- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1951年09月29日
(昭和26年)
- 会議名
- 立法院行政法務委員会 1951年9月29日
- 議事録
- 立法院行政法務委員会議事録
一九五一年九月二十九日(土曜日)午前十時十六分開議
議事日程
一、日程メッセージ第十七号、第十八号に関する証人尋問
○委員長(城間盛善君) これから行政法務委員会を開きます。本日はこの委員会に付託されているメッセージ第十七号及び第十八号によって行政主席から要請されている立法の件について証人として行政主席事務局長に証言してもろうのが目的であります。まずメッセージ第十七号について行政主席事務局の意図している所を説明してもらってそれから質問にうつりたいと思います。
○主席事務局長(金城寛君) 立法案第二号の事務局設置法第二条の改正でありますがこの第二条に局長以下職員十四名をおくと規定されていますが第二四半期の予算で公報その他職種が増えたものですから現在職員が二十五名になっています。従って事務局に局長以下必要な職員をおくということに改めて定員の件は全琉的な機構が整備されてから定員法で一括して規定していただきたいと思っています。この定員の増加に先立って立法院にお諮りすべきだったのですが予算が取れるやら取れないやらはっきりしていませんし交渉を進めている間に予算をもらったものですから事後大分経過していますがこの点改正をお願いします。
○委員長(城間盛善君) 理由としては行政主席事務局の事務内容が増えたという訳ですね。
○主席事務局長(金城寛君) 公報発行、監視、それに掃除婦などです。
○委員長(城間盛善君) 何に根拠を置いて増やした訳ですか。
○主席事務局長(金城寛君) 結局公報の必要があることは大体前もって分っていましたが民政府指令第六号の行政主席及び行政副主席に関する補充規定の第六項に法規の公布及び施行という項目があります。「法規の公布は主席の責任とする。主席は立法院制定法規の委任によりその施行のため必要な細則を定めることが出来る。」公報の発行に先立ち公布式を立法院にお願いしてあったのであります。その間嘉陽参議のお手元で案を纏めていましたが公付式を待っていましたがなかなか出ずに時期は切迫していたので七月三十日附けで刊行したのであります。
○委員長(城間盛善君) この設置法の制定当時はそういう事務内容というのは予想出来なかったのか。
○主席事務局長(金城寛君) それは予想されていた。しかし予算が二百万円に限定されているため職員数は絶対数として不足と分りながら十四名で押えるより他になかった。この予算の二百万円も主席と副主席の経費として百万円とっているので事務職員の経費としては九十四、五万程度しかなかった。したがって必要とする職員もいきおい減らさねばならないことになった。
○委員長(城間盛善君) そうすると事務内容が増えてくるのは当初でわかっていたが予算が全部で二百万円しかなくそれに主席、副主席の分を除くと事務職員の費用としては九十四、五万しかないという訳で定数を十四名とした訳ですね。
○主席事務局長(金城寛君) そうです。所で予算はどうして増えたかといいますと結局公報は発行しなければならないという話合いになったしそれと共にこの機会に一括して他の必要な職員に関する予算も更新してもらおうという訳で軍と折衝を進めた訳です。所が七月中旬に予算を使用してよいという認可があったので公報を刊行した訳です。
○委員長(城間盛善君) いきさつはそれでわかりましたが参考案として行政主席事務局から送付して来たものの中に附則がついていますね。七月一日から施行する。つまりさかのぼって実施するわけだが職員定数の改正を規定した立法をさかのぼって効力を発生させるということが法的に出来ますか。
○主席事務局長(金城寛君) そういう点はあります。しかし第二四半期から予算を決めてありますので事実上七月一日から予算定員も二十五名になっている訳です。
○委員長(城間盛善君) 予算を増額したことはわかるがその時はやはり設置法はちゃんとあったんでしょう。その辺の関係はどう考えるか。
