- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年10月29日
(昭和26年)
- 会議名
- 第1回立法院本会議 1951年10月29日[2]
- 議事録
- 第一回立法院本会議会議録
第六十四日目
一九五一年十月二十九日(月曜日)午後二時七分開議
議事日程
一、立法院公聴会規則について(決議案第六号城間参議発議)
二、傍聴人規則について(決議案第七号城間参議発議)
三、立法公布法について(立法案第十四号城間参議発議)
○議長(泉 有平君) これから本会議を開きます。
今日の日程は三つございますが、進行の都合上、日程第三の立法公布法を先ず上程致したいと思います。
では提案者の城間参議に御説明を願います。
○城間盛善君 私から提案理由の御説明を申上げます。この立法公布法は指令第六号「行政主席及び副主席に関する補充規定」の第六項に基礎をおいて立案したのであります。第六項の「法規の公布及び施行」というところに「法規の公布は主席の責任とする。主席は立法院制定法規の委任によりその施行のため必要な細則を定めることが出来る」という風に定められております。そしてこれの立法の公布の方式を定める立法が必要ということになりますので、本立法案を提案した訳でありますが、それに附随して立法を行政府が施行する際に当ってその施行上必要な規則を行政主席が定める権限を委任される場合があります。これはそれぞれの立法に明示するところによりまして立法施行上必要な場合にその立法の規定に従って行政主席が定める規則になるのですが、これも結局立法の実施上に必要なもので、立法に関係する事柄でありますのでこの二つのことを公布する方法を定めたのであります。つまり立法の公布とその立法施行上必要なものとして主席に与えられた権限内での主席の定める規則、この二つを内容としたものであります。
○議長(泉 有平君) 只今の提案理由の御説明について御質問はございませんか。
○松田賀哲君 従来立法するには、行政主席のメッセージがあったのが例でありますが、今度のこれはないようですね。
○城間盛善君 メッセージは来ておりません。然し兔に角指令上なければいけないものであって、こちらから立案し、一応は立案は調査室でやっておりますが、調査室では行政府と一応の綜合調整はしてあります。恐らくここで準備しているので、メッセージは来なかったのかも知れません。
○松田賀哲君 立法院独自の立案ということになりますね。
○城間盛善君 そうです。
○議長(泉 有平君) 別にございませんか。
別に質問もございませんようですから、これを行政法務委員会に附託したいと思います。御賛成願いたいと思いますが如何なものですか。
(「賛成」と呼ぶ者あり)
それでは行政法務委員会に附託致します。
○城間盛善君 只今行政法務委員会に附託されましたが、この委員会で研究審査に当らなければいかんということになりますが、他の参議に於かれましてもこの立法の中で特に第四条のところを御研究しておいていただきたいと思います。この第四条には色々の問題を含んでおりまして、立法したものに施行期日を明示してない場合にはどういう経過を経て効力を発生するかという規定になっております。立法に特に何月何日に施行するということを定めてある場合にはいいのですが、定めてない場合には、公布の日から十日を経て施行することとし、殊に但書以下に琉球の全住民に立法の内容を知らせて然る後に実施するといった民主的な建前といったものを織込んでおります。尚これを実施する場合に色々な問題を含むということが考えられます。何れ委員会では研究し審査するということになりませうが、その点一つ各参議に於かれましても特に御研究をお願いしておきたいと思います。
○議長(泉 有平君) 次は日程第一の決議案第六号立法院公聴会規則についてでありますが、城間参議から御説明をお願い致します。
○城間盛善君 立法院公聴会規則はまずその性格に於て先程議決になりました立法院規則と並立的なものであります。特に本規則は公聴会に関する規則だけを纏めたものでありまして、前の立法院規則の説明の時にも申上げました通り、あの規則は前に既に議決済の規則の改正というのがその目的でありますので、最初に議決した規則の原形に余り大きな変化を加えないようにという方針に基いて改正したのであります。それで公聴会に関する規則は相当な量になりますので、あれに追加せずに別個の形式でここに提案した訳であります。性格に於きまして、力に於きましては立法院規則と並立的なものと考えております。尚これを立案するに当りましては、日本の参議院及び衆議院規則を参考にしてあります。日本の国会に於きましては公聴会は全て委員会を中心として行っておりますので矢張りこの規則に於きましても委員会中心の、委員会によって公聴会を開く、こういう原則に基いて立案してあります。
