戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1952年01月17日 
(昭和27年)
会議名
第1回立法院本会議 1952年1月17日
議事録
第一回立法院本会議会議録
        第九十四日目

 一九五二年一月十七日(木曜日)
 午前十一時三十二分開議

議事日程
 一、行政職員任用法中一部改正
 二、行政主席官房設置法
 三、立法院職員任用法中一部改正
 四、公布式法について
 五、公安委員会設置法について

○議長(泉 有平君) 本会議を開きます。
 かねて軍の調整に出してあった立法院職員任用法中一部改正案、行政主席官房設置法案について軍から回答がありました。
  (事務局長比嘉良男君「同文書」朗読)
○議長(泉 有平君) 右二案を一括して三読会に入ります。
○吉元榮光君 この二案については既に二読会で慎重に審議してありますのでその上又軍からそれでよろしいとなれば不賛成を唱える人はいないと思います。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) では本案は全会一致で可決致します。休憩致します。
  (午前十一時三十四分休憩)
  (午前十一時三十五分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。行政職員任用法中一部改正の逐条審議に入りたいと思います。
○冨名腰尚武君 その前にこれは委員会にも附託されず、すぐ本会議で審議することになっていますので当局の説明を聴く必要があると思いますので、主席事務局長の出席をお願いしたいと思います。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午前十一時三十六分休憩)
  (午前十一時三十七分松田賀哲君出席)
  (午前十一時三十八分城間盛善君出席)
  (午前十一時四十四分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。行政主席事務局長がおいでになったのでここに出ている職員任用法について総括的に質疑応答していただきたいと思います。休憩致します。
  (午前十一時四十五分休憩)
  (午後二時三十分再開)
○議長(泉 有平君) 開会致します。十一月一日に二読会を一段落をつけて軍と調整致しておりました公布式法案に対する軍の意思表示がありましたので一応朗読致します。
  (事務局長比嘉良男君朗読)
○議長(泉 有平君) 本案の三読会に入ります。
○冨名腰尚武君 本法案は既に二読会に於て全員賛成の上で調整に廻したものであり、そのまま承認することに賛成します。
○議長(泉 有平君) 採決します。本案の成立に反対のある方は挙手願います。
  (挙手する者なし)
 本案は一人の反対者もなく全会一致で可決したいと思います。続いて行政主席職員任用法の審議に入りたいと思います。午前中行政主席事務局長の話で大体意図していることは明かになったと思いますが、議事の都合上この補則に対する態度をどうするかと云うことを決めてから逐条審議に入ったら如何ですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) そう云うことにして、補則に対する御協議をお願いしたいと思います。
○冨名腰尚武君 第十五条はそのままでは工合が悪いと思いますが、警察職員にしたって、教育職員にしたって現在のそれぞれの任用規定があると思うのでありますが、警察職員特別任用法とか教育職員特別任用法とか云うものが出来るまで、この任用法によらずに他の法令によってやって行こうと云うのが、この第十五条の趣旨だと思うのであります。又検事についても法務局設置法で十分尽されているのであれば、これもこう云う謳い方は妥当を欠くとこう考えるのでありますが、その点は検事については法務局設置法を担任された行政法務委員会としてはどう云う見解をお持ちですか。
○城間盛善君 検事は階級を決めてあるのですが、任用する場合にRGの何級から何級までと云うことは規定していないのですが、その面は矢張り必要ではないかと思うのですが、公安委員会はまだ通過しませんが、通過しても矢張り実際になった場合にはRGの関係はどうしても何かの規定と云いますか、あれだけではそこまで行っていない訳です。
○嘉陽安春君 警察職員については公安委員会の規定によって定めることになっておりますが、公安委員会の規定になる訳ですが、第十五条が出来ることによって行政主席の規定と云うのが上だから、公安委員会の規定の上には公務員法が来ているのですが、矢張り入れておかなければならないのぢゃないかと思う。
