- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年09月01日
(昭和26年)
- 会議名
- 立法院全員協議会 1951年9月1日
- 議事録
- 立法院全員協議会会議録
一九五一年九月一日(土曜日)午前十時二十分開議
議事日程
一、財政局設置法の一部改正について
○仮議長(松田賀哲君) これから財政局設置法の改正についての全員協議会を開きたいと思う。当局の方は忙しいのに御苦労でした。それでは草案について当局の御説明をお願いします。
○財政局長(宮里勝君) 御説明申上げます。この度軍の直轄していた税関、移民局が財政部の主管にうつったのでこれを財政局設置法の中に法制化して運営していきたいというつもりで設置法の改正をお願いしたわけであります。
この改正の要点は先に法制化していただいた第三条の局長他職員六十名を置くとありますが、ここに定員を決めておくと人員の増減する毎に、改正しなければならないという都合もあり又日本の例でも人員は設置法の中になく別に決めてあります。さらに最近の郵政局設置法でも定員は除かれていますので財政局でもこれを除きたいと考えています。それから第五条にいって従来の五課の他に移民局、税関がありますが現在移民局はスキゥスさんの方で管轄され税関の方は財政部で主管しています。この機構の移管についてスキゥスさんに呼ばれて財政部副部長とそれから税関監督官と話合ったのですがその時スキゥスさんの話が税関は財政部の事務系統だ。これは君たちにまかす。しかし移民事務局は将来どうなるか分らない。国によっては外務省の主管もあるし総務部系統にうつされている所もあるので必ずしもこれが何時も財政局の下にあるかわからないから予算でも何でも税関と何時でも離せる態勢を取っておくようにと指示されております。それで移民事務局は第五条に外局として設けています。
又名称についても最初移民課とも考えましたが独立した一つの官庁でありますので移民局にするか移民事務局にするかと考えましたが考え方によっては郵政局の下に、郵便局があるから移民局でもいいが又他の局と区別するため「事務」を入れたらどうかということで移民事務局と決めたのであります。又税関の方は最初向うとしても移民事務局のみ廨庁としたいと考えていましたが日本の例などを話したらそれはよかろうというのでこの案になったのであります。大体の要点はこの三点が主な修正になっています。
第一条の改正だがこれは根本的なものではありません。日本の設置法でも第二条以下は全部本局という言葉を使っていますのでここでも本局と称することにしました。又第二条も「財政局」を「本局」と改正したのであります。第三条は職員定数を除外して「必要な職員」といたしました。又第五条の方は移民事務局の方は移民事務局を一局追加したわけであります。次に第十一条の挿入ですがこれは移民事務の職務を決めたのであります。移民局の事務は将来もっと発展するかも知れませんが、現在では沖縄から出ていく者と入ってくる者の一切の事務を司っているのでありますが、我々は収容所もおきたいというので予算としてもここの職員十八名を取っていますが、これが収容所の管理など三つの勤務を見るわけです。又廨庁として税関をおきこれが組織については別に決めることにしました。又財政局出張所も将来内国税の徴収もあるので税関と切離して出張所を設けるという考え方ですが、経費の関係から例えば今大島にある税関と出張所を別にすると経費がかさむので、一つの形にして兼務の形でやっていって最少限度に切りつめたいと思います。簡単でありますが以上が改正の要点であります。
○仮議長(松田賀哲君) 今説明をうかがったわけだが疑問の点を説明する際に逐条でいきますか、まとめていたしますか。
○禧 清二君 簡単だからまとめていいだろう。
○田畑守雄君 逐条でいった方が早いんじゃないか。
○仮議長(松田賀哲君) そんなら逐条でいきましょうか。
○財政局長(宮里勝君) それからちょっと…。この案を我々が立法院に提出する前に軍の財政部に出したのでありますが、大体いいから立法院に出して本格的に最終決議する前にもう一回出してくれという事でした。
○仮議長(松田賀哲君) 我々の方でも本会議にかける前に協議会、研究会でやって委員の方でそれをまとめて、大体こういうことになったということをあなたの所を通じて軍にやって不認可する意志はないというあれが出ないと本会議は開けないのです。では逐条でいきましょう。
