戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年06月12日 
(昭和26年)
会議名
立法院本会議 1951年6月12日
議事録
立法院本会議会議録
        第二十五日目

 一九五一年六月十二日(火曜日)
 午前十時開議
       立法院会議室

議事日程
 一、主席のメッセージ送付
  (酒類消費税法の立法に付勧告)
 二、立法院職員任用法案
  (第二読会)委員長報告

○泉 ではこれから始めます。きようの日程は酒類消費税に関するメッセージと立法院職員の任用条例の二つが議題ですがその前に先にルイス大佐との連絡の時話がありましたので今後のメッセージの取扱い方について了解をいただきたいと思います。というのは次の方法でいったらどうかと思います。メッセージをいただきましたら従来の行き方はメッセージに対して参考として政府案を提出するのでありますがそれを参考案を関係委員会の方で検討しその後本会議に上程してそれぞれの手続きをやるというのでありましたがその一方布告によって各参議に発案権があるということになると新に考えるのが適切と思いますので今後これから先はメッセージが出たらそれに関係する委員会活動にはいる、いいかえるとその問題を委員会の方で研究し且つ案を作成するという経過を通り委員会に政府案を参考案として出す。出来上った案は委員会の中の誰かが本会議での提案者となるという形で一読会、二読会、三読会という経過を取って行きたい。それまでの間に委員会としては政府や軍と原案の作成について交渉をやって本会議に上程した方が経過がスムースに行くのではないかと思いますのでそういう取扱い方に御了承が得られたらと思います。
 なお他に御意見があれば…私としては出来るだけ早く片つける手段としてこういう方法を採ったらいいと思います。
○冨名腰 委員会にかけて纏まった後提案するのですか。
○泉 そうです。
○嘉陽 本会議で意見が出ればどうしても修正しなければならない。
○冨名腰 これは金融委員会の審議最中にもこういう問題が出て来たが委員会だけでやってその委員会の意見はそのまま院の意見ではないから二読会の時に当然意見の相違が出てくる。
 それで一応委員会全体の意見を纏めてからその後全員協議会を設けて協議するという方がスムースに行くと思う。実際上の審議は全員協議会でやるわけだ。
○嘉陽 これでもいいじゃないか。本会議を徹底的なものにしないで一応委員会の方で参考案を得るまで委員会でやってその後本会議にかけてそれからいろいろ議論が出るからその上で委員会附託という形は取れないものか。
○松田 協議会ばかりしないで本会議も一、二回してそれで軍に交渉したら…。
○大濱 発案するまでの準備ですからね。形式的にも発案者に責任を持たせる建前になる。その前にまず本会議でお互に話合った方がよい。
○冨名腰 軍との交渉は委員会案をつくるまでは委員会でやりその後は本会議で異論があればもう一度交渉すると、これがいいかも知れない。
○嘉陽 いいでしょうね。私は委員会の経過は会議録に残さないでいいと思う。非公式な準備委員会だから…。
○泉 今の議案の取扱い方については結局、作成を非公式な委員会活動によってでっちあげる、そうしてその委員会の中の或る参議が提案者になって本会議でやるという運び方をするように今後はやりたいと思います。
○田畑 主体性はどこにあるわけかな。
○冨名腰 今の話では全体会議はなくてもよい。委員会の案が出来ればいいというわけだ。
○嘉陽 委員会の案を一応ここの案として納得出来るまでととのえるわけだ。
○冨名腰 全員協議会まで持つか持たないかは委員長の採決(ママ)にまかしていいではありませんか。
○泉 ではこの辺で次の日程にうつりたいと思います。主席メッセージ第二号の酒類消費税法を立法しなければならない趣旨について…。
○宮里局長 趣旨って別に…。
