- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年08月08日
(昭和26年)
- 会議名
- 第1回立法院本会議 1951年8月8日
- 議事録
- 第一回立法院本会議会議録
第四十一日目
一九五一年八月八日(水曜日)
午後五時三十分開議
議事日程
一、煙草消費税法中一部改正について(立法案第九号、與儀参議発議)
二、琉球臨時中央政府郵政局設置法について(立法案第十号、田畑参議発議)
○仮議長(松田賀哲君) これから本会議を開きます。出席参議七名であります。
本日は二人の参議からそれぞれ立法案の発議が出ておりますので、それについて御審議を願いたいと思います。
先ず初めに與儀参議の発議になりました、煙草消費税法中一部改正案についてを議題と致します。事務局長をして朗読致させます。
(事務局長比嘉良男君、立法案第九号「煙草消費税法中一部改正」朗読)
○仮議長(松田賀哲君) それでは第一読会に移ります。発議の趣旨について御説明を願います。
○與儀達敏君 煙草消費税法中一部改正案の発議をしました関係で発案の理由を申述べたいと思います。
七月十六日に行政主席より煙草消費税法中一部改正につきましてメッセージが出まして、そのメッセージに強調されましたところの改正の理由として、
(一)、輸入煙草は検印を受けなくても脱税の虞が少い。
(二)、輸入煙草は納税済証印の押捺のために解装しなければならないが、そのために商品価値を損う虞がある。
(三)、検印に手数を要することは商取引を不円滑にして取引者に不測の損失を与へることが予想される。
以上の理由によってこれが改正を要望しておりますが、私はこの主席の要望事項をよく調査し、民政官府、その筋の意見も聴きましてこれが調整立案を致したのであります。その結果この煙草消費税法中一部改正の案を本日提出したのでありますが、これは今先朗読しました通りであります。主席がメッセージで指摘しました様にこれを改正しましても別段に弊害はなく、即ち検印の押捺がなくても弊害がないということが調査の結果はっきりしましたので、これが立法の基底になると考へたのであります。
以上の理由で発議を致しました。よろしく御審議をお願いしたいと思います。
○仮議長(松田賀哲君) 御質問はありませんか。
○吉元榮光君 これに輸入煙草は脱税の虞がないということが一応理由になっておりますが、色々巷間伝へられるところのPXの煙草の取締面については、十分取締出来るものであるかどうか。
この点について疑問を持っているものであるが、これについて発案者はどういうお考を持っているか、その点について承りたいと思います。
○與儀達敏君 これにつきましてはよく調査の途中に於きまして検討したのでありますが、将来アメリカから米国製煙草を輸入する場合には課税済の封紙をつけて出すということに諒解が出来たようでありますが、現在のところPXから出るところの煙草の取締については相当考慮しなければならないところでありまして、そのためには民政官府とも、財政局の方で極力折衝をつづけて、これの放出のない様に、闇として出ないように、取締るということを極力主張しておりますので、この点を発議者としても信頼しまして、これが取締の強化を前提にして立案したのであります。
○吉元榮光君 よく分りましたが、これはどうしても正規の商売をさせるには、従来の如く放出を取締ることが出来ないということは商売人を苦めることになりますので、それで是非正確にしていただきたいということを希望致します。
○仮議長(松田賀哲君) 外にございませんか。
別にないようでありますから、これを委員会付託に致したいと思いますが…。
(「賛成」と呼ぶ者あり)
それではこれを財政金融商工委員会に付託致します。
次は田畑守雄参議発議の琉球臨時中央政府郵政局設置法についてでありますが、これは先にメッセージを貰っておりまして、それについて田畑参議から発案したものであります。一応事務局長をして朗読致させます。
(事務局長比嘉良男君立法案第十号「琉球臨時中央政府郵政局設置法」朗読)
○仮議長(松田賀哲君) それでは第一読会に移ります。発議者の田畑参議から発議理由の御説明を願います。
○田畑守雄君 発議する迄の経過を申上げたいと思います。
