- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1952年01月22日
(昭和27年)
- 会議名
- 第1回立法院本会議 1952年1月22日
- 議事録
- 第一回立法院本会議会議録
第 日目(ママ)
一九五二年一月二十二日(火曜日)午後三時三十四分開議
議事日程
一、行政主席に対する要望案について(嘉陽参議発議)
二、琉球臨時中央政府に対する布告指令の改正に対する要望案(城間参議発議)
三、軍票ドル交換所増設に対する要望(城間参議発議)
四、財政局設置法中一部改正について
五、公安委員会設置法案について
六、行政職員任用法中一部改正について
○議長(泉 有平君) 本会議を開きます。嘉陽参議から四項目に亘る行政主席に対する要望決議をやりたいと云って発議がありましたので、嘉陽参議から発議事項に対する御説明をお願い致します。
○嘉陽安春君 それでは私から決議案の発議理由を御説明申上げます。実は今まで色々設置法を審議し制定して来たのでありますが、その審議の過程の中で気付きました点について本当は立法院として立法措置を講ずべき問題が相当にあったのでありますが、これを時日の関係とそれから又新立法院が近く発足することが予想される段階に於ては新立法院の手によって新しい観点から構想され立法されることが望ましい、そう云う点も考慮しまして決議を以て立法院の意思を表示した方がいいんぢゃないかと云う、気付きました点について、この前の院議によりまして私が同決議案を起草致しまして審議をお願いする訳であります。主席に対する要望は四点になっておりまして、第一は政府の職員の数、住民経済及び政府財政の自立計画の観点からしてその膨脹を防止して貰いたいと云う趣旨のことが第一であります。第二は支局制度の組織運営の問題でありまして、従来これまで制定しました設置法の中に殆ど全ての局の中に支局を設けると云う風になっているのでありますが、この支局制度は群島政府を吸収し、琉球政府の統治形態を整えて行く過渡的段階の便宜的な措置でありまして、立法院の基本的な構想としては総括的な地方庁と云うのが各群島毎に設立せられ、それに整理統一して行くべきものであろうと考えるのであります。然しその形態なり職掌なり或は権限の範囲と云うものは、新立法院による立法措置に俟たなければ出来ないのでありまして、その意味に於て設置法に於ては行政主席に一任して組織運営をして貰うと云うことになっているのでありますが、それにしても行政主席に於てこの立法院の趣旨を考慮して組織運営し速に地方庁制度の確立をするようにしていただきたいと云う趣旨の要望になっているのであります。それから第三点は政府会計の監査制度の確立についてであります。この点は立法院の前身である諮詢委員会に於て構想しました時代に於ても、臨時中央政府の段階に於ても監査委員の制度が必要であると云うことは認めて進言した歴史があるのでありますが、この度各局の設置法を制定するに当り監査制度にまで及び得なかったのは矢張り時日の関係でどうも致し方がなかったのであります。然し矢張り民主的な政府機関としてはどうしても行政当局からは独立した権威ある監査機関が必要であると云うことは理論上政府の構成の理論の上から当然のことでありまして、これは是非とも早急に立法による確立を期待せざるを得ないのであります。然しその場合に一概に市町村、都道府県の監査委員会と云うような観念でいいものであるかどうか、或は会計検査院と云う考え方もありますし、その点については新立法院による措置に期待した方がいいんぢゃないか、どっちにしても立法院の意のあるところを伝えてそしてその間会計検査の運用について適切を期して貰いたいと云うのが第三であります。第四としては給与制度の確立の問題であります。これは行政職員任用法の改正に当りまして新立法院としては群島政府が吸収され、中央政府に統一して行く過程の中で、各群島の予算との関係それから中央政府の財政の見通しに於てまだ現在のところ過渡的な段階にあることを認めて地域差を一応認めたのでありますが、然し原則としまして将来は琉球を一元とする一貫した琉球一体の給与法規が制定せられ、それによって統一的な給与が行わるべきものだと云うことは立法院の根本的な考え方であったと思うのであります。その意味に於きまして任用法の改正によって沖縄を除く各群島に勤務する職員については当分の間主席に委任したのでありますが、主席に於てこの規定に基いて規則を定め或はその規則を運用して行くに当っては立法院の意のあるところを体して適正を期していただきたいと云う趣旨のものが第四であります。以上発議理由を簡単に御説明申上げます。
