞きましたが、これは何時頃出来るか、若し出来るとしたならば工務部としてはその対策はどういう風に持たれているか、それを伺いたいと思います。それからもう一つは回収期限についてであります。これは出来るだけ強硬に出て貰いたいということを希望するのでありますが、然し只今副部長さんのお話によりまして、木材が不足してなかなか木材が入手出来ないために学校の工事が遅れ、そのために煉瓦とか瓦というものはあるけれども当局が引取って貰えないということを聞かされ、そして資金の運転上或は業者としては作ったものをなるべく早く金にしたいという気持でやったことが分りましたが、これは早く完納せしめて若し出来ないとすれば最後の手段をとって行った方が結構だと思うのであります。
○工務副部長(西銘順治君) 学校建築の基礎工事を施していない学校があるかどうかについては建築課長がおりませんので残念ながら確答は出来ませんが、軍に出している工事月報から致しまして基礎工事の行われていない学校は殆どないかと思います。若しあるとすれば東海岸の楚洲、奥などの辺にはあると思いますが殆どないといっても間違いはないと思います。
 それから木材の資材についてでありますが、これはこうしようと思っております。勿論文書上の引継は十分漏れなく検討致しまして、これは引継ぐつもりでありますが、それと同時に文書に引当てまして現物の、それ相当の現物があるかどうか一々具体的にこれを調べまして、若しないものに対しては何月何日までに納めさせて取るか或はそれに代るべき金額を換算して取るか、間違いのないように引継いで行きたいと考えております。
◎祖根宗春君 これに附随する問題についてちょっとお伺いしたいと思います。百十二棟を軍から予算を許可になった時、その場合に軍から既に前年度予算で資材を購入してこれだけのものが準備されているということをはっきり明示されたかどうか。それから百十二棟の建築に関する軍の予算をこの際ちょっとお伺いしたいと思います。それから百十二棟を許可する場合に既に購入されてある資材で百十二棟の校舎の建築が出来るという資材と予算との釣合がうまく行って許可になったのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○工務副部長(西銘順治君) これについては予算の方は果してそれだけの資材の需給の関係が十分とれておったかということが質問の核心だろうと思いますが、我々としては別に資材について軍に訊したこともありませんし、別に軍の方から島内資材その他輸入資材-ガリオア資金によるものなどについては別に、これについては心配させないという返事は貰っておったのであります。ところがいざガリオア資材、島内資材の配給の問題になって見ると、各資材集積所を見てもそれだけ事実ないということが分りまして、ガリオア資材のものはスターバーと契約致しましてフィリピンから入れる契約を致したのであります。島内資材については売渡人が保管している現状でありまして先に我々が契約致しました十二月には引継に忙殺されまして、それを一々見て廻る余裕がなかったのであります。それについては我々としても十分にあるものと思って工事に着手したのは間違いないのであります。
○文教部長(屋良朝苗君) 予算関係については私からお答えいたします。当時百十二棟を建築いたしまするために軍から認可されました予算は四千五百万円であります。その四千五百万円で百十二棟が作られるはずでありますけれども、工務部建築課の方では既に先程から問題になっていますところの購入されている資材があるというのでその資材を煉瓦、瓦、竹或は漆喰といったようなものをそれに廻して金を浮かす、それから一般労務の提供をすることによって金を浮かす、そしてその残った金で次の余分の建築をするという計画であったのであります。それで百十二棟の建築費、資材費を全部合せまして、大体三千二百万円位のところだと思うのであります。そこで四千五百万円の中にその金が余っている。それが即ち一千三百万円。これがそういったような手持資材や或は一般労務の提供によって浮いているのでありまして、これは予算の打合せ会が桑江に於てありました時にも、その時のロスゲブ大佐からも、これは学校建築に当てるというお話があったのでありまして、それが今日旧校舎の修理一千三百万円という風にして認可になっている経費だと考えております。