○主席事務局長(金城寛君) あの場合は定員をかえるか又は必要な職員をおくとするか考えがまとまらなかったのであります。定員の改正をしようという場合に法だけ改正して予算が取れなかった場合にはいろいろ問題が出てくるので予算が実際示達されるまではと控えていた訳です。
○委員長(城間盛善君)順序として設置法がある以上これを改正するのが先じゃないか。
○主席事務局長(金城寛君) それはそうです。それで設置法の一部改正を休暇にはいる前に出そうという話があったのですが…。
○委員長(城間盛善君) もっとはっきり言うと、附則に七月一日にさかのぼって施行するということを入れてくれという要望は既に七月一日から設置法にある第二条の規定以上の職員がおったということになるね。そこをどう考えるか。
○主席事務局長(金城寛君) そこはここの手落ちです。
○委員長(城間盛善君) 與儀委員から何かありませんか。
○與儀達敏君 十四名という基礎は軍から決めて来た訳ですか。
○主席事務局長(金城寛君) そうです。最初は十二名だったです。
○與儀達敏君 職員の採用は何時ですか。
○主席事務局長(金城寛君) 増員の分は七月からです。事務職員は八月に入ってからですがガード、掃除婦は七月になっています。
○委員長(城間盛善君) 一面からいえば立法院に予算審議権がない。そういう点も大分変則的であるがそこにこういうことが起る原因があると思うが立法院としては既にはっきり立法されている条文の範囲をこえた処置が取られていたということは、はなはだ法の威厳を損するという点で本会議の場合問題になるということが予想されますので委員会としてもその間のいきさつを弁明しなければいけないという立場にあるのです。どうですかこの附則を公布の日から施行するとしたら具合が悪いですか。支障を来しますか。
○主席事務局長(金城寛君) 問題が生ずるかどうかは予測出来ませんから支障を来さないということは申上げられません。
○與儀達敏君 予算経理の面から三月までのずれは取り返し得る見通しは付く訳でしょう。
○主席事務局長(金城寛君) 経理面での問題はない。ただ七月一日からこれを行使しているのでそこの所で法的解釈の問題です。別に予算のやりふりは問題はない訳です。
○與儀達敏君 まず予算の申請を出してそれが来てから定員問題を出そうとした訳だね。
○主席事務局長(金城寛君) そうです。その前に予算が分っておれば問題はなかったのですがあの時はそこまで考えていなかったので…。
○與儀達敏君 すぐ改正を出すべきだったがいずれ定員法で改めて決めたいという考え方で立法院に出さなかった訳ですね。
○主席事務局長(金城寛君) いや、そういう所まで考え方は纏まっていなかった。すぐ定員何名としなくてはいかんなあという考え方しかなかった。その中いろいろ考えている中にやはりこれは定員法で纏めて局長以下必要な職員をおくとしてゆとりをもたしたらと近頃なって分った訳です。それで財政局の方とも関連して向うが改正案を出したのでここも出した訳です。
○與儀達敏君 問題は主席事務局だからね。他の所の総監督をする局だから僕等も慎重にする訳だ。
○委員長(城間盛善君) 公布の日から施行してとして大丈夫だという確信は持てないか。
○主席事務局長(金城寛君) それは持てない。とにかく職員の身分に関係してくるからね。それを公布の日からとした場合身分は保障されていない訳だ。そこの所は後で問題が生じなければ頬被りでも出来るがほじくり出された場合は困る。
○委員長(城間盛善君) 違法といえば既に違法ではある。メッセージ第十七号に対する証言はこれぐらいにしましょう。次はメッセージ第十八号に対する証言に移ります。まず最初にメッセージ第十八号の趣旨というか意味というかその辺に不明な所がある。主題は臨時中央政府行政職員任用法に関連する立法となっているが本文を見ると行政機構中廨庁の管理、運営に関しての立法と思われるがそこの所を一つ…。
