戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1946年03月26日 
(昭和21年)
会議名
経済小委員会 1946年3月26日 目録詳細 画像を見る
議事録
経済小委員会 〔水産・酒造・通貨・物価〕
  三月廿六日(火)午前九時。
  出席  志喜屋、護得久、仲宗根、安谷屋、比嘉松岡、糸数の諸委員。
  軍政府 ローレンス少佐(中途より)、ペリュー外二名。
諮詢事項
 軍政府
  来週から毎水曜日午前九時から経済小委員会定例会議を開く。
  会場は諮詢会堂に於て。
 軍本部
  本部渡久地を米海軍から沖縄住民に経営させる事になって居るが、渡久地に於て個人でやるか海軍から監督の下にやるか(護得久委員、官営か民営かの意味でせう)孰れの監督がよいか即ち水産連合会が経営するか、水産部が経営するか。
 糸数委員
  私としては水産連合会でやりたい事を係将校に答へたが監督は諮詢会と軍政府でやった方がよいと思ふ。
  諮詢会水産部で経営するや否やを皆様に御諮りしたい。
 護得久委員
  責任部長の意見に任したら如何です即ち水産連合会で経営すると。
 全委員
  異議なし。
 軍政府
  官営、民営共に経営は同じ事である官営よりも民営の方が却而希望があって運営には良いと思ふ。
 安谷屋委員
  民営にすると若し経営が困難に陥ると困るが官営にすると補助を受ける事が出来る。
 糸数委員
  水産連合会が力がないと云ふ事であれば諮詢会で引受けてやった方がよいと思ふ。
 比嘉委員
  六月から後二ヶ月間は成績を見て其後に経営したら如何です。
 軍政府
  1、現在の通り米国人の経営にするか、
  2、糸数水産部長の手に移すか、
  3、水産連合組合の手に移すか、
  三つの内孰れにするか。
 糸数委員
  当分水産部に移して貰いたい。
 軍政府
  水産部に移すと渡久地の組織に如何なる影響があるか。
 糸数委員
  人が百六十四人も居て多いが直ちに整理は出来ないが仕事の量の調査をやって見たい。
 軍政府
  渡久地の工場は水産部の直営にして二ヶ月間試験的に経営し之を五月一日から始め、成績良好と思ったら成るべく水産連合組合に移す(又は移さなくてもよい)。
 糸数委員
  隊長が若し異動しても今の此の方針は相違ない様に皆様で責任を以てやりたい。
 志喜屋委員長
  成るべく水産連合会にうつすと、又移さなくてもよいと。
 軍政府
  二ケ月後の成績を見て水産連合会に移すか、水産部で経営するかを決める。
 全委員
  異議なし。
 軍政府
  渡久地の事情を視ると、大工、機械工の経験者は少ない様に見えるが。
 糸数委員
  安谷屋、松岡両委員と一緒に行って技術のテストを視たいと思って居るが。
  (安谷屋委員断る)
 軍政府
  一日も早く組織を活気付けて貰いたい。
  酒の権限は護得久委員に任されて居る外の人が一言も云ふことは出来ない。
 護得久委員
  財政部の側に酒の試験室を作りたい。
 軍政府
  酒造するに必要であれば作ってよろしい。
 比嘉委員
  酒造の原料は食糧にならないもので造ると云ふ事であったが甘蔗は如何なるか。
 軍政府
  原則として甘蔗の使用は出来ない。現在の甘蔗で砂糖を作れば酒造は出来ないが若し砂糖を造らなければ出来る。
 比嘉委員
  あちこちで黒糖を造ってゐるが、若し酒を作るなら止めさせなければならないが。
 軍政府
  酒造する時甘蔗に手をつける前軍政府に上申して許可を得た後甘蔗で酒造やられたら。
  通貨は此前打合せた通り軍政府でも許可になった。
  四月六日布告を発し、四月十五日から仝二十八日迄で交換す。
  五円以上の券は日本銀行、台湾銀行、朝鮮銀行から出たものも交換す。
  交換は日本の新紙幣と米軍の軍票とを以て交換す。
  四月二十九日以降は日本新紙幣と米軍々票とのみ通用す。
  軍票と日本新紙幣と法的に通用す。
  日本銀行兌換券は之と同一価値を有す。
  日本銀行券を交換した後兌換券は交換す。
  兌換券にしても日本銀行のスタンプのないものは無効とす。
  五円以下の通貨は其のまゝに使用出来る。
  日本と同一に融通される。
 糸数委員
  三月九日の日本新聞に掲げてある物価の記事をローレンス少佐にお話したが其話を聞かれましたか。
 軍政府
  聞きました。
  此質問は次に廻して貰いたい。
  交換した金は預金の形に置いておく、インフレーを誘発しないために。
