戦後初期会議録

組織名
八重山民政府参事会
開催日
1949年07月18日 
(昭和24年)
会議名
1949年八重山民政府参事会[5]
議事録
 八重山民政府参事会速記録
一九四九年九月十二日整理
一 招集日時 一九四九年七月十八日 午前九時
二 招集会場
  八重山民政府会議室
三 提出諮問案
  △一九四九年度八重山民政府歳入歳出追加更正予算案研究の件
  △一九四九年度八重山民政府特別会計事業部歳入歳出追加更正予算案研究の件(自四月 至六月)
  △一九四九年度八重山民政府特別会計事業部歳入歳出予算案研究の件(自七月 至三月)
  △事業部民移管に関する答申書研究の件
四 出席会員   柴田 米三
         大濱 用立
         與那國 修
         喜舎場永珣
         山城 興常
五 欠席会員   大田 守松
六 列席者  各部長

  開 会 午前九時三十五分
○知事 お忙しい処多数出席して下さいまして有難うございます。本日招集致しましたのは二十日の臨時議会に提案する諮問案の研究をして頂き度いと思いまして招集致しました。それでは早速開会致します。
○会計課長 去る三月議会で承認を得た予算案を軍政府へ申請致しました総予算額一三、〇八三、七五九円の中軍政府は二、二二〇、〇〇〇円を削減して一〇、八六三、七五九円を認可されました。又軍政府は予備費へ申請予算額よりも、一、六四三、〇八五円増加された関係上実質的には二、二二〇、〇〇〇円と一、六四三、〇八五円の合計三、八六三、〇八五円の政府各部の運営費が削減された事になります。
 一年間の政府の運営費にその様な大きな支障を来たしては到底円滑に仕事をして行く事が出来ませんので、軍政府へ其実状を申上げました処追加更正の必要があれば新に申請しなさいと云ふ指示でありましたので、財源は新しく見出しまして追加更正をして臨時議会に提出しようと思うのであります。予算書の説明を致します。
  (歳入歳出の予算に就て説明をなす。)
○山城会員 お尋ね致します。今の新しい財源は補給部よりも財務部よりも三月三十一日迄に一般会計へ入るべきものが入らないで、新年度に入ったと云ふ額でありますがもっと入る見込がありますか。
○補給部長 入る見込はあります。
○山城会員 今度の追加更正予算は軍政府で削減された額だけ予算をもとにもどす事でありますね。
○総務部長 そうであります。
○柴田会員 増俸を組んでおられる様でありますが、増俸に対する当局の見解はどうですか。どういう様にしてやられますか。
○総務部長 部長会議で決めました。一割は全部増俸する事にし後の三分五厘は勤怠状況を考慮して部長で決定してもらふ様にしてあります。
○柴田会員 どうですか民政府はサラリーに対する内輪のベースを作ったらどんなものですか。内規みた様なものを。何年働いても同じでは勤める気にならんと思う。
○総務部長 作り度いと思います。一ヶ年の定期増俸を見越して予算をつくり度いと考えています。
○山城会員 予備費の使途に就ては軍政府の認可を受けなければいけない様でありますが、どう云ふ面にお使いなさる積りですか。
○総務部長 日直、宿直の賄料を現在一日一円でありますから五円にし度いと思います。又刑務所の移転建築費に使用して残りは次年度に廻し度いと思います。
○知事 軍政府は予備費の使途に就てこう云ふています。予備費の一%は認可を得ないで使って良い。一%を越ゆる額を必ず使はなければいけないなら五%づつ軍政府の認可を経て使えとの事であります。
○山城会員 人件費は総予算額に対して何割位になりますか。
○会計課長 総予算の四割八分が人件費になります。
○山城会員 過年度収入の内容に就て御説明下さい。
○会計課長 補給部から予算外の金が入ったのであります。過年度収入は補給部の受入金三、五〇〇、〇〇〇円と税収その他の収入六八二、六九七円で合計四、一八二、六九七円であります。
○知事 休憩致します。
○知事 開会致します。
○会計課長 歳出の方に移ります。(歳出の内容を説明す。)歳出に於ては先にも申上げました様に軍政府に於て削られた分だけを各部毎に計上してあります。但し職員費の一割三分五厘の増俸額と賞与の一〇割、総務部費の沖縄連絡所費三、七二二円が多くなっているだけであります。
○山城会員 沖縄連絡所費の三、七二二円では何にも出来ないではないか。
○総務部長 費目存置の積りで計上してあります。組織は所長一人と嘱託一人にし度いと考えています。費用の件に就ては市町村長と交渉して増していこうと考えています。
○山城会員 各種産業団体も包含されたらどんなものですか。
○総務部長 出来ればそうしたいと思います。
○会計課長 マラリア撲滅費が増額しているのは一割三分五厘の増俸による撲滅員の増俸額、一〇割の賞与金が含まれています。
○柴田会員 衛生部より時々薬品の配給があるが、財務部はその会計を十分に知っていますか。