○主席事務局長(金城寛君) 現在中央の行政職員は全部職員任用法によって任命している訳だ。ところが郵政庁の接収に当ってどうしてもこれだけではやっていけない面が出た訳だ。現在甲号職は九級以上の給与を支給することになっているが郵政局の廨庁である郵便局の長は部下を指揮監督し自分のおさえた仕事に対して責任を持つ訳だが、そうしないと不祥の事件が起った場合その責任を取る事が出来ない。しかし現在地方の局長の待遇は八重山地区に一級の局長が三名、二級の局長が三名おります。とにかく丙号職の局長が八十七名もいる訳です。それですが丙号職に任ずでは局長の権限が行使出来ない訳です。それでこれに甲号職の資格を与えて欲しいという陳情があったのでこれに関しては廨庁の職員は廨庁職員任用法がないのでこれを別途に立案するか或はこの任用法を改正するか、この辺に疑義があったので曖昧に関連のある立法とした訳です。そこの所が立法であるか職員任用の改正で行くか明確でないものだからその判断を立法院でされるようにそれだけの含みを持たしてある。
○委員長(城間盛善君) 行政府としては今回起った郵政局の廨庁の長に関連して起った問題だけを考えている訳だね。現在…。
○主席事務局長(金城寛君) 現在はそう考えています。
○委員長(城間盛善君) それを解決するには職員任用法を改正するか、或は特に廨庁職員に関する新しい立法をしてもろうかどっちでもいいという訳だね。
○主席事務局長(金城寛君) そうです。それともう一つは作業系統職員の任用です。今度の郵政庁の接収に際して作業系統が多いが、今後も多くなるものと予想される。
○與儀達敏君 一つお諮りしたいが廨庁の任用令を別に定めてもいいしこれを改正してもいいという二つの方法があるが原則的に見て甲号職、乙、丙号職の三段階に分けてありますが地方の三等郵便局長も甲号職とすると本庁の甲号職と廨庁の甲号職との間に乱れは生じないか。そこはどう考えるか。
○主席事務局長(金城寛君) そこが問題です。実際甲号職の責任を負わすなら甲号職の給与を与えるべきだ。それが各地方にまたがっているのでいろいろな面で支障を来すのであります。そこの弊害は重大な問題だし簡単には答えられない。只ここで立法し御審議願いたいと思うのは丙号職とした場合は不測の事件の場合責任は負わせる事は出来ない。又実際部下を監督する時具合が悪いという事を特に当局も訴えて来ている。
○與儀達敏君 資源局や通商局などが来るとなると大きな問題になる。小さい局でも局長に甲号職を持っていくとなると段階を設けた趣旨に悖ると思う。甲号職は最高の職種だからね。
○委員長(城間盛善君) この委員会でもそれを心配している。郵政局長から主席宛の公文を見ると丙号職の段階におるべき職員だがこれに甲号職という名称を与えるという事になりそうだがしかしこの任用法にはそれぞれ甲号、乙号、丙号の限界、資格という面がはっきり規定されている。これを乱すような事になると将来の公務員の資格という面が不明瞭になりはせんか。特に甲号職に対する規定は非常に難しいがこれを小さい廨庁で指揮監督するという事だけで甲号職にするという事はこの規定に非常な齟齬を来す事になると思う。
○與儀達敏君 行政はどういう方針で臨むか。小さい廨庁まで甲号職を任用するのか。或は昔の属官を以て廨庁の長とする規定もあったように乙号職を充てる方針のいずれか。これが決まらないと審議出来ない。
○主席事務局長(金城寛君) 廨庁の事は任用法だけでは処理出来なくなった訳だ。どうしても廨庁職員任用法を別途に考えなくては解決出来ない問題を含むと思う。これは結局公務員法によってやって行きたいがそれが実施されるまでは一応は責任の問題だと思う。その意味で第十二条の規定があってもとにかく当該の職務に関しては責任を負い得る甲号職として公務員任用法ではっきり廨庁は分けたいと思う。
○委員長(城間盛善君) 行政府の考え方としては廨庁に関しては別途の立法によって廨庁は廨庁としてやりたいという考え方ははっきりしている訳だね。
○主席事務局長(金城寛君) そうです。
○委員長(城間盛善君) 九月六日附の郵政局長から主席に宛て提出した文書がここに出ているようだがこれについて貴方の方ではっきり分かっている点だけでいいからお聴きしたい。これは第十八号のメッセージにはややぼかして任用法の改正で行くか別個の何で行くかはっきりしない形で出しているがこの文書ははっきり任用法の改正だね。