一つ読んで下さい。
(立法院事務局長比嘉良男君「改正案」朗読)
○仮議長(松田賀哲君) 第一条はこれでいいですね。第二条もいいじゃないですか。第三条は定員法でやるという行き方ですね。
○財政局長(宮里勝君) そうです。一緒にまとめてやるわけです。
○嘉陽安春君 定員法にまとめた方がいいでしょうね。
○財政局長(宮里勝君) 定員法は是非つくってもらわんといかんですね。
○仮議長(松田賀哲君) 次に行きましょうか。第五条ですね。
○財政局長(宮里勝君) 外局の問題だがくわしい事は知りませんが我々の考えとしては、本局つまり局長の配下にあって直接事務を見て仕事を局長の名において直接執行するのが本局の部局で、外局というのは局長の配下にある一つの独立した…勿論事務系統は財政局長なら財政局長の傘下にありますが…部局として仕事を進めるのが外局ではなかろうかと考えています。
○城間盛善君 こう考えていいですか。廨庁の場合には外に本局以外の事務所を持って命令系統がある。しかし外局の場合はないと…。
○財政局長(宮里勝君) 命令はあるわけでしょう。
○嘉陽安春君 形式からいけば第五条は五課一事務局をおくとなりますが、事務局というのはぴったりした名称ではないじゃないですか。
○財政局長(宮里勝君) 戦前のなんでいくと主税局、主計局は内局で専売局などは外局といいよったですね。
○嘉陽安春君 例えば郵政局などは五課一台をおくとなっていますがこの一台に相当する何かがくるべきではないかね。
○仮議長(松田賀哲君) 結局五課及び事務局をおくとするといいわけですね。
○嘉陽安春君 しかし移民事務局が名称として適当かどうか問題だ。その前に一つおききしたいのは前に本法では通関事務に関することとありますが、これは人も物も含むという意味で通関という言葉を使ったのです。だから主税歳入課の四項は削除しないとダブルんじゃないかね。
○財政局長(宮里勝君) そうですね。とにかく移民事務局は主税歳入課の下にはもっていかないで局長の直轄にするようになっています。
○嘉陽安春君 本法でも移民という言葉が適当でないので通関という言葉をもって来たのだ。通関という言葉は人も物も含めて関所を通るということにしたわけだ。
○仮議長(松田賀哲君) この名称だが通関事務所とか何とか…。
○財政局長(宮里勝君) この名称については頭を悩ましたのですがいいのがあったら結構です。
○嘉陽安春君 移民というと移民問題をあつかうようで…。
○財政局長(宮里勝君) ここの職権はアメリカの市民を除いた一切の外国人をあつかうことになります。
○仮議長(松田賀哲君) 移民というと今にもブラジルに行けそうで…。(笑声)
○城間盛善君 渡航事務所などはいいと思うが…。
○仮議長(松田賀哲君) この名称はここで考えるようにしましょう。
○城間盛善君 通関事務所は語呂がむずかしいからわからない。渡航事務所などがいい。
○仮議長(松田賀哲君) そうなると向うからはいってくる場合がね。条文は大体そうして名称は後で考えましょう。
○田畑守雄君 第十一条だがここに収容所という言葉を使ってありますが本来の移民ということもこの中にはいっているかどうか…。
○財政局長(宮里勝君) 例えば日本から土建業者がはいって来たらつかまえてここに入れておく、それから向うで予防注射をしないではいったものがあるとここで身体検査をするようにするわけです。余談になるがこの前中国人の夫婦連れで来たのを刑務所におしこんでおいたら、これが後で問題になって向うの立法院からここの長官に君は国際法を知っているか、これは国際法上大きな問題だと文句が出てそれからアメリカのハウスに連れていって丁寧にもてなしたという事件もある。
○田畑守雄君 私がここでいうのは移民という言葉を使っているがこれは将来我々が考える移民もここに包含されるわけか。
○財政局長(宮里勝君) 事務的には包含されている。
○田畑守雄君 そうなると従来の日本の外務省の仕事がはいっているわけだね。
○財政局長(宮里勝君) 政策面はまだアメリカがもっているわけだから差当っては出入国だけ扱うわけだ。この出国及び入国というのは将来政策的部面も負わされるんではないかという考え方から漠然としてはいるがいれたわけだ。
○嘉陽安春君 三の収容所という言葉も何かないかね。俘虜収容所という感じだ。
○仮議長(松田賀哲君) 名前は後で考えることにして次に行きましょう。
