戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年02月15日 
(昭和26年)
会議名
第5回沖縄群島議会(臨時会) 1951年2月15日
議事録
第五回沖縄群島議会(臨時会)会議録

一九五一年二月十五日(木曜日)
午前十時
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席二十名、全員出席であります。
◎議長(知花高直君) 諸般の報告を致します。第三回沖縄群島議会に於て決議になりました円予算及びドル資金の件陳情書及び法務警察委員会の所管事項についての陳情書二件は知事の副申書添付一月二十五日沖縄民政官経由発送致しましたから報告致します。沖縄群島監査委員長から監査の結果について一月二十五日及び二月八日付で前後二回に亙り報告がありました。結果の内容については印刷の上皆さんの御手許に差上げてありますから議長宛の公文だけ書記長に朗読させます。
  (書記長「新垣良正君」朗読)

監委発第七号
 一九五一年一月二十五日
 沖縄群島監査委員会委員長
          仲宗根秀俊
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  監査の結果報告について
旧臘二十二日より二十八日まで群島組織法第一一七条の規定による特別監査を執行しました。その結果は別紙の通りであります。
右群島組織法第一一八条第二項の規定により報告致します。
  (別紙省略)

監委発第一一号
 一九五一年二月八日
 沖縄群島監査委員会委員長
          仲宗根秀俊
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  監査の結果報告について
一月九日より二十日まで群島組織法第一一七条の規定により特別監査を執行しました。その結果は別紙の通りであります。
右群島組織法第一一八条第二項の規定により報告致します。
  (別紙省略)

◎議長(知花高直君) 知事から議長宛に公文が参って居ります。書記長をして朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」朗読)

沖総第九号
 一九五一年二月十五日
  沖縄群島知事 平良辰雄
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  第五回群島議会提出議案について
第五回沖縄群島議会(臨時会)において議会の議決を得たいので別紙の通り議案及び諮問案を送付致します。
  (別紙省略)

○議長(知花高直君) 議案と諮問案を配付致させます。
  (書記議案及び諮問案を配付)
◎議長(知花高直君) 日程報告の前に諮問案第二号の「中部農林学校の移転敷地について」これは取止めになりましたので次の諮問第三号は第二号に、諮問第四号は第三号に、諮問第五号は第四号に御訂正願います。

◎議長(知花高直君) それでは本日の議事日程を報告致します。
議事日程第三号
 第一 今期議会の会期を定めること
 第二 今期議会の会議録署名人選挙
 第三 一九五一年度沖縄群島政府歳入歳出追加予算について
    (知事提出議案第八号)
 第四 沖縄群島における治安裁判所の数、所在地及び管轄区域に関する条例の一部を改正する条例について
    (知事提出議案第九号)
 第五 映画フィルム審査条例について
    (知事提出議案第十号)
 第六 病院及び診療所使用料徴収条例について
   (知事提出議案第十一号)
 第七 船舶の登録、検査及び運航並びに船舶職員の免許試験等手数料徴収条例について
   (知事提出議案第十二号)
 第八 商業高等学校設置(の設立カ)について
    (知事提出諮問第一号)
 第九 市町村税法案について
    (知事提出諮問第二号)
 第十 現行税法改正案について
    (知事提出諮問第三号)
 第十一 特別商品税法案について
    (知事提出諮問第四号)
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一 今期議会の会期を定めること
 日程第二 今期議会の会議録署名人選挙
 日程第三 一九五一年度沖縄群島政府歳入歳出追加予算について
    (知事提出議案第八号)
 日程第四 沖縄群島における治安裁判所の数、所在地及び管轄区域に関する条例の一部を改正する条例について
    (知事提出議案第九号)
 日程第五 映画フィルム審査条例について
    (知事提出議案第十号)
 日程第六 病院及び診療所使用料徴収条例について
   (知事提出議案第十一号)
 日程第七 船舶の登録、検査及び運航並びに船舶職員の免許試験等手数料徴収条例について
   (知事提出議案第十二号)
 日程第八 商業高等学校の設立について
    (知事提出諮問第一号)
 日程第九 市町村税法案について
    (知事提出諮問第二号)
 日程第十 現行税法改正案について
    (知事提出諮問第三号)
 日程第十一 特別商品税法案について
    (知事提出諮問第四号)
 日程追加 食糧配給改善に関する件につき陳情書を提出することについて
  (六番議員普天間俊夫君提出議案第十三号)

◎議長(知花高直君) これから本日の会議を開きます。日程第一の今期議会の会期を定めたいと思いますがどう致しますか、おはかり致します。
 今期臨時群(ママ)会は税法案その他重要案件がありますので今期は来る十九日(月曜日)までと致したいですが如何ですか、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議なしと認めます。よって会期は十九日まで五日間と決定致します。

◎議長(知花高直君) 日程第二、今期議会の会議録署名人二人を選挙致さねばなりませんが如何に取計いますか。
○平良幸市君 議長で指名願います。
◎議長(知花高直君) 八番議員(平良幸市君)から議長指名の動議がありますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議なしと認めます。依って議長は八番議員(平良幸市君)、十一番議員(具志頭得助君)二人を指名致します。御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって御両名にお願い致します。

◎祖根宗春君 議事録署名人は議事に対する記録が正確になされているか、否か、責任を持たねばならん重要な署名でありますから、しょっちゅう同じ人がやると署名人が専門化する恐れがありますから成可く交互にやるか、その問題の重要性に依ってこの人を署名人にしようと云う、何かしら議長としては一定の方針に依って議長一任になった場合どういう方針でやるか、御意志があるか、伺いたい。
◎議長(知花高直君) 議長としては出来るだけ群島政府に近い方という意味の考えでおります。皆さんの御希望があれば交互に出してもよいのであります。議事録にも公報にも出さなければなりませんので。

◎議長(知花高直君) 日程第三、議案第八号「一九五一年度沖縄群島政府歳入歳出追加予算について」を議題と致します。
 書記長をして議案を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第八号朗読)

議案第八号
  一九五一年度沖縄群島政府歳入歳出追加予算案について
 右別紙案に依り議決を求めます。
 一九五一年二月十五日提出
  沖縄群島政府知事 平良 辰雄
沖縄群島議会議長 知花高直殿

  一九五一年度沖縄群島政府追加予算案
             沖縄群島政府

○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎財政部長(宮里勝君) 今回提案致しました予算案は前議会で申上げました軍補助金の中で未決になっていた分を計上致しましたのと、他の二、三ヶ所追加する必要を認めたので提案致しました。
 今回の提案で軍の補助金の補足は完了することになりました。内容について簡単に申上げます。歳出におきましては文教部社会教育課関係が三〇〇万円その中民負担が五〇万円、軍負担が二五〇万円、土地委員関係一七、九七二、〇〇〇円である。他に財政部の助成過納金(租税過誤納カ)の還付金として五万円計上いたしました。昨年六月ペルーの沖縄救済会長から難民救済金として寄附金が一二九、六〇〇円ありましたので計上して予備費に入れてあります。使途を決定しまして入れるように考えております。歳入面においては警察部の没収品売上金が五五〇、〇〇〇円、社会教育課補助金二、五〇〇、〇〇〇円、土地課補助金一七、九七二、〇〇〇円の軍補助金、雑収入一二九、六〇〇円計上してあります。尚一言付加えたいのは議会の要求に基き、従来施行中の予算という解釈で直ちに既決予算に計上してありました方法を更めて執行中の予算といえども新たに追加更正予算として当該欄に追加更正することに致しました。十二月以来一月更に今回までの予算累計は歳入歳出とも民負担が、税収入一七二、六一六、九六六円一六銭、税外収入三二、〇八七、九九八円一七銭、雑収入一二九、六〇〇円、合計が二〇四、八三四、五六四円三三銭で軍の補助金一一〇、四七七、二七〇円七二銭、農林省助成金八、五六六、三五一円、合計一一九、〇四三、六二一円七二銭、総計が三二三、八七八、一八六円五銭であります。よろしく御審議をねがいます。
○議長(知花高直君) 本議題の質問に入ります。
◎宮城久栄君 一月の議会にも質問したが既決予算額が二億余りになっておりますが吾々が既決したのは二億九千万円余りで七千九百万円多くなっておりますが、これはどうしたのですか。
○財政部長(宮里勝君) 今の質問は先刻申上げました年度継続中であるという解釈の下に今議会には提案しなくても前の継続に対しましては既決予算額として計上してあったのであります。それが累積して今の説明のようになっておりますが、今回からはその分は追加更正予算に計上致しまして訂正いたします。
◎宮城久栄君 吾々議員が予算を決めるのは、重大なものを議決する時は、前議会で成立したものと今回のと一致しないといけないが前回も今回も一致しないが財政部長は軍が四月から予算を出してあるから既決を見るというがこれはいけない。軍としては四月以来、補助を出しても議会では未決であるから追加更正で出し前回と今回はぜひ一致しないといけない。
○財政部長(宮里勝君) 今回の追加からは御趣旨に従っております。
◎新里銀三君 歳入の没収品売上代金でありますが殆んどは各方面で没収された没収全品物は事実これだけしかないかと質問したが(ママ)五五万円追加になっております。あの当時の計算にもれているのか聞きたいのであります。何月までの没収全売上げ額であるか。次は補助金であるが現在まで軍から民が受取っていたものをそのまま受取って、これは人件費そのままのものであるが更に人員の移動があるかどうか。金は軍政府から貰ったそのままであるかどうか。ペルーからの寄附金十二万九千六百円は何時頃来て、何所に保管してあってどういう風に処分するか。知事一任であるか。それを承りたい。
○財政部長(宮里勝君) 今の没収品の金額は警察部からの報告で確定した分だけ、その都度計上致しております。それから今の補助金の人件費はそのまま計上しております。ペルーからの寄附金は昨年六月に来て、財政部の方で保管して現在そのまま保管しております。
○新里銀三君 まだ処分していないのですか。相当の金額で別ではありますが在外沖縄人の御厚意に対しては議会か或は知事として御礼を出す必要もあると思います。それをやったかどうか。金の保管でありますが年度も後一ヶ月しかありませんがそれをどういう風に処分されるか伺いたい。
○財政部長(宮里勝君) 私が説明申上げますが使途については知事に一任されております。難民救済の条件がつけられております。それで今社会事業課の方でどういう風に有効に使うか研究中であります。来月の議会にそれの使途について御報告出来ると思います。
◎祖根宗春君 追加更正予算の歳入歳出に軍補助金の新しく交付された分か増えているようであります。軍補助金は民負担いくら、軍負担いくらと決められているようであたて(ママ)その取決めは軍の方針だと思いますが、こういう何分の何、何分の何というのは、五二年度の予算にもそういう式で行くのか、或は軍補助金に対する知事としての見透しは今後も何分の何、何分の何とこういう風にして補助金として予算に編んでいく自信があるか御聞きしたいと思います。
○財政部長(宮里勝君) 現在迄は項目に従って、例えば三分の一とか全額とかいう風に区分されておったが来年度については現在予算の案は軍に提出していますが具体的なものは折衝を開始していない。来月の一日から桑江の本部に於てそれについて折衝することになっているので、その時に判明することと思います。只今の処ははっきり致しません。
◎祖根宗春君 パーセンテージは現状維持で次年度も編まれるのか、或は軍負担を増やすように希望するのであるか、その辺の御方針を承りたい。尚土地関係の軍補助金が相当ありますが、土地所有権証明書交付に対する事務の進行状況について伺いたい。そして何時頃終るのであるか、この軍補助金予算の範囲内で次年度迄持ち越さないで終了するのか進行状況を伺いたい。
○財政部長(宮里勝君) 来年度の軍からの補助金は三億四千四百万円であったが群島政府としては四億五千万円おねがいしてあります。民政官府は通過して民政本部で決定されると思います。
○法務副部長(金城信範君) 二月一杯で調査を終了して三月は閲覧期間、四月から証明書を交付する様に準備しております。
○議長(知花高直君) 質問ありませんか。
◎宮城久栄君 歳出の第二十一款の予備費の予算説明に雑収入ペルーよりの寄附金繰入れとありますがこれは歳出に計上すべきものでなくて歳入に持っていくべきではありませんか。
○知事(平良辰雄君) ペルーからの寄附金がそのまま放ったらかしになっておりますが一応予算に入れておいて更に使途については今度予備費から更正して議会にかけて使いたいと思って歳入に受け入れて予備費に入れてあります。更に使途を考えて、その使途は次の議会に出る筈です。兎角早く表に出すという風にしてあります。その点一つ。
◎仲村栄春君 土地所有権関係の事務が四月までとなっております。地番、地積、地目の変換或は図面の作成という事務は土地課で行われるだろうということが考えられますが、土地に対する課税が地方税になるようでありますし、その場合、課税の対象になる賃貸価格設定は何処でする方針でありますかお伺いしたい。たくさんの土地調査は戦前の状態において地目、地積について調査されたと聞いておりますが、戦後の現状は戦前の状態と地目、地積の状態とずいぶん変ったのがある。道路敷地になったり、荒地になったりしたのがあるが、こういう風なことについては土地課で処理されるのか、どういう風にされるのか伺いたい。
○法務副部長(金城信範君) その点は土地課長がおりませんから後でお答え致します。
◎新里銀三君 土地所有権を確認証明するときは軍が証明をやってくれという命令だと思いますが各町村においては個人の土地所有権証明書交付前に証明料としていくらか徴収することになっておりますが一筆いくらとするか。これに依って区々にわたって取る様になっておりますが、これは各町村が決めることになっていますか。これに依って町村の吏員の増俸問題にも関連しますが、これは取る可き性質のものであるが、これは軍の命令でやっているし、軍の負担でやっているので、これは町村で取る可き性質のものであるかどうか、これは土地課としてどういう方針であるか。
○法務副部長(金城信範君) 只今の御質問も後刻お答え致します。
◎平良幸市君 議事進行について申上げます。土地問題について相当質問もあると思いますから出された議案をやった後でやって欲しいと思います。
○財政部長(宮里勝君) 土地の手数料につき現在各町村で条例によって一般の手数料と同時と(ママ)手数料を徴しております。これは現在各町村におきましては税法が確立されておりませんので財源の一部として手数料を徴収しております。
○知事(平良辰雄君) 土地の問題で御質問がありまして後に廻されていますが要するに賃貸価格の問題は戦前と地目が変っているのもたしかに問題になると思いますが、そういうことについてはまだ話も私は聞いておりませんので、その点は御趣旨に沿うて私も賛成して、そういうように行きたいと考えております。土地所有権の証明手数料も町村の条例に依ってとっております。その条例で適当であるか不適当であるかという話に今の結論がいくと思います。更に検討して若し不合理であれば訂正させると考えております。
◎仲里誠吉君 当局に対して再び要望しますが、これは前回の予算審議の場合も各項目の説明が殆んど載っていないのであります。これは詳しく予算案の中なり或は別紙のかたちにして出していただきたいと重ね重ね要望しましたが本議会には未だ実現していない。これは次の予算案の時から厳密に実施して頂く様に要望致します。
 歳出の第三十六款の二項、四項、第三十七款の所であるが旅費とか自動車賃借料、通信費、需要費、備品費、消耗品費と出来るだけ各部からの具体的な要求の内容を示して欲しい。この予算案の歳出面は例えば法務の土地課はかなり詳細に亙って出してある。而るにそれ以外の各部からの要求は何等の説明もつけ加えてない。
 第三十六款の三項の旅費、自動車賃借料の妥当であるかどうか、議員としては判定するようす(ママ)がない。従って次の議会からは各部からの要求、それから予算課で査定した内容を示して貰うように強く要望しておきます。三項の旅費の項目に計上してあるのは一泊いくらと見ているのか伺いたい。第三十七款の三項の旅費のところも一泊いくらとしてありますか、これはそれぞれ関係者から答弁ねがいます。
○予算課長(糸数青重君) 土地課の予算につきましては昨年四月から予算化されているが、いろいろの都合で額を示されたのは十一月であった。土地課長とも協議したが分明しないところがあって二千四百万円の金が消化されておりません。而し政府としては一応議会に出す必要があって出したわけであって、その費目の算定の基礎についても明らかでない。この次の議会からは、はっきりする様に致します。社会教育課の旅費についても、算定の基礎がはっきりしませんが、これは今年度五十五万円追加計上しましたが、殆んど俸給にいっておりまして特にはっきり説明してありませんが、次回からは説明して御希望に副うて明示致します。
◎新里銀三君 歳出第二十一款の自動車賃借料でありますが、群島政府の自動車が七台あると聞いていますが、それ以外にどういう場合に自動車を使うか、十何万円をどういう風に使うか聞きたい。日本製のトラックの中二台は或る個人企業者が常用しているという風評がありますが、それは事実であるかどうか、その借賃はいくらか予算に表してあるか。ローボーの一台個人が借りている風評があるが貸してあるならば、いくらで貸してあるか、それを予算に計上してあるか、それを伺いたい。
○総務副部長(稲嶺成珍君) 自動車賃借料については民負担については一日千三百円で借りている。軍負担についても同様でありますが今政府では七台のトラックを総務部で運営しているが、七台では間に合いませんから殆んど民間の業者から借りて特に文教部、厚生部は油脂燃料、薬品の輸送、学用品の輸送に使っている現状である。更に二台使っていることは知りませんが、自動車使用料については予算化しております。群島政府運営の七台については使用料は計上していないが、油脂燃料費、修繕費は計上してあります。
○知事(平良辰雄君) 自動車の使用管理について申上げます。群島政府の自動車が色々のことをやっているということは投書も来ている。闇かせぎをやっているから困るということも各方面から来ている。自動車の修繕費、これは運転手がかせいでやっているという事実もあるが、それはいけない。自動車の管理をはっきりして修繕費も出すなら出すという風にやりたい。また運転手の俸給も安ければ上げる方法も考え時間外勤務といった方法も考えてやらなければならんという対策も考えております。
◎仲里誠吉君 今の自動車について更に質問します。現在群島政府の自動車は各部が専属として使っているのか、そうでないのか。若し各部が専属で使っておるとすれば例えば自分のところの車が空いている場合に他の部から貸してくれといってもなかなか融通しない場合が出て来ると思う。専属制を採用しておるとすればそういった制度は御破算して例えば工務部の陸運課あたりで一括管理して各部からの要求に応じその都度派遣する、そういう風にして欲しい。軍はそういう風にして自家用以外は一緒に集中して、そこで管理して各部からの要求に従う。群島政府もそれに習ってやられる様に要望します。
◎仲村栄春君 先程も質問したのでありますが、土地所有権関係の事務が近く結了し、証明書で交付せられるということであるが、地番、地積、地目等の土地事務は土地課で処理されると思います。その通りでありますか。土地について課税が地方税に移されるということでありますが、その対象となる賃貸価格の設定事務はどこで処理されるか、これについて。それから土地調査は戦前の状態に於ける調査をしたということをきいておりますが、現状は地目の状態に於ても潰地、荒廃地になったりいろいろ変動がありますが、どこで処理されるか。
○土地課長(岸本利男君) 一番目の御質問の地番、地目その他の主管は土地課の方でやっております。土地税が地方税に移譲されて、それに対する賃貸価格の決定は財政部の指導監督に俟つものと私は思います。それから地目、地番の所有権認定の事務は一九四六年二月二十八日から始っているが、途中非常な困難があって、新しい地番作成要するにアメリカの地番、地目の指導の方針に依って仕事を進めてやったが、技術面或は事務上の煩瑣からそういったことが到底できない状態に立到って、私が就任してから戦前の組織を基準にしてやっているのであります。それで地番其他は申請に依って、それを基礎にして、戦前の状態にこれを作成しているわけです。地目も戦前の通りであります。
○仲村栄春君 その後変動に対しては、その事務の処理は矢張り土地課で行うのですか。
○土地課長(岸本利男君) はい、行っております。変動したものは個人からの申告に依ってやっています。
◎山川宗道君 民政府は必要なものには相当の補助金を与えておりますが、群島政府におきましても今非常に疲弊困憊しているところの農村漁村に対して補助なされる意思があるかどうか。もう一つはペルーからの送金の件でありますが、これに対し沖縄の事情も添えて向うにも礼状を出されているかどうか。今海外に於きましては所謂勝組、敗組がありペルー或はブラジル辺りではお互い同胞が争っているようであります。故にこういう機会を以て沖縄の事情、日本の事情などをお報らせして頂きたいと要望するものであります。
○知事(平良辰雄君) 農村が疲弊しているが、これに補助金を出す意思があるかという御質問であるが、補助金と言っても、どういうものであるかをよく分りませんけれどもその事業が農漁村の発展の基幹となるような施設、そういうような施設に対しては補助するというよりも金融面から援助したい。それから又農村自体で出来ない仕事は群島政府でやる、或は軍の補助金でやるというような方向に進んでいるのであります。
 然し例えば藍を作ったからそれに対して五十円の補助をするというようなことは考えておりません。
 海外同胞からの寄附金の件でありますが、それは御趣旨の通り吾々も賛成でありまして、或はいろいろな特別な事情に対して、例えば沖縄の現状としまして、教育問題であるとか、いったようなものに対しては海外に留学生を出すといった場合には、どうしても弗資金がなければいけない。そういう場合に育英資金を募るといったことも考えられるのぢゃないかと思います。特別なことに対しては海外同胞に呼びかけて寄附を仰ぎたいということも考えております。
◎山川宗道君 本員の申すのは今知事の御答弁とは少し相違致しておりますが、近来御承知の通り農を捨て、或は都市に、或は軍作業に行くのが沢山あることはよく皆さん方が御承知のことであるが彼等はどうしてこの農耕地を捨てて行くかというと、彼等は畠も耕し砂糖も作りたいということを云っておりますが、その苗が足りないのでどうすることも出来ない。吾々は将来に向って一縷の望もない。それよりも早く軍作業に或は都市に行くといって離農するものがありますので出来得れば甘蔗苗というようなもので早く補助して貰って皆に甘蔗の奨励をすれば自立経済の上に相当役立つのではないかという意味であります。
  (知事「よく分りました」)
◎新里銀三君 第六項でありますが通信費、電信料、電話料とあります。相当通信費が増額致しましてこうなったと思いますが、郵政庁に対する希望であります。これは直接政府に関係があるかどうか分りませんが、電話でありますが、電話料も納めている。大体電話は急を要するために、交換手が非常にずぼらの者がおりまして話が終ってもそのままつなぎッ放しで何時も話中である。叱れば話中でもすぐ切ってしまうのがあります。そういう者はよく指導して貰って電話の最高度の能力を発揮して頂きたい。それから一つは手紙でありますが、国頭迄一週間もかかる場合があります。会の通知を出したら会がすんで二、三日もしてから手紙が着いたという場合もあってこの点特に政府から郵政庁に通信の急速なる配達、電話の最高能力の発揮をして貰いたいということを希望する者であります。
○知事(平良辰雄君) 只今の御希望は尤もで吾々も痛感しておりますが幸いそういう意見も議会出(ママ)ましたので郵政庁に折衝してそういうことのない様に努力したいと考えております。
◎議長(知花高直君) 質疑を終了致しまして討論に移ります。御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君)(注 欠落のため挿入) 御異議がないと認めます。依って議案第八号を可決致します。
◎議長(知花高直君) 日程第四、議案第九号を議題と致します。書記長をして議案を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第九号朗読)

