- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年09月26日
(昭和26年)
- 会議名
- 立法院全員協議会 1951年9月26日
- 議事録
- 立法院全員協議会速記録
一九五一年九月二十六日(水曜日)午前九時五十九分開議
議事日程
一、立法院議員公選計劃答申について
○仮議長(松田賀哲君) きのうに引続き全員協議会を開催致します。選挙公営からですね。
(事務局長比嘉良男君「j、選挙公営の前文」朗読)
○城間盛善君 これは一般の輿論でもありますし又選挙に金がかかりすぎるということが選挙に於ける公平を欠く根元、原因にもなるので、或る程度公費によって選挙運動の費用を全候補者一律に出して、要するに金のあるなしに拘わらず平等な運動が出来るようにという趣旨のもとに、日本の現在の方法を参考にしてその中ここで実行可能なものだけを七項目に分けて掲げてあります。
(事務局長比嘉良男君「(1)、新聞広告」朗読)
○城間盛善君 これは日本の制度そのままであります。なおこれは期間中に候補者の選ぶ新聞に一回だけ無料で広告を出すこと、その代りその後は出来ないことになっています。これは金のあるなしに拘わらず平等に運動出来るようにというのが主眼点だから一回限りということになるのです。
○田畑守雄君 後に返るようだが金がかかるためにと言い切っていいですか。
○吉元榮光君 事実かかったからいいですよ。
○仮議長(松田賀哲君) 弊害云々といわずに金がかかるから多くの費用を投じないでも出来るようにしようといえば…。
○城間盛善君 選挙運動の方法にも改善すべき点があるがそこにも公営と結びつくことがあると思う。選挙運動の方法に制限を加えねばならないという所からも公営の理由が出て来るからそこからもっていってもいいでしょう。
○田畑守雄君 これでいいでしょう。
○仮議長(松田賀哲君) 新聞広告だが一回限り出来るとするとこれは官費の広告が一回という意味か。
○城間盛善君 自費では出来ない訳だ。
○仮議長(松田賀哲君) そこには書いてないじゃないか。
○城間盛善君 これだけの英文ではアメリカに分らんかも知れんね。どういう言葉がいいかな。
○吉元榮光君 選挙運動のため使用する広告は中央選挙委員会の定める所によって一回しか出来ないと第七項の葉書の配布みたいな形式でやったら…。
○城間盛善君 選挙に関しては無料で広告することが出来る。候補者は如何なる形式をもってしてもこれ以上することは出来ないとやろうか。
○吉元榮光君 推薦人まで封ずるか。
○城間盛善君 そうせんといかんだろう。
○嘉陽安春君 そこで問題になるのは差別待遇を新聞がしてはいかんという所があるが、あれは除いてこれでやるとでもせんとちょっとおかしい。
○城間盛善君 候補者だけは一回だが他の人はやっていいかどうか。他の人がやっていいというなら差別待遇をやっていかんという項目は活かしていいな。
○嘉陽安春君 しかしあれは候補者が主題となっていたはずだよ。
○城間盛善君 これは公営の建前が平等を基準にしているから一回きりで他には出来ないとした方が趣旨にかなうよ。
○田畑守雄君 そうなるな。
○仮議長(松田賀哲君) 只候補者自身がたった一回しか出来ないというのは心細いな。
○嘉陽安春君 昔からいえばそうだが日本の選挙公営でも街頭演説に重点をおかすようにしているわけだ。
○田畑守雄君 私は推薦者による広告も禁じた方がいいと思う。
○嘉陽安春君 それ以外やらせると差別待遇の所が意味をなさない。それでは何らの制限規定にならないじゃないか。新聞広告を制限しようという趣旨は選挙法にちょっと顔を出しているが新聞社側に義務を負わしているだけだから意味はない。
○與儀達敏君 そこを一回以上は出来ないというようになおしたらどうか。
○嘉陽安春君 一回限りという趣旨ははっきり現れている。無料かどうかは書いてはないが公営という見出しがあるからいい。
○吉元榮光君 いや葉書にしても無料配布とはっきり書いてあるしそれとの関係もあるし…。
○大濱國浩君 これは必ず無料といれんといかんよ。
○城間盛善君 「広告することが出来る」の前に無料をいれましょう。それ以外の広告をどう禁止するかが問題だ。「それ以外は如何なる形式を以ってしても選挙に関して新聞広告をすることは出来ない」とするか。
○嘉陽安春君 なおこれに関連して群島選挙法第八十八条の第二項「差別待遇の規定」は削除してほしいといれましょう。無用になりますよ。
○城間盛善君 そうしましょう。
(事務局長比嘉良男君「(2)、政見放送」朗読)
○城間盛善君 これも日本のそのままです。又放送局でも出来るといっています。
