- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年11月14日
(昭和26年)
- 会議名
- 第1回立法院本会議 1951年11月14日
- 議事録
- 第一回立法院本会議会議録
第六十七日目
一九五一年十一月十四日(水曜日)午後二時二十分開議
議事日程
一、立法院傍聴人規則について
○議長(泉 有平君) 本会議を開きます。
予て行政法務委員会に付託してありました傍聴人規則が委員会の審議を経て委員会として改正案を提出しております。これについて委員長の審議経過の報告をお願いいたします。
○城間盛善君 傍聴人規則に対する委員会の審議経過及びその修正案について、御報告いたします。原案につきまして行政法務委員会で審議いたしましたところ大体に於て日本の国会の傍聴人規程に従っておりまして、それをこちらの事情に適するように簡略にしたのがこの原案になっておりますので、大体に於て、この通り施行して支障ないものと委員会では認めましたが、ただ一、二加除修正をすることに決定いたしましたのもあります。原案の第二条の第一号に兇器その他危険なものを持っている者は傍聴席に入ることを許さないという規定があります。ところでその場合、許す、許さないの判定は兇器その他の危険なものを持っているかどうかを調べなければならないので、それに対する規定が必要であろうということになって、第二条の次に修正案の第三条を挿入したいということに決定しました。修正案に出ている、第三条は兇器その他危険なものを持っているかどうか身体検査をする規定を加えた訳であります。
それから第五条に於きまして、傍聴席に於ける色々な禁止事項が出ております。大体に於てこれで差支えない訳でありますが、表現の問題でありますが、確か原案は参議院の規則を参考にしたのじゃないかと思われますが、衆議院によりますと、--同じことではありますが--一号二号以下の事項が全て「しないこと」という風にはっきり出ておりますが、その方が禁止事項としてははっきりするのじゃないかということから、衆議院の規定に従って修正するということに意見が一致致しました。これはただ表現の相違で趣旨に於ては同じであります。只一つ第三号の原案には、飲食又は喫煙することは禁止するということになっておりましたが、喫煙に関しては現状に於てはちょっと出来ないし、こういった規定があっても矢張り喫煙はするであろうと云うような予想から寧ろ、現状からは実行出来ないというので、省いた方がいいということになって省いてありますが、もっとも将来立派な議事堂が出来、会議の席上では参議も禁煙を守るというような議場になった場合には実行し得るだろうが、例えば群島議会に於てもこういった禁止事項にも拘らず喫煙はしているらしいので、現状に於て実行出来ないことなら略していいだろうということになって、第五条をお手元に差上げてある修正案通り修正した訳であります。その外にはありませんが、第三条を追加いたしました結果、第三条以下が一つづつ番号がずれていっております。以上であります。
○議長(泉 有平君) 逐条審議に移ります。
(事務局長比嘉良男君「第一条」朗読)
○城間盛善君 この規則の名称ですが、傍聴人規則となっておりますが、矢張り前に決議致しました立法院規則と併立的なものでありまして、それから前に委員会の審議経過報告を致しました公聴会規則にも矢張り立法院の名称が冠されてあるので、これも立法院傍聴人規則として、立法院という言葉をつけた方がいいんじゃないかという風に委員会では決定したのであります。以上先程の報告の中に追加いたしておきます。
○議長(泉 有平君) 今の委員長の修正に御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 御異議ないと認めましてその通りいたします。
第一条について御意見がございましたならば…。
○冨名腰尚武君 委員長にお伺いしたいのですが、新聞社関係、通信社関係の記者もその都度傍聴券を貰わなければならない訳ですか。
○城間盛善君 そこまでは、はっきり決めてないのですが。
○冨名腰尚武君 新聞、通信社関係に於てはパスを出すといったような規定は置いた方がよくはないかな。
○吉元榮光君 その都度傍聴券を発行しないで、所有していたらいいんじゃないのですか、返却しないで。
○冨名腰尚武君 その際、氏名、年齢などが記入される訳ですから、担当記者が変った場合、或はその担当記者に事故があって他の記者が来た場合、非合法的な入場ということになるから、だから新聞社に対して傍聴券を発行しておけばいいと思う。
