戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年12月10日 
(昭和26年)
会議名
第1回立法院本会議 1951年12月10日
議事録
第一回立法院本会議会議録
        第七十一日目

一九五一年十二月十日(月曜日)
 午後二時十分開議

議事日程
 一、乗用自動車税法(二読会)
 二、統計局設置法(二読会)
 三、統計法(二読会)

○議長(泉 有平君) 本会議を開きます。
 今日上程の議題は立法案第十五号乗用自動車税法、次に立法案第十六号統計法、立法案第十七号統計局設置法の三案を議題にしたいと思います。乗用自動車税法は十二月八日から二読会に入った訳ですが、第五条の審議で一応閉会しましたが、今日は続いて第五条からやりたいと思いますが、前回問題になった第五条の第一項、第二項を掘り下げた場合、いろいろ意見が出ますが、要するに税の対象を取引き事実を課税対象にするかという面とその取引きの事実を課税の対象とする以外に琉球経済圏内に入った場合に課税対象にするかという事、見方によっていろいろ意見が出て、そのいずれを採るにしてもこの間の意見ではなかなかそれを表現する場合の困難も伴うし、又加えて琉球人と外国人という関係が事実上判別しがたい面があるということで意見の一致を見ませんでしたが、結局そういうものをはっきりと具体的に謳わなくても法の適用という面にこれは委してもいいようなものじゃないかということも考えられますので、この方はこのままにして、法の運営面に譲ったらという風に私の方では考えていますが、原案の表現によるという風にしたらと思っていますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 別に異議がなかったらこの項は原案通り致します。
 次に第三項の表現ですが「琉球列島に於て組立てられる乗用自動車」という形にしたらと思いますが…。
○松田賀哲君 委員長の話もあった訳ですね。
○議長(泉 有平君) そうです。前の話を持ち出した訳です。
○冨名腰尚武君 前回の会議で第三項の表現をこう変えたらと申上げた理由は、第一項、第二項でも琉球に入って来たのは別途の立場から入って来ています。即ち自動車そのものは使用されているものだが、それが用途の変更という特別な事情が生じたために輸入自動車とみなされるという形になる訳だが、第三項の場合は輸入された部品で組立てられる。そのことは、あくまでも取引の対象として組立てることを意味するもので組立てられる自動車そのものを指した方がいいと思うのであって、決して組立てられた時という表現で意味が通じないという訳ではないのです。
○城間盛善君 これでもいいが第三条の税徴収の時期があるね。第五条の場合には、例えば交通業者が使っている自動車以外のものは譲渡した時丁度保税地域から引取られたと考えて徴税される。第一項、二項と同じように組立てられた時が保税地域から引取られた時とみなして原案のままでいいと思う。
○冨名腰尚武君 組立てられた自動車が交通業者に売られる場合もあり得ると思う。すると組立てられた時と押えていくとどの面に流れていくを問わず課税の対象になる恐れがあるということを懸念するが、第一項、二項はその時には当然課税の条件が発生する訳だから「時」でないといかんと思う。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後二時二十分休憩)
  (午後二時三十七分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。第五条の第一項は原案通りで異議ないですね。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 第二項はどうですか。
○冨名腰尚武君 ちょっと休憩して下さい。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後二時三十八分休憩)
  (午後二時四十分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。第二項は異議ありませんか。ないようですから第六条に行きます。
  (書記長川畑秀志君「第六条」朗読)
○冨名腰尚武君 これは大体原案のままです。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 次…。
