- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年10月24日
(昭和26年)
- 会議名
- 第1回立法院本会議 1951年10月24日
- 議事録
- 第一回立法院本会議会議録
第六十日目
一九五一年十月二十四日(水曜日)午後二時五分開議
議事日程
一、立法院規則について
○仮議長(松田賀哲君) これから本会議を開催します。
これは昨日午前十時から本会議を開く予定になっておりましたが、差支えがございまして今日やる訳であります。
今日は第十一条からであります。
(書記長川畑秀志君「第十一条」朗読)
○城間盛善君 この条項について御説明申上げます。これは元の規則の第四十三条であります。多少改正したのでありますが、元の規則には「議案その他の審査若くは政務に関する調査のため又は院に於て必要の場合」という風に広く決めてあります。ところが改正案では第十一条では「委員会は議長の承認を経て審査のため必要がある時」という風に狭めてあります。それの意味は要するに参議が委員として派遣される建前ですが、これは委員会で審査している議案、それに関連した審査のためどうしても出張して行って調査しなければならないといった場合だけを想定している訳です。第四十三条の例えば「政務に関する調査」というのは日本の国会の規定から来たと思いますが、日本の国会に於てはこういったことは是非なければならないものでありますが、こちらの場合の完全に分立した立法院に於ては恐らく政務に関する調査は行政面に属するでせうが、これに関する調査といった面は考えられんのじゃないか。こういう意味でとった訳であります。
○仮議長(松田賀哲君) 原案に御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) 御異議ないようでありますから次に移ります。
(書記長川畑秀志君「第十二条」朗読)
○仮議長(松田賀哲君) 如何ですか。ここでいう専門委員というのは。
○城間盛善君 参議、立法院事務局職員以外の人を専門員にするというのです。
○吉元榮光君 参議と同等若くはそれ以上の人の知恵を借りなければいかん、そういう権威者を専門員というのでせう。普通の調査員は職員でせう。
○冨名腰尚武君 参議並若くは参議以上というのはその専門に関してです。然しそれは学校で所定の業を卒えて一定期間、少くともその専門の仕事に従事した人なんかそれに該当する訳です。仮に嘉陽君なんかが立候補もせず外にも行かずに専門委員として来て貰えるという風になれば、そういった人が専門員という訳です。
○吉元榮光君 一方では琉大で教授をしている人を必要に応じて来て貰って今までの体験を聴いてどうすべきかといった話があったのですか。
○冨名腰尚武君 それとは違いますね、この間出た話は院は証言を求めることが出来るでせう。国際法の権威者或はその他権威者がおればその人を招いて我々の疑義とするところを証言を求める。その点で補足出来ませんか。そこは専門で職に就き得る人をいう訳ですから。
(午後二時九分大濱國浩君出席)
○城間盛善君 吉元さんが今おっしゃったことは、職にある有識者、経験者、こういった人達の意見は今の冨名腰参議の発言のように証人として意見を求めることも出来るし、又公聴会で意見を求めることも出来るので、この第十二条にいう専門員には当てはまらんのじゃないかと思います。
○冨名腰尚武君 強いていえば昔の奏任官、判任官、調査員というのはそういった待遇上の区別、ここでいうならば甲号職、乙号職といったものに当てはまるといった程度の相違と見ていいんじゃないのですか。
○田畑守雄君 調査員が一定の専門知識を得ればそれも専門員になれるという途を開くという風にしてもいいんじゃないのですか。
○吉元榮光君 専門員の任用はどうなるのですか。何に該当するものであるか。
○城間盛善君 それは落ちていますね。
○冨名腰尚武君 任用法第三条を改正するという附帯決議を附けてそのまま通しませうや。それともこれは暫定的立法院規則だからとしてそれを削るか。
○田畑守雄君 それは入れた方がいいでせう。そうでなければ現在の調査員の昇進の途を塞ぐことになる。
○冨名腰尚武君 行政法務委員会で任用法の改正発議をしたらいいでせう。
○吉元榮光君 杞憂するのは甲号職、乙号職には補さないで特別職に補するような人が出て来るかも知れない。
○冨名腰尚武君 政治的な面に左右されないようにという、特別職は上層部が変れば何時でも変るという考え方ですが、専門員というのは長いこといた方がいいと思いますから、特別職だから待遇がいいということには限らんと思う。