尚この公聴会に於きましては、アメリカ辺りの議会を見学しましたところ、別に難しい規定もなしに非常に簡単に行っているようでありますが、日本の国会の運営を見るというと相当の規則を設けて実施しております。国会に於ても戦後の議会からはじめて行われているのじゃないかと思いますが、特にこちらでもこれが初めてでありますので、アメリカのように今まで数百年間慣れたような慣習がありませんので、矢張り日本の国会の定めた公聴会規則によって運営した方が公聴会の効果ある運営が出来るのじゃないかとこう考えまして、日本国会の規則に基いて、これを参考にして立案した訳であります。そして本立法院に於きましても、この規則が議決になりましたら、その後出るべき重要な立法案につきましては、この規則に基いて公聴会を開き、広く世論をそこに反映せしめて、民主的手法の趣旨に従って行けるのじゃないか、こういうことを目指していることは勿論のことであります。大体に於きましてまず公聴会を開く場合には、公聴会で意見を述べようと思う人々から賛成なり不賛成なりの意見と同時にその理由を述べた文書を提出させ、これによって当該委員会が公述人を選定しそして公聴会を開いて口述させる。こういう仕組であります。尚特に申込はなくても、学識経験のある者から、特に委員会から出席を求めて意見を聴くと、こういう風な建前になっております。この場合勿論証人とは違いますので証人喚問という強力なものでなく、ただ学識経験者の意見を聴くという意味でありますが、つまり公述人は自ら申出た者と自ら申出なくても、その委員会に於て特にその意見を聴きたいという学識経験者、こういう二種類になるのであります。そしてその意見を聴く対象となるところの立法案に対する賛成、不賛成に対する発言が公平に--その数に於ても時間に於ても--行われるようにしたい。こういったことがこの立法の骨子になっております。以上を以って説明を終ります。
○議長(泉 有平君) 只今御説明がありましたが、本案は一読会、二読会、三読会の形式を採らずにそのまま内容を検討、審議するという方法に進めて行きたいと思いますが、それでよろしうございますか。
○城間盛善君 これは決議案でありますので、別に読会形式を採らなくてもいいと思いますが、然しこれは前の立法院規則と違いまして、これは発議者が単独で発議したものでありまして、その前に委員会の審査も経ておりません。前の立法院規則の場合には、全体協議会に於きましても、委員会に於きましても研究しましたが、これはまだ委員会の審査も経ておりませんので、一応委員会附託にされた上で改めて審議するという風な順序の方がよくはなかろうかと思います。
○議長(泉 有平君) 今提案者から一応委員会附託にしてもっと検討したらという風な申出がありましたのですが、或は又議長が申しましたように、このまま読会形式を省略して審議を進めるという方がいいのか提案者の案にしますか、どうしますか。
○與儀達敏君 立法院公聴会規則並に今日の日程にある傍聴人規則これの発議者の説明がありましたが、これは委員会附託にしないで立法院規則の一部でありますので、事簡単でもありますし、直ちに審議に移した方がいいと思います。
○議長(泉 有平君) 今の二番議員(與儀達敏君)の提案に異議ございませんですか。
○田畑守雄君 今までの慣例からいうても矢張り委員会の活動という分野がありますので、一応形式に流れるかも知れませんが、委員会に附託して然る後に本会議にかけた方がいいのじゃないかと思います。
○松田賀哲君 これは発議者の城間参議からもお話がありました通り、三読会をやらなくても慎重に研究しなければならんと思います。というのは、これは外部関係であります。だから今、二、三の方から御意見がありましたように、私も一応委員会附託にした方がいいと思います。それはむしろ委員会附託というよりも我々自身少しこれを研究してみなければならんと思うのであります。この議案は、今この席上で貰っただけでまだ目も通していないのでありますから、暫く余裕を与えていただきたいと思います。
○議長(泉 有平君) では本案は二、三日余裕を置きまして、全員協議会で検討審議することにしたらどうかと思いますが、その点は如何ですか。
○松田賀哲君 全員協議会ですか。全員協議会で先ず纏める訳ですね。そうすると本会議では何をやりますか。私はこれは我々の研究が済めば本会議を開いて意見を述べて決めていいと思うのですが。
