戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年10月04日 
(昭和26年)
会議名
立法院全員協議会 1951年10月4日
議事録
立法院全員協議会速記録

 一九五一年十月四日(木曜日)
 午後二時十九分開議

議事日程
 一、立法院弘報発行規程について

○仮議長(松田賀哲君) これから全員協議会を開きます。議題はお手元に差上げてあります「立法院弘報規程」についてですが、これについては行政法務委員会の要求で全員協議会を開いた訳であります。それで委員長の城間参議から説明をお願いします。
○城間盛善君 この規程は指令第五号の立法院の手続の中の第八条に出ているものでその中で立法院会議録を保持しなければならないと同時にその会議録を時宜により公表する。その場合はそれに議案とか決議事項など含まれねばならないという規定があります。もう一つは後で民政官から送られた書簡がありますが、その二つに基いて作ったのであります。なお「弘報」の「弘」が「ひろめる」の「弘」を使ってあるのは官報の性質を持つ行政府の「公報」との名称の区別をつけた訳であります。内容の説明に入る前に一応読んでいただきます。
  (書記長川畑秀志君「規程案」朗読)
○城間盛善君 第一条は発行する基礎になる指令ですが第三条は内容であります。その第一項は明らかに指令第五号の規定のままです。第一項cの要領は請願及び受理文書にかかって表決にはかからず表決はそのままです。第三条第二項は後に出て来た公文に基くものです。立法院が審議中の重要な立法案の内容に関する情報を提供するということは立法院の任務だということが書かれています。
 それから第三項は行政主席のサインを得て出た法律は公報に出るのでそれ以外の立法院に関する規則などを集録する訳です。内容はそれだけですが第二項の基礎になっている八月二十九日附けの公文を読んで下さい。
  (書記長川畑秀志君「同文書」朗読)
○城間盛善君 これにも中央政府のそれぞれの三機関が関係事項を住民に知らせる必要があるとしていますが特に未制定の立法に関する情報を知らせるのは立法院の責任であるとしているので第二項に書いている訳です。この規程を作る前に主席事務局、上訴裁判所と打合せの結果出来たのですがこれについては事務局長から三者合同の協議会の模様を説明して下さい。
○事務局長(比嘉良男君) 今までの経過の報告を致します。九月十八日主席事務局で行政、司法、立法の三機関の事務担当者が集って指令第五号それからルイス准将からの書簡の件について一応草案を持ち寄って研究した訳でありますが、これをもとにして成案を得た後その写しは軍に報告致し、予算は財政局を通じて軍に折衝することになりまして十月二日の行政法務委員会にかけた訳であります。
○城間盛善君 これで説明は終りまして討議をお願いします。
○仮議長(松田賀哲君) これは第六条までありますが一括して質問を伺いましょうか。
○與儀達敏君 そうして下さい。
○大濱國浩君 第三条第一項cの「要領」は表決にはかからないということだが文法上はかかるんじゃないか。
○城間盛善君 日本文ではそうなるな。表決だけ別にしますか。
○冨名腰尚武君 これはしいて直さんでいいじゃないか。表決の要領ということは有り得ないから文章的にはかかっても読み違えはないよ。
○城間盛善君 別の項にするのが本当と思うが一緒にしてしまった。
○仮議長(松田賀哲君) 議事の記録とは速記録か。
○城間盛善君 そうではないと思う。説明だろうな。
○仮議長(松田賀哲君) 日記を少しのばして説明したものですね。速記録でないことは確かですか。
○城間盛善君 そう解釈して間違いないと思う。
○冨名腰尚武君 これは議事日程に関する記録じゃないか。
○仮議長(松田賀哲君) いわば議会日記だな。それから第二項の未制定の重要立法に関する情報の範囲だがね。
○冨名腰尚武君 難しいな。
○城間盛善君 内容を大体わからせるという意味じゃないか。
○仮議長(松田賀哲君) 速記録なども重要な情報だがね。
○城間盛善君 そこまではいかんと思う。立法案の内容じゃないかな。
○冨名腰尚武君 立法院が何を制定しようとしているかを有権者に知らせることがこれの趣旨なんだから主として啓蒙的な情報じゃないか。
○仮議長(松田賀哲君) そういうことははっきりさせるべきだと思う。これはいずれセーハンなどに聞かねばならないだろうが…。
○城間盛善君 聞く必要があるね。それから議事の記録などもですね。