  (書記長川畑秀志君「第七条」朗読)
○冨名腰尚武君 これも原案の通りであります。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  (書記長川畑秀志君「第八条」朗読)
○議長(泉 有平君) 異議ございませんね。次…。
  (書記長川畑秀志君「第九条」朗読)
○冨名腰尚武君 これも原案通りです。
○議長(泉 有平君) 異議がなければ次行きます…。
  (書記長川畑秀志君「第十条」朗読)
○冨名腰尚武君 ここで違っているのは原案は罰金十万、体刑は三年以下となっています。そして税の追徴規定は設けていませんでしたが、これはあくまでも税の逋脱を図ったものに対する罰則だから追徴もいいと思って設けました。そのため罰金、体刑とも一応空けて話合いによって決めたいと思っている。
○議長(泉 有平君) ちょっと休憩致します。
  (午後二時四十九分休憩)
  (午後二時五十五分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。原案通り十万円以下の罰金と三年以下の懲役でよろしゅうございますね。次第十一条。
  (書記長川畑秀志君「第十一条」朗読)
○冨名腰尚武君 大体先の煙草と一致させてあります。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  (書記長川畑秀志君「附則」朗読)
○冨名腰尚武君 これは公布の日からとしますか。それとも周知期間を置きますか。
○大濱國浩君 矢張り周知期間を置くべきですね。
○冨名腰尚武君 それでは三読会で決めていただきましょう。これで一応の審議は終ったのですが、次にこの見出しですがね、「輸入自動車税法」と「輸入」という言葉をつけたいが…。
○議長(泉 有平君) 今の意見は煙草にしても酒にしても輸入になっているから、これにも「輸入」の二字を挿入したいという意見ですが…。
○與儀達敏君 財政局の御方針によると、なるべく輸入税という形を採りたくないという事だから原案のままがいいでしょう。
  (「同感」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) では乗用自動車税法という事に致します。以上で本案の逐条審議を終りましたが、なお軍との話合いの段階に移します。ちょっと休憩致します。
  (午後三時休憩)
  (午後三時十一分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。次は立法案第十六号統計法の二読会に移ります。この統計法については、一読会で一応の質疑はありましたが、なお論議になる所があるように思いますので、その点について審議したいと思いますが、本案は特別委員会に任しているので、委員長の報告をお願い致します。
○與儀達敏君 委員長から報告を致します。七日の本会議で委員会附託になった統計法の審議を本会議終了後直に五時半から委員会を開き一読会で論議の中心になった単一組織による統計というものの概念については発議理由に申上げたような解釈に委員会としては努力しました。なお、第七条に掲げてある委任規定を乱用される恐れがあって統計局本来の使命達成は出来ないという結果にならんかという論議もありましたが、それは運営の面に於てそういう心配は生じないという意見に到着しました。それで詳しくは発議の際に申上げた統計の骨子という点を委員会としては再度確認して委員会を終りました。どうぞ逐条に亘って慎重に御審議をお願いします。
○議長(泉 有平君) 今の委員長の経過報告に異議がなかったら逐条審議に移りたいと思います。
  (書記長川畑秀志君「第一条」朗読)
○與儀達敏君 これについて御説明致します。統計局の参考案には第一条に単一制度を謳っていますが、発議案には統計を得ることを目的とすると明確にした訳です。
○松田賀哲君 今の報告に追加して一言申上げます。統計局から出た第一条には「可能な範囲に於て単一統計制度の体系のもとに行う」という単一制度の体系のもとに行うという事ですが、単一制は何であるかという説明がついていない。それでは変だというので、体系のもとに単一の組織によりと、はっきりさせました。それから可能な範囲というとそれが分らんので、はっきりと書き替えた。
