- 組織名
- 沖縄諮詢会
- 開催日
- 1945年11月07日
(昭和20年)
- 会議名
- 軍民協議会 1945年11月7日
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- 議事録
- 軍民協議会 〔学校・移動・他〕
十一月七日(水)午前九時。
出席 護得久、志喜屋、松岡、又吉、當山、仲宗根、平田、仲村、山城、糸数、知花、比嘉、前門、大宜見、安谷屋。
軍政府 コールドエル大尉。
協議事項
軍政府
マネージャーの組織は如何にしたらよからうか。
又吉委員
マネージャー一人、書記二人、メッセージボーイ一人置いたらと思ふ。
松岡委員
今日皆に諮って明日回答する。
志喜屋委員長
保安部、文教部は生徒・教員・時間割も軍政府で決めてあるが。
水産部・工業部も軍の腹案があるか、又こちらで決めるかどうか。
軍政府
漁業は確定ではないが当分松岡部長に属するが、生徒の方は糸数部長の所で選定して貰いたい。
ゴネット少佐が担当だから松岡部長が本日行って決定す。
学校総体の事はコールドエル大尉の係だが又吉部長は二人相談したら如何です。
学校経営は経営者と生徒と、其外電気・水揚等もあるから之はマネージャーの下にあるから其人をやって貰いたい。
守衛のやうなものだが軍の土地・建物があるから住民の巡査を置いて貰いたい。又吉委員、仲村委員で打合してやったら如何ですか。
又吉委員
仲村委員と私とで打合せてやる事にする。
志喜屋委員長
何時頃から。
軍政府
本月十五日頃から。学校は十五日以後一週間の後になるだらう。衛生も考慮して貰いたい。
仲村委員
寝具の設備をしてやるか。
軍政府
其点は考へてゐる。学生が終了する毎に次々に引継ぎさせる。
食事は各部一所で取るから食堂は一つになる。
山城委員
教員の養成には生徒が入るが如何にするか。二教室の生徒は必要であるが。
軍政府
具志川で半哩の地区に住民も学校も出来るが皆御存じですか。
委員
知らない。
軍政府
教員は皆住民地区に移動させる。
生徒の募集条件は、希望者を募集する事。
山城委員
ライブラリーがあるが其れを如何にするか。
軍政府
二〇〇〇冊の本があるが各方面から集めて将来も其の通りにしたい。
コールドエル大尉午后四時を約し退席。
引続き委員のみの協議会。
教育部校長・保安部・工務部の三校長。
マネージャーは校長の仕事に喙入する事は出来ぬ。
一切の世話をやる人である。
山城委員
教員養成所について説明す。
男女六週間、中等卒と師範予科出。
教授は、英語の初歩、新沖縄の建設、地、歴。
一〇〇人募集。希望者を募り身体検査を行ふ。
通訳学校。
二十五人の二組。三ヶ月。中等卒。師範予科出。
其外英語に堪能なるもの(年齢不関)。
テストをして身体検査を行ふ。
両方を兼ねる校長を置く。
各校に主任一人宛を置く。
付属小学校を置く。
学課。
教授は沖縄地、歴等。専属教師が得らるればよいが得られなければ出張教授をやる。
通訳学校は男子のみ養成す。
教員は三人で米人も協力すと。
又吉委員
マネージャーについて腹案として、元一高女の城間朝教氏と真喜志朝睦を推薦したい。
宮里隆一氏、小使とメッセージボーイ。
将来は諮詢委員の世話も見るでせう。
仲宗根委員
宮里氏は既に私の所で働いてゐるから離せないが。
護得久委員
具志川へ移動の場合は夜間勉強出来る様な設備も欲しい(電灯の如き)。
大宜見委員
新垣太郎氏を宮里氏の代りに推したら如何。
志喜屋委員長・又吉委員
よからう。
十時頃、ストリート少佐、ハセ中尉臨席。
軍政府
質問がありますか。
志喜屋委員長
委員の皆様御質問がありますか。
学校が出来るので沖縄建設のため喜んで居ます。
今学校設立の準備で各委員とも多忙であります。
軍政府
糸数委員は水産の学校の計画をして居ますか。
糸数委員
松岡委員と二人相談してやってゐます。
軍政府
大工の学校は(建築学校の事)。
松岡委員
現在四五〇人の大工が居るが之に仕事をさせつゝ養成しやうと思ふ。
軍政府
軍政府では二つの小さい舟を修理する所を願った。
本部渡口とジャナ湾(塩屋港の事)願ひ中。
許可が出来たら沖縄の適当な人を出して米人と共に働いて設備の使用を授ける。
自動車・電気・貨車があるから其の米人を先生にやる考へである。
昨週本部半島を調査した。漁船を造る所によい。
暴風の時も避難所としてもよい。
漁舟を願って貰った。
塩屋湾を貰ふことに二案あります。
1、造船所。
2、漁船の修理所。
糸数委員
泊港にしたい。
軍政府
何故か。
糸数委員
糸満が中心となる。慶良間との関係もある。
軍政府
泊は陸軍の用地により六ヶ敷しい。糸満も然り。
