戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年12月27日 
(昭和26年)
会議名
第1回立法院本会議 1951年12月27日
議事録
第一回立法院本会議会議録
         第八十日目

 一九五一年十二月二十七日(木曜日)午後三時五十二分開議

議事日程
 一、厚生局設置法案(二読会)

○議長(泉 有平君) 本会議を開きます。
 議題は厚生局設置法ですが、昨日委員会に附託しましたが委員会の審議が今日終ったので、委員長の御報告をお願い致します。
○大濱國浩君 委員会の報告を致します。最初に参議の方からの御質問の点を委員会で検討した結果を報告し、なお次に修正案を提出したいと思います。第七条第三項に医療関係者というのがありますが、この中に鍼灸師、あんま、電気療法などが入るかという質問でしたが、鍼灸の方は未だ考えていません。これは医師会並に民政府の意見を聞いて将来どうするかということを決めていきたいと思います。これまで医師会では鍼灸については理論に於ては認めるが問題は人の問題が医師会においても問題にされています。
 将来は将来の事として考えるということを厚生局長も話しています。なお、あんま、電気療法、売薬商などもその他に入っているのであります。第八項のマラリヤは「ア」でなくてはならないということになっているそうです。発言は「ア」と「ヤ」の中間だそうです。なお、第七条第十一項が昨日問題になって委員会附託になりましたが、この件について今日長時間に亘り厚生局長、資源局長の証言を求めた結果、両者意見が一致して、第十一項はこれを削除することに致しました。その点はまず単に規則の制定をしたらいい、そして実際の施行面は畜産課がやるということに話が決っていたのでありますが、厚生局長としては単に規則の制定というと、立法権は立法院にあるし、単に規則の制定は出来るのだからこれは削除してもいいという風に話が落ち着いた訳です。
 第七条の第十一項は削って、それから第八条第八項の児童の福祉のための文化の向上というのは、児童の遊び場であります。その他学校児童の保健の状況などからして給食するなど、或は一般的な健康を調査していくという事などです。なお第八条第九項の「要救護児童」とあるのは「要保護児童」の誤りですから御訂正お願いします。それから第十条の「救護院」は「教護院」です。更に第七条を削除した訳ですから後は番号が一つずつ繰上る訳です。以上であります。
○議長(泉 有平君) この間の一読会では以上の点が問題になったと思いますが、その他の点について質疑がありましたら…。ないなら逐条審議に入ります。
  (書記長川畑秀志君「第一条、第二条」朗読)
○冨名腰尚武君 皆「関すること」が入る訳ですね。
○議長(泉 有平君) 第二条はそうして下さい。
○冨名腰尚武君 この第二項だが、一読会で公営施設を意味するという説明でしたが、特に文字にそれを現わす必要はありませんか。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後四時三分休憩)
  (午後四時四分城間盛善君出席)
  (午後四時十五分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○松田賀哲君 第四項に住民生活の保護、指導とあるが指導ということになると農林省にもあったんじゃないか。
○冨名腰尚武君 生活改善の指導なら分かるが、住民生活の指導とはどういうことですかね。生活救護も意味している訳だね。
○與儀達敏君 特定のものが救助、救護で広いのは保護です。この場合は保護の伴う指導だね。
○冨名腰尚武君 援護という意味だろうな。
○與儀達敏君 お手柔らかに願いますよ。
○冨名腰尚武君 何とか表現の方法はありませんかね。
○調査員(奥島憲雄君) これは厚生省の目的の所にあります。国民生活の保護指導となっています。
○冨名腰尚武君 余り漠然とした表現なんだ。
○松田賀哲君 この頃の法律は余り良く出来ていないな。指導を取ってしまえば分かりますがね。
○與儀達敏君 いやそれだけではいかん。保護だけでは消極的だよ。
○冨名腰尚武君 日本の場合は母法があるからぴんと来ますがね。
○調査員(奥島憲雄君) 二十世紀理念が出ていると思います。人類の生活といったような…。
○冨名腰尚武君 最低生活を確保してやるという意味だな。
○松田賀哲君 一応通しますかな。第五項ですがね。第八条第八項には文化の向上となっていますが、ここでは文化の向上に関することだけをやる訳でしょう。
○冨名腰尚武君 文化の向上はおかしいよ。
○與儀達敏君 それは後でやりましょう。