○議長(泉 有平君) 発議案を朗読致させます。
(事務局長比嘉良男君「発議案」朗読)
○嘉陽安春君 字句の点については十分に御検討を願いたいと思います。圧縮と云いましても、今までの臨時中央政府は群島政府の吸収を前提としたものであることは示されていたが、今後それが中央政府となると当然従来考えていたよりは大きくなる筈です。この膨脹が中央政府としての数が更に膨脹して行くと云う、圧縮なりと云う表現、そう云う点に疑問を感じながら一応書いて見た訳なんですが…。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
(午後三時四十四分休憩)
(午後四時十分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○嘉陽安春君 それでは第一項の字句をこう云う風に訂正していただきたいと思います。
現在中央政府職員については定員制度がなくその員数は単に予算による制限にのみ止まっているのでこのまま放置する時は職員数の膨脹が懸念される、立法院は定員制に関して立法の必要を痛感したのであるが、現在予算審議権が与えられていないことと、会期切迫とのためこれをなし得なかった。然し政府職員数の膨脹は住民経済及び政府財政の自立の観点から由々しい問題と思うので行政主席に於ては新立法院による定員制度の確立まで適正なる行政手段を講じ極力政府職員数の圧縮を期せられたい。
右要望する。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) いいですね、次に移ります。
○嘉陽安春君 地方庁が出来ても吸収出来ないのは困ると思いますがね。貿易庁の、そこの繋がりはそれは新立法院のやるべきことですがね。
○議長(泉 有平君) 次に移ります。
○冨名腰尚武君 一般行政当局と云うのは我々の今までの行き方からすれば行政機構だね。
○嘉陽安春君 行政機構と云うと個々の部門部門でせう、私の云うのは…。
○冨名腰尚武君 行政をひっくるめてと云う意味でね…。
○議長(泉 有平君) 次に移ります。
(発言者なし)
○議長(泉 有平君) 休憩します。
(午後四時十五分休憩)
(午後四時十七分再開)
○議長(泉 有平君) 四も別に御異議ありませんでしたら、以上主席に対する四つの要望事項は異議ないと認めまして、これを決議として採択することに致します。
次に城間参議から布告、指令の改正に対する発議がありましたので、城間参議から発議理由の説明をお願いします。
○城間盛善君 私から発議致しました決議案について御説明申上げまして御賛同を得たいと思います。
これは四月一日を期して発足することになっている琉球政府の権限を規定する布告に関連するものでありますが、現在の布告第三号及び指令第五号によって現在の臨時中央政府の権限が確定しておって現在我々はこの規定に基いて立法、行政、司法の三権が行われている訳であります。当然これは四月一日を期して発足すべき琉球政府の設立に伴って改正されなければならないことになっております。これを改正する場合に我々として立法院の権限その他に対して要望しておきたいことがあるのであります。まず第一に、現行の布告及び指令第五号に於て立法院の権限を規定しておりますが、これは非常に漠然としたもので民政副長官によって与えられる権限内の立法をすると云う規定しかないのであります。ところが現在群島政府に於ては琉球の四群島政府に於ては布告第二十二号によって明瞭に示された権限を持っているのであります。この四群島政府が廃止される運命にある、つまり群島組織法が廃止される運命にある、そうなった場合に折角今まで布告第二十二号によって我々住民に与えられておった明確なる権限がそのままでは不明瞭な状態になってしまう。然し何れは公選立法院によって組織法、基本法が制定されて、この点明確にされることは既に予想されるところでありますが、然し四月一日に招集される立法院が直ちにこれを制定する訳にはいかない。