- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年12月14日
(昭和26年)
- 会議名
- 第1回立法院本会議 1951年12月14日
- 議事録
- 第一回立法院本会議会議録
第七十三日目
一九五一年十二月十四日(金曜日)午前十時十分開議
議事日程
一、琉球臨時中央政府保安局設置法案について(主席メッセージ第二十五号)
二、琉球臨時中央政府厚生局設置法案について(主席メッセージ第二十六号)
三、琉球臨時中央政府運輸局設置法案について(第二読会)
○議長(泉 有平君) これから本会議を開きます。
今日の議題は、メッセージ第二十五号保安局設置法案、同第二十六号厚生局設置法案、次に運輸局設置法案の第二読会という風になっております。
初めにメッセージ第二十五号として保安局の設置方の要請が来ておりますが、一応行政部から出されました、参考案を読上げてその処理方に御考慮をお願いしたいと思います。
(事務局長比嘉良男君「主席メッセージ第二十五号、第二十六号」朗読)
○議長(泉 有平君) メッセージ第二十五号に向うの参考案が出ておりますので、それは今までの行き方通りに適当な委員会に研究していただきたいと思います。行政法務委員会の方で研究していただきたいと思いますが如何ですか。
(「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) それでは行政法務委員会で研究していただきます。
続いて第二十六号の厚生局設置法につきましても同様参考案が出ております。これは大分急ぐようでありますが、これについては文教厚生委員会の方で同様御研究していただくようにお願い致します。御賛同をお願い致します。
続いて運輸局設置法案の第二読会を開きたいと思います。委員会の方でいろいろ御検討をお願い致しましたので、委員長の報告を願いたいと思います。
○田畑守雄君 十三日の午後二時から委員会を開きまして発議案に対する検討を致したのでありますが、十三日の本会議で、船舶法であるとか船員法であるとかいうような母法が出来ていない、これを如何にするか、運輸局の行政面をどうするかというような御質問に対して十分の御説明を申上げることの出来なかったのを遺憾に思っているのでありますが、委員会で検討して、そして参考人として運輸局長にお出でを願いまして、色々検討しましたところ、これは布令によって、布令第二号を改正し、それと同時に十二月十五日以前に軍が海事行政に関する条項を全て、海事法規を出すことになっているそうであります。従来の日本の旧法規は適用しない、そして布令第二号によって各群島に出されたところの布令は、布令そのものは各群島同一であるけれども条例によって相当各群島違っておりますので、これも準用するのには現在の段階に於ては工合が悪い。それでそういうような空白を補うために十二月十五日以前に軍が全ての海事法規を出すことになっているという説明がありましたので、これを委員会は諒としまして是非そういうような方法をとっていただくように海事局にもお願いし軍にもお願いしたいと思っております。そういう点がはっきりしましたので委員会に於ては発議案を無修正で承認して委員会決議案としてここに上程したいと思います。以上であります。
○議長(泉 有平君) 逐条審議に入る前に尚全般に亘りまして御質問でもありましたら…。
○與儀達敏君 逐条審議に移りたいと思います。
○議長(泉 有平君) 御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) では逐条審議に移ります。
(書記長川畑秀志君「第一条」朗読)
○田畑守雄君 この条は別に違っていないのですが。(以下単に「政府」という)としてあったのですが、これを従来の設置法案と同じようにするために(以下政府という)と統一してあります。
○與儀達敏君 第一条に異議ありません。
(書記長川畑秀志君「第二条」朗読)
○田畑守雄君 ここに於て第一の船舶の問題でありますが、参考案としては「船舶、漁船並にその所有に関すること」として出ていたのでありますが、漁船は船舶の中に入るという解釈をして漁船というのを取ったのであります。それから第九号に参考案は「政府所属の車輛の管理運営」という言葉でありまして、如何にも全てのものを拘束するというような感が濃厚にありましたので、この点相当問題になりまして、つまり各局所属車輛を管理から運営まですることは余りに独占的だという意見が出ましたのですが、当局としては決してそういう風な気持じゃないということをはっきり言いましたけれども、文章の上からどうしても納得行きませんので原案の第九号を第十号に持って来て「政府に所属する車輛に関すること」というようなことでぼかしたというたらおかしいのですけれども、力を緩めてあります。大体以上の程度を修正してあります。