議案第九号
  沖縄群島における治安裁判所の数、所在地及び管轄区域に関する条例の一部を改正する条例について
 沖縄群島における治安裁判所の数、所在地及び管轄区域に関する条例(一九五〇年十二月二十二日(沖縄群島)条例第四号)の一部を改正する条例を別紙案の通り制定致したいので、議決を得たく提案する。
 一九五一年二月十五日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  沖縄群島における治安裁判所の数、所在地及び管轄区域に関する条例の一部を改正する条例
沖縄群島における治安裁判所の数、所在地及び管轄区域に関する条例(一九五〇年十二月二十二日条例第四号)の一部を次のように改正する。

   附 則
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 この条例施行前において宜野座治安裁判所に係属している事件については石川治安裁判所に、糸満治安裁判所に係属している大東警察署管轄区域よりの事件については那覇治安裁判所にした訴の提起とみなす。

○議長(知花高直君) 議案第九号の質疑に移ります。御質問ありませんか。
◎宮城久栄君 従来あった治安裁判所を整理統合した点は、どの点でせうか、そこを承りたい。一寸そこが判りません。
○法務部長(知念朝功君) 警察の機構改革によりまして宜野座の警察が廃止になった、そのために宜野座の治安裁判所は廃止になりました。
○宮城久栄君 原案賛成。
◎議長(知花高直君) 討論を省きまして確定したいのですが如何ですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第九号を原案通り可決致します。
◎普天間俊夫君 これに関連しまして殺人強盗、其の他の犯罪がまだ断たず、住民に不安を抱かしめておりますが、これ等の犯罪者は沖縄本島の者にもあるようでありますが、多くは大島、宮古からの無籍者に多いと聞いておりますが、これに対する御当局の今迄とられた措置又は今後取る処置並びに犯罪防止について、御意見を承りたいと思います。
○警察部長(警察本部長カ)(仲村兼信君) 御説のように最近非常に殺伐なる事件が増えております。これは警察本部としてその対策を考究しているのでありますが、これは沖縄本島に住んでいる者にもあるわけでありますが、多くは大島或は宮古という方面から入り込んで来る者によって、そういった事件が起るのであります。その対策と致しまして今の措置を講じつつありますのは大島、宮古、八重山方面から入り込んで来る者に対する実数をつかむ。それで南北琉球政府或は連絡事務所等にも連絡を致しまして、これを登録していただく。入り込んで来た者に対してはそれぞれの連絡事務所に登録して出来れば指紋と写真を撮りたいということを今考えて立案中であります。これは入り込んで来るのを止めればいいぢゃないかということになる訳でありますが、琉球全体は居住権の自由を有しておりますので何処へでも行けるのでありまして、これを現在の規定では阻止する方法がないのであります。沖縄から宮古に行っても、大島から沖縄に来るのも自由でありまして、出港許可を得た船舶に乗り船客名簿に登録されればどこまでも行ける。これを止めることは出来ないのであります。来た者に対する処置を如何するかという事に対しては今登録をして指紋と写真を撮りたいという事を考えております。更に尚、詳しく申上げますと従来入り込んで来ました沖縄本島以外の者、この実数がなかなかつかめないのであります。所謂無籍者と称しておりますが、この点がなかなかつかめない。男にしても女にしても今日は胡差地区、明日は那覇地区といった具合に転々としてなかなか実数がつかめない。そこで戦前の戸口調査を厳密にしたいということを考えまして、実行中でありますが、それにしてもなかなか実数をつかめないのであります。一定の居所を持たず一定の職業を持たないので、それでも対策を講じなければならない問題でありまして、出来るだけの実数をつかみたい、そして犯罪防止の一環としたいということを考えております。尚困っておりますのは、この間の那覇十区であった殺人事件も同様でありますが、大抵の者が偽名をしている。それでここで捕えている氏名と実際とが違う。ここで犯罪を犯し大島或は宮古に帰しても、捕った名前で電報をする。その場合名前がなかなか分らない。そういう面では大変弱っております。そこで南北琉球の政府ともよく打合せた上で出来る丈け目当のない旅をさせないという処迄行かなければ今の状態では勝手に入り込む、そして来ても仕事がないので結局悪いことをしなければならないということになるのぢゃないかと思うのであります。もう一つ困っておりますのは何か仕事を探しにいって来る。そして配給停止証明書迄持って来る。ところがそれを居住したいと思う市町村にもって行ってもなかなか登録してくれない。受入れてくれない。余程やかましく扱っておりますために、何か就職をしたい、配給を受けたいと思っておりましても結局暫く滞在している間に犯罪を犯す。そういう点に付いては市町村にもお願いして真面目に稼ぎたいという人々に対しては最温(ママ)い気持で入れた方がいいのぢゃないかという感じを持っております。
 その点については何れ関係当局にお願いして善処したいと思っております。犯罪防止の面については日夜その対策に苦心を致しておりまして、出来る丈絶滅したいという考を持っております。
◎仲里誠吉君 只今の問題に関連しますが、暴行事件が次から次へと頻発するのは只今詳しく質問、或は答弁の中に出た通りであります。この問題は飽迄も窮極に於ては経済問題であるということをお忘れにならないように。第二は行政面から来る問題だと思う。沖縄本島へ宮古、八重山、就中、大島から正式の手続を取ったにしろ、取らなかったにしろ、流入する者がふえて来ている。そして最初は善良なる目的で来ているのであるが、行政面で受付けてもくれず仕事口もないというので長期間滞在している内に食うのに困って結局悪を悪と知りながら悪いことをするという風な過程を経て悪のふちに転落するということは只今の警察部長の答弁の通りであるが、これは結局食えないからであって、これも経済問題であって単なる犯罪技術上だけでは徹底的撲滅は出来ないということをよく認識して頂きたいと思う。
 それから行政面に於てもこれは出来るだけ、そういった人達は温い気持で迎えて仕事を世話してやるといった親心があって欲しいと思う。但し、例外が一つある。それは日本の業者及びそれに使用されている日本人であるが彼等自体が那覇の市場に於て暴行事件をおこしている。彼等は沖縄人よりもはるかに高い二倍三倍の待遇を受けている。宿舎も立派な宿舎をあてがわれている訳であるが彼等が依然として犯罪行為を犯しているところは本議員の思う処では沖縄住民に対する一種の侮蔑感優越感から来ていると思う。従って日本人業者及びそれに使用されている日本人にして沖縄人の身体に傷害を加えた場合には警察当局は直ちにこのような者を引捕えて本国に送還して頂きたい。そういう処置を取らない限り、こういった種類の事件は跡を断たないであろうと信ずる。その点強く要望し又当局のそれに対する回答を伺いたい。
○警察本部長(仲村兼信君) 日本人業者に使われている日本人、これによって起される事件というのは御心配のようなところ迄行っておりません。私はまだそういうような事件は聴いておりませんが数字には挙げてあるかも分りませんがいくらもないのであります。
○仲里誠吉君 数が少いということは、全然それに対する対策を講じなくてもいいということになるとは思いませんが。
○警察本部長(仲村兼信君) そういった事件が起った場合には当然強制送還されます。そういう制度になっております。
◎新里銀三君 只今仲里議員から云われた如く行政面からの関係も必要であるが一歩進んで、こういう悪い事件を起して次々に毎日増えるようであります。これは厳罰主義を以て臨みたい。人を殺した者は極刑に処するというところ迄行かなければ根絶出来ないと思う。沢山の金を取っても刑が軽い。こういう者は厳罰に処する。又偽名の者であるが拷問しない。人権尊重ということになっておりますので、これには来る予算に於ても警察本部に於て鑑識課の充実、指紋、写真など科学操作(ママ)によって、無理が来ないと思うので、その点を考慮されまして、警察に於ては、そこに無理のない様にお願いしたいと思います。

◎議長(知花高直君) 日程第五の議案第十号を議題と致します。
 書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第十号朗読)

議案第十号
  映画フィルム審査条例について
 群島組織法第二条第二項に基き、沖縄群島における映画フィルム審査に関する条例を別紙案の通り制定致したいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年二月十五日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  映画フィルム審査条例案
第一条 この条例は、映画フィルムの不当な輸入及び上映を防ぎ映画興行を健全な企業たらしめもって沖縄群島の映画文化を向上させることを目的とする。
第二条 この条例において映画興行とは、商業上の目的をもって公衆に映画を上映観覧させる企業をいう。
第三条 映画興行者とは、一九四八年十月二十六日特別布告第三十三号に基く企業免許を受けた者を言う。
第四条 映画興行者はその所持する映画フィルムについては知事にこれを申告しなければならない。但し既に申告を終った映画フィルムについてはこの限りでない。
第五条 前条の申告は、左の事項を記載し入手後十日以内にしなければならない。
 一、映画フィルム題名(原名及び日本訳名)
 二、巻数及び種類
 三、製作会社名及びその国籍
 四、製作年月日
 五、入手年月日
 六、賃貸期間
 七、所持者住所氏名
第六条 映画興行者は前条の申告をなすに当り映画フィルムが正当に輸入されたものであることを証明する書類を提出しなければならない。
第七条 映画フィルムはすべて上映前に知事の上映許可を受けなければならない。
第八条 知事は前条の上映許可を受けた映画フィルムについて上映許可証を発行する。
第九条 映画興行者は上映前に前条の上映許可証の写を添え、所轄地区警察署長に上映届を提出しなければならない。
第十条 この条例の規定に違反する者につき知事は一九四八年十二月十日府令第七号第五条に依り企業免許の取消し又は営業停止を命ずることができる。
   附 則
第一条 この条例は、一九五一年三月一日から施行する。

○議長(知花高直君) 提案理由の御説明をお願いします。
◎弘報室長(崎間敏勝君) 只今の条例を御説明致します。従来迄は映画の検閲その他演劇に関する事務は総て軍政府でやっておったが、吾々としてはこの検閲事業を受け継ぎたいということは自治の拡張であるという風に考えておりましたところ、丁度貿易庁の方で正式フィルムを輸入する弗の割当が行われることになったので、この機会に是非ともそういうことをしたいというので軍政府に折衝したところ、群島政府で立法すればその時からこの検閲の権限を移してあげようということでこの条例案を作成した訳であります。
 これは映画のフィルムをつかまえて、フィルムを取扱う映画興行者を専ら対象にして映画フィルムの上映規制をしたいと考えております。
 先ず第一に映画興行者が仕事を順調にやりますために企業免許を受けなければいけない。そして更に受取ったフィルムについては、これを申告する。申告をしたフィルムについては検閲を受ける。検閲を受けてから全島に映画興行が出来るという風に仕組んであります。ここで特に御説明申上げなければなりませんのは第六条の正当に輸入されたという文句でありますが、この方の説明は私達と致しましては、もしこの条例案が通りました場合には施行細則の方で説明しようと思っておりますが、大体の構想はすべて為替輸入であろうと、無為替輸入であろうと兎角正当な貿易船を通して入って来たものは総て正当と看做そうと思っております。
 それから知事の上映許可という文句でありますが、これは軍政府が建てている方針があって、私共はこれに拠って上映許可を与えようと思っています。それは第一に戦前の日本映画、戦後の日本映画、米国映画、日本及び米国映画以外の外国映画の四つに区分して終戦以前の日本映画と日本及び米国以外の外国映画は検閲を受ける。その内終戦以前の日本映画については既にどの映画は上映していけないというスキャップの覚書がありますので、これによって機械的に出来ると思う。それから日本及び米国以外の外国映画についても総て一応は日本映画業者の配給を通して来ますので、その方の検閲も困ることはなかろうと思っています。この条例は現行の式たり(ママ)を形式化したものでありまして、それに或程度首尾一貫させたような主旨であります。
 別にこの条例が出来たからといって特に映画興業がきびしくなる、むつかしくなるという風なことは考えておりません。
 軍政府から映画検閲の権利をゆずってもらうための一つの手段としてこれを是非御通しねがいたいと思っております。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。
◎仲里誠吉君 この条例を一応読んで見ますと、或はフィルムが一応正当なルートを経て入ったものと仮定して、輸入されたら許可証を受けて配給業者から各映画館へ転々として興行に廻る度毎に輸入許可証と上映許可証を受けなければならないようになっているが業者としてはその煩に堪えないと思う。上映の度毎に同一のものについてそういう事をする必要はないと思うが、事務的な簡易化のために映画の輸入許可証と上映許可証は映画を輸入した人自体の責任として一回きりですましたらどうかと思うが、当局の御意向を伺いたい。
○弘報室長(崎間敏勝君) 輸入許可証、申告済証明書、上映許可証は一回受ければ後は総てそれの写しを引つぐという風にしたいと思います。輸入証明書、申告済証明書、上映許可証この三つは一回の発行がすみましたならば後はフィルムと一しょに添付しようと思っております。今仲里さんのおっしゃったように御趣旨に副うと思います。
○議長(知花高直君) 御質問はありませんか。
◎祖根宗春君 これは群島組織法第二条第二項のどの項を適用されているのか。それがもし条例が出来て知事の認可権によって、もし問題によっては許可しない場合もあると思いますが、それはどういう風なものを許可しない方針であるか。或は闇で持って来たフィルムの違反者の発覚した場合の適用される法律はどの法律を適用するか。
○弘報室長(崎間敏勝君) 第二項の中の七項(ママ)「劇場その他の文化に関する営造物を設置管理し、及び設置管理を規制すること」これに拠っております。それから第三番目の御質問は只今情報教育会議というのが軍で行われておりますが、その中に米国及び琉球の軍政に、誹謗的であり、中傷的、敵対的であるものは許可しない、もう一つはわいせつ不謹慎若しくは不道徳的であるものは許可しないという二つの方針があるので実際に当ってそれは検閲をする側の責任でありますが、若し業者がこれに対して不服である場合は裁判所の決定に従うことになると思う。今の規則で行くと興行者は恐らく闇で入って来たフィルムを上映しないと思う。従って闇業者の損失になるのぢゃないかと思っております。
◎仲里誠吉君 映画フィルムの検閲方針は只今の弘報室長の説明で分りましたが、それと関連して演劇面にも何か統制の規定があるようであるが検閲の内容、そういったものを伺いたい。それに従って又質問をしたいと思いますから。
○弘報室長(崎間敏勝君) 演劇の方は、はっきりした指令が軍からも出ておりませんが、私共の責任者としての解釈でやっておりますが大体先に申上げたようなことの外に封建的なもの、そういったものは却下という訳ではなく勧告をしておりますが、何れそういう事項が問題になりました場合に、どうしても条例を設けなければいけないという場合は、又条例を作って議会の議決を得たいと思っております。
◎新城徳助君 審査方法について詳しく伺いたいと思う。審査委員が出来るのであるか、又は弘報室でやられるのであるか。
○弘報室長(崎間敏勝君) 審査の方法は先ず第一に免許証を持っているかどうか、それから申告済であるかどうか、検閲許可をしたものであるかどうかと云う風に分れると思いますが、審査の方法と申しましても検閲だろうと思いますがこの方面は勿論責任は知事にありますけれども恐らく委員会を作った方が妥当ではないか、技術的に良くても他の点で悪いという風に実際の問題についてどうしても或程度専門家と申しますか、そういった方々の判断が頼りになる場合がありますので、そういった面ではうんと民間の意見を入れたいと思っております。
◎新城徳助君 そういう条例を設けるのであれば審査方法も、或は審査委員会を経由するのであるか、そういうことも決めたら如何かと思います。又いろんな民間の人々をその都度々々に来てもらって検閲を行うか、或は先程群島情報教育委員とありましたが、そこでも又映画の検閲をするのであるか、その辺を伺いしたい。
○弘報室長(崎間敏勝君) 審査規程迄も設けるかどうかは、若し後でこの条例が施行細則を作った方がいいというのであればそういう風に致しますし、或は又次の議会に審査規程も是非条例にしなければいかんというのであればそのように致したいと思います。
◎新城徳助君 群島情報教育委員というお話でありましたが、そこでも検閲を受けるのであるか、そうすると審査委員でも又群島情報教育委員会でもこれを検閲するのであるか、両方通過しなければいかんのであるか、その辺を承りたい。
○弘報室長(崎間敏勝君) 情報教育会議というのは単に会議でありまして何んら権限をもっておりませんから上映許可はすべて知事の責任で行うのであります。
◎議長(知花高直君) 質疑は終了して討論に入ります。御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めまして、議案第十号を可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第六の議案第十一号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第十一号朗読)

議案第十一号
  病院及び診療所使用料徴収条例について
 群島組織法第百四十四条に基き、病院及び診療所の使用料徴収に関する条例を別紙案の通り制定致したいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年二月十五日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  病院及び診療所使用料徴収条例
第一条 病院及び診療所の診察治療を受ける者は、この条例により、左に掲げる使用料を徴収する。
 一 診察料 初診二〇円 再診五円
 二 往診料 三〇円以上一〇〇円以下
 三 入院料 病院一日三〇円
       (食費共)
       診療所一日二〇円
       (給食なし)
 四 薬 価 一剤二〇円 頓服一〇円
 五 処置料 一〇円以上六〇円以下
 六 注射料 二〇円以上一〇〇円以下
 七 抜歯料 三〇円以上一〇〇円以下
 八 充填料 四〇円以上一〇〇円以下
 九 義歯料
   片あご 四〇〇円以上六〇〇円以下
   全あご 六〇〇円以上一、五〇〇円以下
 十 X光線処置料 三〇円以上二〇〇円以下
 十一 手術料 七〇円以上二、〇〇〇円以下
 十二 歯科処置料 一〇円以上一〇〇円以下
 十三 証明書料 二〇円以上一〇〇円以下
第二条 料金は、すべて即納するものとする。但し入院料及びまかない料は、毎月十日、二十日、月末の三回に区分してこれを納付し、退院のときは、その期日にかかわらず即納しなければならない。
第三条 貧困にして料金を支弁することができない者が、施療を願出たときは、料金を免除することができる。
第四条 病院及び診療所長は、毎日の料金を取まとめ、確実な方法により保管し一旬間の収入金は、それぞれ一日、十一日、二十一日中に銀行又は郵便局に振込み、別に定める様式により収入種目別集計表を財政部長に提出するものとする。
   附 則
1 この条例は、一九五一年四月一日から施行する。
2 診療費徴収規程(一九四八年三月二十五日沖縄民政府令第一号)は廃止する。

