戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年12月08日 
(昭和26年)
会議名
第1回立法院本会議 1951年12月8日
議事録
第一回立法院本会議会議録
         第七十日目

 一九五一年十二月八日(土曜日)
午前十時十五分開議

議事日程
 一、自動車税法案ついて(二読会)

○議長(泉 有平君) 本会議を開くことに致します。日程予定は立法案第十五号乗用自動車税法、立法案第十六号統計法、立法案第十七号統計局設置法の予定です。最初に乗用自動車税法案は財政商工委員会に附託しましたが、委員会の審議も大体終ったようでありますから委員長から委員会の経過報告をしていただいてから逐条審議に進みたいと思います。
○冨名腰尚武君 立法案第十五号乗用自動車税法の発議案の審議を附託されました財政商工委員会は昨日本会議終了後、午後七時から委員会を開き、発議案に対しての検討を加えました。その結果、第一条の括弧の中の側車附二輪車とありますが、これは軽車輛として財政局案には洩れていましたが、調査室で挿入したものですが、委員会で色々検討した結果、原案にないものを入れた場合仮に立法案の意図する軽車輛は除外するという方針が軍から許可にならなかった場合、逆にやぶへびの恰好にならないかということが懸念されたので、発議案の中から側車附二輪車という文句は削ることに決定致しました。
 残りに対しては既に発議案の発議者が作成する際に委員会で色々検討した結果でしたから殆んど無修正で承認されました。尚、昨日の一般質問でも委員外の参議から特に御注文もなかったので発議案の先程の分だけ訂正するだけに留めました。
 以上経過報告の説明を終ります。
○議長(泉 有平君) 只今委員長の報告をいただきましたが、別に質問もなければ逐条審議に移ります。
  (書記長川畑秀志君「第一条」朗読)
○冨名腰尚武君 本条が原案と相違している点は原案も矢張り乗用自動車と書いてありますが、これは英文を見ると自動車輛というのが本当です。自動車輛とすべきものを財政局案は乗用車と書いてありますが、そこをはっきりさせた点及び同部分品とあるのを部分品は削除しました。尚見出しの単に自動車税法となっていたのを「乗用」と附加えて課税対象をはっきりさせた点であります。
○大濱國浩君 側車附二輪車はどうした方がいいかということは研究する必要はないですか。ここに挿入してなかった場合これが落ちているという風に考えて居なかった場合はこれにも税がかけられるようにならないかな。
○松田賀哲君 今のお話ですが、この側車附二輪車というのはサイドカーです。将来物品税が課せられた場合はそれにも課せられるようになると思う。だからそれに一括していいじゃないかと思いますがね。
○大濱國浩君 この乗用自動車の英語の解釈と自動車輛の解釈は全然法の目的が違う訳ですね。
○冨名腰尚武君 はい、原案は自動機械装置をされた車輛としか考えられません。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午前十時二十六分休憩)
  (午前十時四十二分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○城間盛善君 今の問題は結局乗用自動車というものの範囲ということになるが、日本では乗用車といえば普通のハイヤーを意味しているが、この税法の参考案として財政局から渡されたものを見ると、日本のものは乗用自動車であるにかかわらず英文は人を乗せるための発動機附きの車と解釈される言葉が使われています。だからそれを直して乗用自動車輛とすると全部包含されることになる。そして参考案では何々を含むとなっていますが、委員長から説明があったように三輪車などは除いた方がいいということになるので乗用自動車輛と修正し括弧内は三輪車、側車附二輪車、自動自転車は除くとした方がいいと思う。
○松田賀哲君 括弧内の問題だが乗用自動車というのはハイヤー以外はこの三つに尽きますか。
  (午前十時四十五分祷清二君出席)
○冨名腰尚武君 この三つでは尽きないかも知れないが、課税対象にされて困るのはこの三つでいいかという考え方だね。
○大濱國浩君 自動車輛の中に自動車がある訳ですね。そうすると自動車輛というのが結局広義の意味だから乗用自動車輛税法として以下全部乗用自動車輛と直す必要はないかな。
○與儀達敏君 税法だから乗用自動車輛には乗用自動車税を課するとしてもいいじゃないか。
○冨名腰尚武君 例えば酒類の輸入に関してだが、ビールもウイスキーもあるが、それを一括して酒類輸入税という意味で差支えないと思う。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午前十時四十八分休憩)
  (午前十時五十分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。第一条は「琉球列島に輸入される乗用自動車輛(三輪車、側車附二輪車、自動自転車を除く)にはすべて本法により乗用自動車税を課する」これでよろしいですね。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 次…。
  (書記長川畑秀志君「第二条」朗読)
○吉元榮光君 この七十五%は根拠がありますか。
○冨名腰尚武君 財政当局の説明によると、当局では三十五%程度の案を立てたそうですが、ルイス民政官の方でどうしても高率課税にしなければいかんといって初めは百%にしろという話だったそうだが、ようやく七十五%に落ち着いたというので我々としても範囲を縮小したので税額は原案通り認めようという気持で…。
○議長(泉 有平君) よろしいですね、次…。
  (書記長川畑秀志君「第三条」朗読)
○冨名腰尚武君 これは原案通りです。
○吉元榮光君 保税地域の限定は…。
○冨名腰尚武君 酒税、煙草税にも使われているので熟した言葉というので…。
○吉元榮光君 輸入自動車でないものとの判別はどうします。
○冨名腰尚武君 第六条で第一項、二項と分けて取扱いを分けてあります。
○議長(泉 有平君) では次…。
  (書記長川畑秀志君「第四条」朗読)
○冨名腰尚武君 これも原案通りです。只部分品を除いただけ違います。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  (書記長川畑秀志君「第五条」朗読)
○冨名腰尚武君 第五条は思い切り改訂したものであります。例の非琉球人の所有にかかるというのは、はっきりアメリカ軍人、軍属と限定した点、それから部品を削除した結果、組立自動車は対象にならないという点からこれを第三項にもって来たという点大きく違っています。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午前十時五十九分休憩)
  (午後零時十六分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。この第五条はいろいろと論議がありましたが、これは意見の一致が見出せないので、本案の審議は後日に継続することにして今日の会議はこれで閉じることに致します。
  (午後零時十七分閉議)

  本日の出席者
   議 長  泉  有平君
   参 議  松田 賀哲君
    〃   與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   冨名腰尚武君
    〃   大濱 國浩君
    〃   祷  清二君
    〃   吉元 榮光君
    〃   田畑 守雄君
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