○吉元榮光君 街でやっている広告放送はどうか。那覇などでは相当聞こえるだろう。
○田畑守雄君 そうだね。あれはどうなるかな。
○嘉陽安春君 商業用の広告放送は利用出来ないとしたら…。
○與儀達敏君 拡声機で無形の大衆に呼びかけるのはどうなる。
○城間盛善君 自分自分で二つもっているからそれを利用してもいいじゃないか。さあ、どうですか。「議員候補者にたいし琉球放送局により選挙運動期間中一回ずつ政見を無料で放送する機会を与える。」その後に商業広告用施設を利用することは出来ないとつけ加えるか。
○嘉陽安春君 放送の意味だがね、街のマイクは拡声しているわけじゃないか。
○仮議長(松田賀哲君) 商業広告用放送でいいじゃないか。これは只読んだだけで諒解するものじゃない。だから説明する時にあんなものは放送だといえばわかるじゃないか。
○嘉陽安春君 拡声放送施設としたらどうか。
○城間盛善君 ああ、それならはっきりするね。
○與儀達敏君 どうですか。次…。
(事務局長比嘉良男君「(3)、経歴放送」朗読)
○城間盛善君 前項は候補者自身による放送だが三番目は放送局が候補者の年齢、氏名、主な経歴(その場合政見は含まない)などを放送することになっている。所で琉球の放送施設が現在強力でもないし又一般に受信設備がいきわたっていないという欠陥があってこの恩恵をうけるものは沖縄の候補者だけになるが折角あるものだから利用した方がいいという趣旨であります。三番目の経歴放送は全琉の候補者のものを放送してもろうということが必要だろうと思います。
○仮議長(松田賀哲君) 所で原稿は誰がつくるんですか。
○城間盛善君 これは候補者から出さねばいかんだろう。
○仮議長(松田賀哲君) だからそれには制限がなければいかんだろう。
○城間盛善君 そういう事務的な対策は中央委員会がつくるということにせんといかんと思う。
この経歴放送の場合は全琉の候補者は口頭で中央委員会に連絡すれば充分だろう。
(事務局長比嘉良男君「(4)、立会演説会」朗読)
○城間盛善君 これも日本の選挙法の中の公営に関する同一項目になっていますがこの規定によって立会演説会が開かれるということになるとどういう場所で開くかという点は日本の選挙法にもはっきり規定があって責任をもつ選挙委員会が指定することになっていますね。それでここも群島管理委員会が指定したら実施は市町村の管理委員会がやるというふうにしている。
○吉元榮光君 いいでしょう。
○仮議長(松田賀哲君) 言葉だが「立会演説会」でいいかな。日本はどうですか。
○城間盛善君 日本もそうなっています。実際は合同で政見を発表するわけだが…。
○仮議長(松田賀哲君) 合同演説会の方がわかりやすいね。
○嘉陽安春君 そうした方が個人演説会との区別がはっきりする。
○城間盛善君 そう致しましょう。
(事務局長比嘉良男君「(5)、個人演説会」朗読)
○城間盛善君 この場合は新聞広告と違って一回だけ無料でその他は何回やってもいい。只指定された会場以外で選挙演説をすることは出来ない訳だ。これの趣旨は二つある。一つは候補者の如何にかかわらず公共施設を利用させる。公共施設の利用をえこひいきなしに確保してやることが一つ、もう一つはそういう設備を各候補者に均等に与えるからそれ以外は出来ないということになるわけだが街頭はいいが施設は使用出来ないことになる。
○嘉陽安春君 個人演説会というのは屋内演説会の意味だ。金があるからといって劇場を使ったりしてはいかんというわけだ。
○城間盛善君 これは日本の条文をそのまま取って来たがわかりやすいようにはっきり書いた方がいい。
○嘉陽安春君 個人演説会として見出しに街頭演説会を除くとしますか。
○城間盛善君 (b)項の次につけたらどうか。
○吉元榮光君 但し書で「但し街頭演説はこの限りにあらず」ではどうか。
○城間盛善君 それでいいですね。第三項の指定する施設というのは管理者が候補者のえこひいきを禁ずる趣旨です。
(事務局長比嘉良男君「(6)、選挙公報の発行」朗読)
○城間盛善君 これはそれだけの内容ですがね。
○嘉陽安春君 この(b)ですね。ここで特別な事情というのは琉球では一応大島の事情があげられましたが群島でやるなら(b)の意義は失われるんじゃないか。
○田畑守雄君 一選挙区に於て発行出来ない事態が生ずるかも知れないよ。
○城間盛善君 ここの事情に即するように直したらどうか。発行だけにしないで発行又は送附しない。例えば大東島の場合間にあわなければ配布せんでもいいというふうに…。
○嘉陽安春君 これは中央選挙管理委員会が定めるものだから恒久的ものであって選挙の都度やるものではない。
○田畑守雄君 削除した方がいいよ。