そこには数ヶ月の期間があることが予想されます。その期間の間立法院の権限、殊に琉球政府の立法院が不明瞭なものでなく明確に示して貰って、公選される立法院が明確に示された権限に基いて即日からその権限が何らの疑問もなしに施行し得ると云う状態に置いた方が結局琉球住民の自治の促進と云う点から見て重要なことではなかろうかと考えました。それで現行の布告第三号及び指令第五号の立法院の権限に関する条項に対してこう云う工合に改正していただきたいと云う要望を民政官にする方が望ましいと考えまして、この決議案を発議した訳であります。これを一つ御審議を願いましてこれが通過するようにお願い致します。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
(午後四時二十三分休憩)
(午後四時二十六分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○城間盛善君 決議案第九号の内容を御説明申上げます。まずこれは調査室で準備さしてありまして、それに私が筆を加えたものでありますが、あいにくプリントが間に合いませんで私の発議した原案の一部しかありませんので、朗読しながら御説明申上げます。
(城間盛善君「決議案第一項」朗読)
(城間盛善君「決議案第二項a」朗読)
○城間盛善君 布告第三号の第二条には、琉球臨時中央政府はこの布告により又は今後他の法令によって民政副長官の附与する権限を行うと非常に漠然とした権限の決め方をしてあります。現在までの臨時中央政府ならこれでもよかったのでありますが、逐次附与される権限しか執行出来なかったのであります。琉球政府が、四群島政府が全部統合された形の政府になりましたので、ここには明確な権限が謳え得ると考えます。まず第一に考えられますことは群島組織法が廃止されることになりますが、あれには群島政府に与えられた権限が明確に示されております。あれに準じて、そしてあの中で知事には禁止されておった事項も採入れて中央政府の権限として第二条に謳っていただきたいと云うのが重点です。これをこう云う風に表現しております。「群島組織法(布令第二十二号)第三条第一号-第六号、第八号-第九号に規定する事務を行う権限及び同法第二条第二項a号-r号に規定する事務を行う権限を明確に規定すること」この群島組織法第三条の第一号-第六号、第八号-第九号と云うのは「群島は全琉球に亘る事務又は現に若しくは将来軍政長官の留保する事務を行うことが出来ない。群島が行うことの出来ない事務は概ね左の通りとする」と云う風にして第三条に知事の行い得ない権限として例示してあります。それが第一号から第九号までありますが、その中の第七号を略してありますが、第七号は外交に関する事務、この外交に関する事務は現状に於ては琉球政府が行い得ないものだろうと解釈致しまして、第七号以外の全部これは琉球政府ならば当然これだけの権限を包含すべきものと考えられまして、これを挿入してあります。それから次に群島組織法の第二条、これも現在の群島政府で行い得る権限として規定されておりますが、これは全部包含して、つまり現在群島政府の行い得る権限が第二条全部と、特に軍政長官の留保したものとして群島政府の行い得ないもの-第三条の第七号を除き-全部を新たに公布すべき琉球政府の権限を規定する布告には採用して貰いたい。こう云った意味の要望であります。それから次に「b・立法院の法規制定権について」これは布告第三号の第三条、指令第五号の権限、に書いてあります。布告第三号の第三条には現立法院の権限、法令制定権を謳っているのでありますが、これも矢張り漠然とした謳い方であります。これを列挙的に、具体的に例示していただきたいと云う意味で「立法院の法規制定権については群島組織法第三十七条α-l号に準じ明示的に規定すること」つまり群島組織法の第四章の議決機関と云う章の中で「群島議会は左に掲げる事件を議決する」と云う風にしてa号からl号まで掲げてあります。我々がこの中で最も重要視しなければならないものは予算審議権であります。現在の立法院には予算審議権は与えられておりませんが、四月一日から発足すべき立法院には当然予算審議権を与えて貰わなければならないと云うことが大きな眼目でありますが、これが群島組織法のbとcに規定してあります。「b歳入歳出予算を定めること」「c決算報告を認定すること」と云う条項が特に重用視さるべきものだと考えます。その他群島議会が持っていた権能は全部これに準じて明示的に規定して貰いたいと云う風な意味のものであります。