○議長(知花高直君) 当局の御説明を願います。
◎厚生部長(宮城普吉君) これは二月の初旬に開かれました医療団会議、各地区の医療団、三綜合病院、三特殊病院の代表が集まって協議して決めた料金であります。
 薬価が五十年一月から一弗対百二十円の換算になりましてそれについて結局、そういった料金がいくらかの値上げをしなければならないので、こういう風に決めました。これは現在のところ医療は公営でありまして、成程地区別に料金に或程度の差額を考えなければならないかも分りませんが、医療が公営であります関係上ある程度の幅をつけまして医療技術の難易という点からも幅をつけてあります。これが開業制になりましたならば今我々のところでは非常に錯綜しております。
 現在の方法も取って行かなければならんし、又個人開業というのも近く実施されるようになりますが、その関係で個人開業の場合の料金或は今の公営の場合の料金は別個に考えております。この案では医療公営を当分は続行するものとしての料金であります。ここで説明するのがありますが、診察料は初診が二十円、再診が五円。初診には簡単な尿検査、ふん便検査も含まれています。往診料は三十円以上百円以下となっておりますが、那覇辺りのように近くて道もよいところなら大した事はありませんが、地方に於ては二里も三里もあって自転車で無理だという処もあって、その場合の往診料はもっと上げてもいいんじゃないかという地方側の意見もありますが、国頭辺りと那覇辺りの意見が非常に違っておりますが、その中間のところでもありませんが、そういうところはよく相談した上で決めました。最も高く欲しいと云う人もおりました。往診料を高くするということはやたらに医者を呼ぶ癖があるものだから余り安いのも考えものだと思います。那覇辺りでは一寸の風邪でもすぐ医者を呼ぶ、数の少い医者を酷使するようなものでもありますので、もっと上げてもよいと私は思っているのであります。入院料三十円の中には、入院患者に投薬する薬価も含まれています。薬価が一剤二十円を含んでの入院料です。病院では患者には食糧も給与しております。この食事をしての三十円で入院室の使用料というものは入っておりません。これは一般代表側からこれ以上あげたら無理じゃないかというので四十円、五十円にしてもいいんじゃないかと思ったのですが薬価と食費で三十円ということになっておりますが、診療所に於ては薬価だけの二十円であります。この点は四月一日からやって見て具合が悪ければ又訂正しなければならんじゃないかと思います。注射の場合は二十円から百円、皮下注射、静脈注射等医者の技術というものも考えております。それから義歯料の全アゴ六百円以上千五百円になっておりますが、義歯を作るということは非常に特殊な細かい仕事でありまして、この千五百円というものは、あながち高価なものではないと思います。義歯がうまくはまらなかった場合もありなかなか簡単には行かないので実は二千円を要求しておりました。歯科医師側からは十一番目の手術料は七十円から二千円となっておりますが、義歯の全アゴも最高二千円にしたいという意見であったが、義歯は材料を損うだけですむが、手術の場合は命に関することですから同じケタではなるまいと思って二千円というのを千五百円に下げておった訳であります。証明料は二十円から百円以下となっております。この百円といいますと、元来医者はこういう事務的なことは下手でありまして、その上軍関係の場合には横文字で書いてなかなか面倒であります。それに困っております。又同じ診断書でもシ体検索みたいなこみ入ったのもあります。
 それから第三条の貧困者の施療、これは現在もやっております。今扶助と云っておりますが、救済制度があってやっております。この救済の一例を胡差の中央病院にとりますと入院患者は四対一の割合であります。この数なんか案外皆さん方には、不徹底かも知れません。これも値上げになりますが、そういうことは社会事業方面で解決して行けると思います。
◎新里銀三君 薬価は今の一対百二十の計算でこうなるようでありますが、以前の議会においても薬価は出来るだけ現状維持をしてもらいたい。要するに為替レートの問題でありますが、なんとかして、これは全住民が挙って薬価だけは是非現状の価格を維持して行きたいと希望しているが、それについて軍に交渉して見たんでありますが、それによって決めた価格であると思うが軍の意向はどんなものであるか、それを聞きたい。次は「以上」「以下」とありますが、往診料、手術料の「以上」「以下」ということは病院で統一するのでありますか、その係が決めるのでありますか、誰が「以上」「以下」を決めるのでありますか、それをおききしたいと思います。それから貧困者については無料とありますが貧困な者は必ず今社会事業課に於て救済している者だけであるか、或は市町村に於て予算の関係で削除されている非常な貧困な者もあるがこういう者は含まれないのであるか、若し含むものであるとすれば貧困という証明は誰がやるか、それを伺いたい。
 次は個人開業を近く実施せらるる様であるが、個人開業の場合にも官立の現在の病院の料金で行くのであるか、個人開業の場合はこの料金は無視されるのであるか、お聞きしたい。次はこの金額を以て病院の収支予算がとれるかどうか余計に余る恐れはないか、不足する心配はないか、それをききたい。
○厚生部長(宮城普吉君) 百二十円換算については軍にも知事を通して陳情してありますが、又軍の公衆衛生の医官にも折衝しておりますが、今の処ラチがあかないようで話はまだつきません。それから治療費の幅をつけたということこれは各医官がその間で決めるようになっております。地方においてはこれだけの負担が出来ない様な処は低いところで行く、又地区別にもこの幅を設けてあります。又患者に対しても或程度は違ってもいいと私は思っております。
 金を持っている人からは少し余計取ってもいいんじゃないかと思っております。ペニシリンの場合でも結局そういう風になります。相手を見て医者はそれ位の加減をしております。開業医でもやっております。貧困者であるが、これは救済を受けているだけではありません。今までは区長の証明でやっております。軽費の診療をやっております。全部施療という訳ではありません。施療を受けるだけの資格はないが貧困だというものは軽費でやっております。
 これから後は区長が証明すると同時にもう一つは各村に駐在している社会事業関係の厚生員という人がおりますが、この人が却ってこういう貧困者相手の仕事をやっているからこの人にも証明してもらったら適当に運営出来るのではないかと思いますので近く厚生員にもお願いしたいと思っております。個人開業の場合には診療費を統制して、協定して決めることは不可能であります。腕に自信があればいくら高く取ってもいいし、相手が貧困者であればうんと安くしてもいいと思います。
 私も開業しておりましたが収入の五分の一、或はもっと多いかも知れません。その位は結局施療という形になっております。個人開業になりましたら、結局医師会で料金を決めるという話が出ると思いますが恐らくその場合には最低を決めるに違いないと思います。「以上」という風な金は制限なしに自分の腕前によって設備によるということになります。
 これによって病院経営が出来るかとおっしゃいましたがとてもこれでは出来ません。病院の人件費が出るか位と私は思っております。注射料のペニシリンのお話もあったが注射薬でも同じヴィタミンCの注射薬でも製造元によって値段の相違があります。
 カルシュームなんかも非常に安いものもあるし又良心的な値段を取っているところもあって医者がその薬を使うことによって決まるのであります。安い薬を使ったら安く取ってもいいし、信用のある適正な値段で高くてもそういう薬を使用している人は高く取るかも知れません。同じヴィタミン、カルシュームでも非常に違います。薬の良し悪しを選ぶのは医者の責任であります。僅かな料金の差というのだから、その位はケチケチしないでいいんじゃないかと思います。
 止むを得ん人は仕方がありませんが、技術的でも患者の貧困によっても相違があるのであります。
◎稲嶺盛昌君 今各診療所では書記を置いているところと、置かないところがありますが、私の知っている診療所におきましては、その診療所の管轄の人口が一万人近くもありましてお医者さんは朝から晩まで昼夜兼行一生懸命に席の温まる暇もない位に忙しい思いをしておりますが書記がいないために月末あたりの会計事務整理のためには度々徹夜もする位の繁忙を極めているようでありますが、この書記の問題は予算の関係もあると思いますが、ある程度そういう風なところには成可く書記を置いて今でも人口が余りに多過ぎる沢山の患者を抱擁している関係でその面でも少し無理な点も思われますので成可くそういう風なところ、一診療所の管轄人口のどの位以上には書記を置くとかそういう風な点を御配慮になって頂いたらと思いますが、それに対する当局の御見解を伺いたい。
○厚生部長(宮城普吉君) ここでは一寸申し上げにくいところもありますが、私の方では各病院診療所からの患者数延日数という月報が参ります。その月報を見て取扱っている患者が多い処には書記も置くというようにしておりますが、全体を比較して少いところには書記を置かないようにしております。たいして忙しくもないようなところに書記がおったりして、どうも不自然だと思うところは整理しております。そして沖縄全体を見て診療所からの月報を見て忙しいところには書記を置いております。中にはお話のような忙しい処もあるかも知れませんが、そこのところは領収書とか面倒な事情が出て来たので無理があるかも知れません。決めましたのは患者数によって、人口ということは考えないで決めたのであります。
 こういう御意見だったら外にも沢山あると思います。そのところをよく考えて行きたいと思います。
◎仲村栄春君 医療費は先の議会でも現在はレートが二十四円だといっておりましたが、その状態で今度の改訂の料金は約どの位のレートでこの料金が決められたものでありませうか、この点を伺いたい。次に仮に百二十円になったとしたらこれの何倍位になるものであるか。次は近く民営と公営を織込んだ制度を聞(開カ)きたいというお話があるが、民営になる場合には仮にレートがこの料金の基準と同じとした場合に上る見込みがありませうか、それはどの位上がる見込でありませうか、その点を御伺いしたい。それから先般新聞に発表になりましたところでは開業医の数はまだ一般の必要とする数には相当足りないようでありまして、例えば前原地区で四名ということになっております。随分診療所が減るようなことでありますが、これに対しては或は出張制とかいう風なことで何んとか一般の利用に不便がないような考慮が必要だろうと思います。これに対するお考は如何でありませうか。
○厚生部長(宮城普吉君) 今度の新しい薬価と前の薬価を一寸比較して見ます。前の薬価を先ず読んで見ます。初診料十円、再診料一円、入院料一日二十円(食事なし十五円)、手術料五十円-千円、薬価一日一剤十円、往診料十円-五十円、注射料十円-五十円、レントゲン写真料二十円-二百円、処置料五円-五十円、抜歯料一歯につき二十円-百円、充填一歯につき二十円-二百円、義歯半アゴ二百円-六百円、両アゴ五百円-千円、歯科処置料五円-百円、こういう風なものでありまして、最低は約五割、最高も五割位の値上りにしかなっておりません。これは実は薬価の値上げだから薬価だけ上げたらいいじゃないかという御意見があるかも知れませんが薬価を値上げすると他の方もつり合を取って比較した上で行かなければなりません。
 薬価が五倍に上がりましたが、その場合には薬価は二倍に上げただけで、それに伴うて色々の処置とかそういうものを比較的上げておりますからこれで五倍には上げないで最高二倍位の値上げでうまく調節出来ると私は思っております。
◎石原昌淳君 百二十円になった場合にもこの料金で行けるのですか。
○厚生部長(宮城普吉君) それに附随したものが入って来るからこれで行けるのじゃないかと思います。民営になった場合は色々医師会の中から委員も出て相談する事になっておりますが、あらましだけ申上げておきます。医者が少いのは事実であるが、その診療能率を二倍にも上げて働いて貰いたい。そうすると医者の数が二倍になったと同じような結果になると思います。その意味で個人開業については私は努力して来ました。個人開業になりますとどうしても仕事の能率があがりますし又衛生材料の使い方も違って来ます。もう一つは現在の-四月一日以降でありますがいきなり開業せよといってもすぐ出来る訳ではありませんからその準備期間として一九五一年三月迄は現在の状態で続けて行ってその間に開業したい人は逐次開業するという風に考えております。開業制になる場合でも、軍の意向もそうでありますが、人口とか地域とかを見て各地区別にこの地区は何名と割当てて行こうというのであります。そうすると個人の希望と合わない場合もありますが、これは割当の配置委員会というものを組織して決めることになるだらうと思います。僻陬或は離島辺りに配られた医者は非常に不満なことかも知れませんが、そういった場合には新しく入って来た医者に暫くして貰って交替々々でして貰う様な制度も出来ると思う。医者の不足の問題であるが現在確かに不足であるが一九四八年三月に入学した日本の第一次留学生の中には医学部若しくは専門部の三年に入った人もありますから、去年三名位帰って来ております。
 現在四年におってもうすぐ卒業する生徒が六名位いる、来年度もその位ある。いきなり予科から行って八年目に帰って来るのでなくて既に学部途中で止めた人、或は私費で残った人が帰って来るかも知れません。
 これは十名位は帰って来ると思います。次々と来ます、必ず来ます。差当り苦しいけれどもここ二、三年の間でうまく行くだらうと思います。自由開業になった場合にも今の通りでも立ち行くことが出来ます。
 アメリカ薬品と日本薬品の値段に非常に相違があります。アメリカ薬品が高いのであります。現在市場にある日本薬品は正規のルートで入っていないので相当に高いようであります。
○議長(知花高直君) 時間の関係もありますので一問一答は慎んでもらいます。
◎山川宗道君 一九四九年迄は各地区に於て海外渡航者の検査をやっておりましたが去年よりは胡差中央病院に於てのみこれを行うことになりまして非常に不便を感じている。海外に行くものは予防注射をしなければなりませんので遠い処から胡差中央病院迄行く。それが隔日八回位もするので十六日位の日数がかかる。費用もかかるのであります。何故中央病院に於てのみ施行するか、どういう理由で地区病院では出来ないか、その点を伺いたい。
○厚生部長(宮城普吉君) 是非中央病院でやれと云ったことはありません。各地区病院でも三綜合病院でも何処でもやることになっております。
 診療所にも薬がある場合は廻すこともありますが、これは一ビンに五十人分百人分と入っておりますので一人使うために開けますと、その薬が無駄になってしまうのであります。そういうこともありまして又薬を貯蔵する場合には冷蔵庫も必要であります。その有効期間中は確実に効力があるのだが冷蔵庫なしにただ棚においたのでは光線が当ったりしてその有効期間内に確実な効力をあげることが出来ないので保存が面倒だということ、一人用の小ビンでしたら大したことはありませんが大きなビンに入っておりますので、あっちこっちから集ってやっております。名護病院で薬をきらして、その間のことではないかと思います。薬をきらした場合は薬品配給所に連絡して中央薬品の倉庫からもらったらいいんだが、こういう所が敏速にいかないようなうらみがあります。そういう点は気を付けることに致します。
◎祖根宗春君 病気の発生は、その人の先天的のものもあるが多くは社会生活の不合理から来ているのでありますから、成可く安くして行くのが建前だということを中心にして質問致します。
 先ずこの条例の名称でありますがこれは診療費徴収条例でなければならないが特に病院や診療所の使用条例というと何か家賃の名称みたいですが、この名称について何か……。
 往診料を徴収する場合に患者が自動車等車賃を負担した場合に又その外に往診料として規定のものを取るのであるか、それから農村辺りに行くと往診をお願いする場合にはその字の患家が一ぺんに五ヶ所なりお願いする場合は一軒々々からその料金を取るのか、三軒廻るが一軒分で勘弁して貰えるのかその点をお伺いしたい。入院料の問題でありますが、入院料には建物の使用料は入ってないという御説明であるが、然らば病院の場合は食費と薬と合せて三十円、そうすると薬価が一剤二十円になっておりますが、例えば一日投薬する場合には水薬とか散薬を二種以上やる場合があると思うが、入院患者は二剤使っても三剤使っても一日三十円でいいのか、その点も伺いたい。
 それから薬価とか注射料の薬でありますが、これは普通薬を使用していると思いますが、高級薬の場合にはどういう風にして処理されるのであるか、その辺もお伺いしたいと思います。それからこの規定によって会計を財政部に納めることになるが、この会計検査はどの部でやるのか、厚生部か、財政部か、又今までに診療所の会計検査を実施されたことがあるか、その辺をお伺いしたいと思います。それから百二十円換算の場合を基礎にしてこれを作っておられるが果してこの診療費については軍は絶対百二十円換算でなければならないというはっきりした軍の指示があったのか、或はその意向らしいのに基いて、こちらで作ったのであるかどうか。医薬分離に対する当局の方針を承りたい。
 その次は診療所とその受持の人口の調整を如何にするお考であるか。
○厚生部長(宮城普吉君) 医者の問題には大分関心を持っておられるようですが……使用料の問題でありますが、これは群島組織法にも診療費という項目がないものですから、手数料に入れても差支えないと思いますが従来の慣例を見ると矢張り使用料というものの中に入れてあります。
 往診料は適当にやっているようでありまして一里先に行ったら患者が外にもおった場合に皆から一人分の往診料を取るか取らんかという、そんな細かいことは考えておりません。暴利をむさぼる奴は世間から非難されます。入院料の薬価の問題であるが、薬価を含むのであります。注射料の場合でも百円というものは高価薬も含めております。ペニシリンなんかも含めております。会計のことは私は分りませんが、これは財政部でやるんじゃないかと思います。百二十円というのは既に実施されています。
 今年の一月から実施しています。これは軍が前以て実施するからと云っておったので、それではいかんと云う訳で陳情したのでありますが、実際には一月から実施されています。それから医薬分業の問題でありますが未解決の問題であります。薬剤師が三十何名しかおりませんので、とても不可能であります。薬剤師の数が足りないからこれは当分の間問題になりません。人口との関係でありますがこれは非常に困ります。人口だけでなく、その村の経済の負担力も考えねばいかんし。例えば今アメリカで非常に医者が多く人口七百何十名に対して医者が一人、日本では二千五百名に対して一人である。これは反面から云えばアメリカでは七百五十名で医者一人の生活を保障出来ます。沖縄ではどの程度で生活を保障出来るかということも考えなければいかんが、あながち人口だけでは解決し難いのでありまして経済的に貧村の場合は医者が行きたがらないと思う。そういう所に行って貰うためには村なり中央政府の補助ということも次に来る問題ではないかと思います。
◎議長(知花高直君) 質疑を終了致します。討論に移ります。御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第十一号を可決致します。
 午前は、これで散会致しまして午後一時半から開会致します。
  十二時三十五分散会

  午後一時三十分開議
○議長(知花高直君) 開会致します。全員出席であります。
◎普天間俊夫君 議事に入ります前に日程の追加をお願い致します。食糧配給改善について経済委員会の方で研究することになって居りますが、その後、経済委員会の方で研究調査されていられるようであります。食糧配給改善に対する件の議題を追加して審議をお願致します。
◎議長(知花高直君) 只今六番議員から食糧配給改善について議事日程追加の動議がありますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議なしと認めます。依って日程は追加せられました。

◎議長(知花高直君) 日程第七の議案第十二号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第十二号朗読)

議案第十二号
  船舶の登録、検査及び運航並びに船舶職員の免許試験等手数料徴収条例
 郡島組織法第百四十六条に基き、沖縄群島における船舶の登録、検査及び運航並びに船舶職員の免許試験等に関する手数料徴収条例を別紙案の通り制定致したいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年二月十五日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
別紙
 (省略(ママ)、一九五一年公報第十号登載)
  船舶の登録、検査及び運航並びに船舶職員の免許試験等手数料徴収条例
第一条 沖縄群島の船舶の登録、検査及び運航並びに船舶職員の免許試験等については、この条例により手数料を徴収する。
第二条 手数料は、次のように定める。
 (注 同条中「噸」、「以上」、「未満」、「円」と「〃」の混用箇所は、それぞれ「噸」、「以上」、「未満」、「円」に改めた。)
 一 登録手数料
  A 汽 船
    五噸未満            一二五円
    五噸以上    一〇噸未満   二五〇円
   一〇噸以上    二〇噸未満   四三〇円
   二〇噸以上    三〇噸未満   六二五円
   三〇噸以上    四〇噸未満   七五〇円
   四〇噸以上    五〇噸未満   八七五円
   五〇噸以上    七〇噸未満 一、〇〇〇円
   七〇噸以上    九〇噸未満 一、一二五円
   九〇噸以上   一〇〇噸未満 一、二五〇円
  一〇〇噸以上   二〇〇噸未満 一、五〇〇円
  二〇〇噸以上   三〇〇噸未満 一、七五〇円
  三〇〇噸以上   五〇〇噸未満 二、〇〇〇円
  五〇〇噸以上 一、〇〇〇噸未満 二、二五〇円
一、〇〇〇噸以上          二、五〇〇円
  B 帆 船
   一〇噸未満            二五〇円
   一〇噸以上    二〇噸未満   三七五円
   二〇噸以上            五〇〇円
  C 舟 艇
 LCM、LCC旧日本舟艇       五〇〇円
 LCVP               四〇〇円
  D くり舟
 くり舟又はこれに準ずるもの      一〇〇円
 二 延航許可手数料
   二〇噸未満            三〇〇円
   二〇噸以上    三〇噸未満   四〇〇円
   三〇噸以上    四〇噸未満   五〇〇円
   四〇噸以上    五〇噸未満   六〇〇円
   五〇噸以上    八〇噸未満   七〇〇円
   八〇噸以上   一〇〇噸未満   八〇〇円
  一〇〇噸以上   三〇〇噸未満   九〇〇円
  三〇〇噸以上          一、〇〇〇円
 三 廻航認可手数料
  汽 船               一〇〇円
  帆 船                四〇円
 四 積量測度手数料
  A 新規測度又は全部改測の場合
  (一) 汽 船
    五噸未満            一〇〇円
    五噸以上    一〇噸未満   一五〇円
   一〇噸以上    二〇噸未満   二〇〇円
   二〇噸以上    三〇噸未満   三〇〇円
   三〇噸以上    四〇噸未満   四〇〇円
   四〇噸以上    五〇噸未満   五〇〇円
   五〇噸以上    七〇噸未満   五六〇円
   七〇噸以上    九〇噸未満   六三〇円
   九〇噸以上   一〇〇噸未満   七〇〇円
  一〇〇噸以上   二〇〇噸未満   八五〇円
  二〇〇噸以上   三〇〇噸未満 一、〇〇〇円
  三〇〇噸以上   五〇〇噸未満 一、四〇〇円
  五〇〇噸以上 一、〇〇〇噸未満 一、七〇〇円
一、〇〇〇噸以上          二、一〇〇円
  (二) 帆 船
    五噸未満             五〇円
    五噸以上    一〇噸未満   一〇〇円
   一〇噸以上    二〇噸未満   一五〇円
   二〇噸以上    三〇噸未満   二〇〇円
   三〇噸以上    四〇噸未満   二五〇円
   四〇噸以上            三五〇円
  (三) くり舟又はこれに準ずるもの   三〇円
  B 一部改測の場合
  (一) 汽 船
    五噸未満             三〇円
    五噸以上    一〇噸未満    六〇円
   一〇噸以上    二〇噸未満    八〇円
   二〇噸以上    三〇噸未満   一〇〇円
   三〇噸以上    四〇噸未満   一二〇円
   四〇噸以上    五〇噸未満   一四〇円
   五〇噸以上    七〇噸未満   一六〇円
   七〇噸以上    九〇噸未満   一八〇円
   九〇噸以上   一〇〇噸未満   二〇〇円
  一〇〇噸以上   二〇〇噸未満   二二〇円
  二〇〇噸以上   三〇〇噸未満   二四〇円
  三〇〇噸以上   五〇〇噸未満   二六〇円
  五〇〇噸以上 一、〇〇〇噸未満   二八〇円
一、〇〇〇噸以上            三〇〇円
  (二) 帆 船
    五噸未満             四〇円
    五噸以上    一〇噸未満    六〇円
   一〇噸以上    二〇噸未満    八〇円
   二〇噸以上    三〇噸未満   一〇〇円
   三〇噸以上    四〇噸未満   一二〇円
   四〇噸以上            一四〇円
 五 検査手数料
  A 定期検査の場合
  (一) 貨客船
    五噸未満            一〇〇円
    五噸以上    一〇噸未満   二〇〇円
   一〇噸以上    二〇噸未満   三〇〇円
   二〇噸以上    三〇噸未満   四〇〇円
   三〇噸以上    四〇噸未満   六〇〇円
   四〇噸以上    五〇噸未満   八〇〇円
   五〇噸以上    七〇噸未満 一、〇〇〇円
   七〇噸以上    九〇噸未満 一、二〇〇円
   九〇噸以上   一〇〇噸未満 一、四〇〇円
  一〇〇噸以上   二〇〇噸未満 一、六〇〇円
  二〇〇噸以上   三〇〇噸未満 一、八〇〇円
  三〇〇噸以上   五〇〇噸未満 二、〇〇〇円
  五〇〇噸以上 一、〇〇〇噸未満 二、二〇〇円
一、〇〇〇噸以上          二、五〇〇円
  (二) 純貨物及び漁船
    五噸未満             七〇円
    五噸以上    一〇噸未満   一五〇円
   一〇噸以上    二〇噸未満   二三〇円
   二〇噸以上    三〇噸未満   三〇〇円
   三〇噸以上    四〇噸未満   四五〇円
   四〇噸以上    五〇噸未満   五五〇円
   五〇噸以上    七〇噸未満   七〇〇円
   七〇噸以上    九〇噸未満   八五〇円
   九〇噸以上   一〇〇噸未満 一、〇〇〇円
  一〇〇噸以上   二〇〇噸未満 一、二〇〇円
  二〇〇噸以上   三〇〇噸未満 一、四〇〇円
  三〇〇噸以上   五〇〇噸未満 一、六〇〇円
  五〇〇噸以上 一、〇〇〇噸未満 一、八〇〇円
一、〇〇〇噸以上          二、一〇〇円
  (三) 帆 船
    五噸未満             三五円
    五噸以上    一〇噸未満    七五円
   一〇噸以上    二〇噸未満   一二五円
   二〇噸以上            一五〇円
  (四) くり舟又はこれに準ずるもの  五〇円
 B 臨時検査の場合
  (一) 貸客船
    五噸未満             四〇円
    五噸以上    一〇噸未満    八〇円
   一〇噸以上    二〇噸未満   一二〇円
   二〇噸以上    三〇噸未満   一六〇円
   三〇噸以上    四〇噸未満   二四〇円
   四〇噸以上    五〇噸未満   三二〇円
   五〇噸以上    七〇噸未満   四〇〇円
   七〇噸以上    九〇噸未満   四八〇円
   九〇噸以上   一〇〇噸未満   五六〇円
  一〇〇噸以上   二〇〇噸未満   六四〇円
  二〇〇噸以上   三〇〇噸未満   七二〇円
  三〇〇噸以上   五〇〇噸未満   八〇〇円
  五〇〇噸以上 一、〇〇〇噸未満   八八〇円
一、〇〇〇噸以上          一、〇〇〇円
  (二) 純貨物船及び漁船
    五噸未満             三〇円
    五噸以上    一〇噸未満    五五円
   一〇噸以上    二〇噸未満    八五円
   二〇噸以上    三〇噸未満   一一〇円
   三〇噸以上    四〇噸未満   一七〇円
   四〇噸以上    五〇噸未満   二二〇円
   五〇噸以上    七〇噸未満   二八〇円
   七〇噸以上    九〇噸未満   三三〇円
   九〇噸以上   一〇〇噸未満   三九〇円
  一〇〇噸以上   二〇〇噸未満   四五〇円
  二〇〇噸以上   三〇〇噸未満   五〇〇円
  三〇〇噸以上   五〇〇噸未満   五六〇円
  五〇〇噸以上 一、〇〇〇噸未満   六二〇円
一、〇〇〇噸以上            七〇〇円
  (三) 帆 船
    五噸未満             三〇円
    五噸以上    一〇噸未満    五五円
   一〇噸以上    二〇噸未満    八五円
   二〇噸以上            一一〇円
 六 登録及び検査証書再交付手数料(英和文共に)
  汽船                一〇〇円
  帆船                 五〇円
 七 登録証書の謄本手数料(又は抄本手数料カ)
                     五〇円
 八 証明書交付手数料          三〇円
 九 登録変更手数料
  汽船                一〇〇円
  帆船                 五〇円
 十 各種原簿閲覧手数料          五円
 十一 小型船舶職員試験手数料      五〇円
 十二 上級船舶職員試験手数料     一〇〇円
 十三 船舶職員免状登録手数料     二〇〇円
 十四 船舶職員免状再交付手数料    一〇〇円
第二条(ママ) この条例により既納した手数料は、これを還付しない。
第三条(ママ) この条例に定める手数料は、沖縄群島政府所属の船舶については、これを徴収しない。
  附 則
 この条例は、公布の日から施行する。