◎新城徳助君 九番議員(玉城泰一君)の校舎問題に対する資材問題ですが、二月の議会にも私は工務部の資材課の問題について質問を致しましたら、これは軍の代行をしておったということを聞いた覚えがあります。軍の代行をしておったものが平良知事の時代になって俄かにこれを引揚げたということを現工務部長の御答弁にあったのでありますが、まず代行機関としても、私はその当時議会に於て何故内閣が変ったらこの代行機関を引揚げるかという質問を致しましたが、その当時の見解では代行機関中に於て余り成績がよくなかった、だからしてそれを取消したということを聞いた覚えがあります。その次に又直ちに軍の資材課が今度は株式会社に変りまして、この資材が民に移ったということを聞いた時にも又議会に於て質問をしたのであります。そういう問題は色々と全住民の誤解を招き安い事柄でありまして、その当時から私は甚だ不可解に考えておったのでありますが、又この度この資材問題につきまして再び擡頭いたしまして、延いては学校建築にまで影響を及ぼして来たのであります。要するに私はこういうことを聴きたいのであります。その当時果して、それだけの厖大な資材が当時の工務部に於て必要であったかということであります。ただ漫然として二千八百万円の金を出して、その資材を買って死蔵しておったのかということを聴きたいのであります。次には、その資材が果して責任を以て、最善の方法で保管してあったか、その責任者は果してその資材のために責任を以て保管しておったかということをお伺いしたいのであります。そのことは現工務部の方では或は御存じでないかも分りませんが、先ず御当局にあられる責任上、そういう点について知っておられるだけの御答弁をお願いしたいと思います。
○工務副部長(西銘順治君) 果して先の島内資材というものが当時の工務部に必要であったかという点になりますと、これをただ公共建築或は学校建築だけに限って見ましても恐らくは必要であったのぢゃないかという気がします。ただ資材はあってもその時は労務費、運送費などがなかったために公共建築がうまく行かなかったのぢゃないかという予想はしております。果してそれだけ必要であったかなかったかということの妥当性については現在の工務部としてははっきりした返答は申上げられません。
 それから当時の資材が十分責任を以て保管されておったかという問題になりますと、先程も十七番議員(新城徳助君)がおっしゃった通り、これは資材課が軍の代行をしておったという性格から当然出て来る問題であり、そこから派生する。資材課が単に軍の代行機関だけでなくて当時の工務部は民政府の工務部であると同時に軍政府の工務部であるということははっきり文書の中にも残っております。それで今回の問題がそこから来れば果して資材の完全なる保管の責任、究極の責任が果してどこにあるかということになると非常にむつかしい問題であります。然し帳簿と予算経理の面に於ては、はっきりとこれは十分責任を以て正確に保管されておりますが、出荷伝票と出荷数量については現在のところどうとも返答が出来ないような状態にあります。
◎新城徳助君 今副部長さんはその資材が必要であったとおっしゃいますが、若しあったとするならばその当時計画書なるものが残っているかどうか、それをお調べになっていただきたい。
○工務副部長(西銘順治君) この席で申上げるのもどうかと思いますが……ここではどうしても申上げられないのであります。
◎普天間俊夫君 この問題は昨今世論を沸騰させていることでありますし、我等は議会としても極く大事を取らなければならない問題だと思います。又沖縄復興の上から捨て置き難い問題だと思考されます。それでこの公共建物の資材代の支払並に現物の納入或は保管状況について監査委員会は監査の責任があると思うが、若しその責任があるとすれば監査されたことがあるか、あるならばその詳細を承りたい。無監査とすれば速に監査されて、その結果を議会に報告して戴きたい。
◎新城徳助君 今六番議員(普天間俊夫君)のおっしゃったように、その当時軍に関係する事柄でありまして殊に群島政府としての行政面の仕事外でありますので監査の対象にはならないという見解をもっておったのであります。
◎新里銀三君 只今十七番議員(新城徳助君)から二千七百万円の工事費が必要であったかどうかということにつきましての御質問に対し工務副部長は必要であっただろうということを答弁されましたが、この問題が新聞紙上に論じられまして、あらゆる角度から調査したのでありますが、当時の係から聴いてみるというと復興費の消化が三月三十一日に打切られるので四月に持込んだ場合には全部ワシントンに返るというので三月三十一日以内に出来るだけ金を使おう、資材さえ購入しておけば公共建物に使用出来る。このワシントンに返すものを返さないために購入したと当時の係がいっておったのであります。それが事実であるかどうかはよく分りませんが、当局に何か引継ぎがありましたか。
○工務副部長(西銘順治君) 別に何も引継いでおりません。
◎玉城泰一君 一棟でも多く一日も早く校舎を建てて貰いたいということは全住民の熱望するところであります。その方向に向いまして政府は従来も十分その点に全力を尽していただいたのでありますが、それにも拘りませず今日まで工事が捗らないような状態でありますので非常に遺憾に思います。全住民の或は全生徒児童の気の毒な状態に思いを致しまして更に校舎建築につきましては一段の御努力をお願い申上げるということが本日私が緊急にこの問題につき動議を提案した理由であります。どうか将来この問題については今以上の御努力をお願い致します。
