- 組織名
- 琉球臨時中央政府立法院
- 開催日
- 1952年01月13日
(昭和27年)
- 会議名
- 第1回立法院本会議 1952年1月13日
- 議事録
- 第一回立法院本会議会議録
第九十一日目
一九五二年一月十三日(日曜日)
午後六時五十三分開議
議事日程
一、商工局設置法(三読会)
二、主席事務局設置法中一部改正(一読会)
三、財政局設置法中一部改正(一読会)
四、総務局設置法(一読会)
五、工務局設置法(一読会)
六、法務局設置法(一読会)
七、情報局設置法(一読会)
八、公安委員会設置法(二読会)
○議長(泉 有平君) 本会議を開きます。
商工局設置法の三読会に入ります。その前に二読会について軍の意思表示がありましたので朗読致させます。
(事務局長比嘉良男君朗読)
○議長(泉 有平君) 別に法案に対して討議すべき点がありましたらお願いします。
○城間盛善君 この設置法は既に商工委員会において慎重審議の上さらに本会議で一、二読会で検討を終え全員の賛成を得て二読会も終了し、さらに民政府の意向も異議ないという事ですから原案のまま賛成したいと思います。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 反対意見はありませんか。
○松田賀哲君 この設置法については私が委員長を勤めましたが皆さん御協力を得て内外共に通していただきまして有難うございました。
○議長(泉 有平君) 全会一致で制定を致すことに致します。休憩致します。
(午後六時五十八分休憩)
(午後七時再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。次に松田参議から発議された行政主席事務局設置法の改正を議題に致します。本案は発議者の案の構想というか、そういうものが各局の設置が逐次進捗するにつれ主席事務局というものをよりもっと異った構想のもとにもっていくべきだという城間参議の質疑事項に伴う見解もあって発議者の方でもそういう立場から検討すべきだということであります。従って本案はそういう面も充分汲んでいただくことにして、しかも発議者自身が特別委員会の委員でもありますので便宜上その問題を委員会で加味して検討していただくということにして特別委員会に附託することに致します。これで一読会を終ります。続いて財政局設置法の改正に対する発議が冨名腰参議からありましたので提案理由を説明していただきます。
○冨名腰尚武君 主席の要請によって財政局設置法の一部改正の必要があるということになり財政商工委員会に附託されたのでありますが委員会で慎重審議の結果、前に一九五一年六月十二日に立法第一号として制定された設置法は群島政府がそのまま存続するという構想のもとに設けられた設置法でありまして、それがその後の状勢の変化によって群府が解消するということが本決りになった今日、そのままでは中央政府の財政局として充分な機能は発揮出来ないということは明らかになるので、主席の要請に応えて一部を改正することに致した次第であります。本日ここに発議の運びに到った次第であります。
○議長(泉 有平君) 今委員長から発議理由の説明がありましたが一応朗読して貰います。
(事務局長比嘉良男君「財政局設置法一部改正案」朗読)
○議長(泉 有平君) 別に一般的な質疑はないようですからこれで一読会を終って金融財政商工委員会に附託することに致します。続いて総務局の設置について城間参議から発議がありましたので提案理由の説明をお願いします。
○城間盛善君 提案理由を説明致します。
メッセージによって要請された総務局の設置法について附託された委員会ではいろいろ検討してみた訳ですが、現在四群島政府で所管されている総務事務が中央政府に移管されるという根本方針が定っているので、これに伴い局を設置することは必要だというので本案を提案した次第であります。
○議長(泉 有平君) 案の朗読をお願いします。
(事務局長比嘉良男君「総務局設置法案」朗読)
○議長(泉 有平君) 今の発議理由について何か質疑がありましたらお願いします。別にございませんようですから本案は行政法務委員会に附託して審議をお願いします。一読会を終ります。
続いて工務局について與儀参議から発議がありましたのでその提案理由をお願いします。