○松田賀哲君 メッセージが出たわけでしょう。これが不必要なら法律もつくらんでいいわけだがこれを作らねばならないという理由ですよ。
○宮里局長 軍も取れ取れとしきりにいうものですから…。
○嘉陽 結局形式的にそうでなければいかんのですよ。立法院としては提出の理由を聞いて参考案をつくりある参議が提出しないと案にならないのですからね。
○冨名腰 メッセージにたいしてこういう趣旨の立法をやってもらいたい。その必要はこうだと会議録に出ないと具合が悪いですからね。
○大濱 今何んですか。メッセージを送ったのでしょう。一応打切らんといかんではないですか。
○冨名腰 そのメッセージにたいして趣旨を聞いて委員会活動にかかるわけですよ。
○宮里局長 何しろ税金の使い途がはっきりしないものですから…。
○冨名腰 実状はそうだろうが立法院としてはそういわれては困る。
○泉 五分間休憩いたします。
  (五分の休憩)
○泉 開会いたします。
○宮里局長 では趣旨を説明いたします。きょう酒類消費税法案を提出しましたがこの消費税法は先に議決なった煙草消費税法と一環をなすものでありますがこれと関連していろいろな物資に対する消費税の制定もお願い致したいと思っています。これらは全て中央政府の財政収入を確保する意味で提案しているのであります。御承知のように今軍からの補助金によって賄われていますが中央政府としていろいろと経済の復興面において収入が必要でありますのでこういう財源にあてたいと思って提案したのであります。なお本件について民政府の方からも至急にこの税制を制定するように示唆も受けておるのであります。中央政府で取立てる税を含む収入は全て中央政府の財源となることははっきりしていますからこの酒類消費税も中央政府の運営にふりむけていきたいと思っています。そういうお含みで審議願います。なお内容について説明致します。これは煙草消費税法と同じで違う事は煙草は島内産煙草も課税されたが酒の方は島内産の方は群島政府の財源になっていますので単に輸入した分ばかりを対象にしているという所だけが違っています。まず第一章で酒類の定義をあげ二章は免許のことですがこれは煙草消費税法と同じであります。これについてわれわれは申告制にして免許制は止めようという気持ちでありましたが現に島内製造は免許制だし又民政府からも免許制がいいという示唆を受けたので免許制度にしたのであります。
 次に税の賦課ですがこの税率については煙草と違い煙草は島内産もありますが大部分が輸入です。酒の方は島内産だけで充分でありますし又煙草と違って酒の消費者は男が多く生産活動している者が消費するのでありますから税率もあげてあります。後のいろいろな規定については大体煙草消費税の方を取入れてやっています。詳しいことは質問でお答え致します。ご審議をお願い致します。
○泉 今提案理由の説明がありましたが質問なり御意見があれば…。
○吉元 群島政府は泡盛だけか。
○宮里局長 現在の酒造税法では原則として砂糖や芋は食糧事情を侵さない範囲で使ってよいことになるが米は使えない。これからいけば合成酒、清酒は出来ないことになります。私は法を改正して合成酒にも課税するようにして四月一日から施行しようと思っていましたがこれが軍の方で保留となりましたがこれが通過すれば合成酒も課税出来るわけです。
○大濱 課税出来ない理由は。
○宮里局長 税率の均衡が取れないからです。何でも大島あたりでは取っているようですが…。
○大濱 大体一年でいくらぐらい取れますか。
○宮里局長 これは輸入割当てがいくらかということで決りますが貿易庁に聞きました所第一期として九月までに三十万ドル分のビールを入れるがこれで五千四百万円取れるし、さらに冬になれば清酒が入るから合計七、八千万円程度取れると思う。
○松田賀哲君 輸入割当てには全然タッチしていないわけですね。
○宮里局長 そうです。
○松田賀哲君 だからこういう問題が出てくると輸入割当て面にもタッチした方がよい。
○宮里局長 もし出来たら政策面にタッチして行きたいという気持ちを持っています。