○冨名腰尚武君 それについては当分の間法令の規定すると云った風な文句を入れなければいかんのぢゃないですかな。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後二時三十六分休憩)
  (午後二時四十五分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○冨名腰尚武君 第十五条についてはこう云う風に字句を改めたらどうかと思います。「警察職員、教育職員及び検事については別に法令の定めるもののほか当分の間行政主席の定めるところによる」
○議長(泉 有平君) どうですか。
○嘉陽安春君 その方がいいと思います。
○議長(泉 有平君) 第十五条は只今の冨名腰参議の言われた通り字句を訂正致します。
○城間盛善君 本文の表現法で警察職員と云う場合には警官を含む、教育職員と云う場合には教官を含むものと解釈していいのですね。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後二時四十七分休憩)
  (午後二時四十九分再開)
○議長(泉 有平君) 再開します。
○冨名腰尚武君 第十六条の誤植訂正をお願いしたいと思います。「奄美、宮古、八重山各群島に勤務する職員の給与は当分の間」とありますけれども、この「当分の間」を「行政主席」の頭にもって行きたいと思います。それから附則を書き漏らしてありますので、これを附加えていただきたいと思います。
 「附則 本法は公布の日からこれを施行する。」
○議長(泉 有平君) でははじめに戻りまして逐条審議に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「第一項」朗読)
○冨名腰尚武君 改正の第一項でありますが、これは第二条を全部改める訳ですが、旧法では「行政主席事務局に事務局長を置く」となっているのを官房設置法に基いて「行政主席官房に官房長を置く」と訂正してあります。
  (事務局長比嘉良男君「第二項」朗読)
○冨名腰尚武君 これは読み替えです。
  (事務局長比嘉良男君「第三項」朗読)
○冨名腰尚武君 これは官房長が加わっただけです。
  (事務局長比嘉良男君「第四項」朗読)
○冨名腰尚武君 これは第四項は削ってこうしたいと思うのです。同じく第五条の第二項と並べて別行にして但書を入れるしかないと思うのですが、今先審議終了した改正第三項、第五条の直ぐ次に来るものなんです。
○城間盛善君 号の次に但書を入れるのが変だと云うことだったのですが、これはどうしますか。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後四時十二分休憩)
  (午後四時十六分再開)
○議長(泉 有平君) 再開します。
 これは保留して次に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「第五項」朗読)
○冨名腰尚武君 これは甲号職の職務を行うのであって甲号職になるのではありません。
  (事務局長比嘉良男君「第六項」朗読)
○冨名腰尚武君 これはRWBの場合も上げて欲しいと云う要求がありましたので、(メッセージ第十八号)これを一緒にやろうと云うのです。
  (事務局長比嘉良男君「第七項」朗読)
○冨名腰尚武君 丙号職でも郵便局長には出来る。但し局長は部下を持っているから甲号職の職務を丙号職に行わせると云うさっきの五の場合と同じです。
  (事務局長比嘉良男君「第八項」朗読)
○冨名腰尚武君 これは九級までが旧法です。十七級まで幅を拡げたのですが、九級までにすると、例えばドライバーなんかでも簡単に乙号職になってしまうのです。
  (事務局長比嘉良男君「第九項」朗読)
○議長(泉 有平君) 第九項は原案通りですね。
○冨名腰尚武君 さっきの保留したところ、第三項、第五条第二項を次のように改める。「特別職は次に掲げる職とする。但し行政主席統計局長は甲号職の中から行政主席がこれを命ずる。」従って第四項は消えて項は一つずつ繰上って行く訳です。
○田畑守雄君 第十五条、第十六条については現在の経済状態に於ては中央政府で賄うことは出来ないので軍の予算内に於て当分はやるが、然しながらこれは早急に琉球政府発足と同時に全琉球の俸給率(ママ)は一元化さるべきものだと思います。それでそう云う観点からしまして、決議文を将来作って貰ってその線に副うて行政主席が努力していただくことを希望して本案に賛成します。
○議長(泉 有平君) 以上により本案は軍との調整に移ります。続いて公安委員会設置法の保留条項について審議致します。保留条項に関係して問題の所在は概ね今までに十分尽されていると思いますので、逐条審議で議事を進めて行きたいと思います。はじめに第二章第十二条であります。
  (事務局長比嘉良男君「第十二条」朗読)
