- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年10月09日
(昭和26年)
- 会議名
- 立法院財政金融商工委員会 1951年10月9日
- 議事録
- 立法院財政金融商工委員会議事録
一九五一年十月九日(火曜日)
午後二時開議
議 題
一、自動車税法案について
○委員長(與儀達敏君) 今日は自動車税法について御審議をお願いします。逐条審議をお願いする前に現在沖縄で運行している各種車輛の表をお手許に差上げてありますので御覧願います。
(調査室書記長浜宗治君「同表」につき説明)
○冨名腰尚武君 この前の委員会でいろいろ話が出て財政当局で直してもいいといった修正済の所はありませんか。
○委員長(與儀達敏君) この間松田さんから御説明もあったが第六条に用途の変更と譲渡の場合に申請するように第二項に謳ってありますので訂正はいらんという風になっておりますが字句をはっきりするために「前条第一項又は第二項により譲渡されたと見做される乗用自動車」とすればなおはっきりする。「十日以内に前項に規定する」というのは「前条に準ずる」がいいんじゃないかという御意見です。
○仮議長(松田賀哲君) 申告は準ずるでもいいと思うが、申告書を提出するという場合には矢張り規定するといった方がいいと思う。
○委員長(與儀達敏君) 申告書を提出する場合には矢張り規定するでいいでせう。書式だから。
(第一条)
○仮議長(松田賀哲君) 括弧内の(乗用三輪車及び自動自転車を含む以下同じ)とありますが、ダットサンはどうなりますか。
○冨名腰尚武君 乗用自動車でせう。 この「部分品」には修正を加える必要はありませんか。
○仮議長(松田賀哲君) 乗用三輪車の場合乗用として入って来たものは別ですが、財政局のダットサンみたいなものは課税されないのでせう。三輪車にもそういうのがあるのです。入れる時は乗用車としてでなく、ところが実際は乗用車として使っている。結局向うからは入れて来て直ぐにこれを改装して乗用車にする。こういう形になるのだが、これでは却って高くつくのじゃないかと思うのです。それよりも却って向うから乗用車を入れた方がいいと思うのですが、この乗用三輪車というようなものを取ってしまって三輪車は乗用車に入れてしまったら…。
○冨名腰尚武君 そこを修正してもいいならば括弧の中は全部抜きたい。高級な乗用自動車という位に止めたらいいのですがね。
○城間盛善君 それに対する民政府の考え方は三輪車はこっちの道路に向かんから入れんようにする。それだったら三輪車を全部入れないようにすればすむ訳ですが、こう規定しておっても貨物運搬にはどんどん入るから同じ事なんですが、輸入禁止という意味からいえばLCで抑える事も出来る。
○冨名腰尚武君 乗用車かどうか判然と区別がつきませんね。或る会社、或る個人が自分の店の用に使うために貨物用として入れても人間を運ぶ必要があれば運ぶでせうから、そうなるとけじめがつかんのじゃないのですか。その用途変更というのが後の規定が出て来なければいいが、第十条ですよ、非常にややこしい事になると思う。
○城間盛善君 第一条の括弧の中は委員会として今いったような意味で理由をはっきりして削ってもう一ぺん話合ってみたらどうですか。
○仮議長(松田賀哲君) そうすると乗用自動車の規定が難しくなって来るね。
○冨名腰尚武君 セダンといってこれに準ずるものとすればいい。
○城間盛善君 「同部分品」というのはどうしますか。
○委員長(與儀達敏君) 一応括弧の中は削除するとしてその理由はどうしますか。
○城間盛善君 第一に簡単な改造で貨物用三輪車は乗用車になる。又この税法の七十五%というのは乗用自動車の輸入禁止の目的であって、むしろこれは財源の確保というよりは輸入禁止の意味が大きい。そうなれば乗用自動車は入らないから、いよいよ必要となって来るのは三輪車しかない。だから是非必要だ。
○冨名腰尚武君 乗用自動車の輸入防遏によって生ずる交通の緩和を図る為に三輪車程度は入れなければ困る。
○城間盛善君 このままにしても貨物用としてなら入れられるが、結局三輪車を入れる事が出来るか、この法律の規定がおかしくなる。
○冨名腰尚武君 乗用三輪車を入れると改造の手間が省ける。且つ、又良い加減な改造によって危険を増すことは面白くない。
○仮議長(松田賀哲君) 沖縄の産業復興のためにも三輪車位は是非なくてはならん。これは「乗用自動車税法案」ですね。部分品はどうですか。
○城間盛善君 組立を目的とする部分品という事ははっきりしているでせう。