○松田賀哲君 実際の所、沖縄は泡盛で沢山だ。
○大濱 アメリカビールの課税はどうなるわけか。
○宮里局長 貿易庁などを通じて出るのは出来るが闇で流れるのはやりにくいと思う。しかし軍としても闇に流れないように努力するということだった。
○泉 没収していいわけだろう。
○田畑 いいだろうがビール缶などにスタンプがおせるわけですか。
○宮里局長 特別なインクを使用するので水で洗ってもおちない。しかし又印をおしたのをけずるのはいませんからね。
○冨名腰 局長にお聴きしたいが税法を設ける趣旨は島内生産品を保護奨励する意味で輸入酒類をなるべく入れないという面に重きを置きますか、それとも中央政府の財源確保という面が重点ですか。
○宮里局長 両方に置きたいと思います。
○冨名腰 それでは税率に矛盾は出来ませんか。
○宮里局長 それはですね、税率を高くすると輸入が少く島内産が多く出廻るから税収は少い。一方低くするとどんどん入って来ても税率が低いから税収は少いわけです。島内産を保護しつつ税収入を確保するというのが狙いです。
○冨名腰 島内産を保護奨励して合せて税収をはかるという考え方ですか。それとも税収と同時に島内産の保護奨励をやっていくという考え方か、どっちを取りますか。
○宮里局長 私は後の方を取りたいと思います。
○冨名腰 財源を確保しながら島内産の奨励を目的とするものですね。
○大濱 それは食糧などの関係を考慮していますか。
○宮里局長 これは税収一本槍ではありません。現在もっと島内産を保護しようと思うなら税率を上げねばなりませんがしかしその場合輸入量が減り税収が少くなりますがこれであれば島内産を圧迫しないで税収も相当あげ得ると思います。
○冨名腰 それでは資料の提出をお願いしたい。輸入酒類の銘柄別輸入見込み調べそれから各銘柄ごとの仕入れ価格、それと百五十%の税率をかけて卸価格、小売価格は大体どれぐらいにおちつくか、その見通し、この三つの資料をいただきたい。その際例えば輸入見込額の調べなどは極めて当てずっぽうなものもありましょうがなるべく根拠のある所からお願いしたい。
○宮里局長 貿易庁の意見を聞いてそうしたいと思っています。
○冨名腰 それから過去のものも参考になると思います。昭和十四年のものはありますが…。なお出来るだけ根拠を明記して下さい。
○宮里局長 それは調査課で出来ないでしょうかね。私の方は何しろ職員が手不足で…。
○冨名腰 大体の輸入見込みなどはわかりませんか。
○宮里局長 それだけならあります。
○大濱 ビールなどの輸入はこれから増しますかね。
○宮里局長 私は減らないと思います。ビールを例にとると一本二十円ぐらいだ。これを大体五十円で卸している。そして料理屋辺では一本百円です。そうなると二十円に百五十%の課税で五十円になります。だからこれを五十円ぐらいで卸した場合業者の利潤は減るが一般に対する価格は余り上らないと思います。
○松田賀哲君 何だね、ビール、日本酒は税金を多く取ってもよいね。
○冨名腰 これだけは大衆課税にはならないと思うね。
○泉 では本案は財政経済委員会の方で研究して議案の作成に当って下さい。
○宮里局長 御希望ですがこの税法の施行は軍からも貿易庁からも早くしてほしいとの希望でありますから一日も早くお願いします。
○冨名腰 軍との関係はどうなっていますか。
○宮里局長 了解ずみです。
○泉 軍の了解も得ているものでしたらここでも急ぎたいと思います。
○泉 では次に立法院職員任用条例案の審議にはいります。これは先に行政法務委員会附託になっていましたから委員会の状況をお願いします。
  (宮里財政局長退場)
