戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年11月01日 
(昭和26年)
会議名
第1回立法院本会議 1951年11月1日
議事録
第一回立法院本会議会議録
        第六十五日目

 一九五一年十一月一日(木曜日)
 午後二時十五分開議

議事日程
 一、立法公布法案について
 二、改正民事訴訟用印紙法規程について

○議長(泉 有平君) これから本会議を開きます。今日の日程は、立法公布法案の第二読会、次に上訴裁判所から出された改正民事訴訟用印紙法規程についての資料が出ておりますので、一応お諮りして取扱いたいと思っております。
 立法公布法は二十九日に行政法務委員会に附託致しましたので、委員会で審議を終えられたようでありますので、城間委員長からその経過なりの御報告を願います。
○城間盛善君 立法公布法につきまして、行政法務委員会の審査の経過を御報告致します。
 行政法務委員会に於きまして慎重検討致しましたところ大体に於て原案の通りで差支えないとこう考えましたが、第四条に多少の修正を加えた方がこれを実施する上に於て適当であろうということに決定致しまして委員会としての修正案を出したのであります。それは第四条の但書以下についてでありますが、この但書の趣旨は各立法の内容を全住民に周知せしめてから実施するというところにあるので、その点からいえば大変結構なことでありますが、ただ問題は但書の一番おしまいにあります。所轄町村役場に到達した日から起算する。各離島に於てはそこの島の所轄市町村役場に到達した日から第四条の本文に於きまして公布の日から起算して満十日を経て施行する。こういうことになるのでありますが、実際にこれを実施しました場合には、いつその役場に到達したといったところの事実の認定といった面に相当な疑問を生じたり或は不必要な事件を起す虞があるという風に考えましたので、その趣旨を本文の中に織込んで但書以下を消すことに委員会としては決めました。第四条のおしまいのところに第一条の「公布の日から起算して満十日を経て施行する」の「十日」を「三十日」に延長すれば但書以下の趣旨がそこに十分生かされて来る。そうすれば立法事項の期日に関して全琉的に何日からという疑問が生じたり或は不明瞭な点が生じたりすることもなく、而も満三十日の日数があれば全琉に行きわたるじゃないかとこう考えまして修正することに意見一致しました。尚、こういった問題は琉球が多くの離島から成立っているという特殊事情を勘案して普通の場合には立法の施行期日を大体附則として定めますので、それを定める場合に十分これを考慮に入れてこの目的を達することが出来る。こういう風に考えた訳であります。第四条にあります「特に施行の期日を定めるものの外」とこうなっておりますが、普通の立法に於ては施行の期日を定めるのが原則とでもいっていいようであります。特に重要立法であれば、罰則を伴っているものであれば施行期日を定めて制定するというのが普通でありますが、この施行期日を定める場合に琉球の特殊事情をよく考えて、その期日を決定する、若し施行の期日を定めてない場合には公布の日から起算して満三十日を経て施行するということにすれば、十分その目的が達せられるのではないかという風に意見の一致を見たのであります。
 それから附則に於きまして、これは表現上の問題でありますが、附則の二「本法公布前に中央政府立法院の制定した立法及び中央政府行政主席の制定した規則については中央政府行政主席署名の日に本法による公布があったものとする」というこの項目はこの立法公布法の施行前に公布された法律の効力の発生に関する規定でありますが、そこに行政主席署名の日というのがあって、ちょっと紛らわしいのでこれは言い換えれば立法の成立した日或は制定した日ということになりますので、立法の成立は行政主席の署名する場合もあるし、署名しなくても一定の期日を経過すれば署名と同様な意味で成立するということもあるので、法文としては「中央政府行政主席の署名した日」というよりも「それぞれその成立又は制定の日」という風に修正した方がはっきりして来るという理由で、これを修正することに決定致しました。以上であります。
○議長(泉 有平君) 委員長の報告がありましたが、これについて何か御意見がありましたら…。逐条審議に入る前に。
○冨名腰尚武君 委員長にお伺いしたいのですが、附則の第二項の今修正された文にその成立又は制定とありますが、その成立と制定の区別をもう一度伺いたいと思います。それと同時に前文には立法院の制定した立法、行政主席の制定した規則といずれも制定という文字を用いておりますが、それとの関連について…。