○委員長(與儀達敏君) 「修理用の部分品は含まず」という風にしたら組立を目的としたものだけに限られる訳ですがね。
○冨名腰尚武君 組立車輛の規定を入れた方がいいんじゃないかね。第二項にして「琉球列島内に於て組立てられる車輛も第一条に準ずる」とした方がはっきりするのじゃないかな。
○委員長(與儀達敏君) 組立用の部分品とは限らんのですよ。
○城間盛善君 財政局では組立用だといっていたと思うが。
○仮議長(松田賀哲君) 「同部分品(修理用を含まず)」としませうか。
○冨名腰尚武君 乗用車は税をかければ入れられるでせう。これの部分品を取換える。部分品を取換えんうちは完全なものじゃない。附加えてはじめて完全なものになるのでせう。それは次から次へと課税を追加して行くということになりはしませんか。
部分品に課税をするという事は。
○仮議長(松田賀哲君) 完全に使えるまでは使って元を取返したという形でいっている訳じゃないのですか。
○冨名腰尚武君 一方には無税なものがあり一方には有税のものがあるから厄介だ。それをどう区別をつけるかという事になるが、煎じ詰めて言えば課税対象になるような部分品はありませんよ。業者の修繕用として入れて横流しすればいい。それならばはじめからこういう規定は設けない方がいい。遵法精神の点から言っても。
○委員長(與儀達敏君) こういう風に規定したら、部分品は皆タクシー業者が輸入して横流しする恐れがあるので部分品を削除する。組立だけならばはっきりする…。
○仮議長(松田賀哲君) 同部分品を削除するというと自家用は後でどんどん部分品を輸入しても無税かということになるので、要するにこういう部分品には新古を問わずすべて課税した場合には抜け道がある訳だからこの条文を財政局に書換させた方がいい。
○委員長(與儀達敏君) 三輪車は貨物用として入れるが、乗用車は貨物用としては入れないから、組立てた乗用車を無税とすると不均衡である。これは自家用車として登録した場合に課税すればいいと思う。
○冨名腰尚武君 営業用であろうが何であろうが全部課税すればいいが、自家用と限定するとこれを謳っても意味が無い。却って取締上困るから書換えて貰う。
○城間盛善君 第一条琉球列島内に輸入される乗用自動車(乗用自動車組立の目的で輸入する部分品及び琉球列島内で組立てられた乗用自動車を含む)としたらどうか。
○冨名腰尚武君 第一条の第二項として「琉球列島内に於て組立られた自家用の乗用自動車も前項に準ずる」とした方がいいんじゃないのですか。
○城間盛善君 自家用というとその定義が又問題になるが、これは第四条で規定されているから、「自家用」を削ってただ「乗用自動車」でいいんじゃないか。
○冨名腰尚武君 そうすることによって部分品を削除する。
○城間盛善君 用語上「この法律」というのは直さなければいかんでせう。「本法により」となっていたと思うが…。
(第二条)
○冨名腰尚武君 「到着価格」というのは熟した言葉ですかね。そこに疑義が生じて来ますね。
○仮議長(松田賀哲君) これは聴いて見ようではありませんか。それからこの七十五パーセントの根拠如何。
○冨名腰尚武君 乗用三輪車と自動自転車を無理にでも入れるというならば、税率に等差を設けるようにしたらどうですか。官庁用に課税するという事は我々では考えられんのですが。
○城間盛善君 群島政府に税金を払わせるというのですからね。中央政府の収入になる。
○委員長(與儀達敏君) 官庁用に対して考慮の余地なきやという事と、「到着価格」の事を聴いて見ませう。
○調査書記(長浜宗治君) 貿易庁での調査によると、乗用車は九百ドルから千二百ドル位、三輪車は貨物用と乗用に値段の差はないという事です。
(第四条)
○冨名腰尚武君 「直接」という事は要らんのじゃないですか。
○委員長(與儀達敏君) これも聴いて見ませう。
(第五条)
○冨名腰尚武君 第五条は「前条の規定により自動車税の免除を受けた乗用自動車の用途が、変更された場合はその用途を変更した時に輸入されたものと見做す」と訂正したらどうですか。「非琉球人」の解釈ですがね…。
○城間盛善君 この法律の趣旨は琉球に居る人間は米軍関係以外は乗用車を持つ場合は七十五%を課税するという風に考えられるが、段々逐条的に見て来るというと結局琉球人だけという事になって来ますね。
○仮議長(松田賀哲君) ここは重要だから聴こうじゃないですか。
(午後三時四十六分散会)
出席者
委員長 與儀 達敏君
委 員 松田 賀哲君
〃 城間 盛善君
〃 冨名腰尚武君
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