○嘉陽 それでは附託を受けた立法院職員の任用制度について委員会の経過を報告いたします。その前にこれは形の上では二読会になるわけですがちょうど二、三日前セイファーさんが見えていた時に今作っている議案は何かという話があって金融委員会と旅費支給条例とこれが問題になっていると申しましたらこの任用条例を扱う部はないから自分が見るという話がありました。それで二読会の意見を聞いて翻訳して軍に提出して最後の本会議にかけるということが妥当のように思います。この任用条例は先に軍から認可なった行政職員任用条例と大体同じであります。附託になった原案と委員会の修正案が両方出ていますが修正案では原案の第三条が修正案では第四条になっていますから一条増えたわけであります。原案で一、二条に書いてあったのは修正案では三条にわけてあります。第四条以下は行政職員任用条例と大体同じですから修正案の三ヵ条について御審議願いたいと思います。
 第一条では事務局長は甲号職からというのを削って自由任用制を取りました。それが問題になった点です。次に第二条では書記長は何をするかが要点で書記室は条例で定められているのでそれを統轄するものとして書記長がおかれるというのが要点です。
 も一つは事務局長は自由任用制度ですがその場合次長という形の人がおった方がよかろうというので事務関連の人が書記長に上っていった方がよいという趣旨であります。第三条では調査室の制度で立法院規則と専門調査員制度との繋りをどうつけるかという点に苦心しました。
 議論の結果委員会としては結局専門委員会は置かない事になりました。第十九条にも専門委員会にふれていますからこれがいわば各委員会に置かれる自由任用職に相当するものと思います。専門委員会は特別扱いにして当分置かないということにしました。次に立法院規則にある調査員は甲号職職員であるいわゆる事務局職員で甲号職の職員だがこの中から立法院調査室の仕事をするというように観念づけていわば調査室は調査研究の仕事をするものとして大体纏めて見ました。だから要点は専門委員は甲号職という枠にはまらないこと。調査員は一応甲号職職員たる資格をもつものであること。調査書記は一般書記と同じものにして大体乙、丙号職にすること。第三条は大体このように観念づけたつもりですが改めての審議をお願いしたい。後第四条以下は行政職員のものを読みかえたものであります。以上説明を終ります。
○冨名腰 質問ですが行政職員任用条例の場合は職制で特別職と一般職にわけていたようですがそれがこの規定にはない。読めばわかるわけですがその区別をしないのは特別な理由があるのですか。今一つは専門委員は自由任用職になっているがこれは何か政治的な含みでもあるのか。後一つは調査員は甲号職中から任用することになっているが実際問題として大学を出て二年間も実務につかなければなれないがその場合採用は困難になってくるが乙号職であってはいけないという理由があったら一つ…。
○嘉陽 今の話はそういう問題を強く意識しながら作成しなかったため考慮はそれ程強く払われてはいません。特別職と一般職に分けるかどうかという点については特に議論が出ないでそのままになりましたが今から考えると限られた二十何名の中で分けるだけの必要はないという先入観があったために出てこなかったと思います。専門委員会制度なども問題をいろいろ残しながら意見を纏めたものだという程度であります。だから特別職と一般職があることは明らかでその場合特別職は事務局長と専門委員ということになると思います。
 それに関連しまして専門委員を特別職とする理由が問題になるわけですがその点は専門委員については立法院規則の制度として第十九条に専門知識を有する職員という立法院規則もあるし、よって専門委員というのは立法院規則で重んじたものだということを前提にして別に任用資格は書いてありません。その立法院規則の範囲で任命するというわけです。
○冨名腰 政治性を持たそうという狙いはないわけですね。
○嘉陽 別に政治性はありません。問題は次の質問の調査員はなぜ甲号職でなければならないかということですが調査員はどこまでも調査室の主体をなし他の職は書記長系統の命もうけねばならないというわけです。それから第一条の任命を任免になおして下さい。
○松田賀哲君 事務局長の仕事は。
○嘉陽 これは設置条例でわかっていると思う。第一条の規定はいらないといえばいらないわけだ。
