戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1952年01月19日 
(昭和27年)
会議名
第1回立法院本会議 1952年1月19日
議事録
第一回立法院本会議会議録
        第九十六日目

 一九五二年一月十九日(土曜日)
 午後一時五十五分開議

議事日程
 一、琉球臨時中央政府総務局設置法案について
 二、琉球臨時中央政府財政局設置法中一部改正について
 三、琉球臨時中央政府公安委員会設置法案について
 四、琉球臨時中央政府工務局設置法案について

○議長(泉 有平君) 開会致します。
 初めに総務局設置法案を議題に供したいと思います。SOPの段階に於きまして軍で修正して来た個所がありますが、この処置について概ね意見が一致致しましたので、一応嘉陽参議からその状況について御説明をお願いしたいと思います。
○嘉陽安春君 総務局設置法のSOPの問題で財務と云う言葉を総務から削ること、これに対する軍の考え方が財政局から市町村に対する市町村の自治以上の監督権と云うものが発動して行く虞はないであろうかと云うことが昨日も論議されたのでありますが、それで今朝フライマス氏と会って聴きましたところでは昨日の立法院での問題をルイス准将に伝えたところ、その点は立法院の云う通りであって例の税制の問題、それから第六号の平衡交付金の問題、その二つを除いて財政局地方課の所管として書いてある規定は一応除くべきであると云う話があったそうであります。それに従って-それもはっきりフライマス氏の言葉でもあったが--地方財務課を財政局に置く必要はないと云うことは、これは非公式に伝えてもいいと云う話であった。だからそう云うことさえ決めておりますれば後は字句の問題として、運用の問題として十分出来ると確信致しますから、出来るだけ速かな議決を希望致します。
○議長(泉 有平君) 只今の御説明によりまして、軍から訂正された部分、第七条第二号、地方庁の組織及び監督に関すること、の監督を運営に変えること、更に第三号の「市町村の行政及び財政について…」と云う項目の行政の次の「及び財政」を除くべきだとする軍の修正、これについて御協議を願いたいと思います。
 その訂正について御異議がございましたら意見を聴かしていただきたいと思います。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 御異議がないようでありますから本案についての採決のための討論に移りたいと思います。
○冨名腰尚武君 その前に質問がありますが、第七条の第二号は監督が運営に変りましたが、それに伴って当然第二条の第二号も変えるべきだと思いますが。
○嘉陽安春君 これははっきり運営に変ります。軍から来ているのはむしろ第二条の第二号ですよ。
○議長(泉 有平君) 第二条の第二号も第七条の第二号と同様なことを謳ったものでありますので、監督を運営に訂正致します。
 以上によりまして採決の討議に移りたいと思います。
○松田賀哲君 総務の問題については本会議に於きまして大体スムースに済まして、ただ、今嘉陽参議からお話のありました点だけが問題になっておりますが、これも只今の嘉陽参議のお話の通り我々の意向通りに決ったようでありますから、私はこれを可決することに賛成致します。
○議長(泉 有平君) 採決に入ります。本案の制定に反対の御意見の方は挙手を願います。
 反対がございませんので、本案は全会一致で可決したことに致します。
 続いて財政局設置法中一部改正を議題と致します。これは皆さんにも御報告申上げておりませんが、昨日フライマス氏との懇談の結果第十二条の財政局の地方財務課を除くと云うこと、更にそれに関連致しまして大体地方財務関係につきましては、委員会の案に副うような諒解が総務局との関係条項に於て、事務に於て、財政局の委員会の案と合せるような諒解が出来たようであります。即ち第十二条の市町村税制の調査企画及び立案に関すること、これは主税課でやり、第六号の市町村財政調整交付金に関するものは、主計課と云うような話で財政局の方には地方財務課は設けない、従って第十二条の第二号から第四号に至る間は当然総務局の所管になると云う諒解が出来たようであります。そしてこの一部改正では軍の布令で出すと云ったような当初の考を思いとどまってこれは矢張り立法手続を採って貰いたいと云うような希望がありますので、本院で立法すると云うような手続を採ることに致します。
 総括的な御説明を委員長からお願い致します。