○仮議長(松田賀哲君) 発議者の御意見はどうですか。
○城間盛善君 私としては規則にある専門員というのは生かしておいて、立法院事務局任用法を改正してこれに合わせた方がいいんじゃないかと思うのです。この任用法を見ると第一条には局長、第二条には書記長が出ているが、調査室の構成に関しては何も書いてない。結局任用法に不備があるのではないかと考えられますので、むしろそれを改正した方がいいのじゃないかと思う。今のところ専門員はいなくても将来置くという目標の下に規則をそのままにしておいて何れ任用法を改正する。
○與儀達敏君 城間参議の御意見に賛成しますが、他の参議の御意見もありますので、この第十二条は何れ中央政府の設置法並に任用法が改正される見通しもあるようであります。と申しますのは、公務員法が近く制定されるような話がありますので、その公務員法によって現在の設置法並に任用法に於ける相当の欠陥が補正されるという風に聞いておりますので、それを俟って立法院の事務局職員任用法は決定することにしましてここではこのまま原案のように承認したいと思います。
○仮議長(松田賀哲君) 如何ですか。原案通りでよろしうございますか。
(「賛成」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) それでは原案通り決定致します。
(書記長川畑秀志君「第十三条」朗読)
○冨名腰尚武君 これは現規則通りでせう。
○城間盛善君 「その都度」という言葉が入っているだけです。
○冨名腰尚武君 異議ありません。
○仮議長(松田賀哲君) 原案通りでよろしうございますね。
(書記長川畑秀志君「第十四条」朗読)
○城間盛善君 元の規則と少し書き方を変えてあるのですが、「それぞれの委員会に相関連する事項については連合審査会を開くことが出来る」となっているのを改正案では「委員会は審査のため必要があるときは他の委員会と協議して連合審査会を開くことが出来る」として、必要と認めた時その委員会が主体となってこれが他の委員会と協議して向うの同意を得れば連合委員会を開く、これは主たる委員会を主体にして関連する委員会と協議するという点をはっきりさせたというだけ違います。この場合、委員長は恐らく主たる委員会の委員長が当るのではないかと思います。
○冨名腰尚武君 その比重の率が生じない場合は起りませんか。逆にいえば甲の委員会にやらしてもいい訳だし、乙の委員会にやらしてもいい。結局比重の率がはっきり決められない場合に連合委員会でやって行こうと、旧規則では院議で決めるのですが、こっちは一つの委員会が主体になってそれの発動によって連合審査会を開くことが出来る。こうなると意図が違って来るように考えられますが…。
○城間盛善君 そういう場合は特別委員会になりはしませんか。例えば委員会には第十条の規定によってそれぞれ所管事項があるのです。部門が決っている。どっちかはっきりしない。同じ位関係がある。関係の比重が同じといった場合には特別委員会の形になるのじゃないですか。
○冨名腰尚武君 その場合もあるけれども、委員会が連合してやった方がいいという場合もあり得る。
○吉元榮光君 軍との総合調整の段階に行くまでには、連合審査会をやらなければいかん場合が出て来るのですよ。
○與儀達敏君 SOPが出る時に一応それの本会議を開きますから、どちらの委員会に附託するかということが出ますから、その場合に決めればいいんじゃないのですか。
○冨名腰尚武君 この時にこの事件は何委員会と何委員会の連合審査会でやって行くということは本会議で決る訳か。或は一応委員会に附託してその委員会から発議して他の委員会と連合して行きたい。その場合に相手の委員会が拒否する場合がある。その場合一の委員会は無理に相手の委員会に連合審査会を開かせることが出来ない訳でせう。
○大濱國浩君 旧規定の第二十二条とお互の話合っているものは精神が違うのじゃないですか。
○城間盛善君 第二十二条の規定は本会議で決定することになっている。
○冨名腰尚武君 或は委員会としては本会議に動議を提出して連合審査会をすることを決める。決議案に於てはそういう手続を経ないで出来る。そういうことは相当に違いますね。
○仮議長(松田賀哲君) 結局どうしますか。
○吉元榮光君 今のように少いといいのですが、多くなってくると前の方がいいんじゃないかと思う。