次にc項として副主席と議長の職務、これは布告第三号の第四条、指令第五号の第二権能の条に規定してあります。この規定を見ますと云うと、行政副主席が立法院の議長の職務を行うと云うことになっておりまして、ずっとこれで行った訳でありますが、今度の立法院は公選による立法院でありますし、その議長の在り方と云うものがどうあるべきかと云うことが問題になると思います。然しこれについては我々が定めるよりは公選によって出て来る立法院によって定めるのが至当と考えまして、こう云う風に要望したいと思います。そして公選立法院がその立法機能を十全に発揮し得るようにその方法を選択さしていただきたいと云う趣旨であります。それからdとして「基本的自由」と云うことは布告第三号の第六条に出ております。これは日本国憲法の第三章国民の権利及び義務と云う章に列記されております。人民の基本的な自由がありますが、更に布告第三号の第三条にも相当列挙して、その後に民主国家の基本的自由又は財産の剥奪に対する安全の保障を含み…民主国家の基本的自由は占領に抵触しない限りこれを保障する。例えば言論、集会と列挙して後は民主的国家の基本的自由と概括的に示されておりますが、これを日本憲法の第三章の例に倣ってもっと具体的に掲げていただきたいと云う趣旨であります。なおこれについては連絡会議の場合にも色々話がありましたが、あれから抜いてこれこれと云うよりは第三章に掲げられた種々の保障が謳っております。出来るだけあれを全面的に採入れて貰いたいと云うのが要望であります。
次にe、政府と住民との権利義務の関係であります。これは現行の布告にも指令にも出ていないのでありますが、然し群島組織法にはこれが明瞭に示されております。群島組織法第二章住民の地位及び権利義務として群島政府と住民との権利義務の関係が明示されております。これも群島組織法の廃止に伴ってなくなりますのでこれを中央政府に対する住民の権利義務と云う風な規定が必要であると考えまして、これに準じてこう云った規定を新布告には入れて貰いたいと云うことを要望したのであります。以上の要望を決議していただいてこれを民政副長官に提出して改正の際に採択していただきたいと云う風にして採択を要望したいと思います。よろしく御審議をお願い致します。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
(午後四時四十一分休憩)
(午後五時再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○城間盛善君 只今私が発議して御説明申上げました決議案第九号、この内容につきまして参議の御意見を総合致しますと云うと、こう云った具体的なことを新しい布告に入れると云うことは一面いいように見えるが、反面却って具体化することによって困ると云うことも考えられるし、具体的に挙げるとすれば更に時日をかけて詳しい審議をしなければならないと云うことも考えるし、或は逆に公選立法院の活動をいくらかでも拘束すると云うようなことにならないとも限らないと云う懸念もあるようでありますので、寧ろそう云った色々な好ましからざることがあると云うことも予想されますので、この際このままにしておいて公選立法院の立法活動によって、民意を代表する適当な基本法なり組織法なりの制定をすると云うことが却って有利でないかと云う風に考えられますので本案は撤回したいと思います。
○議長(泉 有平君) 続いて軍票ドル交換所増設方を民政官に要望する件につき発議がありましたので城間参議から御説明を願いたいと思います。
(城間盛善君「軍票ドル交換所増設に対する要望」朗読)