○城間盛善君 成立は立法の成立という意味であります。制定は規則の制定という意味でありますが、立法院で議決して主席が署名するか、或は署名しなくても一定の期日を経れば自動的に成立する、制定というのは行政主席の制定した規則を指すつもりであります。
○議長(泉 有平君) 「本法公布前の立法及び規則については」としてはどうですか。
○城間盛善君 そういう意見もありましたが、規則には立法院規則などのようにこちらだけの規則もあるので、そこは矢張り一応行政主席の制定した規則ということをはっきりさせることが必要だということになった訳です。
○議長(泉 有平君) 尚この問題は逐条審議の時に意見を述べていただきたいと思います。逐条審議に入ります。
  (事務局長比嘉良男君「第一条」朗読)
○議長(泉 有平君) 第一条はこれでよろしうございますか。
○城間盛善君 第一条の第一項は立法の公布をする場合の方式、つまり行政主席が公布年月日を記入して、そして署名した上で、それが中央政府立法院の議決を経ているという旨、この三つのことを記入して公布する方式を定めたもの、第二項は立法について、その立法の中に行政主席に規則の制定を委任した条項があれば、その規則を制定した場合に、これも矢張り年月日を記入して公布する。どちらも公布する方式を規定してあります。
○冨名腰尚武君 第一条の二行目の中央政府行政主席が公布の年月日を記入し云々として、公布する、とあるのですが、記入する場合の年月日と現実に公布する年月日が一致しておれば問題はないと思いますが、恐らく普通の場合には公報印刷の手続や何やらで記入する年月日と実際公布の年月日は違って来やしないかと思うのですが、年月日の上の公布は除いたらどうかと思います。それは第二項の場合には単に行政主席が年月日を記入して公布するとこうなっておりますが、これが狂わなければいいのですが、狂った場合に公布の日から起算するといった場合に一体どちらを取るかということが問題になって来る訳ですが。
○城間盛善君 この署名というのは公布する場合の署名であります。立法に署名する、あの署名とは違うのです。つまり立法院で議決した立法案は主席のところに廻って来て主席は十日以内にこれに署名する。署名した場合に始めてその立法が成立する訳です。今度は公布する場合に公布の年月日を書いて署名する。この署名は公布の場合の署名で立法の成立の署名と別個のものです。
○冨名腰尚武君 それは分っておりますが、こうする場合の日附と公報に掲載してその公報発行の日附と一致しているかどうかという問題ですが。
○城間盛善君 一致しませんね。
○冨名腰尚武君 第四条の「公布の日から起算する」ということは公報発行の日附を意味することになりませう。そうすると公報日附が二つあるような格好になって、その辺が工合が悪いのじゃないかと思うのですが。
○調査員(平良惠任君) 二十日以後まで公布しなければそういう問題が起って来る訳です。三十日以内に公布しないとどうしてもそれ以後の月日を附けなければいけない。ところが公報発行に於ては二十日以内に公布の年月日と発行年月日を一致させることは出来ると向うでは解釈している訳です。
○議長(泉 有平君) 公報の発行は月三回でせう。
○城間盛善君 随時でせう。決っていない。
○與儀達敏君 二十日に一回はどうせ公報は出るでせう。
○松田賀哲君 公布の日というのはどういう訳ですか。
○城間盛善君 皆に知らせる日。
○松田賀哲君 だからそれは公報の出た日じゃないのですか。
○與儀達敏君 公布の日を決めてその通り発行するような態勢をとって公布しなければいかんでせうね。
○松田賀哲君 公布の日というのは公報を発送した日になるのですか。
○調査員(平良惠任君) これを公布するという日附、あれが大体公布の日になる訳です。
○松田賀哲君 然し公布するということになれば、人の目に触れなければいかんのじゃないか。
○調査員(平良惠任君) 公布の日と発行の日を一致させるようになっているが、原則として昭和何年何月何日といって書いて署名するからその日が公布の日だといわれている訳です。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後二時三十八分休憩)
  (午後三時五分再開)
○議長(泉 有平君) 再開いたします。
 色々御意見が出ましたが、第四条の施行期日を規定することについては、その起算の基準になる公布年月日というのをどの条項かにはっきり謳わなければならないと、こういう風に思うのであります。それで要するにこれの第一条の公布年月日で問題になっているのは、公布によって責任を持つ、義務を履行するというような実際問題もありますが、そこの調整は結局第四条の経過日数によって調整が出来るだろうと思いますし、そういう調整の出来る基準をどうしても謳わなければならないので、そういう基準になる公布年月日という風に解釈して、この原案通り生かして行ったらどうかと思いますが、そういう解釈に御賛同願えたら、原案通りでいいんじゃないかと思いますが、如何なものですか。