○議長(泉 有平君) 異議ございませんか。
○田畑守雄君 警察官の階級に警察本部長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長、巡査と云う風に階級が、ここに新しく警視正と云う階級が増えて来ております。この点については先日から相当論議されたことでありまして、警視正と云うものを置くのが琉球警察行政にどれだけプラスになるかと云うことに対して私は疑問がありますので、特に階級意識の強い警察官の階級に更に一段階をつけることはますます官僚的な気分を強めて行くような感がしますので、この警視正を入れることには不賛成なんです。
○議長(泉 有平君) 他に今の条項に同様な御意見の持合せの方はございませんですか。
○大濱國浩君 田畑さんは階級意識とおっしゃいますけれども各群島の警察基本規程には名称が違っているだけでこれに該当する階級はありますよ。
○田畑守雄君 次長でせう。
○大濱國浩君 次長は官名であり階級なんです。次長に相当するところの階級が警視正になっている訳です。呼び方が変ったと云う風に解釈したら分りますがね。
○議長(泉 有平君) 警察官の階級として警視正の階級を設けるか、設けないかと云うことについて決を採って行きます。
 警視正と云う階級を置くことに反対のお方は挙手を願います。
  (田畑守雄君 挙手)
○議長(泉 有平君) 反対一多数賛成だと云うことにして本案はこのままに致します。
 休憩します。
  (午後四時四十二分休憩)
  (午後五時八分再開)
○議長(泉 有平君) 次に移ります。
  (事務局長比嘉良男君「第十四条」朗読)
○田畑守雄君 第十五条に関連すると思いますが…。
○議長(泉 有平君) それでは続いて第十五条に行きます。
  (事務局長比嘉良男君「第十五条」朗読)
○議長(泉 有平君) この両案について結局問題はその地位にそれぞれの警視正を充つべき地位と数と二つだったと承知しております。その意味に於て意見を開陳していただきます。
○冨名腰尚武君 第十二条で警視正を置くことに賛成しましたのは警察が他の行政機関と違って単に事務面だけでなしに部隊行動を必要とする面がある。その面からしてどうしても本部長不在の場合は他の警察官の上位に立つ者がこれに代って指揮を執る必要性を認めたからであります。従ってどこまでも警視正を認めた所以のものは所謂次長的性格の人をどうしても警察機構に於ては必要とすると云う点を認めたからであります。そうなりますと、これが複数であると云うことは結局又その間にどっちが先か後かと云う問題が生じてここに次長制が、部隊行動を指揮する場合に認めた次長的性格を有する者が二人も三人もあると云うことは甚だ矛盾する面がありますので、そう云う点から見た場合に監察官はその仕事の性質上常に方々をかけずり廻って警察内部の監察をして歩かなければならない立場にあるものであります。従って警察本部長以上に--警察本部長は不在の場合が多いだろうと思う--不在の場合が多いだろうとこう考えられます。そこで私は監察官は警視正又は警視を以てこれに充てるとあるのは、単に警視を以てこれに充てるに改めこの次長的性格を持つべき警視正は警察本部の何れかの課長に一人これを兼ねさせることにして、そう云う意味で第十五条の第二項を課長のうち一人は警視正他は警視を以てこれに充てるとこう云う風に修正していただきたいと思います。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後五時十二分休憩)
  (午後五時十五分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。今冨名腰参議から第十四条、第十五条に関連した問題で修正動議が出ていますが、この動議を議題にすることで賛否を問いたいと思います。御賛成の方は手を挙げて下さい。二名の同意がありましたので動議は成立しました。
○冨名腰尚武君 動議を提出した理由を申上げます。第十二条に於て警察官の階級に警視正を加えることに賛成する理由は繰返し論議されましたように警察には他の行政機関と性格が変る所があって単に事務の代理をする面が必要があると云う以外に場合によっては警察が部隊行動を取る場合はこの指揮に任ずる者がいなければならないと云う点が特に印象つけられました。そう云う意味でどうしても次長的性格のものを設けないと完全に指揮が出来ないと云う点が心配される訳でありまして、その面を私としては承認した訳であります。従ってこの上位の指揮官は一人でなくてはならない。二人、三人とした場合はそこに何れが上位であるかと云う点で判然としない面が出て来て満足な指揮が出来ないと云うことになり、又何らかの理由によって必ずしもそうでなくて数名の警視正を置いて先任者が次長的性格の職務をさせると云うなら、従来通り警視を充ててもいい訳です。そこに次長的性格の職員として監察官と警視正が必要ならこれは一人でなければならないと思います。その意味に於て監察官は事務の関係から到底次長的性格の職務を執る訳にはいかないと思います。
