戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年10月19日 
(昭和26年)
会議名
第1回立法院本会議 1951年10月19日
議事録
第一回立法院本会議会議録
        第五十七日目

 一九五一年十月十九日(金曜日)
 午前十一時七分開議

議事日程
 一、立法院規則について

○仮議長(松田賀哲君) これから昨日に引続いて本会議を開きます。どうですか、すぐ逐条審議に致しますか。
○冨名腰尚武君 賛成です。質問も意見発表も討議も一緒にですね。
○仮議長(松田賀哲君) ではそういう事に致します。
  (事務局長比嘉良男君「前文」朗読)
○冨名腰尚武君 この決議の決議番号は…。
○城間盛善君 前の決議の場合はなかった。この決議案の番号というのは立法番号法が制定された時から溯って決議番号をつけているのですがこの形式も一つ審議をお願いしたいのですがね。立法の場合は指令に示された様式がありますが決議案の場合はないのでこういう形にしたらと思ってここに書いたのです。
○冨名腰尚武君 決議番号は溯って附けてある訳ですね。
○城間盛善君 この決議案に番号を附するということは前に立法番号法を制定した場合は立法案番号を附けると決ったのですが決議案はどうするかないので、あれに準じて事務局でやっている訳です。その形式はこれで作った形になっていますが今回のように改正の場合はどうするか御考慮をお願いしたい。
○冨名腰尚武君 形式は立法案に準じてやった方がいいと思うが立法を改正するという場合の規定に準じて決議の場合も同じようにした方がいいと思う。この番号は一連になる訳ですか。
○城間盛善君 暦年制です。
○冨名腰尚武君 私は番号を入れた方がいいと思う。これは全面的改正だから決議第五号とだけ書いておけばいいが一部改正の場合も出てくる時がある。
○仮議長(松田賀哲君) そうすると決議案にも番号を附けたいという訳だね。
○冨名腰尚武君 そうです。この場合なら前の決議が第二号だからそれを挿入した方がいいと思う。
○仮議長(松田賀哲君) どうですか。
○城間盛善君 それがいいですね。
○仮議長(松田賀哲君) 御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○冨名腰尚武君 今までの立法の改正例を見ると煙草税法中一部改正の場合は煙草税法と標題を先にあげて括弧して立法番号を入れてあるのでこの場合も前例にならった方がいいと思う。
○仮議長(松田賀哲君) そうするとどうなりますか。
○冨名腰尚武君 「次の通り決議する」の次に「立法院規則」その下に括弧して一九五一年五月十六日立法院決議第二号を次の通り改正するとする訳だ。「立法院規則」を上にもっていくのです
○仮議長(松田賀哲君) それでよろしゅうございますか。
○與儀達敏君 「改正する決議」という見出しを「立法院規則改正」にしたら…。
○仮議長(松田賀哲君) どうですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) では異議ないようですからそのように致します。
○與儀達敏君 「立法院決議第何号」と立法院はいらないだろう。
○仮議長(松田賀哲君) 「立法院」を削るという訳ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) では削ります。
○田畑守雄君 しかし外に向った場合は困りませんか。
○仮議長(松田賀哲君) どうですか。頭に立法院決議とするか、只決議とするか。只決議とした方がいいという意見が強いと思いますが…。
○城間盛善君 立法院という事は次の方に出てくるから差支えないと思うが…。
○仮議長(松田賀哲君) どうですか。
○冨名腰尚武君 同意見です。
○仮議長(松田賀哲君) 御異議ないようですからそのように致します。その次を読んで下さい。
  (事務局長比嘉良男君「第一条」朗読)
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○祷清二君 異議ではありませんが布令、布告、指令というのはどういう違いがありますか。
○冨名腰尚武君 布告は全住民を拘束する規則で、指令というのは区域的に拘束する規則だと思う。布令というのはその後に使われるようになったのでその間の事は聞いていない。
○田畑守雄君 どっちが優先しますか。
○冨名腰尚武君 勿論布告でしょう。
  (調査員奥島憲雄君「用語解説」朗読)
○田畑守雄君 布告、布令、指令の順ですね。
○仮議長(松田賀哲君) 第一条は布告、布令、指令と順序を変えるんですね。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) ではそのように致します。
  (事務局長比嘉良男君「第二条」朗読)
○仮議長(松田賀哲君) どうしますか。
○大濱國浩君 ここでは「院」となっていますがどっかで「立法院」の下に括弧して「以下院という」とでもせんにゃいかんじゃないかな。
○祷清二君 これは第一条の立法院の下に括弧して「以下院という」とした方がいい。
○冨名腰尚武君 祷参議の意見に賛成です。
○仮議長(松田賀哲君) では御異議ないようですからその通り致します。第二条には御意見はありませんか。
○冨名腰尚武君 副主席は院の役員と見ていいわけだろうね。
○與儀達敏君 副主席は役員ではないだろう。議長なら役員だが…。
○仮議長(松田賀哲君) 原案通りでよいですか。