○冨名腰尚武君 本案の審議に当りまして財政局の参考案の提出があったのでありますが、この参考案は従来の各局設置法に伴ってそれぞれの局から提出されました参考案とはちょっと趣を異にしていたのであります。それは他の局の参考案が軍との完全調整を経て、ルイス准将の承認を得た上で立法院に送られて来るのが常でありますが、この法案に関しては期日の切迫上、当局としては止むなく民政府との調整を経ずして直接提出されていると云う点であります。そう云う点からしまして、問題になりました地方財務課の問題も軍の所論が果して奈辺にあるかと云うことが疑問を抱かれましたし、更には理財課の所掌事務に関しては、従来住民政府に委ねずに軍政府若くは民政府がずっと保留し続けて来た権限を委譲しなければ出来ないような色々な事項が列記されているのであります。そう云う点について委員会としては特に慎重に審議をしたのでありますが、只今申上げたように従来住民政府の権限になかった財政上の諸権限に関しては、そうあるべきことが望ましいと云う意味から軍がこれを許容するかしないかは別問題として一応頭を出して置こうと云う程度に委員会として取扱ったと云うこと、特に又金融面との関係もありますので理財課の所掌事務に関しては、特に琉銀総裁を証人としてお喚びし色々意見も承り且又意見書も御提出願うと云ったような措置も講じた次第であります。更に出入国事務所――現在の移民事務所――は名称を変えることは、これは先般の全員協議会で話が決ったことでありますが、委員会に於てもこれを出入国事務所と、こう改めたのでありますが昨日の報告によりますとこれは公安委員会に置くべきであると云う軍の意向もあったとのことでありますし、この点は一つ逐条審議の際に十分なる御審議をお願い致したいと思います。その他細かいことに関しましては逐条毎に御説明申上げたいと思います。
○議長(泉 有平君) 討議は逐条審議に伴ってやりたいと思います。逐条審議に移りたいと思います。
  (事務局長比嘉良男君「第一項」朗読)
○冨名腰尚武君 第一条、第二条をひっくるめて第一項について御説明申上げます。旧法の第一条は単純に「琉球臨時中央政府に財政局を設置する」だけでありますので、今までの設置法に倣って「その一行政機構として」と云う文句を挿入した訳であります。第二条は旧法に於ては「財政局は琉球臨時中央政府の財務を処理し及び全琉球に亙る財政金融行政につき琉球臨時中央政府の所管に属する事務を処理する」とありますのをこれを従来の例に倣って書き改めたものであります。尚、琉球列島の財務に関することと云う面に地方財務も入るかどうかと云う点が懸念されたのでありますが、これは大蔵省設置法を見た場合に大蔵省は地方財務に対する監督権限を持っておりますが、別に地方財務に関することと云うことを特記してありません。国の財務に関することとこれだけで押えておりますので、その例に倣った訳であります。それからこれは取急ぎまして第一項の改正案は参考案には全然触れていなかったのであります。それを後刻こちらの要求によって財政局長が取急ぎ書いて来たものをそのまま印刷したのでありますが、私はその第四号は「前各号にかかるものの外立法に基く」となっていますが、軍関係の法令もあろうかと思いますので、立法は法令と直した方がいいんぢゃないかと後で気がついたのでありますが私としてはそう云う風に考えております。
○嘉陽安春君 今の第二条の第一号について疑問がありますから、この点いろいろ苦心されたかと思いますが、矢張り琉球臨時中央政府の財務に関することと云った方がいいんぢゃないかと思う。琉球列島と云う言葉を今後果して使って行くかどうか、他の設置法なんかでその国と云う言葉に代るものをどう云うかと云うことは色々の場合に問題になると思うのですが、この場合に矢張り例えば日本で国会と云うところを琉球政府立法院と云うことになっている訳ですね。だからそう云う意味からすれば矢張り当分は琉球臨時中央政府と云っておいて、後で直す外はないと思うが琉球政府に属する地方は結局平衡交付金と云うものは中央政府がやると云うような意味から考えると、矢張り琉球臨時中央政府の財務に関することとした方がいいんぢゃないかと思うのですが、琉球列島と云う言葉が果して適切であるかどうか…。
○松田賀哲君 これがはっきり政府の財務に関することと云う場合には今の琉銀の監督とか或は他の金融機関の監督と云うような意味が薄れて来ませんか。
○嘉陽安春君 結局琉銀の監督が立法なり、今冨名腰さんの言われた法令によって琉球政府の財政上の仕事であると云うことが決りさえすれば、それに基いて監督権と云うものもその中に包括されることであって、琉球列島の財務と云うとそれが監督権を含むと云うことになると却って強過ぎると云う感じがするのですがね。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後二時十五分休憩)