◎祖根宗春君 この工事が色々の理由のために遅れた、その関係で請負者が非常に要らない経費が増大したために欠損を来した。つまり業者の責任にあらざる欠損を、そういうものに対する処理は当局としてはどういうお考でいるのか。どこまでも契約したからにはそれに負担させるのか、或は当局としては何らかの或る程度の考慮を払われるのか。
 それから新聞紙の伝えるところによると一旦入札をして契約はしたが途中で工事を放棄した。そして契約解除をしたという新聞記事があったと覚えていますが、その問題についてお伺いしたい。それから在来瓦の下に使う竹でありますが、保管をして一年も置いたために腐っている、腐っているが矢張り中には使えないものまでも量だけ合せているようなものもあるようですが、量は合うが質が違って来た、そういうものについての処置。その三点について……。
○工務副部長(西銘順治君) 資材の不足で学校工事が遅れて業者が困っている、それに対する処置があるかという御質問でありますが、これは何しろ軍の補助費によって賄っている予算でありまして、これについて別に労務費を新たに計上するとか、その他の費用を計上してその損失を補償するということはなかなか困難ではないかと思っております。それで現在のところ別にそれに補償するという対策は考えておりません。それから建築課と契約を結び乍ら資金その他の関係で契約を放棄したというものに対しては、別に入札を致しまして工事人を新に設定してそれにやるか、或は指名して特に工事を引継いで貰うという風にやっております。
 最後に腐った資材の問題でありますが、これはガリオア資材については当然政府支給でありまして、その政府支給の腐った資材を良心的な業者が新しい竹を購入してやったということもありますが、その購入はどういう経路をとって購入しているか、建築課長がおりませんので詳細なことは申上げられませんが、出来るだけ腐ったような資材は配給しないようにやって行くつもりであります。その点は抜かりのないように処置して行きたいと思っております。
◎石原昌淳君 行政は常に責任の所在を明かにし理非曲直を訊して明るく運営さるべきだと思います。この観点から今問題にされていることを眺めます場合に、問題の性質といい又住民心理及び住民経済に及ぼす影響から是非その責任の所在を明かにし、理非曲直を明かにしなければならんと思うのであります。そこで私は議会の名に於てこの責任の所在を明かにし理非曲直を明かにするために監査委員の監査要求をいたしたいと思いますが、その前にちょっとお伺いいたしたいのでありますが、今先のお話に監査委員はこの問題については軍の所管であるから触れられないというお話がありましたが監査委員会及び御当局はこれについてどういう御見解を持たれているか、その点についてお伺いしたいと思います。
◎新城徳助君 先に六番議員(普天開俊夫君)の言われたことに対して申上げたことは、その当時軍の資材課であった場合の見解でありまして、今日資材問題そのものに対しては或はどうかと思いますが、その点はよく監査委員会で協議して見たいと思います。
○工務副部長(西銘順治君) あの当時は工務部というのは殆ど人件費、工事費一切が軍補助費で賄われております。殊に労務費なんかは事業費そのものの中から支払われているような状態でありまして、その点そういった行政費支出の場合と違って事態が軍補助費に対する監査の問題でありますから権限の問題になりますから果してそれが監査委員会でやれるかどうか疑問をもつものであります。
○知事(平良辰雄君) これは補助金が群島政府の予算に入っている以上、軍の補助金だろうが何だろうが出来ると思うが、現在のところは何処まで監査委員の権限があるかということは実際ぶつからなければ分らないと思う。然しある程度監査によって今の事情がはっきりするようなところまで行けると思う。だから監査委員会にはやって貰いたいと頼んであります。
◎石原昌淳君 本員は先程申上げました見解から議会として、議会の決議としてこの問題を監査委員会の監査要求を致したいと思うのでありますが、これについて直ちに議決に問うてもよろしうございますし、一応休憩に移して御協議の後でもよろしうございますから適当に御処理をやっていただきたいと思います。
○議長(知花高直君) 暫時休憩いたします。
  午後三時二十分休憩

  午後三時四十五分再開
○議長(知花高直君) 開会いたします。
◎石原昌淳君 公共建物の建築資材でありますところの島内産資材が保管されている筈のものがどうも色々と紛議を醸しておりますようで、先程も申述べました理由で監査委員会の方で監査する必要があると思いますので議会の決議を経て監査要求を致したいと思います。
