戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年05月22日 
(昭和26年)
会議名
臨時中央政府立法院専門委員会 1951年5月22日
議事録
臨時中央政府立法院専門委員会

 一九五一年五月二十二日(火曜日)
 専門委員会 午後一時零分再開
 第六条
○大田君(財政) 一万円が過重になれば手数料を減ずる事にしています。一万円となっているのは、軍の指令となっています。之は特殊の人にしかやれませんのでそれだけでも重くないと云っています。
○松田賀哲君 一万円と云ふのは群島政府の案ですか。
○大田君(財政) そうです。資本の小さい業者を助ける為に免許料を一千円としてあります。
 (葉煙草を自分で刻んで、喫むと云ふ事も出来ない訳です)
○冨名腰尚武君 群島政府の企業免許は別に要りますか。
○大田君(財政) 生産も製造も出来ないとすれば正式の製造者が少しは利潤が上る事になります。
○祷 清二君 将来は煙草も自給自足すると云ふ建前ですから、製造者を制限する事はどうかと思ひます。田舎の人は刻み煙草を造ってもおいおいはそれ位の事は許してもよいではないですか。
○松田賀哲君 それを許せば、税を上る事になる。第六条の煙草の販売の販売を消した方が良いでせう。
○冨名腰尚武君 一万円の五十%にしませう。島内製産の企業免許料の一千円を、五十%にしませう。
 第七条について
○冨名腰尚武君 販売場とあるのを仕出営業場に直しませう。
 B項二行処分を受けてから、二年を経過しないものが免許の申請をした場合か。
○松田賀哲君 自由貿易の根本を以て行きたい。
○大田君(財政) 要するに消費税を取りよい様にするために設けられたものである。
○祷 清二君 ここに統制とあるがどう云ふ意味になりますか。
○大田君(財政) 無制限に免許を濫発した場合は、数が多くなって、取締りが出来ない事になる。税法からいけばどうしても(消費税保全と書かなければならないでせう)。
 第八条について
○大田君(財政) 条件に応じて免許を与へる。
 第九条について
○松田賀哲君 取締り上どうしても認可を与へる。
 第十条
○冨名腰尚武君 一年以上とありますが之はあまり長すぎますので六ヶ月以上としませう。
○祷 清二君 そうですね。(六ヶ月間の有効期間があると)
○祷 清二君 引取価格と云ふのは保税地域から取った所の価格である。
○松田賀哲君 正直の引取価格と不正の引取価格と云ふのはどう云ふ風に区別しますか。
○大田君(財政) 其の価格は貿易庁で政府の検査官が行って調査すれば解ると思ひます。
○冨名腰尚武君 歳収(最終カ)価格の何%とかを取ると云ふ風にした方が良いと思ひます。
○大田君(財政) 煙草の輸入価格と云ふものがあれば量を増したり、減じたりすれば其の調節が出来ると思ひますがね。
○冨名腰尚武君 其の調節の安全弁は政府がもっていないから、調節が出来ない訳ですね。
○松田賀哲君 向ふに出した案を検討しませう。
○大田君(財政) 調査した所の書類によりますと、琉球で一年間に巻煙草が一人当て何本位あるかと申しますと、一人六百本となっています。今の所五百本見当にしています。(之は男女合せての計算になっています)現在の状態を金額で申しますと、(之は一九五〇年一月現在)現在の人口が九一万三七一四人、それを一人五〇〇本として四一一七、一三〇〇本になります。其の中四割は刻みになっています。
○祷 清二君 刻み一包、巻煙草何本位の割ですか。
○大田君(財政) 刻み一ヶ(巻煙草三〇本)の割です。値段の方は島内製品一袋四円〇〇、五〇匁入、輸入製品一袋五円五〇銭三〇g入、種類は、みのり、ききよ(ママ)。
○祷 清二君 ききよ(ママ)なんかは品質が悪くて売れませんよ。
○大田君(財政) 巻煙草(輸入品)三円二六銭、アメリカ製品(入札した所の最低価格) 一〇円〇〇、それらをひっくるめて一億三千万円は見ています。
○松田賀哲君 煙草は酒よりはむしろ安いのではありませんか。
○大田君(財政) そうです。
○松田賀哲君 輸入煙草を以って製造しても今の所二級品としかならないからね。
○祷 清二君 島内煙草を保護すると共に私はかえって無税にしても良いと思ひますよ。
○冨名腰尚武君 移出価格と云ふよりはむしろ倉出価格と云ふ方が適切ではないですか。
○冨名腰尚武君 移出とあるのは、群島間の移出と間違える恐れがありますのでそこを何とかしたいもんですね。
 第十二条について
○松田賀哲君 ここで輸入倉庫と云ふのがよく解りにくい様ですが。
○大田君(財政) ここでは、輸入物資を入れる所の政府の指定してある倉庫を云ひます。
○冨名腰尚武君 輸入倉庫は会社自体見ているのか、政府が見ていますか。
○大田君(財政) 倉入と倉出の場合は政府の立会のもとにやります。保税地域とは輸入倉庫の事を云ふている。
 第十三条について
○祷 清二君 第十三条は要りませんね。(其のために消費税を直している)
○大田君(財政) それは活した方が良いと思ひますがね。
○冨名腰尚武君 第十三条を入れるか入れないかは、今の所不明だから専門の人に聞く事にしませう。
 第十四条について
○松田賀哲君 島内産の煙草を輸出するとあるのは、之はかえって輸入を禁ずとした方が良いと思ひます。