○財政局長(宮里勝君) 第十二条にいう廨庁というのは一つの出先官庁という具合に解釈している。
○嘉陽安春君 ここでお聞きしたいが収容所というのも廨庁ではないか。
○財政局長(宮里勝君) これは将来収容所長として別におくべきだと思う。将来人の行き来が頻繁になると収容所の方も一つの廨庁にはなるが移民事務局に含む必要があるかどうかは別だ。
○嘉陽安春君 そうなると収容所というのは別に役所の名前ではなくただ場所を示すわけだね。
○財政局長(宮里勝君) そうです。収容する所という意味です。
○仮議長(松田賀哲君) 所で税関というのがあるね。これはどういう仕事をやるのか。つまり私が申上げたいのは今は煙草でもビールでも関税は遠慮しているわけだがこの税関が出来るとどうなるわけか。
○財政局長(宮里勝君) つまり現在の考えは関税事務が主になるわけだ。これに付随した事務があるわけです。現在煙草でも酒でも内国税の形式で取っていますが実際は関税だ。陸に上れば内国税関係があつかう。ただ通関するものは名義上その方が便利がいい。
○仮議長(松田賀哲君) それから二の廨庁の組織規定は行政主席が定めるとあるが出張所にしても税関にしても予算の問題もあるはずだがそれでも行政主席だけで決めるのか。
○田畑守雄君 行政主席といれるとはっきりしすぎるね。だから別に定める処によるとして諒解事項にした方がいいね。
○嘉陽安春君 郵政局の時も話が出たが廨庁に関する立法は当然しなければならないと思う。その間は一応諒解のもとにやらねばならないが主席が定めるとなると恒久的ものとなってしまう。だから廨庁については主席と切離すべきだ。
○財政局長(宮里勝君) あなた方の説を聞いてやった方が権威もあるからそうやりたい。
○仮議長(松田賀哲君) 今の第十二条はこれでいいですか。別に定めるとあるから立法化する意思ですよ。
○財政局長(宮里勝君) 私としては対外的にも法文化した方がいいと思う。
○嘉陽安春君 これは予算の時問題になるよ。
○仮議長(松田賀哲君) 次の附則にいきましょうか。
○嘉陽安春君 適用はおかしい。例えば給料率を変えるにはそれを前から適用する意味もあろうが、ここでいわんとする所は移民事務局は七月一日に発足したものとみなすという意味ですからね。その場合適用するといっても適用される対象がないじゃないか。
○財政局長(宮里勝君) 軍が使っていたものは六月三十日解雇して七月一日から完全にここにうつされたわけです。
○財政局庶務課長(久手堅憲睦君) その間空間が出来ると何によってやったかということになるから…。
○財政局長(宮里勝君) 日本でも一部改正の場合はこういう文句を使っている。
○仮議長(松田賀哲君) あんた達が引継いだのは何時かね。
○財政局長(宮里勝君) 七月一日から引継ぐよう正式にいわれたのです。予算も七月から引継いでいるんです。
○嘉陽安春君 今の名称は後で考えますか。
○仮議長(松田賀哲君) これは発議した後でもいいじゃないか。
○財政局長(宮里勝君) いい名前はないかね。
○吉元榮光君 移民事務局として将来に備える構想を立てた方がいいじゃないか。
○仮議長(松田賀哲君) 今まで大体まとまったものは「本局」はやはり「財政局」として一、二は削る。第三条、第五条の「本局」も「財政局」となおす。
○田畑守雄君 本局は皆財政局になおすわけだね。えーっとそれから第十二条の財政局出張所の財政局は削ったらいいじゃないか。
○財政局長(宮里勝君) そうですね。しかし何かいいのはありませんか。
○仮議長(松田賀哲君) 財務出張所などは…。
○田畑守雄君 それは当局でも首をひねってください。
○仮議長(松田賀哲君) これもここで決めて早急にしたいが…。
○嘉陽安春君 移民事務局の方は移民事務所がいいじゃないかね。
○仮議長(松田賀哲君) それがいいでしょう。
○嘉陽安春君 それから第五条は五課及び一事務所にすべきだね。
○仮議長(松田賀哲君) これぐらいですね。それではこれで協議会を終りたいと思います。
○財政局長(宮里勝君) 有難うございました。
(午後零時六分閉議)
本日の出席者
仮議長 松田 賀哲君
参 議 城間 盛善君
〃 祷 清二君
〃 吉元 榮光君
〃 嘉陽 安春君
〃 田畑 守雄君
財政局長 宮里 勝君
同局庶務課長
久手堅憲睦君
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