戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1952年01月07日 
(昭和27年)
会議名
第1回立法院本会議 1952年1月7日[2]
議事録
第一回立法院本会議会議録
        第八十五日目

 一九五二年一月七日(月曜日)
 午後一時二十八分開議

議事日程
 一、琉球臨時中央政府財政局設置法一部改正について(主席メッセージ第三十四号)
 二、琉球臨時中央政府資源局設置法について(第二読会)

○議長(泉 有平君) 開会致します。議題を追加致しましてメッセージ第三十四号が来ておりますので、これの処理方についてお諮り致したいと思います。
  (事務局長比嘉良男君「主席メッセージ第三十四号」朗読)
○議長(泉 有平君) この改正の要旨は税務署関係の事務を所管するというのが目的であります。これを一応財政商工委員会の方で研究していただきたいと思いますが、如何ですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(泉 有平君) 別に御異議ございませんでしたら、財政商工委員会の方で御研究をお願い致します。続いて資源局設置法案の第二読会に移りたいと思います。委員長から一読会後の委員会の審議経過を御説明願いたいと思います。
○吉元榮光君 一月四日の本会議で資源委員会に附託になりました資源局設置法案について、去る四日の午後、委員会を開きまして、慎重審議しました結果、この前も與儀参議から質問がありました家畜衛生研究所というのは、これは沖縄の現在の家畜衛生に関しては相当の薬を準備しなければいかんという関係で沖縄で血清製造所を設置しようという観点からこれを持って来ておるのでありまして、この前の私の答弁で、飼育関係も一緒にやるのだということを申上げましたが、これは専ら血清製造を目的としているのであります。この点訂正致します。それでいろいろ農林省とも折衝しました結果、皆さん方からも或は各群島地域でも非常に要望されているところの優良家畜の配付、即ち種畜場の問題は、農事試験場に、現在は畜産課という名称で現に沖縄群島政府で羽地村の伊差川に畜産課を設置して種畜場みたいな仕事をやっているのですが、将来包含される場合は種畜課という風に試験場の一部に加えまして、そして各群島にもそういう風にもって行きたいという証言を得ましたので、従って第十条の第五号に農業改良課に於て取扱うところの事務の中に一項目づつ加えていただいて、今御説明申上げた通り、それをはっきりさせるために、第四号の次に第五号として「優良品種の育成及び補給に関すること」を委員会修正として附加えていただきたいと思います。こうして漫然と謳っておりますが、これは作物、動物に係らず、全て優良なるものを育成する。そしてその事務もこっちでやるということをはっきりさしておきたいという委員会の意見が一致しまして、従って以下の番号は一条づつ繰下がることになります。以上簡単ではありますが委員会の審議経過について御報告致します。委員会でも十分検討したつもりでありますが、更に御検討の上通過さしていただくようにお願い致します。
○嘉陽安春君 この前もお訊ねしたのですが、支局制度については、どうせ将来新立法院の仕事としては、支局制度の整備ということが取上げられなければならないと思うのですが、そういう意味からいうと資源局に左の支局を置く、という風に書きっ放しでは、一応現立法院の態度としては、支局制度を恒久的に認めたという風に見えて、--将来この支局がいろいろな局の支局が出来て行くらしいのですが--これはそうじゃないという御説明だったのですが、何かそういう風な当分の間支局制を置くと書いてあるけれども、これは当分の間は従来通りのものと纏めたという趣旨であって、やがては変更するものである、当然そういうことを予想しての現在の立法院としての措置であるということを謳った方が問題を残さないというか、ここのところをどうお考えになりますか。支局を置くというと、今の立法院としては、表面に現れたところでは、支局制度というものを、各局毎に支局を考えて行くような感じがするのですが、そこは何か含みをつけた方がいいんじゃないかと思うのですが。