○與儀達敏君 船舶と漁船の分け方ですね、何トン以上を船舶にする予定ですか。
○田畑守雄君 五トン以上を船舶とする。日本に於ては三十トン以上が船舶だそうでありますが、琉球の現状下に於ては五トンまで引下げた方がいいというようなことでした。
○與儀達敏君 五トン以上の内燃機関を備え付けたものですね。
○田畑守雄君 そうです。
○冨名腰尚武君 五トン以上は帆船であろうが、何であろうが船舶であるということではなかったのですか。
○田畑守雄君 動力は問題じゃなくて大きさだけでしたね。取消します。
○與儀達敏君 五トン以下の漁船は船舶に入らない。五トン以上の漁船で漁船としての監督指導その方は運輸局との関係はどうなりますか。
○田畑守雄君 登録及び検査という程度の監督権は持っている訳です。
○與儀達敏君 水産行政を与る面との関連はどういう風になるのか。
○田畑守雄君 これは当局同士の話合の下に大体話をつけてあるとの運輸局長の話を聴いて諒とした訳でありますが、漁撈方面に於ける監督権は当然水産局が持つ、船舶に対する登録検査はここでやるという諒解がついたという報告がありまして、現在の段階に於てはそれでいいんじゃないかと諒解した訳です。
○與儀達敏君 漁船としての画一的な指導監督は水産局がやって、それの副申を附けて運輸局に持って行って運輸局はその船体の検査し航海安全であるかどうかを検定の上登録するというような仕組であると諒解していいですか。
○田畑守雄君 そういう諒解でいいと思います。
○與儀達敏君 その点は、はっきり運営していただくように当局にも要望しておきます。以上であります。
○城間盛善君 第三項の海上安全、これは運輸局で扱うのはどの程度のものですか。
○田畑守雄君 標識であるとか施設とかの面であります。
○城間盛善君 海上の保安といった面は水上警察がやるようですね。それから救難方面はどうですか。
○田畑守雄君 それは後で出ますところの海難審判委員会によってやる訳でありますが、つまりその中には海上の保安ということについては標識もあり施設もあると同時に、海難審判委員によって遭難者などがあった場合その法規によっても拘束されると思います。
○城間盛善君 第四号、第五号では同じように見えるが、那覇商港の場合ははっきりした管轄の限度が布令によって示されているが、その他の港湾については第一読会での御説明のように実際の港湾の管理という面は市町村で行う。それの一般的な監督といいますか、-実際管理は市町村長がやるが-実際管理まで及ばないという意味で聞いたと思いますが、それでいいのですか。
○與儀達敏君 さっき城間参議がおっしゃった救難、海上安全に関係して救難のことでありますが、海難審判は結果についてであって、救難の仕事は運輸局はやらない訳でせう。
○田畑守雄君 その施設面をやると同時に、法規によって、例えば近海を通っている船に対する連絡とか…。
○與儀達敏君 遭難船があった場合に運輸局が出かけて行くのですか。
○田畑守雄君 それはやらないのです。
○城間盛善君 そういった実際の救難の仕事はどこがやるのですか。
○田畑守雄君 水上保安になるでせうね。
○與儀達敏君 第二条異議ありません。
(書記長川畑秀志君「第三条」朗読)
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
(書記長川畑秀志君「第四条」朗読)
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
(書記長川畑秀志君「第五条」朗読)
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
(書記長川畑秀志君「第六条」朗読)
○田畑守雄君 第六条に於きまして、庶務課の事務規程でありますが、第六号の「附属機関の管理及び監督に対すること」というのがありますが、これは将来海員の養成所などを設置したい。それからモータープールを造りたいという意味をもちまして、この項を入れたのであります。御諒解願います。
○與儀達敏君 第六号の「附属機関の管理並に監督に関すること」将来の海員養成機関とかモータープールであるというような御説明ですが、モータープールは第九号の自動車の管理運営でよろしいかと思います。養成機関でしたら、それは独立の廨庁として局長に直結した方がよろしいと思いますが、こういう副局長的な職務管掌は削除したいと思います。
○吉元榮光君 第六号はですね、港務所なんかは廨庁じゃなくて出張所ですが、これは港湾でもやりますけれども、その外にモータープールもありますし、又海員養成所もありますし、そういったものを含めて、附属機関として行きたいという訳です。
○與儀達敏君 モータープールは運輸課でやればよいでせう。港務所は港湾課の派出所ですから…。これだと他の課を指揮監督するような形になりますよ。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