○松田賀哲君 それは第一項だけですね。
○議長(泉 有平君) はい、第四条と関連して。
○冨名腰尚武君 今の解釈で賛成であります。然し、それに関連して、それならば第一条第二項の方の規則の場合も矢張り公布年月日を起算する日をはっきりさせておくという意味からいって第一項と同様に公布という文句を挿入しなければならないと思います。
○城間盛善君 いいでせうね。
○議長(泉 有平君) じゃこれは第二項の行政主席の制定する規則に関しましても「行政主席が公布年月日を」と「公布」の二字を入れることに致します。これでよろしうございますね。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○冨名腰尚武君 第二条に進む前に見出しの「立法公布法」これは立法並に規則に対する公布ですが、特に立法と限定しなければならないかどうか。
○議長(泉 有平君) 今の冨名腰参議の御質問でございますが、立法公布法という見出しであれば、立法だけで規則を謳うのは妥当を欠くのじゃないかということですが。
○城間盛善君 この法案は立法に関連する公布の方式を定める、その外のものは例えば告示とかいうものは実際これには入れない。立法の公布の方式を定めることが主眼点だということになっております。では規則はどうかというと、これも矢張り立法に関連するもので、立法の中に特に規則の制定権を主席に委任した場合だけに限るものです。第二項の場合は、要するに立法の実施上必要な規則を行政主席が定める、矢張りこれも立法に関連する、こういう風に解釈しております。
○松田賀哲君 立法をとって公布法としたらどうですか。
○調査員(奥島憲雄君) 以前は勅令で公(布)式令になっておりました。
○大濱國浩君 公布式法にしたらどうですか。
○與儀達敏君 公布式法にするというと様式を決めた単なる公布式とは違うはずですがね。公布そのものによって立法の効力の発生するところまで、所謂住民を拘束することになりますがね。群島政府の公布式条例というのは単なる様式を決めたものであって、この法は一つの立法措置を定めてありますので…。
○議長(泉 有平君) 立法院の立法したものに限られるものでなくて立法に足場を置く規則も同時にこれによるという意味から立法を取ったらどうか。単に公布法というような見出しにしたらどうかというのですが。
○與儀達敏君 その点につきましては、城間委員長から御説明がありましたので、規則が立法に基いたものでありますので、普通の規則告示とは違うのでありまして、むしろ拘束力を持つ法規として規則も立法に準じて立法公布法の中でやった方がいいんじゃないかということで規則だけを立法公布法に入れて告示或は公告というようなものは立法公布式に、というような話合になった訳です。所謂拘束力を持つ立法と同じような効力を持つような規則は立法と同じようにしようということで、立法公布法にしたのです。
○冨名腰尚武君 今の委員会の御説明によりますと、規則は立法府に委任されたものか、基礎的立法から派生したものであるから、立法の中に包括されるものとして立法公布法とした、こういう御説明でありますが、その場合に立法という言葉は私は普通名詞として使われている。こういう考え方をしている。然し臨時中央政府の場合に於て立法というのは一つの特定のものを指すという風になっております。日本流にいえば法律公布法という訳になるのですから、これに規則も含まれることは用語の紛淆を来す恐れがあるのではないかと思いますので、ただ単に公布法といった場合には告示とか訓令とかいったものは入っていないのじゃないかという恐れもありますが、それは自ら内容によって規定して行くので今の立法という言葉をつけるのは、特に琉球では法律の代りに立法ということを使っているので、その特定のものだけの公布法を指すといった読み誤られる恐れもあるので、その意味から削除した方がいいんじゃないかとこう考えます。
○松田賀哲君 今の立法という字を抜いた場合、何か悪いことがあるのですかな。ちょっと委員長にお伺い致しますが、今の立法という言葉を抜いた場合に何か不都合が生じて来る訳ですか。
○城間盛善君 ただ公布法といえば全ての公布の方式を定めなければいかんのじゃないかと思いますがね。例えば告示はどうする、訓令はどうするといったことも決めなければいかんと思います。
○調査員(奥島憲雄君) 公布という概念は普通一般人民を拘束するところの法令を含むのです。それの効力発生という時期を押えて、公布そのものの概念の中に一般的な拘束力をもつ法令ということを前提としている。それ以外の官庁に於ける事実を告知するのは、別に公告といった観念がある訳です。公布の中には、法律命令全て人民を拘束するものということはいえるのじゃないかと思います。群島政府も公布式条例、東京都教育委員会は、東京都教育委員会公布式規則となっています。