  (「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 只今校舎建築資材について五番議員(石原昌淳君)から監査委員会の特別監査要求を決議したいとの動議がありますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決し、議長において手続を取ることに致します。

◎議長(知花高直君) 明日午前十時から本会議を開きます。本日はこれで散会いたします。
  午後三時四十六分散会

    (一九五一、八、二)
出席者は左の通り
議  長     知花 高直君
議  員
 稲嶺 盛昌君  仲村 栄春君
 石原 昌淳君  普天間俊夫君
 宮城 久栄君  平良 幸市君
 玉城 泰一君  松本 恭典君
 長浜 宗安君  山川 宗道君
 祖根 宗春君  山城 興起君
 新里 銀三君  新城 徳助君
 崎山 起松君
知  事     平良 辰雄君
 財政部長    仲宗根秀俊君
 経済部長    呉我 春信君
 文教部長    屋良 朝苗君
 弘報室長    崎間 敏勝君
 警察本部次長  西平 宗清君
 総務副部長   稲嶺 成珍君
 工務副部長   西銘 順治君
 経済副部長   知念忠太郎君
 水産課長    銘苅 清徳君

 一九五一年八月三日
  午前十時八分開会
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十四名で、他は病気その他の理由で欠席であります。

◎議長(知花高直君) 諸般の報告を致します。市町村財政調整交付金運営委員の推薦方について知事から議長宛公文が参っておりますので書記長をして朗読いたさせます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

沖財第五〇一号
  一九五一年八月二日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  市町村財政調整交付金運営委員推薦方について
 今期議会で可決になりました沖縄群島市町村財政調整交付金条例第十五条に基いて交付金運営委員会を設置したいと思いますので議会議員中から五名御推薦下さる様御願い致します。

◎議長(知花高直君) 琉球中央政府設立に関する本議会からの陳情に対して軍から回答が参っておりますから書記長をして回答文の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」回答文朗読)

沖総第五四九号
  一九五一年八月七(ママ)日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  琉球中央政府の設立に関する陳情について
 第八回沖縄群島議会において議決になつた首題について六月二十五日議案第六〇号陳情書は民政官へ進達しましたところ今回別紙写の通り沖縄民政官府から本職宛に通牒がありますので御了知願います。
 右通知します。
 別紙写
  琉球列島米国民政府
    副長官室
 一九五一年七月三十日
民政官
 砲兵大佐    ゼイムス・エム・ルイス
沖縄群島知事殿
  全琉的中央政府の設立に関する陳情書の提出について
一、一九五一年七月七日附沖縄群島政府知事室発覚書第三九七号並びに第八回沖縄群島議会を通過した『全琉的中央政府の設立』と題する同封の陳情書に対し回答する。
二、この陳情書で御提案になつている事項がどの程度実行し得るかということをはつきり申上げることはできないが、この問題について目下全面的に綿密な調査も(をカ)しているところである。
三、沖縄群島議会議長知花氏並びに議会議員に強力なる全琉的中央政府設立に対する諸君の関心はもつともなことであると思つていると伝えてよろしい。
右副長官の命により通牒する。

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
  議事日程第十八号
 第一、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第六十二号)
 第二、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第七十二号)
 第三、市町村財政調整交付金運営委員推薦について
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第六十二号)
 日程第二、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第七十二号)
 日程第三、市町村財政調整交付金運営委員推薦について

◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。
