戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1945年09月13日 
(昭和20年)
会議名
諮詢会協議会 1945年9月13日 目録詳細 画像を見る
議事録
諮詢会協議会 〔市長選挙〕

 九月十三日(木)午前八時。
 出席 志喜屋、又吉、知花、比嘉、平田、糸数、山城、仲宗根、當山、大宜見、仲村、松岡、護得久、前門、安谷屋の諸委員。
協議事項
 石川市の質問。
  一、名刺を配るのは如何。
   家庭を訪問して配るのは不可。但、郵便は可。
  一、氏名を書き教へるのは如何。
   家庭内の人のみにては可。
 仲村委員
  告示後でなければ運動は出来ない。
 各地区の選挙打合せ報告。
 又吉委員
  知念方面の報告
  順調であった。
 大宜見委員
  瀬嵩方面
  案ずるより生むは安しの感であった。
 仲宗根委員
  田井等・辺土名方面
  選挙に関し好感を以て帰へった。

軍政本部三人来会。
 丸本中尉
  大浦崎の問題は如何。
 當山委員
  本部・今帰仁方面の村長の解釈と隊長の解釈とが違ふ。之は通訳の不充分の故か。
 丸本中尉
  平安座は何時来るか。
 前門委員
  選挙用紙取りに明後日来るとのこと。
 又吉委員
  選挙当日及開票を視察したい。
 軍政府
  諮詢委員は様子を見る程度で宿泊は出来ない。
中途宜野座区域の有志来会。
 軍政府
  1、選挙長に関する件(軍政府命令とある)。
  2、役職員立候補の件。
  3、大きい区には其間に何か置かないか。

 説明
 又吉委員
  1、選挙長の問題は此案には然あるが、当該地区で決め、メーヤー多い時は選挙で決定す。
   メーヤー一人なる時はメーヤーに決めさす(今回に限る)。
  2、現在の役職員が立候補する時は辞めて立候補す。
   役職員が当選の時復職は別として、生活上補償する様考慮してゐる。
 軍政府
  役職員が立候補して辞めると軍政府は相手の役職員が居ないで困る。
 仲宗根委員
  現職員の役員は之の点について考慮すると思ふ。
 軍政府
  現職員が辞めて立つと人物は得られないと思ふ。
 宜野座地区有志(山田様)
  此案は此度に限やる否や。
 仲宗根委員
  然り。
 當山委員
  現職員が立候補すると職権乱用する恐れがあるから此案を作った。
 軍政府
  皆此場合自分を忘れ沖縄のことからとしないと考へてゐる。
  現職員が辞めれば軍政府は困る。
  現職を辞めれば人物を得られない。
 當山委員
  メド中佐の意見に賛成。
  元来現職のまゝ立候補しない様にした。
  従来の弊害より此の案に賛成した。
 軍政府
  将来はよいかも知れないが、現在に於てはよい人物が得られ、一面には軍の邪魔になる。
 仲宗根委員
  役職員が全部立候補する時、後任は得られないが、又如何なる支障があるか。
 宜野座地区有志
  1、職を辞めて立候補すれば選挙事務に支障をきたす。
  2、宜野座地区の指導者は役職員に居る。
   一面には人物の市議を得たい。
   第十条の規定は今回に限って見ないとすると事務も渋滞しないと思ふが。
  3、有為の人物は役職員に居て辞めて立候補すると支障あると思ふ。考慮してほしい。
 軍政府
  先日各区に廻る前はっきりしなかったかも知れないが軍政府としては此十条は適用しないと云ってあった。
  此際軍政府としては適用したくない。
  公の事に対して働いてゐることに感心してゐる。
  故に細いことに拘わらないことにしやう。
 宜野座地区有志(山田様)
  十条の件をはっきりして戴きたい。
  自書せざること(側で書いて呉れたら)。
  三十五条を御考慮されたい。
 又吉委員
  山田君の御質問に答へる。
  成案を急いだ為め検討の余地がなかった。一ヶ月後と思ったが十五日に切上げられた。
  大を生して小を殺すと云ふ考へである。
  慣習は選挙常識に訴へたい。
 軍政府
  又吉氏に関連して二、三日協議中であったが此案を各地区の政治部長と審議やるべきであった。軍の事情により早くなった。此案が決定的でなくて現在に行ってゐる分である。
  中佐曰く、常識的に扱はれたい。例へば両手のない者は選挙権あれば役員に頼んで投票させる。
 委員長
  役職員のまゝで市会議員及市長の人物を得るため新沖縄を建設する様平和裡に会議を進めたい。
  (四、五分間休憩)
 軍政府
  今回は立候補のため辞職は出来ない。
  命令す。
  第十条を削除す。
  命令す。
   (再開)
 議長
  十条を生すや否や。
 宜野座地区有志
  十条を委員から説明して何とか生したい。
  人民を救済するに現職まで辞めて立候補する必要なし。
 軍政府
  今の点につき中佐曰く。軍政府の意向としては現職の役人が辞めてまでも立たないことになると軍政府に支障あり。人物が得られない。故に十条は適用しない。
 前門委員
  選挙取締は如何にするか。
 軍政府
  警官も立候補し当選した後辞めると、又役員も辞めると選挙事務は如何。
  警官は例外として十条を適用してよい。
 仲宗根委員
  十条を削除すると充分なる民意を問ふことが出来るや否や心配である。
 軍政府
  中佐曰く。米国によると、ハンドキャップ等を以て望む。ハンドキャップは大きなものではない。
  軍の政治に関して司令部から来てゐるから今回は十条撤廃をすると。
  十七日に候補者に推薦された場合に事務を掌る者があれば、後任を補充することが出来るや否や。
 宜野座地区有志
  出来る。
 當山委員
  今の役職員は先着次第で人物が埋れてゐる。若し十条撤廃したら現職員の疵護になる。故に十条を生して貰いたい。
 軍政府
  十条の警察官、選挙事務に関係ある以下は生してもよい。
  区、班の職員は削除す。
  選挙長、選挙立会人、管理人を選挙に関係あると見倣す。
  それ以外は認めない。
 区長の件。
 仲宗根委員
  区の分け方は市長にある。市長が総務部と相談して区分したい。
 宜野座地区有志(新里様)
  現在の市が区になると思ふ。
 軍政府
  名称の問題である。区、班に中間機関を置いたら。
 仲宗根委員
  例せば惣慶なら之を二、三区に分つ。
 當山委員
  中間機関は事務に簡捷ならず。
 軍政府
  或所には自然的の団体を構成してゐるから一区がよい。
 仲宗根委員
  石川市は一区になって市区になるか。
 軍政府
  一の自然的の団体であるから名称には不拘。
 又吉委員
  今度の機構は沖縄の行政を統制するにある。
 仲宗根委員
  惣慶、福山は区よりも市を置いたら如何。
 軍政府
  十条の点をはっきりします。
  適用しない。十条全部適用せず。
  1、現在の役員が選挙長を選ぶ。
  2、選挙に関する役員が投票権を有する者の名簿を作製す。
  3、推薦者は三十人以上の有権者とす。
  4、市議選は九月二十日単記投票とす。
  5、最高点から順次に当選者とす。
  十条の選挙長、管理人、立会人は立候補出来ない。
  三十一条の六は削除す。
  養老院も投票す。

委員打合事項
 一、委員は推薦者ならざること。
 二、委員は立候補せざること。
 三、全委員投票すること。
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