戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1945年11月28日 
(昭和20年)
会議名
軍民協議会 1945年11月28日 目録詳細 画像を見る
議事録
軍民協議会 〔市長会・台湾疎開者・他〕

  十一月二十八日(水)午前九時。
  出席 志喜屋、松岡、又吉、前門、平田、山城、仲宗根、大宜見、安谷屋、當山、仲村、比嘉の諸委員。
  公用他出 知花、糸数、護得久(部員と協議会)
       の三委員。
  軍政府 コールドウエル大尉臨席。
協議事項
 又吉委員
  昨日の市長会議の御感想は。
 軍政府
  何にも感想はない。各隊長を動かす質問がなかった。
 又吉委員
  如何すれば成功する会議をなし得るか。
 軍政府
  市長は市民の代表であるが諮詢委員会としては市長はどう動くべきものであるか。
 當山委員
  市長は諮詢会に諮って軍政府に願ふべきものであって昨日の市長会は今までの行政から見て当を得て居ないと思ふ。
 軍政府
  諮詢会から市長会を催したいと軍政府の許可を得て市長会を開くべきものではないか。
  軍政府は然すると喜んで許可してやる。
 當山委員
  戦前の私設市町村長会も知事の了解を得、全国市町村長会も内務省の了解を得てやった。
 比嘉委員
  かくして市長を動かしたい。市長と地方隊長との意志疎通して居る所は成績が挙って居る。故に市長、地区隊長、諮詢会との意志疎通して行く様にしたい。
 又吉委員
  當山委員の意見に喜んで居る。各市長で問題を作って地区隊長にも了解し本部に通じて討議しなければ成功しないと思ふ。
 仲宗根委員
  軍政府から諮詢会に諮ったことを軍政府から各地区に如何に通達されて居るか其結果は如何になって居るかを知りたい。
 軍政府
  今の質問はよかった。諮詢会に諮ったことを軍政府の係将校に話し検討をなす。例へば地方行政や農業等の如き。
  諮詢をして案となって各地方隊長に命令し、そして諮詢会に持って来て置く。出来得れば始めからのもの持って来る。
 仲宗根委員
  市長から私的に申言した時、諮詢会で研究して、又之を軍政府に申言することが出来るが(八月十五日の宣言書に申言のことがある)。
 軍政府
  軍政府としては宣言とは別途にあって軍政府から地区隊―市長―諮詢会へとなり諮詢会は別に孤立の形にあるから市長と諮詢会と離れた方がよい。
 仲宗根委員
  諮詢会は市長の申言を通達することが出来るか。
 軍政府
  此の件は地区隊長に要旨を与へて参考資料蒐集するためならよい。
  沖縄の代表でなく諮問に答へる機関で代表機関として県民に意見を述べてはいけない。
  現在の機構は代議員と云ふ機関でない。
  軍政府は当分の問題で将来はどうなるか分らない。
 仲村委員
  段階を踏んで民政に移す様な方法はないでせうか。
  例へば市政の一部を諮詢会に移すとかの如く。
 軍政府
  軍政府としても考へて居るが未だそこまで持って行くことには行かない。
  一部々々から民政になると委員が部員として又諮詢委員としてやって行くから考へて居る。
 又吉委員
  直ぐ全面的に中央機関に移すと危険が伴ふことがある。
 軍政府
  軍政府の考へを執行せんとしても又地方の事情があるから、組織を更へることは容易でない。
 又吉委員
  町村に還元する案はよい考へと思ふ。
 安谷屋
  今の案もよいと思ふ恐らく全委員賛成と思ふ。
 軍政府
  軍政府の将校の考へも一致して或は数ヶ月後になるかも知れない。
 仲村委員
  地区隊長が一つの癌になって居る。
 仲宗根委員
  食料被服配給の機構案を作製して居るが市長に出すか地区隊長に出すか。
 軍政府
  判事の名簿は出来てゐるか。
 前門委員
  今日提出します。
 軍政府