(午前十時三十八分休憩)
(午前十時五十三分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。第六条の第六号の「附属機関の管理並に監督に関する件」この一項はもっと検討を要すると思いますので、一応保留して審議を進めて行きたいと思います。
○城間盛善君 海難審判委員会というのがありますね。これの権限というのはどんなもんですか。審判というと何か裁判の権限を持っているのですか。海難に関する限りは。
○調査員(大山春雄君) 裁判と云うよりは寧ろ行政面の処分、-海技免状の取上げとかいうものです。これの設置された趣旨が船員の行政処分という面が主眼でなくて、寧ろ海難の原因探究、事故防止の面から、発生した事故に対する原因の探究を主としているのです。
○城間盛善君 原因の探究と行政的な処分を決定する。それが権限ですね。
○調査員(大山春雄君) 海上安全の政策の樹立をする訳です。
○與儀達敏君 第八号の「物品の購入保管に関すること」これは第七号で言い尽されておりますね。
○大濱國浩君 ここでいうのは自動車輛などの物品などで普通の消耗品などとは別個に扱ってあるのです。
○冨名腰尚武君 港湾使用の浚渫船その他の港湾重量機械だとか、港湾に附属する設備とか、車輛とかいうのがあるので、こう分けた方がはっきりするだろうという考え方なんです。その局で使うもの、普通の事務用消耗品といったようなものでないのです。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
(午前十時五十七分休憩)
(午前十一時二分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。第八号の物品の購入保管に関すること、これは一応保留しておきます。
(書記長川畑秀志君「第七条」朗読)
○與儀達敏君 登録ですが、従来は船舶の登録を一回きりで、検査を受けて合格したものを登録するようにして、次年度は定期船体検査を受けて合格すればその通り更新されるという行き方と、毎年更新するという行き方があるようですが、毎年更新する登録制は財源に充てるという一つの目的も含んでおります。運輸局ではそこまでは今決定は出来ないと思いますが、出来れば船舶登録は一回きりにして、検査を定期的に行うという行き方を要望したいと思います。
○大濱國浩君 登録の場合も検査の場合も財源には入るのじゃないですか。
○與儀達敏君 登録税は額が大きいのです。これを毎年更新されると、船舶業者は運営上非常な痛手を受けますので参考のために要望したいと思います。
それから第二号の燃料及び油脂、これは購入を斡旋するということで、購入もする訳ですか。
○田畑守雄君 購入というところまでは入らない訳です。
○與儀達敏君 毎年漁期は何月から何月までと決っているので、その漁期に出漁出来る燃料をたっぷり確保するという意味での斡旋をするということですか。
○田畑守雄君 資料を集めて、そして結果に於ては斡旋というところまで行くかも知れないけれども、大体資料を集めて確保したいという程度のものらしい。
○與儀達敏君 これは是非そうして下さい。琉石がどうのこうのということでは間に合いません。各運輸業者と連繋を持って燃料油脂の確保をしていただきたい。是非これは海運課でもってやっていただかないと--陸運課でもそういう考慮を払っていただいて-漁期が五月から十月と決っておりますから、それに間に合わんと何にもならんのです。水産課の方でもその仕事はやるでせうが、それについては局長にも一つ意見を述べていただくようにお願いします。
○議長(泉 有平君) 外に御意見はありませんか。
○與儀達敏君 船員養成は、これは学校までいかんでも、講習会程度のものをやって行くような、そういう養成の程度に解釈しておりますが。
○田畑守雄君 そういう程度のものです。
○與儀達敏君 船舶労務者ですね、これは一歩を進めて「船舶労務並に福祉に関すること」という風に「福祉」ということを入れていただきたいと思う。就職なら紹介がありますから…。
○田畑守雄君 ところがこれの大体の趣旨はそういう含みもありますが、差当って必要なのは、これを入れておかなければいかんというのは、船員不足で船が出せない場合があるそうです。そこで特にこれを入れておいて一時的な船員の斡旋をして、船が出港出来るように斡旋をする場合が現在に於てもある。そういう程度のものであって、日本に於ては完全な海運労務斡旋所というものがあるのですが、未だそこまでは行きかねるという話でした。
