戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年07月31日 
(昭和26年)
会議名
立法院財政金融、商工合同委員会 1951年7月31日
議事録
立法院財政金融、商工合同委員会会議録

 一九五一年七月三十一日(火曜日)午後三時四十五分開議

議事日程
 一、酒類消費税法案について

○仮議長(松田賀哲君) 財政当局の酒類消費税についてこの前我々が百五十%でなければならないという理由書を主席宛出しましたがそれに対する回答のようなものがありますがそれについて財政当局と(以下聞取れず)意見を交換しませう。
○吉元榮光君 何らの理由もなしに百%にしようというのは…。
○財政局長(宮里勝君) 今ですね。大体取締りの方が充分なし得るかということですが煙草税から見ても出来ないように思うですね。
○吉元榮光君 下げる上げるといってもだね。煙草と比較した場合煙草は一般大衆がのむものだから安い方がいいがこの酒類は一般大衆がのむものではないし煙草との均衡の点からどうかと思うですね。つりあいが取れるようにすべきですよ。
○城間盛善君 私はこれに二、三疑問があるですね。第一に現在市場で売られているビールは正式なルートで来たものですか。
○財政局長(宮里勝君) 闇もあれば正式なものもあるわけです。
 税金はかけてありませんが…。
○城間盛善君 日本ビールは全部正式なものではありませんか。
○財政局長(宮里勝君) 大体正式ですね。LCを組まない物もありますが…。
○城間盛善君 日本ビールを考えた場合、これには闇もあるわけですからね。私は税率には関係ないと思いますね。なぜなら現在税率は零パーセントですからね。百パーセントも何もないわけだ。それでもやっぱり闇が跋扈しているですよ。だから税と闇は関係ないと思いますね。それが疑問の一つですよ。
○財政局主税歳入課長(山内康司君) 今は正式なものは入っていないです。ずっと前は入っていましたが…。正式に入るのが少ければ闇価格もつり上がるわけですから或る程度のものが正式に入れば価格も押えられると思います。
○仮議長(松田賀哲君) しかし日本ビールでも日本酒でもですが百五十パーセントにして相当な利潤を見込んでもなお今の市場価格よりは安くなるですよ。
○財政局主税歳入課長(山内康司君) さあ、そこが…。
○仮議長(松田賀哲君) 現在は六十五円で売っているわけでしょう。二十一円のビールに百五十パーセントの税をかけてそれにさらに二割の利潤を加えても六十三円になるね。だから正当な利潤を得てしかも百五十%の税をかけても六十三円になる。だが現在の市場価格は六十五円になっているわけだ…。
○吉元榮光君 今度の北部視察でも面白い現象を見たがね。国頭ではピースを部落民に一個八円で売っている。所が那覇では一個十円だ。そういう所に暴利をむさぼりすぎる感じがするね。
○財政局長(宮里勝君) 判は押してありましたか。
○吉元榮光君 ああ押してありましたよ。那覇でも市場辺りは安いが場末に行ったら九円、十円とする。
○財政局長(宮里勝君) 煙草はどんどん入れると安くなりますし、酒でも多く入れると安くなるはずです。今は払底しているから高いのですよ。
○仮議長(松田賀哲君) 泡盛だったら百パーセントでよいが日本酒だからね。
○與儀達敏君 沖縄の酒は何パーセントかね。
○財政局長(宮里勝君) 七十パーセントです。
○與儀達敏君 だからこれが七十パーセントで輸入酒が百パーセントでは不均衡ですよ。
○城間盛善君 島内産を保護して反って輸出すべきだと思うですね。なぜ輸入品を安くしなければならないという理由はないですよ。根本問題は取締りですがね。民政府は税法は中央政府が作るんだから取締りも中央政府がすべきだという考え方があるんじゃないかと思うですね。これは大きな間違いですよ。アメリカビールの取締りは酒税法とは別ですよ。つまりPXから出しているのですから軍のPXに関する規定を実施するだけでよいのですよ。ここではどうすることも出来ないわけだ。取締りのことはたずねたことがありますか。
○財政局長(宮里勝君) この間百五十パーセントにしたら取締り出来るかと聞かれたので出来ると答えておきました。
○城間盛善君 今度はPXのものも取締る権限を与えるかと聞いて下さいよ。
○財政局長(宮里勝君) 沖縄人が自覚してですね。判のないものは絶体買わないようになったらよいですけど今では偉い人はどこでも公然とラッキーですからね。
○城間盛善君 問題はPXから出ないようにすることだね。
○財政局主税歳入課長(山内康司君) しかし出来ないじゃないですかね。だからここが出来るだけうんとねばってやるより他にないでしょう。
○吉元榮光君 百五十%とさえ決ればきょうでも三読会を開いて主席のサインを求めて八月一日から実施出来るんですがね。
○城間盛善君 この前出した理由書に対する返事はないわけですね。
○吉元榮光君 返事はないわけです。
○仮議長(松田賀哲君) その話を聞いたものですからねこの前セーハンに云いましたらセーハンは立法院は今まで三つぐらい白星を取っているが今の問題はどうなるかといっていましたよ。(笑声)。しかし今さら何の理由もなく百パーセントに下げるとなったら面目ないし、住民も何だ立法院といっても以前と違わないじゃないかという印象を受けますよ。
○城間盛善君 酒を百パーセントにした場合、煙草はこれより下げるべきだ。
○吉元榮光君 大衆課税だからね。
○仮議長(松田賀哲君) 酒の税を百パーセントにするなら後が大変ですよ。物品税もありますしね。
○城間盛善君 取締りの問題ですがね。職員を動員してするより他にしようないでしょう。
○吉元榮光君 没収したのは群島政府の所有ですか。
○財政局長(宮里勝君) はい。
○吉元榮光君 そこにも不合理があるわけですね。
○仮議長(松田賀哲君) 百パーセントにしても密輸は無税だから当然くるですよ。
○城間盛善君 当然闇とは競争出来ないでしょう。一方は税で一方は無税だからね。闇というものは結局全部PXから出ているのですよ。
○仮議長(松田賀哲君) それぐらいですか。どうも有難うございました。
  (午後五時閉議)

  本日の出席者
   仮議長  松田 賀哲君
   委 員  與儀 達敏君
    〃   吉元 榮光君
    〃   城間 盛善君
   財政局長 宮里  勝君
   財政局主税歳入課長
        山内 康司君

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