- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年10月06日
(昭和26年)
- 会議名
- 立法院財政金融商工委員会 1951年10月6日
- 議事録
- 立法院財政金融商工委員会議事録
一九五一年十月六日(土曜日)
午前九時二十五分開議
議事日程
一、自動車税法について
○委員長(與儀達敏君) 委員会を開きます。当局に自動車税法の説明をお願い致します。
○財政局長(宮里勝君) 自動車税法について当局としては最初物品税に織込む計劃でありましたが民政府の方から自動車の輸入が迫っているから切離して特に自動車税法を設定するように指示があって丁度参議の方々の休暇の前に一応提案したのであります。
当時は軍が非常に急いでおりまして係官の話でも自動車税法はちょっと待てそれは来年四月以降になるかも知れない。それで自動車税法だけ切離して設定した訳です。この案も殆ど天降り式ですがそれに我々の意見を織込んで得たものです。趣旨は税法に書いてある通り乗用車に対して課税しトラック、バスは課税されません。税率は七十五%ですがこれについて我々は高すぎるというので泉主席代理が更にルイス准将に会って懇談しましたがルイスさんとしてはこれは変更する訳にはいかない。現在の沖縄の経済状態からおして個人個人でハイヤーなど持つことは早いような気がするという事でした。
更に一般交通業者が一般輸送用として輸入する場合は免税されますがこれの用途を変更した場合は課税する事になっています。後は煙草消費税法などと同じく引取る時に課税するという事になっています。このように規定は簡単ですが罰則として脱税した場合は十万円の罰金、或は三年以下の懲役又は両刑となっており、申告しなかったり又は申告を怠った場合も罰則があります。
要はこれは主として税収を上げるより輸入を調整する事に重点が置かれた税法であります。以上簡単ながら説明を終ります。
○委員長(與儀達敏君) 一応全法案を朗読させましょう。
(書記長川畑秀志君「自動車税法案」朗読)
○冨名腰尚武君 この法案で結局軍の意図する所は自家用車の輸入防遏にあるという話だがなぜ琉球に対して輸入を防遏しなければならないかその理由については何も説明なかったのですか。
○財政局長(宮里勝君) 別に詳しい説明はない。現在の経済状態から見てそういう金をもっと有効に使うべきだという事を云っていた。
○冨名腰尚武君 会社団体の所有する場合もこれにひっかかるか。
○財政局長(宮里勝君) 官庁も免税ではない。特にそれを言ったがやっぱり取るという事だった。だから税の体系としても少しおかしい。
○冨名腰尚武君 事業によってはハイヤーを持つ事が事業達成上便利な事もあるしそれを一概に贅沢とはいえない。
○財政局長(宮里勝君) 一方には三輪車などは不経済だから入れないという事をいっている。
○松田賀哲君 ハイヤーを乗り廻して云々という事は分るが三輪車まで入れないというのはね。
○委員長(與儀達敏君) 普通の三輪車はかからないか。
○財政局長(宮里勝君) 三輪車、ダットサンはかからない。輸入する当時の形態によるのだから…。
○委員長(與儀達敏君) 官庁や病院などが困るね。ハイヤーに税がかかるとなると…。
○財政局長(宮里勝君) それは云ったんですよ。泉さんと二人で行った時に…。
○冨名腰尚武君 部分品にまでいちいち課税するのですか。
○財政局長(宮里勝君) そうです。
○冨名腰尚武君 将来修繕改造事業が興ると思うがバスに使った場合は課税しないで乗用車に使った時は課税する事になる訳か。
○財政局長(宮里勝君) これは最初で課税する訳です。
○冨名腰尚武君 しかし部品にまで課税するのはどうかな。自動車というのは完全な形を課税対象にするもので部品に対して課税するという事は税の対象から考えると追加して課税する事になる。
○財政局長(宮里勝君) 組立てて造ったものならいいが部品についてはどうかと思う。又取締りも難しい。
○冨名腰尚武君 どっちにしても紛らわしい。これは何ですか宮里さん。組立用の部品ですか、それとも修繕用の部品ですか。
○財政局長(宮里勝君) それは一切の部品です。
○松田賀哲君 第四条に一般乗客用に直接使用するための自動車というのがあるね。これは婚礼用として一日借りるという場合もあてはまる訳ですか。
○財政局長(宮里勝君) そういう場合は別に課税対象にはならない。業務の範囲内で貸切るのだからいい訳だ。只問題は長期貸切り形を取った場合は別だ。