◎工務部長(渡嘉敷真睦君) 私の方から提案の理由を簡単に説明申上げます。この手数料の現行の制度は昨年の一月二十七日、布令第二号を以て海運規則の公布を見たのであります。従いまして同年二月二十三日に知事から主席軍政官宛に手数料の徴収について申請致しました。それに対し同年四月一日に申請通りとってよろしいという指示に依って、現在の手数料の徴収を致しておるのであります。ところが現行制度は一年毎に船舶の登録を切替えるようになって居るし積量測度も一年毎になっている。船舶の検査も一年毎に実施するようになっているが毎年やっておったのでは聊か事務の繁雑を来たすので三年毎にやりたいと考えるのであります。三ケ年毎にこれを実施しますれば自ら手数料の増額が考えられるのではないかというところから提案致しました。第二の理由は手数料の段階の刻み方が余りに大刻みに刻んである。一例を申上げますと、登録手数料の如きは機関付の船二〇〇円、帆船一〇〇円、くり舟五〇円という大刻みになっている。検査手数料は三〇〇噸以上のものは何噸でも同額で測度手数料も三〇〇噸以上は同額という風になっている。このように大刻みにされておりますので小刻みに刻むのが妥当ではないかという考えからここに提案してあるように小刻みに刻んだ訳であります。これが第二の提案の理由であります。
 旧法と比較した場合、旧法というのは昭和八年に制定された法規であるが、これと現在のものと比較した場合、十倍乃至三十五倍になっているが、物価の高騰や或は税率の増率を考えて見た場合もっと率は高いのじゃないか、これは時間の都合で詳しい調査は出来なかったことは申訳ありませんが、とにかく現在は物価が高騰し、税率が上って凡そ百倍位になっている。こうした物価や税率の高騰に比例して手数料を増額してよいのではないかとこういう風に考えております。これがここに提案した第三の理由であります。
 第四の理由としては徴収の項目を増加したい。現在実施している手数料の項目は船舶の登録手数料、検査手数料、船舶積量測度手数料、延航許可手数料、廻航許(認カ)可手数料、証明書再交付手数料、登録変更手数料、船舶登録原簿閲覧手数料等これが現在の現行制度の項目であります。登録証明書手数料、証明書交付手数料、船舶職員試験手数料、船舶職員免許登録手数料、こういう風に項目を増加して徴収したいというのが第四の理由であります。なお船舶職員に対しては免許制を実施しておりますが、当然試験制度が採用されなければなりません。現に実施いたしておりますので、追加して徴収してよいのではないかという考え方から茲に議案を提出いたしまして、手数料を改正いたしたい。こういう考え方から提案致しました。
○議長(知花高直君) 議案第十二号の質疑に入ります。御質問ありませんか。
◎仲里誠吉君 第二条の内容でありますが、登録手数料、延航許可手数料、廻航認可手数料その他の術語が吾々素人にも分り安いように説明していただきたい。同じく二条の一項の登録手数料Aの段階の刻み方であるが、多くするのは民主的で結構であるが、料率を見て見ると五噸未満一千噸以上いろいろ刻みがあるが五噸未満一二五円刻んで、その次は一八〇円、次は一九五円、次は一二五円になっている。五噸から二十噸までが船の種類が多いからこういう風にしたのか、それ以外の理由があるのか伺いたい。
 四項の積量手数料は五噸未満から十噸未満、二十噸未満までは一〇〇円、五〇円刻みと不揃いであるが種類が多いから収入をあげるためか、その辺の段階が多いから、それから段階をやった□するとつり合がとれない。負担を一〇〇円なら一〇〇円刻みにすると如何。五項のA定期検査の場合これも貨客船は、五噸から三十噸までは一〇〇円刻み、純貨物船及び漁船は甚だ不揃いで一〇〇円、八〇円刻みになっている。特にBの臨時検査の場合、(二)項の刻み方が二五円、三〇円、二五円、六〇円、五〇円、四〇円、五〇円、六〇円、六〇円、五〇円、四〇円、六〇円、八〇円と、こういう風に不揃いであるが理由如何。
○工務部海運課長(大山朝常君) お答え致します。登録手数料のところの御説明を致します。登録は事務的には一律である。これは沖縄全船舶、如何なる船舶も、小さいのは補助タンクから改造したようなものから大は限りはありませんが、ぜひ登録しなければなりません。という海運規則に従って登録しなければ運航ができないという理由の下に全船舶で登録する様になっている。延航手数料というのがありますが、船に依っては航行区域が限定されているのがある。例えば沖縄近海、沖縄沿海、北部琉球、全琉球とあるが、全琉球は延航許可は要りませんが、全琉球内で限定を受けた船は是非運航許可証を貰わないとそれ以外に出ることはできないので、そういう手続をする場合は許可申請を必要としますので、その手数料であります。
 廻航認可手数料でありますが、沖縄では現在、指定港が七つありますが、沖縄以外の船が沖縄に入る場合には必ず指定港に入港して指定港の所轄の警察に対して入港の届出をしなければなりません。一応指定港に入港しますが、処が積んでいる荷物は、そこに下すのでなくて、隣の港に持っていかなければならんときは、指定港所轄の警察署に届出ることになっておりますが、警察では事務を取扱っておりませんので海運課で取扱っています。例えば糸満に入ったものが港川に入港しなければならんときは、そこまで廻航させてくれという認可の申請を出します。その許可を海運課で出しますと、それを糸満の警察署長に見て貰って、そこを出港して港川に行く、そういう手続をとる場合の手数料であります。
 船舶積量測度手数料でありますが、これは所謂積載すべき貨物の噸数、客船でありますと、客船の設備とか、この設備に対しては何名の客が乗れるとか、そういったものは測度の申請があった場合、手数料を貰っております。新規の場合と臨時の場合がありますが、臨時といいますと、今まで貨物船であったものが貨客船にしたい場合は改装されます。その改装をどういう風にやっているか、適当であるかないかといったことを検査をするのが臨時測度検査であります。項目についての説明は以上でよろしいでせうか。
 手数料の段階の説明を致します。手数料の段階につきましては大体小さいのから大きなものと、噸で割って見ると率が出て来る。下に少々厚く、上が薄いようですが、噸当りの割高は或る一定の基準が生れて来ると思います。沖縄の経済の状態とか、その他を考慮し、尚日本の現行法昭和二十四年に出ている日本の海事法の段階をも参考にしてやったのであります。そういう理由の下に刻んであります。それは登録も積量も測度もそれを参考にして案を作ったのであります。
○議長(知花高直君) 御質問はありませんか。
◎宮城久栄君 二条のDのくり舟でありますが、是非登録しなければならんのですか。
○工務部副部長(西銘順治君) 一九五〇年一月二十七日付布令第二号が出ているが第一章第一条登録申請の中でこういう条項があります。琉球の各民政府の海運部に対しその管轄地域に船籍港を有し運航をなす総ての船舶の登録をなすことを命令する、ということがありますから、当然含まれると思います。
◎宮城久栄君 くり舟に対しては万一、登録しない場合はどうなりますか。
○工務部副部長(西銘順治君) 原則として不法になります。
◎宮城久栄君 没収するわけですか。
○工務部副部長(西銘順治君) その辺は問題になっていますが、布令第二号の海運規則は大綱にとまっていて施行細則はつくられていません。現在は旧法規、日本の海事法規に依ってこれを処理していく。こういったものを没収するか、しないかの問題になっているが法的な理由からは没収というよりも、運航を停止するということになると思います。
◎宮城久栄君 それは果して分りますか。運航したり、魚つりに出た場合に運航取締できますか。
○工務部副部長(西銘順治君) 実際上はできません。現在の海運課の人員では検査等で精一杯で将来機構拡大して各指定港或はそれ以外の港に出張所を設けて検査官を派遣してやらなければならんのであります。現在の人員を以てしては到底できません。
◎宮城久栄君 このくり舟は殆ど小漁業者が使用して、さほど価値のないものですが、登録を廃止して貰うことは軍に陳情できないでしょうか。
○工務部副部長(西銘順治君) できますが、その前に第二号そのものを訂正しなければならんと思いますが、これについては現在不備な点があるので、その改正方を軍に申請したが、来年度から全琉的な機構でないと海事行政を処理する上からでないと障害があるので、現在はそのまま施行してほしいという回答がありましたので、そのまま施行している次第であります。
◎新里銀三君 第二条の四の積量測度手数料というのが今の話では、修理した場合と聞いておりますが、その場合に臨時検査と定期検査と重複する恐れはありませんか。どうしてこういう風に別けてありますか。くり舟は従来は検査をしなかったのですが、何故にくり舟まで検査しますか。帆船も従来検査しなかったと思いますが、新しくやれという命令が出ているのですか。当局が必要だと思って更に登録検査手数料という収入を目当てにやったものですか。
○工務部海運課長(大山朝常君) 修理に依って積量が移動する場合がある。貴重な人命、財産を積んで行くものですから専門家が修理が適当であるか、どうかを見るために是非修理改造した場合を意味して臨時検査をやっております。くり舟については業者としては間違はないという風に考えておる筈でありますが、監督の立場から見た場合、果して四、五名乗っていってよいか否かというようなことは是非見なければならん立場から検査は小さい船も必要と考えております。
◎石原昌淳君 港湾の指定制度、登録制度は統制経済時代の物の出入り、船の動き、人の出入り、これを管理統制する必要の時期に生れたものと考えられるのでありますが、企業においては既に自由態勢の時期になりましたし、それと関連して港湾の指定制度の必要はない段階になっているのでないかと思う。島内の船舶で島内に出入りするのは自由にした方が海運の発展、経済の交流になると思います。登録制度は一面に船舶管理であった。その遺産だと思って居りますが、七番議員の話もありましたが、小さいくり舟とかいうものは今後色々の統計の基礎を生み出す総ての統計の基礎になるという意義と思いますが管理という意義は小さいくり舟の如きは大してもてないと思われますし、指定港制度の撤廃、少くも広く拡げるということと、登録検査制度は小さい舟は除くということについて法令の改廃について折衝が必要であれば、軍に折衝し、改廃についてやって欲しいと思いますが、当局の御見解をお願いします。
○工務部副部長(西銘順治君) 色々な希望事項がありますが現在、この法規が適用されている。われわれは指定港を取除くことはできない。海運規則第四章にはっきりうたわれておいてやむを得ない。この場合、問題になるのは沖縄の管轄外の地域の船舶に対するものは現在の段階ではどうしても作る必要があるのではないかと考えます。また管轄内の港に船籍を有する船は管轄内の港に対しては自由に出入港できるようになっております。この法規の改正は全面的に大綱に止まっておりまして施行細則が全然ないので、これに対しては軍に申請したが琉球海運庁ができるまでは、これを使用しろといわれていますので吾々としては、それまで、法規の改廃を待っている次第であります。
◎新里銀三君 先程申上げました積量測度手数料の問題でありますが修理、改修した場合、定期検査日と接近したならば、これは定期検査をうける必要はないと思う。ダブる必要はないと思うが手数料をとるため今日臨時検査をうけて明日また定期検査の手数料をとり、船内を検査するのであるから二つの面から手数料をとる必要はないと思います。例えば汽船の如きは機械がありますので、専門的に見なければならん。素人では故障も分らない。山原船やくり舟は素人が見ても危いのは大体分る。船に乗ったからには下は地獄であるから、乗る者はない。登録は別ですが、検査手数料は廃した方がよいと思う。それよりも市町村において物件税として課した方がよいと思う。検査にしても技術的な検査ではないからこれは廃した方がよいと思います。
○工務部副部長(西銘順治君) 吾々としては別に手数料をとりたいために船舶の検査をしているわけではありません。これも布令第二号により安全規則、航行規程などから見て、年に一回定期にやらなければならんのであります。山原船とか、くり舟についても船舶の種類によってB、C、Fと各種の業種別によって記号を明記しなければならないようになっておりますから、この法規を施行する上からやっているのでありまして、別に手数料をとる意味ではない。漁船を改造する場合は安全装備、救命器具が備えてあるかどうか、というところで検査をするのであって二重に検査手数料をとる意味ではないのであります。
◎松本恭典君 当局に御伺い致します。廻航認可の件ですが、廻航認可は海運課で貰って、それを更に警察に提示して廻航するようでありますが、そうすると、例えば渡久地港が指定港でありますが、運天に廻航する場合に認可を得て更に本部を経て今帰仁に廻ると煩瑣になりますが、これは警察で認可する様な簡易な方法はないものでありませうか。それと指定港に入れない船、指定港でなくても入れる船の区分については御説明をお願いします。
○工務部海運課長(大山朝常君) おっしゃる通りでありますが廻航の場合は不便を来しておりますので指定港をふやして貰いたいという希望がありますがこれも海運規則にありますので、その通り実施致しております。警察の手に移したらというお話であったが、この点は研究して見たいと思っております。それから沖縄に船籍を有している船は沖縄でありますと、どこにでも入れます。ところが大島、宮古、八重山の船が入る場合には必ず指定港に入らなければいけません。又沖縄の船が大島に行く場合は大島の指定港以外には入れないということになります。
○議長(知花高直君) 質疑を終了致しまして討論に移ります。御異議ありませんか。
◎仲里誠吉君 第二条の登録手数料は当局の回答によってこれは当分の間は撤回することのできない性質のものであり、当分の間の存在は認めざるを得ないのであるが、手数料というものは近代国家に於ては租税の性質を帯びているものであるが、この海事面における手数料も亦同様のものであるが、先程本議員の質問に対して、この段階の刻み方に対して、料率に対して質問したのであるが、それに対して回答があったが、その回答の内容は料数の率で以て掛けてあるという風になっているが実質的にはそうはなってはいない。又現在手数料の場合はどうか分らないが、登録手数料に関する限りは先程工務部長の答弁の中にあった様に徴収の項目を増加させる。それから又税一般、消費税が上昇しているからそれに応じたいということは結局手数料の増収を目指している訳であるが手数料をとる併もこれが租税的な性質を帯びているというのであれば、負担の均衡を、総体的な大小如何に拘らず飽くまでも公平を期さなければならんと思う。然るに先も本員から指摘したように五噸から十噸迄は一二五円刻み、その次は一八〇円、次は一九五円刻みという風な負担の仕方であるがそれ以上は一律に百二十五円になっている。千噸で切ってあるが最近は千噸以上の船がどんどん入っている。然るに五噸級十噸級二十噸級こういった船を持っているのは中小企業者であって、この料率を以てすれば不公平だと思う。つまり中小企業者が千噸以上の比較的大企業よりも負担率が大きいのである。増収を図ること自体は結構であるがそれならばそれで公平を期して貰いたい、百八十円刻みでいいから大企業も百八十円刻みで行って貰いたい、それを強く主張します。
◎議長(知花高直君) 別に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) それでは二十番議員の外は異議ないものと認めまして原案通り可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第八の諮問第一号を議題と致します。書記長をして諮問案を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」諮問第一号朗読)

諮問第一号
  商業高等学校の設立について
商業高等学校を左記理由及び要領により設置いたしたいので議会の意見をはからう。
 一九五一年二月十五日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
    記
一 設置の理由
 1 人材養成への道を開く。
 2 群島政府の政策たる自立経済樹立の方針に沿うため実業教育の振興を計る。
 3 商業高等学校設置の世論が昂まっている。
 4 那覇市が大都市の形態をなして発展しつつあるので実業教育機関たる商業高等学校の設置を必要とする現況である。
二 設置大要
 1 開校予定 一九五一年四月
 2 募集人員 一〇〇人二学級
 3 敷  地 未定、那覇市が提供する
 4 校  舎 敷地決定次第復興費による永久建築とする。当分の間那覇市において考慮する
 5 予算額  三十二万一千五百円也