○松田賀哲君 その点は例の前からいうている通り、定員、--これは我々は制限していない、各局とも必要な職員を置くとして、いくらでも勝手にいくらでも置いてもいい恰好にしてあるのですよ--これについては別にこの設置法が全部済んだら行政部に進言しようと皆思っている訳ですがね。我々は現在予算を握っていない関係上定員を云々することは出来ない。又過渡期でもあるしするから簡単には出来ない問題であるが、定員については、所謂精鋭主義でやってくれという進言を最後につける、それにそういうことを謳ってはと思うのですがね。
○吉元榮光君 今、殊に群島組織法が生きている関係上後で決議としてやったら我々の意思が十分表明出来るのではなかろうかと思う。
○嘉陽安春君 四月から新立法院が発足するが、それに対しても現在の立法院としては、どういう風に考えていたかということを、何かの記録を残して置きたいと思うのですが、将来はこの支局制度というものは整備して行きたいと思うという、(以下脱カ)
○吉元榮光君 必要な職員を置くということもばっとして分らないのですが、これは定員法で将来決るのじゃないかな。
○嘉陽安春君 支局制定は暫定的なものであって支庁制度の確立、いわば中央政府の確立に伴って又改廃されるという、何かそういう意味のことをそれは新しい立法院の措置によって決るということを記録しておきたいと思うのです。
○吉元榮光君 その点については私も同感であります。なお、附加えたいと思うのですが、現在農林省の行き方は林野局も各群島地区に支部を持っているし、それから食糧局も同じく各群島地区に支部を持っているし、開拓局もそうであります。そういった関係で農林省の今の行き方は省内の割拠、局内でさえもばらばらに置いているという実情は、これは現在我々としても好まざるところでありましてそれで一本で支局に纏めて行く、たとえ群島政府が廃止になってもこの設置法が出来たら、早速こういう行き方をするということも考えております。
○議長(泉 有平君) 休憩致します。
  (午後一時四十二分休憩)
  (午後二時四十五分再開)
○議長(泉 有平君) 再開致します。
 今の休憩中に出た問題は保留して逐条審議に入りたいと思います。
  (事務局長比嘉良男君「第一条」朗読)
  (事務局長比嘉良男君「第二条」朗読)
○大濱國浩君 第二条第二号これは技術の面ですか、何をやるのですか。
○吉元榮光君 農業なら農業に関する試験、水産は水産に於て、それ以上の試験がなされて、それを業者に滲透せしめるということですね、研究所関係の事務を謳っている訳です。
○冨名腰尚武君 そういう研究機関も持つ、そういう研究事務もやるということです。
  (事務局長比嘉良男君「第三条」朗読)
  (事務局長比嘉良男君「第四条」朗読)
  (事務局長比嘉良男君「第五条」朗読)
○議長(泉 有平君) 農業改良課を保留してありますので、それによって農政課の名称も違って来る訳ですね。
  (事務局長比嘉良男君「第六条」朗読)
  (事務局長比嘉良男君「第七条」朗読)
○議長(泉 有平君) 第七条は一応保留しておきます。
  (事務局長比嘉良男君「第八条」朗読)
○與儀達敏君 家畜商の指導監督は、これは免許制を採る積りですね、試験をやりますね。
○吉元榮光君 試験もありますが、その人格ですね、責任のないような行動をしてしまって病菌を伝播するようなことがあってもいけないし、又こういうのを監督しないとごまかすということが多分に出て来ますので免許制にしてあります。
○與儀達敏君 今企業免許を受けておりますか。
○田畑守雄君 大島に於ては免許制を採って試験を行っております。
  (事務局長比嘉良男君「第九条」朗読)
○吉元榮光君 これは所管協同組合であって、第二条の第七項に謳ってあります。
○冨名腰尚武君 結局、商工は除かれることになる訳ですね。
○與儀達敏君 今のところですが、会計検査のみですか、会計検査というとただ数字を合わすだけですが、支出の妥当性も検討するのですか。
○吉元榮光君 そうです。
○與儀達敏君 そんなら経理検査と直して下さい。
○吉元榮光君 監査にも指導監査もあるし、法的監査もあるのですが、これは法的監査もやるぞということ…。
○與儀達敏君 その意味ならばいい、会計でも。
○吉元榮光君 法に照らして会計検査をする訳です。
○與儀達敏君 損益計算表だけを監査するのか。
○吉元榮光君 いや全部の業務監査まで行く、会計の全ての支出の妥当性を監査する。
○與儀達敏君 協同組合の総合計画というのは何ですか。
○吉元榮光君 組合資金を造成しなければならんといったような色々な計画を指すのです。
