戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1945年09月10日 
(昭和20年)
会議名
軍民連絡会議 1945年9月10日  目録詳細 画像を見る
議事録
軍民連絡会議 〔地方行政機構〕

 同日午后二時より軍政府との協議会。
 軍政府側 四人。
 委員側 仲宗根、大宜見、山城、平田、護得久、知花、前門、比嘉、安谷屋、仲村、又吉、志喜屋、諸委員。
軍政府
本日は軍政府に重要件があって会合す。
米軍上陸以来今日まで多数の将校を以て種々の方針を建てゝ居た。
此の方針には激変あり。軍の将校を少数に切下げることになった。
其の理由は、
 1、日本・朝鮮及其の他の方面に将校を要求してゐる。
 2、沖縄の方々が協力して行政等を処理する上に充分なる資格を持って居ることを認めて居る。
 3、沖縄の機構を委員に任した方が速進できると思ふ。
 4、食糧等は米軍で供給するが、其の分配は諸君に任ずることになる筈。
 5、具体的に云へば各区域に五十人の将校を置いたが之を二人に減じ中一人は地方行政、他の一人は物品を取扱ふ将校を置く。
 6、之に依って総務で議した行政を早く作り上げなければならない。
 7、今朝も二区の部長はメド中佐に会って直ちに作って下準備をしなければならないと云ってゐる。
 8、明朝は二組に分れ地方部長とメーヤー等と相談する為め、
  一組は瀬嵩方面、此所にはメド中佐、エレン大尉が行く。
  メド中佐の通訳として松岡幹事同乗す。
  一組は南部(前原、知念区)丸本中尉(三人の便乗が出来る)。
 9、今日は急いで地方行政機構について協議を進めたい。
 10、軍政府本部の人員が少なくなっても全島の代表機関を急ぎ作る必要がある。
 11、之れ迄での慣例と現在の必要についても協議を進めたい。
 12、現在の北に於ける居住地域以外に沖縄の者が移住出来ると云ふ見通しは出来ると思ふ。之れに対しても考へて貰いたい。
 13、移動が実現した場合、新しい所にも適応するや否やも考へられる。
 14、移動の問題に考慮することは、軍政府の指示なくとも極力進めて貰いたい。
 15、軍政府は存続して全体の監督をなす。
 16、物品の輸入分配は軍政府で監督し委員会と協議して否決する事あるべし。
 17、此の問題につき今後協議を進めることにし、それで皆様に任すと云ふことである。
 18、故に之に関連して思ひつくことは、
  a、警察について
   之に関して軍政府の意見が相応しくなければ此所で立案せよ。而し保安部の許可を得なければならない。
  b、経済通貨問題について協議を進めよ。
 19、以上の事なる故委員で積極的に協議を進めたい。
 20、人物を呼ぶかに懸念するが軍政府で出来るだけ世話をする。
仲村委員
 先日の立場を離れて警察問題を計画するや否や。
軍政府
 然り。而し先日やったことがいけないと思へば理由をつけなければならない。
 21、皆様が協議を進めるについて、観念してゐることで総て統一が取れる様にして、別個の問題にして進めない様にして貰いたい。
 22、国際法上の原則として米軍の方針、利害に関しないことにして沖縄従来の慣習を尊重する協議を進めたい。
 23、既存の機関機構については日本の規則に押へられて出来なかった沖縄の慣例等のよいものは生してよい。
 24、此等が如何になるかと云ふと委員会及最高機関にしては承認と権利を与へられるかも知れない。
 25、皆様に一つのニュースとして新聞記事より採って報告す。
  a、沖縄の帰順は云へないが、米国海軍省としては太平洋に九ヶ所の基地を置き其中に沖縄も含まれてゐる。
   海軍委員は此を支持し、又大統領も之を支持してゐる。
  b、海軍省は公式に其の方針を採ってゐる。而し議会では未だである。公式でなく非公式であることを云って置く。
  c、モードック中佐曰く、海軍省の意見が若し通れば中城方面外にも数ヶ所使用するかも知れない。其の方面の人々は外に住む考へでなければならない。
   首里、那覇は見通しがつかない。
  d、何所に住居したいと云ふ事を早く軍政府に請願せよ。
  e、モードック中佐一人の意見として中城湾は軍港、那覇は商工方面になる。那覇の復興も考へられば考へて欲しい。
   海軍根拠地としては多分中城湾らしい。帰属問題の期限は見通しがつかない(平和会議による)。
   平和会議は第一欧州戦争に鑑み相当期間を置いて開かれると予想される。
丸本中尉
 若し予想通り平和会議が延ぶれば今日から沖縄の行政が如何と沖縄人の意向が如何にかと考慮に入れられるだろう、と個人として思はれる。
軍政府
 総務部と協議を進めたい。
 それについて委員全体に協議したいことがある。
 市長選挙は市会で三人推薦して一般有権者の投票によるとあるが、之は従来通り市会で選挙しては如何?
大宜見委員
 党派を作る恐れあり。
仲宗根委員
 市民の意の如くならざる市長が出る場合がある。
 市議員が不断買収的に陥り易い。
軍政府
 安定した社会には党派もあらん。余り安定しない社会に又余り遠くならない中に変化するかも知れない。早く機構を急ぐ時には従前の通り市長は市議に選ばしては如何?
前門委員
 市長選挙は一ヶ月を待つや否や。
軍政府
 一ヶ月も待つと思ふ。
 市会議員を選んで市長を選ぶには何日かゝると思ふか。
前門委員
 日本は市会議員のみに市長を選ばす為めに弊害があった。
軍政府
 何日かゝると思ふか。
仲宗根委員
 一週間に出来ると思ふ。
軍政府
 今日から始めて市議選挙するには十日かゝる。それから七日にして市長を選ぶ。
 困ったことには軍政府の将校が減ずるかも知れない。軍政府の地方部長が共にメーヤーと話す期がない。
仲宗根委員
 現メーヤーと話したら如何。
軍政府
 例せば辺土名なら十一名の区長を呼んで相談しなければならない。然らば三日間中に市議候補の推薦其の引続き四日後に市議選挙を行ひ、後引続き四日目に市長選挙を行ふことが出来るや否や。
仲宗根委員
 配給所より班長に名簿を作らせば出来ると思ふ。
當山委員
 名簿の作製は出来る。
 灯火を許して貰いたい。
 一気呵成にやる方却而効果的ならん。野心家の続発を防ぐことが出来る。
軍政府
 然らば約束は出来ぬが斯る仕事に従事する人の灯火は十時頃迄ではどうだらう。
護得久委員
 選挙告示するなら移動を中止したら如何。
委員長
 各班長が有権者を集めて此等は有権者なりと決定し申告す(配給簿による)。
全委員賛成す。
山城委員
 やれば出来ぬことはないが余り混雑すると住民に悪感を与へるから十五日にしたら如何。
仲村委員
 告示から十日目に市議選挙、五日間に市長選挙する。
委員長
 十五日に延ばして貰いたい。
軍政府
 出来るだけ早くして貰いたい。
 地方部長と相談しないとはっきり出来ない。
 安谷屋委員
  投票用紙を軍政府より供給されたい。
 軍政府
  明日瀬嵩、知念、前原方面に行くから各部落のメーヤーに選挙名簿の作り方等を知らさなければなりません。
  県民の意向が如何になってゐるか。
地方行政案「印刷係」
 又吉、山城、松岡、津嘉山。
明十一日、知念方面行
 護得久、比嘉、安谷屋の三委員。
瀬嵩方面行
 仲村委員。
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