  交換の場合戸主は一〇〇円家族は五〇円とし次月も同様にす。
  治療費の必要ある場合は軍政府の承認を得て払下げる事が出来る。
  事業其外の事情により払下げの時は軍政府の承認を得て引出す。
  之を布告に入れてよいでせうね。
 護得久委員
  一家族の中経済主が異なる時があるが之は一家族と見るか又は別個の家族と見るか。
 軍政府
  一、経済の元に一人で見る時は一家族と見る。
  一、経済主が異なる時は別家族とみる。
  護得久委員の方針でやるようにしてよい。
 護得久委員
  五円以下の補助貨幣が少ないと思ふから釣銭に其方も用意されて貰いたい。
  交換の場合でなくとも其後にでもよい。
 軍政府
  用意して置く、直ぐとは出来ない。
  各部長の推薦はどの程度進んでゐるか。(水産、農務、商務、工業、財政)。
 志喜屋委員長
  別に委員会を設けて協議して居る三十分後で持ち帰へると云って居ました。
 糸数委員
  宮古、八重山の通貨は本島と同様なるや否や。時折便船の都合があって融通の件であるが。
 軍政府
  琉球列島全部本島と同一に行はる。
  異なる点は状況によって交換高が違ふかも知れない。
  通貨が融通した後社会救済部に必要とする金額は如何なる程度になるか軍政府総務で調査中であるが、仲宗根委員の方で明細に正確に近いものを作って金額の準備をされたい。
  生活費はどうなったか。
 仲宗根委員
  諮詢会にかけて翻訳中であるから明日回答します。
 軍政府
  収入と生活費との比較表も出来て居るか。
 仲宗根委員
  生活費であって収入は異なるから。
 護得久委員
  可働者であっても現金を有する者があるかも知れない。之は重複する事になるが。
 軍政府
  製塩は個人経営にするか又は専売にする製塩にするか。
 安谷屋委員
  日本政府は買上げ専売にして居たが私としては専売はいけないと思ふ。
  民営にした方がよい。
 軍政府
  個人又は団体経営に移すと経費の維持が出来るや否や。
 安谷屋委員
  元の買上値にして私は値段を立てゝ置いたが実際やって見ないとはっきり分らない。日本政府の買上値段を標準として立てたので再検討したいと思ふ。
 軍政府
  値段の研究と製塩の研究をして来週水曜日に回答されたい。
 護得久委員
  軍票と日本新紙幣とを如何なる割合にして交換するか。
 糸数委員
  通貨が融通する場合、通貨は物価の安い所に即ち日本、先島等に行く惧れはないか。
 軍政府
  軍政府の許可しない中は斯る事は出来ない。
 糸数委員
  先島と船の便があるが如何するか。
 軍政府
  警察と協力して密貿易を取締まる。
  軍政府の方針としては当面のやり方で訂正する必要があれば時の事情により変更して行く。
  之は主として商務で研究して時に応じ、案があれば提出して貰いたい。
  商務部に企画課を設けたのは斯る方面の仕事をやるためである。
 糸数委員
  日本の物価表を取寄せて貰いたい。
 軍政府
  東京に電報でお願ひしてある。
 志喜屋委員長
  弗(ドル)にすれば安全だが、それにやれない理由がありますか。
 安谷屋委員
  日本と同様な金か、弗(ドル)と同じか。
 軍政府
  暫定措置で沖縄の帰属がはっきりしなければ分らない。
  海軍政府の措置である。
 糸数委員
  市民が商業を始めるには度量衡が必要であるが、心当りがあればお願ひしたい。
 軍政府
  現在使用して居るもので足りないか。
 糸数委員
  将来小売商が出来た時必要である。
 軍政府
  入手困難である。
 松岡委員
  従来度量衡の検定は商務部で取締は警察でやって居た。
 軍政府
  商務部でやって貰いたい。
  物価表の外のものが出来たか。
 糸数委員
  後二、三日延期して貰いたい。
 護得久委員
  酒造の原料になる廃物を貰い受けなければならないが軍政府の証明を戴きたい。
 軍政府
  其受入れの方法を考へて貰いたい。
  銀行は成立して居ないから沖縄財政部として貰いたい。
 護得久委員
  銀行としてあったが。
 軍政府
  沖縄中央銀行としてよい。
  農、工、商の資万は銀行設立して後出す事にする。
 松岡委員
  機械関係の責任を聴いたら軍政府の意向は渡久地なら渡久地の主任が責任を持ち其上に総括する責任者を置く、之を諮詢に諮って貰いたい。
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