○議長(知花高直君) 当局の御説明をお願いします。
◎文教部長(屋良朝苗君) 説明はここに書いてある通りでありますが、この前長浜さんから自立経済案討議の時に商業学校設立が必要であるが、その用意はあるかという御質問があったがその当時はその気持はないということを申上げておきましたが、その御質問にも刺戟を受けましたし、又設置の理由として挙げてあります以外にも本年度高等学校の志願者が激増しておりまして、どうしてもこれを緩和するためには、あと一つ高等学校を設立しなければならないという情勢にあったので今各種実業学校が設立されているが商業学校がまだ設立されておりませんので、寧ろそれを設立するのが穏当であろうという風に考えまして、それを是非設立したいという風に考えた次第であります。外はここに書いてありますが、外に御質問があればお答え致します。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。
◎祖根宗春君 諮問案として提案されておりますが、議会は議決機関でありますが議決機関に諮問案として諮問する、その理由。そしてこの設立の決定権はどこにあるか、その点についてお伺いしたいと思います。
○行政課長(総務部副部長カ)(稲嶺成珍君) 学校設立につきましては、議会でこれを議決をしなければならないと思っております。現在諮問として出しましたのは具体的な案が出ておりませんので一応は皆さんの御意見を聴きまして、然る後に成案を得て議会にかけたいと思っております。群島組織法の第二条のLに学校、研究所、試験所、これの設置管理を規制することになっておりますが、議会の議決を要することになっております。第三十七条で群島財産の取得及び処分、即ち学校を作る場合は群島財産の取得になっておりますので、これに関する敷地の購入なんかも出て来ますので議会に一応は諮問案として提案して更に成案を得なければならないと思っております。
◎宮城久栄君 この学校は修業年限は何ケ年でありますか。又完成期には現在の物価でどの位いるか、例えば修業年限五ケ年であったならば五ケ年ではどれだけの経費がかかるか。
○文教部長(屋良朝苗君) 修業年限は今の高等学校と同じく三ケ年。その三ケ年を完成した場合の経費は、今のところはっきりしておりませんですが差当り本年度の費用はここに提示してありますが、これは少し検討しなければならぬと思います。
○宮城久栄君 性質は違いますが他の実業学校が三ケ年ですからそれから推算して何十万円何百万円とか分りませんか。
○文教部長(屋良朝苗君) 大体他の高等学校では人件費だけしか負担していませんので人件費だけですと大体一ケ年三十五、六万円から学校によっては四、五十万円でありますから幾分の設備を加えても何百万円にはならんだろうと考えております。
◎玉城泰一君 各種の実業学校を増設することも誠に望ましいことであります。然しながら既設の実業学校の充実という点についても今一段と考慮を払っていただきたいと思う。と申しますのは、既に出来た農林高等学校、工業高等学校、水産高等学校を戦前のそれらに比較すると内容が極めて遜色があるように見受けます。特に一例を申上げるならば水産高等学校がいまだに実習船一つも持っていないような状態でありまして、まったく陸上の水練と同様にいつまでたってもおよぎができない、上達しないという状態ではないか。学校を卒業する迄一度も漁に出かけたことがない。一度も魚を獲ったことがない。それで卒業して水産人として果して十分であるかどうかということも心配するのですが現在の実業学校の状況では実験実習は勿論できず空理空論に終っている。観念的な、抽象的な教育をするような結果になりはしないかというような点から今一段と既にできた実業学校の充実という点に一層の意を払っていただきたい。勿論これは予算の関係でやむを得ない点もあると思いますが若し予算の関係であればその少い予算で効果を挙げるような方法はないものか。その対策として私が考えているのは農林高等学校は農事試験場に、水産高等学校は水産試験場に、工業高等学校は工業試験場に併置をするもよい。併置が悪ければその隣接地に敷地を求めてお互の施設をお互に利用し合う、お互の研究をし合うといった方向に進むならば実業学校は少い予算を以て一層の効果を挙げることが出来るのではないかと考えているのでありますが、その点について当局のお考えを承りたいと思います。
○知事(平良辰雄君) 現在の高等学校の経営、運営は敷地の問題についてはただ民間の敷地を売買する訳ではないのでどんどん造っているが結局こういう問題は将来は買収しなければならないという問題が起って来る。そうした場合に元の敷地に立った学校はそのままいいかも知れないが別に移ったもの拡張したものに対しては将来の財政問題に大きな影響をもたらすのでありまして、こういうことについては何れ調査をして適当な計画をたててそして今後建てるような学校についても敷地の問題については、今迄は議会もありませんので各地区でてんでに建てているような訳で今後は議会ができた以上はそういうことは出来ないので敷地も買収しなければいかん訳になるのでありますが、そういう問題については計画を樹てて更に財政ともにらみ合せて十分な検討をして行きたいと考えております。それで那覇商業高等学校の敷地の問題も従来のやり方で行くとただ造って教員の俸給の支払をする予算だけを取っているようでありますが、そういう訳には参りませんので一応これは議案に具体化する前に学校を建てていいかどうか、という問題も協議していただいて、それがいいということになれば敷地の買収問題も今後の議決に俟ちたい、そういう風に考えて行きたい。
 それから実業学校の問題であるが先程のお話のように全くその内容が貧弱であるから遺憾の点が非常に多いのであります。その点には我々もつとめて実業学校の充実に力を注ぎたいと考えているので、水産学校の如きも今年の予算からでも買いたいというので既に注文もしてあるような状況であります。なお試験場との併置問題これも考うべき問題だと思いますが、既に国頭試験場と北部農林学校が一緒であったのがどうも工合が悪いというので二つに分れた実例もありますので、こういう問題は将来の学校経営を新たに考える場合には、十分考究すべき問題だと考えておるのでありまして、その点は工業学校の敷地の問題もありますが大学に一緒にくっつけるとか或は那覇市に持って来るというような問題も那覇市に来た場合は工業試験場にくっつけるという、こういうことも今研究問題になっているのでありまして、なるべくはそういう風にして共通の施設は共同で利用してやって行きたいと考えておりますが実際問題としてはそういうことが余りうまく行かないような点もある様でありますので、その点も今後十分研究して行きたいと思います。御趣旨に副うよう努力したいと思います。
◎仲里誠吉君 議事の進行に関する意見であるが、本日の議会の当面の議案は、諮問事項は商業学校であるが、それが一般的な他の学校の問題が論ぜられたりしておりますが、それで時間が大分長延いて肝心な法案なんかも控えているので今後はそれと直接関係のある問題に限ってそれ以外の一般行政のものは一般行政の時間にやって貰いたい。議長も議事の捌き方に気をつけていただきたい。
 商業高等学校の設立は異存のないどころか、早い話が私自身曾つて商業学校で教鞭を執っておったのであります、又高等商業を出たのであります。
 ハイスクールを出て会社実業団体に就職はしたものの簿記が分らないというので五、六名の青年から簿記の質問を受けております。
 本員の自宅まで来て、最近貿易が始まって日本との貿易がドル決済で実際には外国貿易となっているので、その面に対する質問も受けている。ハイスクールは出ても学力自体が低いところへもって来て科目も実社会で直ちに通用するものは少い。留学の希望はあるとはいうものの留学し得る青少年が極めて少いので、せいぜい卒業はしても、ドライバーとかタイピストとかいった程度で暗たんとしている彼等の生活が勢い自暴自棄になりつつある様に思われる。そういう意味で単に商業教育の振興というだけでなしに、青少年にすぐに実社会で働いてもらって希望を与えるという意味でも商業学校の設立は絶対に必要であると思われる。賛成するのであるが、これは只今も知事から答弁があった様にこれがこの議会で設立が議決されたならば今後は学校の運営敷地等詳しい内容を協議して改めて議会の承認を得るようにしてもらいたい。そういう意味で賛成を申述べておきます。
◎稲嶺盛昌君 目下経済の自立を目指して、経済政策の確立を意図されて、計画も樹てている今日、どうしてもその経済政策が十分に効果を挙げるべく経済人として、経済面に立って働く人材を養成するというのが伴わなければいけないという見地に立ちまして私は先程の二十番議員(仲里誠吉君)からの実業学校の設置に対しては今一層御努力をお願いするものであります。この諮問第一号の問題については沖縄の現状から見てもどうしても商業貿易は今後大いに発展せしめなければならない。そういう意味におきましてその方面に活躍する人材をどうしても養成しなければいけないと思う。この意味から致しまして、商業学校の設立に対しましては双手をあげて賛意を表するものであります。
 次に二十番議員(仲里誠吉君)の議事進行の問題から幾分抵触するような感じも致しますが教育費の負担については、これは御答弁はお願いしません。要望だけに止めますが、現在の学校は高等学校も各地区に部隊が出来て最初は部隊負担でそして今日の学校が出来たのであるが、それは教育の機会均等を与える上から大きな効果をもたらしていることは事実であります。ところが現在いろいろの負担が税制も確立するし財政経済の自立を目指して進まなければならない。それで教育のすべての負担も全部住民の負担にならなくてはいけない。今日教育費の負担は人件費以外備品の外は全部民負担になっている。地方に於ては村内の中等学校、初等学校の教育費の負担更に高等学校の経費の負担と年々これが増加して行く傾向にあります。従いまして私は中央地方においてもこの財政面を確立して行く意味におきまして、この教育費はどれだけは中央が負担する、どれだけは地方住民が負担すると、この区切をはっきりと示していただきたい。そう致しませんと地方に於ても、この教育費負担を加味して財政面を確立して行くには、どうして行ったらいいかという心構えを整えさせる必要がある。こういう意味において私はこの教育費の地方住民負担並に中央負担の区切をはっきりしてなるべく早くお願いしたい。それにつきましても今文教部長さんは教育法を制定して近く、その面も織込んではっきりして行く御計画のようでありまして誠に適切な御意図であると思いますが、然しその法ができない前に於ても早くこの経費の区切をはっきりさせていただくようにお願を申上げておきます。
○文教部長(屋良朝苗君) 商業学校の件については敷地は那覇市が提供して下さることになっております。敷地が決定すれば校舎は復興費でやる。四月から開校するとすれば当分の間は那覇市が校舎は考えてくれることになっております。実はこれは議案として出すべき性質のものであるという話もあったが議案としたならば学校の教育条例というものも作らなければならない。それは簡単には作れない。相当論議に論議を重ねなければ作れないと大事をとっておるのでありまして知事から諮問の形で皆さんの御意見がまとまれば、これは異例ではありますが、この四月から開校したいと思っております。来る二十二日から高等学校の入学試験がありますればその考査にも間に合わせていただきたい。そうしませんと高等学校志願者の激増に対しても、その志願者入学率を緩和することができないということになるのでありまして、御意見がまとまれば明日にでも募集をして試験をして行けるような段取を示していただきたいということをお願いしたいのであります。
 それから先程の稲嶺さんの御質問でありますが、お答えしなくても宜しうございますか、気持はお答えしても宜しうございます。
○稲嶺盛昌君 お願いします。
○文教部長(屋良朝苗君) それでは学校経費の負担ということについては私が赴任以来、知事さんからはっきりさせようということを命令されております。これをはっきりさせるためには学校教育条例を作らなければならない。学校の設立者、高等学校、初等学校、中等学校の設立者は誰であるかということを明かにしてその設立者によって経費は負担されるし、又設立者によって負担せられないものは誰が負担するかということを明かにして行きたいと思うのであります。然しながら今私が考えておりますのではその条例ができましてもこういう風になるであろうという私の所見を申述べます。高等学校の設立者は群島政府になるであろう。人件費、設備費、施設費、旅費の一部は群島政府が負担しなければならんのぢゃなかろうか。初等学校、中等学校の管理につきましては今まで町村長からも度々質問がありましたが、これは一体群島政府の管理に属するのであるか、教育委員会の管理に属するのであるか、市町村の管理に属するのか、という質問を受けておりますが、これもはっきりして居りませんが、はっきりさせると初等学校、中等学校の設立者は市町村ということになるであろう。そうしますと教育委員会は教育文化或は教育の方針といった事務面の管理をやるであろう。それからその設立した町村は先ず復興費によって学校建築が一段落つきました後の学校の修理営繕といったような方面或はその後の学級増加によって学校を建てるということになると管理は市町村に移管しなければならんのじゃなかろうか、敷地の費用も亦そういう風になるのじゃなかろうかと考えているのであります。勿論設備、消耗品等の経費は市町村に移したいと考えている。但し、初等学校、中等学校の人件費のみは従来通り群島政府が負担しなければいかんだろうと思う。尚文教部の招集する校長会、教頭会これは人件費と一緒に群島政府の負担に織込まなければならないと思う。次に教科書、学用品などでありますが、これは今迄は無償で配給しておったが軍からの指示があって今後は教科書は有料になる。そうするとこれを詳島政府或は市町村なりで全部購入して学校備品としてこれに与えるのが理想でありますが、恐らく今日の群島政府或は市町村ではこれができないと考えまして従来通り生徒父兄の負担にならなければならないだろう。予算が許せばアメリカの考えている通りやらなければならないと思う。そうすると父兄の負担は非常に大きくなるだろうと御心配になるかも知れませんが私達の計画している今年度の購入予定を申上げますと幾分は使えますけれども新しい検定本に買替えるとしても教科書と学用品は二十四円換算で買えるのでありまして、従って教科書の定価の十五分の一になる訳であります。初等学校では、十五円三十九銭、中等学校二十七円七十四銭、高等学校で二十六円四十銭かかりますが、父兄の負担する費用も御心配は要らないだろうと思うのであります。大体そういう風になるであろうと思います。
◎議長(知花高直君) 本案は御異議がないように認めまするが答申案作成のために委員(委員会カ)付託にしたいのですが、文教厚生常任委員会に付託致したいのですが如何ですか。
  (「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎祖根宗春君 これは設立には賛成しておりますから議案として議決してすぐ実行に移して行ったらいいと思います。その内容については何も異議はないと思います。早く議決しないと生徒の募集も教員の人選もできない。
◎宮城久栄君 議案として出すには矢張り予算が伴わなければならないので五十二年度予算として審議になるだろうと思います。文教当局もこの空気を察して、その積りで仕事を進めて支障を来さない様にしていただきたい。議長の案通りに答申案を作成して十九日の本会議にかけたらどうかと思います。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
 議事の進行についてですが聡明なる議員、議長は問題を中心にして、その中心から余り外れないような議事の進め方をしてもらいたい。商業学校を置くか置かないかの問題に対して全島の教育を論じていてはいくら時間があっても足りない。(笑声)
◎議長(知花高直君) 御異議ないものと認めまして本諮問に対する答申案を文教厚生委員会に於いて作成して十九日の本会議に於いて答申決議をすることに致します。

◎議長(知花高直君) 日程第九の諮問第二号を議題と致します。書記長をして諮問第二号を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」諮問第二号朗読)