 日程第一の一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算知事提出議案第六十二号を議題と致します。本案は予ねて第一部常任委員会にその審査を付託してありましたので第一部委員会における審査結果の報告を求めます。
◎石原昌淳君 只今議題となりました議案第六十二号一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について第一部常任委員会の審査の結果を報告致します。今回の追加更正予算案は実質、形式共に重要な変革でありまして、自立財政への前進を意味する経済復興諸事業及び市町村財政交付金の如き追加更正が形式的には歳入歳出共に平常予算とはその内容に於て大変革が行われているのでありまして、これだけのことを仕上げた当局の労苦に対し敬意を表するものであります。まず歳出面について審査の経過を申上げますと、職員の増俸についてでありますが、この点について検討する場合一般生活費が昂騰した現状に鑑みこの程度の増俸は適当と認められるのであります。なおその財源が、民負担に及ぼす影響を考慮して職員の俸給は適当な財源をもって賄う健全財政の立場を充分検討の結果、その方針に立脚している点からこの増俸は適当であり又財政面からも妥当であるという意味で承認することに致したのであります。尚、経済部事業として千二十万円余の追加計上が見られていますが、これは沖縄自立経済を目差す経済復興のための誘い水となる費用として軍補助金が不承認になった今日、行政費をもってこれを実施しようという当局の意図を適当と認め承認することに致したのであります。その他市町村財政調整交付金、これも永年市町村から強く要望されていたことであり、戦後著しく財源の変化を来たしている現状に鑑み適当な策であるとし、この予算を認めることにしたのであります。なお離島航路補助金百五十万円の予算の追加を見ていることは本島に於ける陸路と同じく本島、離島をつなぐ航路を陸路の延長であるという見方によって、ここに離島航路補助金の追加計上を見たことは洵に妥当だと思うのであります。ただ将来財源の許す限り増額を考慮するような点、論議されたのであります。
 以上の主な諸点を含みまして、その歳出面の状態をあらまし述べて見ますと、まず給与引上げの所要経費が四千五百七十九万余となっており、尚軍補助金により支弁される職員の給与引上げとして四百四十万円を要しますが、これは目下当局に於て民政府に折衝中であります。
 それから経済部関係軍補助金が全額削除になったため、行政費から支出することになったので先程の予算が計上されました。又市町村財政交付金に一千万円、離島航路補助に百五十万円などが主なる追加となっており結局七千七百五十八万五千一百八十二円の増額になっております。
 この予算に対して歳出の方で一部の修正を加えるように審査決定したのであります。これは先程の全員協議会で諮られた文教部予算関係になっていますが、海洋高等学校に実習船がなく高等学校としても実習船購入を強く要望されていたのでありますが、昨日になって適当な船が買える見通しがついたということでその値段百一万円を追加して計上したいという当局の御要望を審議の結果、これは緊急処置を要するものと認めて全員これに賛成して文教部予算第二款第二項第二目に百一万円を追加計上し、それから同款の七項の第一目船舶修繕費の三十万を減額して一万に訂正いたします。又予備費の方は追加更正額で六百七十八万円に修正致すよう決定したのであります。この関連した数字の訂正は当局にお任せすることに考えております。
 それから歳入について申上げます。歳入は臨時部に於ける今回の追加更正はありませんが、経常部では七千七百五十八万五千余円の増でありまして、税収入の主な増減は勤労所得税が五千四百三十九万余円の増、申告所得税が三千七百十三万余の増でいずれも従来の成績からして徴税成績の向上、その他によるものであります。税法改正案が不承認になった結果、税率を軽減することにしてあったため減収を予定していましたが、不承認になりましたので自然増の見込みで適当な増額と認めます。
 登録税千百九十二万円の新規計上は当初予算にあった土地登録手数料二千七百万円に代るものであり自動車税の四百五十万円は道路損傷負担金として税外収入に計上されています。酒税の百四十二万余円は改正税法の実施が遅延した自然減で特別商品税の千四百五十五万余円は軍の方で不承認になり中央政府の財源に当てられた結果によるものであります。
 それから税外収入の主なものの中、病院及び診療所使用料の九百九十九万六千余円の減は五月以降診療所の廃止によるものでありますが、多額に及ぶ経済復興の諸事業の大きな財源を収入の範囲で賄うという健全財政の建前を取り、しかも多くの財源を徴税の強化と適切なる財源に求め作製されたことを適当と認め、歳入歳出全部を通じて一部修正して可決したのであります。