○松田賀哲君 そうすると今の奥島調査員のいわれるのは、この立法という言葉をとった場合に、告示とか何とかも含まれる恐れはないという意味ですか。
○調査員(奥島憲雄君) 告示とかは含まれない。公告式として別に規定する訳です。
○松田賀哲君 そんなら取ったらいいんじゃないかな。
○與儀達敏君 議長、休憩をお願いします。
○議長(泉 有平君) 暫時休憩します。
  (午後三時二十分休憩)
  (午後三時二十四分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
 今の問題は見出しの立法公布法の立法を取る、取らないの問題でありますが、矢張り公布法は住民の自由を拘束するという内容を持っているようであります。従って立法は勿論でありますが、規則も同様な内容を持っております関係上、所謂公布法という名前を使うし、併もその内容を二つ謳うというような意味から立法という限定された形をとるのは得てして多少複雑性を帯びる恐れがありますので、本法に於きましては立法の二字を取りまして公布法という風に決めたいと思いますが、御異議ありませんか。
○松田賀哲君 公布式法でせう。
○議長(泉 有平君) ちょっと休憩します。
  (午後三時二十六分休憩)
  (午後三時二十七分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
 前のを取消しまして、公布式法ということに致します。差支えございませんですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
 それでは第二条に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「第二条」朗読)
○議長(泉 有平君) 御異議ございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
 第三条に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「第三条」朗読)
○冨名腰尚武君 委員長にお伺いしたいのですが、二十日以内という日数については何かどうしても二十日でなければならないという理由がおありでありますか。
○城間盛善君 行政主席事務局では、月三回発行しているそうでありますが、大体二十日位の余裕があれば出せるのじゃないかという意味ですが。
○松田賀哲君 その点について行政主席事務局長の発言をお願いしたいと思います。
○行政主席事務局長(金城寛君) 御参考までに申上げます。公報発行も第五号に至りまして、どうやら追いつきました。それで予算としましては一応月三十ページ、これを三回に分けて発行する、こういう予算を採っておりますが、立法され次第逐次一ページでも発行する予定であり、従いまして、大体三ページ程度の立法関係法令でしたら、十日以内には出来ます。それ以上約十ページに亘る場合には十五日には出来ると思います。現在印刷所が一ヶ所しか使用出来ませんので群島政府関係の印刷とかち合う場合がありますので、十五日ではぎりぎり一杯出来ると思います。
○議長(泉 有平君) 大丈夫なところ十五日、そうなれば十五日というのは普通に予定する日ですね。
○行政主席事務局長(金城寛君) はい、三ページの内容でしたら十日では出来ます。
○松田賀哲君 今の行政主席事務局長の発言によって大体二十日以内に出来るということが分りましたが、然し沖縄は台風というのが多くて、不可抗力の場合が相当生ずるのではないかと思うのですが、そこで原則として二十日というような意味で止むを得ざる事由の外二十日といった場合の文句を加える必要はないかと思います。
○冨名腰尚武君 その問題については、第一条で既に論じられて、所謂公布のための手続を主席がとった日、これを記入して公布するとこうなっている訳で、ここの制定の日から二十日以内に公布しなければならないということは、これは主席に対する義務を負わしている訳ですが、第一条の第二項の「公布の年月日を記入しこれに署名し公布する」という行為を二十日以内にしなければならんという風に、私はそう解釈している訳ですが、二十日以内に公報に登載して公報を出版しなければならないという意味だとすると、又自から別だと思いますが、委員長はその方はどういう風に解釈しているのですか。
○城間盛善君 第一条の公布年月日を承けております。
○冨名腰尚武君 第一条を承けて公布しなければならないというのは、二十日以内は少し長過ぎるのじゃないかと思います。
○松田賀哲君 そうするとここの解釈は二十日目にやってもいい訳ですね。