○與儀達敏君 工務局設置法の発議理由を申上げます。本案は主席より設置方の要望がありましたので、参考案を慎重に研究した結果中央政府に是非とも工務局がなければ政府の建築、土木行政が全うされないことになりますので、その設置の必要がある訳です。内容も政府所管の土木、建築の費用、又公共建築、土木の管理、指導ということになっていますのでこういう構想のもとに案を作った次第です。以上発議理由を申上げます。
○議長(泉 有平君) 案を朗読致させます。
(事務局長比嘉良男君「設置法案」朗読)
○議長(泉 有平君) 別に質疑はありませんか。ないようですから審査のため設けられた特別委員会に研究方を附託致します。これで一読会を終ります。休憩致します。
(午後七時十二分休憩)
(午後七時十三分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。日程を追加致します。法務局設置法について発議者の城間参議から提案理由の説明をお願い致します。
○城間盛善君 先に主席メッセージによって法務局設置法の立法を要請されていましたが、その研究を附託された行政法務委員会ではその参考案を研究し、更に民政府布告第十二号によって琉球に於ける裁判所機構が全面的に中央政府に移管されると云う軍の政策が明示されていますし、いろいろ検討した結果参考案に多少の変更を来しましたが、只今発議した案によって中央政府に法務局を設置することは必要だと云う見解に達したので発議した次第であります。
○議長(泉 有平君) 案を朗読致します。
(事務局長比嘉良男君「設置法案」朗読)
○議長(泉 有平君) 別に質疑はありませんか。ないようですから本法案は行政法務委員会に附託して審議をお願いすることに致します。
これで本案に対する一読会を終ります。
続いて情報局の設置に対する発議がありましたので、発議者の冨名腰参議に提案理由の説明をお願い致します。
○冨名腰尚武君 昨日の本会議で情報局設置の要請方に対する主席メッセージがあって情報特別委員会に研究が附託されましたが、委員会ではこれを審議致しました結果、今日「知らしむべからず寄らしむべし」と云う従来の政府の行き方は甚だ誤りであり、あくまで知らせる事によってしか政治の完璧は期し得ないと云う事は民主国家の当然の事であっていずれの民主国家でも政府がその弘報面に特別の力を注いでいる事は周知の事実であります。そう云う点からして特別委員会としては情報局設置の必要を痛感したので、臨時中央政府行政主席情報局設置法案を発議した次第であります。
○議長(泉 有平君) 案を朗読致します。
(事務局長比嘉良男君「設置法案」朗読)
○議長(泉 有平君) 一般的な質問がありましたらお願い致します。別にないようですから、本案は特別委員会に附託して審議していただくことに致します。これで一読会を終ります。
○松田賀哲君 今日次々に発議がなされて一般質問も要求されましたが、一般質問も出ないようですが、これは議事の進行上現在の差し迫った状勢に於て一つ一つ一般質問をやっていたのでは期日が許さないと云う大きな前提があるために、なされなかったものと思います。然し逐条審議と云うものがあるし、又三読会もあり読会をなくすると云うこともありますが、いずれにしても逐条審議はやった方がいい。従ってその時に一般に亘る質疑なり意見なりを述べるかも知れませんが、その点御諒承お願いします。
○議長(泉 有平君) 松田参議からの要望の点は審議に当ってよろしくお願い致します。
続いて公安委員会設置法の二読会を続行したいと思います。第十六条からです。
(書記長川畑秀志君「第十六条」朗読)
○議長(泉 有平君) ちょっと休憩致します。
(午後七時二十一分休憩)
(午後七時二十四分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○城間盛善君 誤植があります。第一項、第二項は順序が逆です。第三項には発送、次は編集及び保存に関することとして下さい。
○議長(泉 有平君) 次に移ります。
(書記長川畑秀志君「第十七条」朗読)
○冨名腰尚武君 第一項に「現任警察職員」とありますが、これは警察官でないものも含まれますか。
○城間盛善君「警察官」が正しい表現と思います。
○議長(泉 有平君) 次…。
(書記長川畑秀志君「第十八条」朗読)
