戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1946年04月17日 
(昭和21年)
会議名
経済小委員会 1946年4月17日 目録詳細 画像を見る
議事録
経済小委員会 〔銀行・予算・通貨制〕

  四月十七日(水)午前九時。於・食堂。
  経済小委員会。
  出席  志喜屋委員長、糸数、仲宗根、當銘、玉城、比嘉、松岡、安谷屋、護得久の諸委員。
  軍政府 ワイズ中尉外二名。
諮詢事項
 軍政府
  農業組合の機構を二週間内に決定する事。
  経済部門の職員も早く決定する事。
  安谷屋、玉城、糸数の三部長も早く機構と職員を整へる事。
  銀行関係の準備も計画して居るか。
 護得久委員
  私としては人員の配置其外一切準備して、スロール氏に提出した。
 軍政府
  提出されて居るが請求をドシドシやるやうに。
  支店を先島、大島に置く考へはないか。
 護得久委員
  大島には多分鹿児島興銀がある筈だ。
  先島には支店を置かして貰いたい。
 軍政府
  先島の支店を出来るだけ早く準備して貰いたい。
  支店を置くと中央銀行の資金を増さなければならないが。
  支店の重役は先島の代表から出すか、又は本島で増員してやるか。
 護得久委員
  増資せず運転資金で融通したい。
 軍政府
  増資しなければ先島にも割当等も研究して貰いたい。
  経済委員各位は北緯30度以南も経済を包含することを前提の下にやって貰いたい。
  漁業等は先島も水産連合会によって行く可能性が見える。
  先島が水産連合会に加入する事を念頭に置かれたい。
  算盤五〇〇個入手出来るや否やは疑問である。
  本島にある算盤を集める方法はないか。
  予算編成は護得久委員まで出してあるや。
 護得久委員
  私の方から予算編成の形式を上げて各部から提出する事になって居る。
  目下忙しいから来週位からやります。
  五月一日から支払すると軍政府としては五月一日前に人件費を承認を得ないといけないが。
  労務から出た俸給は諮詢委員としてあったが、執行機関になったから、知事副知事も出来たから如何なるか。
 軍政府
  部長になっても元の俸給でよいではないか。若しそれで不承諾なら労務部で研究して貰いたい。
  各連合会長等の俸給が以前の俸給令に従って居ないものは追加して認めて貰いたい。
  當銘労務部長の案は諮詢会に諮る事。
  護得久財政部長は後十日間に予算を引受けなければならない。
 護得久委員
  引受けます。
 軍政府
  各部の予算。
   例、工務部は地方に多数居るが如何なるか。
    切りつめるだけ切りつめる。
 松岡
  切りつめるだけ切りつめて仕事の出来ない場合は如何するか。
 軍政府
  仕事するだけの理由を付して貰いたい。
 護得久委員
  市町村の予算は五月にして貰いたい。
 軍教府
  市町村の予算は軍政府とは関係はない。
  故に期限を付す必要はない。
 護得久委員
  市町村の吏員数を早く決定しないと、町村の予算が編成されない。
 糸数委員
  市町村を離れた倉庫は商務部に属せしめる様に願ひたい。
  即ち市町村に行くまでの倉庫は商務に属して貰いたい。
 軍政府
  それでよろしい。
  各務斯る不明のものは研究してから進言して貰いたい。
  教員、局員、裁判、警察は軍政府の負担になる。
  五月一日から通貨を実施するには忙しくなるが之を決定するや否や。
  念を押して置く。
  之を決定したら如何なる事が来ても実行するが。
 全委員
  異議なし。
 軍政府
  労務規定はそれでよい。
 仲宗根委員
  生活費に関する件を提出す。
 軍政府
  六月一日から販売するから町村で販売の出来る様に準備して置かれたい。
 糸数委員
  本日から調査に行きます。
 軍政府
  店の位置は現在の配給所を移し得る可能があるや否や。
 糸数委員
  それを調査して居ます。
 軍政府
  開店すると簿記の必要もあるから準備されたい。
 護得久委員
  住民は六月一日から物品を自由に買へるものと思って居るから販売品を或程度増して貰いたい。
  物がないと自然に物々交換になり却而逆効果が来る恐れがある。
 軍政府
  軍政府としては輸入品、当地生産品を検討してインフレー策を防止して居る。
  例、最小限度の必需品はあるが、間に合はないためインフレー策は防止して居る。即ち賃銀等の決定はそれである。又其外に防止策があったら考へて貰いたい。
 安谷屋委員
  糸数部長の販売規定は先島にも通用しますか。
 糸数委員
  当分であるから通用しない。
 護得久委員
  先島の経済は何時頃から本島と同一に置かれるか。
 軍政府
  物が買ひにくくて闇行為が出来る場合は賃銀は決定して居るが現金を抑制するか。
  又税金を以て抑へるか、金銭を余分に持たさない様にしたら如何?
