戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年07月17日 
(昭和26年)
会議名
立法院全員協議会 1951年7月17日[1]
議事録
立法院全員協議会記録

 一九五一年七月十七日(火曜日)
 午前十時二十五分

議事日程
 一、酒類消費税法について

○仮議長(松田賀哲君) ではこれから酒の消費税法について全員協議会を開きます。その前に御報告申上げておきたいのはずっと前の話ですが財政金融と商工委員会が一つになってその委員長は委員で互選するということになって與儀参議が委員長になりました。御報告申上げておきます。では吉元参議から…
○吉元榮光君 きのうお話し合いになりましたように酒類消費税法について主席の方から再考を促して来ているわけですがその中で一番重要な問題は税率です。こちらではいろいろ審議して煙草消費税とも比較して妥当だろうというので大体まとまった案を民政府に提出しました所消費税を余り高くするのはいけないという理由で百%にしないかということを云って来ていますが第一の理由として日本においては現在密造酒が多く日本政府の税のかからない酒がここに入ってくるのを封ずるためどうしても正式ルートで入る品物は税金を安くした方がいいじゃないかというのが一つの理由で、もう一つは税金が余り多くつくと納税に対する観念がうすくなって払いきれんという意味から納税思想を悪くするんじゃないかという見解を持っているようです。この二つが理由としてあげられているようです。これにたいして皆さんの御意見をうかがいたいと思います。
 私の意見から先に申上げますと密造酒の輸入については取締りの方法で充分防げるものだという見解を持っていますし又税率については日本の状況を調べてもらったのですがそれによりますと酒造税と消費税の両方で大体特級酒が四百三十八%ぐらい二級酒については三百五十六%、合成酒が三百六%、合成酒二級が二百三十六%となっておりまして余り高いというわけではないという見解を持っているわけです。なおもう一つの理由は煙草は百%となっていますが煙草は一般大衆向きで金のないものでも財布をはたいてのむわけですがこれにたいして輸入酒は一般大衆相手ではなく特に金のある人が飲むのでそう税金をあげても島内産酒類の保護からもすこし高くてもいいじゃないかという見解を持っていますが皆さん方で御審議なされてなるべくきょう中で主席代理からの照会にたいして回答したいと思います。御意見をうかがいたいと思っています。
○仮議長(松田賀哲君) 今百五十%でなければならないという理由は何ですね。これはぜいたく品であるという意味ですね。
○吉元榮光君 それと密輸入酒は防げるんじゃないかという事と他に比較して百五十%は高くないという三点です。
○城間盛善君 不法なものはおさえていくというような考え方の方が正しかろうと思うですね。不法なものに調子を合せるように立法化するということは立法の精神にもとるものだと思いますね。
○仮議長(松田賀哲君) 賛成ですね。
○大濱國浩君 政府として取締ることが出来ないから百五十%を百%にしたいという考え方はどうも面白くない。
○嘉陽安春君 問題は取締り得るかどうかということですね。
○與儀達敏君 大体決論(ママ)は生れたでしょう
○吉元榮光君 そうですね。
○仮議長(松田賀哲君) 大体皆さん御賛成のようですから原案を書いてもらいましょうか。
○城間盛善君 吉元さんにお願いしたいのですがその中に島内産の保護ということを取入れたらどんなもんでしょうか。
○吉元榮光君 それは当然でしょう。
○嘉陽安春君 結局税収入はLCの組み方が減ると少くなるのだから密輸入酒の取締りを厳重にすることによって正規のルートによる輸入が増し税収も増えるわけです。そうすることによって財政収入がへらないということを強調してそういう形にもっていく方がよいと思うですね。
○城間盛善君 そうした方がよい。
○與儀達敏君 大体それで原案をつくって…。
○吉元榮光君 煙草消費税との対照的なことはいわんでもいいですか。
○仮議長(松田賀哲君) 煙草は必需品だし酒はそうでもないわけか。
○吉元榮光君 それも理由として入れた方がいいじゃありませんか。
○仮議長(松田賀哲君) ええ、それはそうです。
○吉元榮光君 つまり何ですね。
 密輸入は取締り得るということ、それから現在の相場から見て百五十%の税金を課しても今の価格と大体同じになるから何ら影響はない。
○仮議長(松田賀哲君) 相当の利潤を見込んでもいいというわけ…。
○吉元榮光君 そうです。又百五十%は高率な課税ではないこと。
 それから島内産を保護すること、煙草消費税は大衆課税だが輸入酒は大衆課税ではないということなどですね。
○仮議長(松田賀哲君) それから日本の税率との比較は…。
○吉元榮光君 ああ日本の税との比較ですね。それから第二十二条の犯則品の問題はきのう皆さんが同意しましたからそのまま返答してよいですね。第二十二条の第二項にですね前項の犯則品については群島政府がその処分をなした価格をもって第十一条の引取り価格とこれに対する税額の合計額とみなす。だから群島政府が競売に附した価格は引取り価格に税金を合せたものになるわけです。これで差支えないですね。又第三十一条には財政局長に免許権を与え財政局長の権限を強化したわけです。
○仮議長(松田賀哲君) 後二つは賛成ですね。
○吉元榮光君 皆さんも御賛成ですか。
  (「賛成」の声あり)
○吉元榮光君 それでは税率についてはきょう午後までに成案を得て皆さんに回覧の上主席事務局に送付したいと思います。
○仮議長(松田賀哲君) えーっと煙草消費税法の一部改正についてこういう文書がまわって来ています。これだけの改正案をやってくれというのでありますがこれはどうしますか。委員会附託ということになるんですがその時の委員が私一人でないかと思います。祷さんと冨名腰さんと三名だったのですが…。
○吉元榮光君 商工委員会でやったら…。
○城間盛善君 とにかくきょう第一読会をしてあさっては通すようにしたら…。
○仮議長(松田賀哲君) どうしますかね。正式なメッセージですから…。
○城間盛善君 どの委員会にさせるかということは議長の権限ではないですかね。
  (午前十一時十七分協議会終了引続き本会議)

  本日の出席者
   仮議長  松田 賀哲君
   参 議  與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   大濱 國浩君
    〃   吉元 榮光君
    〃   嘉陽 安春君
    〃   田畑 守雄君
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