- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年12月12日
(昭和26年)
- 会議名
- 第1回立法院本会議 1951年12月12日
- 議事録
- 第一回立法院本会議会議録
第七十二日目
一九五一年十二月十二日(水曜日)午前十時二十分開議
議事日程
一、砂糖消費税法
二、運輸局設置法
○議長(泉有平君) 本会議を開く事に致します。
今日の議題は、立法案第十八号運輸局設置法ですが、本法案は十一月二十四日メッセージ第二十三号として受けて、二十八日に本会議を開き、運輸通信委員会に研究していただくことにした訳です。そして委員会で研究していただいた結果、本日田畑参議から発議になっていますので、第一読会を開きます。
○田畑守雄君 十一月二十八日運輸局設置法に対するメッセージを受けて、当日委員会の研究を仰せつかった次第です。それで委員会では早速運輸局が琉球臨時中央政府の一行政機構として必要かどうかを慎重に研究した結果、現在の海運局はどうしても一貫した機構に入れねばいかんという事に考えが纏まって、実は海事局ということを構想においていましたが、どうしても軍からの要請で陸運も中央政府に吸収する必要がある、それで海事局だけでは運輸行政が統一出来ないので、どうしても運輸局という機構で統一する必要があるということになりましたが、所が現在、海運関係の権限は臨時中央政府に委ねられていますが、設置法(群島組織法カ)の中に陸運関係は未だ各群島に権限があって、この権限を如何にするかという事に難点がありましたが、主席からの書簡によって一応三月までに各群島は廃止するのだから、その解消後においても、この設置法が有効であるように設置法を作るようにという要請がありましたので、その面にそってこの案を考えて作成したのであります。
それで臨時中央政府の一行政機構として運輸局の設置はどうしても必要であるという事に意見が纏まったので、ここに臨時中央政府運輸局設置法を立案して皆さんの審議を煩わしたいということになって上程した次第です。各項目については逐条審議に入った時に説明したいと思いますが、一応発議するまでに必要欠くべからざるものという結論に達したということを申上げて発議することに至ったのであります。
なお、付け加えたい事は陸運課については相当難点があって、これまで陸運の権限は全て群府にあり、その中に於ても自動車などの検査登録は全て公安委員会にあるのでありますが、運輸局が出来る以上、行政の本来に立ち返って運輸局の中に検査登録なども入れて、そして公安部は本来の取締り面にだけ当った方がいいだろうという事に我々は意見の一致を見ましたが、これは未だ軍でも相当議論があって解決していないように聞いています。しかしこの点は本会議に於て充分検討して下さって総合調整の段階で結論を出したいと思います。
それからまだ権限は与えられない陸運課を如何にして法に設置しようかということについては相当議論の余地もありますし、昨日の連絡会議でも二通りの方法があるということを軍の法務関係の方も申されていますが、一応第九条は別の法律で定めた時から施行してその他の権限を与えられたものだけについてこの法が公布される日から施行し、第九条の各項のみは法律で別に定めるという行き方をした方が群府との権限が錯綜せずいいのではないかと思ってその線に沿って発案した次第です。
以上申上げて運輸局設置法の必要を認めて発案することに致します。各条御審議下されて無事この法案が通過するようお願い致します。申し残した点もあるかも知れませんが、その点は各委員から補足していただくようお願い致します。
○議長(泉 有平君) 一応案の原文を読み上げて貰います。
(事務局長比嘉良男君「全文」朗読)
○議長(泉 有平君) 一般的な質疑に移ります。
○與儀達敏君 船舶の所有に関する登録となっていますが、漁船を含むと諒承していますが、従って漁船、運搬船の登録、検査なども運輸局で取扱うことになると思いますが、そういう場合に従来のように運搬船と漁船の兼業をこの設置法に於ける登録検査は兼業を認めないものかどうか。次は港湾の定義ですが、港湾は貿易指定港を意味するものか。そうなると船舶出入を指定された港湾を含むかどうか。もしそうすると干拓、埋立、使用、しかもその中に於て営造物の管理が現在市町村にあるが、こういう権限と運輸局の権限との抵触、そういう所に疑問もあると思いますので説明をお願いしたい。