○城間盛善君 目的や理由は申上げるまでもなく御承知の通りでありますが、問題は方法であります。これに関しまして私が前に陳情したことがありますが、その陳情に対する回答にこう云ったことが述べてあります。この軍票ドルの所持及びその交換と云うようなことは、占領軍要員に限られたもので交換は米国軍隊の財政を掌る機関によってのみ行われることになっている、でこれは全世界に亘る一定の規定に基くもので今陳情しているような琉銀に交換させると云うようなことは出来ないし、又やって見ても余り効果はなかろう、と云うのは現に部隊内に於ても相当なドル交換所を設けてあってここで十分に目的を達し得るものと思う、とこう云う意味の回答であるが、現実に於ては部隊で交換しても更に超過した使い方をして結局、例えばタクシーの運転手とか或は商店や飲食店などでどうにも軍票(ママ)で受取らなければならないような、結局受取らなければ全然収入が入らないと云う風な状態にあるものだから止むを得ず受取る、受取れば又不当所持で挙げられて処罰される、こういったことを毎日繰返して今相当の不当所持事件が発生したのであります。これが若し住民地区内にこういった交換所があれば午後四時以後でも扱っておれば可能ではないかと考えます。ところで軍の規定を見ましたがこれを交換し得るものは軍の会計官だけと云うことになっております。然し現状に於ては会計官は自分自身でやっているのでなくて代理人としてPX、クラブ、銀行などを指定して交換させております。現在この交換に当っているPXやクラブやエキスプレス銀行などは結局会計官の代行者と云うことになっております。それでこの条項には幸いどの国籍の者は交換させることは出来ないと云う規定はないのであります。又実際にこういった交換所で交換の事務に当っているのは実際に於て沖縄人が多い。ただこの資格が、要するに軍の会計官の代理者と云うことになればよいので、これをするには差当り琉銀を代理者にして貰って那覇なり占領軍要員のよく集まる場所を利用し支店若くは新たに新設してそこで勤務時間以後(午後四時以後)も外に出てからでもそこで交換が出来るようにしたい、こう云う趣旨であります。よろしくお願い致します。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
(午後五時十分休憩)
(午後五時四十九分再開)
○議長(泉 有平君) 再開します。
城間参議から発議されました軍票ドル交換所増設に対する要望について、この案につきまして色々協議していただきましたところ、寧ろこれは単に一立法院だけの問題でなくて特に行政方面に相当関係が深いと云う性質のものであるから、立法院或は行政、司法と云ったような方面の、そこを所管している琉球人側から要望事項として軍に出した方がもっと強力になりはしないかと云う風に意見が纏まったようですが、そう云う風に取扱をして研究していただくようにお願いしたいと思います。
○城間盛善君 只今の御協議によりましてその趣旨が分りましたし、又他に有効な方法があると云うことがはっきり致しましたのでその方法によることに致しまして本決議案を撤回致します。
○議長(泉 有平君) 次に財政局設置法中一部改正案について軍から文書が来ておりますのでこれを議題に供します。
(事務局長比嘉良男君朗読)
○議長(泉 有平君) 只今朗読しましたような軍の文書でありますので三読会に入ります。
採決のための討議に入ります。
○吉元榮光君 財政局設置法の改正案については既に二読会に於ても慎重に審議されましたし、そして軍とのSOPの段階にまで持って行ったので、これは既に院としても賛成の意を表する段階までなっておりますのでそのまま通過させたいと思います。
(「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) では本案は全員一致でその成立を議決したことに致します。
続いて行政職員任用法中一部改正案でありますがこれについて次のような文書が参っております。
(事務局長比嘉良男君朗読)
○議長(泉 有平君) 以上によりまして三読会に入ります。採決のための討議に入ります。
○松田賀哲君 この問題は臨時中央政府なるものが全般の行政各部を吸収するに至らなかった時に出来たものでありまして、今日完全に中央政府が出来て各行政部門を全部吸収することになれば従来の任用法では不備な点があるだろうと思います。又事実二、三そう云う点も出て来ている訳であります。それを今度新たにそう云う風な内容に改正すると云う案が出まして二読会もすみ軍との総合調整も満足に行っておりますからそのまま可決したいと思います。
○議長(泉 有平君) 反対意見はございませんですか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 反対意見はないようでありますから本案は全会一致でその成立を可決したことに致します。