  諮詢委員会が動かして注意してやらないと困ることがある。
  例へば南部の移動が越境者が多いと又元に帰へされるかも知れない。
  又地区隊長の許可なくして人を引抜くが如きもの。
 前門委員
  越境者が多いのはしっかりした巡査が居ないためである。
 仲村委員
  住民が早く建設せんとする熱意から斯ることが起るから軍からも斯る者には注意して下さい。
 軍政府
  住民は米軍の心情を察して貰いたい。
  数年も故郷を離れて心境が変化して居るから。
  軍政府は住民の物を取寄せたりするために非常に忙しい。
 安谷屋委員
  満腔の感謝をして居ます。
 軍政府
  住民のために責めて居るが幾多の人々が協力してやって居ることに感謝してゐる。
  海軍の憲兵に本日一時から話すが、一、親切。二、互に了解する。三、隠忍自重の三点を主眼として話す。
  取締りに来たのでなく保護に来たのである。
  来年から幸福な事情になるのではないか、又其れを希望す。
  沖縄の現状の如く、ドイツ、オランダ、デンマーク等の現状も察して貰いたい。
  (コールドエル大尉退席帰府)
 當山委員
  台湾の目下の事情につき諮詢会から軍政府に陳情して知らして貰いたい。
  米軍を渡台せしめて保護させて貰いたい。
 志喜屋委員長
  文案にするか、又ストリート少佐の来られた時陳ぶるか。
 大宜見委員
  文章を以てやった方がよい。
 志喜屋委員長
  當山委員が事情に詳しいから文案を作って貰いたい。
  バークマン隊長と其後任の歓送迎会をやりますか。
  (全委員、賛成)
 又吉委員
  職員名簿を早く作りたい。
  翻訳すべきものを早く提出して下さい。
  マネージャーを本日決定したい。
  総務部でやる仕事があったら申出ることにして下さい。
 仲宗根委員
  中央倉庫から物を持ち出す(例、椅子、テーブル等の如く)時は仲宗根部長から時間を指示します。
 比嘉委員
  今日まで農務部の仕事の経過報告。
 比嘉秀平氏
  在台湾島民救済方陳情文を朗読す(英文にて)。

  (午后二時より再会)
 安谷屋委員
  商工関係の報告及意見交換。
 當山委員
  文化関係の報告。
  文化教育と文化施設。
  (ストリート少佐臨席のため中止)
 ストリート少佐
  南洋方面視察より帰へる。
  サイパン、グァム、テニアンに二五、〇〇〇人程の沖縄住民が居る。
  沖縄人が帰郷出来るや否やは陸海軍の権限で本国に問合せてゐる。
  グァムは陸海軍の領土で沖縄人の生活もよく、ドルを運用して居る。
  産業もなく主として海軍の作業に従事して居る。
  サイパンは沖縄日本サモト朝鮮の人種からなってゐる。一五、〇〇〇人程居る。主として軍作業に従事して居る。
  サイパン、テニアンの主食糧は配給で外のものは売買して居るが金が余ってあまり働かない感がした。
  テニアンでは日本人朝鮮人が不和で相反目して居る。
  味噌、醤油を大々的に造ってゐる。沖縄もそうしたら如何?
  カマボコ、味噌、醤油、豆腐の工場がある。
 大宜見委員
  病院の経営は。
 ストリート少佐
  軍政府でやってゐる。
 山城委員
  教育は。
 ストリート少佐
  沖縄より進んで居る。
 仲村委員
  主食糧は配給で三十ドル及至三十五ドル程度。
 志喜屋委員長
  在台沖縄人の救助方の陳情書を提出す。
 ストリート少佐
  元の琉球列島北緯30度以南は沖縄軍政府下になった。
 ストリート少佐
  ムーリー大佐と話したが台湾の事情は今後七八ヶ月後は分らない。ハセ中尉が先島に行くから其調査方も頼んだらどうだらうか?
  東恩納の軍政府跡に諮詢会の事務所を置くことに内定してゐる。
  農・工・商の各組合を緊急に組織しなければならない。
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