○冨名腰尚武君 第六、七、八項については一読会の際一般質疑に於て免許面もやるかどうかと云う私の質問に対し、委員長はその面は考えていない、只取締だけだと云うことを記憶していますが、第七項は銃砲火薬商の免許と云う面が紛らわしいと思いますが、その点の説明と第九項の青年は成人と見ていいか、或は成人に達していない青年の意味か、そこの所を…。
○城間盛善君 成人の犯罪防止は第五項に含まれていますので第九項は成人でない青少年です。扱い方も違うし、又この面について普通の犯罪とは異った面があると云うので、ここに出した次第です。それから第七項は…。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
(午後七時二十九分休憩)
(午後七時三十分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
○城間盛善君 危険物の次に「の取締り」と入れて下さい。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
(午後七時三十一分休憩)
(午後七時三十二分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。次…。
(書記長川畑秀志君「第十九条」朗読)
○田畑守雄君 この場合の地方と云うのは…。
○城間盛善君 これは市町村と考えていいです。
○田畑守雄君 つまり消防課を中心にすることは煎じ詰めれば中央消防隊が消防課になったと云う…。
○冨名腰尚武君 単に消防隊の意味でしょう。
○議長(泉 有平君) 次行きます。
(書記長川畑秀志君「第二十条」朗読)
○冨名腰尚武君 交通法規の執行となっていますが、交通法規はどこで作りますか。作成担当機関はどこですか。例えば陸運課もありますが、或は交通保安の面から警察で作るべきか、と云う点が疑問ですが、そこの所を承りたい。
○城間盛善君 そう云う立案に当っては各局でそれぞれの所管に関する立案をすると云うのが普通ですから、ここでもここで所管する範囲と考えていいと思います。
○冨名腰尚武君 そうすると警察に於ても交通法規の立案は出来る訳ですか。
○嘉陽安春君 これはどうしても相議せんといかんと思いますね。
○議長(泉 有平君) 次…。
(書記長川畑秀志君「第二十一条」朗読)
○冨名腰尚武君 これは一読会で私から質疑を出し第一項の法令の実施に関しては海難予防と云う意味から船舶法、船員法とも等しくここの法令に含まれると思う。その面との関係、それから第四項を取締とだけすると犯人捜査の面から云っても敢て船舶だけでなく、人も対象になるべきじゃないかと云う質疑をして委員会で研究して欲しいと云う質問を保留しておきましたが…。
○城間盛善君 第一項の法令の実施は、要するに海上の治安のための法令、その面では法令の執行に当るに必要な法令全部と解釈しています。それから第四項は出入船の取締と云っても不法に出入する船舶と云う意味です。なお人は船舶の如何に拘わらずどう云う船でも取締る事が出来るのが警察本来の任務と思います。
○冨名腰尚武君 私が心配するのは船舶取締では海上保安課員が行く、又犯罪捜査或は入国を図ろうとする者或は密入国を図る人には刑事課の課員が来ると云うことになりはせんかと云うのを懸念する訳です。
○議長(泉 有平君) 次。
(書記長川畑秀志君「第二十二条」朗読)
○議長(泉 有平君) 次。
(書記長川畑秀志君「第二十三条」朗読)
○田畑守雄君 私は奄美地区を代表している関係もありますので住民の保安と云う点に最も重大な役割を持つ警察の在り方がここにはっきりしているのでありますが、ここでは連絡所となっていますが、これに対して警察本部長は一部の権限を与えているのであります。これは昨日から警察の在り方を申上げましたが、この点について私は非常な疑問を持つと同時に第四条に於て委員会の委員を選出したけれども、これは一応地区制を考えて委員の選出方法を考えたと言っていました。
奄美群島では現在六つの警察署を持っています。そして海岸線の長い事ではほぼ沖縄本島と同じで、而も通信交通の不便なため全て中央からの連絡通信は名瀬を経由しない限り、各離島に行かないと云う状態です。交通面では鉄船で二回か三回と云う状態にあるのでありますが、各離島には危険を冒して交通すると云う状態にあり、而も本島では山岳地帯のため不便で、真に残念な話ですが、沖縄と非常に違っているのでありまして、この点について単なる連絡所によって大島の各警察署が掌握出来て、そして住民を安心させる治安警察が出来るかどうかを心配するものであります。