○田畑 第一条は削除してもいいではないかという意見も出たが一応はこの形をとらねばいけないという理由でそのままにしたわけです。
○嘉陽 第一条の第一項ですが事務局長がどういうものかは設置条例に書いてあります。それから第二項は立法院規則の第十三条にあるわけです。だけど統轄するという一項を入れるべきだと思います。
 第一条第二項に「事務局長は議長の命をうけ事務局を統轄する」と挿入。
○松田賀哲君 第五条の「又は責任を負い」というのは。
○嘉陽 責任ある仕事をするという意味でしょうね。これは行政職員のものをそのままとったわけですが…。
○大濱 事務局に書記室と調査室があるわけですね。第一条と第三条がはっきりしない。
○嘉陽 調査室の職員は両方に系統があるわけです。一方では事務局長の命を受けねばならないと思う。
○大濱 その繋りをはっきりさせたい。命令系統がはっきりしないと事務が渋滞する。
○冨名腰 それは設置条例の中にうたわれているよ。
○嘉陽 大体調査員は職員として指揮監督をうけるということをはっきりさせたいと思う。
○冨名腰 専門委員が事務局に属するかどうかはっきりしないね。
○田畑 本会議でやってもらおうと思って疑問を残して持って来たわけだ。
○嘉陽 日本の国会でも調査室があって専門委員がいるわけです。待遇は事務局からもらっているが…。
○吉元 そこがはっきりせずに皆の意見を聞こうと思っているわけです。
○嘉陽 第三条の趣旨は調査員は調査室の構成者であるという観念からつくりあげ立法院規則の常任委員会の観念をはなれては考えられないものが専門委員であります。調査員が甲号職で専門委員はそれ以上でしょう。そうすると専門委員は枠からはずさねばならないと思います。
○冨名腰 専門委員の職務をいれるようにしようや。それがはっきりするでしょう。
○嘉陽 それがよいですね。
○冨名腰 そうすることによって専門委員に重きをおかねばならないということがはっきりしてくる。
○泉 常任委員会の所属にしようか。
○嘉陽 それでもよいですね。
○冨名腰 学識経験といえば参議の顧問格ですね。
○吉元 そういう考え方にもっていったわけです。
○田畑 そこを話合いましたがそういう人が果して任用出来るかという点でまず当分設置出来ないという見方をしたわけです。
○嘉陽 専門委員の項は削除してもよいと思います。
○冨名腰 いれないとすると任命する場合は。
○嘉陽 必要なら当然院議で決めるということになるわけでしょう。
○松田賀哲君 私も法制審議会みたいにはっきりしたら書かなくてもいいと思います。
○冨名腰 将来法制局的に考えようとするなら削除した方がいいね。調査員だが甲号職だけになると枠が狭められる。要するに甲号職か乙号職と枠を決めた方がいいじゃないかね。
○嘉陽 むしろ甲、乙などと限定しないで調査員は一般書記で調査室に勤務するものとしたら…。
○冨名腰 しかし一般職員だったら甲か乙かはっきりさせないと…。
○嘉陽 私は調査員は調査室に属するという観念ではなく調査員が集って調査室になるという観念だ。そこに無理があるのだが…。
○泉 立法院規則第十九条をもって来たら改正出来るでしょう。
○冨名腰 事務局長に指揮命令権があるということはわかるが…。いいだろう。特別職、一般職を規定しないでもっていくか。
○嘉陽 結局専門委員を残すと事務局長しかいないわけだ。
○冨名腰 今の一般職と特別職の問題は当然将来公務員法が設けられて身分保障が得られるという前提のもとに事務局長は何かはっきりさせないと…。
○田畑 しかし局長はどうですか。特別職になっていないと思うが…。
○嘉陽 いや完全な特別職ですよ。
○冨名腰 大きいですよ。議長代理をやったりするのですからね。しかし身分は保証されていないがね。
○田畑 沖縄の場合はあるようなないような曖昧な行き方で行きたいと思うですね。
○冨名腰 そうなった場合は反ってややこしくなりますよ。
○泉 第四条の上は除いてもよいではないかな。
