- 組織名
- 沖縄諮詢会
- 開催日
- 1945年09月07日
(昭和20年)
- 会議名
- 専門部委員会 1945年9月7日
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- 議事録
- 専門部委員会 〔食糧・戸籍・選挙・他〕
九月七日(金)午前八時半。
出席 仲宗根、護得久、糸数、仲村、平田、又吉、知花、志喜屋、松岡、大宜見各委員。
松岡委員協議中途より公用他出。
知花委員
1、昨日労務隊長の話によれば、戦前の庁員を呼ぶことは急に出来ぬから専門委員に計れとのこと。
2、労務は男女に如何なる仕事が適当か。
松岡委員
軍政府に、土木工事に物を運搬せしめたら如何。
仲村委員
重労働は男子に、軽労働は女子にせしめたら如何。
知花委員
石川市に於ては十五ヶ所に男子は軍工事、女子は洗濯に。
松岡委員
戦争も終了したから農耕事に当てたら如何。
知花委員
十六年以下の男女の仕事を分けるに如何にすればよいか。
糸数
本県の美術工芸の技術を更正する為め、パナマ帽の編方、又、貝細工等の家庭工業を設けたら如何。
仲宗根委員
田井等地区では新城氏が現にやられてゐる。
漆器については山田有幹氏が考案してゐる。
知花委員
何歳から働き得るか。
仲宗根委員
学齢児童は免除したい。
知花委員
通貨が使用される場合、若い男女の労務は如何なるものが適当か。遠方に出かけて働く労務者に不平なきや否やにつき、石川市に於ては不平なしと云ってゐる。
仲宗根委員
日曜を設定すること。若し日曜日が設けられなければ毎月二回の休業日を設くること。
知花委員
沖縄の一日の労務時間は。
仲宗根委員
八時間。
知花委員
食糧の分量は如何。
米一合五勺は十オンス、三合五勺では一、五三〇カロリー。
大宜見委員
労働者は二、〇〇〇カロリーから二、五〇〇カロリー。一般人は二、〇〇〇カロリーあればよい。
妊産婦は二、二〇〇カロリー。一人当り一、五三〇カロリーを下ってはいけない。
全太平洋のセンターでやってゐる。
現今一、五〇〇カロリーを摂取してゐる。後ビタミンを補給すと。
以上米政府の調査。
米一オンス(二五瓦)九九カロリー。
一合五勺は十オンス。(九九〇カロリーで約一、〇〇〇カロリー)。
労働者は米二合に缶詰一個と野菜がつくと充分である。(満腹の感はない)
知花委員
弁当は適当なりや否やにつき缶詰のときはよくも、ボール箱入れのものは不足を感ず。
大宜見委員
米一合五勺のみよりは一合にお汁かオカズかがよい。労務者には塩分が必要である。
又吉委員
之から地方行政につき協議したい。
市長等の選挙について、
○中途より軍政府側四人出席。
軍政府
分散家族について。
仲宗根委員
分散家族の結合、分散家族の住所を判明する件。
軍政府
中央にも家族名簿を作り、其家族を調査することが出来るや否や。
仲宗根委員
出来ると思ふ。
軍政府
各部落に二通作らして一部は社会事業部に置くこと。
仲宗根委員
各部落の戸籍簿は移動が済んだ時に一通を置くことにする。
軍政府
1、中央に各部落の戸籍簿を纒めることを各隊長で希望してゐる。
戸籍簿を中央に置くと何処に如何なる人が居るかを軍では知りたい。
2、市の役員に通知せず移動する者がある。住民が何処から何処に行ったか中央では知らない。
中央登記制に関心を以て居ることは社会部である。何故なれば分散家族を結合させたい。
仲宗根委員
居住不明の家族はカード式に調査させて中央に集め、其カードを符合させて調べる。
軍政府
各部落で死亡せる家族も調査する考か。
仲宗根委員
然り。
又吉委員
国頭村と大宜味村とは分離させたい。
軍政府
軍政府では一地区にしてあるから分離することは出来ない。
理由は戦前の両村よりも地域が小である。
現在の十六区も変化するかもしれない。
将来現在の様に軍政府が区域を設けてあるから其れに従ふ。
軍政府では、
知念、前原、古謝、石川、漢那、宜野座、古知屋、大浦崎、瀬嵩、田井等、辺土名、粟国、伊平屋、平安座、久米島、慶良間、
以上の十六区に分つ。
軍政府
選挙権を二十五才以上の男女に与へた理由は如何。
又吉委員
全委員で女にも自覚を促した方がよからうとのことで決定した。
軍政府
之には区長を置くとあるが、任期及選挙もないが如何?