 なお委員会としては予算の実施について希望事項を左記の通り決定しましたのでこの点について御要望いたします。徴税の強化を図り自立経済の基礎確立に苦心する政府の政策は妥当であり、これを徹底させて貰いたいと要望するものですが、なお徴税の強化は適正なる課税を行うことが徴税成績を上げる最善の途であるに鑑み適正なる課税を図るため充全の努力を要望するものであります。次に歳出についてはここに増俸予算を承認しましたが、この増俸の意図する所は適当なる給与を与え職員に生活の安定を図ると共に、一面には事務能率を上げ更に職員が希望をもって働けるために人事の刷新を期せられ優秀な職員をして希望に輝き全能力を発揮して働かしめ事務能力の向上を図りもって最少の人員で最大の効果を挙げるよう御尽力を要望するものであります。
 第二番目に経済部の諸事業費を行政費として計上したことは賛成するものであります。生産面の復興が自立経済の基礎になるものでありますから飽くまでもこの事業を適正に実施され経済復興のための誘い水として有効ならしめるよう万全を期せられたく要望するものであります。次に多くの自動車の管理でありますが、これには相当の経費を支出しておりますが、これが各部ごとに予算が計上され実施されているようであります。又備品、消耗品においても各部別々に予算が計上され運営されているようですが、これはどちらも一括計上され、そして一括運営することが望ましいのであります。しかし予算はそういうことは出来ないという軍との事情だったら予算はそのままとしても自動車の管理を一括し備品、消耗品の購入受払いについては用度課の如きものを新設してこれが能率的、経済的に運営されるような諸点を今後考究され善処していただきたいことを要望します。さらに厚生園の土地購入費として他にも類似なものがあるのにこの関係だけ土地購入費が計上されていますが、これは所有権が認定された今日群島政府の負担になる各種官公署用地はいずれ買入れるか地料を支払うことになるのですから今からこの用地について研究が進められ、なお群島政府の収入となるべき土地関係についても調査研究を早急に進めていただきたい。さらに市町村への交付金については色々厳密な検討を加える必要があると思考されますので適当な方法を再検討され適当に公平にこれが運営されるよう配慮を望むものであります。
 又、公務員の災害補償条例についても条例を速かに設定し、その早急な支出方を要望するものであります。なお給与引上げに伴い軍補助金により一部賄われている職員の増俸については軍との折衝を速に進められ他の職員同様一日も早く増俸の恩典に浴させるよう御尽力をお願いいたします。
 以上委員会における審査の結果を報告申上げます。
◎新里銀三君 只今委員長の報告があった船舶購入費の百一万円だが九番議員の先程の話では年賦払いと聞いたが……。
○玉城泰一君 はっきり一回払いです。業者は十年償還ですが、今度の場合は一回払いです。
◎新里銀三君 一九五二年度の群島政府の歳入歳出予算に於て当初予算の八億二千百七十三万余円が第一回の更正予算で五億八千九百八十七万余円、今回の更正予算で七億二十七万余円ですが、この更正に於ても当初予算に於ても政府提案を無修正で且つ増税の上にこれを議会で可決することは五十九万全住民の名に於て遺憾に堪えないものであります。
 今度の更正予算を見ると、直接税の中の勤労所得税が九十三%の増税となっており申告所得税が四十三%弱の増税となっております。
 かかる人民の過重負担をも顧みずにこの水脹れ予算を通過させるということは全住民の名に於て再び遺憾の意を表明するものであります。
 更に政府は当初予算を編成してから僅か四カ月で追加更正すること二回であります。然も今回の更正は予算編成上の形式より部の新設、款項目の組替えなど大幅な増予算を示しています。この趣旨及び編成方針は今議会の初日で知事挨拶や部長の説明で大体把握しましたが、この予算案を検討するに当初予算審議の際、本員が強く要望しておきました点が実現されています。すなわち予算編成に当っては予算の性質上軍補助は臨時部に、民負担は経常部として予算を別個にするよう主張しましたが、それが実現しています。第二に土地登録手数料や定数条例の如きも予算の収入、支出の関係もありますのでまず条例を制定してこれによって予算を計上するように主張しました。そこで全面的な予算の再編成を要望したのでありますが、与党議員多数が、条例は手続きの問題だからとして議決権を無条件で返上し翼賛議会となったことは遺憾至極であります。
 今度の追加更正予算を検討した場合に既決予算の税収入二億八千七百余万円に対し更正予算額は三億七千七百五十四万余円でありますから増税額は八千九百九十三万余円となっております。これを五十九万全住民の人口負担額を割当てますと、一人当り六百四十円になり既決予算の四百八十五円にくらべて一人平均百五十円の増となっており一世帯五人と見て平均額三千二百円ですから既決予算の二千二百四十円とくらべると七百七十五円の増となっています。