 その意味から第十四条第二項を警視を以てこれに充てると改めたいと思います。それに伴って第十五条第二項で課長の中一名は警視正、他は警視を以てこれに充てると修正し、従って警視正を以て充てられた課長が必要な場合は次長事務を取扱うとしたいと思います。
○田畑守雄君 今の冨名腰参議の動議に対してうなずける所もありますが公安委員会と云うもの、つまり警察と云うものがあくまでも指揮系統をはっきりさせねばならないものであり、又次長制はどうしても必要なものなら各局とは違うのでその点ははっきりと言訳の出来るぐらいはっきりしたものがないといかんと思うのです。そう云う点があるので案に対しても置かなくてもいいようなものであるにも拘らずたった一人の警視正と云う職制を作ってそれによって命令、指揮系統をはっきりさせると云う行き方だが、それに次長制を暗に認めたと云う行き方だが私はこの行き方に賛意を表する訳にはいかないのであります。寧ろ指揮系統が単一人によってしか行われないなら矢張り次長制を採るべきであって警視正は寧ろ複数に置くのが本当じゃないか。つまり次長制がどこまでも特殊事情によって置かねばならないと云う所まで突き進んでいないから躊躇するものであります。私の考えでは何も次長がいないと指揮系統が判然としない事は有り得ないと云う気持です。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後五時二十五分休憩)
  (午後五時二十九分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。第十四条の修正に反対の方は挙手を願います。
 ちょっと休憩致します。
  (午後五時三十分休憩)
  (午後五時三十八分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。第十四条第二項の修正案が出ていますがこれに反対の方は挙手してください。…賛成の方挙手願います。三名ずつで可否同数ですから修正案を採択致します。
 第十五条第二項に移ります。課長の中一人は警視正、他は警視を以て充てると云う修正案ですがこの修正案に対する御意見をお願いします。では修正案に反対の方は…三名です。修正案に賛成の方は挙手をお願いします。三名です。可否同数なので修正案を採択致します。
 続いて第二十三条の保留事項ですが原案に対して意見を聴きたいと思います。
○田畑守雄君 この問題に対しては縷々申上げてありますので、今更再び繰返す必要はないと思いますが各警察部長、公安委員会に於ては支局を置くと云うことは決定してあったようです。それについては支局を置く以上は何か所掌事務の一部を委任する面があってそう云うことになったろうと思います。御承知のように大島は交通は不便で通信機関は発達しておらず、しかも六つも警察署があると云う状態でありまして果して…。勿論この交通機関、通信機関が充分機能を発揮し得れば当然各警察署は本部に直結されて行くべきものだと云うことはうなずけますが、現段階ではどうしても不可能でありますので支局を置いて貰い、これによって或る程度の委任を受けた仕事をしていかないと充分に機能を発揮することは出来ないじゃないかと云う懸念を持ちますので、この点は幸いわざわざ支局問題について打合せのため浜田警務課長が見えているのでありますが、一つ出来ますなら明朝証言を求めて下さって本条に対しては明日まで保留していただきたいと思うのであります。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後五時四十五分休憩)
  (午後五時五十五分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。只今田畑参議から証人喚問の要求がありましたが、これを喚問することに致しまして仲村部長と浜田警務課長をお呼び致します。この会議の続行を明日十時から続行することに致します。
 では今日の会議はこれで終ります。
  (午後六時五十七分閉議)

  本日の出席者
   議 長  泉  有平君
   参 議  松田 賀哲君
    〃   與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   冨名腰尚武君
    〃   大濱 國浩君
    〃   吉元 榮光君
    〃   嘉陽 安春君
    〃   田畑 守雄君
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