  (午後二時十九分再開)
○議長(泉 有平君) 再開します。
○城間盛善君 第二条の第二号、第三号通貨に関すること、金融に関することとなっているが、この面について中央政府の権限と云ったようなところを、どの程度に権限があるか若くは与えられるかと云う点について…。
○冨名腰尚武君 通貨問題につきましては当分臨時中央政府として政府紙幣を発行するような権限を与えられる見通しは持っていないのであります。同時に又琉銀としても琉銀の発行権が行使出来るような時期にあることもまだ予定していないのであります。然しながら政府と云う形に於ては、将来そう云ったような面が起るかも知れないと云うことを考えて、通貨制度の調査企画及び立案と云う程度を通貨に関することと云う面では考えていただきたいのであります。それから金融と云う面に関しましては各種金融業の取締面、監督面それから見返資金関係の管理運営面、金利の調整と云った面そう云ったようなところを考慮している程度であります。尚申し遅れましたが、通貨に関する件では通貨の企画調査の外に紙幣類似証券の取締と云うことは当然やらなければならないのでその点は考慮致しております。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後二時二十一分休憩)
  (午後二時二十三分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○冨名腰尚武君 第一号の「琉球列島の財務に関すること」の「琉球列島」を旧法の表現のまま「政府」に改めたいと思います。
○議長(泉 有平君) 第二条の第四号の問題なんでありますが、これは出入国事務所を財政局に所管させると云うようなことから生れた事務の謳い方でありますが、その面につきましては出入国事務所の所管は、これは我々が取扱っている設置法の名称によりますと公安委員会に設置すべきだと云うことをゼンキンス中佐を通じてはっきり言渡がありましたが、その点につきまして我々が考えていた構想と違っておりますので御意見をお聴きしたいと思います。
○城間盛善君 この問題は最初メッセージによりまして保安局設置法の制定を要請されましたが、その時以来の懸案でありまして、院としては出入国管理は色々な面に分割されることもあり得ると云うような意味で、まず現在に於ては財政局に属しているので当分現状維持で行こうと云うことに意思決定はしておりますが、只今議長のおっしゃる通り民政府の意向として正式に連絡官から連絡があったと云うことになれば、つまり我々の案の公安委員会設置法の中に入れよと云う指図、これについても色々な面が考えられるのでありますが、現在SOPの段階に於て他の方面に於てそう云う意思表示がある以上は、財政局から削って公安委員会の管轄下に移すと云う意味で賛成したいと思います。
○議長(泉 有平君) 今の公安委員会設置法を付託されました委員長の御意見もありますが、軍の意思通り出入国事務所を公安委員会の方に設けると云う意味でこの第四号を削除すると云うことに反対の御意見がございましたら…。
 ではそう云う措置によって第四号を削除することに御異議ございませんですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) ではそう云うことに致します。第四号を削除致します。
○冨名腰尚武君 第五条に関しましては第二条の審議に伴いまして、第五条「財政局の左の六課及び一事務所…」の「及び一事務所」を削除し、従って一番最後の出入国事務所を同様な趣旨で削除願います。旧法は五課であったのですが、管財課と云うものが新たに加わって政府財産の管理に当ると云う構想をとっております。
  (事務局長比嘉良男君「第二項」朗読)
○冨名腰尚武君 他の庶務課と違うところは第五号ですが、印紙の出納及び保管に関することであります。印紙に関しては新聞にも出ていたように政府としては登録税法、印紙税法の制定をしたい。もう既に印紙の印刷も日本印刷局に対して依頼しているようなところまで進んでいるようでありますので、ここの事務が必要になって来た訳であります。それから行政財産と云う言葉がありますが、この行政財産についてはこれは耳新しい言葉でありまして、この頃の日本では国有財産を分けて行政財産と普通財産と云う風に分けているようであります。この行政財産と云うのは、行政上の特定の用途又は目的のために使用するもので、従って原則的には貸付、交換、売払、贈与、出資の目的とすることなどを禁じられている財産になるのであります。行政財産は普通は各局の長が管理すると云うのが日本の行き方でありますが、ここでは行政財産は財政局で管理をする、こう云う形にしてあるのであります。