 増税の主なものは悪税と見られる勤労所得税が五千四百三十九万余円で既決予算より九十三%も増税、次に申告所得税の増が三千七百十三万六千余円でこれも既決予算より四十二%強の増であります。これは勤労所得者の控除額が引上げられなかったのと不具、未亡人などの特別控除が出来なかったという自然増加になっています。しかしこの問題は議会で可決し軍に申請しましたが、軍よりの答弁によりますと現行所得税の負担が過重だという確定的な説明が出来なければ軍は納得出来ないとしていますが、これは明らかに外交的手腕のない証左だと思います。
 知事は政策として税制及び徴税機構を改革して負担の均衡を図るといっていますが、果して大衆勤労者に対する税制は改革され均衡が取れていると思いますか。本員は寧ろ逆だと思うものであります。大衆勤労者の生活は益々脅かされております。一九五二年度の行政費既決予算は大きな水脹れ予算だと確信致します。何故なら経済部関係の軍補助金が全額削除されるや知事は各部の予算の中から千二十万という莫大な金額を引抜いて経済部に入れたと聞いています。斯かる大きな予算の引抜きがあっても各部は運営上何ら支障がないということは予算が如何にぶん取り競争であり、出鱈目な編成であるかを物語っています。
 勤労所得税は九十三%も増になり申告所得税は四十二%も増税していますが、大衆勤労者、特に農村、漁村の金融は逼迫し配給物資も購入出来ない実状にあり、更に欠食児童は続出し欠席児童もふえたと新聞は報じています。斯る時にこういう過重な課税をするということがよい政策であり且又住民の生活が安定すると思いますか。農漁村の逼迫は益々深刻化するばかりであります。
 所で収入面に於ては特別商品税が議会を通過しましたが、中央政府が取上げてしまいましたので速にこれを群府に還元するよう希望するものであります。更に住宅公社の問題についてはアメリカ家族部隊の宿舎で三億の収入を群府が取るようになっていたと聞いていましたが、新聞の報道によると七千六百万円は中央政府がこれを受取るんだということを報じています。当局は速に設立当時の趣旨を調べ、その組織、運営、管理など実際を把握してその全額を獲得して群島政府の恒久的財源に当てることによって一般住民の経済生活にゆとりが出来、建設に邁進出来ると信ずるものであります。
 支出方面を申上げますと一九五二年度当初予算の時本員は各部局に亙る用度品の一括取扱いと群府自動車の管理について統一するよう強調しましたが、未だ実現が見られないのは遺憾であります。
 各部の用度費を合計すると五千六百八十八万余円の予算となりますが、これを当局自らがLCを組み一括取扱いとすると三十七%以上も節約になります。よって用度課を新設して備品、消耗品の受払いを一括しますと金が一千七百万円以上も浮くことになります。又各部の自動車を……
○議長(知花高直君) 十六番は委員長の報告を聞いたか、それは要望事項にあるじゃないか。
○新里銀三君 さらに要望するのです。
○議長(知花高直君) みえを張るな、みえを……
○新里銀三君 みえじゃないです。実際です。
○議長(知花高直君) しっかりせい。
◎新里銀三君 自動車も統一したら油脂燃料費が節約され、更に百五十万円浮くことになります。この点について工務部当局、財政部長も希望していますから早急実現されるよう希望するものであります。経済部の監視船ですが、これの三十六万円は削って貰いたい。警備船一隻を増してもこの種犯罪は絶対根絶出来ないと思います。なぜなら現在警察当局が昼夜兼行で取締っても益々犯罪が増加しているからであります。それから経済部の庁舎建築費の六百十三万余円ですが、斯かる建築費は他の部と同じように当然軍補助でやるべきだと思います。然るに経済部のみ行政費で出すことは他の部に対しても妥当ではないと思いますので政府はこの分を努力して取返すように希望するものであります。又警備船の費用は是非この金を海洋高等学校の行政費に当てて欲しいと思う。更に工業、農林、商業の各高校の設備を充実してここの生徒が卒業したら直に実社会に役立つような素質を身に付けさすことを希望するものであります。
 離島航路の百五十万円の補助額はもっと増額すべきだと思います。知事もその政策の中で運輸の便を一層拡充すると公約されていることですから補助金を増額して離島住民の気持が理解されることを希望するものであります。