○與儀達敏君 新聞記者は記者席があるから傍聴人とは違うのであって、この傍聴人規則の対象とはならないと思う。
○冨名腰尚武君 新聞記者の身分証明があれば、それを要しない。
○議長(泉 有平君) そうするとこれは明文化しておく必要がありますね。
○冨名腰尚武君 これは傍聴人規則ですから、與儀参議の言われたように、新聞記者を傍聴人と見るかどうかの問題ですがね。
○大濱國浩君 矢張り、そういうのは明示した方がいいんじゃないかな。
○冨名腰尚武君 新聞社、通信社に関しては期限を付した傍聴証を発行するといったような規定を第一条の但書でもいいと思いますが、明記した方がいいんじゃないかと思います。
○議長(泉 有平君) 今の冨名腰参議の御意見に異議ございませんでしたら、その意味を含めた修正案を委員長の方で考えていただけませんか。
暫時休憩致します。
(午後二時三十八分休憩)
(午後二時四十分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
修正案を朗読願います。
○城間盛善君 第一条に但書として、「但し新聞社及び通信社には一会期に通ずる傍聴券を交付する」という風にしたら如何ですか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) では修正意見を含めて第一条御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
では第二条に移ります。
(事務局長比嘉良男君「第二条」朗読)
○冨名腰尚武君 用語の問題ですが、第一項に「兇器その他危険なもの」という風にあるが、「その他危険なもの」ということは要らないという風に感じられるのですが、そこのところはどんなもんですか。兇器所有者といった意味でせうから。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
(午後二時四十三分休憩)
(午後二時四十五分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。第二条別に御異議ないと思いますので、第三条に移ります。よろしうございますね。
(事務局長比嘉良男君「第三条」朗読)
○議長(泉 有平君) よろしうございますね。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
では第四条に移ります。
(事務局長比嘉良男君「第四条」朗読)
○松田賀哲君 「議場に入ることを許さない」となっているが、実際の場合、これは、この立法院から実施されるのでせう。すると矢張り議場と傍聴席を区別したような席を設けなければいかんのですか。
○冨名腰尚武君 傍聴席以外は議場と見なければいかんでせうね。要するに傍聴席から離れてはいけないという規定になりはしませんかな。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 異議ございませんでしたら、第五条に移ります。
(事務局長比嘉良男君「第五条」朗読)
○松田賀哲君 委員長にお尋ねしますが、一の「帽子の類をつけないこと」とありますね。帽子をかぶらんことと思いますが、「類」は何ですか。
○大濱國浩君 こーがーきー(頬かむり)、鉢巻等でせう。
○松田賀哲君 頭にするものですね。
○議長(泉 有平君) 第五条異議ありませんでしたら、第六条に移ります。よろしうございますね。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
(事務局長比嘉良男君「第六条」朗読)
○冨名腰尚武君 「議長は係員をしてこれに退場させることが出来る」の「これに」は「これを」の誤植と思いますが。
○城間盛善君 誤植です。
○議長(泉 有平君) 第六条の「これに」を「これを」と訂正致します。外に異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 御異議ないようですから第七条に移ります。
(事務局長比嘉良男君「第七条」朗読)
○冨名腰尚武君 委員長にお伺い致しますが、この条で規定している傍聴人は全員を意味するのですか。全員退去の意味ですか。
○城間盛善君 傍聴禁止の場合は全員「又は退場を命ずる」という場合には、全員のこともあるし、そうでない場合もある。
