戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1946年04月10日 
(昭和21年)
会議名
経済小委員会 1946年4月10日 目録詳細 画像を見る
議事録
経済小委員会 〔人事・賃金〕

  四月十日(水)午前九時。
  経済小委員会。
  出席  志喜屋、松岡、仲宗根、玉城、糸数、當銘、比嘉、護得久、安谷屋の諸委員。
     但、玉城水産部長、當銘労務部長両人は各該部長として。
  軍政府 ローレンス少佐。
諮詢事項
 軍政府
  財務部の頭取以下職員の人選は出来ましたか。
 護得久委員
  取締役及監査役五人は諮詢会の承認を経ましたから本日午后二時に提出します。
 軍政府
  高橋氏も参加して居るか。
  沖縄に居る考へか。
 護得久委員
  高橋氏は沖縄に居ると云って居ます。
 軍政府
  それでよろしい。
 軍政府
  経済部門の職員の未提出の分は早く提出して貰いたい。
 安谷屋委員
  私の所は一人は金曜日に来る事になって居る。
 軍政府
  水産部は如何なって居るか。
 玉城部長
  私の所は二、三日中に出来ると思ふ。
 志喜屋委員長
  各部纒めて月曜日に提出する事にしたら如何ですか。而して早く出来た部は早く提出する様にと。
 全委員
  異議なし。
 軍政府
  労務部はワッキンス少佐に属するものもあるからワッキンス少佐に提出する様に、仲宗根、當銘両委員に賃銀を作るべく云ったが如何なったか。
 當銘部長
  労務の分は出来ましたが諮詢会に諮って後提出します。
 軍政府
  物価公定値の規程は出来て居るか。
 糸数委員
  出来て居ます。
  何時発表するか伺ひたい。
  月曜日に提出します。
 軍政府
  労務規程は出来ましたか。
 當銘部長
  出来て居ます。諮詢会に諮ってから提出します。
 軍政府
  財務の輪転機は一時借りるのか。
 護得久委員
  永らく使用させて貰いたい。
  ペン軸、及び算盤五〇〇個を御願ひします。
 軍政府
  宮本氏が昨日酒造させてくれと来たが護得久委員に権限は移ったが如何したのか。
 護得久委員
  高嶺工場の糖蜜が封されて居るので之で作らしてくれと来たから、私としては各地区別々に造るのはいけないから待つ様にと云って置いた。
 軍政府
  製材所の各分担を提出する様にして貰いたい。
  軍政府から製材所を提出するから各部に分ける様にして貰いたい。
 軍政府
  クワンセットは労務、水産、商務、工務の四部門。
 軍政府
  市町村営の店として決定したが当分は市町村経営にして後個人商人に移す事にしようではないか。
 糸数委員
  市町村営から民間に移すのが困難ではないかと思って申し上げた。
  而しそれで結構です。
 軍政府
  市町村営を民間に移す事は困難だが而し其処に働く人は将来個人経営せんとする人が当るだらう。
  現在配給所に働いて居る人は過去の個人商ではないか。
 糸数委員
  而し現在の配給所に過去の商人は少ない様である。
 軍政府
  過去の商人を主眼としなければならないから諮詢委員又は市町村に可然通知を軍政府から発する事にする。
 比嘉委員
  伊平屋、久米島は配給所はないが如何なるか。
 軍政府
  本島と同時に行ふ。
  本島に含まれて居るから。
 糸数委員
  店は六月一日から市町村営でよいが救済は現金でやって貰いたい。
 仲宗根委員
  救済部では現金よりも現物でやりたい。
  切符制にして利潤まで付けて置く。
 軍政府
  ワッキンス少佐の部分は判然としないが其通り進みつゝある。
  救済部面には利純を付けないのが当然である市町村費の不足分は軍政府が補助するから同じことになる。
  市町村に商務課があるや否や。
 糸数委員
  六月一日から商務を置かうと思ふ。兼任でもよいと思ふ。
 仲宗根委員
  市町村の課数は諮詢会で検討やりたい。
 軍政府
  各部の予算を二週間程で作製の予定であったが如何なったか。
 護得久委員
  現金が来た為め(紙幣の交換)忙しくて中止したが又早くやります。
 軍政府
  本日午后の会合で各部予算は護得久委員に提出すべく全委員に伝へられたい。
 安谷屋委員
  私の工場の予算は如何なるか。
 軍政府