○議長(泉 有平君) ではこの立法院公聴会規則は慎重なる検討を要するというような性質のものから致しまして、又多数の御意向もありましたので、行政法務委員会に附託致したいと思います。御異議ございませんですか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○城間盛善君 この規則の中で特に参議の方々の御検討をお願いしたい点は、これが、公聴会を委員会で行うという建前であります。この点につきまして、御研究をお願い致します。つまり委員会がある立法案の附託を受け、これを審査して行く最中に広く世論を聴こうという場合に、その委員会として公聴会を開くという建前をとっております。この点委員会本位、委員会を主体とした公聴会、それから証人喚問の場合には指令第五号によりまして、第十項会議規則の中のCの項目に「立法院はその会議又は委員会に於て証人を喚問し臨時中央政府の書類、帳簿の提出を求めることが出来る」とあって、委員会としても証人喚問が出来るし、又立法院全体としても出来る、こういう建前になっております。証人喚問の場合、書類提出の要求の場合には立法院全体として、又は委員会として両方の活動が出来るようになっておりますが、公聴会に於ては日本の国会の方式に従いまして委員会の審査中一般の民意を聴くという建前をとっておりますが、その辺のところに問題があるかと思いますので、特に御研究をお願い致します。そうしましたのは委員会が審査中に委員会の責任に於て世論を聴くという方が立法院の運営上いいんじゃないかという考えも含まっているのであります。御参考までに申上げておきます。
○松田賀哲君 城間参議にお伺いしたいのですが、この公聴会規則、次の傍聴人規則、これは独自の立案でありますか。或は日本のものを参考にしての立案でありますか。
○城間盛善君 公聴会規則は日本の衆議院及び参議院規則を参考にし、それを基礎にして作ったものであります。
○議長(泉 有平君) では第二号議案は行政法務委員会に附託致します。
次は第三号議案、傍聴人規則、提案者の城間参議の御説明をお願い致します。
○城間盛善君 傍聴人規則につきましては、別に立法院規則の場合には規則にはなかったのでありますが、然し前の規則を立案した場合にもこういった傍聴人に関する規則は別に定めるという趣旨であったのであります。尚立法院規則に於きましても、議場の秩序の保持というような権限があります。これに関連致しまして当然傍聴人を取締るべき規則がなければいけない。こういう意味でこの起草をして発議をした訳であります。この傍聴人規則も先程の公聴会規則と同じように日本の国会の衆議院及び参議院の規則を参考にして作ったものであります。ただ然し立法院に於きましては規模が非常に小さいという現状から考えまして日本の傍聴人取締規程をずっと簡略にしてありますが、基礎は日本のものに基礎を置いてあります。むしろ参議の数も少い上に議場傍聴席も小さい。兔に角規模が小さいという意味でああいう大げさな国会のものをそのまま取っているのでなくて、あれを基礎にしていながら簡略にしたものであります。
○議長(泉 有平君) 御質問がございましたら…。
本案は矢張り前案と同じく委員会附託を希望致しますか、それとも読会省略の形で審議致しますか。
○城間盛善君 読会は省略していいと思います。然しこれも公聴会規則と同じように一参議の発議でありまして、まだ委員会の審査を経ておりませんので、これも先の公聴会規則と同じように委員会附託にしまして委員会によって一応審査するという段階を経た方がよくはないかと思います。但し別に読会の形式は採らんでも構わんと思います。大体今まで発議の場合にはすべて主席のメッセージがあって、それに参考案がついて来たのでありますが、その場合本会議に於きまして直ぐにその参考案について或は主席のメッセージそのものについて、その問題の所管の委員会に附託して研究して貰うという風な形式をとっておりますが、これは一参議が直接発議したものでありますので、発議前の委員会の研究とかいったものが出来ないのであります。立法院規則によりまして委員会の正式活動は本会議の附託した事件を審査するということになっておりますので、直ぐ発議した訳であります。尤も非公式には委員会としても発議前に研究するということも出来ませうが、これはあくまでも非公式なものでありますので、一応は委員会の審査を経た方がいいんじゃないかと思います。
○議長(泉 有平君) じゃ本案は行政法務委員会に附託致したいと思いますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) ではそういう工合に致します。
これで今日の日程は全部終了致しました。これで閉会致します。
(午後二時三十九分閉議)
出席者
議 長 泉 有平君
参 議 松田 賀哲君
〃 與儀 達敏君
〃 城間 盛善君
〃 大濱 國浩君
〃 吉元 榮光君
〃 田畑 守雄君
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