○冨名腰尚武君 委員会自体の便利な方を考えれば案がいいですが、立法院全体としての運営の場合を考えた時は前の規定がよいと思う。
○與儀達敏君 その場合には特別委員会にもって行ったらどうですか。何れの所管にも属しないというのだから。
○城間盛善君 私もそういう風に考えます。これは二つの委員会に平等にまたがっているという風に会議で決定した場合には特別委員会を作った方がもっと有効に出来ると思う。
○冨名腰尚武君 こういう場合はどうなりますか。主たる委員会が主になって連合審査会を開く訳ですが、そこで意見が相背馳した場合ですが、連合審査会の法的権威はどうなりますか。
○大濱國浩君 旧規定の第二十二条もこれも二つ生かさなければいかん訳ですね。
○冨名腰尚武君 本会議に動議を出して連合審査会を作ると、その採決が権威をもって来る訳ですが、ところが一つの委員会が主体になってやる時には、それは単に意見の交換だけに止るのじゃないかと思う。表決出来るところまで持って行けますかね。
○與儀達敏君 表決は出来ませんね。
○仮議長(松田賀哲君) ちょっと皆さんに申上げますが今日は本会議でありますが、この審議に当りましてどうもお互十分研究が行き届いていないためか、発言が協議会式になって速記の方も取り難かろうと思いますので一応休憩して今後の方針を決めたいと思ひます。
暫時休憩致します。
(午後二時五十分休憩)
(午後三時二十五分再開)
○仮議長(松田賀哲君) 再開します。この第十四条はどう致しますか。
○吉元榮光君 これは元の第二十二条を改正せずにそのまま挿入することに賛成であります。双方の委員会に或る程度の権限を与えて委員会の審査を円満にやって貰おうという意味でその方にお願いしたいと思う。もう一つは今のように少い場合にはこれでいいかも知れませんけれども、公選になって相当の人数の場合はこういう問題が再々起り得ることも考えた場合には前のようにしてこれは一つの根拠を持たせた方がいいと思います。
○與儀達敏君 只今の御意見でありますが、私は只今の御意見ならば第十三条の特別委員会のところに「特定の事件及び二以上の委員会に属する事件を審査するため特別委員会を開く」と追加して、第十四条を削除して貰うよう希望します。理由は委員会一本建にして常任委員会と特別委員会両方置いて法的性格を与えて強力に審議することが責任の所在を明かにする上からもいいと思いますので、第十四条を削除して特別委員会の方に追加して、二以上の委員会に属する案件の審査は特別委員会にさせるようにする。
○大濱國浩君 それでは第十三条の外に又特別委員会を持つということになりますよ。
○與儀達敏君 一種類ですがどちらの委員会にも属しないものがある訳です。
○田畑守雄君 どちらにも属しないもの、二つ以上の連合委員会が特別委員会という形になる訳ですね。
○與儀達敏君 これは前に御審議をお願いしたのは、委員会は常任委員会と特別委員会の二つにしかなっておりませんので、第八条には「委員会は常任委員会と特別委員会とする」というのがありますが連合委員会を作らずに特別委員会と常任委員会の二本建でやった方がいいと思う。
○田畑守雄君 その場合大体法案はどの委員会に附託するか。主たる委員会に附託するのが建前じゃないかと思うのですがね。二つ以上の委員会に対して審査させるということは、何れの委員会にも属さないものに対しては特別委員会を作らなければならないということは、余りに委員会の権威を失うものではないかという気持がするのですがね。
○與儀達敏君 只今の田畑さんの御意見は御尤もですが、決議案の趣旨もその趣旨で立案されたと思っておりますが、然し、旧規定の第二十二条の方を生かすよう只今申上げたように第十三条の特別委員会に追加をして第十四条を削除した方が運営上もよいと思います。
○吉元榮光君 旧第二十二条もこれは審査会であって委員会と決して混同する必要がないだろうと思います。だから前の条項にも委員会は、なるほど特別委員会と常任委員会とあるが、この審査会をもう少しお互が円満にある特定のものについては審査して行きたいという意味合の下に一方的でなしにどっちからもお願いが出来るように広く意味を持たせた方がよくはないかという意見です。