○議長(泉 有平君) ようございますか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) では次に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「第三項」朗読)
○城間盛善君 第四号、各局歳出予算経費の流用の承認と云う権限の範囲、それから次に第八号の各局の予算の執行に関し報告の聴取、実地監査及び指示を行うこと、これは監査委員制度があったと思いますが、その監査の方法はどう云う風に委員会としてはお考えであるかその点についてお伺いします。
○冨名腰尚武君 金額の流用と云う点でありますが、これは従来はアメリカ式の会計法、予算技術によってやっていたようでありますが、これを今後日本式の行き方にしたい。即ち款、項、目、節と云ったような分け方をする予算計上をやって行きたいと云うのが財政局の希望であります。従って各局の予算はそれぞれの款、項によって割当てられる訳でありますが、目、節の範囲内に於ては各局なりの流用が許されるが、款、項の流用に関しては財政当局の承認を得なければならない。こう云う風にして行きたいとこう云っております。尤もそうは云っておりますが、これは旧法にもそのまま出ているものではあります。それから実地監査の点でありますが、これは財政当局の説明も会計検査院と云うものがないので、会計検査の必要がある。それで実地監査も必要であると申しておりますが、監査委員会と云うのがまだ出来ておりませんので、これはそのまま監査委員会が設置されれば当然その面が問題になって来ますが、未設置のままでありますのでこれは入れて置くしかないと思ってそのまま入れた訳であります。
○城間盛善君 流用に関しては何れ立法で定めることもあるし、新立法院によって決って行くし、目、節の流用は慣習でもあると考えますが、監査は現在の臨時中央政府にはこう云った監査機関がないと云うことはおっしゃる通りですが、本法案を審議された委員会としては監査委員会の設置をどう云う風に考えておられるか、それについては立法措置を考えた方がよいと思いますか。
○冨名腰尚武君 その点は我々としてはルイス書翰に示された設置法だけを審議すると云う申合せもありましたし、かたがた財政局設置法はルイス書翰にもないものを政府の立場を考慮して受理するような形になっておりますので、委員会としては特に監査委員会の設置の必要の有無などについては審議するところまでは参りませんでした。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後二時三十六分休憩)
  (午後二時三十七分吉元榮光君出席)
  (午後二時三十八分再開)
○議長(泉 有平君) 再開します。
 外にございませんか、外にございませんでしたら次に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「第八条」朗読)
○冨名腰尚武君 ここでちょっと御説明申上げます。
 原案は政府税制の調査、企画及び立案に関することとなっておりますが、所謂税制の面も地方財務課を委員会で削除したためにどっかに入れなければならなくなりましたので、政府税制の次に「並に市町村税制」と云う文句を挿入した訳であります。内国税関係、附(とん)加税(ママ)は旧法通り、旧法では関税に関することと漠然としてあったことを第三号と第四号に分けて詳細に規定したこと、それから第六号はこれは輸入酒類消費税法、輸入煙草消費税法に基いて当然入って来たものであります。第七号は旧法そのまま、第八号は近く改正される登録税法に伴って来たもの、第九号の税理士、これは従来は税務代理士と云っていたものが最近は税理士になったと云う説明があったのでそのままにしたものであります。
○城間盛善君 一つお伺い致しますが、第三号、これは経済法規の範囲に於て船舶、航空機、旅客機と云ったものは、要するに関税に関係する範囲内に取締ると云う意味でせうね。
○冨名腰尚武君 要するに脱税行為を防止すると云う意味の取締です。
  (午後二時四十分大濱國浩君退場)
○議長(泉 有平君) 外にございませんか。