○與儀達敏君 組合運営の総合計画ではいけないか。
○吉元榮光君 運営のみでなくて組合運動なんかもやるのです。組合に対する認識を深めたりするようなことも色々と出て来るのです。
○大濱國浩君 信用組合とどういう関係がありますか。
○冨名腰尚武君 信用組合は協同組合の中に入って来る訳です。当然含まれているのです。それから、今の会計検査ですが、これは経営面についても監督権限を持つ訳ですから経理監査でもよいと思う。
○議長(泉 有平君) 経理監査と直していいでせうね。
○嘉陽安春君 協同組合の総合計画に関すること、これは振興の総合計画ですか、それとも組合制度の総合計画。
○冨名腰尚武君 振興だな。
○嘉陽安春君 振興の総合計画に関することですね。
○田畑守雄君 これは精神方面と政策方面、両方面からいっている訳ですがね。
○冨名腰尚武君 助成面の計画も出て来る訳ですね。
○松田賀哲君 協同組合の育成に関することではいけないか。
○吉元榮光君 組合運動なんかも含まれているのですよ。
○嘉陽安春君 育成にしても何か自主的に生れて来るといった観念…。
○冨名腰尚武君 自主的に生れて来るものでなしに積極的に生み出そうという気持があるから計画となっている訳ですが。
○嘉陽安春君 協同組合育成の総合計画に関すること。
○冨名腰尚武君 それでもいい。
○大濱國浩君 一と六は同じような内容を持つように感ぜられるが…。
○吉元榮光君 六の場合は個々のものについてです。
○與儀達敏君 それは三で大丈夫でせう、協同組合の監査で。
○冨名腰尚武君 経営指導というのは、行政指導の面からの監査、誤りのないようにないようにという風に指導して行く訳です。
  (事務局長比嘉良男君「第十一条」朗読)
○大濱國浩君 六の砂鉱業というのは…。
○吉元榮光君 トラバーチン、粟石。
○冨名腰尚武君 セメント工業の場合の原石。
○與儀達敏君 第三号は琉球内の入植でせうね。八重山入植はここでやるでせうね。
○冨名腰尚武君 そうなりますね。
  (城間盛善君 出席午後三時十分)
○吉元榮光君 この第五号の土地開拓事業用重機械の維持管理配置及び斡旋に関すること、これは一応運輸局とも話はついております。
  (事務局長比嘉良男君「第十二条」朗読)
○大濱國浩君 配給業務の監察というのと監査とどう違うのですか、ここも矢張り監査じゃないのかな。
○吉元榮光君 ここの業務監察というのは、業務が正しく、或は配給が適正に行われているかということを見るのであって、会計までは監査しない訳です。
○冨名腰尚武君 基準配給量を渡さないとか、或は指定した料金より高く売ってないかとか、そういったことを常時気をつけているということです。
○大濱國浩君 だから監察と監査がどう違うかというのですが…。
○冨名腰尚武君 何もなくても行って調べることも監査でせう。会計まで入りますよ。ここではそれが入らないのです。ただ業務状況が食糧局の示達通り行われているかどうか、そこを見る訳です。均量の問題、価格の問題、それは見ますけれども、その売店の内部の経営状態、そこまでは見ないはずです。
○與儀達敏君 今はそれ以上に実際に於ては厳重にやっていますがね。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後三時十八分休憩)
  (午後三時二十分再開)
○議長(泉 有平君) 再開します。
  (事務局長比嘉良男君「第十三条」朗読)
○城間盛善君 第一号の外国との漁業協定に関することの内容を伺いたい。
○吉元榮光君 これは将来南方漁業なんか開かれる場合には、協定の責任は主席が持ちますけれども、その面の事務折衝はここでやるという意味です。
○冨名腰尚武君 商工局の庶務課の外国との貿易協定に関すること、と同じ考え方です。
○大濱國浩君 第十号は運輸局との話合はどうなっているか。
○吉元榮光君 運輸局と話合になって、漁船は二重登録になりますがそれでも矢張り監督面に於ては二重登録になっても握っておかなければ非常に工合が悪いといった点から…。
○大濱國浩君 この場合は矢張り運輸局が原登録であって、ここは副登録になる訳ですね。そう解釈していいですね。
○吉元榮光君 はい。
○與儀達敏君 これは登録手数料を取られますね。漁船の管理及び記録に関することとしたらどうですか。
○冨名腰尚武君 登録手数料は船舶としては運輸局で登録して手数料を取るが、こっちの場合は、漁船としての登録手数料は取らんでせう。