主席から六月十三日に郵政局設置法のメッセージが来まして、同時に参考案がついて参ったのであります。その参考案は皆さん方のお手許に差上げてありますが、この時平川郵政庁長に説明をお願いして、その参考案に対する全体協議会も一応開いたのであります。その協議会に於て大体の意見を拝聴して、委員会付託という形になったのでありますが、委員会はその当時はっきりした、まだ法的根拠がなかったと申しますか、そういう関係で特別委員会を作って、その委員会に付託を受けたのであります。委員会のメンバーは嘉陽、大濱参議に私とその当時偶々與儀参議が着任されましたので與儀参議を加えて四人でこの原案の作成にとりかかったのであります。何故こういう風に作成したかといいますと、参考案と我々委員会との間に相当な意見の対立を来しまして、綜合調整するのに相当日数を要したのでありますが、参考案と当局に於ては六課一台を置きたいという意見がありまして、そして次長制をとりたい、然し委員会に於ても亦全体協議会に於ても財政局設置法と睨み合せて、大体財政局設置法と形式的にも同じくして行きたいという御意見でありましたので、そういう様な形に纏めたのであります。と申しますのは、参考案によりますと、大体に於て新しく発足して行こうというのではなしに従来ある権限をそのまま郵政局に附与していただきたいという様な意向をもっていた様であります。そういう様な権能を与へることは将来に於けるところの中央政府の在り方というのに非常に主席の権限を相当侵される心配がありまして、この点は非常に苦心をしたのであります。そういうような関係上、非常に日数がかかりまして六月十五、十六、十八日という風にこの只今お手許に差上げてあります案を作りまして委員会と、それから軍と平川氏との綜合調整にとりかかったのであります。申し遅れましたが、向うの六課一台の原案よりここでは一課を削ってあります。といいますのは、向うには、特に予算課というものを作ってあったのでありますが、これは局内予算だから庶務課に入れて一係としても十分予算の審議、運営は出来る筈だという意見が纏まりまして庶務課に入れてあります。そして一課を削った訳であります。それから次長も現在の段階に於ては次長制をとる必要はないであろうということになったのであります。そして七月十日に平川氏より挿入希望条項がありまして、これは皆さん方にもすぐ配付申上げたのでありますが、我々に対する希望条項と、両案の差異の点を持って来ておりました。然しながらその意見を聴きますと矢張り依然として郵政局長としては自分の権限を大きく反映させるような条文がありましたのでただ聴き置く程度にし、ただ貯金管理所というものをその間に我々が抜かしてありましたので、その御意見を一部、貯金管理所を廨庁として入れたのであります。これは現在大島にありまして、又各離島、宮古、八重山などに於てもこの貯金管理所が若しもないとなれば、非常な不便を来す。中央の局まで必ず貯金を送ったり、払出をするのに相当の日数をかけるというような不便がありますので、これはどうしても置く必要があるという結論になりまして、貯金管理所を挿入しました。然しその間にも色々内容に於きまして話合をしまして、ようやく七月十一日に政府当局との話合が纏りまして完全に現在の案に纏めあげたのであります。そして軍の意見も七月十七日にはこの法に対する綜合調整が出来たという通知が電話でありましたけれども、これは当然主席に対して行くべきものであろうというので七月十八日局長から主席に対して軍と執行部との綜合調整、委員会との綜合調整が完全に一致したということを通告して参ったのであります。それでこういう様な経緯の下に殆ど一ヶ月余の日数を経まして、漸くここに発議することが出来たのであります。どうぞ色々私では申上げ足りない点があると思いますが、その点は嘉陽参議、大濱参議に補足していただきたいと思います。
以上簡単に発議しました経過、理由を申上げます。
○仮議長(松田賀哲君) 今田畑参議から嘉陽参議或は大濱参議から、補足する点があるかも知れんというお話でありましたが、何かありますか。
○大濱國浩君 ありません。
○嘉陽安春君 別にありません。
○仮議長(松田賀哲君) それでは御質問がありましたら…。
御質問はありませんか。
(「質問なし」と呼ぶ者あり)
なければこれを委員会付託に致したいと思いますが…。
(「賛成」と呼ぶ者あり)
御異議ない様でありますから委員会に付託致します。外に動議はありませんか。
(発言者なし)
それではこれで本会議を閉じることに致します。
(午後六時二分散会)
出席者
仮議長 松田 賀哲君
参 議 與儀 達敏君
〃 城間 盛善君
〃 大濱 國浩君
〃 吉元 榮光君
〃 嘉陽 安春君
〃 田畑 守雄君
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