○城間盛善君 委員長に伺いたいが、現行の布令第四十四号も当然研究されたと思いますが、その第一条の目的と統計法の目的では支障を来すことがある。布令には中央政府及び民政府の任務達成上必要な統計とはっきりした目的があるのに、これにはないと思うが…。
○與儀達敏君 公表されたものは民政官の施策の基礎になるのは当然だから、そういうのは限定しないでこれで行こうということになったのです。
○議長(泉 有平君) 異議ありませんね。第二条。
  (書記長川畑秀志君「第二条」朗読)
○議長(泉 有平君) よろしいですね。
  (書記長川畑秀志君「第三条」朗読)
○與儀達敏君 これは原案のままです。
○城間盛善君 日本の統計法を見ると、その中に国勢調査というのがはっきり明示され、しかも五年毎に行うということまで指定しているがこれにはないようだが…。
○與儀達敏君 人口の静態を調査する統計の中で、これにひっくるめてという考え方で原案のままでやりました。
○田畑守雄君 調査することの出来るものとしてありますが、出来ないものもある訳だな。
○與儀達敏君 ある訳だろうな。
 統計技抜(ママ)の面で…。
○議長(泉 有平君) 次行きます。
  (書記長川畑秀志君「第四条」朗読)
○與儀達敏君 これはあくまでも承認制を前提においてやろうという訳です。そしてこれを公示して住民に申告義務を負わせるという行き方です。
 首題を真先に掲げたが、こういう統計調査をするという題目をもって、それによって主席の承認を得るというので首題も入れました。
 参考案には事前に承認を得るという行き方を取っていましたが、ここでは原則として他の局は出来ない事にしてあるので、先ずこういう事項について調査それ自体の承認を受けるという行き方を取った訳です。
○城間盛善君 承認を得るということは、日本でいえば統計委員会に代るものという訳だね。
○與儀達敏君 そうです。
○議長(泉 有平君) 異議がなければ次に行きます。
  (書記長川畑秀志君「第五条」朗読)
○與儀達敏君 これは中止した時にも公示することです。これが参考案には抜けていましたが、これがあって初めて申告の義務が生ずる訳です。
○議長(泉 有平君) 次に移ります。
  (書記長川畑秀志君「第六条」朗読)
○與儀達敏君 代行は参考案にはなかったが日本の統計法を参考にして挿入した。
○城間盛善君 人又は法人というのは全ての法人を含みますか。例えば市町村なども。
○與儀達敏君 はい、団体は人の中に含まれるという解釈です。原案には団体を入れてありましたが削りました。
○議長(泉 有平君) 次に移ります。
  (書記長川畑秀志君「第七条」朗読)
○與儀達敏君 これは布令第四十四号を参考にして入れてあります。但し予算もありましたが、これは省きました。
○城間盛善君 この統計局以外の他の政府各行政機構という言葉の内容は市町村は含まないという説明だったが、そういう解釈が出来ますか。
○與儀達敏君 政府各行政機構が委任されるのです。
○議長(泉 有平君) 次に移ります。
  (書記長川畑秀志君「第八条」朗読)
○與儀達敏君 単一制度を取っているので、こういう統計調査をやりたいという場合は統計局長が取上げない時は進言することが出来るという途を開いたのです。
○議長(泉 有平君) 次に移ります。
  (書記長川畑秀志君「第九条」朗読)
○議長(泉 有平君) 次に移ります。
  (書記長川畑秀志君「第十条」朗読)
○與儀達敏君 日本の統計法から取っています。
○城間盛善君 必要な場所とは銀行なども入りますか。
○與儀達敏君 別の法で禁じられない限り入るでしょう。
○城間盛善君 琉銀などでは個人個人の何は洩らせないじゃないですか。
○冨名腰尚武君 秘密保護の規定がありますから。
○議長(泉 有平君) 次に移ります。
  (書記長川畑秀志君「第十一条」朗読)
○與儀達敏君 公表して悪いという場合は公表しない事も出来るという特例を入れてあります。
○議長(泉 有平君) 次…。
  (書記長川畑秀志君「第十二条」朗読)
○議長(泉 有平君) 次…。
  (書記長川畑秀志君「第十三条」朗読)
○與儀達敏君 第一項は調査する時の秘密、第二項は収集されたものの秘密保護です。
○田畑守雄君 この場合、第十条に出ている罰則とどうですか。往々にして統計資料が課税対象になるというのは多かった。その意味から第十八条の罰則と均衡が取れているかどうか。