○城間盛善君 (b)項全部ですね。それから期日前十五日となっていますが立候補届出は十日前、つまり五日間の相違があります。十五日前までに立候補しなければ公報にのらないわけだ。これはいいでしょうね。
(事務局長比嘉良男君「(7)、葉書による立候補挨拶状の無料頒布」朗読)
○城間盛善君 挨拶状は通常葉書だけに制限してこの通常葉書も郵政局で表示したものでなければ使えない。立候補挨拶はこの範囲でそれ以外は文書の発送は出来ないということになる。
○嘉陽安春君 「葉書による」と書くと封書によるのもあると思われるから「葉書による」は消しましょう。
○仮議長(松田賀哲君) 一応は挨拶状を出して次には依頼状を出すというようなこじつけなどはおこらんかな。
○城間盛善君 (a)項ではっきりしているでしょう。
○嘉陽安春君 五千枚としてあるけど一緒にとらなくても最初に二千枚、次に三千枚と送ってもいいだろう。
○仮議長(松田賀哲君) それはそうですよ。
(事務局長比嘉良男君「k選挙公営と財政問題」朗読)
○城間盛善君 この五千円を分担金として七千円あれば立候補出来るわけだ。供託金が二千円…。
○嘉陽安春君 前にもどるが供託金の没収だが五分の一は衆議院の場合だ。県会議員の場合は十分の一だ。
○田畑守雄君 これは余り引上げるのはいかんよ。やはり十分の一だね。
○城間盛善君 十分の一に改めましょう。
○與儀達敏君 分担金も減そう。三千円がいい。
○城間盛善君 じゃあ、三千円に下げますか。
(事務局長比嘉良男君「1選挙運動」朗読)
○城間盛善君 (3)の公安委員ですが選挙運動に入れることにしてありますが選挙法を見ると被選挙権のないものは選挙運動は出来ないように限定してありますから被選挙権の所にいれましょう。
○嘉陽安春君 公安委員も被選挙権を有しないものと定めて貰いたいとする訳だね。
○城間盛善君 では1の第三項は削ります。次の自動車、船舶の制限は日本と同じだ。
○吉元榮光君 このポスターの検印は市町村でいいじゃないか。
○城間盛善君 これは候補者毎に皆違うからやっぱり群島委員会でしょうな。
○仮議長(松田賀哲君) (a)の自動車、船舶の使用制限だがその他の車輛は制限はない訳だね。
○吉元榮光君 自転車などはいいですよ。
○仮議長(松田賀哲君) 自動車は一台しか使えない訳だが故障した場合はどうか。
○城間盛善君 かえたらいいわけだ。実際に動く車が常に一台という訳だ。
○田畑守雄君 二台を同時に使ってはならないという意味だ。
○城間盛善君 もう一つ問題があるがこれを発議する形式だがどういう形でやりますか。
○嘉陽安春君 これは結局、メッセージ第三号の回答と見るか軍に対する答申と見るかによって違ってくるがね。
○城間盛善君 答申の場合は院議だから決議として出さねばいかん訳だ。
○嘉陽安春君 諮問にたいする答申なら次の通り答申することに意見の一致を見たとなる訳だ。然しメッセージとして扱うなら決議という形を取らねばいかんと思う。
○城間盛善君 答申案にしても立法院としてのはっきりした意志を纏めるという形をとらねばいかんじゃないか。
○嘉陽安春君 選挙公営の実現を期すというなら決議だが進言に対する決議は少し強すぎるね。
○城間盛善君 「立法院はこれこれにつき次の通り進言する」とするか。
○嘉陽安春君 立法院は主題に関し慎重審議の結果次の通り進言するもいいじゃないか。
○城間盛善君 それがいいと思うね。どうですか。
○仮議長(松田賀哲君) いいでしょう。それが穏当らしいな。
○城間盛善君 これには発議はいらん訳だな。
○吉元榮光君 これは院としてやる訳だからいいでしょう。「左記の諸点に留意して」を慎重審議の上にいれたら…。
○城間盛善君 そうですね。そして公選計劃をここに別紙の通り進言するとなる訳だ。それから第二項は消してa、b、cは1、2、3としますか。
備考の概算総額は次の通りであるも消しておきますか。
○仮議長(松田賀哲君) 向うはすぐ聞くですよ。計算しているということは示した方がいいじゃないか。
○吉元榮光君 聞かれたらやるとして消した方がいい。
○城間盛善君 口頭で言った方がいいじゃないか。
○與儀達敏君 添付書類として出す以上は正確なものを出さないと…。
○仮議長(松田賀哲君) ではこれで全員協議会を終ります。午後の本会議は二時から開きます。
(午後零時四十五分閉議)
本日の出席者
仮議長 松田 賀哲君
参 議 與儀 達敏君
〃 城間 盛善君
〃 大濱 國浩君
〃 吉元 榮光君
〃 嘉陽 安春君
〃 田畑 守雄君
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