○冨名腰尚武君 第三章の委員及び委員会の章で規定しているのは立法院としての本会議以外の会議だとこう考えます。従ってこの章の中にある会議とは常任委員会という会議、特別委員会という会議、連合審査会という会議、全員協議会という会議それぞれ各性質をもつ会議をそれぞれ規定してあるとこう思うのであります。行政法務委員会としてはこの連合審査会を委員会の活動の一つの会議のように御解釈のようですが、それならば特にこの規定の中に連合審査会という規定を設ける必要はないとこう思うのであります。ただ色々考えた場合に委員会活動だけで審議出来ない問題、或はその当該委員会として他に聴かなければならない必要が生ずる場合、或は議事の運営上院としてその必要に迫られた場合にはじめて連合審査会という特別の会議を必要とすればこそ、こういうものが規定されて行かなければならんと思います。でありますから、決議案の第十四条を審議する際にはこういった会議が必要であるかないかということを先に審議して必要であればどういう風にやるか、どういう風に表現するかといった風な方向に討議を向けて行った方がよくはないかとこう考えます。重ねて申しますが城間委員長の発言通り附託された委員会がイニシアチブを取ってはじめて連合審査会を持ち得るというならば、それは委員会活動の一つの過程であって特に連合審査会という会議体を構成する必要は法的にはないのじゃないかと思います。連合審査会という会議体を法的に持ったならばそれは委員会とは違った形式のものでなければならないだろうとこう思います。それでその際立法院といったような小さい世帯に於て、その必要の有無は全然別でありまして、必要がないならばない、あるならばあるでそこのところを先にはっきりさせた方がいいんじゃないかと思います。
○城間盛善君 今の御意見の通りでいいと思うのですが、元の規則の第二十二条にある連合審査会、これの性格がどうやら連合委員会みたいな性格じゃないかと思いますので、要するに連合審査会の性格、権限、運営そういったものをもう少しはっきりさして来れば分ると思うのですが、その時の説明はどうでしたか。
○冨名腰尚武君 私も大分月日が経っているのでよく覚えておりませんが、特別委員会があり更に連合審査会を置いた理由は立法案なり研究案なりが、一つの委員会に附託される時には、始めから終りまでその委員会がそれの審議に当る訳でありますが、ところがここに連合審査会という風なものを設けたのは必ずしも、終始一つの立法案なり決議案なりに連合審査会というものが携わるものではなくて、何れかの委員会からの発議により若くは関係していない参議の発議ででも結構であります。兔に角発議によって今審議中の立法案なり決議案なりの何かの問題について或は全体でもいいです。或は部分でもいいです。それについて連合審査の必要が認められるという風になった場合は本会議によって決を採ってそれを決めるという、そうすると連合審査会にかけた事項に対しては連合審査会の決定は動かせないものとして扱わなければならない。即ち連合審査会を開いたからには連合審査会の決定にはそれぞれの委員会は服さなければならないという法的拘束力は持たなければならないという。そういう意図があったとこう考えます。国会の場合は先程申上げたように、日本の場合はどうせ参議院を通過した案は衆議院に廻わる。衆議院を通過した法案は参議院に廻る。そうした際にその間に委員会が違った意見を持った場合には、そこに法案が又参院と衆院の間を往ったり来たりしなければならない。そういう煩わしさを始めから避ける意味合で紛糾しそうな問題は持ち寄ってお互に大体の方向をはっきりさせるという必要上から設けられただろうと思います。そういう意味から国会の場合には両院の連合審査会は絶対に必要だと思いますが、その精神の幾分かをくんで我々の場合でも本会議に於ての紛糾を予想される紛糾を事前に於て調整するという意図でこういう制度が考えられたのじぁないかとこういう風に考えております。
○田畑守雄君 第十四条の連合審査会をごく軽い意味に於て、つまり他の意見を聴取するというような軽い気持に考えた場合第十四条は削除して少くとも委員長が他の委員会に対して意見を聴取することが出来るというように委員長の権限を幅を拡げていただきたい。もしこれを削除するならば、それは一つの委員長の政治工作という点もあるし、委員会の運営上途中で必要が生じた場合他委員会の意見を委員長が代表して聴き置くという程度のものが必要じゃないかと思う。
○仮議長(松田賀哲君) 第十四条については先から色々慎重な討議が行われておりますが、まだどちらに決定になるかという見通しがつけられんような状態と思いますので、今日はこれで本会議を閉じまして明日又会議を開きます。
(午後三時四十三分閉議)
出席者
仮議長 松田 賀哲君
参 議 與儀 達敏君
〃 城間 盛善君
〃 冨名腰尚武君
〃 大濱 國浩君
〃 吉元 榮光君
〃 田畑 守雄君
上へ戻る