○嘉陽安春君 これは細かなことではありますが、第八条の第一号に調査企画及び立案と云う言葉が出て参りますが、この立案は立法院で立案し更に決めて行くと云う意味から云えば、調査企画で打切った方がいいと思いますが、税と云うのは立法院の仕事であって調査及び企画と云うところで打切ったらどうかと思うのですが。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後二時四十三分休憩)
  (午後二時四十四分再開)
○議長(泉 有平君) 再開します。
○冨名腰尚武君 誤植訂正をお願い致します。
 只今の第一号「調査企画及び立案」とありますのを「調査企画に関すること」とし、「及び立案」を削っていただきます。同時に第九号も税理士に関する制度の調査及び企画に直し「及び立案」を削っていただきます。
○議長(泉 有平君) 外にございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) では次に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「第九条」朗読)
○冨名腰尚武君 先ず誤植訂正をお願い致します。第二項の「公債制度及び通貨制度の調査企画及び立案」とあるのを「調査及び企画」とし「及び立案」を削っていただきます。同様に第九号に「金融制度の調査」の次に「及び」を入れ次の「及び立案」を削っていただきます。
 引続きまして一、二御説明を申上げたいと思います。第六号に運用、使用と云った風な文字の使い分けを致してあります理由は、見返資金を回転資金と不回転資金の二つに考えた場合に回転資金は運用、不回転資金の場合は使用と、こう云う風に使い分けた訳であります。それから第十号の資金運用部のこと、これは実際に資金運用部が出来たような表現を参考案には用いておりましたが、資金運用部は御承知のように必要に迫られて今後設置されて行くものであります。従ってここでは資金運用部設置上の諸計画を司らせようと云うことで資金運用部に関することと漠然と直した訳であります。それから第十四号の信用協同組合その他金融業務を営むものの監督に関することは、これは信用協同組合、農業協同組合、水産協同組合とこう並べてあったのでありますが、日本の場合は農業協同組合も漁業協同組合も金融事業が営めるようになっているのであります。それで財政局は大蔵省のものをそのまま引写して来たような恰好であったのでありますが、琉球に於ては琉球協同組合法に於ては信用協同組合以外の金融事業と云うものは許されておりませんので、農業協同組合、漁業協同組合はこれを削除して信用協同組合だけをここへ持って来たのであります。尚この点に関しては久場川農林省組合課長も呼んで色々意見も徴したのでありますが、財政面からの信用協同組合に対しての側面的な監督権限と云うものは望ましいことである。その間両者の仕事を遂行して行く上に於て相衝突することはないと云う証言がありましたので、これを日本の制度そのままに理財課に置くことにした訳であります。以上であります。尚申し遅れましたが、復興金融金庫と云う言葉であります、これに対しては琉銀総裁から復興金融金庫なるものはない、復興金融基金と云うものはあるが復興金融金庫と云うものは今はないと云うこう云うお話で、なるほどそう云われて見ればこれはその基金は設定されておりますが、金庫と云うものはなくて現在基金を琉銀に委託し、依託された琉銀は受託者としてその事務の必要上、自分の機構内に復金局と云うものを設けて受託事務の処理に当らしめている訳であります。ところが、これを復興金融基金に書替えようと云う気持になって沖縄群島政府公報を調べて見ましたところ--これは翻訳の間違でありませう--復興金融金庫と云う風に公報に登載されておりますので、公報記載の文句を訂正する訳には行かないと思って沖縄群島政府公報の訳文通りとりあえずここには金庫とした訳であります。それからガリオア資金若くは復金等の監督面に関しては、先程も申上げましたように財政当局と軍との調整と云うものは出来ておりませんので、琉銀にしましても復興金融基金にしましてもガリオア資金にしましても住民にどの程度まで委すかはかかって軍の意向にあるのでありまして、それを調整してからでは時日もありませんし、一応これは住民の希望の一端をここに見せて置くと云う効果はあるだろうからと云う意味で、委員会としても項目を存置している訳であります。以上であります。
○議長(泉 有平君) 異議ございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
 では次に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「第十一条」朗読)
○冨名腰尚武君 誤植訂正をお願いします。