第三に那覇商港の管理及び運営に関することと港湾課にありますが、そしてそのため第十一条の港務所を置くことになっていますが、これは独立した廨庁か、港湾課との関係、そういう点について伺いたいと思います。
○田畑守雄君 第一の船舶だが、その中には漁船を含めているのであって、実はこれは資源局の水産課ともいろいろ意見があったのですが、これは私的に與儀さんからも漁船を一本建にして水産課に登録したのでは現在の琉球の事業方面から見た時、とても漁業一本では経営が困難であること、そして出来れば運搬船としてもやらねば到底立っていけないという御意見も耳に挟んでいましたので、その点も糾した所、資源局では一応は漁船は水産課に置きたいという意見もあったそうですが、その点は話合いで決って船舶の中には漁船も入れています。ということは漁業一本だけではいけない場合があるから運搬船にも使用出来るという含みであります。水産局では、只完全な漁船として漁撈に関するだけの事を考えて、ここの船舶は普通貨物船、漁船全てを含んでどこにでも融通がきくという意味合いの下に入れてあります。
それから第二の港湾の問題ですが、これは港湾課で特に那覇商港が取上げられていますが、これは軍から特に那覇商港には権限が与えられているのです。そして他の港湾は依然としてこの中には入っておらず、町村の権限内にあって、只海事局としてやるべき航路、施設に対する権限という意味からここに挙げたのであって、実際の運営、管理は従来通りであって特にここに規定している管理、運営は那覇商港を示している訳です。
それから那覇商港の港務所については那覇商港に対する軍の示唆があったので港湾課の出張所という観点の下に立っているのでありますが、これは内部規定によってその運営方法が出来るということを考えています。特にこれは那覇商港の監督とか、未だ相当軍からの権限が与えられているので、特に外国船の出入が頻繁に行われているため港内施設でも相当錯綜しているので、特にこのように出張所を置くということになっているのであります。
○與儀達敏君 港湾その他海面の工事を施工するというのは那覇商港だけに限る訳ですか。
○田畑守雄君 勿論各港でもその関係は生じて来ますが、一応そういうものに対しては、埋立するにしても監督するにしても各町村がするにしても海事局の許可が欲しいという程度のものです。
○議長(泉 有平君) 第七条と第九条の所轄事務の内容だが、運輸という立場から見て内容もほぼ同じであっていいと思う。例えば各項目について両方対照すると、性格の上ではほとんど同様なものが取扱いを異にされているという面の違いはどうして出来るかということだが、なお特に大きな問題は海運課長は業務の監督があるが陸運課ではない。そういう面は…。
○田畑守雄君 登録検査という問題は相当問題になっていますが、今まで群府では公安局がやっている訳ですが、それをどこに持っていくかは、アメリカ連中の内部でも未だ話合が出来ていない状態なので、その点我々としても純然たる行政だから陸運課に入れたいというので入れたのです。
それから燃料のことについては、海運課の燃料は只管轄外の船に対する補給をする場合も出て来るというので、特に入れたのであって、現在の油脂は民が握っているので、ここに於ける燃料は全船舶に対してどれ程いるかという資料の収集という問題です。
○議長(泉 有平君) 供給という事はやらない訳ですね。
○與儀達敏君 今の燃料の問題は、工業方面一般機械に要する燃料の調整は一運輸局では出来ないと思う。従って陸運課では燃料の管理などは不可能だろうが、但し海運課では船舶に要する燃料だけは何とか便利をはかろうというので入っていると思いますが。
○田畑守雄君 勿論そうですが、只ここでは特にどうしようという積極的に確保しようというより、これだけは必要であるという資料は作っておいて、大概の船はこれだけ使うという資料を集めようというのが根本方針です。
○城間盛善君 局の所轄事項の中に船舶並にその所有に関することですが、その程度ですが、どの程度までやるかも少しはっきりさせたらどうですか。実際はどういう事をやるのですか。