○冨名腰尚武君 それは後でやりましょう。
○議長(泉 有平君) 次…。
  (書記長川畑秀志君「第十四条」朗読)
○冨名腰尚武君 ちょっと見落しがありましたが、第十二(十三カ)条第二項の「上」という言葉が使ってありますが、これは入れないでいいと思いますが…。
○與儀達敏君 「上」は抜きましょう。
○議長(泉 有平君) では第十三条第二項の「取締り上」の「上」と「訴訟上」の「上」は抜くことに致します。次…。
  (書記長川畑秀志君「第十五条」朗読)
○與儀達敏君 必要でないかも知らないが入れておいた方が法の運営上いいという考え方です。
○議長(泉 有平君) 次行きます。
  (書記長川畑秀志君「第十六条」朗読)
○城間盛善君 第十六条と第九条との関連はどうなっています。
○與儀達敏君 第九条は統計局の事務的な規則ですね。統計調査の規則です。これは統計法を運営するための規則です。
○城間盛善君 そうすると第十六条は統計法の実施に必要な規則、実施に関し必要な規則と第九条のその調査に関し必要な規則、これは個々の調査の場合の規則か。
○冨名腰尚武君 所謂公示された統計調査の実施規則でこれは行政的な面から統計法の運営に必要な規則、例えば統計技術員の資格に関する規則とか…。
○城間盛善君 これには見出しがついていないね。
○冨名腰尚武君 今後の問題もありますが、全て見出しはつけるかどうかですがね。これは審議上の便宜のため見出しは考えていいと思いますが…。
○議長(泉 有平君) 今まで見出しをつけた例がありますか。
○冨名腰尚武君 郵便貯金規則はついています。
○議長(泉 有平君) 規則にはありますが、法にはないでしょう。これは従来つけてありませんからつけないで行きましょう。ちょっと休憩致します。
  (午後三時五十四分休憩)
  (午後四時三十分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。では見出しは全部取る事に致します。さあ次行きましょう。
  (書記長川畑秀志君「第十七条」朗読)
○與儀達敏君 罰則は一緒にやりましょう。
  (書記長川畑秀志君「第十八条」朗読)
○田畑守雄君 刑期と罰金との釣合はどうなりますか。
○與儀達敏君 委員会でも問題になりましたが、結論が生れなかった。
○田畑守雄君 住民に課する罰則と秘密を洩した者に課する罰則はこれぐらいの開きでいいかな。
○與儀達敏君 布告第四十四号にもそのまま入れてあります。
○田畑守雄君 第十八条は第十七条に比べて罰が軽すぎるという気がしますがね。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後四時三十六分休憩)
  (午後四時五十六分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。次行きましょう。
  (書記長川畑秀志君「附則」朗読)
○調査員(奥島憲雄君) 布令の呼び方ははっきりせんので番号を最初に持って来て名称を下に持って来ましたが、その他立法、規則を呼ぶには立法名、規則名を先に持って来て括弧で発布年月日を閉じるという呼び方に統一した方がいいと思いますが…。
○冨名腰尚武君 どう直すのです。
○調査員(奥島憲雄君) 「臨時中央政府統計局」を布令第四十四号の下に持って来る訳です。後は同じです。
○議長(泉 有平君) では統計法の逐条審議はこれで終ります。続いて設置法を審議したいと思いますが、これも特別委員会附託にしてありますので、委員長に報告をお願い致します。
○與儀達敏君 これも本会議終了後直に委員会を開き、よく検討した結果、委員会案を纏め本会議にかけるよう意見の一致を見た次第です。よろしく御審議をお願いします。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後四時五十五(ママ)分休憩)
  (午後四時五十六分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
  (書記長川畑秀志君「第一条」朗読)
○與儀達敏君 参考案には行政主席室統計局とありましたが、これを行政主席統計局としました。主席事務局とも協議した結果こうしたのであります。
○松田賀哲君 前には政府の一行政機構としてと入っていましたが、これに入りませんか。
○與儀達敏君 普通の局とは違う訳です。