続いて琉球公安委員会設置法案に対して軍から文書が来ております。それを朗読致します。
(事務局長比嘉良男君朗読)
○議長(泉 有平君)休憩致します。
(午後六時休憩)
(午後六時四十三分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
只今朗読したように軍から態度表示がありましたが、従来本案については相当長い期間審議をしておりますし技術面に於ても亦色々考えられる点もあろう、或は理念的な方向に於てもあろうと思います。それで一通り本案に対する軍の意見について御協議をしたいと思います。
○城間盛善君 本法案は昨年十二月中旬に委員会付託になりましてから委員会を開くこと十九回、更に本会議に於て審議すること六回、その間委員会本会議を通じて証人喚問をすること七回、証人の延人数二十五名と云う風に委員会に於ても本会議に於ても非常に慎重な審議を重ねて来た法案であります。当初委員会に於きまして当局の参考案を検討しました際に、現在の群島政府の採っております群島組織法による公安委員会制度を採用すると云う根本方針を定め、勿論その決定に至るまでには数回の証人喚問をし証言を求めた結果でありまして、更に院全体としても全員協議会に於てこの方針を承認していただいたのであります。そして本会議に上程後も慎重な審議の結果御承認を得たのでありますが、今回民政府の御意向が公安委員会制度の採用を認可にならなかったと云うことを非常に遺憾に思います。ところで更にこれを民政府と折衝し新たな修正案をここで作り出すと云うことになりました場合に幾多の問題が出ますが、更にその上に何よりも時日の問題がありまして到底これは不可能ぢゃないかと思われます。更に例えば民政府に折衝して公安委員会の設置の趣旨を述べ過去に於て一ヶ月以上を要した法案を更に修正するとすれば又同じような期間が考えられます。或は修正するかどうかと云う院の態度を決定するまでにも相当の期間を要するだろうと思います。それで既に本院としましても遺憾ながら定足数を欠くと云う風な情勢に自然に立ち至っておりますし、この際は寧ろ差当り民政府の布令によって出していただいて、後に公選立法院が基本法なり組織法なりを制定する場合にもう一度この問題を採上げて審議すると云う機会を残すと云う風な進め方が適当ぢゃないかと思います。
以上本案を立案しましたものとしてこう云う風な意見を持っております。
○議長(泉 有平君) 今の委員長から案の今日までに至った経過又軍の意思表示に対する取扱方について御意見がございましたら…他に御意見はございませんか。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
(午後六時五十分休憩)
(午後六時五十二分再開)
○議長(泉 有平君) 軍からの書類の中には法案に対して修正案を立法院が出すことを希望している面が窺われますが、然し本案については相当長い期間練られた案でもあるし、公安委員会制度を除くと云うことになりますと、殆ど又新たに立案して行くと云った面が考えられます。そうなりますと既に議会の定足数の維持も危ぶまれる昨今の事情でありますし、そう云う審議に対しての十分な時日は到底見通しはつかないと云うことでありますので、従って本案は軍の布令によって、次の立法院で立法がされるまで布令によって本案の措置方を軍にお願いすると云う風な取扱方にしたらいいと思いますが如何なもんでせうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) ではそう云う風に本案の処理を致すことに致します。
以上で長い期間の、去る四月一日からの琉球政府成立に際しての準備、立法院に課せられた任務は概ね完了したと考えられるのであります。差当りさっき申しましたように定足数の維持が出来ないような事態が生じた今日又概ねの議案も片づきましたのでその間の我々の任務も一応一段落したと云う風に考えます。そう云う点まだ正式な諒解はとっておりませんけれども、明日から一応休会することに致します。
(拍手)
(一九五二年一月二十二日午後六時五十四分閉会)
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