 次に知事雑費二十万円の増額でありますが、当初予算には四十二万円計上されていますから未消化の分も相当あると思いますが、もし不足なら年度末でも遅くはないと思う。今回の更正予算に当って知事機密費の自動車購入費などは当初予算で計上すべきで補正予算でやるべき性質のものではないとはっきりいえる。所が署長の機密費は認めない。又公安委員会の自動車購入費を認めなかったのは何故か。自分の機密費二十万円を認めて六十二万円に更正し更に企業免許事務所の自動車一、自転車二台を計上してありますが、その理由が分らないのであります。知事はその政策の中で警察制度の民主化を図ると公約しました。現社会は益々険悪にして犯罪は増加の一途を辿っています。こういう時警察取締りの任にある公安委員会はいつ何時急用で呼ばれるか分らない。又民警一体で催される防犯懇談会にも出席する必要がありますので、これは是非認めて貰いたい。何れにしても知事はこの六十二万円の雑費でもって大いに活躍して充分なる効果をあげて貰いたい。今の所は最大の費用で最小の仕事しかしていないと思いますが、六十二万円の予算も貰ったのですから復興費もどんどん貰い農村漁村、更に都市もじゃんじゃん復興して貰いますれば百万でも二百万でも機密費を差上げたいと思います。
 以上この予算の原案に反対するものであります。
○議長(知花高直君) 十六番議員、そんなことは委員会で言えばいいじゃないか。一体どうした意味だ……ちょっと休会いたします。
  十時三十五分休会

  十一時五分開会
◎議長(知花高直君) 開会いたします。只今の委員長からの審査結果報告の通り修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 異議なしと認めます。依って第六十二号議案は一部修正可決いたします。

◎議長(知花高直君) 次は日程第二の一九五二年度沖縄群島追加更正予算について知事提出議案第七十二号を議題と致します。これは昨日の本会議で七番の宮城久栄議員から賛成の御意見がありまして全員御賛成と見ておりますが、原案通り可決致すことに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 異議なしと認めます。依って第七十二号議案は原案通り可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第三の市町村財政調整交付金運営委員の推薦についてを議題と致します。その前にしばらく休会したいと思います。
  十一時八分休会

  十一時十一分開会
○議長(知花高直君) 開会致します。この日程第三の市町村財政調整交付金運営委員の推薦についてでありますが如何が取計いませうか。
◎長浜宗安君 議会から五名ということになっていますので正副議長の他に地域別に中南北ということにして南部から宮城議員、中部から平良議員、北部から新里議員の五名を推薦せられんことを望みます。
◎議長(知花高直君) 只今長浜議員から正副議長と南部から宮城議員、中部から平良議員、北部から新里議員、以上五人を推薦方の動議がありますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決し本議会から以上五人を推薦することに致します。
◎議長(知花高直君) 今期議会はこれで閉会致しますが、お暑い処を真剣に九日にわたって審議なされたことを感謝します。
 知事御不在でありますので総務部長から閉会に当って御挨拶があります。
◎総務部長(幸地新蔵君) 洵に僭越ではございますが私から閉会に当って一言御挨拶申上げます。知事が一日から最近赴任された沖縄民政官府主席チャップマンさんを案内して各市町村を巡視していますが、今日は中頭方面の視察のため今日の大事な議会に出席して御挨拶を申上げられないことを遺憾に思います。
 開会の時に知事から今度の議会に提案した案件は相当重要で特に更正予算については、それぞれの意図をもって提案されているので慎重御審議を願いたいという挨拶があったと思いますが、この炎暑の砌、而も長期にわたって皆さん方が非常に熱心に検討して各種提案に対し夫々検討され適当な御審議、御採決下されたことに厚く御礼申上げます。炎暑の砌本当に御苦労さんでした。有難う御座いました。
  午前十一時十七分閉会

    (一九五一、八、三)
出席者は左の通り
議  長     知花 高直君
議  員
 稲嶺 盛昌君  仲村 栄春君
 石原 昌淳君  普天間俊夫君
 宮城 久栄君  平良 幸市君
 玉城 泰一君  長浜 宗安君
 山川 宗道君  祖根 宗春君
 山城 興起君  新里 銀三君
 新城 徳助君  崎山 起松君
 総務部長    幸地 新蔵君
 財政部長    仲宗根秀俊君
 経済部長    呉我 春信君
 文教部長    屋良 朝苗君
 工務部長    渡嘉敷真睦君
 総務副部長   稲嶺 成珍君
 財政副部長   久場 政彦君
 法務副部長   金城 信範君
 主計課長    板良敷朝基君
一九五一年十一月二十三日
 沖縄群島議会議長 知花 高直
            サイン
一九五一年十一月二十七日
 会議録署名人   普天間俊夫
            サイン
一九五一年十一月二十八日
 会議録署名人   新城 徳助
            サイン
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