- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年10月30日
(昭和26年)
- 会議名
- 立法院行政法務文教厚生委員会 1951年10月30日
- 議事録
- 立法院行政法務文教厚生委員会議事録
一九五一年十月三十日(火曜日)
午前十時二十五分開議
議事日程
一、立法公布法について
二、傍聴人規則について
○委員長(城間盛善君) これから行政法務委員会を開きます。御審議願いたいのが三つあります。
立法公布法と公聴会規則それから傍聴人規則、まず前に非公式ながらやった立法公布法からやります。この前の御審議の時は立法と立法の施行上必要な細則は主席が定める事が出来るという規定があるから立法の施行と関係あるものとして主席が発する規則この二つを兼ねるという事になっていましたが残された問題としては規則と細則とかいう用語上の問題、第四条の但書以下の問題等があり規則、細則についてはこの前の委員会で酒類消費税の審議の場合の記録を見るという事になっていましたがそれが見当らないのであります。
確かその当時相当論議があったと記憶していますが本会議でなく全員協議会であったと思いますが、その当時記録は取ってなくて残っていません。それでその点を第四条の但書以下と同時に上訴裁判所の当間判事に伺い非公式に御意見を伺った訳ですが当間判事はこう言っていました。規則、細則は日本でははっきりした用語上の規定が法律で定っている。それでこれに従うのもいいし或は立法院でここの立法に関する場合は規則とはどういうものであるか別個に決めてもいい。要するに用語の用い方が一定しておればいいので結局立法院で決めればいいじゃないかという話だった。
第四条の但書以下は随分熱心に読んでおられましたが私はこういう質問をした訳です。但書以下は主席が全住民に立法の内容を知らせてその上で施行するという事を目標にしているのでこの考え方、趣旨としては非常にいいと思うが実際問題として法を施行した場合いろいろな不明瞭な点が起りはしないだろうか。例えば後で離島等で立法に関した事件が起った場合果して立法が効力を発生していたかどうか。
問題が起った場合役場に到着した日はどうして確認するかという問題なり、郵便の手違いから到着しなかった場合はその市町村では公報が到着するまで効力を発生する事がないという事も考えられるので趣旨としてはいいが実施した場合、特に司法部の立場から見た場合どういうものだろうかと意見を伺いましたら先生はこういう点は確答を避けはっきりした見解は言われなかった。只こういう事を言っていました。但書の所は一つ一つの立法の施行期日を定める場合に考慮に入れたらいいじゃないかという事をもらしていました。第四条の但書は特殊な場合で普通なら施行期日を定める訳だがこれはそれ以外のものであるが、こういうものは施行期日を定める前に充分事情を勘案してから決めたら目的は達せられるんじゃないかという事を言っておられました。
以上委員会で残された二つの問題を報告した上で御審議をお願いします。どうですか第四条の但書からやっていきますか。
○吉元榮光君 認証方法さえはっきりすればすぐ出来ると思うがね。
○與儀達敏君 官報公布の日をもって認証とする訳か。
○調査員(奥島憲雄君) 普通公報が来た時受附ける事によって着手が認定される訳です。
○與儀達敏君 官報が各市町村役場に行くだろう。すると役場ではそれを掲示する義務がある訳か。
○調査員(奥島憲雄君) 別に義務はないでしょう。
○委員長(城間盛善君) 役場としては只受附けて判子を捺すだけだ。
○調査員(奥島憲雄君) 公布は住民を拘束するから皆に行き渡った時施行するのが一番だがそうはいかない。法律を知らないからと云って罰則等は免れる訳ではないので恐らく周知しただろうと思われる期間を認定しようというのがこの但書です。
○委員長(城間盛善君) 実際全住民に知らせるには但書前の施行期日を定める場合に当然考慮に入れねばならないだろうね。
○與儀達敏君 当然考慮する事にして但書以下はいらないじゃないか。
○委員長(城間盛善君) 如何ですか。
○吉元榮光君 それが紛らわしくなくていい。
○調査員(平良惠任君) 但書以下を除いた場合十日は短かすぎるんじゃないですか。
○委員長(城間盛善君) 日本ではどうなっているか。
○調査員(奥島憲雄君) 離島とか交通状況の悪い所は勅令で定めて延ばす事になっています。東京都でも大島等は別です。
○大濱國浩君 はっきりどこどこと定めた方がいい。
○與儀達敏君 三十日にしたら趣旨は徹底させられるじゃないか。定めるものの他は…。
○調査員(奥島憲雄君) 但書が適用されるものは何時施行してもいいという緩慢な目的を持つ法律という事が予想されるが、勿論普通の立法は何日から行えばいいという形式的に何十日という事を考えて定めるに違いないが、それ以外の但書が適用される緩慢な法律に対しては一応周知させるためというかそういう目的から市町村が考えられる訳です。はっきり何時から施行されるという事の認定が非常に困難ではあるがはっきり周知させてから施行するという気持が現れている訳です。