  (書記長川畑秀志君「第二条」朗読)
○與儀達敏君 これは参考案には統計知識の普及といってありましたが、その代り「結果の編集及び刊行」としておきました。
○議長(泉 有平君) よろしゅうございますね。次…。
  (書記長川畑秀志君「第三条」朗読)
○與儀達敏君 これは例によってこうしました。
  (書記長川畑秀志君「第四条」朗読)
○與儀達敏君 参考案には副局長とありましたが、これは省きました。又統督を監督と改めました。
  (書記長川畑秀志君「第五条」朗読)
○與儀達敏君 参考案には総務課とありましたが、庶務課としました。又企劃弘報課とありましたのをよく検討した結果、企劃という言葉の代りに研究という言葉を出しました。
 経済第二課は農林課とあったのですが、関係局と混同する恐れがあるので改めました。
○田畑守雄君 研究弘報課では本当の企劃が出来ますか。
○與儀達敏君 企劃をする所ではないのです。企劃の綜合調整はやりますが…。他の課でやる統計期日を科学的な面からこれを検討する所です。
○冨名腰尚武君 調査方法を研究して決める訳です。
○田畑守雄君 そこで決めることによって他の局が動く訳ですね。
○冨名腰尚武君 そうです。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後五時三分休憩)
  (午後五時八分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。第六条から第十一条まで一括して…。
  (書記長川畑秀志君「第六条から第十一条」まで朗読)
○田畑守雄君 各課で統計を取るですね。
 そして出来た表は研究弘報課に来て分析する訳ですか。
○冨名腰尚武君 一回製表課に廻って統計技術的に表が出来るでしょう。ここは綜合的な問題がある訳です。それが来れば分析出来るのでそこでやってもいいですよ。関連してくる問題が出て来ますね。そういう場合の総合分析研究はどっかでやらねばならないという観念です。
○田畑守雄君 そうすると第八条、第九条、第十条のものは統計調査のしっぱなしで製表課にいく訳ですね。
○冨名腰尚武君 そうして初めて製表課で機械的作業で表を作る訳です。
○城間盛善君 研究弘報課でやる仕事は調査を始める前に、調査方法を研究をするということになるね。済んでも調査結果の綜合的分析、研究をするという任務を持つ訳だね。
○與儀達敏君 そうです。
○松田賀哲君 まあ、参謀本部だね。
○與儀達敏君 各課に分散してもいいが、集注した方がいいという行き方です。
○松田賀哲君 それから各課に委しておけない難しいものもさせることもある訳です。
○冨名腰尚武君 これについては委員会も最初庶務課に全部打ち込んだ訳ですが、庶務課にも相当な事務量があるというので、向うの要望を入れて二つにしました。但し向うの原案では多分に他の課を統轄するというのを我々の方で極力直しました。ただ統計技術的にこういう課を復活する必要があるということを認めて復活するということに話合いが出来た訳です。
○田畑守雄君 結果的に見て、この課が全部を押えているような感じがしますが…。
○冨名腰尚武君 結局、野戦軍と参謀本部の区別は出来てくると思います。
○田畑守雄君 各課で一応は企劃をするんでしょう。それを研究弘報課に持っていって、そこで断を下す訳ですか。
○冨名腰尚武君 いや、技術的方法を決める訳です。
○議長(泉 有平君) 統計資料の集計は結局各課でやる訳だな。そしてその結果を弘報課で総合的に分析する。これがその際の問題だが、結局表の現わし方によって食い違う面が多分に出て来ると思う。そういう点から矢張り一緒に入れておいた方がいいじゃないかな。
○冨名腰尚武君 製表は矢張り技術的なもので調査したものを全部符号化したり、それによって集計したり、専ら作業ばかりする所です。頭を働かしたり、判断することは必要でなく、只与えられた方式に基き資料を表に換える所です。要するに工場ですよ。だから製表課長は工場長で、そこには判断などは伴わない形になっています。
○議長(泉 有平君) 製表課というものは二つに分れていいじゃないかな。
○冨名腰尚武君 所が仕事の上では同じ過程で同じ内容だから寧ろ一つにした方がより効率的だという訳です。プールするという気持です。
○與儀達敏君 これは委員会でも削ったり分けたり大部問題になったんですがね。まあこれは通して下さい。