○主席事務局長(金城寛君) 我々として参考案を出さなかったのはここの見解を伺ってからと思って出していない。行政側としても参考資料は纏まっているから立法院で何らかの処置を取ってほしいと思う。
○與儀達敏君 どうですか。これは立法院と行政府の在り方だがメッセージで斯くしたいという場合には行政府側の案を立法院に送付するのが本当じゃないか。
○委員長(城間盛善君) そう思うね。
○與儀達敏君 廨庁問題にしてもいずれでもというのはどうかと思う。
○主席事務局長(金城寛君) これはこの間お諮りした時の話では附則で出来るんじゃないかという事だった。その根拠は第四条の「別に定める所による」という所だが行政側で行政処置として附則でもやれるんじゃないか。
○與儀達敏君 この第四条はミス・プリントじゃないか。行政機構まで白紙委任した訳ではない。
○主席事務局長(金城寛君) 「別に定める所による」の解釈の問題だ。我々としては立法でやらねばいかん。でなければ立法で委任しなければならないという事だったがそこの所をはっきりさしてもらいたかった。廨庁職員の任用は別に定める所によるという事だったが消してしまった。廨庁はないじゃないか。別に定める所が多すぎるというのでこれに纏めた訳だ。
○委員長(城間盛善君) この条文は行政職員の任用についてはと解釈すべきじゃないかな。機構そのものではなく…。
○主席事務局長(金城寛君) それと廨庁もそれに含めていた訳だ。
○與儀達敏君 廨庁の職務権限は主席に委任されているからそれはその意味で解釈すべきだ。
○委員長(城間盛善君) 行政府としては第四条をはっきりさえしてもらえば出来るという意向じゃないか。
○主席事務局長(金城寛君) いや、立法で何らかの形で廨庁職員任用法なり或は何らか形を変えて立法してほしい。所があの際委任したらいいじゃないかという話が強かった。ですからそれでは何らかの形で意思表示して欲しいというたら議決では具合が悪いというので延び延びになり一応メッセージを出して全体会議で諮ってみようというお話だったのでメッセージを出したのです。そこの所がはっきりせんので我々もメッセージをぼかした。
○與儀達敏君 第四条もその解釈でいけばいかんか。
○主席事務局長(金城寛君) 我々は別に定めるという事は立法で定めるという意味にとっている。
○委員長(城間盛善君) メッセージ第十八号でははっきりしたものが欲しい。只何とかして欲しいとではどうかと思う。
○主席事務局長(金城寛君) こことしてはこうして貰いたいという意向をはっきりいったら立法院が審議の際あがきがとれなくなるというのでなるべくぼかして欲しいという話が嘉陽さんからあった。実際は第四条が発動されるか適切に改正されるかそこの所が皆さんの意思が決っていなかったから第四条の解釈次第で決るからというお話があった。今ここで御審議願えれば資料も出します。
○委員長(城間盛善君) 第十条の改正については立法院からのはっきりした決定が分かればそれに対する参考資料を提出していいというのですね。
○主席事務局長(金城寛君) そうです。
○委員長(城間盛善君) 何時か懇談的に協議した時第四条の解釈をここで決めるという事ははっきりしたね。
○主席事務局長(金城寛君) いや、はっきりはしなかった。別に定める所によるという使い方は例がない。我々としては立法若しくは同等以上のもので定めねばいかんという解釈だし又嘉陽参議の意見ではこれは規則でも出来るんじゃないか。だから立法案とせずに行政処置として出したらという事だった。だから今度の場合そこの所をはっきりして欲しいという訳だ。
○委員長(城間盛善君) 他に何かありませんか。
○主席事務局長(金城寛君) こことしては何かその点で資料を出してくれという指示があれば出しますから準備して提出したいと思う。
○委員長(城間盛善君) では委員会をこれで終ります。
(午前十一時二十八分閉議)
本日の出席者
委員長 城間 盛善君
委 員 與儀 達敏君
主席事務局長
金城 寛君
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