○松田賀哲君 ここで取ったら二重になりますね。
○議長(泉 有平君) 休憩します。
  (午後三時二十四分休憩)
  (午後三時三十分再開)
○吉元榮光君 第十三条の第十号の漁船の管理及び登録に関することというのは、もっとはっきりさせるために、「漁船の管理及び登録について所管局との協力に関すること」こう訂正します。
  (事務局長比嘉良男君「第十四条」朗読)
○與儀達敏君 林産物の需給調整といったらその内容は…。
○吉元榮光君 需給を調整する。つまり薪炭用として余り乱伐しないように、そして市場に氾濫させないようにと、そういった内容です。
○田畑守雄君 薪炭が足りないから何処何処と払下げで薪炭させるということまでも云っていた。
○冨名腰尚武君 第一号ですが、ここは保安林を抜いてここはただ保安林に関すること、と別項にしたらどうですかね、そうすればその面の監督権は保留出来るでせう。
○與儀達敏君 助成の対象は民有の苗圃だけですか。
○吉元榮光君 公有も含まれます。
○與儀達敏君 公有は大きいですよ。公有を入れたらどうですか。
○與儀達敏君 第七号の官立公園というのは中城公園を指すのですか。
○冨名腰尚武君 第七号は全部将来にかかっています。
○議長(泉 有平君) 第十四条で訂正になったところを…。
○吉元榮光君 第十四条について少し訂正したところがありますから、第一号の「及び保安林」は削除致しまして公有林野の次に及びを挿入しまして保安林は第一号から除きまして、新たに「保安林に関すること」として第二号に持って来て、保安林に関しては造成維持管理もこれでやって行こうという風に訂正した訳であります。
 それから、順次号が一つづつ繰下がりまして、元の第六号(今の第七号)を「直営苗圃の経営及び公有並に民有苗圃に対する助成並にその技術指導に関すること」と「民有」の上に「公有並に」ということを挿入していただきます。
  (事務局長比嘉良男君「第十五条」朗読)
  (事務局長比嘉良男君「第十六条」朗読)
○與儀達敏君 肥料検査所というのは今から造る訳ですね。
○冨名腰尚武君 後の三つは今から造る訳です。
○吉元榮光君 これから肥料製造が始まりますから…。
○冨名腰尚武君 家畜衛生研究所を血清製造所と名前をつける訳にはいかんのですか。将来血清製造だけでなしに外の研究もするというならこのままにしてもいいが、畜産面も見るならば家畜研究は農業研究指導所に行くのじゃないかな。
○吉元榮光君 だから衛生というのが特に入っている訳です。これは血清を造って病気がなくなったら血清を造らんで色々と研究もする訳ですよ。
  (事務局長比嘉良男君「第十七条」朗読)
  (事務局長比嘉良男君「附則」朗読)
○吉元榮光君 この附則についてちょっと申上げますが、今案を練っておりますが、これだけでなしに琉球協同組合法、琉球森林組合法にあるところの農林省総裁とか農林省とかいう名称は、中央政府と主席に読替えるという風にして行きたいと思っております。それからもう一つは米国軍政府布令(指令カ)第二十六号の琉球食糧農業機構編成というものを廃止するということを謳うように民政府との諒解は出来ておりますが、これは今文案を練っております。
○冨名腰尚武君 第十四条の第七号の訂正をしましたが第十四条第七号の「公有並に民有種苗圃に対する助成並にその技術指導」と並にが二つ出て来ますが、上の並にを削っていいんじゃないですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○吉元榮光君 上の並にを削除していただきます。
○城間盛善君 牴触する事項というのは別な表現は出来ませんかね。
○冨名腰尚武君 これは拾い出せないのですよ。
○城間盛善君 何とか表現を変えていただきたいと思いますね。
○議長(泉 有平君) その点は委員会で考えていただくことにしまして、これで今日の本会議を終ります。
  (午後三時五十五分散会)

  出席者
   議 長  泉  有平君
   参 議  松田 賀哲君
    〃   與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   冨名腰尚武君
    〃   吉元 榮光君
    〃   大濱 國浩君
    〃   嘉陽 安春君
    〃   田畑 守雄君
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