 護得久委員
  物々交換になる時は通貨は役に立たない事になる。
  故に通貨の量と物の量と両々相俟つ様にやって貰いたい。
 軍政府
  取締は商務部で研究し、賃銀関係は労務部で研究して諮詢会で検討して貰いたい。
  労務部でも賃銀や闇行為の取締を研究されたい。
 軍政府
  先島の経済統一は出来るだけ早くやる。
  大島、先島、本島の物の交換が出来る時物価も違ふ。
  先島の経済統一は一ケ年後か見透しがつかない。
  将来は沖縄の物価が騰る事は当然である。
 軍政府
  今のワイズ将校の意見に対し批判はないか。
 全委員
  異議なし。
 玉城委員
  水産部としては宮古を早く水産連合会に統一したら魚類の補給に便利なると思ふが。
 軍政府
  問題が複雑化し、宮古は物価は高いから魚を移入しても購買力があるや否やであるから相当の日数を要するだろう。
 安谷屋委員
  故に同じ経済機構でなければならないから早くそれをやって貰いたい。
 軍政府
  同一機構にやらうとすればそれは軍政府の命令になるが、物価の開きがあるから早急にはいかない。魚は本島で採ったものは本島に売る、売上げた金は預金にし、其金を宮古に持って行かない様にしたら如何?
  研究して貰いたい。
  宮古から来る魚は宮古の価値で軍政府が買ひ取り住民に沖縄値で売り其差額は軍政府が補助するか沖縄が補助するか?
 松岡委員
  宮古の経済統一は軍政府の命令により明日からでも出来るのではないか。
 軍政府
  宮古は一ケ月前に軍政府を置いてあるが混乱状態であるから準備をして行かなければ出来ない。
  先島方面の貿易は五月一日から開始した方がよいではないか。
  五月一日以降安谷屋部長の方は個人経営に移す可能はないか。
 安谷屋委員
  当分は官営にしたい。
  名護、糸満は個人経営に移し得る可能があります。町営にしたいとの事である。
 軍政府
  安谷屋部長の生産工場は個人経営か官営かを書類を以て提出して貰いたい。
  其書類は何日頃出来るか。
 安谷屋委員
  来週の水曜日に提出します。
 比嘉委員
  農業組合が四十八出来るが帳簿用紙類を世話して貰いたい。
 軍政府
  係将校と相談して見る。
 當銘委員
  病院及び地方庁の給料及被服等の予算は如何なるか。
 軍政府
  研究して見る。
  元県費で支出した分は軍政府の支出と見てよい。
  医者は元如何にして支払って居たか。
  衛生、病院は軍政府で、村経営の病院は村の支出である。
  地方総務は誰が雇ふて居るか。
 仲宗根委員
  地方総務は住民のためでなく軍政府のために置いてあるとワッキンス少佐は云はれた。
 軍政府
  地方総務も軍費になるだらう。
  原則として軍政府の負担だらう。差支へはない。
  ワッキンス少佐に質す事にする。
 糸数委員
  今は倉庫に隊長が居るが販売制になると隊長が居なくなるや否や。
 軍政府
  配給係の将校に連絡する必要はない。
  軍政府の係将校に連絡すればよい。
 護得久委員
  色々の要件でローレンス少佐及ワイズ将校と会ふ必要があるから随時訪問を許して貰いたい。
  (軍政府将校帰府)
 護得久委員
  豊見城村長から紙幣交換につきての陳情を説明す。
  伊良波部落で纒めて置いた紙幣を焼いた。 (十二日)
  五九、三〇〇余円の中約三分一は焼失。
  焼失の分も何等かの方法で救済して貰いたいと。
  警察方面とも連絡を取り調査と陳情とが一致すると救済したい。
 糸数委員
  例にならない様にしたい。
 護得久委員
  此の件限りにします。
  農業組合規定に対し疑問の点質問の件。
  利息及アルコール製造等銀行と触れる所があるから其点を御考慮願ひたい。
 比嘉委員
  軍政府からの命に依り作ったが、日本の農業組合にあったものである。
  金融は集貨して販売し零細な金を預金する意味からである。
  金融機関を銀行ばかりで壟断することはいけないと思ふ。
  アルコールであるが企業の自由を有つべきである。
  自分で以て加工すべき事を考へなければならない。
  酒の専販は暫定的で私は専売は不賛成である。
  専売法も決定しなければならない。又税法も作らなければならない。
 護得久委員
  各部門執行機関になるが重大件が起る時軍政府のみで決定してよいか否か。
  暫定措置なる事。
  従前の通りやるとすればアルコールは自由意志では造れないが。
  重要問題を軍政府隊長とのみ協議して決定してよいか否か。
  諮詢会に諮る必要はないか否か。
 仲宗根委員
  此の問題は金曜日の午前九時から全委員会を開く事にしませう。
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