○冨名腰尚武君 どうしても輸入を防遏しなければならないという経済問題から必要性や財政面からの何がなければなるべく大目に見た方がいい。
○財政局長(宮里勝君) 財源は問題にならない。百万円ぐらいだろう。
○冨名腰尚武君 軍人軍属の内職を防ぐのが目的じゃないかと思うね。
(午前九時五十五分財政局長宮里勝君退席)
○委員長(與儀達敏君) 課長が来るまで休憩致します。
(午前九時五十七分休憩、午前十時五分再開)
(午前十時五分主税歳入課長山内康司君出席)
○委員長(與儀達敏君) 再開致します。引続き質問致します。自動自転車というのがあるが三輪車は乗用車としての設備がなければ適用されない訳だね。
○主税歳入課長(山内康司君) そうです。
○松田賀哲君 三輪車は後で乗用車にかえた時は適用されるか。
○主税歳入課長(山内康司君) 今の所向うから乗用車として入ったものだけとなっている。島内での融通は利かした方がいいと思う。
○委員長(與儀達敏君) 第五条の第三項は省いたらどうか。
○主税歳入課長(山内康司君) それは向うから云って来たものです。
○松田賀哲君 貨物自動車を乗用車に改造した場合はひっかかりますか。
○主税歳入課長(山内康司君) 交通業者が入れた時は第五条に関係ないがそれ以外の者が入れたら関係が出て来る。
○冨名腰尚武君 「譲受」というのは分るが「使用」というのが分らんね。
○主税歳入課長(山内康司君) その点はっきりしないが名義の関係で所有ともつかないし借用ともいえないではっきりしない。原案には「琉球の経済活動の中に入ったもの」と書いてある。だからそこの所はもっといいのがあればと考えている。
○冨名腰尚武君 「使用」とかどうにでも解釈出来る言葉でなくもっとはっきりした言葉はないかな。
○松田賀哲君 第五条のその用途を変更した場合とあるが特定業者が用途を変更したという意味だろうな。
○主税歳入課長(山内康司君) 所有の如何を問わず車自体の用途が変ったというのです。特定業者が特定業者に売った場合は用途の変更にはならない。
○松田賀哲君 用途変更の場合その時の輸入税はどうなります。
○主税歳入課長(山内康司君) 時価による訳です。
○委員長(與儀達敏君) 部品の所は削除する事は出来ませんか。
○主税歳入課長(山内康司君) これはばらして持って来た場合です。部品まで課税する事は難しい。一応ばらして持って来たらかかるんだという事を入れんといかんね。
○冨名腰尚武君 ここで組立てられた自動車も輸入されたものと見做すとした方がいいじゃないかな。事実一台の自動車をここで組立てるという事は簡単には出来ないがね。
○委員長(與儀達敏君) 民政府とはそういう解釈になっているか。
○主税歳入課長(山内康司君) 向うは一切合切の部品という見方だ。
○委員長(與儀達敏君) 別に質問はありませんか。
○冨名腰尚武君 名義だけの交通業者が出て来る心配はないか。
○主税歳入課長(山内康司君) 交通業者でも一般乗客に直接使う車でないと免税しない。だから名義変更の時に出来ると思う。
○冨名腰尚武君 この税法は財源を増すために作ったものではないという事ははっきりいえるね。
要するに軍から勧められてやった訳だね。
○主税歳入課長(山内康司君) そうです。税収入としては問題にならない。
(午前十時五十五分財政局長宮里勝君出席)
○冨名腰尚武君 懲罰規定が強すぎはしないですか。
○財政局長(宮里勝君) 大体今までのものと同じです。
○委員長(與儀達敏君) これは一応このぐらいにしておきますか。それから財政局設置法の改正案を立法院で議決してよろしいというルイス准将の認可がありました。案が一部修正になっていますが修正個所は第十二条の左の廨庁をおくとして廨庁の組織に関しては別に定めるという所が廨庁の組織に関する規定は細則により決められるという風に変更なっていますが修正された案によると行政主席に委任する事になる訳です。
○松田賀哲君 これはいずれ泉氏の帰る前に本会議にかけて出来たら直ぐやりましょう。
○財政局長(宮里勝君) そうお願いします。
○委員長(與儀達敏君) ではこれで終ります。
(午前十時五十八分閉議)
本日の出席者
委員長 與儀 達敏君
委 員 松田 賀哲君
〃 冨名腰尚武君
〃 城間 盛善君
財政局長 宮里 勝君
庶務課長 久手堅憲睦君
主税歳入課長
山内 康司君
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