○冨名腰尚武君 そうすると第六条と重複すると思うのですが、退場を命ずるということは、一人や二人に退場を命ずることでなくして、傍聴人席が喧噪を極めて秩序の維持が困難になった場合に総退場を命ずる場合じゃなかろうかと思うのですが、例えば参議院規則はこうなっております。「秘密会議を開く議決があった時又は傍聴席が騒がしいためすべての傍聴人を退場させ若しくは議事を妨害した傍聴人を退場させる時は、議長は衛視をしてその命令を執行させる」と細かく規定してあり、衆議院も大体同じですが、議事を妨害した傍聴人を退場させることは我々のこの規則では第七条の適用で済むと思うが、この第七条では「又は議場が騒がしいためすべての」といった修正が必要じゃないかと思うのですが。
○調査員(奥島憲雄君) 第六条の場合は退場を命ずることが出来る。第七条の場合には命令が出たら速かに退場しなければならんということを義務づけている訳です。
○議長(泉 有平君) どうですか、今の第七条の退場のことに関して、議長が禁止した場合の退場と或は秘密会に移るために総退場を命ずるとか、或は議場が拾収出来ないために一、二の特定の人を指名して退場させるのでなくて総退場という意味で解釈した方が適当だという風なことで、冨名腰参議から、第七条の議長が傍聴禁止を宣言した時又は退場を命じた時という、禁止したものは当然第六条によって退場させられる面もあろうし、それで次の退場というものは総退場を命じた時という風に修正をしたらという風な御意見でありますが。
○冨名腰尚武君 今の議長のお話に傍聴禁止を宣言しというのは、第六条を受けるという風な御解釈を採られているようですが、私はここの傍聴禁止というのは、秘密会をやるために傍聴を禁止する、即ち秘密会の議決があった場合という風に採っております。その解釈でよろしうございますか。
○城間盛善君 そういう解釈でよいと思います。
○議長(泉 有平君) 今の冨名腰参議の解釈の仕方で、総退場という内容を持つべきだという意味の修正案ですね。
○冨名腰尚武君 もう少しはっきりさせるために、私の修正の動議として修正案も併せて出したいと思います。第七条を「議長が秘密会を開く議決があったために若くは傍聴席が騒がしいため、すべての傍聴人の退場を命じた時は」こういう風になおしたらどうかと思います。「傍聴禁止を宣言し」というのは、先の議長のおっしゃったような解釈にも採られる恐れがありますので、はっきりさせた方がいいと思います。ちょっと言い直します。「議長が秘密会を開く議決があったため傍聴禁止を宣言し、又は傍聴席が騒がしいためすべての傍聴人の退場を命じた時は」とこう直せばいいと思います。
○議長(泉 有平君) 第七条に対する修正案として只今の冨名腰参議の提案に御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) では修正案通りに致しまして第八条に移ります。
(事務局長比嘉良男君「第八条」朗読)
○議長(泉 有平君) 第八条御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 異議ございませんでしたらこれで逐条審議を終ります。結局第一条の新聞、通信社に対する点と第七条の修正、この二つだけの修正であります。
全条を通じて、何か他に御意見がございましたら…。
○松田賀哲君 これに罰則がついておりませんが、これに関してはどうお考えですか。退場を命ずるとあるが、退場しない者については…。
○城間盛善君 係員や警察官が退場させるのが義務じゃないかと思います。
○松田賀哲君 その程度に止めていいもんでせうかね。
○議長(泉 有平君) 暫時休憩します。
(午後三時二分休憩)
(午後三時九分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
議決第七号の立法院傍聴人規則の審議をこれで終了致します。それから議長に一任されました統計法並に統計局設置法案の特別委員会委員に、松田、與儀、冨名腰、吉元、大濱の各参議、この五名にお願いしたいと思います。よろしくお願い致します。委員長は委員で互選していただきます。
○吉元榮光君 委員長は既に互選してありますから御報告致します。委員長は與儀参議にお願いしたいと思います。御諒承願います。
(「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) これで本会議を終ります。
(午後三時十二分散会)
出席者
議 長 泉 有平君
参 議 松田 賀哲君
〃 與儀 達敏君
〃 城間 盛善君
〃 冨名腰尚武君
〃 大濱 國浩君
〃 吉元 榮光君
〃 田畑 守雄君
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