○冨名腰尚武君 輸入煙草を出すのでは困るから、何か之に対して条文を設けて措置を取る様にしたら良いね。
○冨名腰尚武君 島で巻煙草を造っても売れませんよ。
○祷 清二君 私は住民の需要量に充し得るかと云ふのが疑問である。
○松田賀哲君 闇で出てゆくのはどうします。
○大田君(財政) それは政府はタッチしませんから良いでせう。
○祷 清二君 輸出する物は当然無税ですからね。
 第十五条
○祷 清二君 蔵置場とあるのは、現在黒糖の蔵置場はありますがそれと同じですか。
○大田君(財政) そうです。
○祷 清二君 黒糖の検査はありますが、煙草の検査はありませんね。
○大田君(財政) 政府の方で立会ってやる。
○祷 清二君 スタンプを押す場所はどこですか。
○大田君(財政) 蔵置場で押す様にします。
○祷 清二君 スタンプを押す場合は製造場を原則ですね。
○大田君(財政) そうです。
○祷 清二君 蔵置場でスタンプを押すのは役人は良いかも知れないが、業者には迷惑だと思ひます。(製造場から蔵置場迄持って来いと云ふ事が起るかも知れませんよ。)
○大田君(財政) 引取者は結局免許者でなければならない。
 第一項
○冨名腰尚武君 例へば甲の蔵置場から乙の蔵置場にやむ得ない事情によりて移した時は移された蔵置場の人から徴収する。(ここでは輸入倉庫から他の輸入倉庫へ移すと換へた方が良いですね。)
○祷 清二君 蔵置場と云ふよりは一番便利な場所と決めた方が良いではないですか。
○冨名腰尚武君 輸入煙草に対しては輸入倉庫を押へる。島内煙草の場合は製造場を押へる。(製造場から他の製造場に移すときは政府の許可を受ける事ですね。)
○祷 清二君 蔵置場と云ふのは無くしませうか。
○松田賀哲君 之は今の所疑問ですからあとで再審議して見ませう。
 第十六条
○大田君(財政) 私達の出した案と軍の出した案とが違っていますので、軍の案通りにしてあります。
○冨名腰尚武君 第二項と第三項を一本にして良いでせう。
○祷 清二君 輸入倉庫に煙草が入っている時は税金を取らないですね。
 第十七条
○冨名腰尚武君 ここでは提出しない時、又は間違った時政府が決定すると云ふ意味ですね。
○大田君(財政) 政府では政府の決定額で通知すると云ふ意味です。
○松田賀哲君 此れは要するに申告を直すと云ふ意味ですね。申告が不相応であると思った場合でも政府が決定すると云ふ意味です。
 第十八条
○祷 清二君 此れはあらかじめせいぜい検討して消費税を担保として提供すると云ふ意味ですね。
○冨名腰尚武君 之は運営の問題ですね。
○大田君(財政) 必要となった場合は何時でも提供せよと云ふ意味ですね。
○祷 清二君 此れは余程考へてもらわなければ困りますよ。 第十九条について
○祷 清二君 此れは期間の問題ですが徴収する迄どの位の日を要しますか。
○大田君(財政) 一ヶ月位になっています。
○冨名腰尚武君 そうすると銀行から金が借りられない時にも担保として入れろと云ふ意味ですね。
 それから見ると前納を建前とすべきですね。
○松田賀哲君 それは一ヶ月で良いでせう。
 第二十条
○祷 清二君 現金を担保にするとありますがどう云ふ意味ですか。
○大田君(財政) 担保にする物が無く、其の代り金はあるとそう云った場合に金を担保にするとそう云ふ意味です。例へば業者が忘れて税金を納付しない場合は、金でなくても良い事になっています。又は旅行とか其の他の事で税金を怠った時金銭で以って担保にすると云ふ事です。
○松田賀哲君 之は良く聞いて置きませう。
 第六章第二十一条
○祷 清二君 今の群島政府は減員から減員で力一杯ですが、どうですかね。政府が受持って呉れるか呉れないか疑問ですよ。
○大田君(財政) 徴収税額、一億三千万円、千分の一を政府にやる。徴収(税費)は一九四八年四・九%、一九五一年四・八%になっている。建前としては税務官吏に監督してもらふ様になっている。
○祷 清二君 歳入歳出に関する事を一局長にまかせて良いでせうか。
○松田賀哲君 名義上でも立法院が決定すべきではないですかね。
○冨名腰尚武君 之はやっぱり議会の承認を経て財政局長が決定するとした方が良いでせうね。
 第二十四条
○大田君(財政) 群島政府が没収した場合は印を押す事ですね。
○祷 清二君 没収した品物(煙草)は、売っても配給しても良い訳ですね。
○大田君(財政) それでも良いですね。
 第二十五条
○冨名腰尚武君 吾々は税から離れても社会の事を考へなければなりませんからね。
○松田賀哲君 保全上と云ふのを取ったらどうですか。
 輸入価格に対しても公定価格を設ける意思があるかと云ふ事が私はどうかと思ひますがね。
○冨名腰尚武君 免許制でなく之を自由にするか、又は統制で専売制でやってゆくかと云ふ事になる。
○大田君(財政) そこを其の儘に活かす事は出来ませんか。
○冨名腰尚武君 僕等の場は此の所政府資金でやろうと云ふ事になるんですがね。
○松田賀哲君 もうだいぶんおそい様ですから明日やる事にしませう。
○祷 清二君 では明日は午前十時からやりませう。
  (午後五時散会)

  出席者
        冨名腰尚武君
        松田 賀哲君
        祷  清二君
    財政局 大 田  君
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