例えば三十日を経て施行すると改正するとしてもなお押さえきれないものがこの但書に含まれていると思う。
○委員長(城間盛善君) 日本では島々の場合官報が到着した日から起算するとなっていますか。
○調査員(奥島憲雄君) そうです。しかし今は公布式法というのはありません。
○委員長(城間盛善君) 郵便の事だから着かない場合はその村内ではずっと効力を発生しない訳だね。日数を決めるとはっきりしてくるがね。
○調査員(奥島憲雄君) 施行期日の確定という意味から考えて日にちを規定した方がいいかも知れんですね。
○委員長(城間盛善君) ついでだが立法院の制定する立法は日本で云えば国会の制定する法律と同じか、又府県の条例かどっちに近いかな。
○調査員(奥島憲雄君) 法律でしよう。
○調査員(平良惠任君) 各群島政府で条例と同じものを出していますから…。
○委員長(城間盛善君) 重要な立法には立法自体に施行期日が定っていると思うんだがどうですかね。第四条の日数を十日は短かすぎるんじゃないかという意見だが但し離島では何十日としますか。或は十日を一斉に二十日とか三十日にしますか。
○調査員(平良惠任君) 十日の起算日を市町村役場とせずに群島政府についてからとしたらいいじゃないですか。
○委員長(城間盛善君) その式でいきますか。
○調査員(平良惠任君) 郵便で五日、一週間かかるという予定で二十日を経てと書くにしてもはっきり入れる入れないでどういう実益があるかというのが問題ですね。
○調査員(奥島憲雄君) 施行の期日を確定するというので一律に押えた方がいいと思うが、しかし現在の所各群島政府がある以上主体であるものが法律を知らないで施行するという事は事実上望めないし今の群島政府が存在する限り群島政府に到着してから何日とした方がいいと思う。
○委員長(城間盛善君) で、どんなふうにですか。施行期日を定めるものの他は当該群島政府に到着した日から起算して満何日を経てとするわけか。
○與儀達敏君 公布の日から起算して満三十日を以て施行するとしようか。
○調査員(奥島憲雄君) 三十日にしておいてそれ以上を必要とするものは附則で延ばせばいい訳です。
○委員長(城間盛善君) 全部に周知させてから効力を発生させねばならない重要な法律は施行期日を定める場合当然考慮するという考えからその他の場合は一律に満三十日として施行するという事にして但書以下は削るとしてどうですか。
(「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(城間盛善君) 本会議ではどう扱いますか。委員会の修正意見としてですね。それから残された問題は規則、細則の問題ですが。
○與儀達敏君 委任されたものが規則ですから、規則が上でしょうね。
○委員長(城間盛善君) 立法によって行政主席に委任されたものに基いて主席が制定したのが規則だとする訳ですね。念の為読んで下さい。
(調査員平良惠任君「第一条」朗読)
○委員長(城間盛善君) この前の委員会の時署名が紛らわしいというので表現法は変えられないかという話があったがどうですか。
○調査員(平良惠任君) 立法公布の形式を規定したのが公布法だがその第一条としてこういうのが出て来ていますが当然法律上から云って紛らわしいという事は起らないと思う。だから「署名し」というのは効力発生の署名とは紛らわしくないと思う。
○委員長(城間盛善君) ここでは立法という言葉の中にその意味を含めている訳だね。
○調査員(奥島憲雄君) 立法を制定したという前提のもとにどうして発布するかというのであって、それがどうして出来るかという事はここに謳う必要はない。
○委員長(城間盛善君) さあ、どうですか。これでいいですね。次、読んで下さい。
(調査員平良惠任君「第二条」朗読)
○委員長(城間盛善君) 公報に登載するという事が公布だという意味だね。いいでしょうね。
(調査員平良惠任君「第三条」朗読)
○委員長(城間盛善君) 条の順序はどうですか。
○吉元榮光君 これでいいじゃないですか。
○委員長(城間盛善君) まず立法院が立法として制定した場合主席が何日公布しなければならないと云って次に公布するにはどうするかという順序で第三条が第二条より先になるような気がするがね。
○與儀達敏君 公布の形式だからこの順序でいいでしょう。
○委員長(城間盛善君) 第三条はこれでいいですね。次第四条。
(調査員平良惠任君「第四条」朗読)
○委員長(城間盛善君) これはいいですね。次…。
(調査員平良惠任君「附則」朗読)
○調査員(奥島憲雄君) この署名は第一条の署名と混同する虞があるとも云えますがね。これはもっと簡単にして…。立法というのを説明していますが「中央政府立法院が制定した」は削りましょうか。
○與儀達敏君 それがいい。
○委員長(城間盛善君) 後の中央政府主席の所は「成立又は制定の日」に直して署名という言葉は避けた方がいいね。立法の成立は署名しなくても成立する事がある。この署名は公布の為ではなく成立の為の署名です。
○調査員(奥島憲雄君) 問題は附則第二項の署名と第一条の署名が混同する虞があるんじゃないか。