○調査員(奥島憲雄君) 日本の場合はこの他に事務局長がはいっている。ここに提案の趣旨があるが読んでみます。
  (調査員奥島憲雄君朗読)
○仮議長(松田賀哲君) 発議者の意見はどうですか。
○城間盛善君 審議中はこの問題は出なかったですがね。
○冨名腰尚武君 旧規則を審議した時に日本の国会にならって一応事務局長も入れてありましたが沖縄ではそこまで必要はないというのでそれを削除することになったと思っている。所が一方任用法では特別職になっているということはその意図が若干ある。そこに多少の矛盾もあるが将来本当の議会になった場合は局長がどうあらねばならないかという観点から考えるべきだと思う。そうすると勢い会議録などに対する重大な責任を持ち、又各部との折衝に当るという場合相当な権限を持つ事も出てくると思う。
○大濱國浩君 事務局長も入れた方がいいね。
○仮議長(松田賀哲君) 四に入れてよろしゅうございますか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) では四に事務局長を入れます。
○冨名腰尚武君 仮議長の定義に関しては後でやるわけですね。ここではそれぞれの考え方で進めるわけですか。
○田畑守雄君 後で出てくるでしょう。
  (事務局長比嘉良男君「第三条」朗読)
○仮議長(松田賀哲君) 第五条まで一括してやりましょう。
  (事務局長比嘉良男君「第四条、第五条」朗読)
○祷清二君 ここに今の事務局長の職務権限を入れないといかんな。
○冨名腰尚武君 条文を挿入せんといかんだろうな。そこで仮議長という言葉の問題だが副主席が一時的事故の場合すなわち現在のような場合と若くは主席が欠けて副主席が当然主席になった場合又は主席が心身の障害によって任務に就く事が出来ないため辞任した場合、要するに残任期間中当然議長の職務を行う人も一時的に議長の職務を行う人も仮議長と読んでいいかどうか。
○城間盛善君 行政法務委員会でも相当もんだのだが指令第五号の規定に副主席が欠けた場合、その職務を遂行出来ない場合はその期間議長を選挙するという規定がある。その期間というのは無論職務を行えなかった期間、欠けた場合というのは欠けた期間だけと解釈する。つまり布告第三号によると主席も副主席も長官が任命することになっている。若し何らかの理由で主席が欠けて副主席が主席に任命される。若くは副主席が欠けた場合は布告第三号に基いて副主席の任命があると予想される。そこで選挙される議長は議長の職務を行うが欠けた期間だけだと解釈している。
○冨名腰尚武君 副主席が欠けた場合の議長と副主席が議長になった場合と使い分けんでいいのかと云うんです。
○城間盛善君 この任命という問題だが中央政府設立の根本になっている布告第三号の第四条に行政府の規定がある。それにはどちらも任命になっている。これで若し副主席が欠けたらやっぱり第四条によって任命があると思う。それまでの期間を遂行する人も互選するという行き方だ。そして訳文は全部議長と使っており仮議長とはない。
○冨名腰尚武君 代行という言葉の問題になったが原文には使っていない。これは我々だけで論議してもつきないと思うからセイファン氏などと話合ったらどうか。
○城間盛善君 言葉の問題からいえば仮議長とはない。全部議長だ。それで元の立法院規則は副主席が欠けた場合を予想したと思う。その場合は議長を選挙する。一時的の場合は仮議長を選挙するという観点があった。それが結局改正案では全部仮議長とするか全部議長とするか二つの途しかない。
○冨名腰尚武君 副議長制があればいいがこの補助として旧規則の場合は仮議長という言葉を使ったんじゃないかと思う。
○城間盛善君 結局日本語の問題だがアメリカでは二、三分議長の仕事をしても議長だ。全てを議長とするか或は本当の議長が表決を持たない只これを整理するだけの職務を持つ副主席だけを議長と見てそれに代るものは仮議長というように定義していくか結局そこに帰すると思う。
○大濱國浩君 実際今までの立法手続きでは仕事は同じだが我々の慣習上はっきり区別しようという建前からこの言葉が使われて来たわけだ。
○冨名腰尚武君 別に議長がいる時の仮議長はいいがいない時はおかしい。あくまでも暫定的な時しか使えないわけだからな。だからそれはそのままにして私はむしろ仮議長という言葉を撤廃して全部議長という言葉で押していったらと思う。
○田畑守雄君 始めから論議があって仮議長と直したわけだ。
○與儀達敏君 原則的にはそれがいいが、なれないからやっぱり議長という言葉が欲しいな。
○城間盛善君 このように考えてはと思う。議長は副主席だが副主席が欠けた場合は参議の中から互選する。しかしその場合の議長は副主席がやる議長とは違うことを現わした方がいい。仮議長という言葉で…。
○仮議長(松田賀哲君) 仮議長の名称問題についてはセイファン氏と委員長が話合って後に決めるということにしますか。冨名腰さんいいですか。
○冨名腰尚武君 いいでしょう。
○仮議長(松田賀哲君) ではそういうことに致しまして第二、三、四、五条は保留致します。
 明日午前十時から続行することにして今日はこれで会議を終ります。
  (午後零時二十五分閉議)

  本日の出席者
   仮議長  松田 賀哲君
   参 議  與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   冨名腰尚武君
    〃   祷  清二君
    〃   大濱 國浩君
    〃   田畑 守雄君
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