然し願って南の方にする。
渡口が中央になると名護は如何なるか。
名護から中心が渡口にならないか。
比嘉委員
名護の中心は動かない。クヒンズクの港もある。
造船所もある。
軍政府
名護は戦前は如何なるものが中心であったか。
比嘉委員
学校、商業、電気の中心、又役所もあった。
軍政府
沖縄で三番目であったらう。
電気の設備は那覇・名護にあった。
各家電灯があったか。
仲宗根委員
各家あった。
當山委員
国頭郡は水力電気を福地川に準備中であったが此戦争に壊された。
軍政府
南の方は。
當山委員
安波川、比地川を加へて沖縄全島に亘って点灯する計画であった。
軍政府
三川で幾馬力あるか。
松岡委員
……馬力あった。
軍政府
計画のみであったか。
松岡委員
計画して仕事も始まってゐた。
仲宗根委員
當山、仲本両氏及私と三人で日本政府に行って機関を下付するやう願って一部分は既に来てゐた。
軍政府
電線はありませんか。
當山委員
ありませぬ。
比嘉委員
名護はすぐ使へる。
軍政府
機関はいくつありますか。
當山委員
三つあったが其の一つは米軍が恩納に持って来て使ってゐた。
軍政府
川は海岸から何哩ぐらい離れてゐたか。
松岡委員
二哩半ぐらい離れてゐた。
軍政府
電力は戦前の何倍になりますか。
松岡委員
十倍ぐらいになる。
軍政府
発動機の準備に何が必要ですか。
松岡委員
コイルは焼けて全部修理が入る。
軍政府
堤防がありますか。
松岡委員
ありませぬ。
軍政府
大きなパイプは。
松岡委員
直径三十インチぐらいなもの。
軍政府
鉄か又は……。
機関は此所で出来ますか。
松岡委員
出来ませぬ。米国に仰がなければなりませぬ。
修理のみは出来る。
軍政府
松岡様の外に電気に心得ある人が居ますか。
松岡委員
十五人ぐらい居ます。
軍政府
糸数委員は造船についての計画がありますか。
糸数委員
昨日上げました。
軍政府
何か質問がありますか。
志喜屋委員長
成るべく早く水力電気にして下さい。
軍政府
松岡委員は以前の発電気の機関を作って下さい。
水力電気も作って下さい。出来れば水力を作って下さい。
松岡委員
那覇で一キロワットが三十銭、米国では一銭五厘高い時が五銭であった。
又吉委員
日本で電気料が高い所であった。
軍政府
カンフートのタイルの工場を使ひたい。
松岡委員
セメン瓦を其のまゝ使ひたい。
軍政府
電気の問題は将来の問題です。
比嘉委員
移動はしたが農具がないで住民は困ってゐる。
農具を造る鉄工場が欲しい。鉄は元の製糖工場にある。
軍政府
係将校に説明して下さい。何が必要かを云って下さい。
比嘉委員
既に話した。
軍政府
如何なる道具が必要ですか。
比嘉委員
鋤、鍬等。
軍政府
軍のものは使へますか。
比嘉委員
スコップ等は使へる。軍のものがあれば払下げて下さい。
軍政府
問題が大きいから係将校に話して下さい。
糸数委員
本日の午后サイモン隊長と面会できないでせうか。
何日引上げられますか。
軍政府
多分十日か十五日頃でせう。
又吉委員
移動の許された所はどこどこですか。
軍政府
沖縄を二つに分けて東は陸軍、南は海軍。
一線部隊の所に行って許可を受けたい。
決定した所は今はありませぬ。
知念では八千人の建物を作った。糸満では二千五百人の建物を作った。
又吉委員
那覇はまだですか。
軍政府
越来、コザの東側に許可を得た。而し農業のみで移動はできない。首里那覇に都会を作りたいと云ふが那覇は一部分だけでせう。
首里は多分出来るでせう。
諮詢会では首里那覇を元の中心都市にしたいですか。
重大な問題である。
前門委員
軍政府としては何所に首府を置くかに日当を持ってゐますか。
軍政府
出来るだけ沖縄人の希望に副ひたい。
志喜屋委員長
よく研究してから回答したい。
安谷屋委員
壺屋は焼物の関係から早く移動させる事になってゐるが如何なりますか。
軍政府
輸送の問題である。
安谷屋委員
瓦の関係からマキシまで考へて下さい。
軍政府
マキシはまだ陸軍に許可を得て居ませぬ。
山城委員
喜屋武、摩文仁、高嶺、真壁はどうなりますか。
軍政府
糸満は陸軍で許可はまだ得て居ない。
貨車によるのであるが今米を運ぶに忙しい。
山城委員
果して出来るや否や。
軍政府
出来るだけやります。
貨車が出来るとやります。
安谷屋委員
壺屋を早く願ひます。
軍政府
出来るだけ早くします。
又吉委員
市がなくなる例へば平安座市等はどうなるか。
軍政府
政治上段々やりたい。
1、軍政府の地区。
2、市の制度。
3、元の村制度。
移動が終るまで変更しません。
村の制度を作るまで現在の通りにして下さい。
又吉委員
本部半島は田井等市か又新しく作るかどうか。
軍政府