○調査員(平良惠任君) 署名した日と書いても署名したと見做される日も含まれる訳です。
○委員長(城間盛善君) 第三条にも成立という言葉が使ってあるから成立という言葉に直したらどうですか。「その成立又は制定の日」と…。
○調査員(平良惠任君) 「本法公布前に於ける第一条の立法及び規則については、それぞれその成立又は制定の日に本法による公布があったものとする」としたらどうですか。
○調査員(奥島憲雄君) これは第四条と歩調を揃えている訳です。
○委員長(城間盛善君) 元の通りでいいじゃないか。最後を「それぞれその成立又は制定の日に本法による公布があったものとする」で…。
○與儀達敏君 それは上等…。
○委員長(城間盛善君) 委員会としては第四条の満十日を三十日に修正し但書以下を削り附則二項の主席署名の所は「それぞれその成立又は制定の」という風に修正してこれを委員会の修正案として報告する事にします。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(城間盛善君) このSOPの問題だがこれは二読会にかけて修正案を認めてもらってからSOPをやるという順序でいいでしょうね。次は傍聴人規則に移ります。全文読んで下さい。
(調査員平良惠任君「傍聴人規則案」朗読)
○與儀達敏君 第二条の第一項だがこれはどうして発見するか。
○委員長(城間盛善君) これは誰がやるかね。身体検査みたいな事は…。
○調査員(奥島憲雄君) 入る時に衛士がやる訳でしょう。
○與儀達敏君 その規定を入れんといかんね。身体検査をやる権限の…。
○調査員(奥島憲雄君) いわゆる庁内警察権を行う者がいないと具合が悪いですね。
○委員長(城間盛善君) 身体検査をするとなれば法で規定せんといかんな。規則じゃ駄目だろう。事務局設置法の改正の場合に入れようじゃないか。逐条でやってみましょう。
(調査員平良惠任君「第一条」朗読)
○委員長(城間盛善君) これはどうです。
○吉元榮光君 傍聴しようとする者は傍聴券の交付を受ける前に身体検査をせんといかんじゃないか。
○調査員(奥島憲雄君) これはとにかく傍聴券がいるという事です。
○委員長(城間盛善君) 第一条はいいですね。次に行きます。
(調査員平良惠任君「第二条」朗読)
○委員長(城間盛善君) 第二条はいいですね。次に行きましょう。第二条の次には「議長は必要と認めた時は係員又警察官吏をして傍聴人の身体検査をさせる事が出来る」としますか。
○與儀達敏君 見出しは「傍聴人の身体検査」ですね。
○委員長(城間盛善君) 第三条は括弧して傍聴人の身体検査として「議長は必要と認めた時は係員又は警察官吏をして傍聴人の身体検査をさせる事が出来る」とします。次…。
(調査員平良惠任君「第四条」朗読)
○委員長(城間盛善君) いいでしょう。次…。
(調査員平良惠任君「第五条」朗読)
○與儀達敏君 拍手はどうなる。
○委員長(城間盛善君) 日本にはありますから入れましょう。「可否を表し又は拍手をする事」
○調査員(奥島憲雄君) 日本では何々しない事となっていますがこれは逆になっています。
○委員長(城間盛善君) そうしましょう。「左の事項を守らなければならない」と。
○調査員(奥島憲雄君) 「傍聴人が傍聴席にある時は左の事項を守らなければならない」となっています。
○委員長(城間盛善君) それでいきましょう。一、帽子類をつけない事。二、容儀を乱し又は談話しない事。
○吉元榮光君 喫煙は消そうか。
○委員長(城間盛善君) 「又は喫煙」だけを消しましょう。
○調査員(奥島憲雄君) 日本では「議場に於ける言論に対し賛否を表明し又は拍手をしない事」となっています。
○委員長(城間盛善君) それがいいね。第五条全文読んで下さい。
(調査員平良惠任君「第五条」朗読)
○委員長(城間盛善君) 第五条はいいですね。次第六条…。
(調査員平良惠任君「第六条」朗読)
○大濱國浩君 「議長は係員をして」としたら…。
○委員長(城間盛善君) 「議長は係員をしてこれを退場させる事が出来る」となる訳だね。次第七条…。
(調査員平良惠任君「第七条」朗読)
○委員長(城間盛善君) これは「命じられた」じゃなく「命じた」だろうな。いいですか。次…。
(調査員平良惠任君「第八条」朗読)
○委員長(城間盛善君) 「考慮」は「顧慮」か、どっちですか。
○調査員(奥島憲雄君) 「考慮」です。
○委員長(城間盛善君) 傍聴人規則はこれでいいですか。
○調査員(奥島憲雄君) 委員会の傍聴はどうなりますか。これに準ずるとでも…。
○委員長(城間盛善君) 公聴会は別だが委員会は傍聴させる必要があるかね。
○調査員(奥島憲雄君) 憲法で保障されているのは本会議だけですが…。
○委員長(城間盛善君) 当分はこれだけでいいだろう。ではこれだけの修正を加えて委員会の審査報告にする事に致します。今日はこれで終ります。
(午後零時三十一分閉議)
本日の出席者
委員長 城間 盛善君
委 員 與儀 達敏君
〃 吉元 榮光君
〃 大濱 國浩君
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