戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年10月22日 
(昭和26年)
会議名
第1回立法院本会議 1951年10月22日
議事録
第一回立法院本会議会議録
        第五十九日目

 一九五一年十月二十二日(月曜日)午後二時開議

議事日程
 一、立法院規則について

○仮議長(松田賀哲君) 本会議を開きます。土曜日にこの第三条、第四条、第五条についてはなお充分研究の余地があり月曜日にやろうという田畑参議の話があって今日開く事になったのであります。それで第三、四、五条についてもう一辺審議をお願いします。
○田畑守雄君 第三条はむしろ議長、仮議長の権限という風にして第四条も議長、仮議長の委員会への発言としたい。議長が或る程度意見を述べるということは院を運営するためにどうしても必要だと思う。それでやはり権限は与えておくべきであると思う。議長そのものが場合によっては権力をもって委員会を左右するということも有り得る場合もないとはいえないが、しかしそれは委員会自体の力によるもので委員会は委員長が運営すべきものであって議長の意見を取上げようと取上げないは委員会の力によるものだから委員会が議長の発言によって左右されることがあってはならないと思う。そういう意味のもとにこの第一条は生かしておくべきだな。
○冨名腰尚武君 第二条に規定してある役員も普通の行き方からすると仮議長は当然議長となるので第三条、四条は原案のままいいとも考えられるが一昨日から話が出ているように立法院の場合は議長と仮議長は慣例の点から相違する。そういう意味で第四条に仮議長を挿入しなければならないじゃないかという話も出たが、今の田畑参議の御意見通り第三条の見出しの所に議長、仮議長と並べるのは変だから括弧して仮議長を入れる。又条文の中にも議長の下に括弧して仮議長を入れる。そういう状勢に大体落ち着くと思う。趣旨は田畑参議と同一であります。
○仮議長(松田賀哲君) 今の二人の御意見に対し反対の意見はありませんか。
○城間盛善君 別に異議はありません。
○仮議長(松田賀哲君) 御異議ないようですが、そうすると今の議長又は仮議長としますか。或は議長の下に括弧して仮議長と入れるという風にするかが問題だがこれはどう致しますか。
○田畑守雄君 その点は仮議長の職務権限がはっきり分かりさえすればそういう事にこだわる意志は毛頭ありません。
○冨名腰尚武君 括弧しておけば議長が欠けた時は仮議長がそのままなるという観念になるから表現上の点で括弧の中がいいと思う。第三条の第一項については議長だけで後は議長の下に括弧して各々仮議長と入れるという意味であります。
○城間盛善君 括弧して入れるという案に賛成します。
○仮議長(松田賀哲君) 括弧をつけるという御意見が多数のようでありますが、もっとはっきりさせてどことどこに括弧を入れる訳ですか。
○冨名腰尚武君 見出しだけで済ますか、本文も入れるべきかという事だが、私として第三条、第四条の見出しには既に括弧があるから違った形の括弧を使い本文にも議長括弧仮議長とする。
○與儀達敏君 括弧は本文だけでいいじゃないか。
○冨名腰尚武君 それでもいいですね。見出しの方が普通の観念での議長とするという解釈ですね。賛成です。
○大濱國浩君 第三条、第四条をそうすると、第五条との関係が変になりませんか。
○冨名腰尚武君 そうだな。
○城間盛善君 第二条に仮議長と入れてあるからいいだろう。
○大濱國浩君 今の冨名腰さんの意見によれば第二条でも議長の下に括弧して仮議長をもっていかんと具合が悪くなるね。
○冨名腰尚武君 第五条第一項を何とかして第四条の規定は仮議長にもこれを適用するとか準用するかでは具合が悪いですかな。
○城間盛善君 私はこういう見解を持っています。第四条の出席発言ということは要するに議長がその職務を遂行するために必要な事であると考えます。もしこれで職務権限外と解釈するなら省略するがそう解釈しないで必要限度内に於けるものと考えて原案通りでいいと思う。しかしこれに議長、仮議長という二つの観念があっておかしい事になると解釈をはっきりさせる意味で括弧して仮議長を入れるということがいいと思う。
○冨名腰尚武君 議長の下に括弧して仮議長とすると議長が欠けた時はいいが議長が事故の場合の権限は同じですか。事故であろうと欠けた場合であろうと…。
○與儀達敏君 そうでしょう。
○冨名腰尚武君 そんならいいですね。第三条の第二項は…。
○城間盛善君 私はそのままでいいと思う。しかし議長、仮議長という二つの別個の観点があって解釈上紛わしいというなら用心のため入れておくというわけだね。
○冨名腰尚武君 その程度の気持でしょう。
○城間盛善君 第五条の第一項をはっきり解釈すると私は仮議長を第三条、第四条に入れる必要はないと思う。しかしそれでは紛わしいから括弧して入れておこうと軽く解釈するのですが…。
○冨名腰尚武君 常識に従って第四条は当然含まれると考えるわけだが強いてそこをほじくるような人が出て来た場合の何を防ごうという気持ちのものだが常識的に有得ないというなら原文のままでいいと思うがね。仮に我々は諒解しているからいいが今度の公選参議達がこの規則によって運営する際強いて異を立てようとすると問題は当然何だがそれがなければいい。
○田畑守雄君 公選後はこれをすぐこれを改正しなければならないと思う。三十人以上の議会に副議長がいなければ議会の運営は出来ない。
○大濱國浩君 第四条の発言という言葉の内容からこうなっているが、議長が発言が出来るということは認めているから原案でもいいと思う。
○冨名腰尚武君 要するに行政副主席に与えた権限ではないということははっきりしている。
○田畑守雄君 変則的議会の運営があるからこうなるのだ。アメリカ式に行政副主席が議長という特別な事情があるからだ。
○城間盛善君 アメリカの州ではネブラスカ州などは一院制を取っているがそこの議会規則を見るとやはり副知事が議長です。所が一般議員から選挙したスピーカーもいるがそれは副議長という。結構じゃないかと思うがそういうのもある。だから公選議会の後からそういう形式を取り得ると思う。
○冨名腰尚武君 今の話しで大体決着したと思うが無修正でいきましょう。