○会計課長 知っています。
○柴田会員 今年度は旱魃のために主食が大部分減収している様でありますが、最近主食たる米がどんどん郡外に搬出されていると云ふ事を聞いている。警察当局はこれの取締りを如何にしておられますか。
○警察部長 民政府令の主要食糧取締規則によって取締りを厳重にしています。
○山城会員 警察当局は取締りを厳重にしておられると云ふておられますが、大がかりな米の搬出をしていると聞いています。もっと力を入れて取締りをして欲しいと思う。
○大濱会員 重要物資の指定とはどう云ふ関係にありますか。
○産業部長 重要物資として申請してありますが認可にはまだなっていません。
○大濱会員 それでは軍政府指令第七号(第三七号カ)の重要物資の指定と云ふ指令が出たからには、現在の処搬出が出来るんではないか。
○産業部長 そこの処がまだはっきりとしませんので駐在軍政官に伺って見度いと思います。
○山城会員 此の問題は大きな問題と思う。旱魃のため大減収となり又昨今の天気の状態では二期作も植付がどうなるかわからない。此の先の事を考えて取締りを厳重にして欲しいと思う。
○柴田会員 高等学校の予算は学校からの申請通りでありますか。そう私が申上げますのは高校の女生徒の家事実習を露天でやっている様であり、教育上あまり良くないと思いますがどうですか。文教部長さん、この方面の建築費を増して下さったらと思う者です。
○文教部長 家事実習は露天では出来ないだろうと思います。教室が不足で今の処止むを得ないと思います。
○柴田会員 家事教室を建設する計画はありませんか。
○文教部長 今年度は予算の関係で出来そうにありません。
○柴田会員 家事教育の説明は教室でも出来るでせうが、説明だけでは仏をつくって魂を込めないのと同じであります。必ず実習しなければ身についた家事教授は出来ないと思います。
○文教部長 これは将来どうにかしなければいけないと思う。
○知事 こう云ふ様なものは予備費からでも出して作り度いと思います。
○山城会員 高等学校と附中の生徒の便所の件でありますが、よく当局は見てもらいまして最小限度に使用し得る便所を作って欲しいと思う。
 現在は僅かな便所で一〇分-一五分の休憩時間に用たしをしなければいけないのでありますから、男の生徒ならともかくとして、女生徒は非常に困っている様であります。
○柴田会員 高等学校に後二棟位の便所は作って呉れるべきであります。此の問題は現実に直面した問題でありますから、すぐに実現して欲しいと思う。
○土木建築課長 予備費の一%は使用しても差支へがないからこれで何とかなるんではないかと思います。
○山城会員 賞与はマラリア撲滅の職員全部にあげておられますか。
○衛生部長 マラリア撲滅嘱託員にやっているのでして、委員にはやっていません。
○柴田会員 嘱託は何人でありますか。
○会計課長 四六人であります。
○柴田会員 慈善病院はやがて出来ると思いますがどんなものですか。
○衛生部長 今週中に開院する事が出来ると思います。
○知事 休憩致します。
○知事 開会致します。事業部に移り度いと思いますがどうでせうか。
○会員一同 そうした方が良いでせう。
○黒島事務官 それでは御説明申上げます。(追加更正予算の説明をなす。)
○事業部長 工務課も印刷課も三月までの予算を作ったのでありますが、移管の趣旨に反するものではなく、移管しても遺憾の点がない様にするためであります。特別に取り立てて見度いのは、一般会計納付金であります。一般会計納付金は七七九、〇二六円で去年に比較して職員費は各課持ちで、今申上げました額だけ一般会計に納める事が出来ます。
○山城会員 事業部の各課で人件費は持つ様になっていますか。
○事業部長 そうであります。
○知事 一般会計納付金、職員費を出して借金は全部払う事ができますか。
○事業部長 印刷課と運輸課は今年で全部借入償還する事が出来ます。工務課は四〇〇、〇〇〇円の負債の内八〇、〇〇〇円と其の利息金を償還する事が出来ます。電気課は二一〇HPの代金一五〇、〇〇〇円の内一〇〇、〇〇〇円と其の利息金一〇、〇〇〇円を今年度内に支払ふ事が出来ます。又補給部より借入した金二〇〇、〇〇〇円も支払ふ事が出来ます。それで来年度までの繰越負債が利息合せて五二〇、〇〇〇円になります。
○総務部長 事業部移管のものは答申書によりやりますか。
○山城会員 答申書によりやっても良いと思うが其内容は民政府自体の考えによるでせう。
○知事 だいたい話が纏った様でありますからこれで閉会したらどんなものですか。
○会員一同 それで良いでせう。
○知事 それでは閉会致し度と思います。暑い所で熱心に研究して戴きまして有難うございます。(閉会 午後二時二十分)
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