○冨名腰尚武君 第三条の第一項と第三項ははっきりしているが、二、四の場合これは掲載すべきものだ、すべきでないとはどうして決めるか。
○城間盛善君 結局立法院の判断だがこれはどこでやるべきかな。
○冨名腰尚武君 議長の責任とするか。或は合議の上で決めるか。
○與儀達敏君 議長だろうな。しかし第二項などの場合は議長だけで決められないことも出て来る。
○仮議長(松田賀哲君) 重要という制限があるからな。
○田畑守雄君 発表するせんはここの勝手だがどの程度か細則ででも決めておかんと困るんじゃないか。
○城間盛善君 第三条にでも簡単に規定するか。
○冨名腰尚武君 そうしたらややこしくなるね。
○大濱國浩君 細則まではいらんだろう。
○仮議長(松田賀哲君) 第三条のD項の議事の記録の内容、重要立法に関する情報、これをはっきりしておかんと…。それから第六条ですね。民間団体又は個人まで配布するか。
○城間盛善君 配布する場合があり得る訳だ。
○仮議長(松田賀哲君) 弘報を欲しい人はいくらでもある訳だがそういう人にいちいち配るかね。
○冨名腰尚武君 それは部数で制限されるだろう。
○與儀達敏君 初めは個人を削ろうという意見もあったがね。公聴会などの場合には矢張り配った方がいいというので…。
○仮議長(松田賀哲君) 行政ではどういう方法で配布していますか。
○事務局長(比嘉良男君) 連絡事務所に託送している。
○冨名腰尚武君 確実に届けるには郵便でやるのが一番いい。ルイス書簡の迅速な処置という趣旨には沿わない。
○與儀達敏君 掲載資料の決定だが議長一任とするのは心配な点があると思う。掲載資料は議長と当該委員会の委員長の承認を経てこれを決定するとしたらどうかな。
○仮議長(松田賀哲君) そうすると議長と反対したらどうする。
○與儀達敏君 その時は載せないさ。
○冨名腰尚武君 当該委員長の承認を得て議長これを決定するもいいな。
○仮議長(松田賀哲君) どうしますか。
○冨名腰尚武君 問題は第二項だが「但し第二項に関しては当該委員長がこれを立案し議長がこれを採決する」とでもいったような…。議事の記録も問題はあるが第一項ははっきりしているから第二項と第四項だけに関してだ。
○仮議長(松田賀哲君) それは委員会に委したらどうかな。
○田畑守雄君 第二項の場合はそれでもすむが第四項はそうはいかんよ。議長まかせでいい。
○仮議長(松田賀哲君) 文句だけでも院の承認を得て議長が決するとでもした方がいい。
○冨名腰尚武君 住民が一番関心をもつのは第二項だから発表する方も慎重にやらねばいかんよ。
○城間盛善君 第二項の掲載に関しては議長は事前に院の承認を経なければならないとでもしますか。第二条はこれでいいですか。議長の命をうけとか何とかいれんで…。
○與儀達敏君 いいですよ。
○仮議長(松田賀哲君) 随時というのは…。
○冨名腰尚武君 要するに定期刊行ではないという意味だ。
○田畑守雄君 書記室と限定するのはどうかな。
○冨名腰尚武君 分科規定がここに来てるわけだね。第一条にいい切っているよ。
○城間盛善君 それでいいね。これは取りましょう。
○仮議長(松田賀哲君) 第二条は委員会でもう一度考えて下さい。
○城間盛善君 今削ってもいいじゃないか。
○與儀達敏君 これでいいじゃないか。
○城間盛善君 第三条第一項のD及び第二項ははっきり聞いておきます。
○仮議長(松田賀哲君) 第六条もそのままにしますか。
○冨名腰尚武君 それでいいと思うがね。多少の予備をもっておってほしい人にはやれる用意さえしておけば…。第六条の最後の「配布」は「頒布」とした方がいいね。
○城間盛善君」 附則の月日はどうしますか。
○仮議長(松田賀哲君) 公布の日から実施するとした方がいい。
○城間盛善君 本会議の時に入れましょう。
○仮議長(松田賀哲君) 本件はこれで終ります。次は予算案ですね。
○冨名腰尚武君 ちょっと申しおくれましたが掲載の載は車です。
  (書記長川畑秀志君「弘報発行予算案」朗読)
○冨名腰尚武君 発行諸費の中には用紙代も含まれているかね。
○事務局長(比嘉良男君) そうです。
○仮議長(松田賀哲君) これは半年分ですか。
○事務局長(比嘉良男君) そうです。
○仮議長(松田賀哲君) 予算は全部集ってやったわけですね。
○事務局長(比嘉良男君) はい。
○城間盛善君 もう一つ協議願いたいことがあります。郵政局が設置された後郵便局の局長任命について困っているらしいです。というのは仕事の性質からいえば部下職員を統轄する任務だから甲号職で給料も九級以上支給しなければならないので任命に困っているので何かしてくれと申出があってその後メッセージ第十八号となって立法を要請された訳ですがこれについて主席事務局長の証言をきいたわけです。行政府としては新に廨庁職員任用法を作ってもいいし任用法を改正してもいい。どっちでもいいというのです。