又吉委員
区長は職員であるから市長が任命する事になる。
軍政府
例せば辺土名地区に各区がある。其の区長は全部市長の任免であるか。
又吉委員
然り。任命するには其の地区の人々の意を聞いて却而選挙よりもよいと思ふ。
軍政府
非公式に聞くとは如何にするか。
又吉委員
市の助役、役員等に聞けば分かる。
委員
班長は班員で選挙し、区長は班長で選挙する事に訂正す。
軍政府
然らば新しい機構を施行するに、
1、二週間前に市会議員の選挙告示。
2、市議候補者は有権者三十人以上の推薦による。
3、市会議員の選挙。
4、市会議員が市長候補三人を推薦す。
5、一般有権者の投票により市長を選挙す。
6、助役以下の役職員は市長之を任命す(但区長・班長を除く)。
次は市長と助役・役員に於て班の区域を定めなければならないだらう。
委員
班は人口一〇〇人内外を以てす。
軍政府
如何なる班に如何なる人物が居るかと云ふことが分かるや否や。
委員
班の区域を定めるには現在のメーヤーが定める。
軍政府
其れは出来ないだらう。
市長と他の役員で班の区域を定む。新役員に任ず。
各班に於て班長を選ぶとあるが非公式にやるや否や。
委員
投票にする。
軍政府
区長は班長が選ぶ。
市に於ては諮詢委員と貫通する者が居るや否や。
委員
居る。
軍政府
区には如何にするか。
委員
区は地域及人口等を考へ、区に区役所を置き、書記若干名を置く。
区長は職員を任命す。
軍政府
例せば役員が無能なる場合如何に解除するか。
委員
市長は市議から諮詢会に上申し更に諮詢会は之を調査して軍政府に上申す。
過半数の市議の議決により陳情す。
区長の場合は班長過半数の議決により市長に陳情す。
市区の役職員は市区長に任ず。
班長は班有権者の過半数を以て区長に申し出で、区長は申出が適当と認めた場合何時でも選挙を命ず。
軍政府
選挙に関し不正のことが起らない様に防ぐ方法は如何。
委員
投票及開票の時立会人が居る。
従来の選挙法を参酌して立案したい。
別に細則を設く。
軍政府
第二次、第三次に於ては機構が出来て居るが、最初の立会に於ては如何にすべきか。
委員
立会人は各候補者から出す。
選挙長は各地区に於て諮詢会に推薦して軍政府に上申す。
軍政府
従来の選挙に不正があったかどうか。
仲村委員
相当あった。情実、買収、饗宴等。
軍政府
米国では不正行為は公に行はれてゐる。買収、脅迫、代理投票等。
選挙に警察と関係ありや否や。
仲村委員
大いにあり。例せば個別訪問、其の他の取締について。
軍政府
外に討議するものがあるか。
平田委員
区長を市長が承認する必要なきや否や。
委員
市長の承認を得。
班長は市長に届出でゝ承認はいらない。
軍政府
区長、市長が全然合はない場合如何に処置するか。
区長不信任の時は市会に訴へ過半数の時解任す。
行政機構を完成する迄に各地区に行って現在の機構を調査して来ること。
仲宗根委員
此の行政機構案を各地区の隊長に聞くことありや否や。
軍政府
各隊長の意見を徴する必要あり(此案を見せる)。
明日の諮詢委員会は中止。
選挙長は諮詢会に於て推薦し、軍政府之を決定す。
管理者も然り。
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