この点については、私の聞く所によると、全琉の公安委員、警察部長の合同会議によって大体その目標は出ていると思います。聞く所によると、大体合同会議では保安局に局長と次長制を取る。この二つが警視正です。そして各課長は全て警視です。そして大島には支局を置き一部の権限を与え、かわいそうな警察行政を支局長によって運営させたいと云う考慮で特に警視正を充てると云うことを決定したという事を聞いています。
所が、本案によりますと公安委員会は別にして、その内容に於て非常な喰違が出ています。各課長が警視正或は警視であると云う事になり監察官は警視正或は警視と云う事になっていますが、所が一方合同会議で警視正と云うのを特に置いたのは、大島の地理的条件、交通条件を考慮して連絡会議で決定したものと思います。
それがこの案によると、警視正或は警視であれば未だ考える余地がありますが、警視と云う事をはっきり謳っていますので、この前から言うように果して六つの警察を掌握出来、委任された権限を施行できるかどうかと云う事に非常な不安を持つ訳であります。その点、本会議で考慮されんことをお願いするものであります。
○與儀達敏君 今の意見に賛成するものであります。離島の方として住民の安寧秩序と云う面から連絡所と云う事は重大であります。各地区の警察署と云う性格を知らないと審議は出来ないと思いますので、第二十三条は警察署を念頭に置いた上で第三章の審議を先にして、第二十三条は後日でしたいと思います。
○議長(泉 有平君) 今の意見尤もと思いますので、第二十三条は保留して第三章に移ります。
(書記長川畑秀志君「第二十四条」朗読)
○議長(泉 有平君) 次…。
(書記長川畑秀志君「第二十五条、第二十六条、第二十七条」朗読)
○議長(泉 有平君) 各条と第二十六条との関係と云う意味で一括して審議をお願いします。
○與儀達敏君 問題は第二十六条の指揮監督を受けてその管轄区域の事務を執行すると云う点にありますが、本部長は警察事務を執行する権限ですが、もしこれが支局を置くためによって警察事務が円滑に運営できるなら非常によい事と思います。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
(午後七時五十三分休憩)
(午後八時十七分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
この問題は、次回に持越したいと思います。けじめを付ける意味に於きまして時間に少々無理がありますが、附則まで終りたいと思います。
○田畑守雄君 その前に申上げたいのですが、警察署長も警視と云うのが出ておりますが、那覇の警察署長を警視或は警部と云う謳い方で果して妥当であるかと疑問を持っておりますが…。
○議長(泉 有平君) 警察署も一応保留しておきますから。
(事務局長比嘉良男君「附則第一条、第二条」朗読)
○城間盛善君 説明するまでもないと思うのですが、この委員は三年毎に替ってしまうより、絶えずそこに経験者が残っていた方がいいと云うので、最初だけ一年、二年、三年と任期を分けてあります。それから以後は三年と云うことにして絶えず経験者が三名乃至四名はおると云う風な形が絶えず持続されると云う意味で、こう云う制度を採った訳であります。
(事務局長比嘉良男君「第三条」朗読)
(事務局長比嘉良男君「第四条」朗読)
○與儀達敏君 宮古と沖縄群島は警察条例によっておりますが、八重山はどうですか。
○大濱國浩君 そうだと思います。
○松田賀哲君 今の警察署の問題ですね。これは保留になった訳ですね。前に保留になりました第十二条、階級の問題、第十二条に行って任用令を持込んでいると云うので保留になっているので、それと同じ性質のものが第十四条の第二号にあります。これも持込んでおりますから…。
○與儀達敏君 突発した事実を各署に連絡するだけでいいんじゃないか、権限委譲までやらんでもいいんじゃないか、連絡所は…。
○議長(泉 有平君) これで本会議を終ります。
(午後八時二十三分散会)
出席者
議 長 泉 有平君
参 議 松田 賀哲君
〃 與儀 達敏君
〃 城間 盛善君
〃 冨名腰尚武君
〃 大濱 國浩君
〃 吉元 榮光君
〃 嘉陽 安春君
〃 田畑 守雄君
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