○冨名腰尚武君 立法は成立し制定してもその手続を殊更に遅らしているという格好になりはせんかと思う。
○城間盛善君 ぎりぎりに二十日目に公布するとなれば、立法院で議決してから三十日かかる訳です。公布も署名もぎりぎりの二十日にするということになると三十日かかることになる。
○議長(泉 有平君) ちょっと休憩します。
  (午後三時三十六分休憩)
  (午後三時四十三分再開)
○議長(泉 有平君) 再開します。
 第三条の二十日の問題、これは普通の場合には十五日位では公布出来るというようなことで、特に二十日以内で出来ないような事情があった場合には、特例として便法が講じられるというようなことで、原案通り行きたいと思いますが、御異議ありませんか。
○松田賀哲君 行政主席事務局長の御意見では二十日以内には如何なることがあっても十分出来るとはいえんけれども、普通の場合には十分出来る、然し不可抗力が起った場合には別に特例を設けて貰いたいとこういう御意見なら私が先程申上げました、修正動議は撤回してよろしいと思います。
○議長(泉 有平君) 松田参議の修正動議、撤回になりましたので、御異議ございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) では第四条に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「第四条」朗読)
○冨名腰尚武君 これに関しては実際上の問題として主席事務局長の意見もあると思いますので、休憩してその意見を聴取したいと思います。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後四時二分休憩)
  (午後四時十五分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○田畑守雄君 第四条に対して修正動議を提出致します。
 只今主席事務局長の御意見によりまして、琉球には南北大東島、硫黄鳥島などは現在の三十日という日数では到底公報の到達は望めない。二月も三月もかかるというようなところがあるが、然しそういう島によって全琉の施行が遅れるということは、これは由々しい問題であると思いますので、そういう特定の島に対しては但書によってその島に到達した日からというように規定して貰ったらどうかと思いますので、ここに動議を提出致します。
○議長(泉 有平君) 田畑参議から次のような修正動議が出ております。三十日を以て施行の出来ないということが常識的に考えられる島が主として南北大東島、硫黄鳥島にある。これらに対しては矢張り施行の目安というものを規定すべきだというようなことで、これらの特定の島に対しては、その島に到達した日から起算するというような意味合の内容を謳った方がいいんじゃないかという、こういう修正の動議でありますが、如何でございますか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) どういう風に修正しますか。
 暫時休憩します。
  (午後四時十七分休憩)
  (午後四時十八分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
 修正案を委員長から朗読していただきます。
○城間盛善君 但北大東島、南大東島及び硫黄鳥島にあってはその島地に到達した日から起算して満十日を経て施行する。
○議長(泉 有平君) 御異議ありませんか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 附則に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「附則」朗読)
○議長(泉 有平君) これについて委員長からの御説明で修正がありましたが…。
○城間盛善君 委員会の修正案を読みあげます。「本法公布前に中央政府立法院の制定した立法及び中央政府行政主席が制定した規則については各その成立又は制定の日に本法による公布があったものとする」
○冨名腰尚武君 ここを開会劈頭に質問した訳ですが、「本法公布前に中央政府立法院の制定した立法という」文句を「本法公布前に成立した立法」とこう訂正したらどうかと思います。
○議長(泉 有平君) 今冨名腰参議から第二項について修正の動議が出ておりますが、それに対して御意見を聴かしていただきたいと思います。
○松田賀哲君 委員長にお伺いしたいのですが、この第二項は、これは原案のままでは何故悪いのですか。
○城間盛善君 それは中央政府行政主席の署名というのが結局第一条にある署名とは違う署名であって立法成立のために必要な署名なんです。その点紛らわしいというのが一つ、もう一つは立法が成立するのは常に行政主席の署名を要するとは限らないので十日を経て署名しなかった場合にはそのまま成立するということも理論上あり得る、そういう意味で成立といった方が、紛れもないし、はっきりして来るという、こういうのです。