諮問第二号
  市町村税法案について
 市町村税法案を別紙の通り制定し、軍の承認を得てよいですか、議会の意見をはからう。
 一九五一年二月十五日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
別紙
(省略(ママ)、一九五一年公報第九号登載)
 (注 同条例は二九八頁参照)
 市町村税法(案)
  目 次
第一章 総 則
 第一節 通 則
 第二節 賦 課
 第三節 徴 収
第二章 普通税
 第一節 市町村民税
 第二節 土地税
 第三節 家屋税
 第四節 船舶税
 第六(ママ)節 自転車税
 第七節 牛馬車税
 第八節 屠畜税
 第九節 興行税
 第十節 畜犬税
 第十一節 木材類引取税
 第十三(ママ)節 電柱税
 第十四節 電話税
 第十五節 ミシン税
 第十六節 ラジオ税
 第十七節 不動産取得税
 第十八節 接客人税
 第十九節 事業税
第三章 目的税
第四章 補 則
第五章 罰 則
  第一章 総 則
   第一節 通 則
(市町村税)
第一条 市町村は、他に法令を以て特別に規定するものを除き本法に因り市町村税を賦課徴収することができる。
(市町村税の種別)
第二条 市町村税は普通税及び目的税とする。
(市町村の普通税)
第三条 市町村は普通税として、左に掲げるものを課することができる。
 一 市町村民税
 二 土地税
 三 家屋税
 四 船舶税
 六(ママ) 自転車税
 七 牛馬車税
 八 屠畜税
 九 興行税
 十 畜犬税
 十一 木材類引取税
 十三(ママ) 電柱税
 十四 電話税
 十五 ミシン税
 十六 ラジオ税
 十七 不動産取得税
 十八 接客人税
 十九 事業税
2 市町村は、前項に掲げるものを除く外、別に税目を起し、知事の認可を得て普通税を課することができる。
(市町村の目的税)
第四条 市町村は、目的税として左に掲げるものを課することができる。
 一 水利地益税
 二 共同施設税
(規定の形式)
第五条 市町村が市町村税の賦課徴収について必要な事項を定める場合においては、条例でこれを定め知事に報告しなければならない。
   第二節 賦 課
(納税義務者)
第六条 市町村内に住所、居所、家屋敷、事務所、事業所を有する者は、市町村税を納める義務がある。
2 前項の規定に該当しない場合においても、市町村内において土地、家屋又は物件を所有し、使用し又は占有する者は、その土地、家屋若しくは物件又はその収入に対して課する市町村税を、又市町村内において一定の行為をする者は、その行為に対して課する市町村税をそれぞれ納める義務がある。
(納税義務の承継)
第七条 法人が合併した場合において合併後存続する法人又は合併に因り設立した法人は、合併に因り消滅した法人に賦課さるべき市町村税を納める義務がある。
2 法人が解散した場合において、その法人に賦課さるべき市町村税を納付しないで残余財産を分配したときは、清算人は、残余財産の価額を限度として連帯してその法人に賦課さるべき市町村税を納める義務がある。
3 相続の開始があった場合においては、相続人又は相続財団は、相続開始前の事実について、被相続人に賦課さるべき市町村税を納める義務がある。但し、限定承認をなした相続人は相続によって得た財産の価額を限度としてその義務がある。
(市町村外に在る課税客体に対する非課税)
第八条 納税義務者が市町村外において所有し、使用し、若しくは占有する土地、家屋若しくは物件又はその収入に対しては、市町村税を課することができない。
2 市町村外において事務所、事業所を設けて行う事業又はその収入に対しても、また同様とする。
(納税義務の発生及び消滅等に伴う賦課)
第九条 年税たる市町村税の賦課期日後に納税義務が発生した者には、その発生した月の翌月から月割をもって市町村税を賦課する。
2 前項の市町村税の賦課期日後に納税義務が消滅した者には、その消滅した月まで、月割をもって市町村税を賦課する。
3 第一項の市町村税の賦課後にその課税客体の承継があった場合においては、前の納税者の納税をもって後の納税義務者の納税とみなし、前二項の規定は、これを適用しない。
4 同一の課税客体について一の市町村において納税義務が消滅し、他の市町村において納税義務が発生したときは、納税義務が発生した市町村は納税義務が消滅した市町村において賦課した部分については、市町村税を賦課することができない。
5 月税たる市町村税の賦課期日後に納税義務が発生した者には、その発生した月の翌月から市町村税を賦課し、その賦課期日後に納税義務が消滅した者には、その消滅した月分の全額を賦課する。
(課税除外)
第十条 左に掲げるものに対しては、市町村税を課することができない。但し、第二号から第六号までに掲げる土地、家屋又は物件を他に使用収益させる場合においてはその使用収益をなす者に課するとき並びに第二号及び第四号から第七号までに掲げる土地、家屋又は物件を有料で使用する場合において、その所有者に課するときは、この限りでない。
 一 群島、市町村その他命令で定める公共団体の事業又は行為。
 二 群島、市町村その他命令で定める公共団体において公用又は公共の用に供する土地、家屋又は物件。
 三 群島又は市町村の所有する土地、家屋又は物件。
 四 宗教法人においてその用に供する建物及びその境内地又は構内地。
 五 墓地。
 六 公衆用道路、鉄道用地、軌道用地、運河用地及び水道用地。
 七 用悪水路、溜池、堤とう及び井溝。
 八 保安林。
 九 命令で指定する私立学校において直接保育又は教育の用に供する土地及び家屋。
 十 法人の合併に因る土地、家屋又は物件の取得。
(公益等に因る課税免除及び不均一課税)
第十一条 市町村は、公益上その他の事由に因り課税を不適当とするときは、課税をしないことができる。
2 市町村は、公益上その他の事由に因り必要と認めたときは、不均一課税をなすことができる。
(受益による不均一課税及び一部課税)
第十二条 市町村の一部に対し特に利益がある事件に関しては、市町村は、不均一の課税をなし又は一部(その一部カ)に課税をなすことができる。
   第三節 徴 収
(市町村税の普通徴収)
第十三条 市町村税を賦課徴収しようとするときは、市町村長又はその委任を受けた市町村吏員(以下市町村徴税吏員という)は徴税令書を納税者に交付しなければならない。
(納税義務等の完了時期)
第十四条 前条の徴税令書の交付を受けた納税者は、その税金を市町村に払い込み、その領収証を受けたときは、納税の義務を完了する。
2 税金の払込又は納入について郵便振替貯金の方法によった場合においては、納税者が(はカ)郵便
官署に払い込んだときにその義務を完了する。
(違法又は錯誤に係る賦課等の救済)
第十五条 市町村税の賦課を受けた者は、その賦課について違法又は錯誤があると認めるときは、徴税令書の交付を受けた日から二十日以内に市町村長に異議の申立をなすことができる。
2 前項の場合において市町村長の決定を受けた者は、その決定に不服があるときは、市町村議会の裁決を求めることができる。
3 前二項に規定する事項については、第一項の規定による異議の決定又は前項の規定による裁決を経た後でなければ裁判所に出訴することはできない。
4 第二項による裁決については、市町村長又は市町村徴税吏員からも裁判所に出訴することができる。
5 前二項による裁判所に対する出訴は裁決を受けた日から二十日以内にこれをしなければならない。
6 第三項及び第四項によって裁判所に出訴した場合においても税金の徴収はこれを猶予しない。
(督促状)
第十六条 市町村税の徴税令書の交付を受けた納税者が納期限までに税金を完納しないときは、市町村長若しくは徴税吏員は遅くとも納期限後二十日までに督促状を発しなければならない。
2 督促状には条例で定める期限内において相当の期限を指定しなければならない。
3 特別の事情のある市町村においては、条例で第一項に規定する期限と異る期限を定めることができる。
(督促手数料)
第十七条 市町村は、督促状を発したときは、手数料を徴収しなければならない。
(滞納処分)
第十八条 第十六条の規定による督促を受けた者が、督促状の指定期限までに税金及び督促手数料を完納しないときは、市町村長若しくは市町村徴税吏員は、条例で定める期限内に群島政府租税徴収法の滞納処分の例に因りこれを処分することができる。
2 前項の規定による処分に不服がある者は、市町村議会の裁決を求めることができる。
3 第一項に規定する事項については、前項の規定による裁決を経た後でなければ裁判所に出訴することができない。
4 第二項の規定による裁決については、市町村徴税吏員からも裁判所に出訴することができる。
5 第一項の規定による処分のうち差押物件の公売は、差押処分の確定に至るまで、これを停止する。
6 第一項の規定による処分は、その市町村の区域外においてもまた、これを行うことができる。
7 第二項による裁決の要求は、滞納処分をうけた日から二十日以内にこれをしなければならない。
(延滞金)
第十九条 督促をなした場合においては、税金額百円(百円未満の端数があるときは、これを切り捨てる)につき一日十銭の割合を以て、納期限の翌日から税金完納又は財産差押の日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収しなければならない。但し、左の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。
 一 徴税令書一通の税金額が百円未満であるとき。
 二 納期を繰り上げて徴収するとき。
 三 納税者の住所又は居所が不明であるため公示送達する事(の方法カ)により納税の命令又は督促をしたとき。
 四 滞納につき考慮すべき事情があると認めるとき。
2 督促状の指定期限までに税金及び督促手数料を完納したときは、延滞金は、これを徴収しない。
(先取特権等)
第二十条 市町村税並びにその督促手数料、延滞金及び滞納処分費(以下市町村の徴収金という)は、群島税並びにその督促手数料、延滞金処分費(金及び滞納処分費カ)(以下群島の徴収金という)に次いで先取特権を有する。
2 市町村の徴収金の滞納処分によって財産を差押えた場合においては、当該市町村の徴収金は当該財産の価額を限度として、群島の徴収金及び他の市町村に係る徴収金に先だつものとする。
3 納税者の財産上に質権又は抵当権を有する者がその質権又は抵当権が市町村税の納期限より一年前に設定されたことを公正証書で証明した場合においては、その財産の価額を限度として、当該質権又は抵当権が担保する債権に対しては、市町村税は、先取しない。
(時効)
第二十一条 市町村の徴収金の徴収を目的とする市町村の権利は、三年間これを行わない場合においては、時効に因り消滅する。
(繰上徴収)
第二十二条 納税者が左の各号の一に該当するときは、既に徴税令書を交付した市町村税については納期に至り税金の徴収を完了することができないと認められるものに限り納期前であっても、税金の全額を徴収することができる。
 一 群島税、市町村税その他の公課につき滞納処分を受けるとき。
 二 強制執行を受けたとき。
 三 破産の宣告を受けたとき。
 四 相続人が限定承認をしたとき。
 五 競売の開始があったとき。
 六 法人が解散したとき。
 七 納税者に税金を免れようとする行為があると認められるとき。
2 前項の規定により納期前に税金を徴収しようとするときは、市町村徴税吏員は納期限変更告知書を発しなければならない。
(納税延期)
第二十三条 市町村長は、条例の定めるところにより、納税者のうち特別の事情のある者に対し、納税延期を許すことができる。
(減免)
第二十四条 市町村長は、天災その他特別の事情のある場合又は貧困に因り生活のため公私の救助を受け若しくは扶助を受ける者その他特別の事情のある者に限り、市町村議会の議決を経て市町村税を減免することができる。
(徴収金納付義務者(ママ)の承継)
第二十五条 法人が合併した場合において、合併に因り消滅した法人の未納に係る市町村の徴収金があるときは、合併後存続する法人又は合併に因り設立した法人が、これを納付する義務がある。
2 法人が解散した場合において、その法人の未納に係る市町村の徴収金を納付しないで残余財産を分配したときは、清算人は残余財産の価額を限度として連帯して、これを納付する義務がある。
3 相続の開始があった場合において、相続開始前の事実について被相続人の未納に係る市町村の徴収金があるときは、相続人又は相続財団は、これを納付する義務がある。但し、限定承認をなした相続人は相続に因って得た財産の価額を限度として、その義務がある。
(連帯納付義務)
第二十六条 共有物、共同使用物、共同事業に因り生じた物件又は共同行為に対する市町村の徴収金は納税者が連帯して、これを納付する義務がある。
(過納徴収金の取扱)
第二十七条 既納の税金が過納であるときは、その過納額を未納の徴収金に充てることができる。
2 前項によりなお余剰を生じた場合は、これを納税者に還付する。
(納税管理人)
第二十八条 納税義務者は、納税地に住所、居所、事務所又は事業所を有しないときは、納税に関する一切の事項を処理させるため、納税地に居住する者のうちから納税管理人を定め、条例の定めるところにより市町村長に、これを申告しなければならない。納税管理人を変更したときも、また同様とする。
(書類の送達)
第二十九条 徴税令書、督促状及び滞納処分に関する書類は、名宛人の住所、居所、事務所又は事業所に送達する。
2 名宛人が相続財団で、その相続財団に財産管理人があるときは、財産管理人の住所又は居所に送達する。
(公示送達)
第三十条 書類の送達を受くべき者が、その住所、居所、事務所若しくは事業所において、書類の受け取りを拒んだとき又はその者の住所、居所、事務所若しくは事業所が不明であるときは、条例で定めるところにより、書類の要旨を公告し、公告の初日から七日を経過したときは、書類の送達があったものとみなす。
(特別徴収義務者)
第三十一条 市町村は、条例を以て特定の税目については、その徴収の便宜を有する者をしてこれを徴収させることができる。
2 前項の規定による徴収義務者(以下特別徴収義務者という)は、市町村に対しその徴収すべき市町村税を納入する義務がある。
3 第一項の市町村税の徴収については、第十三条の規定によらないことができる。
(特別徴収義務者の税金相当額の納入)
第三十二条 特別徴収義務者は、その徴収すべき市町村税に相当する金額を各納期日までに市町村に納入しなければならない。
(特別徴収義務者の徴収不能額の還付)
第三十三条 市町村は、特別徴収義務者がその徴収すべき市町村税を徴収することができなかった場合において、正当な事由に因るものと認めるときは、特別徴収義務者の申請により議会の議決を経て、これに相当する既納の金額を還付するものとする。
2 第十五条第二項乃至第四項の規定は前項の場合に、これを準用する。
(特別徴収に係る納税義務等の完了時期)
第三十四条 第三十一条第一項の規定により市町村税を徴収せしめる場合においては、納税者は、その税金を特別徴収義務者に払い込んだときに納税義務を完了する。
2 特別徴収義務者は、その徴収すべき市町村税に相当する金額を市町村に払い込みその領収証を受け取ったときに、税金の徴収及び納入の義務を完了する。
(特別徴収義務者に対する督促)
第三十五条 特別徴収義務者がその徴収すべき市町村税に相当する金額を条例で定める期日までに納入しないときは、市町村長若しくは市町村徴税吏員は相当の期限を指定して督促状を発しなければならない。
(特別徴収義務者が税金を失った場合の措置)
第三十六条 市町村は、特別徴収義務者が既収の税金を失った場合において、天災その他避けることのできない事由に因るものであると認めるときは、特別徴収義務者の申請により税金を納入すべき日から二十日以内に、議会の議決を経て、税金額に相当する金額を補償するものとする。
2 第十五条第二項から第四項までの規定は前項の場合に、これを準用する。
(特別徴収に係る納入金に関する準用規定)
第三十七条 第七条、第十四条第二項、第十七条から第二十二条まで、第二十五条から第二十七条までの規定は、第三十一条第一項の規定により市町村税を徴収させる場合の納入金について、これを準用する。
(徴収の嘱託)
第三十八条 この法律により市町村の徴収金を納付すべき者又はその者の財産が当該市町村外に在るときは、市町村長又は市町村徴税吏員は、本人又は財産所在地の当該吏員に、その徴収を嘱託することができる。
2 前項の場合における徴収金の徴収は嘱託を受けた者の属する市町村における徴収の例による。
3 第一項の規定により徴収を嘱託した場合においては、嘱託に係る事務及び送金に要する費用は嘱託を受けた者の属する市町村の負担とし、嘱託に係る事務に伴う督促手数料及び滞納処分費は、嘱託を受けた者の属する市町村の収入とする。
  第二章 普通税
   第一節 市町村民税
(市町村民税の納税義務者等)
第三十九条 市町村民税は、左に掲げる者に対し所得の状況、資産の状況等を標準とし均等割を加味してこれを課する。但し、貧困に因り生活のため公私の救助を受け又は扶助を受ける者に対しては、この限りでない。
 一 市町村内に一戸を構える個人又は一戸を構えなくても独立の生計を営む個人。
 二 市町村内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で前号に該当しないもの。
 三 市町村内に事務所又は事業所を有する法人及び法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるもの。
2 前項第三号の法人及び法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものについては、その事務所又は事業所ごとに、市町村民税を課する。
3 第八条の規定は、市町村民税については、これを適用しない。
(市町村民税の課税標準)
第四十条 市町村民税は、資産割と所得割を課税標準とし、均等割を加味した額の合計額によって、これを賦課する。
(市町村民税の賦課総額)
第四十一条 市町村民税の賦課総額は、二百円に第三十九条に定める納税義務者の数を乗じた額を超えることができない。
2 前項の規定の適用については、第三十九条第一項第三号の法人は、その事務所又は事業所毎に独立の納税義務者とみなす。
3 第一項の規定による賦課総額を超えて賦課しようとするときは、予め知事の認可を受けなければならない。
(市町村民税の賦課期日)
第四十二条 市町村民税の賦課期日は、六月一日とする。
2 第九条の規定は、市町村民税については、これを適用しない。
(市町村民税の納期)
第四十三条 市町村民税は、年額を二分し、左の二期においてこれを徴収する。
  第一期 七月一日から七月末日まで
  第二期 十一月一日から十一月末日まで
   第二節 土地税
(土地台帳)
第四十四条 市町村は、土地台帳を備え左の事項を登録しなければならない。
 一 土地の所在
 二 地 番
 三 地 目
 四 地 積
 五 賃貸価格
 六 所有者、使用者の住所及び氏名又は名称
 七 質権者の住所及び氏名又は名称
2 土地台帳に関し必要な事項は命令で、これを定めなければならない。
(土地税の納税義務者等)
第四十五条 土地税は、土地に対し、前条の土地台帳に登録された賃貸価格を標準として、その所在地の市町村において、その所有者又は質権者に、これを課する。
2 前項の場合においては、土地台帳に所有者として登録された者をもって、それぞれの土地の所有者とする。
(土地税の賦課期日)
第四十六条 土地税の賦課期日は、四月一日とする。
2 第九条第一項及び第二項の規定は、土地税については、これを適用しない。
(土地税の納期)
第四十七条 土地税は、年額を二分し左の二期において、これを徴収する。
  第一期 五月一日から五月末日まで
  第二期 十一月一日から十一月末日まで
(土地税の賦課率)
第四十八条 土地税の賦課率は、賃貸価格の百分の十とする。
2 土地税は、各納税義務者について、その市町村における土地の賃貸価格の合計金額により算出して、これを徴収しなければならない。但し、賃貸価格の合計金額が十円に満たないときは、この限りでない。
3 第一項の規定による賦課率を超えて賦課しようとするときは、予め知事の認可を受けなければならない。
(土地税の追徴)
第四十九条 市町村土地台帳に関して申告する義務のある者がその申告をしないことによって賃貸価格の設定又は修正がなされず、そのために土地税に不足額があるときは、直ちにこれを追徴しなければならない。
2 前項の規定により土地税を徴収する場合及び詐欺その他不正の行為により土地税を免れた者から土地税を徴収する場合においては、前条第二項の規定は、これを適用しない。
   第三節 家屋税
(家屋台帳)
第五十条 市町村は、家屋台帳を備え左の事項を登録しなければならない。
 一 家屋の所在
 二 家屋の番号
 三 家屋の種類、構造及び床面積
 四 賃貸価格
 五 所有者、使用者の住所及び氏名又は名称
 六 質権者の住所及び氏名又は名称
2 家屋台帳に関し必要な事項は命令でこれを定めなければならない。
(家屋税の納税義務者等)
第五十一条 家屋税は、家屋に対し、家屋台帳に登録された賃貸価格を標準として、その所在地の市町村において、その所有者又は質権者にこれを課する。
2 前項の場合においては、家屋台帳に所有者として登録された者をもって、その家屋の所有者とする。
(家屋税の賦課期日)
第五十二条 家屋税の賦課期日は、六月一日とする。
2 第九条第一項及び第二項の規定は、家屋税については、これを適用しない。
(家屋税の納期)
第五十三条 家屋税は年額を二分し、左の二期においてこれを徴収する。
  第一期 その年 七月一日から七月末日まで
  第二期 翌年 一月一日から一月末日まで
(家屋税の賦課率)
第五十四条 家屋税の賦課率は、賃貸価格の百分の十とする。
2 家屋税は、各納税義務者について、その市町村内における家屋の賃貸価格の合計金額により算出して、これを徴収しなければならない。但し、賃貸価格の合計金額が十円に満たないときは、この限りでない。
3 第一項の規定による賦課率を超えて賦課しようとするときは、予め知事の認可を受けなければならない。
(家屋税の追徴)
第五十五条 市町村家屋台帳に関して申告する義務のある者がその申告をしないことによって賃貸価格の設定又は修正がなされず、そのために家屋税に不足額があるときは、直ちにこれを追徴しなければならない。
2 前項の規定により家屋税を徴収する場合及び詐欺その他不正の行為により家屋税を免れた者からその家屋税を追徴する場合においては、前条第一(二カ)項の規定は、これを適用しない。
(土地税名寄帳及び家屋税名寄帳)
第五十六条 市町村は、その市町村内の土地及び家屋について、土地税名寄帳及び家屋税名寄帳を備えなければならない。
2 前項の土地税名寄帳及び家屋税名寄帳に関し必要な事項は、命令でこれを定めなければならない。
   第四節 船舶税
(船舶税の納税義務者等)
第五十七条 船舶税は、船舶に対し、主たる定繋場所在の市町村において、その所有者又はその取得者にこれを課する。
2 主たる定繋場が不明であるときは、定繋場所在の市町村のうち船籍港のある市町村に主たる定繋場があるものとみなす。
(船舶税の賦課期日)
第五十八条 船舶税の賦課期日は、八月一日とする。
(船舶税の納期)
第五十九条 船舶税は年額を二分し、左の二期においてこれを徴収する。
  第一期 その年 九月一日から九月末日まで
  第二期 翌年 一月一日から一月末日まで
(船舶税の賦課率)
第六十条 船舶税の賦課率は、左の各号に定める額とする。
 一 汽船 総噸数一噸につき 年額 五十円
 二 発動機船
  A 五噸まで 年額 二百円
  B 十噸まで 年額 五百円
  C 二十噸まで 年額 壱千二百円
  D 二十噸を超ゆるもの 年額 壱千二百円に一噸を増す毎に五十円を加算する。
 三 くり舟 一隻につき 年額 百二十円
 四 その他 一隻につき 年額 六十円
   第六(ママ)節 自転車税
(自転車税の納税義務者等)
第六十五(ママ)条 自転車税は、自転車に対し、その定置場所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(自転車税の賦課率)
第六十六条 自転車税の賦課率は、左の各号に掲げる自転車一台に対し、それぞれ当該各号に定める額とする。
 一 自家用 年額 百二十円
 二 営業用 年額 百八十円
(自転車税の賦課期日)
第六十七条 自転車税の賦課期日は、五月一日とする。
(自転車税の納期)
第六十八条 自転車税の納期は、六月末日限りとする。
   第七節 牛馬車税
(牛馬車税の納税義務者等)
第六十九条 牛馬車税は、牛馬車に対し、その定置場所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(牛馬車税の賦課率)
第七十条 牛馬車税の賦課率は、左の各号に掲げる牛馬車に対し、一台について、それぞれ当該各号に定める額とする。
 一 牛 車 年額 八十円
 二 荷馬車 年額 百二十円
 三 客馬車 年額 百八十円
(牛馬車税の賦課期日)
第七十一条 牛馬車税の賦課期日は、五月一日とする。
(牛馬車税の納期)
第七十二条 牛馬車税の納期は、六月末日限りとする。
   第八節 屠畜税
(屠畜税の納税義務者等)
第七十三条 屠畜税は、屠畜に対し、その屠畜場所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(屠畜税の賦課率)
第七十四条 屠畜税の賦課率は、左の各号に掲げる獣畜に対し、それぞれ当該各号に定める額とする。
 一 牛 一頭につき 百 円
 二 馬 一頭につき 八十円
 三 豚 一頭につき 五十円
2 第一項の規定による賦課率を超えて賦課しようとするときは、予め知事の認可を受けなければならない。
(屠畜税の賦課期日)
第七十五条 屠畜税の賦課期日は、毎月末日とする。
(屠畜税の納期)
第七十六条 屠畜税の納期は、翌月十日限りとする。
   第九節 興行税
(興行税の納税義務者等)
第七十七条 興行税は、臨時税とし、興行の都度その興行場所在の市町村において、その興行主に、これを課する。
2 前項の場合においては、劇場主を興行主とみなす。
(興行税の賦課率)
第七十八条 興行税の賦課率は、左の各号に掲げる興行に対し、それぞれ当該各号に定める額とする。但し、無料入場を許す場合は、この限りでない。
 一 映画、演劇、演芸 一回につき 二百円以内
 二 相撲、拳闘、闘牛、野球 一回につき 百円以内
 三 その他 一回につき 五十円以内
2 前項の規定による賦課率を超えて賦課しようとするときは、予め知事の認可を受けなければならない。
(興行税の賦課期日及び納期)
第七十九条 興行税は、当該興行終了日の翌日納付するものとする。
   第十節 畜犬税
(畜犬税の納税義務者等)
第八十条 畜犬税は、畜犬に対し、その所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(畜犬税の賦課率)
第八十一条 畜犬税の賦課率は、畜犬(離乳後)一頭について年額五十円とする。
(畜犬税の賦課期日)
第八十二条 畜犬税の賦課期日は、五月一日とする。
(畜犬税の納期)
第八十三条 畜犬税の納期は、六月末日限りとする。
   第十一節 木材類引取税
(木材類引取税の納税義務者等)
第八十四条 木材類引取税は、素材の引取に対し、価格を課税標準として、同一の素材について一回に限り、素材生産地の市町村において引取者に、これを課する。
(木材類引取税の賦課率)
第八十五条 木材類引取税の賦課率は、引取価格の百分の十とする。
(木材類引取税の賦課期日及び納期)
第八十六条 木材類引取税は、その引取の際直ちに、これを納付しなければならない。
   第十三(ママ)節 電柱税
(電柱税の納税義務者等)
第九十一(ママ)条 電柱税は、電柱に対し、その設置場所在の市町村において、その所有者に対し、これを課する。
(電柱税の賦課率)
第九十二条 電柱税の賦課率は、電柱一本について年額三十円とする。
(電柱税の賦課期日)
第九十三条 電柱税の賦課期日は、一月一日とする。
(電柱税の納期)
第九十四条 電柱税の納期は、二月末日限りとする。
   第十四節 電話税
(電話税の納税義務者等)
第九十五条 電話税は、電話の使用又は加入に対し、電話機所在の市町村において、その使用者又はその加入者に、これを課する。
2 前項の電話機とは、電話の設備及び利用に関する政府との契約に基いて設置されたものを、使用者とは、当該契約の当事者を、加入者とは、新たに使用者となった者をいう。
(電話税の賦課率)
第九十六条 電話税の賦課率は、電話機一台について、年額二百円とする。
(電話税の賦課期日)
第九十七条 電話税の賦課期日は、一月一日とする。
(電話税の納期)
第九十八条 電話税の納期は、二月末日限りとする。
   第十五節 ミシン税
(ミシン税の納税義務者等)
第九十九条 ミシン税は、ミシン機に対し、その定置場所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(ミシン税の賦課率)
第百条 ミシン税の賦課率は、左の各号に掲げるミシン機一台に対し、それぞれ当該各号に定める額とする。
 一 自家用 年額 百二十円
 二 営業用 年額 百八十円
(ミシン税の賦課期日)
第百一条 ミシン税の賦課期日は、一月一日とする。
(ミシン税の納期)
第百二条 ミシン税の納期は、二月末日限りとする。
   第十六節 ラジオ税
(ラジオ税の納税義務者等)
第百三条 ラジオ税は、ラジオ機に対し、その所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(ラジオ税の賦課率)
第百四条 ラジオ税の賦課率は、ラジオ一機について、年額百二十円とする。
(ラジオ税の賦課期日)
第百五条 ラジオ税の賦課期日は、一月一日とする。
(ラジオ税の納期)
第百六条 ラジオ税の納期は、二月末日限りとする。
   第十七節 不動産取得税
(不動産取得税の納税義務者等)
第百七条 不動産取得税は、不動産の取得に対し、その価格を基準として、不動産所在の市町村において、その取得者に、これを課する。
2 前項の適用については、船舶並びに自動車は、これを不動産とみなす。
3 相続、贈与等に因る無償取得の場合においては、当該事項発生の時の時価によってその取得価格を評価する。
(不動産取得税の賦課率)
第百八条 不動産取得税の賦課率は、取得価格の百分の二とする。
(不動産取得税の賦課期日及び納期)
第百九条 不動産取得税は、当該事項発生の都度直ちに、これを納付しなければならない。
   第十八節 接客人税
(接客人税の納税義務者等)
第百十条 接客人税は、ダンサー、女給、酌婦その他これらに類する者に対し、その従業地所在の市町村において、これを課する。
(接客人税の賦課率)
第百十一条 接客人税の賦課率は、接客人一人一月について五十円とする。
(接客人税の賦課期日)
第百十二条 接客人税の賦課期日は、毎月一日とする。
(接客人税の納期)
第百十三条 接客人税の納期は、毎月末日限りとする。
   第十九節 事業税
(事業税の納税義務者等)
第百十四条 事業税は、法人の行う事業並びに個人の行う第一種事業及び第二種事業に対し、所得を課税標準として、事務所又は事業所所在の市町村において、その法人及び個人に課する。
2 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものについては、法人に関する規定を準用する。
3 事務所又は事業所を設けないで行う事業については、その事業を行う者の住所又は居所のうち、その事業と最も関係の深いものをもって、その事務所又は事業所とみなして、事業税を課する。
(事業税の種類)
第百十五条 事業税を課すべき個人の事業は、左に掲げるものとする。
 第一種
  一 物品販売業(動植物その他普通に物品といわないものの販売業を含む)
  二 金銭貸付業
  三 証券業
  四 物品貸付業(動植物その他普通に物品といわないものの貸付業を含む)
  五 製造業(物品の加工修理業を含む)
  六 電気供給業
  七 ガス供給業
  八 土石採取業
  九 放送事業
  十 運送業(運送取扱業を含む)
  十一 倉庫業(物品の寄託を受け、これを保管する業を含む)
  十二 請負業
  十三 印刷業
  十四 出版業
  十五 写真業
  十六 席貸業
  十七 旅館業
  十八 料理店業
  十九 周旋業
  二十 代理業
  二十一 仲立業
  二十二 問屋業
  二十三 両替業
  二十四 湯屋業
  二十五 美容業
  二十六 遊技場業
  二十七 遊覧所業
  二十八 その他これらに類する事業
 第二種
  一 医業
  二 歯科医業
  三 薬剤師業
  四 助産婦業
  五 獣医業
  六 弁護士業
  七 司法書士業
  八 税務代理士業
  九 公証人業
  十 会計士業
  十一 計理士業
  十二 設計士業
  十三 諸芸師匠業
  十四 その他これらに類する事業
(事業税の課税標準)
第百十六条 事業税は、左に掲げる所得について、これを課する。
 一 法人
    各事業年度の所得
    清算所得
 二 個人
    前条に掲げる事業の所得
(法人の所得)
第百十七条 法人の各事業年度の所得は、各事業年度の総益金から総損金を控除した金額とする。
2 法人が事業年度の中途において解散し、又は合併に因り消滅した場合においては、その事業年度開始の日から解散若しくは合併の日までの期間をもって、それぞれ一事業年度とみなす。
3 法人の清算所得は、法人が解散した場合において、その残余財産の価額が解散当時の払込株式金額又は出資金額及び積立金額の合計金額を超過するときの超過金額による。
(個人の所得)
第百十八条 個人の所得は、前年中(一月一日から十二月三十一日まで)の総収入金額から必要の経費を控除した額とする。
(二以上の市町村に亙る場合の事業税の課税標準とすべき所得金額)
第百十九条 二以上の市町村において事務所又は事業所を設けて事業を行う者に課する事業税の課税標準とすべき所得金額の総額は、主たる事務所又は事業所所在地の市町村長がこれを決定しなければならない。
2 二以上の市町村において事務所又は事業所を設けて事業を行う者に、関係市町村において所得金額を課税標準として事業税を課する場合においては、その所得金額は、前項の市町村長の定めるところによる。
3 第一項の市町村長が所得金額の総額を決定した場合においては直ちに前項の規定によって関係市町村において課する事業税の課税標準とすべき所得金額を定めてこれを関係市町村長に通知しなければならない。
4 関係市町村長は第一項の市町村長が第二項の規定によって定めた所得金額について、第一項の市町村長に対し異議を申立てることができる。
5 前項の規定による異議の申立は、第三項の通知を受けた日から二十日以内に、これをしなければならない。
6 第四項により異議を申立てた場合において、なおその決定に不服があるときは、裁判所に出訴することができる。
7 前項による裁判所に対する出訴は決定を受けた日から二十日以内にこれをしなければならない。
(事業税の賦課率)
第百二十条 事業税の賦課率は、法人(特別法人を除く)の行う事業及び個人の行う第一種の事業に対しては百分の五、特別法人の行う事業及び個人の行う第二種の事業に対しては百分の二(三カ)とする。
2 前項の特別法人とは、左に掲げる法人をいう。
 一 農業組合及び農業組合連合会
 二 水産組合及び水産組合連合会
 三 工業組合及び工業協会
 四 その他命令を以て指定するもの。
(事業税の免税点)
第百二十一条 市町村は、個人の行う事業に対する事業税の課税標準とすべき所得金額が二(三カ)千円に満たないときは、事業税を課することができない。但し、財政上その他特別の必要がある場合においては、所得金額が三千円に満たないときであっても事業税を課することができる。
(個人の事業税の賦課期日)
第百二十二条 個人の行う事業に対する事業税の賦課期日は、六月一日とする。
(個人の事業税の納期)
第百二十三条 個人の事業税は、年額を四分し、左の四期においてこれを徴収する。
  第一期 その年七月一日から七月末日まで
  第二期 その年九月一日から九月末日まで
  第三期 その年十一月一日から十一月末日まで
  第四期 翌年一月一日から一月末日まで
  第三章 目的税
(水利地益税)
第百二十四条 市町村は、水利に関する事業、都市計画法に基いて行う事業、林道に関する事業、その他土地又は山林の利益となるべき事業の実施に要する費用に充てるため当該事業に因り特に利益を受ける土地又は家屋に対し、その価格又は面積を課税標準として、水利地益税を課することができる。
2 水利地益税の課税額(数年にわたって課する場合においては、各年の課税額の総額)は当該土地又は家屋が前項の事業に因り特に受ける利益の限度をこえることができない。
(共同施設税)
第百二十五条 市町村は、共同作業場、共同倉庫、共同集荷場、汚物処理施設その他これらに類する施設に要する費用に充てるため、当該施設に因り特に利益を受ける者に対し共同施設を計る(税を課するカ)ことができる。
2 共同施設税の課税額(数年にわたって課する場合においては各年の課税額の総額)は、当該納税者が前項の施設に因り特に受ける利益の限度をこえることができない。
(目的税の賦課期日及び納期)
第百二十六条 目的税の賦課期日及び納期は、当該市町村において、これを定めなければならない。
(知事の認可)
第百二十七条 前三条の場合においては、条例を設けて、予め知事の認可を受けなければならない。
  第四章 補 則
(納税義務者の申告義務等)
第百二十八条 市町村税の納税義務者及び特別徴収義務者は、条例の定めるところによって、市町村税の賦課に関し、必要な事項を当該市町村長に対し申告又は報告しなければならない。
(徴税吏員の質問検査権)
第百二十九条 市町村税の賦課に関し必要があるときは、当該市町村の徴税吏員は、左に掲げる者に質問し、又はその者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査することができる。
 一 納税義務者又は納税義務があると認められる者。
 二 特別徴収義務者。
 三 納税義務者又は納税義務があると認められる者、金銭又は物品の給付をなす義務があると認められる者、その他当該市町村税の賦課に関し直接関係があると認められる者。
2 前項の場合においては、当該徴税吏員は、その身分を証明すべき証票を携帯し、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
(関係市町村長の意見の異なる場合の措置)
第百三十条 課税権の帰属その他本法の規定の適用について、関係市町村長が意見を異にするときは、その申出によって、知事がこれを定める。
  第五章 罰 則
(脱税等に関する罪)
第百三十一条 詐欺その他不正な行為により、市町村税額の全部又は一部につき市町村税を免れた者は、その免れた税金の五倍以下に相当する罰金若しくは科料に処する。
2 特別徴収義務者が徴収すべき市町村税を徴収せず又は徴収した市町村税を納入しなかったときは、徴収しなかった税金又は納入しなかった税金の五倍以下に相当する罰金若しくは科料に処する。
3 前二項の場合においては、市町村は直ちにその免れた税金又は徴収しなかった税金若しくは納入しなかった税金を徴収することができる。
(申告義務者に対する罪)
第百三十二条 左の各号の一に該当する者は、これを二千円以下の罰金又は科料に処する。
 一 第百二十八条の規定により申告し又は報告すべき事項について虚偽の申告若しくは報告をした者又は申告若しくは報告を怠った特別徴収義務者。
 二 第百二十九条の規定による帳簿書類その他の物件の検査を拒み、妨げ又は忌避した者。
 三 前号の帳簿書類で虚偽の記載をなしたものを提示した者。
 四 第百二十九条の規定による徴税吏員の質問に対し、答弁をなさない者。
 五 前号の質問に対し、虚偽の答弁をなした者。
(不納せん動に関する罪)
第百三十三条 納税義務者のすべき課税標準に関する申告をしないこと、若しくは虚偽の申告をすること又は税金の徴収若しくは納付をしないことをせん動した者は、二千円以下の罰金又は科料に処する。
   附 則
(施行期日)
第百三十四条 本法は、一九五一年四月一日からこれを施行する。
(用語の意義)
第百三十五条 この法律において所有者とは、所有権が確認されるまで、物件を実際に所有することによって、その物件を使用し、又は占有する者をいう。但し、物件につき賃貸料を支払うときは、その支払をうける者を所有者とみなす。
(関係法令の廃止)
第百三十六条 本法施行のとき現に施行されている各市町村税賦課徴収条例は、本法施行の日からその効力を失う。
(旧法令との関係)
第百三十七条 旧市町村税賦課徴収条例によって課し、又は課すべきであった課税については、本法の規定にかかわらずなお従前の例による。
第百三十八条 本法施行前になした行為に対する罰則の適用又は準用については、なお従前の例による。