  安谷屋委員の部門に編成提出する事。
  水産部も然り。
 軍政府
  市町村の予算につき、公営の商店を経営すると雑収入もあるが而し予算は如何にして作製するか。
 仲宗根委員
  市町村で財源を調べ諮詢会で諮ってやりたい。
 比嘉委員
  市町村に財源がないから困る。
 護得久委員
  歳出を提出すればよいと思ふ。
  今暫く考へさせて貰いたい。
 安谷屋委員
  蓆工機具師が田井等市に居るが此人を糸満に呼びたい(嘉数氏である)。
  石炭の入手方法を講じて貰いたい。
 軍政府
  石炭の使用量は分って居るか。
 安谷屋委員
  大体分って居る。
 軍政府
  使用量を提出する様に。
 安谷屋委員
  元のブタノール工場に相当の石炭があるが之を使用して可なるや否や。
 軍政府
  石炭の必要な部門は各部で使用量を纒めて提出して貰いたい。
 軍政府
  財務部の銀行運営のための車は何台か。
 護得久委員
  現金交換のためジープ三台、トラック三台を今月中貸して貰いたい。
 軍政府
  必要なら永久に貸す。
 護得久委員
  銀行と銀行との電話が欲しい。
 比嘉委員
  七月頃から精米機が必要であるから、日本から取寄せて貰いたい。
 軍政府
  日本と沖縄との貿易が禁じられて居るから望薄ひ。
 護得久委員
  久米島の仲里・具志川両村長の陳情につき。
  具志川村長の話によると、軍政府が当地を引揚げる時残した物品を売上げて七万円を得之を以て役場吏員、教員、巡査の給料に当てたが残り少くなったが四月から如何にして村費を維持するか。
  仲里村長の話、具志川村と同様に昨年十一月以降軍政府の与へた物品を売上げ十三万円を得、之を教員、吏員、巡査三十四名の俸給に充当三月迄で凡そ八万円支払ひ(八万円の中一万円は学校建物費及び雑品購入)残金は五万円程で之を四月に繰入れて行く。
  五万円は六ケ月の予定である。
  俸給は戦前の俸給額である。
  従来の通り課税もしたいが如何ですかと。
  私(護得久委員)としては私一人の問題ではない、農務、商務、労務の関係もあるが、之等の事が安定しない限り課税は出来ないだらう其部とも相談したら如何ですかと云って置いた。
 軍政府
  護得久委員の意見は当を得て居る。離島を本島と区別するか又は同一にするか。
 護得久委員
  本島と同一にやって其後の事は方法を考へる事がよくはないか。
  生活困難者は救済をやって貰いたい。
 軍政府
  市町村の予算に仲里、具志川両村も入れる。
 護得久委員
  私の意見の通り仲里、具志川も本島と同一に行ってよいか。
 軍政府
  五月一日から賃銀制にしてよい。
 比嘉委員
  久米島、伊平屋の経済事情を本島と同一にしないと種子物、畜産等を移入しなければならないから経済機構を本島と同一にしたい。
  護得久委員に賛成である。
  大島、先島、徳ノ島から家畜の移入したいから早く貿易を開始し経済機構も本島と同一にされたい。
 軍政府
  比嘉委員の意見の通りだが、大島は最近沖縄と同一(軍政府下に在る)になったので早急には出来ないが他日は然る可くなる。
 仲宗根委員
  私は経済と関係はないが経済小委員会にオブザーバーとして出席させて貰いたい。
 軍政府
  生活等の関係もあるから小委員会の委員として出席して貰いたい。
  (軍政府帰府)

  (午后一時)
  出席  志喜屋、又吉、松岡、山城、仲宗根、安谷屋、糸数、前門、比嘉、平田の諸委員。
      玉城、當銘両部長。
  公用他出 護得久、仲村、當山、大宜見の諸委員。
協議事項
 松岡委員
  商務部の海運課長を提出して貰いたい。
 糸数委員
  比嘉氏を推薦したい。
 全委員
  異議なし。
 當銘部長
  軍作業労務者一時間制の賃銀制につき(別紙)。
  仲地書記に説明せしむ。
 仲宗根委員
  民間が雇入れる時雇主から一時間程で従事断る時は全日の給料を支払う。
  俸給者は其月に辞めた時は其月の俸給を支払ふ。
 松岡委員
  本人が(俸給取)申出て辞めた時は其日まで支給すと。
 仲地書記
  普通労務賃銀につき説明す(別紙)。
 全委員
  異議なし。
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