○田畑守雄君 大体船舶は船舶法というのがあって、日本では何トン以上登録船という定義があるそうですが、現在琉球では普通登録船だというので大体運輸局の考えとしては十トン以上の登録船を船舶ということを考えているようです。これはいずれ船舶法という一つの基準に入れねばならないと思う。特に船舶の定義は重大なものであり、住民に直接関係があるので、所有するものははっきり登録をさせる。そして琉球の海運業がどんだけの船舶をもってどれだけの輸送能力があるかということを知るため、所有者の登録ということが出て来る訳ですが、只それは漠として所有に関することと登録面を謳っているのです。
○松田賀哲君 これは船舶法、船員法というのが出来て、それからこれが出来て来たら問題はないが、それが出来ていないものだから逆になった訳だ。
○城間盛善君 所轄事項をもう少し理解したいが、例えば第七条第四項だが、造船、改造、修繕は結局使用目的について違うでしょうが、例えば造船なら造船の企劃を規定して造らせるという意味は、これを造ったその検査をするか、或は修繕なら一つ一つ命ずるか、或は後で検査するかどうかという所まで及びますかどうか。
○田畑守雄君 これはどうしても検査があるから悪い所は直さすという面は当然入ると思います。
○冨名腰尚武君 もう少し補足致します。この第七条第四項の内容は許可、認可の権限を持ち、又命令を発するという程度の権限と諒解しています。これは先程松田参議から話がありましたように母法である船舶法などが出来ればそれに当然謳われてくるものでありますが、残念ながら設置法が先に出来たため、ぼかしておいたと諒解していただければと思います。
○田畑守雄君 監督権限ですよ。だから海事問題については、我々も疑問を持っていますが、船員法、船舶法などどうしてもなくては本当の執行は出来ないと思います。
○城間盛善君 しかし、今の基本法などは旧法がある筈ですが…。
○田畑守雄君 あることはあるんですがね。
○冨名腰尚武君 大部改正になっていますので、それをそのまま用いていいかどうか疑問ですね。
○田畑守雄君 それから各群島の法規はまちまちになっているので、各群島の権限をそのまま施行するということについては疑問が生ずる訳です。
○與儀達敏君 旧日本の法規は現在も適用されている訳です。又それを補足するような指令も出ているから、それによって運営出来ませんかね。
○田畑守雄君 その点仮に三月末後に海事局が設置されて、現在の群府の機構が四月一日以後でなければ廃止出来ない。所が現在でも依然として群島で監督をしている訳だが、その点はどうしても権限に対してこのままでは空白を生ずる。その点は布令によって出していただく方法をするか。何らかの処置をして貰わないと運輸局が出来ても運営していけない状態にあるので、その点は本会議でも検討していただかねばならないと思う。
○松田賀哲君 四月にならないと群府の権限は移らん訳です。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
(午前十一時七分休憩)
(午前十一時十三分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。今の事項に関連して旧日本法、更に五十年一月に出た布令第二号との関係という問題は更に委員会の方でもっとはっきりしていただく事に致します。ちょっと休憩致します。
(午前十一時十四分休憩)
(午前十一時十六分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。以上で質疑を打切って本法案は運輸通信委員会に附託したいと思いますが異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君)ではそういう事に致します。
議題を追加致します。メッセージ第二十四号砂糖消費税法を制定して欲しいという要請が来ていますが一応朗読させます。
(事務局長比嘉良男君「メッセージ第二十四号」朗読)
○議長(泉 有平君)このメッセージに対する研究を財政委員会にしていただくことに致します。では本会議はこれで終ります。
(午前十一時十八分閉議)
本日の出席者
議 長 泉 有平君
参 議 松田 賀哲君
〃 與儀 達敏君
〃 城間 盛善君
〃 冨名腰尚武君
〃 大濱 國浩君
〃 吉元 榮光君
〃 田畑 守雄君
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