○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎財政部長(宮里勝君) 本法案の諮問理由とその概要を申上げる前に本法案の辿って来た経過について簡単に申上げて見たいと思います。
  御承知の様に一九四九年度迄は地方財政は村の売店利潤によって賄われておったのでありまするが五十年度からは住民の税負担によって賄われることになりまして税法の制定を必要とするに至ったのであります。これに関連し一九四九年の一月二十九日付で軍政官府覚書を以て三月十五日迄に市町村税法案を提出するようにという御指示を受けたのであります。一九五〇年一月十九日に成案を得て軍政官府に提出致しましたところ二月二十七日付で軍政官府覚書を以ちまして当時のセーファー軍政官が関係部門と調整の上に再提出せよという理由で一応返戻されたのであります。茲におきまして早速関係部門との研究討議を致しまして修正案を、一九五〇年五月六日付で軍政官府に再提出致したのであります。ところが同年五月十七日付で覚書を以ちまして、当時のミラー軍政官から市町村制第十八条第四項及び第百十条の項によって該法は認可も却下もしない、返戻するという通達に接したのであります。然しながら当部においては、各市町村当局からの熱心なる御要望もありますし、又市町村税法の設定を痛感致したので関係方面とも協議の上提出致しました法案を更に検討致しましてこれを二十一ケ条に圧縮して、最初出したものが余りに条文が長かったので或は返戻されたのぢゃないかという感じもしましたので二十一条に圧縮致しまして十月二日付で軍政官府に提出致したのであります。その後何らの指示にも接しない儘になっておったのでありますが今回の群島政府の発足とともにこれが早期実現を期さなければならないという考の下にロスゲブ民政官にただしましたところ群島議会に諮って適当に処置せよという回答に接したのであります。処が群島組織法におきまして果して群島政府に法令発布の権能があるかないかという点において疑義を生じましたので、これについて更に民政官府にただしましたところ最近になりまして議会の承認を得て法令として発布してよろしいという指令が正式に参りましたので、茲に諮問として提出致したのでありまするが、これについて一応成案の上は公布前に民政副長官の承認を受けるようにということを附記されておりますので一応諮問の形で提出致しまして、御賛同を得ましたならば、これを民政副長官に提出致しまして、その認可を得、更に正式に来る三月の議会に議案として提案致して公布したいという段取を致しております。
  次に制定の理由を申上げます。現在施行せられておりまする群島組織法並びに市町村制によって明かでありまするが、従来の地方自治の税制は完全に近い迄に実施されております。行政的には勿論財政的にも各特殊性を尊重せられておりまして、地方自治の伸長をはかるにはその活動の源泉となるべき財源を豊富にするとともに、これを地方自治団体自らの責任に於て確保させて自治運営に対する住民の関心と批判を求めるように行かなければならないのであります。よって地方財政の収入財源を確保致しまして地方の自治性を強化し地方自治の根拠を培うことが必要であります。これが一つの理由であります。もう一つは現今の各市町村の課税の手続を勘案致しまするに各市町村とも各税源を求めて思い思いの課税を致しておるのであります。従いまして負担の不均衡を随所に発見するのでありまして、同一範ちゅう内の住民でありながら、その税負担が違うということは、税本来の目的にも反するのでありまして、各その負担力に応ずる課税でなければならないのであります。然しこれは極めて急を要する事柄でありますので、ここに提案致しまして早急に致したい。こういう理由でここに提案した二つの理由であります。
  次に立案に当って特に意を用いた点について簡単に申上げます。この税の体系と致しましては中央地方の財源を完全に確保する。中央税は非物件税に重きを置き、地方税は物件税の方を根幹として中央地方ともに、この税源を判然と区分したいという風に意を用いております。次は税源を広い範囲に求めて負担分散の方式を採用致して居ります。更に税率をできるだけ最低限に致して税源の涵養という方面にも努めた次第であります。それから必要な税目につきましては増額或は制限外の課税を認めまして各市町村の財政運営の伸縮性を維持することに努めたのであります。
  それから次は物件税も究極においては、その物件から生ずる所得によってその担税力が生ずるので、ある種の物件税に対してはある程度の段階を設けることにしてあります。
  それから課税標準、課税率を統一しまして、地域的負担の公平化を図ったのであります。尚現今各市町村、地域間の移動が頻繁でありますので、賦課期日並に納付期日を画一に致しまして課税金の納付を円滑ならしめ二重課税と脱税の防止にも意を用いたのであります。
 それから文化施設に対しましては課税の対象を求めた個所もありまするが、これは常識と致しまして、かかる施設は助長育成するのが文化人を以て任ずる者の責任でなければならぬと思うのでありますが、御承知の様に過渡期に於ては市町村財政の実態からして、ある程度の課税も止むを得ない状態にありますので、これは市町村財政の回復と共にこういう方面は漸次改正して行きたいと考えております。
 以上大体の成案する迄のことにつきまして申上げましたが内容については御質問に御答えすることに致します。よろしく御審議を御願致します。

◎議長(知花高直君) 日程第十、第十一の諮問第三号、第四号はすべて税法でありますので一括して議題と致します。書記長をして諮問第三号、第四号を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」諮問第三号、第四号朗読)

諮問第三号
  現行税法改正案について
 現行税法改正案を別紙の通り制定し、軍の承認を得てよいですか、議会の意見をはからう。
 一九五一年二月十五日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
別紙 (注 各税法改正案は布令の現行法と昭合の上、用字用語及び句読点等を是正した。)

    「税 法 改 正 案」
  所 得 税 法 改 正 案
一 第三項税率を左の通り改正する。
 年純所得(額カ)              税  額
 一〇、〇〇〇円以下               純所得の(額のカ)        一〇%
 一〇、〇〇〇円超 一五、〇〇〇円以下  一、〇〇〇円に 一〇、〇〇〇円を超える額の一五〃を加える。
 一五、〇〇〇円〃 二〇、〇〇〇円〃   一、七五〇円に 一五、〇〇〇円を〃    二〇〃を〃
 二〇、〇〇〇円〃 三〇、〇〇〇円〃   二、七五〇円に 二〇、〇〇〇円を〃    二五〃を〃
 三〇、〇〇〇円〃 五〇、〇〇〇円〃   五、二五〇円に 三〇、〇〇〇円を〃    三〇〃を〃
 五〇、〇〇〇円〃 八〇、〇〇〇円〃   二、二五〇円に 五〇、〇〇〇円を〃    三五〃を〃
 八〇、〇〇〇円〃一二〇、〇〇〇円〃  二一、七五〇円に 八〇、〇〇〇円を〃    四〇〃を〃
一二〇、〇〇〇円〃二〇〇、〇〇〇円〃  三七、七五〇円に一二〇、〇〇〇円を〃    四五〃を〃
二〇〇、〇〇〇円〃           七三、七五〇円に二〇〇、〇〇〇円を〃    五〇〃を〃
 (現行法)
 一〇、〇〇〇円以下               純所得の(額のカ)        一〇%
 一〇、〇〇〇円超 二〇、〇〇〇円以下  一、〇〇〇円に 一〇、〇〇〇円を超える額(過したカ)の二〇〃を加える。
 二〇、〇〇〇円〃 三〇、〇〇〇円〃   三、〇〇〇円に 二〇、〇〇〇円を〃    三〇〃〃
 三〇、〇〇〇円〃 五〇、〇〇〇円〃   六、〇〇〇円に 三〇、〇〇〇円を〃    四〇〃〃
 五〇、〇〇〇円〃一〇〇、〇〇〇円〃  一四、〇〇〇円に 五〇、〇〇〇円を〃    四五〃〃
一〇〇、〇〇〇円〃           三六、五〇〇円に一〇〇、〇〇〇円を〃    五〇〃〃

二 第四項中「五、〇〇〇円」を「七、〇〇〇円」に改める。
三 第四項に次の項目を追加する。第二項に該当する個人が、不具者、老人、未亡人である場合に於ては年額三、五〇〇円をその総所得金額から控除する。但し老人は、年齢六五歳以上、未亡人は扶養すべき家族のある場合に限る。

 (現行法)
第四項 免除
 各納税者の基礎控除は年額五、〇〇〇円とし且つ被扶養者一人について年額三、五〇〇円を総所得から控除する。
 被扶養者とは主として納税者に扶養されている配偶者、養子、嫡出子、養い子及び精神的又は肉体的に無能力者であるために納税者が扶養する父母、祖父母、兄弟、姉妹、叔父、叔母、甥、姪をいう。
 同一人を二人以上の納税者が扶養者として扶養控除申請を為したり或いは或納税者が他の納税者を扶養家族として申告することはできない。

四 第九項A(ママ)号中
 「見積税額の1/4を納入すること」を「見積税額の1/5を納入すること」に、「各四半期分の見積税額は各半期の翌月の末日までに次々に納付すること」を「残余の税額はその1/4宛を六月、九月、十二月、二月の各月末迄に納付すること」に改める。
五 第九項B(ママ)号を左の通り改める。
 「課税年度の中途に於いて納税義務者となった者はその者が納税義務者となった日から一ケ月以内に前号の申告をなし、その見積税額を当該年度の残余納期に按分し、逐次、納付する。年度の中途に於いて追加更正決定を受けた場合に於ける増減税額についても前号に準じて納付するものとする。」

 (現行法)
第九項 源泉課税を受けない所得を有する者
  (A)(ママ) 控除を行わない所得を有する者は自己算定に依ってその所得に対する税を支払うものとする。かかる納税者は前以て一年間の所得を見積り各課税年度の四月三十日までに予定所得額申告書を提出すること。
   一九五〇-一九五一課税年度分の予定所得額申告書は一九五〇年五月三十一日までに提出すること。それと同時に各納税者はその控除を行わない予定所得に対する見積税額の1/4を納入すること。各四半期分の見積税額は各半期の翌月の末日までに次々に納付すること。
  (B)(ママ) 課税年度の四月二日以降納税者となった者は第二、四半期に申告書を提出し七月二日以降納税者になった者は第三、四半期に申告書を提出し、且つどの場合にも前項同様の方法で所得税の支払をなすこと。

六 第十項を左の通り改正する。
 申告書提出後に於ける見積額の増減
 申告書提出後見積税額に増減を生じた場合は次の納期開始前に訂正申告書を提出しその見積税額の増減額を残余納期に按分し不足額を支払うか又は超過支払額を差引き納付すること。

 (現行法)
第十項 申告書提出後に於ける見積額の増減(訂正申告カ)
 申告書提出後見積税額に増減を生じた場合は納税者は次の四半期に於て訂正申告書を提出し不足額を支払うか又は超過支払額を次期年度の支払にくりこして貰うこと。

七 十二、農家の条項を削除し、次の条項を新に設定する。
 十二、更正決定
  申告書が不当であると認めた場合又は申告書を提出しなかった場合は政府が所得額並に税額を更正又は決定することが出来る。適当と認めた場合は暫定的に見積税額を更正又は決定をして納税者に該税額を賦課する事ができる。

 (現行法)
第十二項 農家
 主として課税年度末に所得の生ずる農家は前納の方法をとらないで翌課税年度に税の総額を支払ってよろしい。申告書が不当であると認めた場合又は申告書未提出の場合は主税歳入課が税額を決定する。適当と認めた場合は暫定的に見積総額を更正又は決定をして納税者に該税額の賦課を命ずることができる。

八 十五、行政上の刑罰に次の項目を新に設定する。
 本法に定められた予定又は確定申告をしなかった場合は所得税額の外にその所得税額の百分の十に相当する税額を加算徴収する。

 (現行法)
第十五項 行政上の刑罰
 イ(ママ) 右の措置に依り予定税額又は確定税額の納付を要する者にして本規定に定むる期日に其の納付を怠り又は拒絶する場合は、所定の税金の外に延滞期間三十日毎に又は三十日未満毎に滞納額の五パーセントの過怠金を徴する。但し総額が五〇パーセントを超えてはいけない。
  民の裁判所の判決又はその判決の結果支払命令を受けたからとて決して集成刑法及び同手続に規定してある刑罰を免れるものではない。
 ロ(ママ) 本布令に制定せる税金の天引控除を為す米合衆国の代行機関は右に定むる行政上の刑罰又は一九四九年六月二十八日付布令第一号「集成刑法及び同手続」の第二部第九章に規定せる刑事上の刑罰には処せられない。

  法人税法改正案
第二節を次のように改める。
第二節 法人には毎事業年度所得に対し三〇パーセントの法人税を課する。

 (現行法)
第二節 法人税は左の通りとする。
 (イ) 法人には毎課税年度其の純所得に対し二〇パーセントの普通税を賦課する。
 (ロ) 法人が清算をなす場合には其の清算超過額に対し二五パーセントの税を賦課する。本章に於て清算超過額とは清算の際に於ける資産の時価がその帳簿上の価額を超過した額を謂う。

第三節を次のように改める。
第三節 納税義務がある法人は各事業年度終了の日から二ケ月以内にその確定した決算に基き当該事業年度の所得金額並に当該所得に対する法人税額を記載した申告書を所轄地方税務署に提出しなければならない。但し災害その他やむを得ない事由により決算が確定しない為その提出期限までに申告書を提出出来ない場合においては所轄地方税務署の承認を受け、その決算確定の日から二十日以内に提出することが出来る。
第三節の次に左の条文を加える。
第三節の二 前節により法人が申告した所得金額又は法人税額が税務署が調査したところと異るときはその調査により所得金額又は法人税額を更正することが出来る。
第三節の三 法人が納税期間内に法人税を納付しなかった場合は滞納期間三十日及びその端数毎にその納付すべき税額の五パーセントの延滞金を課する。但し総額において税金の五〇パーセントを超えてはならない。

 (現行法)
第三節 法人は個人の場合と同じく予定申告書及確定申告書(ママ)を作成し提出すること。但し当該群島(民カ)政府の税務課は間違なく提出するという保証のある場合は提出期日の延期を認めてやることができる。法人の清算の際は資産分配の前に税務課の所定の様式を以て資産額を所轄地方税務署へ報告する。

  酒税法改正案
第二節B(ママ)項の免許手数料金壱万円を参千円に改める。

 (現行法)
第二節B(ママ)項 申請者は免許状交付の際にその経営する工場、酒造場又は蒸溜所一カ所毎に免許手数料金壱万円也を納付する。免許は定められた申請方法をとり前記の通り金壱万円の免許手数料を納めて毎年更新される。

第四節A(ママ)項の税率を次の通り改める。
 一 焼酎(蒸溜酒)
  アルコール含有量三〇度迄 一石当り五、〇〇〇円
  アルコール含有量三〇度を超え一度を増す毎に二〇〇円を加算する。
 二 其の他(焼酎以外)
  アルコール含有量二〇度迄 一石当り五、〇〇〇円
  アルコール含有量二〇度を超え一度を増す毎に二五〇円を加算する。

 (現行法)
第四節A(ママ)項 各酒造業者に(酒精分含有率に基き他の率の酒消費税が課せられ徴収せられ納付させられる酒造業者に)その生産した酒の酒精分含有量の多寡に依り左の率の酒造税を課する。
  (アルコール含有量)
      (税額 一石に付)
  五〇度以上の場合
        六、〇〇〇円
  三五度以上五〇度未満の場合
        五、〇〇〇円
  三五度未満の場合
        四、〇〇〇円
第四節B(ママ)項 各酒造業者は前月分の酒精分含有量の等級別の酒生産高報告書を毎月十日までに所轄地方税務署に提出して前記の率の税金を納めるものとする。

第四節に左の項を加える。
 納税期限内に酒税を納付しなかった場合は滞納期間三十日及びその端数毎にその納付すべき税額の一〇パーセントの延滞金を課する。但し延滞金は総税額の五〇パーセントを超えてはならない。
第五節に次の項を挿入する。
 政府の承認を受け酒類製造の原料に供するため製造した酒類はその酒税を免除する事が出来る。

 (現行法)
第五節 所管内で島外輸出用の酒が生産される民政府輸出証明書を受領したら、本布令に依り曩に徴収した税の一部又は全部を払戻して宜しい。

第七節のB(ママ)項を左の通り改める。
 知事の免許した販売業者を経ずに又は正式に定めた価格に依らず酒の販売を為すことは違法である。

 (現行法)
第七節のB(ママ)項 正当なる経路を経ず又正式に定めた価格に依らず酒の販売を為すことは違法である。

第八節の条文を廃止して次の規定と取替える。
 酒造業者は生産高に対する税額に相当する担保を政府に提供しなければならない。

 (現行法)
第八節 前記第二項より第五項迄に規定してある諸条件を厳守することを条件として、更に各民政府知事宛に通知が与えられる迄現行の酒の生産高制限は之を撤廃する。