○與儀達敏君 船員手帳を実施し、船員養成もやって、それらの適格者が労務に就きますので、それらの待遇面の向上とか或は技術の向上は養成で出来ますが、=失業の救済とか或は第九号にあります。船舶の運賃、傭船料、水先料に関することも出ておりますので、どうしても船員の待遇方面も海運課としては力を添えるという見地から船舶労務並に福祉に関することと、これはどうしても謳った方がいいと思います。勿論総務局に於ける労務斡旋なんかもそれを目標にするでせうが、折角船員手帳までやって、免許もしてやるのですから、それらの保護育成ということは必要じゃないかと思います。その目標に向って先ず運輸局から進んでいただきたいと思います。
○松田賀哲君 これは簡単にいえば組合に関することだから、自発的に組合の仕事としてさした方がよくはないかな。
○田畑守雄君 組合の問題が実際には出て来る訳なんですがね。実際問題になって来れば、組合運動、組合法というのを作って行かなければならないのですが。
○大濱國浩君 そういう意味に含まれていると解釈出来ませんか。そうでなければ外のものも全てそういう修飾語を持って来なければいかんことになります。
○與儀達敏君 それは御研究をお願い致します。第九号はどういう意味ですか。
○田畑守雄君 これは運賃或は日本からの傭船そういうようなのの世話を見てやるという訳です。一般的なものではないのですが、一例を挙げて見ると日本から傭船する場合の斡旋、調整をするのです。
○與儀達敏君 要するに今のRKKがやっている貨物運賃なんかが篦棒に高いという場合にこの海運課で調整をするというのですね。
○田畑守雄君 そういうのです。
○與儀達敏君 第十一号はどういう意味ですか。
○大濱國浩君 暴風の場合の手配など…。
○與儀達敏君 暴風警報を発するということですか。勧告は何ですか。
○松田賀哲君 必要な知識を授けるということが通報で、勧告というのはそういう訳だから、そこを通ってはいかんという意味でせう。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
(午前十一時十八分休憩)
(午前十一時二十三分再開)
○議長(泉 有平君) 再開します。
○城間盛善君 第一号には「船舶の積量速度に関すること」とありますが、第三号には貨物の積載量とありますが、第三号の場合は第一号で積量速度を測る、それに準じて実際の積載量がどうなっているかを検査するのでせう。
○田畑守雄君 そうなるのでせう。危険をもたらすまで積んではいけないという検査でせう。
○城間盛善君 第一号は登録の際やるのでせうね。
○田畑守雄君 吃水線を決める訳です。第三号は取締になるのです。
○城間盛善君 第二号は船舶、用品、燃料、資材、油脂の五つの項目に関することになっていますが、船舶に関することというのは実際何をするのですか。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
(午前十一時二十五分休憩)
(午前十一時三十一分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○城間盛善君 船舶、用品、資材、燃料及び油脂その次に例えば購入とか何とかいうのがはっきりして来ればいいが、只今の御説明で基本になるべき法が未だ出来ていないので、何れ布令なりで明かになるだろうという御説明があるので現状に於ては、このままでは出来ないだろうと思います。それはそれでいいと思いますが、次の第四号造船、修繕、改造、引揚、解体に関することこれは今と同じ意味ですね。
○冨名腰尚武君 解体を許可し、又必要な命令を発することという風に運輸省はなっているが、どこまで権限が与えられているか分らないので入れていないということです。その点は第九号の場合も同じですが、然しこれは先の御説明のように調整程度になるらしいのです。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
(午前十一時三十四分休憩)
(午前十一時四十分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
第七条の各号については、海事規則がないという点ではっきりしない点もありますが、委員会でもう一回御検討してもいいような面もありますので、第七条の各号は更に委員会で検討していただくということにして次に進みたいと思います。
○與儀達敏君 第八条第二号に港湾その他海面の工事を施行することというのは…。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
(午前十一時四十二分休憩、協議会に入り、午後も引続き休憩のまま協議会続行)
○議長(泉 有平君) 本日はこれで散会致します。
(午後三時六分散会)
出席者
議 長 泉 有平君
参 議 松田 賀哲君
〃 與儀 達敏君
〃 城間 盛善君
〃 冨名腰尚武君
〃 大濱 國浩君
〃 吉元 榮光君
〃 田畑 守雄君
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