 第一号でありますが政府財産制度の次に及びを入れ、企画の次の及び立案を削除願います。
 それから第一号、第二号、第三号に政府財産とありまして、それから第四号に普通財産とありますが、先程行政財産の方で御説明申上げたように日本の新しい政府財産の考え方からして、政府財産が行政財産と普通財産に分かれているとこう御説明申上げたが、普通財産と云う場合は行政財産に相対するもので実質的には特定の用途又は目的を有しない国有財産、云ってみれば国の私的財産、換価処分が出来る収益財産と云う観念だそうであります。それから第六号の内国税に係る物納の動産の管理処分と云うことでありますが、この点については財政局では相続税の制定を考えている。相続税の場合には物納も許すような所謂物納制を採上げる準備をしているそうであります。その意味で第六号の事務が生じて来ると云う風な説明でありました。
○嘉陽安春君 字句の問題ですが、第十一条の第三号に「明かにすること」と云うことが出て来ておりますが、他は全部「関すること」になっているのですが…。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後二時五十六分休憩)
  (午後三時二分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○冨名腰尚武君 誤植訂正を願います。第三号は現状の明細に関することと御訂正願います。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後三時三分休憩)
  (午後三時四分再開)
○冨名腰尚武君 第三項は第十条の次に次の四条を加えると御訂正願います。それから四とあるのを全文削除、それから五とある行も全文削除、第十三条とあるのを第十二条に訂正していただきます。次の六も一行を全文削除、第十四条とあるのを第十三条に訂正、次の第十五条を第十四条に訂正、これで十条の外に四条を加えると云うことになるのであります。
  (事務局長比嘉良男君「第十二条」朗読)
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後三時五分休憩)
  (午後三時十二分再開)
○議長(泉 有平君) 再開します。
○冨名腰尚武君 今の第三項の表現でありますが、これはちょっと委員会で間違えておりましたので次のように御訂正願います。三、第十一条を次のように改めるに御訂正願います。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 別に御異議ございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
 では本案はこれによって軍とのSOPに入りたいと思います。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後三時十五分休憩)
  (午後三時十七分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
 続いて公安委員会設置法の先日保留された第二十三条について、大体に於て審議の結果は結局委任された権限は委員会の委任によって大きくもなり小さくもなると云う形のものでありますが、それを所管する機関の名称について大体意見が纏まったようであります。これについての審議を致したいと思います。
○冨名腰尚武君 昨日から申上げておりますように第二十三条の規定を以てしては奄美地区内に於ける琉球警察行政の万全を期し難いと云ううらみがありますので、修正の動議を提出致したいと思います。
○議長(泉 有平君) 今冨名腰参議から修正の動議がありましたが、これを採択するかどうかについて賛否を問いたいと思います。御賛成の方は挙手を願います。
  (松田賀哲君、田畑守雄君挙手)
○議長(泉 有平君) 規定の賛成者がおりますのでこれを採択することに致します。休憩します。
  (午後三時十七分(ママ)休憩)
  (午後三時十九分再開)
○冨名腰尚武君 修正案を提出致します。第二十三条を次のように改めたいと思います。
 第二十三条 名瀬市に琉球警察本部支部(以下支部という)を置く。
 2 支部に支部長を置き警視を以てこれに充てる。
 3 支部長は琉球警察本部長の指揮監督の下に所掌の事務を行う。
 4 支部の所掌事務に関しては委員会の承認を経て琉球警察の本部長がこれを定める。
 次に修正案についての御説明を申上げます。
