- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年08月09日
(昭和26年)
- 会議名
- 第1回立法院本会議 1951年8月9日
- 議事録
- 第一回立法院本会議会議録
第四十二日目
一九五一年八月九日(木曜日)
午後四時四十八分開議
議事日程
一、煙草消費税法中の一部改正について(第二読会)
二、郵政局設置法について(第二読会)
○仮議長(松田賀哲君) ではこれから本会議を開きます。出席参議七名。今日は立法案第九号についての第二読会に移りたいと思います。委員会付託になっていますので委員長から御報告を聞きます。
○與儀達敏君 委員会の御報告を致します。八日委員会付託になった煙草消費税法中一部改正の立法案について委員会を開いて審議しましたがお手元に差上げた立法案の字句の訂正致します。第三条と第二十四条の「改正する」を「改める」となおして下さい。又第三項の輸入倉庫と保税地域の所は上下にかぎを入れるようにお願いします。これを発議者の原案として御承認お願いします。
委員会を開催してこれを審議した結果、八日の本会議に於ても吉元参議から御発言がありました不正煙草の取締りに対する当局の方針をはっきりしたいという御意見もあったので委員会としてもこれを慎重に考慮してこの際脱税がはびこらないように取締についての財政当局の今後の方針などを聞こうということに意見が一致して民政府指令第五号の規定によって財政局長を証人として喚問することに決定いたしその証言にもとづいて脱税煙草の取締りがどういう方法でなされ又今後も強化されるのであるかという事をしっかり握ってしかる後にこの提案された所の立法案を原案通り承認し院に対してこれが可決方を報告したいということに決ったわけであります。で本日午前十時から財政局長を証人として証言を致させたのであります。その証言の御報告を致します。委員全部出席して十時十分から財政局長の証言を行いました。証言の項目はアメリカ煙草に対する検印や証紙の貼付がこの改正案によってなされない場合はいわゆる不正煙草と正式ルートによる納税済の区別がつかなくなり徴税及び取締り上支障を生ずると思う。これに対して財政当局の対策及び将来の取締りの強化という所を証言の中心として証言を聞きました。その内容を逐一御報告申上げます。只今の脱税煙草と納税済煙草の見分けがつかなくなってしまうがこれにたいして当局は将来如何なる方針で進んでいるかということをおたずねしたのであります。これに対して財政局長は脱税煙草と納税済の煙草の完全に区別がつくよう現在方策をたてつつあり将来もこれを強化する方針であると述べています。現在具体的な実施方法は第一にアメリカ煙草のキャメルはヤラス商会という所と納税済の証印を製品に予め入れさせ一目瞭然と納税済みであることがわかるよう既に協定を終って二、三週間の中にはその品物も到着する段取りになっています。それからラッキーについては現在ヤラス商会のようにしっかりした協定はないが笠井商事を通じてこの納税済の証印を製品に入れるよう協定したい。然しまだ協定は成立していないということを述べています。
なお委員会として証言を求めた項目は第二項として今のラッキーが輸入先と協定がまだ成立しないとすれば少くとも協定が出来て製品が入ってくるまではいわゆる脱税煙草との区別が出来なくなり、随ってこの対策は是非共取締りの強化以外に途はない。当局はこの点如何なる方針を持ち又如何なる具体策を実施しているかということをお尋ねしたわけです。これに対して財政局長はあくまで脱税防止につとめる方針であり現在その取締りの実状は
(1)現在の所定員六十名の中主税歳入課の二十名の人員をもって取締りの強化に当っている。
(2)群島知事に協力を求めている。
然しこの結果は満足する程の状態ではない。
(3)検挙主義を採用してどしどし不正品は押収しているが現在までの所十一名の業者を挙げて五百七十一個の煙草を押収し告発している。
(4)現在の取締り法規では輸入業者だけが不正商品押収の対象になるが販売業者の押収は出来ないようになっているので法の一部を改正する方針であるということを述べています。