○仮議長(松田賀哲君) 括弧を入れるのは…。
○冨名腰尚武君 撤回します。話合いの結果無修正でいこうという動議を今出した訳です。
○仮議長(松田賀哲君) それでよろしゅうございますか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) 異議ないようですからその通り決定致します。次は第六条からですね。
  (事務局長比嘉良男君「第六条」朗読)
○仮議長(松田賀哲君) 御異議ないようですから次に移ります。
○冨名腰尚武君 第七条に入る前に事務局長の任免というか選挙というか或は事務局長の職務など入れねばならないと思うが…。
○仮議長(松田賀哲君) 如何ですか。
○田畑守雄君 賛成です。役員になっているから職務権限はないといかん。
○城間盛善君 事務局設置法の第二条にあるからそれをそのまま持って来たら…。
○仮議長(松田賀哲君) ちょっと休憩致します。
  (午後二時三十一分休憩、二時四十八分再開)
○仮議長(松田賀哲君) 再開致します。事務局長の職務に対してここに条を設けるという御意見がありましたが発議者の城間参議の御意向を承ります。
○城間盛善君 事務局長の任免及び職務ということになると思うがこれについては既に事務局設置法と職員任用法の二つがありますがこれによるとなればいい訳だ。事務局長の任免及び職務は立法第六号中央政府立法院事務局職員任用法及び立法第四号事務局設置法の規定によるという条文になるが、この二つの立法を見た場合に事務局長の職務は只事務面だけになるようです。条文を作ってみると立法院の役員という面がほとんどないように思われますが…。
○冨名腰尚武君 第二条の第四項に事務局長を入れるということは先の審議の結果決定したのですがその際の話合いは、日本の国会法を参考にした場合に事務局長の職務権限が相当重要なものになるというので入れた訳です。所がこの立法院規則の場合、第五条第二項で議長の職務を行う者がない場合年長者が代行するということがあるため事務局長が議長の職務を代行するという重要な権限を必要としなくなった。又それから公文署名ということも差当り不要であるというので単に事務面を統轄するということだけになって役員としての任務がないという形になっている訳であります。
 そういう点から考えまして局長はやっぱり職員でよくはないかと思われます。特に事務局長を役員にしなければならないとしても役員の職務がない以上これを強いて名前だけ役員とする必要はないと思いますので私は先に決定した第四項の事務局長をこの際思い切って削除して原案に返した方がいいと思います。
○與儀達敏君 只今の意見に賛成します。
○仮議長(松田賀哲君) 他に意見はありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) ではその通り決定致します。次は第七条に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「第七条」朗読)
○冨名腰尚武君 第七条の第二項ですがこの場合において起り得ることは常任委員長の辞任だけになる訳だね。仮議長が辞任しようとする時は出来ない訳だろう。
○仮議長(松田賀哲君) 私がいうのは院の許可を得てという場合は多数の人の許可を得る訳だが、後の場合は勝手に議長だけでやる訳だろう。そこの違いがどうなるのか。
○冨名腰尚武君 開会中と閉会中を区別した訳だ。
○城間盛善君 これは後の第十七条にありますが立法院としては閉会中でも委員会の仕事は続いているということも有り得る。そういう場合もし委員長が辞任しようという場合に議長が辞任を許可したら閉会中の委員会活動に支障を起こすということになる。
○冨名腰尚武君 本来は院議にかけねばいけないが、閉会中は権限を議長に委任した形になる訳です。
○與儀達敏君 院の許可というのは院の承認と直したら…。
○仮議長(松田賀哲君) どうですか。
○冨名腰尚武君 承認とすると議長がそれではやめなさいという場合に承認を得るという形になりはせんかと思っている。それで同意としたらどうですか。
○城間盛善君 英文では同意となっている。
○冨名腰尚武君 同じ事だそうしましょう。
○仮議長(松田賀哲君) それでは許可という所は院の同意を得てとします。
  (事務局長比嘉良男君「第八条」朗読)
○仮議長(松田賀哲君) 御異議ないようですから次に進みます。
  (事務局長比嘉良男君「第九条」朗読)
○仮議長(松田賀哲君) 原案通りでよろしいですか。では次に行きます。
  (事務局長比嘉良男君「第十条」朗読)
○城間盛善君 この前議決した立法院規則と違う所は最初の立法院決議案という所は議案、括弧して決議案となっていました。又委員会の中の文教厚生委員会は前には第三項までありました。それから図書委員会は元のものでは運営、規則に関することとありました。又最後の第二項は三人とするを三人以上とするに直しました。なおその上には括弧のない2、が必要だろうと思います。
○冨名腰尚武君 表現の問題だが商工委員会の所では商業、工業となっているのに資源開発委員会の所では農林水鉱となっているから、わずらわしくても農業、林業、水産業とした方がよくはないか。
○仮議長(松田賀哲君) それでよろしゅうございますか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) ではその通り致します。
○冨名腰尚武君 後は異議ありません。
○仮議長(松田賀哲君) 休憩致します。
  (午後三時二十六分休憩、四時五分再開)
○仮議長(松田賀哲君) 再開致します。今日は第十条までにして次は明日午前十時から引続き開きます。これで本会議を終ります。
  (午後四時六分閉議)

  出席者
   仮議長  松田 賀哲君
   参 議  與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   冨名腰尚武君
    〃   大濱 國浩君
    〃   田畑 守雄君
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