第九節の条文を廃止する。

 (現行法)
第九節 本布令に於て「酒」とは「蒸溜した酒精」のことを謂い、且つ何等限定をせず「酒、模造酒、焼酎、泡盛及び味醂」等を包含する。

  娯楽税法改正案
第一章の第一項を次の通り改正する。
 娯楽場等に入場するために支払う金額又は娯楽のために支払う金額に対して次の税率によって娯楽税を課する。
 一 興業(行カ)者の営む映画の入場料
        五〇パーセント
 二 興業者の営む演劇、演芸の入場料
        三〇パーセント
 三 其の他入場料に対し
        二〇パーセント
 四 娯楽のために支払う競輪券、ゲーム券等の金額に対し
        一〇パーセント

 (現行法)
第一章第一項 切符を購入したり寄附をしたりして娯楽場に入場する場合は、如何なる場合でも支払った金額の五〇パーセントの税金が賦課され徴収される。入場料をとる娯楽場へ無料又は割引で入場する人(その使用人、公用の官公吏及び六歳未満の子供を除く)の場合にも他の一般の人が支払った金額に基いて税金が徴収される。

第三章の規定を廃止する。

 (現行法)
第三章 左記の娯楽事業(施設カ)が利益を目的として行われた場合、無条件に本布令の適用を受ける。
  活 動 写 真
  舞台見世物
  闘     牛
  闘     鶏
  ゲ ー ム 室
  射  撃  場
  ダンスホール
  相     撲
  拳     闘
  競     走
  展覧会、博覧会
  野球、籠球、蹴球、庭球等の試合

第六章の規定を廃止し次の規定と取替える。
 納税期限内に娯楽税を納付しなかった場合は滞納期間三十日及びその端数毎にその納付すべき税額の一〇パーセントの延滞金を課する。但し延滞金は総税額の五〇パーセントを超えてはならない。

 (現行法)
第六章 地方税務署は今後時々発せられるかも知れない指示に基いて、本税を毎月十四日後直に当該民政府財政部に提出する。

第七章を廃止して次の規定と取替える。
一 財政部長は娯楽事業経営者に対して入場券の発行其の他取締上必要なる事項を命ずる事ができる。
二 申告書の提出なきとき又は政府に於て申告を不相当と認めたるときは政府はその課税標準額を決定する事ができる。

 (現行法)
第七章 廃止

  サービス税法改正案
一 サービス業種表の改正
 第二章のサービス業種表を左の通り改正する。
 イ 第一種
  1 料理店業
 ロ 第二種
  1美容業 2商業美術 3易占業 4マッサージ業 5写真業 6ラジオ及び蓄音機修理業 7貸自動車業 8時計修理業 9ドライクリーニング 10旅人宿業(財政部長が指定するもの) 11洗濯業12表具屋業 13飲食店業(一人一回三〇円以下を除く)
 ハ 第三種
  1製本業 2印刷業 3代書業 4印判業 5飜訳業 6車輛掃除業 7自転車修理業 8バスサービス業 9海運業 10貨物運送業 11機械修理業 12動力及電気業 13靴修理業 14裁縫業 15旅人宿業(第二種で指定されたものを除く)
 一 財政部長はサービスの実態に依り其の該当すべき種別を指定することが出来る。
 二 財政部長はサービス業者に対し受取書の発行其の他取締上必要なる事項を命ずることが出来る。
 三 申告書の提出なきとき又は政府に於いて申告を不相当と認めたるときは政府は其の課税標準額を決定することが出来る。

 (現行法)
  第二章 課税を受けるサービス
 課税すべきサービスは左の分類表の通りである。
 サービス業種表
 イ、第一種
  1、理髪業 2、美容業 3、製本業 4、商業美術者(肖像画家及び看板屋を含む) 5、易占業 6、印刷業 7、マッサージ(アンマ業) 8、写真業 9、ラジオ及び蓄音器(機カ)修理業 10、料理屋営業(芸者屋、キャバレー、ナイト・クラブ等) 11、代書業 12、印判業 13、貸自動車業 14、飜訳業 15、車輛掃除業 16、時計修理業
 ロ、第二種
  1、自転車修理業 2、バス・サービス 3、ドライ・クリーニング 4、海運業(旅客) 5、馬具製作業 6、貨物運送業(海陸) 7、蹄鉄業 8、旅人宿業 9、洗濯業 10、機械修理業 11、表具屋 12、動力及び電気業 13、飲食店業(簡易食堂) 14、裁縫業 15、靴修理業

二 第三章の税率を次の通り改正する。
 イ 第一種 四〇パーセント
 ロ 第二種 二〇パーセント
 ハ 第三種 一〇パーセント

 (現行法)
  第三章 税率
 各種の税率は左の通りである。
  イ、第一種 二〇パーセント
  ロ、第二種 一〇パーセント

三 法定納期日の変更
 第四章の「翌月二十五日」を「翌月十日」に改正する。

 (現行法)
  第四章 納税
 本布令に定める税を課すべきサービスに従事する者は、総て毎日の売上高総収入高が一目してわかるように適当な帳簿を備えてこれに記入しておき、これに基づき毎月末日本営業一カ月分の総収入高を業種別に示した報告書を作成しておくべきものとする。
 納税義務のある者は毎月分を翌月二十五日迄に右の報告書を所轄地方税務署に提出し同時に税金を納付すべきものとする。

四 行政上の延滞金の改正
 第五章の五パーセントとあるを十パーセントに、二十五パーセントを五十パーセントに改正し、第二項の利子を廃止する。

 (現行法)
 第五章 行政上の延滞金
 規定の報告書の提出を要する者にして期日までにこれを提出しなかった者は、已むを得ざる理由によるもので故意又は怠慢によるものでないことを立証した場合を除き、遅延日数三十日までは五パーセントの延滞金、三十日を超えるときは更に遅延日数三十日又は三十日未満の日数毎に五パーセントの延滞金を課する。
 但し延滞金は総税額の二十五パーセントを超えてはならない。
 最初の納税期日から税金を納入した当日までの全未納額に対し、年六パーセントの利子を徴する。併し右の延滞金を納めたからとて刑法及び同手続に定めてある起訴を免かれるということにはならない。

 織物消費税及び建築税法を廃止する。

諮問第四号
  特別商品税法案について
特別商品税法案を別紙の通り制定し、軍の承認を得てよいですか、議会の意見をはからう。
 一九五一年二月十五日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
別紙 (注 同法案中には用字用語及び句読点等の混用があるが、誤記又は誤植と思料される箇所以外は原文のままとした。)
  特別商品税法案
第一条 左に掲げる物品(以下特別商品と称す)には此の法令に依って特別商品税を課す。
 第一種
 甲 類
  一 貴石若くは半貴石又は之を用いた製品
  二 貴金属及貴金属製品
  三 真珠又は真珠を用いた製品
  四 べつ甲製品
  五 さんご、琥珀、象牙及七宝製品
  六 写真機、同部分品及写真用品、但し医療用を除く
  七 扇風機、同部分品
  八 煙草セット及煙草ケース
  九 軸物、書画及骨董品
 乙 類
  一 蓄音機、同部分品及レコード
  二 楽器同部分品及附属品
  三 囲碁、将棋、麻雀用具
  四 ライター及同附属品
  五 装身具類、但し甲類該当のものを除く
 丙 類
  一 化粧品及化粧用具、但し石けんを除く
  二 金庫及手提金庫を含む
  三 釣用具類、但し漁業用を除く
  四 鞄及トランク
  五 時計同部分品附属品
  六 ラジオ聴取機同部分品及附属品
  七 漆器
  八 皮製品
  九 清涼飲料
 丁 類
  一 家具類、但し学校用机腰掛を除く
  二 被服及帽子、但し綿製品を除く
  三 万年筆、シャープペンシル及同附属品
  四 履物同附属品、但し一個百円以上のもの
  五 洋傘
  六 眼鏡
 第二種
 甲 類
  一 酒類、但し列島内で製造されて酒造税を課された酒類を除く
 乙 類
  一 煙草
第二条 特別商品税は左の区分に依って賦課される。
 第一種
  甲類 商品の販売価格の四〇パーセント
  乙類  〃 三〇パーセント
  丙類  〃 二〇パーセント
  丁類  〃 一〇パーセント
 第二種
 甲 類
  一 清酒、容器毎に一合又は
   その端数について 拾五円
  二 合成清酒〃   拾 円
  三 麦酒、日本製〃 五 円
       其の他〃 三 円
  四 其の他のもの〃 拾五円
 乙 類
  一 巻煙草十本に付いて一円
  二 刻煙草十匁に付いて一円
第三条 前条第一種の商品の価格は、小売業者の小売販売価格とする。
第四条 特別商品を製造し又は販売する者は此の法令に依って特別商品税を納めなければならない。
第五条 特別商品を製造し販売する者が自己消費に供する特別商品についても特別商品税は之を免除しない。
第六条 特別商品税は米国合衆国代行機関及群島政府支出に係る物品購入に対しては課税しない。
第七条 特別商品税の納税義務ある者は毎月其の販売した品目、数量、価格及納付すべき税額を定めた様式に依って記載した申告書を翌月十日迄に所轄地方税務署へ提出し、その税金を納めなければならない。
第八条 財政部長は特別商品を販売する業者に対し受取書の発行其の他取締上必要なる事項を命ずる事が出来る。
第九条 財政部長は特別商品の該当すべき種別を指定する事が出来る。
第十条 申告書の提出なきとき又は政府に於いて申告を不相当と認めたるときは政府は其の課税標準額を決定する事が出来る。
第十一条 納税期限内に特別商品税を納付しなかった場合は滞納期間三十日及びその端数毎にその納付すべき税額の十パーセントの延滞金を課する。但し延滞金は総税額の五十パーセントを超えてはならない。
第十二条 群島知事はこの法律を補則するために必要規定を設けることが出来る。
第十三条 本法に依り特別商品税の申告書を提出し納税すべき者が申告を為さず又は虚偽の申告を為し若くは納税を拒む場合に於ては五万円以下の罰金又は一年以下の懲役若はその両刑に処しそのほ脱税金は之を追徴する。
第十四条 法人の代表者又は法人若くは代理人(人の代理人カ)、使用人其の他の従業員が其の法人又は人の業務又は財産に関して本法に定められた条項に違反した時は行為者を罰する外其の法人又は人に対しても本法の罰金刑は免かれない。
   附 則
第十五条 本法は一九五一年 月日から之を施行する。

○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎財政部長(宮里勝君) 現行税法の改正案について御説明申上げます。
  現行税法は昨年四月以来次々に改正施行せられたのでありますがこれは逐一軍指令によるもので種々と改正したい点もありましたが今迄改正の機会を得られなかったものであります。来る新年度から税の適正な負担、厳格な徴税を目標と致しまして現行税法を改正致したのであります。
  所得税については超過累進税率の調整と致しまして負担力に応ずるようにしたのであります。その結果基礎控除の引上げと相俟って小所得者に約二十五パーセント程度の引下げの形になるのであります。然し大所得者につきましては現在と負担においては大差はない形になっています。税率は多少引下りますけれども、これは徴税機構の強化と相伴いまして、全般的に税収入においては増加するものと期待しております。
  次にサービス税でありますが、従来色々と論議されましたが今回これの種目を入替えましてその実質によって妥当な課税をして行きたいと考えまして改正を致すことにしたのであります。内容について申上げますと、理髪業或は簡易食堂、蹄鉄業或は馬具製作業こういうものは廃止したいと思います。
  娯楽税については演芸、或は学校で催している展覧会、競技会などの入場料に対しては税率を引下げて新たにゲーム券、ああいうものに対して新たに税率を設定致すことに致したのであります。
  織物消費税は現在本島には至って生産が少いのでありまして年額僅かに二万円程度にしか見込まれない状態にありますので、これは廃止致したい、こういう風に考えております。
  次に延滞金でありますが、これは現在税金を滞納した場合に延滞金を徴収する税目と徴しない税目がありますが、これを一様に税の徴収強化を図るために直接税については三十日毎に滞納に対して五パーセント、間接税に対しては十パーセントの延滞金を徴する様にしたいと思うのであります。
  それから建築税でありますが地方税の制定に伴いまして不動産取得税という種目を設けましたので地方税に移譲致して、中央税としては廃止致したいと思うのであります。
  以上大体改正の要点を申上げましたが、これは軍の覚書に依る指示によりまして税収の増加を図る様に、徴収の強化を図る様にという御指示がありますので、その御指示を尊重致しまして改正の目標と致して立案致したのであります。以上簡単に申上げましたが御審議を御願い致します。
  それから特別商品税でありますが現在娯楽税とか或はサービス税とか、こういう奢侈方面に課税されております。ところが物品につきましては、そういう方面の奢侈的性質の物品に対しては課税致しておりませんので、これとの均衡を図り又税の徴収を増加する必要も生じましたので、ここに特別商品税として新税を設定致したいと思いまして、ここに提案致したのであります。これも併せて御審議を御願い致します。
◎普天間俊夫君 議事の進行について意見を申述べます。二、三、四の諮問案は税に関する問題で、極く重要な問題で慎重を期さなければなりませんがいきなりぼう大なものを示されておりますので、直ぐ審議討論に入ることはどうかと思いますので、尚明後日の懇談会の懇談事項の打合せも控えておりますので、今日は今の御説明だけに止めまして、持ち帰って十七日の合同協議会の場合に質疑応答討論に移ったらどんなものかと思っております。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
◎祖根宗春君 議案の提出の仕方についてちょっと御伺いしたい。この二、三、四の諮問は非常に重要な問題でありまして、特に群島組織法によって議会が議決権を与えられて、議会の議決権の中で最も重大なるものは予算と税制だらうと思う。然るに予算の議決は、議決機関としての性能を与えられている。然しその根本をなす収入面の税法、そういったものは委せられていない。結局諮問機関として審議をして行く。軍の承認を求めてやって行く。それが軍の方針であれば止むを得ないのであるが、我々は折角与えられた権能を、以前の公選によらない諮詢委員会と同じ様な行き方でこの重要な問題を議決する、そういったやり方についてはもう一応知事としては軍と交渉されまして、どこまでも軍政下にある以上は我々としては軍の指導政策方針には順応しなければいけませんが、その政策に反しない範囲内においてこういう様な税制に対する改革、決定権も議会に与えてもらいたい。そして軍として協力の意味で群島政府の方で事前に軍の了解を得てどこ迄も議決機関としての議事を進めて行く様に希望したいのであります。
○知事(平良辰雄君) 只今の御意見に御答えしたいと思います。
 先程財政部長からお話があった通りこの町村税法は自分達で立法しろということであります。ただ然しそういった場合に向うの承認を得なければいかん。こういうものはどうしても向うに最後の拒否権がある訳で、向うの承認を受けてもらいたい。向うの承認を受ける前に群島政府だけでどんどんやっても差支えないと思いますけれどもこういう重要な問題であるので諮問をしておりますので、その点は間違ない様にしていただきたい。これが承認を得たならば軍政府に行って更に変更されるかも分りませんが決定次第条例を出すつもりであります。
 中央税の方はまだそこ迄はっきりしていないのでありますが、これも大方そうなるのぢゃないかと思います。ただ中央税の場合は全琉政府ができるというので、暫くそれを見合せている様な状況であって凡そそれもその通りなるだらうと考えております。御諒承願います。
◎仲里誠吉君 知事の只今の御答弁は重要なるが故に諮問の形をとっているという趣旨のことをいわれたが、これは間違であると思う。飽く迄も議会は議決機関であり、最近の新聞紙上にも軍は群島議会の議決権を確認している。それに対する但書として軍は拒否権或は修正権を持っていって(ママ)いる。これは一応軍の承認を得て再び議会にかけるということをいうておられるのであるが、それは二重の手続をとるということを意味している。我々が要求するところは飽く迄も議会が人民の議決機関である。現在の民政府から認められている。つまり人民に或る程度の立法権を自ら軍当局は与えている訳であるからして我々としてはその権威を飽くまでも保持しなければならない。それから事務上の手続の点からいっても群島議会で議決をする。そして群島政府はそれを執行する。その場合軍の方で或はこれを修正するかも知れない。拒否するかも知れないが、若し仮に拒否された場合は再び群島議会にかければいいのである。それから群島議会としての我々の行動し得る範囲はどの程度のものであるかということは良識をもっている以上は判断がつくと思う。現在の軍占頷下にあるという特殊事情を無視して遙かに飛び越えた議決をする、言論をなすということは到底考えられない。この意味からいっても本問題は重要性を多分に帯びている以上は議案という形式をとっていただきたいと思う。強く希望します。議長に対する質問であるが本日の議事の捌き方は、議長の発言許可の与え方は不公平であると思う。本議員が何回手を挙げても許可しない。討論の機会を十分与えていただきたい。その点強く希望します。
○知事(平良辰雄君) 只今の御意見によるとこういうことはやらんで直ぐ議案として出せということでありますがこれは知事が直ぐ軍政府に折衝して大体の承認を得ても結構でありますが然しながらこういう重要な問題である以上は知事一個の考えで直ちに軍の諒解を得るというやり方もどうかと思ってこれを諮問案として出した訳であって、これがいけないというのであれば引込めてもいいが、議案そのものが早く出来てそして執行が早く出来るためには軍政府の承認も受けなければならんし、議会の諒解も得なければいかん。軍(群カ)政府は義務があるのであって何も議会の権限を軽んじたという意味ではないのでありまして、寧ろ重んじたのであります。見解が非常に変っているのでその点誤解のない様にお願い致します。
○議長(知花高直君) 議席番号を早く挙げた人に発言を許したのである。
◎仲里誠吉君 できるだけ平等に発言の機会を与えてもらいたい。
 知事の答弁はこれを要するに本議員が先程申上げたことはつまり議会で審議した内容が軍筋に対してどの様な心理的効果を与えるかということからも多分に出発していると思うのであります。議会の権威を尊重しているという知事の御答弁で群島当局の意思がはっきりしましてその点は敬服に堪えない次第でありますが、然しながらこれはあくまでも心理的効果を与えるという意味は考えないで矢張り議案、そして議決という通常の形式をとった方がいいのぢゃないかと思うのですが。
○財政部長(宮里勝君) 只今諮問について御質疑がありましたが市町村税法につきましては軍の指令が参っておりますのでそれを一応朗読致しまして御参考に供したいのであります。
 「沖縄群島政府は沖縄群島議会の協賛を経て地方税法案を発布し施行することができる。近い将来中央政府樹立の可能性への実情にあるから法制化する前に税法案を民政副長官に提出して検討してもらうこと」
 一応議会で可決していただいて、そして軍に出す。向うで修正された、更に向うの意見も聴き最後に決定したい。こういう心組から諮問致したのであります。もう一つ現行税法の改正でありますが、現在軍の布令として出ております。その布令の改正でありますので、これも一応諮問の形と致しまして軍に打合せする前にこういう風に諮問した訳であります。
 特別商品税法でありますが、これは原則として新税については副長官の許可を受けてもらいたい。副長官はこれが復興面に使用される場合に限って許可するという指令が参っておりますので、これもそういう方針に従って諮問した訳であります。
◎議長(知花高直君) 先刻六番議員(普天間俊夫君)から諮問第二、三、四号は全員合同研究会で研究の上次の本会議で更に審議することの動議がありましたが、その通り取計うことに御異議ありませんか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。

◎議長(知花高直君) 追加日程の議案第十三号食糧配給改善に関する件を議題と致します。書記長をして議案を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第十三号朗読)

議案第十三号
  食糧配給改善に関する件
食糧配給改善に関する件について別紙陳情書を提出致したいので議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年二月十五日提出
     六番議員 普天間俊夫
別紙は委員会付託

○議長(知花高直君) 提案者の説明を求めます。
◎普天間俊夫君 提案理由を申上げます。
 先に研究会でお話合致しましたので極く簡単に要項だけ申上げます。
 一 この件は離農防止と関係を有するものである。
 二 生産意欲を向上せしめ、ひいて、復興面に貢献するところ大である。
 三 食糧会社の世論調査によると
  A 商売人を非農家とみなすな
  B 農家、非農家の別なく一律配給せよ
  C 食油、メリケン粉を生産率五十パーセント以上の生産者にも配給してもらいたい。
 以上の諸点からこれを提案した訳であります。この内容については経済委員会で研究を進めておりますので別紙提案とありましたが、その案は未だできておりませんが皆さんのこれに対する御意見、又経済委員会での研究によりまして大体の方向、どういったことを改善するかということが分れば文案は経済委員会に委託しようと思っております。
◎議長(知花高直君) 議案第十三号を未了のままに致しておきます。本日はこれで終了致しまするが、尚明後日午後一時から群島政府会議室で合同研究会を開催致します。十九日(月曜日)午前十時から本会議を開くことに致します。本日はこれで散会致します。
  (午後三時二十五分散会)

出席者は左の通り
     議 長 知花 高直君
     副議長 稲嶺 盛昌君
議 員
 与儀 清秀君  仲村 栄春君
 石原 昌淳君  普天間俊夫君
 宮城 久栄君  平良 幸市君
 玉城 泰一君  松本 恭典君
 具志頭得助君  長浜 宗安君
 山川 宗道君  祖根 宗春君
 山城 興起君  新里 銀三君
 新城 徳助君  野原 昌彦君
 崎山 起松君  仲里 誠吉君
群島知事     平良 辰雄君
総務部長     幸地 新蔵君
財政部長     宮里  勝君
文教部長     屋良 朝苗君
厚生部長     宮城 普吉君
工務部長     渡嘉敷真睦君
知事室事務局長  宮城 寛雄君
弘報室長     崎間 敏勝君
警察本部長    仲村 兼信君
総務部副部長   稲嶺 成珍君
工務部副部長   西銘 順治君
厚生部副部長   大森 泰夫君
警察本部次長   西平 宗清君
財政部予算課長  糸数 青重君
総務部人事課長  比嘉 幸安君
企業免許事務所長 幸喜 克彰君
法務部土地課長  岸本 利男君
文教部社会教育課長
         山川 宗英君
工務部海運課長  大山 朝常君
総務部労務課長  比嘉 準栄君
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