○與儀達敏君 第二項「本法公布前に成立した立法」に修正する御意見に賛成します。
○議長(泉 有平君) 「本法公布前に中央政府立法院の制定した立法」というのを「本法公布前に成立した立法」という風に訂正することに御異議ございませんですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) ではそういう風に訂正致します。
 逐条審議によって一応修正したのですが、改めて全体について御意見はございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) では公布式法はこれで第二読会を終了致します。
○城間盛善君 二読会の終了を暫く待っていただきたいと思います。と申しますのは、これはまだ民政府との綜合調整が済んでおりません。ここで意見の一致を見たので修正案によってそれを翻訳し、そして民政府との綜合調整をやらなければいけませんので、民政府に於てどういう意見が出て来るかはっきりしません。それで民政副長官の立法に異議なしという文書が来るまで、そのまま二読会の連続という形にしておいた方が後でいいんじゃないかと思います。
○議長(泉 有平君) 今、委員長から申出がありましたが、軍との調整期間を二読会の継続として持ちたいと思います。この点御了解をお願い致します。
 公布式法の審議は一応これで終ります。
 では次の日程に移りたいと思います。
 上訴裁判所から改正民事訴訟用印紙法規程というのが来ております。これは矢張り行政主席を通じてメッセージが出るべきではなかろうかと考えておりますし、又或は参議の発議という形式でなければ上程出来ないと思いますので、その取扱方についてお諮り致したいと思います。
○與儀達敏君 改正民事訴訟用印紙法規程でありますが、これは審議する前に、立法院にその規程を送って来たのは、立法院はどういう権限で審議するのか。
 --上訴裁判所は現行訴訟用印紙法という旧法の規定を改正しようという訳でせう。その旧法の改正について立法院で審議できますか、どうですか。
○議長(泉 有平君) 立法ということは立法院に委されたことであるので、それに伴ったメッセージでも出れば当然審議すべきではなかろうかという解釈ですが。
○大濱國浩君 ニミッツ布告によって釘付けされているでせう。そういう建前から立法院が旧法を改正していくかどうかということは、指揮を仰ぐ必要はないだろうかと思います。
○與儀達敏君 これは布告でやって貰った方が現段階ではいいと思います。疑義が出ると思います。
○議長(泉 有平君) 結局旧法を改正出来るかどうかですね。
○冨名腰尚武君 ニミッツ布告に特に改めて指定するの外は旧法を施行する。あれは布告か布令によって権限を委任されなければ出来ないのじゃないかな。一応調べて見る必要がありますね。
○與儀達敏君 宮古では改正したのですが、それは軍指令を仰いでやった訳です。
○議長(泉 有平君) その点をよく調べて筋が通れば適当な措置をとることにして…。
○冨名腰尚武君 仮に我々がこれを取上げる権限があるということが判明した場合、上訴裁判所としては軍の当局と連絡を取って所謂綜合調整をやって来たものであるかどうか。それから財政局との綜合調整は行われているかどうかを確めて貰いたい。それが終了していなければ、それを済ましてからこっちに廻して貰いたい。
○與儀達敏君 日程についてでありますが、私只今財政金融委員会、商工委員会の合体したものの委員長に仮になっている訳ですが、冨名腰参議も帰られまして、又松田参議も仮議長から参議に復されたので、これを元に復したいと思います。然るべく委員長の更迭をお願い致します。
○冨名腰尚武君 合体した形はそのままにしておいて、委員長を復元する訳ですね。
○議長(泉 有平君) 財政委員会は委員長が欠員でありますので、それで全員がお揃いになっておりますので、すぐ委員長を互選していただいて事務の引継をしていただく、こういう工合にしたらどうですか。
 今日の本会議はこれで終ります。
  (午後四時四十三分閉議)

  出席者
   議 長  泉  有平君
   参 議  松田 賀哲君
    〃   與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   冨名腰尚武君
    〃   大濱 國浩君
    〃   吉元 榮光君
    〃   田畑 守雄君
行政主席事務局長
        金城  寛君
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