○松田賀哲君 前にある福祉の増進に関する事を司るのはどこですか。福祉の増進のための文化の向上ですから、先ず福祉の増進を図ってから文化の向上をやらねばならないはずですよ。
○議長(泉 有平君) 第二条の第五項と第八条の第八項は関連しているので、睨み合わせて審議致します。
  (書記長川畑秀志君「第三条、第四条」朗読)
○事務局長(比嘉良男君) これは「局」ではなく「厚生局」でしょう。
○議長(泉 有平君) 第二条の厚生局の下に「以下局という」としたら…。
○冨名腰尚武君 他の奴と睨み合わさんと…。
○事務局長(比嘉良男君) 他のものにはないようです。
○議長(泉 有平君) 第三条、第四条はいいですね。
  (書記長川畑秀志君「第五条、第六条」朗読)
○冨名腰尚武君 第七項は他と一致さして下さい。「その他他課に属さないこと」と…。
  (書記長川畑秀志君「第七条」朗読)
○冨名腰尚武君 第六項の資質の向上というのはどういうことですか。
○大濱國浩君 体質ではないですか。
○冨名腰尚武君 資質というと頭のことまで入ると思いますね。品格の問題も…、それまで向上させる訳ですか。
○大濱國浩君 頭も入ると思いますね。
○冨名腰尚武君 問題は修身までこの課でやるかということです。
○調査員(奥島憲雄君) これは優性保護などを考えているんじゃありませんか。
○冨名腰尚武君 肉体的健康だけでなく精神的健康までやろうという訳だな。そこまで狙っている意味ならわかるが…。
○調査員(奥島憲雄君) 日本でも資質の向上となっています。優性保護法、国民厚生運動とかあの断種法などもやる訳です。
○冨名腰尚武君 第十項は特に予防業務と断る必要がありますか、検疫に関することなどという文句が出ていますが、検疫業務と断わらないで審議しているが…。
○調査員(奥島憲雄君) これは単に検疫だけでなく、もっと広い意味があります。
○冨名腰尚武君 予防だけで引っ括るめられませんか。
○城間盛善君 これは厚生局が予防するということではなく、予防と治療などいろいろありますが、その業務関係のこと、自ら予防するという意味ではないだろうな。
○冨名腰尚武君 行政面の処置は入らない訳ですか。それは警察がやるのですか。
○吉元榮光君 精神病でもその監禁室はこうして作らねばいかんなどという場合がありますから、これに業務としてあるんでしょう。
○冨名腰尚武君 伝染病発生を予防するための処置はどうなります。それは政策面が多いと思いますが、それを業務と限定すると…。その辺ですがね、心配されるのは…。
○城間盛善君 保健所はどうなります。
○冨名腰尚武君 それこそ業務に当る面ではありませんか。
○松田賀哲君 業務と入れた場合は自らやらないでいいという意味で入れたのかな。
○與儀達敏君 そうでしょうな。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後四時三十六分休憩)
  (午後四時三十九分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。でどう致しますか。
○大濱國浩君 予防業務の指導監督に関することですか。
○松田賀哲君 今だったらはっきりしますよ。
○冨名腰尚武君 食品衛生の面ですが、獣医ははっきり分離すると屠畜の場合は獣医が検査をやって屠畜になる。市場に出たものの検査は衛生課でやる訳ですね。
○大濱國浩君 はっきりした訳ですが、屠場から一歩出ると食品検査をやる訳です。だから二重に検査をしなければならないということになった訳です。
○議長(泉 有平君) 次に移ります。
  (書記長川畑秀志君「第八条」朗読)
○大濱國浩君 ちょっと休憩して下さい。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後四時四十二分休憩)
  (午後四時五十三分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○大濱國浩君 第八項は母子保護及び児童の福祉に関することに直して下さい。
○議長(泉 有平君) 今のように直すことに致します。
○冨名腰尚武君 第十一項の世話事務はそれで分かりますね。
○大濱國浩君 単に世話だそうですよ。
  (書記長川畑秀志君「第九条」朗読)
○冨名腰尚武君 他の局にもいろいろ附属機関はありますが、他の場合は各課と同列に並ばないで枠の外に出していますが、特に衛生研究所については、内局扱いにしてある趣旨について御説明をお願いしたい。
○大濱國浩君 郵政局に気象台がありますが、それに倣った訳ですが、衛生研究所は局長に直轄して単に技術を研究する所ではなく、これを課とせず、衛生研究所として衛生研究課ではなく研究所として中に置いた方がいいという訳です。
○松田賀哲君 どの課の指示も受けん訳ですか。