 委員会としては全琉警察ずっと一貫化すると云うのが構想の一番根本の要件であると云う風に承っております。又私としてもその御趣旨に関しては全面的に賛成であるのであります。ただ現状から、通信連絡の機能を欠いている現状からしてこれの実施面に於ける不備をいささかなりとも補うように考慮しなければならないと云うのが修正動議を提出した趣旨でありまして、従ってここに申します奄美支部と云うものは琉球警察本部に対する奄美支部ではなくて琉球警察本部の支部であると云う考え方であります。公安委員会に繋がるものは警察本部であって、支部は公安委員会には繋がらないと云う行き方をすれば、委員会の御構想になる琉球警察の一貫性と云うものは保持出来るとこう思うのであります。従って支部長は公安委員会の監督とはいわないで警察本部長の直接監督の下に立つ又委員会(ママ)の所掌事務に関してもその指揮監督権を持つ警察本部長の定めるところによる。但し本来支部に委任すべからざる事項が委任されるなどの面を考慮して委員会の承認を経て所掌事務は警察本部長が決める。こう云った形にしておけば、この面からしても委員会の御構想になる警察の一貫性は可能になるのではないかとこう云う風に考えるのであります。
○議長(泉 有平君) 本案については既に十分意見は開陳されておりますので直ちに採決に移ります。修正案の採決に反対の方は挙手を願います。
  (城間盛善君、嘉陽安春君、吉元榮光君挙手)
○議長(泉 有平君) 修正案に賛成の方は挙手を願います。
  (松田賀哲君、冨名腰尚武君、田畑守雄君挙手)
○議長(泉 有平君) 可否同数でありますので議長によって裁決することに致します。
 修正案を採択することに致します。
 休憩致します。
  (午後三時二十六分休憩)
  (午後三時四十三分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○城間盛善君 誤植訂正をお願い致します。
 第一ページの琉球臨時中央政府立法院はここに次の通り定める、とあるその次の琉球臨時中央政府公安委員会設置法の政府の次に琉球と云う文字を入れていただきます。従って第一章も公安委員会の上に琉球の文字を入れ、又第一条も中央政府と公安委員会の間にも琉球を入れる。それから第十一条の委員会に琉球警察本部を置くの本部の次に(以下警察本部という)これだけを入れていただきます。それから第二十五条「警察地区並に警察」の次に署が抜けておりますから挿入していただきます。それから位置名称の次に組織を挿入していただきます。それから最後の附則のところですが第三条の終りから二行目の琉球臨時中央政府公安委員会のところを琉球公安委員会と訂正、次の第四条に第十三条第二項とあるのは第一項の誤りでその次に及びを入れて当分の間沖縄群島条例第一号(一九五〇年十二月二十二日)及び沖縄群島、これだけを挿入していただきます。それから沖縄群島警察規定の「定」は「程」の誤りであります。第九項と第十項を消していただきます。
 それから先程財政局設置法の一部改正案を審議致しました場合に現在まで財政局に設置されておりました移民事務所、これを公安委員会の下に移すと云うことに院が議決致しましたのでそれに応じまして挿入をしていただきたいと思います。第三条の第八号の次に第九号を新たに設けまして「出入国管理に関すること」これを挿入していただきたいと思います。それからこれに対応致しまして、第二十二条の次にこれだけを挿入していただきたいと思います。
 第二十三条 警察本部に出入国管理事務所を置く。出入国管理事務所に於ては左の事務を司る。
 一 出国者及び入国者に関すること
 二 出国及び入国の許可の手続に関すること
 以上を第二十三条として新たに挿入していただきまして、元の第二十三条は第二十四条、第二章の第二十四条が第二十五条と云う風にずっと繰下って行きます。
○議長(泉 有平君) 今の委員長の修正に、委員会の修正に異議ございませんですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) それではその通り致します。休憩します。
  (午後三時五十分休憩)
  (午後三時五十一分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
 以上によりまして本案は軍との調整の過程に移すことに致します。
○城間盛善君 本案は委員会に研究を委託されて以来委員会では多数の日数を要し又多数の証人を喚問して証言を求めたりして、又本会議に於ても慎重に審議をしていただいて通過致しました。誠に有難うございました。つきましては本案はこれからSOPの段階に移る訳でありますが、現行の群島組織法によりまして各群島に於て行われている、公安委員会制度を臨時中央政府の警察にも適用しようと云う意味で委員会で案を作り全員の御賛成を得た訳であります。その趣旨を民政府にお伝えした方がSOPの場合にもスムーズに行くのではないかと思いますので意見を添えて出したいと思います。よろしくお願い致します。