○冨名腰 事務局長は何職かはっきりしないわけだ。
○泉 少くとも一般職ではないことはわかるね。この三つに入っていないのだから。
○冨名腰 これが大きな公務員法などに則ってのものなら謳う必要はないがね。特別職は何々、一般職は何々という規則は必要ですね。特別職という文句を使うならその定義はしなければいけないね。
○嘉陽 これは根本問題ですね。
○冨名腰 第四条以下は行政職員規則を準用するという決め方にしたらいかないですかね。
○嘉陽 そうやろうと思ったのですが事務局側の意見としては入れた方が良いだろうという意見があったものですからね。
○冨名腰 何が特別職で何が一般職だとして職階については行政職員任用条例を準用したら…。
○嘉陽 然しそれは公務員法がバックにあっての話で琉球のような所では意味ないと思うね。
○冨名腰 然し行政職員任用条例をつくる際から将来公務員法をつくるための委員会をつくらねばならないということを頭において考えたからこそ一般職、特別職に分けたのですからね。
○泉 行政院のあれも臨時的な任用条例にしかならないわけですよ。
○大濱 然し特別職、一般職は今の所では考えなくてもいいだろう。
○松田賀哲君 第四条以下は行政的のものに準じていったらよいと思いますね。
○冨名腰 然し三権分立の建前から同じものでも入れた方がよいですよ。
○嘉陽 公務員法の附則第十一条に国会及び裁判所の職員は昭和二十六年十二月三十一日までは法律の定める一般職に属するということになっていますがということは二十六年以後は別のものをつくることを意味すると思いますね。
 だから公務員法の制定を予想した場合は一応繋りをつけた方が良いと思いますね。
○冨名腰 第四条は事務局長を除く他と謳うことによって自由任用という観念でいいじゃないかといえばそれでいいですがね。私のいう意味は行政職員の任用条例と歩調を合せる必要はないかどうかという問題です。
○嘉陽 むしろこうなるでしょう。国会職員の場合はやめさせるのに余程むずかしい規定があるのだから必ずしも一般公務員の身分保障とは別個に考えねばならないと思いますね。
○泉 行政府の事務局長は特別職になっていないでしょう。
○嘉陽 原案から甲号職というのを除きましたが理念上それ以上の人で以下の人ではないですよ。
○泉 第四条の事務局長から除く外は消しても良いと思うですね。
○嘉陽 事務局長は甲号職員を統轄するから理念としてもその上だ。
○冨名腰 然し官庁事務に従事しなくても優れたものは任用していいのだろう。
○嘉陽 然し日本では下から順繰上っていくでしょう。
○冨名腰 順繰順繰という観念は考えの外においてもいいではないかね。
○嘉陽 日本の国会でも下から上っていくのが普通でしょう。
○冨名腰 あくまで自由任用かどうかをはっきりさせないといかんね。行政職の場合は特別職、一般職二つをこしらえたわけでしょう。それだから事務局長は何職か疑問にならないかというのですよ。特別職というのは直接責任を取るわけだから主席の納得のいく人でなければならないが、然し一般職のものは必ずしもそういかないという観念から出たのだからね。
○嘉陽 そういうことではなくて事務局長は必ず事務局から上るということを排除するのは政党の関係からですよ。
○冨名腰 そんなら書記長の場合でも同じですよ。政党政治の上では主席の使いやすいものでないといかんのですからね。
○嘉陽 然し行政職員のように事務局長がかわるのは必然的だという制度は許せないと思いますね。
○田畑 そこまでは議論してないですよ。そうなると調査員もそこまでいかねばならないと思いますね。
○冨名腰 私のいうのはだね、嘉陽君の話しでは行政、裁判からここにはいる時は今までのものを御破算にしてはいらなければならないがそうなるとここの職員が逆に行政、裁判から拒否されることになるがね。
○嘉陽 これは立法院の任用条例ですからね。
○大濱 人事の交流は出来ないにしても勤務年限を加算すると出来ると思いますがね。