 所で当面の問題としては郵便局長の任命だがこれを急ぐので我々の立場としては今後出来る局の廨庁のこともあるのでいずれ必要とは思うが、といって立法しておいて急場に間に合うかどうか、委員会としても最後の腹を決めかねているのです。
○冨名腰尚武君 郵便局長は部下を指揮監督しているという訳だね。
○城間盛善君 向うは甲号職にしてくれといっているが給料は但し下でもいいとしてもらえば出来るというのだ。所が甲号職というのをそんなに簡単に使われていいかどうかが疑問だ。
○仮議長(松田賀哲君) 向うの出す廨庁の規定は簡単なものじゃないかな。
○城間盛善君 立法院として廨庁職員任用法を作るとなるとあらゆる廨庁にあてはまるように考えねばいかんと思うね。
○冨名腰尚武君 向うに案を出さしたらどうか。
○吉元榮光君 郵便局のものを特別に作ったら…。
○冨名腰尚武君 廨庁毎に作った方がいいかも知れんね。
○仮議長(松田賀哲君) いずれにしても郵便局長を任命する規定は作らんといかんよ。
○城間盛善君 第四条を改正して主席に委任するとしたらどうか。
○與儀達敏君 第四条はいずれ改正せんといかんが…。
○城間盛善君 第四条をそのままにして別に定めるということで行政主席が規則で出来ると解釈した場合後で困る問題は起きないかといっている。
○仮議長(松田賀哲君) まず郵政局に案を出さしたらどうか…。
○冨名腰尚武君 必要に応じてその都度特別法を作った方がいいと思う。
○城間盛善君 ここの態度が決れば行政部では案を出すというのです。ではこれはそういうように致します。もう一つ乙、丙号職の中に技術屋の項目を入れてくれという要望がありますが…。
○吉元榮光君 これは事務系統を対象にしているから技術系統が入って来たら変るよ。
○冨名腰尚武君 改正はやっかいがらずにやりましょうや。
○城間盛善君 もう一つメッセージ第十七号で主席事務局設置法を改正してくれという話があるんです。向うから来た参考案の中に七月一日より施行するとあるのですよ。だから言い換えれば七月一日から必要な職員を任用している訳だ。十四名を超えている訳です。溯って施行してくれというのは裏返せば十四名を超えて七月一日から既に採用しているということだ。
○冨名腰尚武君 法律違反だ。
○城間盛善君 違法じゃないかとしぼってみたが既に増員している。現在二十五名いるということだった。その基礎はどこにあるかと質問したら指令第六号で公報を発行しなければならないし又守衛なども置かねばならなくなったというのです。向うも手落ちだとは認めていますがやっかいな事です。私はさらに公布の日から実施するとしたらどうかと聞きますとそれは具合が悪い七、八、九月分の給料は出せなくなるというのです。
○仮議長(松田賀哲君) その直してくれというのは何時から始まったのですか。
○城間盛善君 メッセージ第十七号が来てからです。なぜ早く改正の要請をしなかったかという質問にはこの十四名という定数は変更しなければいけないということは考えていたがこれは定員法などで別にやった方がいい。後になって必要な職員を置くということを思いついたといっているがね。
○冨名腰尚武君 定員を溯って実施するということは設置法制定の趣旨にもとるよ。
○仮議長(松田賀哲君) さあ、これはどうするかな。とにかく公布の日から施行するとして出すから七月、八月の俸給の出し方は考えて出せということにしますか。
○冨名腰尚武君 前例にならないようにせんと…。
○仮議長(松田賀哲君) さあ、これで終りましょうか。
○事務局長(比嘉良男君) それから弘報発行の手続きはどうしますか。
○城間盛善君 議決第何号ですか。
○仮議長(松田賀哲君) 行政はどうなっています。
○事務局長(比嘉良男君) 行政主席訓令です。
○冨名腰尚武君 ここは議決でいいだろう。
○仮議長(松田賀哲君) ではこれで終ります。
  (午後四時三十分閉議)

  本日の出席者
   仮議長  松田 賀哲君
   参 議  與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   冨名腰尚武君
    〃   大濱 國浩君
    〃   吉元 榮光君
    〃   田畑 守雄君
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