  (午後三時五十四分休憩)
  (午後四時再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
 公安委員会の設置につきましては軍の意図するところと反対な態度が委員会としては出て来ておりますので、これについては希望意見と云ったような添付書類をSOPに移ると同時に送付したいと思います。その文案につきましては一応委員会の方で作成していただきたいと思います。
○城間盛善君 この公安委員会制度は現在群島組織法に織込まれて四群島に於て現在実施中のものであるが、警察統合に当りましても其の線にそうて折角出発した公安委員会制度を中央政府も採入れて行きたいと云う点と、それからこの制度は米国やその他の先進国では既に廃止と云う風な方向に行きつつあると云うことも伝えられておりますが、然し現在の程度の民主化しかされていない琉球に於てはこれが必要である。その点警察自体の改善努力と相俟つことによって警察の民主化ひいては民衆の民主化に拍車をかけることになる。こう云った趣旨の意見を添えたいと思いますが、ご承認をいただければ幸です。
○議長(泉 有平君) 外になおこれに付加えて織込みたいと云うものがありましたならば…。別にございませんようですから以上の趣旨を織込んだ希望意見を作成していただくことに致します。
 次に工務局の設置法案についてでありますが、これについて軍に於て多少の意見がありますので、委員長に御検討方をお願いしたところ大体委員会の話が決ったようでありますので委員長の方から御説明を願いたいと思います。
○田畑守雄君 工務局の設置法案に対して軍の方から少し意見が出て参りましたので、與儀委員長が御不在のため私から御説明を申上げたいと思います。
 それは工務局の設置法の第八条の第二項で、軍の意見としては政府所管の道路、橋梁、公道、河川及びその他の局直営の新設工事の施工、改築、維持に関することと修正して欲しいと云うて参りましたので、委員会に於て検討しましたところ内容については一つも変ったことはないので、そのまま軍の意見を採入れることに決定致しました。それで本会議に於ても御検討下さいまして、本設置法が無事通過して行くようにお願い致します。
○議長(泉 有平君) 今の委員会からの修正に対しまして何か御意見がございましたら…。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 御異議がございませんようですから委員会の修正案をそのまま承認致すことに致します。本案の審議につきまして読会を省略することに御異議ありませんか。
 では本案の採決のための討議に移りたいと思います。
○冨名腰尚武君 工務局設置法に関しましては休会する予定期日すれすれに漸くメッセーヂが出たような工合でありまして、期日の短いにも拘らず、特別委員会としてはよく難に耐えて立案していただいたその御労苦に対して感謝するものであります。案の全体に関しましても既に二読会で院としてもこれを承認したところでありますし、又民政府の修正要望にかかわります第八条第二号の点につきましても立法案が更に明確化されたと云うだけのことでありますので、私は本案に対してその成立に対し賛成するものであります。
○議長(泉 有平君) 別に反対意見はございませんですか。採決に入ります。本案の成立に反対の方は挙手を願います。
  (挙手なし)
 では本案は全員一致で可決成立致しました。続いて今まで各局の設置法案を審議して行きましたが最後にこれらの取纏めとして行政主席に対する希望が案件の審議に伴って参議の方から出たのでありますが、この案文を準備してありますのでこれを審議致しまして、これを決議致しまして主席に提出したいと思います。休憩します。
  (午後四時十分休憩)
  (午後四時十二分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
 本日の会議はこれで終ります。
  (午後四時十二分散会)

  出席者
   議 長  泉  有平君
   参 議  松田 賀哲君
    〃   城間 盛善君
    〃   冨名腰尚武君
    〃   大濱 國浩君
    〃   嘉陽 安春君
    〃   田畑 守雄君
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