○冨名腰 然しですね、同じ学校を出て同じ年限を務めて行政院の方は上にいくつもポストがありますがここは少ししかない。そこで行政院(ママ)はうだつが上らないから行政院にいこうとしても御破算ですよ。
○大濱 然しやめて向うで同じポストにつけないこともないでしょう。
○冨名腰 それは認定というのがありますからね。
○嘉陽 それなら事務局の職員は主席の手で統轄しなければならない。戦前の国会職員はそうです。総理が任命しよったですよ。
○冨名腰 そこまで窮屈に考える必要があるかな。
○松田賀哲君 そこまでやってはきりがないよ。
○嘉陽 その意味で無理のない序列をつくって資格と待遇の釣合いをとらしておかないと…。
○冨名腰 ここでの経験年数を考慮に入れないということになると…。立法院から上っていかないと事務局長になれないわけでしょう。
○嘉陽 甲号職でなければいけないとなるとそうなるです。
○冨名腰 行政からここに移る時でもそれだけの経験があればそう見て良いではありませんか。
○田畑 ここで採用してここの職員になったら資格が当然出るわけです。然し向うの職員がここに転勤は出来ないわけです。
○嘉陽 ここから行く場合は向うも加算するといっているがこれは法律上の義務ではないわけだ。
○泉 結局は退職の辞令をとるかとらないかというのが問題ですね。
○嘉陽 その前に事務局長を甲号職とするかというのが問題ですよ。
○松田賀哲君 事務局長となるとそうはいかんよ。
○嘉陽 だから私は甲号職というのは妥当でないからこうしたのです。
○冨名腰 それはいいが事務局をずっと努めたものでないと出来ないわけだろう。
○嘉陽 いやいや甲号職とするとそうなるのですよ。
○冨名腰 何だそうか。君が経験を建前とするというからそれでは一般職で甲号職とするとした方がいいといったのだ。
○大濱 向うの話しではそういうことも有り得るが出来たらだんだん上るのがよいといったのですよ。
○泉 中央政府の職員は主席がこれを任命するというのがあるがその中には行政、司法、立法を含めているかどうかが問題ですね。
○嘉陽 例えば裁判所の場合は首席判事の名前で辞令が出るかどうかは疑問だね。
○冨名腰 先に進みましょう。
○泉 問題はこれだけです。
○冨名腰 結局どうなったのですか。事務局長を除く他となるわけですね。
○嘉陽 そうです。
○泉 では第四条は事務局長を除く他云々として下さい。では本案の二読会はこれで終りたいと思います。
○冨名腰 議長メッセージ第何号だったですかね。あの旅費支給規定ですがあれはスミス覚書が改定出来ないなら我々がやる必要はないですよ。
○泉 そうですね。
○冨名腰 あれに対する修正権がない以上我々の方では立案出来ないわけですよ。
○泉 そのことについてはセイファーさんが向うの財政局に聞いてみるといっていたから明日はわかるでしょう。
○嘉陽 この問題はどうしても明らかにしないといけないですね。
○冨名腰 アメリカ流にいくと日本でいう日当や宿泊料は含まれないわけですよ。
○嘉陽 それから法律か条例かという問題が新聞にのっていましたが法規を公布する場合一番先のやり方は立法院がこれを可決して主席がこれに署名して法になるわけですね。結果において法になるのです。所が問題は公布の形ですが議決第何号というと主席が拒否した場合は欠番号になるわけです。
 それで番号は主席の方でつけるようにする。その場合法律という言葉が問題ですが出た結果が法律だから立法第何号とした方がいいかも知れませんね。
○冨名腰 それはわかりますが煙草消費税とか任用条例とかいろいろあるわけだが…。
○嘉陽 全部法に統一しようというのです。これは主席にも話しておきますから…。
○泉 では今日はこれで終ります。
  (午後零時三十分散会)

本日の会議の出席者は次の通り

 松田賀哲君、冨名腰尚武君
 大濱國浩君、吉元榮光君
 嘉陽安春君、田畑守雄君
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