二週間後で本部は移動が終る。地区隊長が臨時に作るでせう。
又吉委員
田井等市と別にしてやった方がよいと思ふ。
軍政府
元の村制度になると分ける。而し今は臨時であるから地区隊長の考へでせう。
前門委員
糸満地区は移動と同時に糸満市になるか。又は二つに分けるか。
軍政府
臨時のことは地区隊長の権限です。
仲宗根委員
食糧は此の前は元通りに配給することであったが輸送の関係であるかどうか。
軍政府
以前はどうなってゐたか。
仲宗根委員
一人一日二合であった。
比嘉委員
辺土名は三日間に一合一勺とのことだが。
仲宗根委員
減ったのは輸送の関係か米国から来ないのか。
軍政府
今日船が辺土名迄で行くからよくなる。
一四、〇〇〇頓の食糧を揚陸して其の3/4は米国式の食物で口に適わないかも知れませぬ。1/4は米、豆、油等である。
仲宗根委員
辺土名で一つのズボンを両股に切断して与へてゐるが如何なるものか。住民は来次第配給されてよいから切断しない様にやってくれと云ったが、目前で切られたとのことである。
(仲宗根委員、其切断物を提示す)
斯る切断する隊長をよく監督して下さい。
隊長がやったのではない。
軍政府
二人の医師が食糧について調査してゐます。
米ばかりではいけない、肉の必要分を調査して居ます。
後に肉類も配給したい。
石川で現在の配給は。
仲宗根委員
米、豆、油等。
軍政府
今はいくらですか。
仲宗根委員
米は四日ぐらい止めてゐた。
軍政府
現在の状況を調べて下さい。
各市で公平にやってゐますか。
仲宗根委員
各市で違った所がある。
松岡委員
輸送の問題だが運転手は二〇〇人程居て今一二〇人ぐらい名簿が出てゐるが出来れば早く之を試験して働かす様ストリート少佐で御尽力を御願ひしたい。
軍政府
地方隊長から許可を得て必要な運転手を使ふ色々の準備をしてゐます。
全島のことは六ヶ敷いです。
立札を読む事が出来ない。左通りである。
段々に全島に使ふ事が出来る。
今沖縄人を雑ると危険であるから。
當山委員
右通りか左通りか。
軍政府
馬車は左。
(午后二時より)
公用他出 安谷屋委員。外十四委員出席。
軍政府 ストリート少佐、ナイト少佐(Knit)(真珠湾より視察のため来沖縄)、ハセ中尉。
ハセ中尉よりナイト少佐に委員長以下各委員を紹介す。
軍政府
現在の巡査は何人ですか。
仲村委員
一二〇〇人ぐらいです。
軍政府
焼物の価額は、輸出価額は。
當山委員
昭和七年に七八万円程であった。
軍政府
瓦は。
松岡委員
輸出はなかった。
志喜屋委員長
学校の書記等は午前提示した人々でよいでせうか。
(全員異議なし)
仲村委員
(警察学校について説明す)
中央制度については未決定である。
プライス隊長は幹部の訓練からしたいと。
ニミッツ布告を知らせたい。
八〇人を二回に分けて教成したい。
資格者は従来の警察幹部、米軍上陸後巡査をした者の内中等学校卒業者及之と同等の資格あるもの。
(学校設置要項を朗読す)
志喜屋委員長
校長、教師名を明日まで書いて出す様に。
知花委員
労銀が大体極ってゐるから一応御覧を下さい(別紙刷物を各委員に配布す)
山城委員
師範学校、中等学校教諭の俸給は別になってゐるでせうか。
今迄学校長は別になってゐた。
知花委員
此の案で如何ですか。
(全員異議なし)
午后四時。
コールドエル大尉臨席、ハセ中尉臨席。
山城委員
教員養成所について説明す。
コールドエル大尉
漁業部は機械の取扱のみ教へる。
従前の免許者は認める。
仲村委員
警察幹部八〇名居るが之を二回に分けて教習す。
期間は二週間。
職員は校長共六人、書記二名。
入学資格は仲村委員推薦名簿を軍政府に提出し、之れにより軍政府は各地区隊長に選出させる。
米軍上陸後巡査して居た者も選出させる。
身体検査を行ふ。
習学中不品行及終業見込なき者は退学させる。
九十二時間中、軍政府に十八時間御願ひす。
軍政府
諮詢会の住宅や学校の生徒の住宅及食糧等は前原地区隊長の係になります。前原地区隊長が食糧又は巡査を派遣する事になる。
仲村委員
学生は若くて活動するから一般住民の配給量では困りますが。
軍政府
隊長が其の事は心得るだらう。
松岡委員
筆紙類の支給は地区隊長からか又は軍政本部からか。
軍政府
軍政本部から支給します。
仲村委員
何時から何学校から始めるか。
軍政府
全部の学校が来月一日頃から始まるでせう。
仲村委員
全部の学校一緒に出来ますか。
軍政府
出来ます。
志喜屋委員長
良先生を得るには各地区から来なければなりませぬが、それに対し御尽力をお願ひします。
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