○大濱國浩君 局長に直轄する訳です。
○松田賀哲君 水産試験場や農業試験場などと関係する訳だが、水産試験場なら水産課からこういうのを研究してくれという指示を受けるということがあると思います。これはそんな指示を受けず勝手に好きなものだけを研究することになると…。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後四時五十四分休憩)
  (午後五時四分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○大濱國浩君 第九条の衛生研究所は削除して第十条に入れましょう。そうすると第五条の衛生研究所も削って下さい。左の三課を置くですね。
○松田賀哲君 これは局長に直属する訳だね。
○與儀達敏君 それは規則で定めることになっています。
  (書記長川畑秀志君「第九条」朗読)
○冨名腰尚武君 民生事務所というのがありますが…。
○大濱國浩君 民生課の出張所みたいなものです。
○調査員(奥島憲雄君) 民生事務所というのは保健所に対応するようなものらしいです。
○冨名腰尚武君 盲聾唖院はありませんか。
○議長(泉 有平君) ないようですな。
  (書記長川畑秀志君「附則」朗読)
○冨名腰尚武君 附則第一項四行目の「政府権限の附与があった日から」というのは「政府に権限の附与があった日から」ではありませんか。
○田畑守雄君 その後はどういう事ですか。
○冨名腰尚武君 新立法院が出ればそれに関する限りは条例は適用されないという意味でしょう。
○調査員(奥島憲雄君) これを積極的に規定したのは後からどんどん法令が出る訳だが、それに反しない限り生かしておくという意味です。
○田畑守雄君 群島組織法がある間は生きている訳じゃないかな。
○冨名腰尚武君 組織法がなくなったらどうなります。
○城間盛善君 立法院で新法令を完備したらいい訳だが、それまでは生かしておかんと仕事は出来ない。
○冨名腰尚武君 第一項については一昨日商工局設置法の二読会の時、附則を設けましたが、あれに準じて整理していただくようお願い致します。
○議長(泉 有平君) そういう具合にしたらどうです。
○城間盛善君 第二十二号は布令だから布令でして貰わんと困るですね。
○松田賀哲君 第二項はどうなります。
○議長(泉 有平君) それは生きるですよ。
○冨名腰尚武君「せられている」ではなく「されている」でしょうな。
○松田賀哲君 本法は群島政府がなくなった時に施行する訳でしょう。
○冨名腰尚武君 別に布令で権限が与えられた時から施行する訳です。しかし解消まで待つという訳ではないでしょう。
○松田賀哲君 そうすると群島組織と抵触する分はどうなります。
○冨名腰尚武君 それを布令で権限を移管する訳です。群島政府の権限はなくなる訳です。
○松田賀哲君 それに附随した細則は本法が出た時準用するという意味でしょう。
○城間盛善君 言い換えれば群島組織法にある厚生面の規定をそっくり持ってこようというのです。だからそれに附随するのも持って来る訳です。
○田畑守雄君 これと同時に細則、規則が建前は出てこんといかんな。
○冨名腰尚武君 そうです。
○大濱國浩君 空白時を置かないという意味です。
○松田賀哲君 この群島組織法が消えれば当然この条例も消えますね。
○冨名腰尚武君 だから生かす工夫を考えている訳ですよ。厚生関係の条例という表現ですが、各群島条例はそれぞれの群島地域にという風にしないと…。
○調査員(奥島憲雄君) これは群島組織法の規定ではっきりしませんか。群島組織法に基づく条例ですから…。
○冨名腰尚武君 それを中央政府法に準用するというのですから、適用面では変ってくるんじゃないかな。
○議長(泉 有平君) 第二項はどう致します。
○冨名腰尚武君 各群島条例はそれぞれの地域に於てとしますか。
○城間盛善君 「厚生関係」の次に「各群島」を入れて済みませんか。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後五時二十一分休憩)
  (午後五時二十二分再開)
○議長(泉 有平君) 以上で逐条審議を終りましたが、これで閉会致します。
  (午後五時二十三分閉議)

  本日の出席者
   議 長  泉  有平君
   参 議  松田 賀哲君
    〃   與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   冨名腰尚武君
    〃   大濱 國浩君
    〃   吉元 榮光君
    〃   田畑 守雄君
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