それで証言事項の三にはいって当局が取締り強化につとめている事は賛意を表する次第である。この取締り面に於て押収告発することをもっと強力に徹底的に実施するためには何か立法上の準備をする必要はないか。その必要を認めているかどうかということを尋ねました。これに対して局長は日本の国税反則取締法の如き強力なものを今立案して民政府当局と折衝中で近い中に成案を得るようになっているという答弁でありました。次に証言事項の第四として城間委員により取締りを完璧にする方法即ち不正煙草の出る根元をなくするような方策は考えられないか。即ちPXからの放出を何んとかする方法はないもんかということについて証言を求めたのであります。そして財政局長はPXに対する対策はなかなか立てにくく従来も数回にわたって要望しましたが結果は面白くないということを述べています。なお城間委員によって群島政府に対して煙草税法強化の面だけで取締りを依頼しているというがこの問題は軍布告の徹底的な遵守という面で、即ち不当所持を取締るという面で各群島政府が取締るべきものである。これを徹底的に強化するようその筋に強硬に要望すべきではないか。一ドルの不当所持のため刑罰に課せられた例もある。同様に不正煙草の所持をこの布告で取締ることが出来ないことはないということを要望して委員会としてもこれは是非行政主席としてその筋に強力にこれが励行を要望し或は群島政府に対して厳重取締り方を要望したわけであります。
これに対して財政局長は充分に善処し委員会の要望にそうようにするということを証言致しました。なおアメリカ煙草のラッキーの証票のつけ方でありますがこれは速に輸入先と交渉して区別がつくようにしてほしい。それから取締り面に於いては強力な税徴収規定というものを研究してこれが立法化を急いでもらいたい。なお軍布告に悖るものは取締るようにということを指摘して要望したのであります。なお委員会と致しましては今の証言事項や委員会の要望事項を責任をもってもらって税法改正の目的を達せられるよう努力されたいと要望して証言を終ったのであります。
委員会と致しましては財政当局の将来に於ける取締り方針を聞きまして只今の事が立法化されるならこの税法中の一部改正によって検印はしなくても或は証紙をはらないでも税制実施については支障はないものと見てこの提案を原案通り承認することに決定し立法院がこれを可決して下さるようにお願い致します。以上で委員会の報告を致します。
○仮議長(松田賀哲君) 何か今の委員長の報告に対して質問はありませんか。
○大濱國浩君 あの証紙ですね。あれは金を払ってその分だけ業者にはらせるわけですね。
○與儀達敏君 それもありますし煙草に向うで印刷するのもあります。日本の方でも琉球向けのものは包装を変えてくるから一目瞭然に区別が出来るわけです。
○仮議長(松田賀哲君) 他にございませんか。
○吉元榮光君 今日の「うるま新報」を見ると貿易庁では税込百九十二円でアメリカ煙草を売出すとかいてありましたがそれはPXの不正ルートものとして摘発出来ますか。
○與儀達敏君 これは財政局長の証言の中にはありませんが今日の新聞によってアメリカ煙草は全部証紙をはるという命令があるということです。その場合一つ一つ包装を解くといろいろ具合が悪いので一つ一つはるということはしないで納税済みの証紙を一括して何枚と渡して一個一個にはるのは業者がするという方法を取るということが出来ます。
○吉元榮光君 その場合、取締りに来た時はそれを見せて普段は不正煙草を売るというおそれはありませんか。
○與儀達敏君 そういうおそれはあると思う。然し輸入先と協定が出来製品そのものに納税済みが印刷されたらそういうおそれはないと思う。その間若干やむえないものと考える。
○仮議長(松田賀哲君) 別にございませんか。これは逐条審議致しますか。
○吉元榮光君 その必要は認めませんね。
○仮議長(松田賀哲君) では一括してお願い致します。修正の御意見がありましたら御願いします。
○吉元榮光君 修正の動議はありませんが第三読会で意見をそえたいと思いますが…。
○仮議長(松田賀哲君) 結構でしょう。修正の御意見もないようですから二読会を終ることに致します。
次は琉球臨時中央政府郵政局の設置法についてですがこれも第一読会を既に終りまして三(二カ)読会になっていますのであります。そこで委員長の報告をお聴きしたいと思う。
○田畑守雄君 報告の前に仮名遣いが間違っていますからなおしていただきます。第三条の一、二、三の最後の「謂ふ」を「謂う」に第五条の最後の「負ふ」を「負う」になおしていただきます。えー八日に立法案第十号郵政局設置法について委員会付託をうけまして全員出席して委員会を開きました所別に修正の個所もなく原案に異議がございませんでした。以上御報告致します。どうぞ慎重な御審議をお願い致します。
○仮議長(松田賀哲君) どうですか。逐条審議致しますか。
○吉元榮光君 その必要は認めませんね。
○仮議長(松田賀哲君) では一括して致します。質問もございませんですが修正の動議はありませんか。
○與儀達敏君 修正はありませんが三読会で第七条の貯金管理所について希望を申上げたいと思います。
○仮議長(松田賀哲君) 賛成でしょう。他にございませんか。
なければこれで二読会を終ることに致します。
(午後五時二十二分閉議)
本日の出席者
仮議長 松田 賀哲君
参 議 與儀 達敏君
〃 城間 盛善君
〃 大濱 國浩君
〃 吉元 榮光君
〃 嘉陽 安春君
〃 田畑 守雄君
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