○松田賀哲君 研究弘報課はまあ企劃課に当る訳だが、他の所はなるべく庶務でやることを勧めている訳ですがね。ここだけ許すとなると…。
○田畑守雄君 それから第十一条の製表課も経済第一、第二に分散した方がいいと思いますがね。
○松田賀哲君 いや、それは向うに行って見れば分りますが、全くの工場ですよ。
○城間盛善君 第八条第四項だがその中で宗教の統計調査などとは何を指すのですか。
○松田賀哲君 真宗が何名で、キリスト教が何名かとかいう事でしょう。
○城間盛善君 ちょっと気になるね。これは単にどの宗派が何名かなら差支えないだろうが、まかり間違って官庁の宗教に対する干渉にならないかというような感じもするね。
○冨名腰尚武君 ならないでしょう。社会現象としてそこにあるものを謳ってあるのですから…。
○松田賀哲君 これは実際やりようによってはファッショにもゲーペーウーにもなり得るね。
○城間盛善君 それまで入れる必要がありますか。
○冨名腰尚武君 社会の中に入るのですから削ってもいいですよ。しかしそうなれば文化の統計資料、新聞雑誌の統計という事も考えられるだろう。
○議長(泉 有平君) 第十条第四項だが、気象調査は気象台とはどういう関係ですか。
○與儀達敏君 局長も話していたが持っていき場所がないので、ここに入れたということです。
○冨名腰尚武君 資料はどうせ貰うんだから、気象と農業、漁業の結びつきの統計はここでやった方がいいだろう。
○議長(泉 有平君) 自ら気象を調査するような観念を与えるね。
○田畑守雄君 ここでの土地というのはどういう意味合いですか。
○冨名腰尚武君 地形調査とか山林調査とか、いろいろあるんじゃないかな。
○城間盛善君 第十条の土地とか、第八条の所得税とかは秘密の何が多いが、こういうのが課税と結びつくという懸念はないかな。
○調査員(奥島憲雄君) ここの土地は地目別の調査の意味です。原野なら原野と…。
○田畑守雄君 それが実際出来るなら有難いがこれは出来ないですよ。
○冨名腰尚武君 これも一つの理想的な形ですよ。運営面でどうなるかは分かりませんが…。
○調査員(奥島憲雄君) 議長さんの心配は気候の統計調査として第九条なども金融の統計調査としたらはっきりする訳ですが。
○議長(泉 有平君) そんなら各条の左の事務じゃなくて左の統計事務を司るとしたらいい訳です。第十条までは…。
○與儀達敏君 そうしましょう。
  (書記長川畑秀志君「第十二条、第十三条」朗読)
○城間盛善君 地方局を置くだけで何処に置くということは主席に任せる訳ですね。
○與儀達敏君 というのは琉球政府の組織ではっきりさせるという意味です。
○調査員(奥島憲雄君) 第十二条は地方統計局としたら…。日本の場合ははっきり名称が決っていますが…。
○議長(泉 有平君) 置く事が出来るとしたら…。
○冨名腰尚武君 これは聞いてみましたら、本島でも中部、北部支局を考えているらしいですが、はっきりした所までは行っていないようです。
○田畑守雄君 それでは人員が膨大になり中央政府成立の建前に反するな。
○與儀達敏君 それは予算でも限定されますから…。
○田畑守雄君 寧ろどこどこに置くとあげた方がいいじゃないかな。
○議長(泉 有平君) 現在五ヵ所あるならそれだけに限定すると法を変えないと増やせない事になる。だから伸縮性のあるようにした方がいいという気持もあるでしょうな。
○冨名腰尚武君 定員が決められないのと同じ気持です。
○議長(泉 有平君) 将来定員法によって決められる訳でしょうな。ちょっと休憩致します。
  (午後五時四十五分休憩)
  (午後五時四十八分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。第十二条、第十三条はいいですね。次附則。
  (書記長川畑秀志君「附則」朗読)
○議長(泉 有平君) いいですね。では今日の本会議はこれで終ります。
  (午後五時五十分閉議)

  本日の出席者
   議 長  泉  有平君
   参 議  松田 賀哲君
    〃   與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   冨名腰尚武君
    〃   大濱 國浩君
    〃   田畑 守雄君
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